JP2021070002A - 複合ろ過膜モジュールおよび複合ろ過膜モジュールの製造方法 - Google Patents

複合ろ過膜モジュールおよび複合ろ過膜モジュールの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】モジュールの運転中においてろ過処理の対象である被処理水のろ過処理後の処理水側への漏れ出しが抑制された複合ろ過膜モジュールを提供する。【解決手段】複合ろ過膜モジュールは、多孔質の中空糸状の支持層と、前記支持層の外周面に付着された半透膜層と、を有する複合ろ過膜と、前記複合ろ過膜を収容するケースと、前記複合ろ過膜を前記ケース内で保持する保持部材と、を備え、前記複合ろ過膜は、前記支持層の外周面側に前記半透膜層が存在する構成の第一部位と、前記支持層の外周面側に前記半透膜層が存在しない構成の第二部位と、を有し、前記保持部材は、前記複合ろ過膜の前記第二部位に接着されるとともに、前記保持部材を構成する樹脂が前記支持層に浸透した状態で硬化している。【選択図】図1

Description

本発明は、複合ろ過膜モジュールおよび複合ろ過膜モジュールの製造方法に関する。
複合ろ過膜を用いて流体中の物質を選り分ける膜分離(ろ過)技術が、省エネルギー、省資源、および環境保全等の観点から注目を集めている。複合ろ過膜としては、分離機能を有する半透膜層と、半透膜層を補強する基材とを備える膜が用いられ、例えばナノフィルトレーション(Nano Filtration:NF)膜、逆浸透(Reverse Osmosis:RO)膜、および正浸透(Forward Osmosis:FO)膜が用いられる。このうち、正浸透膜は、自然の浸透圧差を駆動力として用いることから、ろ過技術に使用した場合にエネルギー消費量の低減が期待されるとともに、ろ過技術だけでなく浸透圧発電技術、濃縮技術等の分野でも幅広い応用が期待され、注目を集めている。
半透膜層としては、ポリアミド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリロニトリル径樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂等の多孔質性樹脂からなるものが挙げられる。これらの多孔質性樹脂からなる半透膜層は、機械的強度が低いため、比較的強度の高い多孔質膜や不織布、織布等の基材と複合させ、複合ろ過膜の状態で使用されている。
このような複合ろ過膜は、一般にモジュールと呼ばれる、容器にケーシングされた状態で使用される。モジュールには様々な形状のものが存在し、例えばシート状のろ過膜の場合は平膜型モジュールやスパイラル型モジュール、管状のろ過膜の場合はチューブラー型モジュールや中空糸型モジュール等が挙げられる。これらのモジュールでは、容器として塩化ビニルやポリスルホン、ABS樹脂等の樹脂製のものが用いられ、複合ろ過膜は、これらの容器に接着性を有する樹脂によって固定、支持される。また、この樹脂は、容器と複合ろ過膜との間を封止する役割も果たす。
ここで、管状の基材の外周面に半透膜層が設けられた複合ろ過膜の場合、半透膜層は孔のサイズが小さいため樹脂が浸み込みにくい。そのため、半透膜層と樹脂との間で十分な接着強度が得られず、樹脂が硬化した後において半透膜層と樹脂とが容易に剥離する接着不良の状態となることがある。この接着不良により、モジュールの運転中において、ろ過処理の対象である被処理水がろ過処理後の処理水側へと漏れ出し、十分なろ過性能が得られないという問題が生じている。
このような問題に対処するため、半透膜層を有する複合ろ過膜について、様々な接着技術が検討されてきた。例えば特許文献1には、シート状の複合ろ過膜に関し、半透膜用支持体を融着しやすい素材に変更し、加熱融着処理や超音波融着処理等の融着処理により半透膜用支持体とフレーム材とを接着させることで、複合ろ過膜とフレーム材との接着強度が高いモジュールを提供する技術が開示されている。
国際公開第2016/148038号
中空糸型の複合ろ過膜では、液を流すための中空部を膜の中心部分に形成する必要がある。このため、特許文献1に開示された融着処理による複合ろ過膜とフレーム材との接着技術を中空糸型の複合ろ過膜と容器との接着に適用すると、複合ろ過膜が軟化して中空部がつぶれてしまう。これにより、特許文献1に開示された接着技術は、中空糸型の複合ろ過膜には適用することができない。また、外周面に半透膜層が設けられた中空糸型の複合ろ過膜について、容器に対する接着、固定技術についてはこれまでに十分な検討が行われていない。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、多孔質の中空糸状の支持層と支持層の外周面に付着された半透膜層とを有する複合ろ過膜を備える複合ろ過膜モジュールであって、モジュールの運転中においてろ過処理の対象である被処理水のろ過処理後の処理水側への漏れ出しが抑制された複合ろ過膜モジュールを提供すること、およびこのような複合ろ過膜モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、種々検討した結果、上記目的は、以下の発明により達成されることを見出した。
本発明の一局面に係る複合ろ過膜モジュールは、多孔質の中空糸状の支持層と、前記支持層の外周面に付着された半透膜層と、を有する複合ろ過膜と、前記複合ろ過膜を収容するケースと、前記複合ろ過膜を前記ケース内で保持する保持部材と、を備え、前記複合ろ過膜は、前記支持層の外周面側に前記半透膜層が存在する構成の第一部位と、前記支持層の外周面側に前記半透膜層が存在しない構成の第二部位と、を有し、前記保持部材は、前記複合ろ過膜の前記第二部位に接着されるとともに、前記保持部材を構成する樹脂が前記支持層に浸透した状態で硬化している。
