JP6953604B1 - アスコルビン酸化合物含有組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで本発明は、従来とは異なる方法で、アスコルビン酸および/またはその誘導体(本発明ではこれらを「アスコルビン酸化合物」と総称する)を含有する組成物について、当該アスコルビン酸化合物の経時的変色を抑制することを課題とする。具体的には、本発明は、アスコルビン酸化合物の経時的変色が抑制されたアスコルビン酸化合物含有組成物、及びその製造方法を提供することを課題とする。また、本発明は、アスコルビン酸化合物含有組成物の変色を抑制する方法を提供することを課題とする。
(I)アスコルビン酸化合物含有組成物
(I−1)(A)アスコルビン酸化合物(以下、単に「(A)成分」と称する場合がある)、および
(B)(B1)一般式[B1]で示されるアクリル酸エステル:
(B2)一般式[B2]で示されるアクリル酸:
を構成成分とし、前記アクリル酸エステル(B1)と前記アクリル酸(B2)との割合(モル比)が、(B1)/(B2)=2:98〜6:94であるアクリル酸エステル/アクリル酸共重合体(以下、これを単に「(B)成分」または「(B)アクリル酸エステル(B1)/アクリル酸(B2)共重合体」と称する場合がある)
を含有する組成物
(但し、さらに寒天、水溶性セルロース、グルコマンナン、およびサクシノグリカンからなる群より選択される少なくとも一種の水溶性化合物を含有する増粘組成物を除く)。
(I−2)(A)アスコルビン酸化合物、
(B)アクリル酸エステル(B1)/アクリル酸(B2)共重合体、および
(C)シクロデキストリン化合物(単に「(C)成分」と称する場合がある)
を含有する組成物。
(I−3)前記(B)アクリル酸エステル(B1)/アクリル酸(B2)共重合体が、さらに(B3)エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を構成成分として含むものである、(I−1)または(I−2)に記載する組成物。
(I−4)(A)成分の含有量が0.1〜10質量%、(B)成分の含有量が3質量%未満である、(I−1)〜(I−3)のいずれか一項に記載する組成物。
(I−5)前記(C)成分の含有量が0.05〜10質量%である、(I−2)〜(I−4)のいずれか一項に記載する組成物。
(I−6)前記組成物が、pH4.5〜8.5の範囲にある、液状、乳液状、ゲル状、フォーム状またはクリーム状のいずれかの形状を有する外用組成物である、(I−1)〜(I−5)のいずれか一項に記載する組成物。
(I−7)(A)成分100質量部に対する(B)成分の割合が1〜3000質量部である、(I−1)〜(I−6)のいずれか一項に記載する組成物。
(I−8)(A)成分100質量部に対する(C)成分の割合が1〜5000質量部である、(I−2)〜(I−7)のいずれか一項に記載する組成物。
(II−1)アスコルビン酸化合物の経時的変色が抑制されたアスコルビン酸化合物含有組成物を調製する方法であって、
(A)アスコルビン酸化合物、および(B)アクリル酸エステル(B1)/アクリル酸(B2)共重合体を配合する工程を有する、前記調製方法
(但し、前記アスコルビン酸化合物含有組成物から、寒天、水溶性セルロース、グルコマンナン、およびサクシノグリカンからなる群より選択される少なくとも一種の水溶性化合物を含有する増粘組成物は除く)。
(II−2)アスコルビン酸化合物の経時的変色が抑制されたアスコルビン酸化合物含有組成物を調製する方法であって、
(A)アスコルビン酸化合物、(B)アクリル酸エステル(B1)/アクリル酸(B2)共重合体、および(C)シクロデキストリン化合物を配合する工程を有する、前記調製方法。
(II−3)前記(B)アクリル酸エステル(B1)/アクリル酸(B2)共重合体が、さらに(B3)エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を構成成分として含むものである、(II−1)または(II−2)に記載する調製方法。
(II−4)アスコルビン酸化合物含有組成物中の(A)成分の含有量が0.1〜10質量%であって、(B)成分の配合量が3質量%未満である、(II−1)〜(II−3)のいずれか一項に記載する調製方法。
(II−5)前記(C)成分の配合量が0.05〜10質量%である、(II−2)〜(II−4)のいずれか一項に記載する調製方法。
(II−6)さらに、アスコルビン酸化合物含有組成物を、pH4.5〜8.5の範囲にある、液状、乳液状、ゲル状、フォーム状またはクリーム状のいずれかの形状に調製する工程を有する、(II−1)〜(II−5)のいずれか一項に記載する調製方法。
(II−7)アスコルビン酸化合物含有組成物中の(A)成分100質量部に対して、(B)成分を1〜3000質量部の割合で配合する、(II−1)〜(II−6)のいずれか一項に記載する調製方法。
(II−8)アスコルビン酸化合物含有組成物中の(A)成分100質量部に対して、(C)成分を1〜5000質量部の割合で配合する、(II−2)〜(II−7)のいずれか一項に記載する調製方法。
