JP6954046B2 - 伸張シートの基材の評価方法 - Google Patents

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本発明は、生鮮食品や割れ物等の包装材などとして使用可能な伸張シートの基材の評価方法に関するものである。
果実、野菜等の生鮮食品や、瀬戸物、ガラス等の割れやすい製品の包装には、緩衝材を有する収納容器が使用されている。
この種の収納容器として、特許文献1には、非伸縮性の基材に切込みを付与することで形成した伸張シートを有する収納容器が開示されている。
特開2016−155601号公報
しかしながら、特許文献1に記載された収納容器では、基材について様々な材料を挙げて適宜選択可能となっているが、各材料毎に切込みを形成した基材を試作して落下試験等を行う必要があり、基材の評価に手間が掛かるという問題があった。
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、基材の評価を簡便に行える伸張シートの基材の評価方法を提供することを目的とする。
[1] 切込みで形成されたカットパターンを有し、前記切込みで分離して伸張可能な基材を備え、前記基材は、幅方向の両端部から離間して配置され幅方向に延びる長さ45mmの線状の切欠部が形成された前記幅方向の長さ50mmの当該基材の試験片を、試験速度100mm/minで長さ方向に引張試験を行ったときに測定された引張エネルギー吸収量が10J/m以上の強度を有する、伸張シート。
[2] 前記基材は、不織布で形成されている、[1]記載の伸張シート。
[3] 前記基材は、合成紙と布材とが貼合された貼合材で形成されている、[1]記載の伸張シート。
[4] 前記合成紙は、ポリプロピレン樹脂を主原料とするフィルム法合成紙である、[3]記載の伸張シート。
[5] 前記布材は、ポリエステルクロスである、[3]または[4]記載の伸張シート。
[6] 空洞を囲む基板で形成され収納容器であって、前記基板の一部は、[1]から[5]のいずれか一項に記載の伸張シートである、収納容器。
本発明では、基材の評価を簡便に行える伸張シート及び収納容器を提供することが可能になる。
本発明の実施の形態を示す図であって、伸張シート50の平面図である。 基材51と同一の材料で形成した試験片51Sを用いた引張試験を説明するための図である。 基材51と同一の材料で形成した試験片51Sを用いた引張試験を説明するための図である。 本発明の実施の形態を示す図であって、伸張シート50を用いた収納容器1の分解斜視図である。 収納容器1を長辺方向を含む面で切断した断面図である。
以下、本発明の伸張シート及び収納容器の実施の形態を、図1ないし図5を参照して説明する。
[伸張シート]
まず、図1を参照して伸張シートの第1実施形態について説明する。
図1は、伸張シート50の平面図である。
図1に示すように、伸張シート50は、平面視矩形状の基材51に形成された複数のカットパターンCPを有している。基材51は、一例として、非伸縮性のシートである。基材51は、例えば、紙、合成紙、プラスチックフィルム、織布、不織布、金属薄膜等により形成されている。
なお、以下の説明では、矩形状の基材51の長辺方向をX方向とし、短辺方向をY方向とし、X方向及びY方向と直交する基材51の厚さ方向をZ軸方向として適宜説明する。
カットパターンCPは、いずれも直線状に延びる第1切込みCP1と第2切込みCP2とが交差して十字状に形成されている。第1切込みCP1と第2切込みCP2とはそれぞれの中点で直交して交差している。すなわち、第1切込みCP1と第2切込みCP2とは、交差角度90度で交差している。また、第1切込みCP1及び第2切込みCP2は、それぞれX軸に対して45度の角度で交差している。第1切込みCP1及び第2切込みCP2は、それぞれ中点からの長さL(すなわち、全長2×L)で形成され基材51を貫通している。
上記構成の伸張シート50の製造方法としては特に限定はないが、基材51を所定のパターンでカットパターンCPを打ち抜き加工することが好ましい。打ち抜きの装置としては、平板型の打ち抜き装置の他、ローラー型の打ち抜き装置を用いてもよい。
また、基材をレーザー加工することにより、製造してもよい。
上記構成の伸張シート50においては、収納物を載置した際に、収納物の自重に応じて第1切込みCP1及び第2切込みCP2が開くことにより、カットパターンCPが配置された領域の表面積が広がる。その結果、伸張シート50は、中央部が下方に膨出して伸張し宙吊り状態で収納物を保持(収納)できる。
上記の伸張シート50において、基材50の強度が小さい場合には、振動等によって伸張シート50が破れることで収納物が落下して損傷する事態が生じる可能性がある。