上記の複合ろ過膜モジュールでは、運転の際に、ケース内において複合ろ過膜の半透膜層に接するように被処理水が注入される。被処理水は複合ろ過膜の半透膜層でろ過され、ろ過された処理水は複合ろ過膜外に排出される。上記の複合ろ過膜モジュールでは、複合ろ過膜の第二部位において支持層と保持部材とが直接接しており、さらに保持部材を構成する樹脂は支持層に浸透している。浸透した樹脂は、いわゆるアンカー効果を生じるため、複合ろ過膜と保持部材とは強固に接合している。これにより、複合ろ過膜モジュールの運転中において、ろ過処理の対象である被処理水を、ケース内に圧力をかけずに導入した場合だけでなく、圧力をかけて導入した場合においてもろ過処理後の処理水側への被処理水の漏れ出しが抑制される。
上記の複合ろ過膜モジュールにおいて、前記樹脂の前記支持層への浸透深さは、10μm以上であってもよい。
この態様では、樹脂の支持層への浸透深さが十分であり、アンカー効果による複合ろ過膜と保持部材との接合強度を十分に得ることができる。このため、複合ろ過膜モジュールの運転中において、複合ろ過膜と保持部材との接着部分からの被処理水の処理水側への漏れ出しをより確実に抑制することができる。
上記の複合ろ過膜モジュールにおいて、前記支持層は、ポリフッ化ビニリデン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、およびセルローストリアセテートの少なくとも1種からなるものであってもよい。
この態様では、支持層を構成する樹脂が耐圧性能に優れるため、複合ろ過膜モジュールの運転中において、被処理水の処理水側への漏れ出しをより確実に抑制することができる。
本発明の他の一局面に係る複合ろ過膜モジュールの製造方法は、多孔質の中空糸状の支持層と、前記支持層の外周面に付着された半透膜層と、を有する複合ろ過膜を準備する準備工程と、前記複合ろ過膜から前記半透膜層の端部を除去する除去工程と、前記複合ろ過膜における前記半透膜層が除去された部分において前記支持層に樹脂を付着させて、前記樹脂の一部を前記支持層に浸透させる浸透工程と、前記支持層の外側に位置する前記樹脂を硬化させて、前記複合ろ過膜を保持する保持部材とする保持工程と、を有する。
上記の複合ろ過膜モジュールの製造方法では、支持層の外周面の全長に亘って半透膜層が形成された複合ろ過膜を作成した上で、複合ろ過膜の端部の半透膜層を除去することにより支持層を露出させることができる。そのため、長尺の支持層に半透膜層を連続的に形成した後、所定の長さに切断することによって製造された複合ろ過膜を使用することができる。この露出した支持層に樹脂を付着させることで、多孔質である支持層に樹脂の一部を浸透させることができる。また、樹脂のうち、支持層に浸透しなかった部分は、硬化することによって保持部材となり、複合ろ過膜を保持する。樹脂が硬化した後の状態では、浸透した樹脂のアンカー効果により保持部材と複合ろ過膜とを強固に接合することができる。そのため、上記の複合ろ過膜モジュールの製造方法によれば、被処理水の処理水側への漏れ出しが抑制された複合ろ過膜モジュールを確実に製造することができる。
上記の複合ろ過膜モジュールの製造方法は、硬化前の前記樹脂を、ケースの内周面または前記ケースの内部に配置されるシースの内周面に接触させる接触工程を、さらに有し、前記接触工程を、前記浸透工程と前記保持工程との間、または、前記浸透工程と同時に行ってもよい。
この態様では、保持部材は、ケースまたはシースの内部で接着した状態で使用するため、樹脂を硬化させた後で所定の大きさ、形状に加工する必要がなく、より容易に複合ろ過膜モジュールを製造することができる。
上記の複合ろ過膜モジュールの製造方法の前記除去工程では、前記半透膜層を酸化させることによって前記半透膜層を除去してもよい。
この態様では、支持層の健全性を維持したまま、半透膜層の一部を確実に除去することができ、樹脂と複合ろ過膜とが強固に接合されるため、複合ろ過膜と保持部材との接着部分からの被処理水の処理水側への漏れ出しが抑制された複合ろ過膜モジュールを確実に得ることができる。
本発明によれば、多孔質の中空糸状の支持層と支持層の外周面に付着された半透膜層とを有する複合ろ過膜を備える複合ろ過膜モジュールであって、モジュールの運転中において被処理水の処理水側への漏れ出しが抑制された複合ろ過膜モジュールを提供すること、およびこのような複合ろ過膜モジュールの製造方法を提供することができる。
図1は、本実施形態に係る複合ろ過膜モジュールの縦断面図である。 図2は、図1のII−II線での部分断面図である。 図3は、図2の部分拡大図である。 図4は、図1のIV−IV線での部分断面図である。 図5は、図4の部分拡大図である。 図6は、全長に亘って半透膜層が存在する複合ろ過膜の外観斜視図である。 図7は、両端部において半透膜層が除去された複合ろ過膜の外観斜視図である。 図8は、本実施形態の第1の変形例に係る複合ろ過膜モジュールの縦断面図である。 図9は、本実施形態の第2の変形例に係る複合ろ過膜モジュールの縦断面図である。 図10は、本実施形態の第3の変形例に係る複合ろ過膜モジュールの縦断面図である。 図11(a)は評価用モジュールの外観斜視図であり、図11(b)はその縦断面図である。 図12は、試験状態の評価用モジュールの外観斜視図である。 図13(a)は半透膜層を除去した複合ろ過膜の断面の写真の一例であり、図13(b)は半透膜層の除去を行わなかった複合ろ過膜の断面の写真の一例である。
以下、本発明の一実施形態に係る複合ろ過膜モジュールについて図面に基づいて説明する。
[複合ろ過膜モジュール]
図1は本実施形態に係る複合ろ過膜モジュールの縦断面図であり、図2は図1のII−II線での部分断面図、図3は図2の部分拡大図である。また、図4は図1のIV−IV線での部分断面図であり、図5は図4の部分拡大図である。複合ろ過膜モジュール1は、被処理水をろ過して処理水を得るためのものであり、第1のポート6および第2のポート7の少なくとも一方からケース2内に被処理水を導入し、第3のポート8および第4のポート9の少なくとも一方から処理水を取り出すことができる。被処理水は、第1のポート6および第2のポート7の両方から導入してもよいし、第1のポート6および第2のポート7のいずれか一方を閉じ、開いた状態の他方から導入してもよい。さらに、被処理水を、第3のポート8および第4のポート9の少なくとも一方から導入し、処理水を第1のポート6および第2のポート7の少なくとも一方から取り出してもよい。
