JP2018159039A - 表面処理液、表面処理方法、陽イオン吸着体、陽イオン除去装置、及び陽イオン除去方法 - Google Patents

表面処理液、表面処理方法、陽イオン吸着体、陽イオン除去装置、及び陽イオン除去方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018159039A
JP2018159039A JP2017058289A JP2017058289A JP2018159039A JP 2018159039 A JP2018159039 A JP 2018159039A JP 2017058289 A JP2017058289 A JP 2017058289A JP 2017058289 A JP2017058289 A JP 2017058289A JP 2018159039 A JP2018159039 A JP 2018159039A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
cation
resin
surface treatment
treatment liquid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017058289A
Other languages
English (en)
Inventor
尊博 先崎
Takahiro Senzaki
尊博 先崎
拓也 野口
Takuya Noguchi
拓也 野口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd filed Critical Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd
Priority to JP2017058289A priority Critical patent/JP2018159039A/ja
Publication of JP2018159039A publication Critical patent/JP2018159039A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Filtering Materials (AREA)
  • Treatment Of Water By Ion Exchange (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】種々の材料の表面に、簡易な方法で陽イオン吸着能を付与することができる、特定の構造の樹脂を含む表面処理液と、当該表面処理液を用いる表面処理方法と、前述の特定の構造の樹脂が基材表面に付着している陽イオン吸着体と、当該陽イオン吸着体を備える陽イオン除去装置と、前述の陽イオン吸着体を用いる、陽イオンを含む液からの陽イオン除去方法とを提供すること。【解決手段】(A)樹脂と、(C)溶媒とを含む表面処理液において、(A)樹脂として、重量平均分子量が100,000以上であって、水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基からなる群より選択される1以上の基である官能基Iと、前記官能基I以外の親水性基である官能基IIとを有する樹脂を用いる。また、基材の表面に前述の(A)樹脂が付着した陽イオン吸着体を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、特定の構造の樹脂を含む表面処理液と、当該表面処理液を用いる表面処理方法と、前述の特定の構造の樹脂が基材表面に付着している陽イオン吸着体と、当該陽イオン吸着体を備える陽イオン除去装置と、前述の陽イオン吸着体を用いる、陽イオンを含む液からの陽イオン除去方法とに関する。
従来より、陽イオンを含む液体から、陽イオンを除去するために、種々のイオン交換樹脂やイオン交換膜について検討されている。
例えば、イオン交換膜については、一体強化重合体フィルムが芳香族成分でグラフトされた、カチオン交換基を有するイオン交換膜が提案されている(特許文献1)。
特開平11−300171号公報
しかしながら、従来知られる種々のイオン交換樹脂では、モノマーの選択肢に制限があることにより、機械的強度や耐熱性等の材料特性の選択の幅が狭い等の問題がある。
また、特許文献1に記載されるような、カチオン交換基を有する成分をグラフトして製造されるイオン交換膜については、グラフトされる主材がグラフト可能な化学構造である必要があることによって主材の選択肢が狭いことや、グラフトの操作が煩雑である等の問題がある。
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、種々の材料の表面に、簡易な方法で陽イオン吸着能を付与することができる、特定の構造の樹脂を含む表面処理液と、当該表面処理液を用いる表面処理方法と、前述の特定の構造の樹脂が基材表面に付着している陽イオン吸着体と、当該陽イオン吸着体を備える陽イオン除去装置と、前述の陽イオン吸着体を用いる、陽イオンを含む液からの陽イオン除去方法とを提供することを目的とする。
本発明者らは、(A)樹脂と、(C)溶媒とを含む表面処理液において、(A)樹脂として、重量平均分子量が100,000以上であって、水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基からなる群より選択される1以上の基である官能基Iと、前記官能基I以外の親水性基である官能基IIとを有する樹脂を用いることと、基材の表面に前述の(A)樹脂が付着した陽イオン吸着体を用いることとにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第一の態様は、被処理体の表面に陽イオン吸着能を付与するために用いられる表面処理液であって、
表面処理液は、(A)樹脂と、(C)溶媒とを含み、
(A)樹脂が、水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基からなる群より選択される1以上の基である官能基Iと、前記官能基I以外の親水性基である官能基IIとを有し、
ただし、官能基IIが水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基から選択される1以上の基を含む場合、(A)樹脂は官能基Iを有していなくてもよく、
(A)樹脂の重量平均分子量が100,000以上である、表面処理液である。
本発明の第二の態様は、被処理体の表面に陽イオン吸着能を付与するための表面処理方法であって、
第一の態様にかかる表面処理液の、被処理体の表面への塗布を含む、表面処理方法である。
本発明の第三の態様は、基材と、(A)樹脂とを含む陽イオン吸着体であって、
(A)樹脂が、基材の表面に付着しており、
(A)樹脂が、水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基からなる群より選択される1以上の基である官能基Iと、前記官能基I以外の親水性基である官能基IIとを有し、
ただし、官能基IIが水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基から選択される1以上の基を含む場合、前記(A)樹脂は官能基Iを有していなくてもよく、