そこで、本実施形態においては、カットパターンCPを形成した基材51を用いた落下試験等を実施することなく、切欠部を有する基材51の試験片に対して引張試験を行うことで基材51の強度を評価する。
具体的には、図2に示されるように、基材51と同一の材料で形成した試験片51Sを用いて引張試験を実施する。試験片51Sは、長さLが100mm、幅W1が50mmの矩形状である。試験片51Sは、長さ方向の中央部分に幅方向に延びる長さW2が45mmの線状の切欠部52を有している。切欠部52は、試験片51Sにおける幅方向の両端部から離間して配置されている。
試験片51Sに対しては、長さ方向の両端をつかみ具53で掴み試験速度100mm/minで試験片51Sに対して引張荷重を付与し、図3に示すように、試験片51Sを破断させる。この引張試験においては、引張エネルギー吸収量を測定する。切欠部52付きの試験片51Sに対して引張試験を行って測定される引張エネルギー吸収量としては、10J/m以上であることが好ましい。上記試験片51Sの引張エネルギー吸収量が10J/m以上である基材51の場合、振動が加わった際の振幅が大きくなり収納物が底部あるいは蓋部に衝突して損傷する等の事態が生じない強度を有することを見いだした。
[実施例]
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施例1〜2、比較例1〜4)
[表1]に示される各例の基材材料について、引張強度、破断伸び、引裂強度を測定した。引張強度及び破断伸びは、JIS P8113で規定される試験により測定した。引裂強度は、エルメンドルフ引裂法(JIS P8116)により測定した。また、[表1]に示される各例の基材材料について、長さW2の切欠部52が形成された上記長さL、幅W2の各例の試験片51Sを作製した。試験片51Sをつかみ具53で掴み試験速度100mm/minで引張荷重を付与し、試験片51Sを破断させたときの引張エネルギー吸収量をそれぞれ測定した。
実施例1における不織布として、ポリエステル不織布を用いた。比較例1における不織布として、パルプとレーヨンから成る不織布を用いた。比較例2における包装紙として、軽包装用未晒クラフト紙(未晒軽包装用紙)を用いた。実施例2では合成紙として、ポリプロピレン樹脂を主原料とするフィルム法合成紙(ユポ紙;株式会社ユポ・コーポレーション製)を用い、布材としてポリエステルクロスを用い、合成紙と布材とが貼合して形成された貼合材を用いた。比較例4では上記の合成紙とポリエステル不織布の貼合材を用いた。
(落下試験)
上記各例の試験片51Sの材質に対応する伸張シートを天面に貼設し、当該伸張シートにブドウ又はブドウを模したダミー(重量:500g)を収納した包装箱を落下試験機を用いて高さ23cmから自由落下させた際の最大振幅(mm)を測定するとともに、上記の自由落下を繰り返した。伸張シートが破れてブドウ又はブドウを模したダミーが包装箱の底部に接触するまでに要する自由落下回数を計数した。
(落下試験の評価)
宅配便等による配送時には、包装箱の積み降ろしの際に大きな荷重が包装箱に加わることが判明しており、通常の配送では最大10回程度の積み降ろしが生じることを想定し、ブドウ又はブドウを模したダミーが包装箱の底部に接触するまでの自由落下回数が20回未満を×とし、20回以上を○とした。
Figure 0006954046
[表1]に示されるように、引張エネルギー吸収量が10J/m以上である実施例1及び実施例2は、落下試験について良好な結果が得られた。伸張シートの強度に関する物性としては、引裂強度が推測されたが、実施例1及び実施例2と同等の引裂強度を示す引例4の落下試験結果は良好ではなかった。
切欠部52を有する試験片51Sに対して引張試験を実施して得られた引張エネルギー吸収量、引裂強度及び各例の試験片51Sの材質に対応する伸張シートを用いた落下試験の結果から、試験片51Sの引張エネルギー吸収量が10J/m以上であれば良好な強度を有する基材51であると評価できることを確認できた。
[伸張シートを用いた収納容器]
次に、上記の伸張シート50を用いた収納容器について、図4及び図5を参照して説明する。これらの図において、図1に示した実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
図4は、収納容器1の分解斜視図である。
収納容器1は、外トレー10、内枠30及び伸張シート50を備えている。内枠30は、外トレー10の内部に上方から装着される。伸張シート50は、内枠30の上端側に貼付される。外トレー10及び内枠30は、例えば、段ボールのブランクシートを折り曲げることによりそれぞれ作製される。図4において、伸張シート50は、内枠30に貼設されて縁部が折り曲げられた状態が示されている。