複合ろ過膜モジュール1は、複数の複合ろ過膜11と、内部に複合ろ過膜11を収容する筒状のケース2と、複合ろ過膜11をケース2内で保持する保持部材4と、を備えている。
(ケースおよび保持部材)
ケース2は、一方向に延びる円筒状の側壁2aと、側壁2aの両端に設けられた一対の第1の端板2bおよび第2の端板2cと、を有している。ケース2の形状、素材は特に限定されず、例えば塩化ビニルやポリスルホン、ABS樹脂等の樹脂製のものを使用することができる。
保持部材4は、ケース2内の2か所に設けられている。2つの保持部材4は、ケース2内において前記一方向において互いに離れた位置に配置されている。各保持部材4は、それぞれの位置において、側壁2aの内周面の全周に亘って側壁2aに接着されている。これにより、ケース2内の空間は、2つの保持部材4の間の中央空間S1と、第1の端板2bと保持部材4との間の第1の端部空間S2と、第2の端板2cと保持部材4との間の第2の端部空間S3と、に仕切られている。また、2つの保持部材4によって、中央空間S1と第1の端部空間S2との間、および中央空間S1と第2の端部空間S3との間は液密に封止される。保持部材4を構成する樹脂として、接着性を有する樹脂、具体的にはウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を使用することができる。
ケース2には、中央空間S1に開口するように第1のポート6および第2のポート7が設けられている。これにより、中央空間S1は、第1のポート6および第2のポート7を通して外部に連通している。第1のポート6および第2のポート7は、前記一方向において互いに離れた位置に設けられている。また、ケース2には、第1の端部空間S2に開口するように第3のポート8が設けられ、第2の端部空間S3に開口するように第4のポート9が設けられている。これにより、第1の端部空間S2は第3のポート8を通して、また、第2の端部空間S3は第4のポート9を通してそれぞれ外部に連通している。
(複合ろ過膜)
複合ろ過膜11は、2つの保持部材4の間に架け渡されるように配置されている。すなわち、本実施形態に係る複合ろ過膜モジュール1は、いわゆる両端支持タイプである。複合ろ過膜11の一端部は一方の保持部材4を貫通し、他端部は他方の保持部材4を貫通している。複合ろ過膜11は中空であるため、第1の端部空間S2と第2の端部空間S3とは複合ろ過膜11の内部空間によって連通している。
複合ろ過膜11は、多孔質の中空糸状の支持層12と、支持層12の外周面に付着された半透膜層13と、を有している。具体的には、複合ろ過膜11は、2つの保持部材4の間においては、支持層12の外面側に半透膜層13が設けられる一方で、保持部材4内に配置されている両端部においては、支持層12の外面側に半透膜層13は設けられていない。すなわち、複合ろ過膜11は、支持層12の外周面側に半透膜層13が存在する構成の第一部位11a(図2、図3参照)と、第一部位11aの長手方向両側に位置し、支持層12の外周面側に半透膜層13が存在しない構成の第二部位11b(図4、図5参照)と、を有している。第二部位11bは複合ろ過膜11の両端部に設けられ、第一部位11aは複合ろ過膜11の第二部位11bの間に設けられている。また、第一部位11aは中央空間S1に配置されている(図1参照)。
複合ろ過膜11は、第二部位11bにおいて保持部材4に接着され、保持部材4を構成する樹脂は、その一部が支持層12に浸透した状態で硬化している。そのため、図5に示すように、第二部位11bにおいて支持層12は、保持部材4を構成する樹脂が浸透した浸透部12aを有している。図5では、複合ろ過膜11の第1の端板2b側の第二部位11bを示しているが、第2の端板2c側の第二部位11bにおいても同様に支持層12に浸透部12aが形成されている。浸透部12aの厚さは、10μm以上である。ここで、浸透部12aの厚さとは、複合ろ過膜11の長手方向に垂直な断面における、複合ろ過膜11の径方向の浸透部12aの厚さの全周に亘る平均値を意味する。浸透部12aは、第二部位11bにおいて支持層12の厚さ方向全体に亘って形成されていてもよく、支持層12の厚さの80%以下、あるいは支持層12の厚さの40%以下であってもよい。
複合ろ過膜11は、ナノフィルトレーション(Nano Filtration:NF)膜、逆浸透(Reverse Osmosis:RO)膜、および正浸透(Forward Osmosis:FO)膜のいずれにも使用することができる。
(支持層)
支持層12は、多孔質を形成することができる素材からなるものであれば、特に限定されない。支持層12を構成する成分としては、例えば、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリクロロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリケトン、結晶性セルロース、ポリサルホン、ポリフェニルサルホン、ポリエーテルサルホン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、およびアクリロニトリルスチレン(AS)樹脂、三酢酸セルロース(セルローストリアセテート)等が挙げられる。これらの中でも、ポリフッ化ビニリデン、ポリサルホン、およびポリエーテルサルホン、セルローストリアセテートが、耐圧性能に優れる観点から好ましい。また、支持層12を構成する成分としては、上記例示の樹脂を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(半透膜層)
半透膜層13は、多官能アミン化合物と多官能酸ハライド化合物とからなる架橋ポリアミド、すなわち、多官能アミン化合物と多官能酸ハライド化合物とを重合させてなる架橋ポリアミドを含んで、半透膜の機能を奏する層であれば、特に限定されない。