(A)樹脂の重量平均分子量が100,000以上である、陽イオン吸着体である。
本発明の第四の態様は、陽イオンを含む液から陽イオンを除去するために用いられる陽イオン除去装置であって、
第三の態様にかかるイオン吸着体を備えるイオン除去装置である。
本発明の第五の態様は、陽イオンを含む液と、第三の態様にかかるイオン吸着体とを接触させることを含む、陽イオンを含む液からの陽イオン除去方法である。
本発明によれば、種々の材料の表面に、簡易な方法で陽イオン吸着能を付与することができる、特定の構造の樹脂を含む表面処理液と、当該表面処理液を用いる表面処理方法と、前述の特定の構造の樹脂が基材表面に付着している陽イオン吸着体と、当該陽イオン吸着体を備える陽イオン除去装置と、前述の陽イオン吸着体を用いる、陽イオンを含む液からの陽イオン除去方法とを提供することができる。
≪表面処理液≫
表面処理液(以下、単に処理液とも記す。)は、被処理体の表面に陽イオン吸着能を付与するために用いられる。表面処理液は、(A)樹脂と、(C)溶媒とを含む。
(A)樹脂は、水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基からなる群より選択される1以上の基である官能基Iと、官能基I以外の親水性基である官能基IIとを有する。なお、官能基IIが水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基から選択される1以上の基を含む場合には、(A)樹脂は官能基Iを有していなくてもよい。
また、表面処理液は、(B)強酸を含んでいてもよい。(B)強酸のpKaは1以下である。
処理液が、重量平均分子量が100,000以上であり、官能基Iを有する(A)樹脂を含むことにより、表面処理時に、(A)樹脂が、被処理体の表面に良好に結合ないし付着する。このため、被処理体の表面には、(A)樹脂が有する親水性の官能基IIが高効率で導入される。その結果、前述の条件を満たす(A)樹脂を含む処理液を用いて表面処理を行うと、被処理体の表面に(A)樹脂が良好に結合ないし付着することによって、被処理体の表面に陽イオン吸着能が付与される。
表面処理液により表面処理された被処理体により吸着される陽イオンは、種々のカチオンであってよく、金属イオン等の無機カチオンであっても、例えば、ピリジニウムカチオンのような含窒素複素環化合物のカチオンや、種々の四級アンモニウムイオン等が挙げられる。
特に、上記の表面処理液により表面処理された被処理体を用いると、金属イオンを良好に吸着することができる。
金属イオンの種類、価数等は特に限定されない。表面処理液により表面処理された被処理体により除去可能な金属イオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、チタニウムイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、マンガンイオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオン、銀イオン、ヒ素イオン、ストロンチウムイオン、ジルコニウムイオン、カドミウムイオン、錫イオン、バリウムイオン、及び鉛イオンが挙げられる。
以下、処理液に含まれる必須又は任意の成分について説明する。
<(A)樹脂>
(A)樹脂は、水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基からなる群より選択される1以上の基である官能基Iを有する。また、(A)樹脂の重量平均分子量が100,000以上である。かかる分子量を有する(A)樹脂を用いる場合、処理液による処理時に、官能基Iと非処理体表面との反応又は相互作用に起因して、(A)樹脂が被処理体表面に結合ないし付着しやすい。
(A)樹脂の重量平均分子量は、表面処理効果が良好である点から、200,000以上が好ましく、300,000以上がより好ましい。(A)樹脂が、後述する(C)溶媒に可溶である限りにおいて、(A)樹脂の重量平均分子量は1,000,000以上であってもよい。
(A)樹脂の重量平均分子量の上限は、(A)樹脂が(C)溶媒に可溶である限りにおいて特に限定されない。(A)樹脂の重量平均分子量は、例えば、5,000,000以下であってよく、3,000,000以下であってよい。
(A)樹脂は、官能基I以外の親水性基である官能基IIを有する。官能基IIは、陽イオンとの間に、電気的な相互作用、イオン結合の形成、配位結合の形成等の種々の相互作用を生じさせることにより、被処理体表面への陽イオン吸着能の付与に寄与する。
官能基IIの親水性基としては、従来から、当業者に親水性基であると認識されている官能基であれば特に限定されず、その中から適宜選択できる。
(A)樹脂の種類は、(A)樹脂が、所定の官能基を有し、且つ(C)溶媒に可溶である限り特に限定されない。(A)樹脂の例としては、(メタ)アクリル樹脂、ノボラック樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、及びシリコーン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂の中では、官能基の導入や、官能基を有する単位の含有比率の調整が容易である事から(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
親水性基の具体例としては、ポリオキシアルキレン基(例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、オキシエチレン基とオキシプロピレン基がブロック又はランダム結合したポリオキシアルキレン基等)、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基等があげられる。また、これらの基を含む有機基も親水性基として好ましい。
これらの親水性基の中でも、被処理体の表面に特に良好な陽イオン吸着能を付与しやすい点から、スルホン酸基やスルホン酸基を有する有機基のようなスルホン酸基含有基が好ましい。
(A)樹脂が、官能基IIとして、水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基を含む親水性基を有する場合、当該親水性基に含まれる水酸基、シアノ基、又はカルボキシル基は、官能基Iとしての役割も果たす。
このため、(A)樹脂が、官能基IIとして、水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基を含む親水性基を有する場合、(A)樹脂は、官能基Iを有していなくてもよい。
なお、水酸基、及びカルボキシル基を含む親水性基には、水酸基そのもの、及びカルボキシル基そのものが含まれる。
陽イオン吸着能の付与効果が優れる点で、親水性基としては、下記式(A1):
−NH−R・・・(A1)
(式(A1)中、Rは、スルホン酸基で置換された炭素原子数1〜4のアルキル基である。)
で表される基が好ましい。
式(A1)で表される親水性基中のRの具体例としては、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 2018159039