外トレー10は、平面視矩形状の底壁部11、及び底壁部11の各端縁から上方に延びる側壁部12A、12Bを備えている。側壁部12Aは、底壁部11の長辺方向で対向している。側壁部12Bは、底壁部11の短辺方向で対向している。側壁部12Aは、上方に突出する突出壁13をそれぞれ有している。突出壁13は、側壁部12Aの中央部側に局所的に設けられている。
内枠30は、角筒状に形成されている。内枠30は、側壁部31A、31Bと、連結壁32とを有している。側壁部31A、31Bは、互いに交差して矩形に配置されている。側壁部31Aは、長辺方向で対向している。側壁部31Aは、後述する側板43、44の重ね合わせを保持する保持部34を有している。
側壁部31Bは、短辺方向で対向している。連結壁32は、隣り合う側壁部31Aと側壁部31Bとの各交差部にそれぞれ配置されている。連結壁32は、隣り合う側壁部31A、31Bの上端同士を局所的に連結する。連結壁32は、側壁部31A、31Bの各上端の一部を一辺とし、側壁部31A及び側壁部31Bを繋ぐ線分を斜辺とする平面視で直角三角形状の板状に形成されている。
内枠30は、下端側については、側壁部31A、31Bに囲まれた矩形状に開口している。内枠30は、上端側については、側壁部31A、31Bの各上端と連結壁32の上記斜辺とに囲まれた略八角形の開口部33を有している。
内枠30における長辺方向の最大幅は、外トレー10における側壁部12A間の距離(すなわち、外トレー10における内部空間の長辺方向の距離)よりも小さい。内枠30における短辺方向の最大幅は、外トレー10における側壁部12B間の距離(すなわち、外トレー10における内部空間の短辺方向の距離)よりも小さい。従って、内枠30は、外トレー10の内部空間に挿入して装着される。内枠30における側壁部31A、31Bの高さは、外トレー10の内部空間の深さ以下に設定されている。外トレー10における突出壁13の上端の位置は、外トレー10の内部空間に装着された内枠30の側壁部31A、31Bの高さよりも上側に設定されている。
伸張シート50は、内枠30における側壁部31A、31Bの上端及び連結壁32の上面と、各側壁部31A、31Bの上端側の外面を覆い、且つ側壁部31A、31Bの外側の側面に貼付可能な大きさに形成されている。伸張シート50は、一例として、各側壁部31A、31Bの外側の側面においてホットメルトによって接着固定されている。伸張シート50の固定手段としては、両面テープ等の他の手段を用いてもよい。
上記構成の収納容器1は、伸張シート50が貼設された側を上方に向けた内枠30が外トレー10の内部に上方から装着されて形成される。
図5は、収納容器1を長辺方向を含む面で切断した断面図である。
図5に示すように、収納容器1においては、伸張シート50に収納対象物Fが宙吊り状態で収納されている。
本実施形態の収納容器1においては、上述した伸張シート50が貼設されているため、基材51が緩衝材として十分な強度を発現することができる。また、本実施形態の収納容器1においては、伸張シート50の貼付面よりも上方に突出した突出壁13が長辺方向の両側に配置されているため、突出壁13が衝立となって収納対象物Fの移動(滑り)を阻止できる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態で説明した基材51の材質は一例であり、引張エネルギー吸収量が上述した範囲であれば他の材質を選択してもよいが、合成紙と布材との貼合材を用いることがより好ましい。
1M、100…収納容器、 50…伸張シート、 51…基材、 51S…試験片、 52…切欠部、 CP…カットパターン、 CP1、CP2…切込み

Claims (5)

  1. 切込みで形成されたカットパターンを有し、前記切込みで分離して伸張可能な基材を備えた伸張シートの基材の落下時の引張強度を評価する方法であって、
    前記基材と同一の材料で形成し前記カットパターンが形成されていない試験片であって、幅方向の両端部から離間して配置され幅方向に延びる長さ45mmの線状の切欠部が形成された前記幅方向の長さ50mmの前記試験片を、試験速度100mm/minで長さ方向に引張試験を行うことと、
    前記引張試験で引張エネルギー吸収量を測定することと、
    測定された引張エネルギー吸収量が10J/m以上の強度を有するか否かを確認することと、を含む、伸張シートの基材の評価方法。
  2. 前記基材は、不織布で形成されている、請求項1記載の伸張シートの基材の評価方法。
  3. 前記基材は、合成紙と布材とが貼合された貼合材で形成されている、請求項1記載の伸張シートの基材の評価方法。
  4. 前記合成紙は、ポリプロピレン樹脂を主原料とするフィルム法合成紙である、請求項3記載の伸張シートの基材の評価方法。
  5. 前記布材は、ポリエステルクロスである、請求項3または4記載の伸張シートの基材の評価方法。
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