半透膜層13に用いられる多官能アミン化合物は、アミノ基を分子内に2つ以上有する化合物であれば、特に限定されない。多官能アミン化合物としては、例えば、芳香族多官能アミン化合物、脂肪族多官能アミン化合物、および脂環族多官能アミン化合物等が挙げられる。
芳香族多官能アミン化合物としては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、およびo−フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンおよび1,3,4−トリアミノベンゼン等のトリアミノベンゼン、2,4−ジアミノトルエンおよび2,6−ジアミノトルエン等のジアミノトルエン、3,5−ジアミノ安息香酸、キシリレンジアミン、および2,4−ジアミノフェノール二塩酸塩(アミドール)等が挙げられる。
脂肪族多官能アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、プロプレンジアミン、およびトリス(2−アミノエチル)アミン等が挙げられる。
脂環族多官能アミン化合物としては、例えば、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、および4−アミノメチルピペラジン等が挙げられる。
多官能アミン化合物としては、これらの中でも、芳香族多官能アミン化合物が好ましく、フェニレンジアミンがより好ましい。また、多官能アミン化合物として、上記例示の化合物を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
半透膜層13に用いられる多官能酸ハライド化合物(多官能酸ハロゲン化物)は、カルボン酸等の酸を分子内に2つ以上有する多官能有機酸化合物に含まれる酸からヒドロキシル基を2つ以上除去し、ヒドロキシル基が除去された酸にハロゲンが結びついた化合物であれば、特に限定されない。
多官能酸ハライド化合物は、2価以上であればよく、3価以上であることが好ましい。多官能酸ハライド化合物としては、例えば、多官能酸フッ化物、多官能酸塩化物、多官能酸臭化物、および多官能酸ヨウ化物等が挙げられる。これらの中でも、多官能酸塩化物(多官能酸クロライド化合物)が、最も容易に得られ、反応性も高いので好ましく用いられるが、これに限定されない。以下、多官能酸塩化物を例示するが、多官能酸塩化物以外の多官能酸ハロゲン化物としては、下記例示の塩化物を、他のハロゲン化物に変えたもの等が挙げられる。
多官能酸クロライド化合物としては、例えば、芳香族多官能酸クロライド化合物、脂肪族多官能酸クロライド化合物、および脂環族多官能クロライド化合物等が挙げられる。
芳香族多官能酸クロライド化合物としては、例えば、トリメシン酸トリクロライド、テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、ビフェニルジカルボン酸ジクロライド、ナフタレンジカルボン酸ジクロライド、ベンゼントリスルホン酸トリクロライド、およびベンゼンジスルホン酸ジクロライド等が挙げられる。
前記脂肪族多官能酸クロライド化合物としては、例えば、プロパンジカルボン酸ジクロライド、ブタンジカルボン酸ジクロライド、ペンタンジカルボン酸ジクロライド、プロパントリカルボン酸トリクロライド、ブタントリカルボン酸トリクロライド、ペンタントリカルボン酸トリクロライド、グルタリルクロライド、およびアジポイルクロライド等が挙げられる。
脂環族多官能クロライド化合物としては、例えば、シクロプロパントリカルボン酸トリクロライド、シクロブタンテトラカルボン酸テトラクロライド、シクロペンタントリカルボン酸トリクロライド、シクロペンタンテトラカルボン酸テトラクロライド、シクロヘキサントリカルボン酸トリクロライド、テトラハイドロフランテトラカルボン酸テトラクロライド、シクロペンタンジカルボン酸ジクロライド、シクロブタンジカルボン酸ジクロライド、シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド、およびテトラハイドロフランジカルボン酸ジクロライド等が挙げられる。
多官能酸ハライド化合物としては、これらの中でも、芳香族多官能酸クロライド化合物が好ましく、トリメシン酸トリクロライドがより好ましい。また、多官能酸ハライド化合物としては、上記例示の化合物を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[複合ろ過膜モジュールの製造方法]
次に、本実施形態に係る複合ろ過膜モジュールの製造方法について図1、図6および図7を参照して説明する。本実施形態に係る複合ろ過膜モジュールの製造方法は、多孔質の中空糸状の支持層12と、支持層12の外周面に付着された半透膜層13と、を有する複合ろ過膜11を準備する準備工程と、複合ろ過膜11から半透膜層13の端部を除去する除去工程と、複合ろ過膜11の半透膜層13が除去された部分において支持層12に樹脂を付着させて、樹脂の一部を支持層12に浸透させる浸透工程と、硬化前の樹脂をケース2の内周面に接触させる接触工程と、ケース2内で支持層12の外側に位置する樹脂を硬化させる保持工程と、を有する。以下、各工程について説明する。
準備工程では、まず、多孔質かつ中空糸状の支持層12を準備する。支持層12の製造方法としては、一般的な多孔性の中空糸膜の製造方法を適用することができ、特に限定されない。支持層12の製造方法の具体的な一例としては、上記例示の樹脂と溶剤とを含む製膜原液を調製する工程と、この製膜原液を中空糸状に押し出す工程と、押し出された中空糸状の製膜原液を凝固させて中空糸膜(支持層)を形成する工程とを備える方法が挙げられる。