(III−1)アスコルビン酸化合物含有組成物のアスコルビン酸化合物に起因する経時的変色を抑制する方法であって、前記組成物において
(A)アスコルビン酸化合物と、(B)アクリル酸エステル(B1)/アクリル酸(B2)共重合体とを共存させる工程を有する、前記経時的変色抑制方法。
(III−2)さらに(C)シクロデキストリン化合物を共存させる工程を有する、(III−1)に記載する経時的変色抑制方法。
本発明のアスコルビン酸化合物含有組成物(以下、単に「本発明組成物」と称する場合がある)は、少なくとも(A)アスコルビン酸化合物、および(B)アクリル酸エステル(B1)/アクリル酸(B2)共重合体を含有する。当該本組成物は、さらに(C)シクロデキストリン化合物を含有していてもよい。以下、これらの成分について説明する。
本発明で(A)成分として使用するアスコルビン酸化合物には、アスコルビン酸、及びアスコルビン酸誘導体が含まれる。アルコルビン酸としては、好ましくはL−アルコルビン酸を挙げることができる。アスコルビン酸誘導体には、アスコルビン酸の2位の水酸基がリン酸エステル化されたアスコルビン酸−2−リン酸やその塩(例えば、アスコルビン酸リン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウムなど)、アスコルビン酸2−グルコシド、及び3−O−エチルアスコルビン酸等(以上、水溶性アスコルビン酸誘導体);アスコルビン酸−2リン酸−6パルミチン酸やその塩(例えばパルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウムなど)、及びグリセリルオクチルアスコルビン酸等(以上、両親媒性アスコルビン酸誘導体);並びにアスコルビン酸モノステアレート、アスコルビン酸モノパルミテート、アスコルビン酸ジパルミテート、アスコルビン酸テトライソパルミテート等のアスコルビン酸の高級脂肪酸エステル(以上、脂溶性アスコルビン酸誘導体)が含まれる。アスコルビン酸誘導体のなかで好ましくは、水溶性及び両親媒性アスコルビン酸誘導体であり、より好ましくは水溶性アスコルビン酸誘導体である。
これらのアスコルビン酸及びその誘導体は、(A)成分として1種単独で、または2種以上を任意に組み合わせて使用することができる。
本発明で(B)成分として用いるアクリル酸エステル/アクリル酸共重合体(以下、単に「(B)成分」とも称する)は、一般式[B1]で示されるアクリル酸エステル、および一般式[B2]で示されるアクリル酸を構成成分とし、上記アクリル酸エステル(B1)と上記アクリル酸(B2)との割合(モル比)が、(B1)/(B2)=2:98〜6:94であることを特徴とするものである。
一般式[B2]で示されるアクリル酸:
このような化合物(B3)の具体例としては、例えば、一般式[B3−1]、[B3−2]、[B3−3]、[B3−4]、[B3−5]、[B3−6]、[B3−7]、[B3−8]、[B3−9]、[B3−10]、および[B3−11]で示されるものが挙げられる。
一般式[B3−2a]:
一般式[B3−2b]:
一般式[B3−2]におけるT1で示される炭素数1〜20のアルキレン基としては、特に制限されないが、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基である。該アルキレン基としては、直鎖状、分枝状または環状のいずれであってもよく、なかでも、直鎖状が好ましい。このようなアルキレン基の具体例としては、例えば、メチレン基、ジメチレン基(エチレン基)、トリメチレン基、イソプロピレン基、テトラメチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、1,1−ジメチルジメチレン基、ペンタメチレン基、シクロペンチレン基、ヘキサメチレン基、シクロヘキシレン基、ヘプタメチレン基、シクロヘプチレン基、オクタメチレン基、シクロオクチレン基、ノナメチレン基、シクロノニレン基、デカメチレン基、シクロデシレン基、ウンデカメチレン基、シクロウンデシレン基、ドデカメチレン基、シクロドデシレン基、トリデカメチレン基、シクロトリデシレン基、テトラデカメチレン基、シクロテトラデシレン基、ペンタデカメチレン基、シクロペンタデシレン基、ヘキサデカメチレン基、シクロヘキサデシレン基、ヘプタデカメチレン基、シクロヘプタデシレン基、オクタデカメチレン基、シクロオクタデシレン基、ノナデカメチレン基、シクロノナデシレン基、イコシレン基、シクロイコシレン基等が挙げられる。なかでも、メチレン基、ジメチレン基(エチレン基)、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、ヘプタデカメチレン基、オクタデカメチレン基、ノナデカメチレン基、イコシレン基等の炭素数1〜20の直鎖状のアルキレン基が好ましく、そのなかでも、メチレン基、ジメチレン基(エチレン基)、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基等の炭素数1〜10の直鎖状のアルキレン基がより好ましい。