上記の式(A1)で表される親水性基中のRの具体例のうち、より好ましい基としては、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 2018159039
上記の式(A1)で表される親水性基中のRの具体例のうち、特に好ましい基としては、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 2018159039
(A)樹脂としては、種々の官能基を導入しやすく、官能基量の調整が容易である事から、不飽和結合を有する単量体の重合体であるのが好ましい。かかる重合体は、ホモポリマーであっても、コポリマーであってもよい。
この場合、(A)樹脂が有する官能基Iは、下式(A2):
CH=CR−(R−CO−R・・・(A2)
(式(A2)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは2価の炭化水素基であり、aは0又は1であり、Rは、−OH、−O−R、又は−NH−Rであり、Rは、水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基からなる群より選択される1以上の官能基で置換された炭化水素基である。)
で表される単量体に由来する基であるのが好ましい。
上記式(A2)中、Rは2価の炭化水素基である。2価の炭化水素基の炭素原子数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。(A)樹脂の入手や調製が容易である事から、Rとしての2価の炭化水素基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜10が特に好ましく、1〜6が最も好ましい。
としての2価の炭化水素基は、脂肪族基でも、芳香族基でも、脂肪族部分と芳香族部分とを含む炭化水素基であってもよい。2価の炭化水素基が、脂肪族基である場合、当該脂肪族基は、飽和脂肪族基でも不飽和脂肪族基でもよい。また、当該脂肪族基の構造は、直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でも、これらの構造の組み合わせであってもよい。
の好適な具体例としては、メチレン基、エタン−1,2−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、n−ブタン−1,4−ジイル基、n−ペンタン−1,5−ジイル基、n−ヘキサン−1,6−ジイル基、n−ヘプタン−1,7−ジイル基、n−オクタン−1,8−ジイル基、n−ノナン−1,9−ジイル基、n−デカン−1,10−ジイル基、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−2,7−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ビフェニル−4,4’−ジイル基等が挙げられる。
は、−OH、−O−R、又は−NH−Rであり、Rは、水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基からなる群より選択される1以上の官能基で置換された炭化水素基である。
の基の主骨格を構成する炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、又は環状の脂肪族基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
直鎖状、分岐鎖状、又は環状の脂肪族基の炭素原子数は1〜20が好ましく、1〜12がより好ましい。
直鎖状、又は分岐鎖状の脂肪族基の好適な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
環状の脂肪族基の好適な例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等のシクロアルキル基や、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、及びテトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基や、これらのポリシクロアルカンのC1−C4アルキル置換体から1個の水素原子を除いた基が挙げられる。
芳香族炭化水素基の好適な例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナントレニル基、及びビフェニリル基等が挙げられる。芳香族炭化水素基は、メチル基、エチル基等のC1−C4アルキル基で置換されていてもよい。
式(A2)で表される単量体に由来する単位の特に好ましい具体例としては、下記a2−1〜a2−9の単位が挙げられる。下記a2−1〜a2−9の単位の中では、a2−1〜a2−4の単位がより好ましい。
Figure 2018159039
また、(A)樹脂が、官能基IIとして親水性基を有する場合、官能基IIは下式(A3):
CH=CR−CO−NH−R・・・(A3)
(式(A3)中、Rは、スルホン酸基で置換された炭素原子数1〜4のアルキル基であり、Rは水素原子又はメチル基である。)
で表される単量体に由来するのが好ましい。
式(A3)中、Rについては、前述した通りである。
式(A3)で表される単量体に由来する、親水性基を有する単位の特に好ましい具体例としては、下記a3−1〜a3−9の単位が挙げられる。下記の単位の中では、a3−1〜a3−4の単位がより好ましく、a3−9の単位が特に好ましい。
Figure 2018159039
(A)樹脂が不飽和結合を有する単量体の重合体である場合、かかる重合体は、本発明の目的を阻害しない範囲で、前述の式(A2)で表される単量体に由来する単位、及び式(A3)で表される単量体に由来する単位以外のその他の構成単位を含んでいてもよい。
その他の構成単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸フェニル、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ペンチル(メタ)アクリルアミド、N−イソペンチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−ペンチル(メタ)アクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、及びクロルスチレン等の単量体に由来する構成単位が挙げられる。
(A)樹脂が不飽和結合を有する単量体の重合体である場合、かかる重合体に含まれる全構成単位中の式(A2)で表される単量体に由来する構成単位のモル比率は、0.1〜50モル%が好ましく、1〜20モル%がより好ましく、1〜15モル%が特に好ましい。
(A)樹脂が不飽和結合を有する単量体の重合体である場合、かかる重合体に含まれる全構成単位中の式(A3)で表される単量体に由来する構成単位のモル比率は、50〜99.9モル%が好ましく、60〜99モル%がより好ましく、70〜99モル%が特に好ましい。
ただし、式(A3)で表される単量体に由来する構成単位が水酸基、シアノ基、カルボキシル基のいずれか1つの基を含む場合、重合体に含まれる全構成単位中の式(A3)で表される単量体に由来する構成単位の比率は100%であってもよい。