次に、このようにして得られた長尺の支持層12の外周面に半透膜層13を形成する。支持層12の外周面への半透膜層13の形成方法は、特に限定されない。半透膜層13の形成方法の具体的な一例としては、以下の方法が挙げられる。支持層12の外周面の全周に全長に亘って上記の多官能アミン化合物の水溶液を接触させ、浸み込ませる第1の溶液接触工程と、当該水溶液が浸み込んだ支持層12の外周面に上記の多官能酸ハライド化合物の有機溶媒溶液を接触させる第2の溶液接触工程とを有する方法である。第2の溶液接触工程では、支持層12の外周面において支持層12に浸み込んだ多官能アミン化合物の水溶液と多官能酸ハライド化合物の有機溶媒溶液との界面が形成される。当該界面では、多官能アミン化合物と多官能酸ハライド化合物との重合(界面重合)が生じ、半透膜層13を構成する架橋ポリアミドが形成される。その後、半透膜層13が形成された長尺の支持層12を所定の長さに切断する切断工程を経て、複合ろ過膜11が完成する。このとき、複合ろ過膜11は、支持層12の外周面の全周において、その全長に亘って半透膜層13が存在する(図6参照)。すなわち、複合ろ過膜11は、第一部位11aだけを有し、第二部位11bを有しない。
除去工程では、このようにして得られた複合ろ過膜11から半透膜層13の両端部を除去する。これにより、複合ろ過膜11には半透膜層13が存在しない構成の第二部位11bが形成される(図7参照)。複合ろ過膜11から半透膜層13の端部を除去する方法は、特に限定されない。しかし、量産化の観点から、以下に説明する酸化により除去する方法または物理的に除去する方法のいずれかが好ましい。
酸化により除去する方法は、複合ろ過膜11の端部を酸化源に浸漬、照射または噴霧等により接触させ、半透膜層13を分解または溶解させて除去する方法である。酸化源としては、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、過酸化水素水等の酸化剤を含む水溶液や、紫外線等の光酸化を引き起こす光源等が挙げられる。これらの酸化源のうち、取り扱いの容易さの面から、次亜塩素酸ナトリウム水溶液および過酸化水素水のいずれかを用いることが好ましい。
物理的に除去する方法は、複合ろ過膜11の端部において半透膜層13を研磨、研削または破壊して除去する方法である。具体的には紙やすり等で研削する方法が適用できる。
次に、ケース2内に複合ろ過膜11を配置する(配置工程)。本実施形態では、配置工程に続いて、浸透工程と接触工程とを同時に行う。すなわち、複合ろ過膜11とケース2との間に硬化前の樹脂を流し込み、複合ろ過膜11の半透膜層13が除去された部分である第二部位11bに樹脂を付着させ、樹脂の一部を支持層12に浸透させるとともに、樹脂をケース2の内周面に接触させる。樹脂には、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を使用することができる。樹脂の付着は、流し込み以外によっても行うことができ、例えば塗布により行うことができる。また、浸漬等の方法も適用可能である。
保持工程では、支持層12に浸透した樹脂を含め、支持層12に付着させた樹脂を所定の温度に所定時間保持して硬化させる。支持層12の外周面から内部に浸透した樹脂は、硬化することによって浸透部12aを形成する。支持層12の外側に位置し、ケース2の内周面に接触する樹脂は、硬化することによって保持部材4となる。これにより、保持部材4はケース2の内周面および複合ろ過膜11に接着される。保持部材4は、複合ろ過膜11を保持し、その一部が半透膜層13に重なっていてもよい。
樹脂を硬化させる際に樹脂を保持する温度は、10℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましい。また、120℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、60℃以下がさらに好ましい。また、樹脂を硬化させる時間は、5分以上が好ましく、1時間以上がより好ましい。
以上の工程により、複合ろ過膜モジュール1を完成させることができる。
[ろ過方法]
複合ろ過膜モジュール1を用いたろ過方法について図1を参照して説明する。被処理水をケース2の第1のポート6から導入し、第2のポート7から排出する。これにより、ケース2内の中央空間S1では被処理水が流動する。また、被処理水よりも高い浸透圧を有するドローソリューションを、第3のポート8から第1の端部空間S2に導入し、複合ろ過膜11の内部を通じて第2の端部空間S3に移動させ、第4のポート9から排出させる。これにより、被処理水に含まれる水が浸透圧差によって、被処理水からドローソリューションに移動する。言い換えると、被処理水からドローソリューションに水が引き抜かれる。
このとき、被処理水は、複合ろ過膜11の外表面に対して平行に、ドローソリューションは複合ろ過膜11の内表面に対して平行に、それぞれ同じ方向に流動するため、この複合ろ過膜モジュール1の運転方式は、いわゆるクロスフロー方式に該当する。また、被処理水の流動方向とドローソリューションの流動方向を互いに異なる方向としてもよく、この場合もクロスフロー方式に該当する。
また、複合ろ過膜モジュール1を用いたろ過方法として、いわゆる全量ろ過方式を適用することも可能である。例えば、ケース2に設けられた第1のポート6および第2のポート7から、ケース2内の中央空間S1に被処理水を充填する。このとき、複合ろ過膜11の半透膜層13に被処理水が接する。この状態で、中央空間S1に被処理水に圧力をかけると、複合ろ過膜11の半透膜層13で被処理水がろ過され、ろ過後の処理水が第1の端部空間S2および第2の端部空間S3に排出される。処理水は、第3のポート8および第4のポート9から取り出すことができる。この場合、ドローソリューションは不要である。
[作用効果]
次に、本実施形態に係る複合ろ過膜モジュール1の特徴および作用効果について説明する。
複合ろ過膜モジュール1では、複合ろ過膜11の第二部位11bにおいて支持層12と保持部材4とが直接接しており、さらに保持部材4を構成する樹脂は一部が支持層12に浸透している。浸透した樹脂は支持層12に浸透部12aを形成し、いわゆるアンカー効果を生じるため、複合ろ過膜11と保持部材4とは強固に接合している。そのため、複合ろ過膜モジュール1の運転中において、ろ過処理の対象である被処理水を、ケース2の中央空間S1に圧力をかけずに導入した場合だけでなく、圧力をかけて導入した場合においても被処理水の処理水側(第1の端部空間S2および第2の端部空間S3)への漏れ出しを抑制することができる。