一般式[B3−4]におけるnおよびn'としては、1がより好ましい。
一般式[B3−4]におけるpとしては、1〜2の整数がより好ましい。
一般式[B3−4]におけるp'としては、0〜2の整数がより好ましい。
一般式[B3−7]におけるT9で示される炭素数1〜6のアルキレン基としては、炭素数1〜3のアルキレン基が好ましい。また、該アルキレン基としては、直鎖状、分枝状または環状のいずれであってもよく、なかでも、直鎖状が好ましい。このようなアルキレン基の具体例としては、例えば、メチレン基、ジメチレン基(エチレン基)、トリメチレン基、イソプロピレン基、テトラメチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、1,1−ジメチルジメチレン基、ペンタメチレン基、シクロペンチレン基、ヘキサメチレン基、シクロヘキシレン基等が挙げられる。なかでも、メチレン基、ジメチレン基(エチレン基)、トリメチレン基等の炭素数1〜3の直鎖状のアルキレン基が好ましい。
一般式[B3−7]におけるqとしては、3〜4の整数がより好ましい。
一般式[B3−8]におけるT11およびT11'で示される炭素数6〜10のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基等の炭素数6のアリーレン基、例えば、ナフチレン基等の炭素数10のアリーレン基等が挙げられる。なかでも、炭素数6のアリーレン基であるフェニレン基が好ましい。
一般式[B3−3]で示される化合物の具体例としては、特に制限されないものの、例えば、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等が挙げられる。
一般式[B3−4]で示される化合物の具体例としては、特に制限されないものの、例えば、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ジブチレングリコールジアリルエーテル等のジアルキレングリコールジアリルエーテル、例えば、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリブチレングリコールジアリルエーテル等のポリアルキレングリコールジアリルエーテル等が挙げられる。
一般式[B3−11]で示される化合物の具体例としては、特に制限されないものの、例えば、N,N'−メチレンビスアクリルアミド等が挙げられる。
これらの化合物のなかでも、1,10−デカンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、およびN,N'−メチレンビスアクリルアミドが好ましく、そのなかでも、ジエチレングリコールジアリルエーテルがより好ましい。
これらの化合物(B3)は、市販のものを用いてもよいし、自体公知の方法によって適宜合成したものを用いてもよい。
化合物(B3)を前記の割合で含む(B)成分は、(A)成分とともに粘稠水溶液を調製した際に、所望の高い粘度が保たれ、また、その粘度は、(A)成分以外の電解質または/およびアルコールやノニオン性界面活性剤を配合した場合でも大きく損なわれず、所望な範囲で維持され易い。つまり、アクリル酸エステル(B1)とアクリル酸(B2)とが上述した割合(モル比)の範囲内にある(B)成分は、(A)成分を始めとする電解質または/およびアルコールやノニオン性界面活性剤とともに、粘性の高い化粧料、例えば、粘稠性の溶液状、乳液状、フォーム状、クリーム状またはゲル状の化粧料の配合成分として好適に用いることができる
なお、(B)成分において、アクリル酸エステル(B1)とアクリル酸(B2)との割合(モル比)が、(B1):(B2)=4:96〜6:94、特に(B1):(B2)=4.5:95.5〜5.5:94.5である場合には、化合物(B3)を含まない共重合体が望ましい場合もある。
本発明組成物は、前記(A)成分に加えて、少なくとも前記(B)成分を含有する組成物であるが、さらに(C)シクロデキストリン化合物を含むことができる。
本発明で(C)成分として用いるシクロデキストリン化合物には、シクロデキストリン、及びその誘導体が含まれる。シクロデキストリンとしては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、及びγ−シクロデキストリンを挙げることができる。シクロデキストリン誘導体としては、ヒドロキシプロピル−、ヒドロキシエチル−、グルコシル−、マルトシル−、マルトトリオシル−、カルボキシアミドメチル−、カルボキシメチル−、スルホブチルエーテル−、及びジエチルアミノ−置換α−、β−、及びγ−シクロデキストリンなどの変性無定形シクロデキストリンを挙げることができる。好ましくは、水溶性が高いβ−シクロデキストリン、及びその誘導体、例えばヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを挙げることができる。より好ましくはβ−シクロデキストリンである。
本発明組成物は、好ましくは前記成分に水を配合して調製される。
