JP6954738B2 - 親水化処理方法、及び表面処理液のセット - Google Patents
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Description
このため、特許文献1では、表面調整剤の溶液に、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミン樹脂等の樹脂を被膜形成成分として配合した液を、表面処理液として用いている。
他方で、被処理体が有する有用な表面特性を維持することを目的に、特許文献1に記載の方法において被膜形成生成分を除いてしまうと、表面処理直後に、被処理体の表面がある程度親水化されたとしても、表面調整剤が被処理体の表面から容易に脱離したり、表面調整剤が空気との間でなんらかの化学変化を起こしたりすることによって、親水化の効果が短期間で低下しやすい。
第1液を表面に接触させることと、
第1液で処理された表面に、第2液を接触させることと、を含み、
第1液が、(A1)樹脂と、(S1)含水溶媒とを含み、
(A1)樹脂が、アニオン性基及び/又はカチオン性基を有する水溶性の樹脂であって、
第2液が、(A2)イオン性化合物と、(S2)含水溶媒とを含み、
(A2)イオン性化合物が、水溶性の非重合体化合物である、方法である。
第1液が、(A1)樹脂と、(S1)含水溶媒とを含み、
(A1)樹脂が、アニオン性基及び/又はカチオン性基を有する水溶性の樹脂であって、
第2液が、(A2)イオン性化合物と、(S2)含水溶媒とを含む、
被処理体の表面を親水化させるための表面処理液のセットである。
親水化処理方法では、第1液を表面に接触させることと、第1液で処理された表面に、第2液を接触させることと、を含む方法により被処理体の表面を親水化させる。
第1液は、(A1)樹脂と、(S1)含水溶媒とを含む。(A1)樹脂は、アニオン性基及び/又はカチオン性基を有する水溶性の樹脂である、
第2液は、(A2)イオン性化合物と、(S2)含水溶媒とを含む。
前述の通り、第1液は、(A1)樹脂と、(S1)含水溶媒とを含む。以下、第1液が含む必須又は任意の成分と、第1液を用いる被処理体の処理方法とについて説明する。
表面処理に用いられる第1液は、所望する表面処理効果を得るための成分として(A1)樹脂を含む。(A1)樹脂は、アニオン性基及び/又はカチオン性基を有する。(A1)樹脂は、アニオン性基及び/又はカチオン性基を有することにより、被処理体表面に付着して親水化させる。
この場合、官能基IIが水酸基、シアノ基、及びカルボキシ基から選択される1以上の基を含む場合、(A1)樹脂は官能基Iを有していなくてもよい。
なお、水酸基、及びカルボキシ基を含む親水性基には、水酸基そのもの、及びカルボキシ基そのものが含まれる。
これらの樹脂の中では、官能基の導入や、官能基を有する単位の含有比率の調整が容易である事から(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
(A1)樹脂は、アニオン性基、及び/又はカチオン性基を必須に有する。(A1)樹脂中のアニオン性基、及び/又はカチオン性基が、被処理体に対して親水性をもたらす。
カチオン性基としては、(A1)樹脂の入手の容易性や、良好な表面処理効果を得やすいことから、環式、又は非環式のアミノ基や、4級アンモニウム塩基が好ましい。
CH2=CR2−(CO)a−R3・・・(a2)
(式(a2)中、R2は水素原子又はメチル基であり、R3は−Y−R4−R5で表される基、又はアミノ基であり、Yは、−O−、又は−NH−であり、R4は置換基を有してもよい2価の有機基であり、R5は炭素原子数1〜6の炭化水素基で置換されていてもよいアミノ基、又は−N+R6R7R8・Z−で表される4級アンモニウム塩基であり、R6、R7、及びR8は、それぞれ独立に水素原子、又は炭素原子数1〜6の炭化水素基であり、Z−は対アニオンであり、aは0又は1である。)
炭素原子数1〜6の炭化水素基の好適な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、及びフェニル基が挙げられる。
Z−としての対アニオンは、1価のアニオンであれば特に限定されずハロゲン化物イオンが好ましい。ハロゲン化物イオンの好適な例としては、塩化物イオン、臭化物イオン、及びヨウ化物イオンが挙げられる。
アニオン性基は、典型的には、ブレンステッド酸性を示す官能基である。ブレンステッド酸性を示す官能基の好適な例としては、カルボキシ基、スルホン酸基、スルフィン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、及びフェノール性水酸基が挙げられる。
CH2=CR2−(CO)b−R9・・・(a3)
(式(a3)中、R2は水素原子又はメチル基であり、R9は、水酸基、又は−A−R10−R11で表される基であり、Aは−O−、又は−NH−であり、R10は置換基を有してもよい2価の有機基であり、R11はブレンステッド酸性基であり、bは0又は1であり、ただし、bが0である場合、R9は水酸基でない。)
(A1)樹脂に含まれる全構成単位中の、アニオン性基、及び/又はカチオン性基を有する構成単位のモル比率は、50〜99.9モル%が好ましく、60〜99モル%がより好ましく、70〜99モル%が特に好ましい。