処理液に含まれる(A)樹脂の量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、処理液の塗布性等を勘案して適宜定められる。典型的には、処理液中の(A)樹脂の量は、処理液中の(A)樹脂の量と、後述する(C)溶媒の量との関係は、以下の関係である量が好ましい。
処理液中の樹脂の質量を100質量部とする場合に、後述する(C)溶媒の量が100〜10000質量部であるのが好ましく、500〜8000質量部であるのがより好ましく、1000〜6000質量部であるのが特に好ましい。
<(B)強酸>
処理液は、(B)強酸を含んでいてもよい。(B)強酸のpKaは1以下である。なお、pKaは水中での値である。
(B)強酸は、(A)樹脂が有する官能基Iに作用することで、(A)樹脂の被処理体の表面への付着又は結合を促進させる。
(B)強酸の種類は、pKaが1以下である限り特に限定されない。(B)強酸としては、pKaが1以下である酸を2種以上組み合わせて用いることができる。
(B)強酸の好適な例としては、フッ素化脂肪族カルボン酸(例えばトリフルオロ酢酸等)、フルオロスルホン酸、炭素原子数1〜30のアルカンスルホン酸(例えばメタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸等)、アリールスルホン酸(例えばベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等)、炭素原子数1〜30のフルオロアルカンスルホン酸(例えばトリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸及びトリデカフルオロヘキサンスルホン酸)、ビススルホニルイミド化合物、2つのスルホニル基がフルオロアルキレン基で連結された環状スルホニルイミド化合物、及びN−アシルフルオロアルカンスルホン酸アミド等が挙げられる。
これらの(B)強酸が、フルオロアルキル基、又はフルオロアルキレン基を含む場合、これらの基は、部分的にフッ素化されたフルオロアルキル基、又はフルオロアルキレン基であってもよく、完全にフッ素化されたパーフルオロアルキル基、又はパーフルオロアルキレン基であってもよい。
これらの(B)強酸の中では、フルオロスルホン酸、炭素原子数1〜30のアルカンスルホン酸、炭素原子数1〜30のフルオロアルカンスルホン酸、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミド酸、2つのスルホニル基がフルオロアルキレン基で連結された環状スルホンイミド酸、及びN−アシルフルオロアルカンスルホン酸アミドが好ましく、炭素原子数1〜30のフルオロアルカンスルホン酸、ビススルホニルイミド化合物、2つのスルホニル基がフルオロアルキレン基で連結された環状スルホニルイミド化合物、及びN−アシルフルオロアルカンスルホン酸アミドが好ましい。
炭素原子数1〜30のフルオロアルカンスルホン酸としては、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、及びノナフルオロブタンスルホン酸等が好ましい。
ビススルホニルイミド化合物としては、下式(B1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2018159039
式(B1)中、X及びXは、それぞれ独立に、少なくとも1つの電子吸引性基で置換された炭化水素基を表す。炭化水素基は、式(B1)で表される化合物の強酸性が損なわれない範囲で、電子吸引性基以外の種々の基で置換されていてもよい。X及びXの炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜7が特に好ましい。
電子吸引性基で置換された炭化水素基としては、フッ素化アルキル基、ニトロ基を有するアリール基が好ましい。フッ素化アルキル基は、直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でもよい。フッ素化アルキル基は、完全にフッ素化されたパーフルオロアルキル基であるのが好ましい。ニトロ基を有するアリール基としては、o−ニトロフェニル基、m−ニトロフェニル基、及びp−ニトロフェニル基が好ましく、p−ニトロフェニル基がより好ましい。
式(B1)で表される化合物の好適な具体例としては、下式の化合物が挙げられる。
Figure 2018159039
2つのスルホニル基がフルオロアルキレン基で連結された環状スルホニルイミド化合物としては、下式(B2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2018159039
式(B2)中、Xは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。Xの炭素原子数は、2〜6が好ましく、3〜5がより好ましく、3が特に好ましい。
式(B2)で表される化合物の好適な具体例としては、下式の化合物が挙げられる。
Figure 2018159039
N−アシルフルオロアルカンスルホン酸アミドとしては、下式(B3)で表される化合物が好ましい。
Figure 2018159039
式(B3)中、Xは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す。Xの炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜7がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
は、炭化水素基である。炭化水素基について、前述のRの基の主骨格を構成する炭化水素基と同様である
式(B3)で表される化合物の好適な具体例としては、下式の化合物が挙げられる。
Figure 2018159039
処理液が(B)強酸を含む場合の処理液中の(B)強酸の含有量は、処理液による表面処理を良好に行うことが出来る限り特に限定されない。処理液中の(B)強酸の含有量は、(A)樹脂100質量に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましく、0.1〜5質量部が特に好ましい。
<(C)溶媒>
(C)溶媒は、(A)樹脂と、(B)強酸とが可溶である溶媒であれば特に限定されない。処理液中に、(A)樹脂と、(B)強酸とが、所定量溶解していれば、処理液は、溶解していない状態の(A)樹脂と、(B)強酸とを含んでいてもよい。(A)樹脂と、(B)強酸とは、処理液に完全に溶解しているのが好ましい。
処理液が、不溶物を含む場合、表面処理時に、被処理体の表面に不溶物が付着する場合がある。この場合、表面処理された被処理体の表面を、後述するような方法でリンスすることにより、被処理体の表面に付着する不溶物を除去することができる。
(C)溶媒は、水であっても、有機溶媒であっても、有機溶媒の水溶液であってもよい。
(C)溶媒として使用される有機溶媒の具体例としては、
ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;
ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホン、テトラメチレンスルホン等のスルホン類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド類;
N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシメチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン等のラクタム類;
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジイソプロピル−2−イミダゾリジノン等のイミダゾリジノン類;
ジメチルグリコール、ジメチルジグリコール、ジメチルトリグリコール、メチルエチルジグリコール、ジエチルグリコール、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル等のジアルキルグリコールエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸−i−プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸−i−ブチル、ぎ酸−n−ペンチル、酢酸−i−ペンチル、プロピオン酸−n−ブチル、酪酸エチル、酪酸−n−プロピル、酪酸−i−プロピル、酪酸−n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸−n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;
β−プロピロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−ペンチロラクトン等のラクトン類;
n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、メチルオクタン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン、2,2,4,4,6,8,8−ヘプタメチルノナン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の直鎖状、分岐鎖状、又は環状の脂肪族炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、1,3,5−トリメチルベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素類;
p−メンタン、ジフェニルメンタン、リモネン、テルピネン、ボルナン、ノルボルナン、ピナン等のテルペン類;等が挙げられる。
(C)溶媒が、水と有機溶媒との混合溶媒である場合、(C)溶媒中の有機溶媒の含有量は10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。
<その他の成分>
処理液は、本発明の目的を阻害しない範囲で、上記した(A)樹脂、及び(C)溶媒以外に、種々の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、前述の(B)強酸以外に、着色剤、界面活性剤、消泡剤、粘度調整剤等が挙げられる。
<処理液の調製方法>
処理液を調製する方法は特に限定されない。処理液は、典型的には、それぞれ所定量の(A)樹脂と、(C)溶媒と、必要に応じてその他の成分を、均一に混合することにより調製される。
以上説明した処理液は、種々の被処理体の表面に陽イオン吸着能を付与するための表面処理において好適に使用される。被処理体の好適な例や、処理液による処理方法等については、詳細に後述する。
≪表面処理方法≫
以上説明した表面処理液を用いて、被処理体の表面を処理することにより、被処理体の表面への陽イオン吸着能の付与を行う。表面処理方法は、通常、被処理体の表面への表面処理液の塗布を含む。表面処理液の塗布方法は特に限定されない。塗布方法の具体例としては、スピンコート法、スプレー法、ローラーコート法、浸漬法等が挙げられる。
被処理体の材質は特に限定されず、有機材料であっても、無機材料であってもよい。
有機材料としては、例えば、種々の樹脂材料が挙げられる。
無機材料としては、ガラス、シリコンや、銅、アルミニウム、鉄、タングステン等の種々の金属が挙げられる。金属は、合金であってもよい。
被処理体の材質としては、ポリイミド、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、セルロース、及びフッ素樹脂からなる群より選択される1種以上を含む材料が好ましい。
表面処理液による改質効果が特に良好であることから、被処理体の材質としては、ナイロン、及び/又はポリイミドを含む材料がより好ましく、ナイロン、及びポリイミドが特に好ましい。
前述の表面処理液により表面処理される面の材質は特に限定されないが、表面処理液が塗布される面の材質が有機材料である場合は、官能基Iとして水酸基及び/又はカルボキシル基を有する(A)樹脂を含む表面処理液を用いるのが好ましい。
表面処理液が塗布される面の材質が無機材料である場合は、官能基Iとして水酸基及び/又はシアノ基を有する(A)樹脂を含む表面処理液を用いるのが好ましい。
被処理体の形状は特に限定されない。被処理体は平坦な基板であってもよく、例えば、球状や、柱状等の立体形状であってもよい。また、被処理体の表面は、平滑であっても、規則的又は不規則な凹凸を有していてもよい。
後述するように、比表面積が大きい点等から、被処理体としては、粉体、ビーズ、ペレット等の粒子、チューブ、単繊維、撚糸等の複合繊維、及び多孔質材料等が好ましく、多孔質材料がより好ましい。
このような粒子や、多孔質材料の表面に、前述の表面処理液を均一に塗布しやすい点から、塗布方法としては浸漬が好ましい。
なお、表面処理液が張り込まれた槽への被処理体の浸漬に変えて、流動する表面処理液に被処理体をさらして、被処理体の表面に表面処理液を付着させてもよい。
被処理体が多孔質材料からなる場合、多孔質材料としては、例えば、スポンジのように多数の空孔を含む通気性の材料や、厚さ方向に貫通する多数の貫通孔を備えるフィルム又はシートや、多数の繊維が絡み合ったフェルト状の材料や、織布及び不織布等の布帛が挙げられる。
被処理体としては、前述の表面処理液で表面処理された被処理体を陽イオン吸着体として用いる場合に、取り扱いが容易であり、且つ、陽イオンを含む液と陽イオン吸着体との接触面積を稼ぎやすい点から、多孔質材料からなる膜であるのが好ましい。
被処理体が多孔質材料からなる膜である場合、当該膜の膜厚は特に限定されない。多孔質材料からなる膜の膜厚は、例えば、1μm〜100μmが好ましく、5μm〜60μmがより好ましく、10μm〜50μmが特に好ましい。
多孔質材料からなる膜は、材質に応じた周知の方法によって製造され得る。例えば、ポリイミドからなる多孔質フィルムは、例えば、国際公開2016/020101号公報や、国際公開2016/027825号公報に記載の方法により製造することができる。
表面処理液を、被処理体の表面に塗布した後は、必要に応じて塗布膜を加熱して(C)溶媒の少なくとも一部を除去してもよい。