浸透部12aの厚さは10μm以上となっている。したがって、浸透部12aの厚さが十分であり、アンカー効果による複合ろ過膜11と保持部材4との接合強度を十分に得ることができるため、複合ろ過膜モジュール1の運転中において、複合ろ過膜11と保持部材4との接着部分からの被処理水の処理水側への漏れ出しをより確実に抑制することができる。
[変形例]
上述の本実施形態に係る複合ろ過膜モジュール1の製造方法では、浸透工程と接触工程とを同時に行ったが、浸透工程と接触工程とを別個に行ってもよい。例えば、ケース2の外部で複合ろ過膜11の第二部位11bに硬化前の樹脂を付着させ(浸透工程)、その後、この樹脂が付着された複合ろ過膜11をケース2内に配置し(配置工程)、ケース2内に配置された複合ろ過膜11に付着した硬化前の樹脂をケース2の内周面に接触させるようにしてもよい(接触工程)。支持層12の外周面から内部に浸透した樹脂は、硬化することによって浸透部12aを形成し、支持層12とケース2との間に残存した樹脂の残部は、硬化することによって保持部材4となる(保持工程)。
本実施形態に係る複合ろ過膜モジュール1では、複合ろ過膜11が2つの保持部材4の間に架け渡されるように配置することとした(両端支持タイプ)。しかし、これに限られず、後述の実施例に示すように、保持部材4を1つのみ設け、保持部材4によって複合ろ過膜11の一方の端部のみを支持するものとしてもよい(片端フリータイプ)。この場合、複合ろ過膜11の他方の端部は処理水と被処理水とが混合しないように封止する。
両端支持タイプの複合ろ過膜モジュール1については、上述の実施形態以外にも、例えば以下に説明する態様を適用することも可能である。
図8は、本実施形態の第1の変形例に係る複合ろ過膜モジュールの縦断面図である。図1に示す態様では、保持部材4はケース2の内周面に接着されている。これに対し、図8に示す態様では、保持部材4はケース2に着脱可能となっていて、ケース2に接着されていない。具体的には、この変型例に係る複合ろ過膜モジュール1は、2つの保持部材4を所定の間隔を空けた位置に固定した状態で支持する支持柱16を有しており、複合ろ過膜11、保持部材4および支持柱16を一体化した膜エレメント10が構成されている。この膜エレメント10は、ケース2に対して着脱可能となっている。
第1の変形例に係るケース2では、側壁2aは、それぞれ別体に構成されるとともに一方向に延びる円筒状の3つの側壁により構成されている。具体的には、側壁2aは、第1の側壁2a1と、第1の側壁2a1の一端側に配置された第2の側壁2a2と、第1の側壁2a1の他端側に配置された第3の側壁2a3と、を有している。第2の側壁2a2と第1の端板2bとにより第1のキャップ2dが構成され、第3の側壁2a3と第2の端板2cとにより第2のキャップ2eが構成される。第1のキャップ2dは、第1の側壁2a1の一端を嵌め込み可能な爪部2fを有し、第2のキャップ2eは、第1の側壁2a1の他端を嵌め込み可能な爪部2gを有している。
支持柱16は、一方向に延びる棒状であり、支持柱16の両端には、それぞれ保持部材4が固定されている。支持柱16の周囲には、2つの保持部材4の間に架け渡された複合ろ過膜11が配置されている。また、2つの保持部材4は、それぞれケース2の第1のキャップ2dまたは第2のキャップ2eに対して着脱可能である。保持部材4の外周面には溝が設けられており、この溝にはOリング4aが嵌め込まれている。
第1の変型例に係る複合ろ過膜モジュールの製造方法では、複合ろ過膜11の第二部位11bおよび支持柱16の両端部に硬化前の樹脂を付着させて、樹脂の一部を支持層12に浸透させる(浸透工程)。付着させた樹脂が硬化すると保持部材4となる(保持工程)。これにより、保持部材4は、所定の間隔を空けた状態で支持柱16に固定され、複合ろ過膜11がおよそまっすぐな状態となる。保持部材4を所定の大きさの円柱状に成形し、周面に溝を設け、この溝にOリング4aを嵌め込むと、膜エレメント10が完成する。次いで、第1のキャップ2dに膜エレメント10の一方の保持部材4を嵌め込み、第1のキャップ2dに第1の側壁2a1を連結するとともに、第2のキャップ2eを被せる(配置工程)。これにより、複合ろ過膜モジュール1が完成する。この製造方法では、接触工程は不要である。
完成した複合ろ過膜モジュール1では、複合ろ過膜11は、ケース2内で保持部材4によって保持される。また、Oリング4aによって、中央空間S1と第1の端部空間S2との間、および中央空間S1と第2の端部空間S3との間は液密に封止される。そのため、第1の変形例に係る複合ろ過膜モジュール1も、上述の実施形態に係る複合ろ過膜モジュールと同様に使用することができる。
第1の変型例に係る複合ろ過膜モジュール1では、2つの保持部材4が支持柱16に固定されており、2つの保持部材4の間隔は所定の長さに維持されている。そのため、膜エレメント10をケース2に対して着脱する際やろ過中において、複合ろ過膜11が引っ張られて損傷したり、複合ろ過膜11に弛みが生じて互いに接触し、複合ろ過膜モジュール1によるろ過効率が低下したりするのを抑制することができる。
また、第1の変形例に係る複合ろ過膜モジュール1は、第1のキャップ2dおよび第2のキャップ2eを第1の側壁2a1から外すことにより、膜エレメント10をケース2から取り出すことが可能であり、容易にケース2内部の部材のメンテナンス等を行うことができる。
図9は、本実施形態の第2の変形例に係る複合ろ過膜モジュールの縦断面図である。第2の変形例では、保持部材4が、筒状に形成されたシース4bに収容されている。保持部材4は、シース4bの内周面の全周に亘って接着されている。シース4bの外周面には溝が設けられており、第1の変形例と同様にOリング4aが嵌め込まれている。保持部材4、Oリング4a、シース4b、支持柱16、および複合ろ過膜11は、膜エレメント10を構成する。