(A1)樹脂は、水酸基、シアノ基、及びカルボキシ基からなる群より選択される1以上の基である官能基Iを有するのが好ましい。この場合、第1液による処理時に、(A1)樹脂が、被処理体の表面により良好に付着しやすい。
CH2=CR2−(R12)c−CO−R13・・・(a4)
(式(a4)中、R2は水素原子又はメチル基であり、R12は2価の炭化水素基であり、cは0又は1であり、R13は、−OH、−O−R14、又は−NH−R14であり、R14は、水酸基、シアノ基、及びカルボキシ基からなる群より選択される1以上の官能基で置換された炭化水素基である。)
R14の基の主骨格を構成する炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、又は環状の脂肪族基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
直鎖状、分岐鎖状、又は環状の脂肪族基の炭素原子数は1〜20が好ましく、1〜12がより好ましい。
直鎖状、又は分岐鎖状の脂肪族基の好適な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
環状の脂肪族基の好適な例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等のシクロオクチル基や、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、及びテトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基や、これらのポリシクロアルカンのC1−C4アルキル置換体から1個の水素原子を除いた基が挙げられる。
芳香族炭化水素基の好適な例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナントレニル基、及びビフェニリル基等が挙げられる。芳香族炭化水素基は、メチル基、エチル基等のC1−C4アルキル基で置換されていてもよい。
(A1)樹脂に含まれる全構成単位中の、官能基Iを有する構成単位のモル比率は、0.1〜50モル%が好ましく、1〜20モル%がより好ましく、1〜15モル%が特に好ましい。
官能基IIは親水性基である。親水性基は、従来から、当業者に親水性基であると認識されている官能基であれば特に限定されず、その中から適宜選択できる。
−NH−R1・・・(a1)
(式(a1)中、R1は、アミノ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、及び水酸基からなる群より選択される1以上の基で置換された炭素原子数1〜4のアルキル基、又は水素原子である。)
で表される基が好ましい。
R1について、アミノ基は、カチオン性基に該当し、スルホン酸基、及びホスホン酸基はアニオン性基に該当する。水酸基のうちフェノール性水酸基はアニオン性基に該当する。
この場合、(A1)樹脂が、官能基IIを有する構成単位として、下式(a5):
CH2=CR2−CO−NH−R1・・・(a5)
(式(a5)中、R1は、アミノ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、及び水酸基からなる群より選択される1以上の基で置換された炭素原子数1〜4のアルキル基、又は水素原子であり、R2は水素原子又はメチル基である。)
で表される単量体に由来する構成単位を含むのが好ましい。
ただし、官能基IIを有する構成単位が水酸基、シアノ基、カルボキシ基のいずれか1つの基を含む場合、重合体に含まれる官能基IIを有する構成単位の比率は100モル%であってもよい。
なお、(A1)樹脂の質量平均分子量は、GPCにより測定されるポリスチレン換算の分子量である。
第1液は、(B)強酸を含んでいてもよい。(B)強酸のpKaは1以下である。なお、pKaは水中での値である。
(B)強酸は、(A1)樹脂の被処理体の表面への付着又は結合を促進させる。
(B)強酸の種類は、pKaが1以下である限り特に限定されない。(B)強酸としては、pKaが1以下である酸を2種以上組み合わせて用いることができる。
電子吸引性基で置換された炭化水素基としては、フッ素化アルキル基、ニトロ基を有するアリール基が好ましい。フッ素化アルキル基は、直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でもよい。フッ素化アルキル基は、完全にフッ素化されたパーフルオロアルキル基であるのが好ましい。ニトロ基を有するアリール基としては、o−ニトロフェニル基、m−ニトロフェニル基、及びp−ニトロフェニル基が好ましく、p−ニトロフェニル基がより好ましい。
X5は、炭化水素基である。炭化水素基について、前述のR14の基の主骨格を構成する炭化水素基と同様である。
第1液は、本発明の目的を阻害しない範囲で、(A1)樹脂、(B)強酸、及び(S1)含水溶媒以外の種々の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、着色剤、界面活性剤、消泡剤、粘度調整剤、界面活性剤等が挙げられる。