水(以下、(D)成分とも称する)は、前述する(A)及び(B)成分、または(A)、(B)及び(C)成分を溶解または分散させるため溶媒または分散媒となる成分である。水としては、化粧料などの外用組成物に適用し得る水であれば特に制限されない。例えば、蒸留水、精製水、イオン交換水(脱イオン水)、純水、超純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、および湧水などが挙げられる。好ましくは、電解質を含まない水、例えば、イオン交換水、純水、および超純水である。
本発明組成物には、前述する(A)及び(B)成分;(A)、(B)及び(C)成分;並びにこれらを溶解、分散させるための(D)成分に加えて、任意成分として、(A)以外の電解質、アルコール、及びノニオン性界面活性剤等を配合することもできる。
本発明において電解質とは、水中でイオン解離する化合物を意味する。その限りにおいて電解質の種類は特に限定されないが、例えば、乳酸、グルコン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クエン酸、フタル酸、酢酸、安息香酸、サリチル酸、没食子酸、ジエチルバルビツル酸、ヒアルロン酸等のカルボン酸類;例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸類;例えば、エタンスルホン酸、フェノールスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、m-キシレンスルホン酸等の有機スルホン酸類;例えば、タウリン等のアミノスルホン酸類;例えば、塩酸等の無機酸類等の酸剤;例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、コカミドメチルモノエタノールアミン等のアルカノールアミン類;例えば、アンモニア、炭酸アンモニウム、リン酸二水素一アンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のアンモニアおよびアンモニウム類;例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸マグネシウム等の無機塩基類等のアルカリ剤、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸マグネシウム、クエン酸カルシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸カルシウム、塩化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、エデト酸二ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、硫酸モノエタノールアミン、1号珪酸ソーダ、2号珪酸ソーダ、3号珪酸ソーダ、ココイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウレス-4カルボン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム(無水)、エチレンジアミンジコハク酸三ナトリウム、チオグリコール酸、臭素酸ナトリウム等の上記酸剤とアルカリ剤との中和生成塩、例えば、グリチルリチン酸ジカリウム等の有効成分等が挙げられる。
アルコールとしては、通常、外用組成物、特に化粧料の原料として配合されるアルコールであって、前述する(A)及び(B)成分、または(A)〜(C)成分を含む組成物に溶解または分散して所望の粘稠性(増粘性)を発揮するものであることが好ましい。
特に制限されないものの、かかるアルコールとしては、炭素数が5以下の低級アルコール、多価アルコール、および炭素数12〜24の一価の脂肪族アルコールを例示することができる。これらは1種単独で使用してもよいが、2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
特に制限されないものの、多価アルコールの重量平均分子量は6000以下であることが好ましい。重量平均分子量はサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出することができる。
グリコール類として、好ましくは1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジプロピレングリコール;グリセリン類として、好ましくはグリセリン、ジグリセリン;糖アルコールとして、好ましくはソルビトール、キシリトール、トレハロースを例示することができる。これらのアルコールは、特に制限されないものの、外用組成物においては、通常、保湿剤、艶感付与剤、および/または可溶化剤等として用いられる。
ノニオン性界面活性剤としては、通常、外用組成物、特に化粧料の原料として配合されるノニオン性界面活性剤であって、前述する(A)及び(B)成分、または(A)〜(C)成分を含む組成物に溶解または分散して所望の粘稠性(増粘性)を発揮するものであることが好ましい。好ましくは外用組成物、特に化粧料一般に用いられるノニオン性界面活性剤である。