第2の変型例に係る複合ろ過膜モジュールの製造方法では、シース4bの内側に複合ろ過膜11の第二部位11bおよび支持柱16の端部を配置し、そこに硬化前の樹脂を流し込むことにより、浸透工程と接触工程とを同時に行う。これにより、シース4bの内周面に複合ろ過膜11および支持柱16が取り付けられる。保持工程で樹脂が硬化することによって、支持層12の外周面から内部に浸透した樹脂は浸透部12aを形成し、支持層12の外側に位置し、シース4bの内周面に接触する樹脂は保持部材4となる。これにより、保持部材4は、シース4bの内周面に接着される。また、保持部材4は、複合ろ過膜11を保持する。
第1のキャップ2dに膜エレメント10の一方のシース4bを嵌め込み、第1のキャップ2dに第1の側壁2a1を連結するとともに、第2のキャップ2eを被せると、複合ろ過膜モジュール1が完成する。完成した複合ろ過膜モジュール1では、複合ろ過膜11は、ケース2内で保持部材4およびシース4bによって保持される。第2の変形例に係る複合ろ過膜モジュール1も、第1の変形例に係る複合ろ過膜モジュールと同様に使用することができる。
図10は、本実施形態の第3の変形例に係る複合ろ過膜モジュールの縦断面図である。第3の変型例に係る複合ろ過膜モジュール1は、図1に示す態様の複合ろ過膜モジュールにおける第1のポート6に代えて、液供給管18が設けられている。
具体的には、一方向に延びる中空の液供給管18は、複合ろ過膜11と並んで2つの保持部材4の間に架け渡されるように配置されている。液供給管18の第1の端板2b側の端部は、封止部材18bによって封止された状態で保持部材4を貫通している。第2の端板2c側の端部は、保持部材4だけでなく第2の端板2cも貫通しており、ケース2の外部に露出している。液供給管18には、第2のポート7よりも第1の端板2b側で中央空間S1に開口するように開口18aが設けられている。封止部材18bは、液供給管18の開口18aよりも第1の端板2b側を封止している。封止部材18bには、保持部材4と同じ樹脂を用いることができる。
第3の変型例に係る複合ろ過膜モジュール1では、ドローソリューションは、第4のポート9から第2の端部空間S3に導入され、複合ろ過膜11の内部を通じて第1の端部空間S2に移動し、第3のポート8から排出される。
また、被処理水は、外部に露出した液供給管18の端部から液供給管18内へ導入され、開口18aを通じて中央空間S1に導入される。中央空間S1に導入された被処理水は、複合ろ過膜11が延びる方向と直交する方向に流動した後、複合ろ過膜11に平行に流動し、第2のポート7から排出される。
第3の変型例に係る複合ろ過膜モジュールの製造方法は、複合ろ過膜11とともに液供給管18もケース2内に配置された状態で、硬化前の樹脂を流し込み、複合ろ過膜11の第二部位11bと液供給管18の端部に樹脂を付着させると同時に樹脂が付着された複合ろ過膜11および液供給管18をケース2の内周面に接着する点で異なる以外は、上述の実施形態と同様である。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施例により制限されるものではなく、前後記の趣旨に適合する範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術範囲に包含される。
本発明者らは、評価用のモジュールを用いて、複合ろ過膜モジュールの複合ろ過膜と封止部材との接合強度試験を行った。
[試験条件]
図11(a)は評価用モジュールの外観斜視図であり、図11(b)はその縦断面図である。評価用モジュール20は、両端支持タイプではなく、片端フリータイプとした。評価用モジュール20は、両端に開口を有する円筒状のケース2と、ケース2内に配置された複合ろ過膜11と、複合ろ過膜11をケース2に対して固定するとともにケース2の一端を封止する1個の保持部材4と、を備える。
評価用モジュール20では、ケース2として、直径10mmのナイロン製のチューブを用いた。複合ろ過膜11は、図11(b)に示すように、支持層12と半透膜層13とを有し、外径1000μm、内径600μmの中空糸膜型である。半透膜層13は、支持層12に比べて極めて薄いため、図11(a)および後述の図12では半透膜層13を省略している。支持層12は、ポリフッ化ビニリデンからなる中空糸膜とし、半透膜層13はポリアミドからなるものとした。
複合ろ過膜11において、半透膜層13が存在しない構成の第二部位11bは、第一部位11aの一端側にのみ設けられている。第一部位11aは、長さ(有効長)を10cmとした。第二部位11bは、長さを5cmとした。複合ろ過膜11の第一部位11a側の端部はウレタン樹脂またはエポキシ樹脂からなる封止材11cで封止し、第二部位11b側の端部11dは開口するように保持部材4を設けた。複合ろ過膜11は、ケース2内に10本配置した(図11(a)、図11(b)には複合ろ過膜を3本示している。)。
表1は、複合ろ過膜11の第二部位11bの半透膜層13の除去方法、除去に用いた媒体、除去方法が酸化である場合の媒体への浸漬時間、および保持部材の材質を示す。
図12は、試験状態の評価用モジュールの外観斜視図である。このようにして準備した評価用モジュール20のケース2内、すなわち複合ろ過膜11の外側に、図12に示すように色素を含む溶液26を注入し、加える圧力を次第に増加させた。
Figure 2021070002
[評価項目]
評価項目は、複合ろ過膜と保持部材との接着部分の耐圧強度と、複合ろ過膜への樹脂の浸透深さとした。表1には、各評価項目の評価結果も記載した。
(耐圧強度)
耐圧強度は、複合ろ過膜と保持部材との間から色素を含む溶液の漏れが目視で確認された時点の圧力とする。ただし、本試験で使用した複合ろ過膜の支持層の耐圧限界(圧潰する圧力)が2MPaであるため、加える圧力の上限を2MPaとした。2MPaの圧力で1時間保持しても漏れが確認できなかった場合、耐圧強度を2MPa以上と評価し、表1には「2<」と記載した。耐圧強度は、0.9MPa以上を「可」、1.5MPa以上を「良」、0.9MPa未満を「不可」と評価した。