第1液は、(S1)含水溶媒を必須に含む、(S1)含水溶媒は、水であってもよく、有機溶媒の水溶液であってもよい。
(S1)含水溶媒中の水の含有量は、例えば、80質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;
ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;
ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホン、テトラメチレンスルホン等のスルホン類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド類;
N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシメチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン等のラクタム類;
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジイソプロピル−2−イミダゾリジノン等のイミダゾリジノン類;
ジメチルグリコール、ジメチルジグリコール、ジメチルトリグリコール、メチルエチルジグリコール、ジエチルグリコール、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル等のジアルキルグリコールエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸−i−プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸−i−ブチル、ぎ酸−n−ペンチル、酢酸−i−ペンチル、プロピオン酸−n−ブチル、酪酸エチル、酪酸−n−プロピル、酪酸−i−プロピル、酪酸−n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸−n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;
β−プロピロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−ペンチロラクトン等のラクトン類;
等が挙げられる。
上記の有機溶媒には、水と自由に混合しない非水溶性有機溶媒も含まれる。非水溶性有機溶媒は水溶性有機溶媒とともに用いることで、(S1)含水溶媒中に溶解し得る。
第1液を調製する方法は特に限定されない。第1液は、典型的には、それぞれ所定量の(A1)樹脂と、(S1)含水溶媒と、必要に応じて、(B)強酸やその他の成分を、均一に混合することにより調製される。
第2液は、(A2)イオン性化合物と、(S2)含水溶媒とを含む。被処理体の表面は、前述の第1液と接触することにより親水化される。第1液と接触した後の被処理体の表面を、第2液と接触させることによって、被処理体表面の親水性の経時的な低下を効果的に抑制することができる。
(A2)イオン性化合物は、塩であっても、アニオン化されうるアニオン性の化合物であっても、カチオン化されうるカチオン性の化合物であってもよい。(A2)イオン性化合物は、有機化合物であっても無機化合物であってもよいが、(A1)樹脂との親和性等の点から有機化合物であるのが好ましい。
このような範囲内の分子量を有する低分子量の(A2)イオン性化合物を用いる場合、第2液により被処理体の表面を処理した際に、(A2)イオン性化合物が被処理体の表面に均一に付着しやすく、親水性の低下の抑制について良好な効果を得やすい。
(A2)イオン性化合物の具体例としては、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノエトキシエタノール、エチレンジアミン、ピロリジン、ピペラジン、モルホリン、コリン、及びこれらの塩類等のカチオン性化合物;エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、1,2−カルボキシ−1,2−ホスホノエタン、2−ホスホノエタン−1−スルホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、アコニット酸、及びこれらの塩類等のアニオン性化合物;ベタイン(例えば、トリメチルグリシン)、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミン四酢酸等の両性化合物;が挙げられる。
上記両性化合物(A2a)の好ましい例としては、下記式(a2−1)で表される化合物が挙げられる。上記4級アンモニウム塩(A2b)の好ましい例としては、下記式(a2−2)で表される化合物が挙げられる。上記脂肪族ポリカルボン酸化合物(A2c)の好ましい例としては、下記式(a2−3)で表される化合物が挙げられる。
式(a2−2)中、X−は1価のアニオンである。
式(a2−3)中、Ra5、Ra6、Ra7、及びRa8は、それぞれ独立に、単結合であるか、水酸基又はハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜3のアルキレン基であり、Ra9は水酸基又はホスホン酸基である。)