被処理体上の表面処理液が塗布された箇所はリンスされるのが好ましい。前述の通り、重量平均分子量が100,000以上であり、所定の官能基を有する(A)樹脂を含む表面処理液を被処理体の表面に塗布すると、被処理体の表面に(A)樹脂が良好に付着又は結合する。しかし、被処理体の表面には、当該表面に付着又は結合していない(A)樹脂もある程度の量存在している。したがって、(A)樹脂の、被処理体の表面特性に与える影響を極力低減させるために、リンスにより、被処理体の表面に付着又は結合していない(A)樹脂を洗い流すのが好ましい。
表面処理液が(C)溶媒として水を含む場合、水によりリンスを行うのが好ましい。また、表面処理液が(C)溶媒として有機溶媒を含む場合、有機溶媒によりリンスを行うのも好ましい。有機溶媒によりリンスを行う場合、表面処理液に含まれる有機溶媒と同種の有機溶媒を用いるのが好ましい。
表面処理液の塗布後、又はリンス後に、被処理体の表面を乾燥させることにより、表面に陽イオン吸着能が付与された物品が得られる。
≪陽イオン吸着体≫
陽イオン吸着体は、基材と、(A)樹脂とを含む。(A)樹脂については、表面処理液について前述した通りである。
基材としては、表面処理方法において前述した被処理体を用いることができる。基材の好ましい材質や形状は、前述の表面処理方法において説明した、被処理体の材質や形状と同様である。
陽イオン吸着体において、基材に、(A)樹脂を付着させる方法は特に限定されない。通常、基材に、(A)樹脂を付着される方法としては、基材を、前述の表面処理方法によって表面処理する方法が挙げられる。
かかる陽イオン吸着体は、種々の陽イオンの吸着、特に金属イオンの吸着に良好に用いられる。
典型的には、陽イオンを含む液と、陽イオン吸着体とを接触させることによって、陽イオンを含む液から陽イオン除去することができる。
≪陽イオン除去装置≫
陽イオン除去装置は、陽イオンを含む液から陽イオンを除去するために用いられる。
陽イオン除去装置は、前述の陽イオン吸着体を備える。
陽イオンを含む液が、陽イオン吸着体と接触するように、陽イオン除去装置に陽イオンを含む液を供給することにより、液中の陽イオンを、陽イオン吸着体に吸着させることができる。
陽イオン除去装置は、通常、陽イオン吸着体と、陽イオンを含む液とを収容できる収容部を備える。収容部には、通常、陽イオンを含む液を収容部に導入するための給液口と、陽イオン吸着体と接触した後の液を収容部から排出するための排液口とが設けられる。
収容部における、給液口の数と、排液口の数とは、それぞれ、1つであっても、複数であってもよい。
収容部の容量は特に限定されず、陽イオンを含む液の処理量を勘案して適宜決定される。
例えば、収容部には、粉体、ビーズ、ペレット等の粒子状の陽イオン吸着体を充填してもよい。
また、チューブの内表面と外表面との双方に、陽イオンを含む液が接触可能であるように、チューブ状の陽イオン吸着体を同方向に並べて、収容部内に充填してもよい。
さらに、多孔質材料からなる膜を基材として備える陽イオン吸着体を用いる場合、膜状の陽イオン吸着体は、平面状で収容部に収容されてもよく、例えば、蛇腹状等の任意の形状に折り曲げられた状態で収容部に収容されてもよく、ロール状に巻かれた状態で収容部に収容されてもよい。膜状の陽イオン吸着体は、1枚単独で収容部に収容されてもよく、2枚以上組み合わせて収容に収容されてもよい。
また、膜状の陽イオン吸着体における一方の面から他方の面に、陽イオンを含む液が通液されるように、収容部内に膜状の陽イオン吸着体を保持するのも好ましい。
≪陽イオン除去方法≫
陽イオン除去方法は、陽イオンを含む液から陽イオンを除去する方法である。陽イオンは、液から完全に除去される必要はなく、少なくとも一部が除去されればよい。
陽イオンの除去は、陽イオンを含む液と、前述の陽イオン吸着体とを接触させることにより行われる。
例えば、陽イオンを含む液中に、粉体、ビーズ、ペレット等の粒子状の陽イオン吸着体を投入した後に攪拌することで、液中の陽イオンを除去することが可能である。
また、前述の膜状の陽イオン吸着体をメンブレンフィルターとして使用して、陽イオンを含む液をろ過することによっても、液中の陽イオンを除去することが可能である。
所望する量の陽イオンを含む液の処理が容易であったり、処理後の液と陽イオン吸着体との分離が容易であったりすることから、陽イオンを含む液からの陽イオンの除去は、前述の陽イオン除去装置を用いて行われるのが好ましい。
陽イオンを含む液と、陽イオン吸着体とを接触させる温度は、陽イオン吸着体に極端な熱劣化等が生じない温度で有れば特に限定されない。かかる温度としては、例えば、−50℃〜200℃程度であり、−30℃〜150℃が好ましく、−20℃〜100℃がより好ましく、−10℃〜50℃が特に好ましい。
また、陽イオンを含む液と、陽イオン吸着体とを接触させる時間も特に限定されない。陽イオンを含む液と陽イオン吸着体との接触時間は、0.01秒以上が好ましく、0.1秒以上がより好ましく、1秒以上が特に好ましい。接触時間の上限は特にないが、例えば、1時間や2時間程度である。
以上説明した方法によれば、陽イオンを含む液から、種々の陽イオンの吸着、特に金属イオンを良好に吸着除去することができる。
かかる方法による陽イオンの除去対処としては、半導体製造に用いられる溶剤、純水、洗浄液、及び種々の液状試薬;フォトレジスト組成物;種々の精密試験に用いられる溶剤、及び試薬;化学合成用の溶剤、及び試薬;生化学用試薬等が挙げられる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
下記構造の樹脂を1質量%含む水溶液を調製した。下記構造の樹脂の重量平均分子量は800,000であった。得られた、水溶液を表面処理液として用いた。下記構造式において、括弧の右下の数字は、樹脂中の各単位の割合(モル%)を表す。
Figure 2018159039
超高分子量ポリエチレンフィルター(除粒子孔径:20nm、CWAX0S1S3、Entegris社製)に上記の表面処理液400mLを通液させた後、60℃のオーブンで30分間乾燥させ、次いで、純水4000mLを通液させ、フィルターに固定化されていない樹脂を洗い流した。
次いで、金属標準液を添加していないOK73シンナー(東京応化工業株式会社製)400mLを、表面処理された超高分子量ポリエチレンフィルターに通液させて、フィルターを溶剤に馴染ませた。
その後に試験液を、表面処理された超高分子量ポリエチレンフィルターに通液させ、流れはじめの200mLを廃棄した後に金属イオン濃度測定用のサンプルを採取した。
試験液としては、金属標準液XSTC−622B(SPEX社製)が、各金属元素について濃度50質量ppbになるように添加されたOK73シンナー(東京応化工業株式会社製)を用いた。
採取された金属イオン濃度測定用のサンプルを用いて、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS)により、サンプル中の金属イオン量C(質量ppb)を測定した。
得られた金属イオン量Cの値を用いて、下記式:
金属イオン除去率(%)=100−C(質量ppb)/50(質量ppb)×100
に従って、表1に記載の各金属イオンについて金属イオン除去率(%)を算出した。
金属イオン除去率を、表1に記す。
Figure 2018159039
〔実施例2〕
表面処理液として、実施例1で用いた表面処理液を用いた。