(樹脂の浸透深さ)
樹脂の浸透深さは、接合強度試験後の評価用モジュールの保持部材を設けた部分の長手方向の任意の位置について測定した。当該任意の位置において、評価用モジュールを長手方向に垂直に切断し、その断面をデジタルHFマイクロスコープ(キーエンス株式会社、VH−8000)を用いて100倍の倍率で写真を撮影した。撮影した写真を用いて、当該断面における5本の複合ろ過膜の任意の3か所、計15か所について樹脂の浸透深さを測定した。浸透深さは、複合ろ過膜の外周面から中心に向かう方向に測定した。1つの評価用モジュールの断面における上記15か所の測定値の相加平均を、当該評価用モジュールの樹脂浸透深さとした。
図13(a)は半透膜層を除去した複合ろ過膜の断面の写真の一例であり、図13(b)は半透膜層の除去を行わなかった複合ろ過膜の断面の写真の一例である。半透膜層は、支持層に比べて極めて薄いため、いずれの写真でも確認することはできない。図13(a)では、色の濃い部分と薄い部分とがある。色の濃い部分は、樹脂が浸透していないことにより、接合強度試験に用いた溶液に含まれる色素によって着色された部分である。色の薄い部分は支持層に樹脂が浸透しており、色素によって支持層が着色されなかった部分である。このように着色することにより、樹脂浸透深さを測定することが可能となる。
[評価結果]
(実施例1)
実施例1では、半透膜層の除去条件として、複合ろ過膜の一方の端部を12質量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液に3時間浸漬し、半透膜層を酸化させた。その結果、半透膜層を十分に除去できており、樹脂が複合ろ過膜の支持層内部まで浸透し、樹脂浸透深さは150μmであった。また、支持層と保持部材との間のアンカー効果により2MPa以上と非常に高い耐圧強度であった。
(実施例2)
実施例2は、半透膜層の処理媒体(酸化剤)を過酸化水素水とした以外は、実施例1と同じ条件とした。その結果、半透膜層を十分に除去できていたため、樹脂浸透深さは70μmであり、耐圧強度は1.5MPaと高い値であった。
(実施例3)
実施例3は、樹脂をエポキシ樹脂とした以外は、実施例1と同じ条件とした。その結果、半透膜層を十分に除去できており、樹脂もウレタン樹脂と同様に複合ろ過膜の支持層内部まで浸透していた。樹脂浸透深さは147μmであり、耐圧強度は2MPa以上と非常に高い値であった。
(実施例4)
実施例4は、半透膜層の除去を紙やすりを用いた研磨によって物理的に行った以外は、実施例1と同じ条件とした。紙やすりによる半透膜層の除去では、除去作業を行った部分において半透膜層が除去された部分だけでなく、研磨された半透膜層が支持層に押し込められた部分も存在した。そのため、樹脂の浸透深さが15μmと実施例1〜3と比べて浅かった。また、耐圧強度も0.9MPaと十分に高い値であったものの、実施例1〜3と比べて低かった。
(比較例1)
比較例1は、半透膜の除去を行わなかった。半透膜は孔径が小さいため、樹脂が支持層まで浸透せず、樹脂の浸透深さは0であった。また、耐圧強度は0.02MPaと低い値であった。
(比較例2)
比較例2は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液への浸漬時間を2分間とした以外は、実施例1と同じ条件とした。その結果、半透膜層を十分に除去することができず、樹脂の浸透深さは9μmと実施例1〜4に比べて浅かった。また、耐圧強度も0.1MPaと低い値であった。
1 複合ろ過膜モジュール
2 ケース
4 保持部材
11 複合ろ過膜
12 支持層
12a 浸透部
13 半透膜層

Claims (6)

  1. 複合ろ過膜モジュールであって、
    多孔質の中空糸状の支持層と、前記支持層の外周面に付着された半透膜層と、を有する複合ろ過膜と、
    前記複合ろ過膜を収容するケースと、
    前記複合ろ過膜を前記ケース内で保持する保持部材と、を備え、
    前記複合ろ過膜は、前記支持層の外周面側に前記半透膜層が存在する構成の第一部位と、前記支持層の外周面側に前記半透膜層が存在しない構成の第二部位と、を有し、
    前記保持部材は、前記複合ろ過膜の前記第二部位に接着されるとともに、前記保持部材を構成する樹脂が前記支持層に浸透した状態で硬化している、複合ろ過膜モジュール。
  2. 前記樹脂の前記支持層への浸透深さは、10μm以上である、請求項1に記載の複合ろ過膜モジュール。
  3. 前記支持層は、ポリフッ化ビニリデン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、およびセルローストリアセテートの少なくとも1種からなる、請求項1または請求項2に記載の複合ろ過膜モジュール。
  4. 多孔質の中空糸状の支持層と、前記支持層の外周面に付着された半透膜層と、を有する複合ろ過膜を準備する準備工程と、
    前記複合ろ過膜から前記半透膜層の端部を除去する除去工程と、
    前記複合ろ過膜における前記半透膜層が除去された部分において前記支持層に樹脂を付着させて、前記樹脂の一部を前記支持層に浸透させる浸透工程と、
    前記支持層の外側に位置する前記樹脂を硬化させて、前記複合ろ過膜を保持する保持部材とする保持工程と、を有する複合ろ過膜モジュールの製造方法。
  5. 硬化前の前記樹脂を、ケースの内周面または前記ケースの内部に配置されるシースの内周面に接触させる接触工程を、さらに有し、
    前記接触工程を、前記浸透工程と前記保持工程との間、または、前記浸透工程と同時に行う、請求項4に記載の複合ろ過膜モジュールの製造方法。
  6. 前記除去工程では、前記半透膜層を酸化させることによって前記半透膜層を除去する、請求項4または請求項5に記載の複合ろ過膜モジュールの製造方法。
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