各成分の配合割合は、本発明組成物の粘度が、1000mPa・sより大きく、好ましくは3000mPa・s以上、より好ましくは3000〜50000mPa・sの範囲、特に好ましくは8000〜50000mPa・sの範囲(B型回転粘度計、ローターNo.4,回転数3rpm、1分間、および品温20℃で測定。以下、同じ。)になるように、前述する割合を参考にして適宜設定することができる。当該粘度は、本発明組成物の用途やその形状に応じて、適宜選択調整することができる。例えば、増粘組成物を粘稠性のローション状または乳液状の外用組成物として用いる場合、好ましくは1000mPa・sより大きく6000mPa・s以下の範囲、好ましくは3000〜6000mPa・sの範囲に調整することができる。また、クリーム状の外用組成物として用いる場合、好ましくは10000〜50000mPa・sの範囲、より好ましくは30000〜50000mPa・sの範囲に調整することができる。さらにゲル状の外用組成物として用いる場合、好ましくは10000〜40000mPa・sの範囲、より好ましくは20000〜40000mPa・sの範囲に調整することができる。
水溶性セルロースとして、特に制限されないものの、具体的には、アルキルセルロース(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース等);ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等);ヒドロキシアルキルアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース[ヒプロメロース]等);カルボキシアルキルセルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース等);およびカルボキシアルキルヒドロキシセルロース(例えば、カルボキシメチルヒドロキシセルロース、カルボキシエチルヒドロキシセルロース等);並びにこれらのアルカリ金属塩を挙げることができる。
前述する本発明組成物は、好ましくは外用組成物として用いることができる。当該外用組成物には、外用の医薬品や医薬部外品、及び化粧料が含まれる。より好ましくは皮膚または毛髪に使用される化粧料である。
ここで化粧料としては、例えば、化粧水、乳液、美容液、クリーム、クリームパック、マッサージクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングジェル、洗顔フォーム、ボディーシャンプー、ボディーローション、スタイリングジェル、育毛剤、発毛剤、抗フケ剤、アイライナー、マスカラ、ファンデーション、日焼け止め、保湿剤、美白剤、抗加齢剤、抗しわ剤等が挙げられる。
本発明は、アスコルビン酸化合物含有組成物のアスコルビン酸化合物に起因する経時的変色を抑制する方法を提供する。当該方法は、前述する(A)成分の経時的変色が、(B)成分を共存させておくことで有意に抑制できることを見出したことに基づく。つまり、本発明は、前述する(B)成分の新たな用途を提供するものである。
具体的には、本発明の方法は、(A)アスコルビン酸化合物と、(B)アクリル酸エステル(B1)/アクリル酸(B2)共重合体とを共存させることで実施することができる。(A)及び(B)成分に、さらに(C)シクロデキストリン化合物を共存させることで、さらにアスコルビン酸化合物に起因する経時的変色に対する抑制効果を高めることができる。
本発明の方法で使用される(A)、(B)及び(C)成分の種類やその割合は、前述した通りであり、その記載はここに援用することができる。また、対象とするアスコルビン酸化合物含有組成物には、本発明の効果を妨げないことを限度として、他の成分として、前述する(D)成分、(E)成分、及び/またはその他の成分が配合されていてもよい。
参考製造例1 (B)成分(共重合体(1))の製造
アクリル酸35g(0.49mol;富士フイルム和光純薬株式会社製)、2-パーフルオロヘキシルエチルアクリレート10.69g(0.0256mol;ユニマテック株式会社製)、ジエチレングリコールジアリルエーテル0.1333g(0.72mmol;富士フイルム和光純薬株式会社製)およびジ(4-tert-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート0.0734g(0.18mmol;製品名:パーカドックス16;化薬アクゾ株式会社製)をシクロヘキサン411mLおよび酢酸エチル45.7mLの混合溶媒中に投入し、溶液を均一に混合した。混合した溶液を窒素ガス雰囲気下で30分間バブリングし、溶液中に含まれる酸素を脱気した。その後、溶液を攪拌しながら、30分かけて55℃まで加熱し、同温度を維持しながら溶液をさらに1時間攪拌した。次いで、溶液を1時間30分かけて75℃まで加熱し、同温度を維持しながら溶液をさらに2時間攪拌した。攪拌後、溶液を室温まで冷却し、冷却することによって析出した共重合体(ポリマー)を濾取した後、濾取した共重合体を90〜110℃で8時間減圧乾燥することにより、本発明に係る(B)成分(共重合体(1))42.43gを得た(収率:93%)。