多孔質ポリイミドフィルム(Φ47mm)を、表面処理液に60行間浸漬した後、80℃のオーブンで5分間乾燥させ、次いで純水で洗浄した。洗浄後の多孔質ポリイミドフィルムをPFAフィルターホルダー(Advantec社製)に取り付けた後、純水500mLを通液させ、多孔質ポリイミドフィルムに固定化されていない樹脂を洗い流した。
次いで、金属標準液を添加していないOK73シンナー(東京応化工業株式会社製)200mLを、表面処理された多孔質ポリイミドフィルムに通液させて、フィルムを溶剤に馴染ませた。
その後に試験液を、表面処理された多孔質ポリイミドフィルムに通液させ、流れはじめの20mLを廃棄した後に金属イオン濃度測定用のサンプルを採取した。
試験液としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、及びバナジウムイオン、銀イオンを含まないことと、ヒ素イオン、ストロンチウムイオン、及びジルコニウムイオンを含むこととの他は、実施例1と同様の液を用いた。
採取された金属イオン濃度測定用のサンプルを用いて、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS)により、サンプル中の金属イオン量C(質量ppb)を測定した。
得られた金属イオン量Cの値を用いて、実施例1と同様にして、表1に記載の各金属イオンについて金属イオン除去率(%)を算出した。
金属イオン除去率を、表2に記す。
〔比較例1〕
実施例2で用いた多孔質ポリイミドフィルム(Φ47mm)を、表面処理せずに、実施例2と同様の金属イオン除去の試験に用いた。試験で採取された金属イオン濃度用のサンプルを、実施例2と同じ方法で分析し、実施例2と同様に各金属イオンについての除去率を評価した。金属イオン除去率を表2に記す。
Figure 2018159039
実施例1及び2によれば、水酸基である官能基Iと、親水性基であるスルホン酸基含有基を官能基IIとして有し、重量平均分子量が100,000以上である、(A)樹脂を含む表面処理液を用いて、超高分子量ポリエチレンやポリイミド等からなる被処理体を表面処理することにより、被処理体に金属イオン等の陽イオン吸着能が付与されることが分かる。
また、未処理の多孔質ポリイミドフィルムを用いた比較例1では、各金属イオンが、ほとんど除去されなかったのに対して、所定の構造と分子量とを有する(A)樹脂を含む表面処理液で処理された多孔質ポリイミドフィルムを用いた実施例2では良好に金属イオンが除去されたことから、多孔質ポリイミドフィルムへの金属イオン除去能の付与は、(A)樹脂がもたらした効果であることが分かる。

Claims (19)

  1. 被処理体の表面に陽イオン吸着能を付与するために用いられる表面処理液であって、
    前記表面処理液は、(A)樹脂と、(C)溶媒とを含み、
    前記(A)樹脂が、水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基からなる群より選択される1以上の基である官能基Iと、前記官能基I以外の親水性基である官能基IIとを有し、
    ただし、前記官能基IIが水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基から選択される1以上の基を含む場合、前記(A)樹脂は前記官能基Iを有していなくてもよく、
    前記(A)樹脂の重量平均分子量が100,000以上である、表面処理液。
  2. 前記官能基IIとして、スルホン酸基含有基を含む、請求項1に記載の表面処理液。
  3. 前記官能基IIの前記親水性基が、下記式(A1):
    −NH−R・・・(A1)
    (式(A1)中、Rは、スルホン酸基で置換された炭素原子数1〜4のアルキル基である。)
    で表される基である、請求項2に記載の表面処理液。
  4. 前記官能基Iが、下式(A2):
    CH=CR−(R−CO−R・・・(A2)
    (式(A2)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは2価の炭化水素基であり、aは0又は1であり、Rは、−OH、−O−R、又は−NH−Rであり、Rは、水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基からなる群より選択される1以上の官能基で置換された炭化水素基である。)
    で表される単量体に由来する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面処理液。
  5. 前記官能基IIが、下式(A3):
    CH=CR−CO−NH−R・・・(A3)
    (式(A3)中、Rは、スルホン酸基で置換された炭素原子数1〜4のアルキル基であり、Rは水素原子又はメチル基である。)
    で表される単量体に由来する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面処理液。
  6. 前記陽イオンが金属イオンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面処理液。
  7. 被処理体の表面に陽イオン吸着能を付与するための表面処理方法であって、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の前記表面処理液の、被処理体の表面への塗布を含む、表面処理方法。
  8. 前記被処理体が、多孔質材料である、請求項7に記載の表面処理方法。
  9. 前記被処理体が、前記多孔質材料からなる膜である、請求項7に記載の表面処理方法。
  10. 前記被処理体が、ポリイミド、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、セルロース、及びフッ素樹脂からなる群より選択される1種以上を含む、請求項7〜9のいずれか1項に記載の表面処理方法。
  11. 基材と、(A)樹脂とを含む陽イオン吸着体であって、
    前記(A)樹脂が、前記基材の表面に付着しており、
    前記(A)樹脂が、水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基からなる群より選択される1以上の基である官能基Iと、前記官能基I以外の親水性基である官能基IIとを有し、
    ただし、前記官能基IIが水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基から選択される1以上の基を含む場合、前記(A)樹脂は前記官能基Iを有していなくてもよく、
    前記(A)樹脂の重量平均分子量が100,000以上である、陽イオン吸着体。
  12. 前記(A)樹脂が、前記官能基IIとして、スルホン酸基含有基を含む、請求項11に記載の陽イオン吸着体。
  13. 前記基材が多孔質材料である、請求項11又は12に記載の陽イオン吸着体。
  14. 前記基材が、前記多孔質材料からなる膜である、請求項13に記載の陽イオン吸着体。
  15. 前記基材が、ポリイミド、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、セルロース、及びフッ素樹脂からなる群より選択される1種以上を含む、請求項11〜14のいずれか1項に記載の陽イオン吸着体。