Ra1、Ra2、及びRa3としては、無置換のアルキル基が好ましい。Ra1、Ra2、及びRa3の好適な具体例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、及びイソプロピル基である。
Ra4としては、無置換のアルキレン基が好ましい。Ra4の好適な具体例は、メチレン基、エタン−1,2−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、及びプロパン−2,2−ジイル基であり、メチレン基、エタン−1,2−ジイル基、及びプロパン−1,3−ジイル基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
Ra5、Ra6、Ra7、及びRa8としては、単結合、又は無置換のアルキレン基が好ましい。無置換のアルキレン基の好適な具体例は、メチレン基、エタン−1,2−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、及びプロパン−2,2−ジイル基であり、メチレン基、エタン−1,2−ジイル基、及びプロパン−1,3−ジイル基が好ましく、メチレン基、及びエタン−1,2−ジイル基がより好ましい。
第2液は、本発明の目的を阻害しない範囲で、(A2)イオン性化合物、及び(S2)含水溶媒以外の種々の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、着色剤、界面活性剤、消泡剤、粘度調整剤、界面活性剤等が挙げられる。
第2液は、(S2)含水溶媒を含む。(S2)含水溶媒は、前述の(S1)含水溶媒と同様である。
第2液を調製する方法は特に限定されない。第2液は、典型的には、それぞれ所定量の(A2)イオン性化合物と、(S2)含水溶媒と、必要に応じてその他の成分を、均一に混合することにより調製される。
親水化処理方法は、上述の第1液を被処理体の表面に接触させることと、
第1液で処理された被処理体の表面に、第2液を接触させることと、を含む。
第1液を被処理体の表面に接触させる方法は特に限定されない。典型的には、第1液を被処理体の表面に塗布することにより、第1液と被処理体との接触が行われる。第1液を塗布する方法は特に限定されない。塗布方法の具体例としては、スピンコート法、スプレー法、ローラーコート法、浸漬法等が挙げられる。被処理体が基板である場合、表面処理液を均一に塗布することで、基板表面を均一に親水化できることから、塗布方法としてスピンコート法が好ましい。
有機材料としては、PET樹脂、PBT樹脂等のポリエステル樹脂、各種ナイロン、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレン、(メタ)アクリル樹脂等、ポリジメチルシロキサン等の種々の樹脂材料が挙げられる。
また、種々のレジスト材料に含まれる感光性の樹脂成分や、アルカリ可溶性の樹脂成分も有機材料として好ましい。
無機材料としては、ガラス、シリコンや、銅、アルミニウム、鉄、タングステン等の種々の金属が挙げられる。金属は、合金であってもよい。
しかし、被処理体の表面には、当該表面に付着又は結合していない(A1)樹脂もある程度の量存在している。したがって、(A1)樹脂の、被処理体の表面特性に与える影響を低減させるために、リンスにより、被処理体の表面に付着又は結合していない(A1)樹脂を洗い流してもよい。
上記の方法により第1液と接触した後の被処理体の表面に、次いで、第2液を接触させる。
第2液を被処理体の表面に接触させる方法は、第1液を被処理体の表面に接触させる方法と同様である。
第2液を被処理体の表面に接触させた後には、第1液による処理について説明したのと同様の方法で、被処理体の表面をリンスしてもよい。
第2液の塗布後、又はリンス後に、被処理体の表面を必要に応じて乾燥させることにより、その表面が良好に親水化され、かつ親水性が低下しにくい物品が得られる。
実施例、及び比較例において、第1液として、下記構造の樹脂を、濃度1質量%でエタノール水溶液に溶解させた溶液を用いた。エタノール水溶液のエタノール濃度は90質量%であった。
下記構造式において、各構成単位中の括弧の右下の数値は、樹脂中における各構成単位のモル比率(%)を表す。また、下記構造の樹脂の質量平均分子量は、900,000
である。
イオン性化合物A2−1、A2−2、及びA2−3は以下の通りである。なお、比較例1では、第2液による処理を行わなかった。
A2−1:トリメチルグリシン(ベタイン)
A2−2:水酸化コリン
A2−3:2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸
まず、基板に対して、第1液をディップコートした。ディップコート後、80℃で5分間基板を乾燥させた。
次いで、基板表面を、第2液でリンスした。リンス後、窒素ガスを吹き付けて基板表面を乾燥させた後、2000ms後の基板表面の水の接触角と、3日後の基板表面の水の接触角とを測定した。これらの測定結果を表1に記す。
他方、比較例1から、第1液により基板表面を処理した後に、第2液による処理を行わない場合、3日間経過した時点で基板表面の親水性が著しく低下することが分かる。