  16. 前記陽イオンが金属イオンである、請求項11〜15のいずれか1項に記載の陽イオン吸着体。
  17. 陽イオンを含む液から陽イオンを除去するために用いられる陽イオン除去装置であって、
    請求項11〜16のいずれか1項に記載の前記陽イオン吸着体を備える、陽イオン除去装置。
  18. 陽イオンを含む液と、請求項11〜16のいずれか1項に記載の前記陽イオン吸着体とを接触させることを含む、陽イオンを含む液からの陽イオン除去方法。
  19. 前記陽イオンを含む前記液と、前記陽イオン吸着体との接触を、請求項17に記載の陽イオン除去装置を用いて行う、請求項18に記載の陽イオン除去方法。
JP2017058289A 2017-03-23 2017-03-23 表面処理液、表面処理方法、陽イオン吸着体、陽イオン除去装置、及び陽イオン除去方法 Pending JP2018159039A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017058289A JP2018159039A (ja) 2017-03-23 2017-03-23 表面処理液、表面処理方法、陽イオン吸着体、陽イオン除去装置、及び陽イオン除去方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017058289A JP2018159039A (ja) 2017-03-23 2017-03-23 表面処理液、表面処理方法、陽イオン吸着体、陽イオン除去装置、及び陽イオン除去方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018159039A true JP2018159039A (ja) 2018-10-11

Family

ID=63796390

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017058289A Pending JP2018159039A (ja) 2017-03-23 2017-03-23 表面処理液、表面処理方法、陽イオン吸着体、陽イオン除去装置、及び陽イオン除去方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018159039A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018095756A (ja) * 2016-12-14 2018-06-21 東京応化工業株式会社 表面処理液、及び親水化処理方法
EP3738923A1 (en) 2019-05-13 2020-11-18 Tokyo Ohka Kogyo Co., Ltd. Method for manufacturing flow path device

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018095756A (ja) * 2016-12-14 2018-06-21 東京応化工業株式会社 表面処理液、及び親水化処理方法
EP3738923A1 (en) 2019-05-13 2020-11-18 Tokyo Ohka Kogyo Co., Ltd. Method for manufacturing flow path device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7039740B2 (ja) チオール-エン又はチオール-インクリック重合反応により形成されたクロマトグラフィー膜
TW397853B (en) Method of modifying at least a part of the surface of a polymer and its uses
JP6890610B2 (ja) 薬液、薬液収容体、パターン形成方法、及び、キット
JP2018159039A (ja) 表面処理液、表面処理方法、陽イオン吸着体、陽イオン除去装置、及び陽イオン除去方法
Han et al. A method to modify PVDF microfiltration membrane via ATRP with low-temperature plasma pretreatment
JP7043222B2 (ja) 表面処理液、及び表面処理方法
EP3553147B1 (en) Surface treatment liquid and surface treatment method
EP3147334B1 (en) Surface treatment liquid
JP6761713B2 (ja) 表面処理液
JP6954738B2 (ja) 親水化処理方法、及び表面処理液のセット
CN106119820A (zh) 一种利用可控接枝技术提高材料表面血液相容性的方法
JP7233358B2 (ja) 表面処理液、及び表面処理方法
EP3219400B1 (en) Surface treatment method, anti-static agent, and hydrophilizing treatment agent
KR20190049530A (ko) 표면 처리 방법, 표면 처리액, 및 표면 처리된 물품
JP7289718B2 (ja) 流路デバイスの製造方法
JP2018177975A (ja) 洗浄用組成物および処理方法
JP7017436B2 (ja) 表面処理方法、表面処理液、及び表面処理された物品
US20220096978A1 (en) Method for producing an organic solvent
JP6853030B2 (ja) 表面処理液、及び親水化処理方法
Yamada et al. Adsorption and desorption properties of grafted polyethylene films modified with polyethylenimine chains
WO2020090248A1 (ja) 表面処理液、表面処理方法、及び表面処理されたロール状シートの製造方法
JPH0710998A (ja) 親水性多孔膜の製造方法
JPWO2019049734A1 (ja) 新規ポリエチレングリコール誘導体および蛋白質吸着抑制剤
Kan et al. Boronate Complex Formation with Dopa Containing Mussel Adhesive Protein Retards pH

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191209

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200908

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201006

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201118

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210309