Claims (7)
- 被処理体の表面を親水化させる処理方法であって、
(A1)樹脂と(S1)含水溶媒とを含む第1液を前記表面に接触させることと、
前記第1液で処理された前記表面に、第2液を接触させることと、
リンスにより、前記表面に付着又は結合していない前記(A1)樹脂を洗い流すこととを含み、
前記(A1)樹脂が、アニオン性基及び/又はカチオン性基を有する水溶性の樹脂であって、水酸基、シアノ基、及びカルボキシ基からなる群より選択される1以上の基である官能基Iと、前記官能基I以外の親水性基である官能基IIとを有し、
前記官能基IIの前記親水性基が、下記式(a1):
−NH−R 1 ・・・(a1)
(式(a1)中、R 1 は、アミノ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、及び水酸基からなる群より選択される1以上の基で置換された炭素原子数1〜4のアルキル基、又は水素原子である。)
で表される基であり、
前記(A1)樹脂に含まれる全構成単位中の、前記官能基Iを有する構成単位の比率が0.1〜50モル%であり、前記官能基IIを有する構成単位の比率が50〜99.9モル%であり、
前記第1液における前記(A1)樹脂の含有量が0.1〜10質量%であり、
前記第2液が、(A2)イオン性化合物と、(S2)含水溶媒とを含み、
前記(A2)イオン性化合物が、カルボキシ基、ホスホン酸基、及び四級アンモニウム基から選択される1種以上を有する水溶性の非重合体化合物であり、かつ
前記第2液における前記(A2)イオン性化合物の含有量が0.1〜10質量%である、方法。 - 前記官能基Iが、下式(a4):
CH2=CR2−(R12)c−CO−R13・・・(a4)
(式(a4)中、R2は水素原子又はメチル基であり、R12は2価の炭化水素基であり、cは0又は1であり、R13は、−OH、−O−R14、又は−NH−R14であり、R14は、水酸基、シアノ基、及びカルボキシ基からなる群より選択される1以上の官能基で置換された炭化水素基である。)
で表される単量体に由来する、請求項1に記載の方法。 - 前記官能基IIの前記親水性基が、下式(a5):
CH2=CR2−CO−NH−R1・・・(a5)
(式(a5)中、R1は、アミノ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、及び水酸基からなる群より選択される1以上の基で置換された炭素原子数1〜4のアルキル基、又は水素原子であり、R2は水素原子又はメチル基である。)
で表される単量体に由来する、請求項1または2に記載の方法。 - 前記第1液が、pKaが1以下である(B)強酸を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記(A2)イオン性化合物の分子量が500以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記(A2)イオン性化合物が、下記式(a2−1)、式(a2−2)、又は式(a2−3):
式(a2−2)中、X−は1価のアニオンである。
式(a2−3)中、Ra5、Ra6、Ra7、及びRa8は、それぞれ独立に、単結合であるか、水酸基又はハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜3のアルキレン基であり、Ra9は水酸基又はホスホン酸基である。)
で表される化合物を1種以上含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。 - 第1液と、第2液とを両者が混合されていない状態で含み、
前記第1液が、(A1)樹脂と、(S1)含水溶媒とを含み、
前記(A1)樹脂が、アニオン性基及び/又はカチオン性基を有する水溶性の樹脂であって、水酸基、シアノ基、及びカルボキシ基からなる群より選択される1以上の基である官能基Iと、前記官能基I以外の親水性基である官能基IIとを有し、
前記官能基IIの前記親水性基が、下記式(a1):
−NH−R 1 ・・・(a1)
(式(a1)中、R 1 は、アミノ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、及び水酸基からなる群より選択される1以上の基で置換された炭素原子数1〜4のアルキル基、又は水素原子である。)
で表される基であり、
前記(A1)樹脂に含まれる全構成単位中の、前記官能基Iを有する構成単位の比率が0.1〜50モル%であり、前記官能基IIを有する構成単位の比率が50〜99.9モル%であり、
前記第1液における前記(A1)樹脂の含有量が0.1〜10質量%であり、
前記第2液が、(A2)イオン性化合物と、(S2)含水溶媒とを含み、
前記(A2)イオン性化合物が、カルボキシ基、ホスホン酸基、及び四級アンモニウム基から選択される1種以上を有する水溶性の非重合体化合物であり、かつ
前記第2液における前記(A2)イオン性化合物の含有量が0.1〜10質量%である、
被処理体の表面を親水化させるための表面処理液のセット。
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