参考製造例1における各成分の名称と各成分の割合(重量比、重量部、モル比およびモル量)を表1に示す。
参考製造例2〜20では、表1に記載の成分を、各成分の割合(重量比、重量部、モル比およびモル量)が表1となるように使用した以外は、参考製造例1と同様の方法に準じて、本発明に係る(B)成分(共重合体(2)〜(20))を得た。参考製造例2〜20における各成分の名称と各成分の割合(重量比、重量部、モル比およびモル量)を表1に示す。
(A)成分としてアスコルビン酸を、(B)成分として参考製造例3に記載する方法で製造した共重合体(3)を、また(C)成分としてβ−シクロデキストリンを用いて、(A)成分の経時的変色に対する抑制効果を評価した。
精製水に、共重合体(3)を加えて撹拌しながら溶解し、この水溶液に1Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHが7〜8になるように調整した。この水溶液に硫酸マグネシウムを添加し、撹拌しながら完全に溶解させ、粘稠性の水溶液を調製した。次いでグリセリンを入れた後、アスコルビン酸を添加し、さらに実施例1−1及び1−2には共重合体(3)を、比較例1及び実施例1−2にはβ−シクロデキストンを添加して溶解した。
斯くして調製した各アスコルビン酸化合物含有組成物(透明からやや白濁した液状あるいは粘性のある液)を、無色透明の栓付きガラス容器に入れ、40℃の暗所条件下で2週間静置保存した。2週間保存した後の対照例1のアスコルビン酸化合物含有組成物が有する色(褐色度)をスコア「5」、調製時の無色透明の色をスコア「1」として、2週間保存した後の各アスコルビン酸化合物含有組成物(比較例1−1、実施例1−1及び1−2)の色(褐色度)を目視で5段階評価した。
結果を表2に併せて示す。
(A)成分としてアスコルビン酸誘導体(表3参照)を、(B)成分として参考製造例3に記載する方法で製造した共重合体(3)を、また(C)成分としてβ−シクロデキストリンを用いて、(A)アスコルビン酸化合物の経時的変色に対する抑制効果を評価した。
実験例1と同様の方法で、精製水に、共重合体(3)を加えて撹拌しながら溶解し、この水溶液に1Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHが7〜8になるように調整した。この水溶液に硫酸マグネシウムを添加し、撹拌しながら完全に溶解させ、粘稠性の水溶液を調製した。次いでグリセリンを入れた後、各アスコルビン酸誘導体〔(A)成分〕を添加し、さらに各実施例には共重合体(3)を、また比較例2〜4、並びに実施例2−2、3−2、4−2及び4−3にはβ−シクロデキストンを添加して溶解した。また実施例4−3には水溶性シリコーンを配合した。
斯くして調製した各アスコルビン酸化合物含有組成物(透明からやや白濁した液状あるいは粘性のある液)を、実験例1と同様に、無色透明の栓付きガラス容器に入れ、40℃の暗所条件下で2週間静置保存した。2週間保存した後の各実験例における対照例のアスコルビン酸化合物含有組成物が有する色(褐色度)をスコア「5」、調製時の無色透明の色をスコア「1」として、2週間保存した後の各アスコルビン酸化合物含有組成物の色(褐色度)を目視で5段階評価した。
結果を表3に併せて示す。
(A)成分としてアスコルビン酸誘導体(表4参照)を、(B)成分として参考製造例3に記載する方法で製造した共重合体(3)を、また(C)成分としてβ−シクロデキストリンを用いて、(A)アスコルビン酸化合物の経時的変色に対する抑制効果を評価した。
実験例1と同様の方法で、精製水に、共重合体(3)を加えて撹拌しながら溶解し、この水溶液に1Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHが7〜8になるように調整した。この水溶液に硫酸マグネシウムを添加し、撹拌しながら完全に溶解させ、粘稠性の水溶液を調製した。次いでグリセリンを入れた後、アスコルビン酸誘導体〔(A)成分〕を添加し、さらに各実施例には共重合体(3)を、また比較例5―3〜5−5及び実施例5−2にはβ−シクロデキストンを添加して溶解した。また比較例5―1及び5−4、並びに比較例5―2及び5−5には、リン酸アスコルビルMgの安定化に使用される水溶性のアクリル酸重合体(カルボマー、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー)をそれぞれ配合した。
斯くして調製した各アスコルビン酸化合物含有組成物(透明からやや白濁した液状あるいは粘性のある液)を、実験例1と同様に、無色透明の栓付きガラス容器に入れ、40℃の暗所条件下で2週間静置保存した。2週間保存した後の対照例5のアスコルビン酸化合物含有組成物が有する色(褐色度)をスコア「5」、調製時の無色透明の色をスコア「1」として、2週間保存した後の各アスコルビン酸化合物含有組成物の色(褐色度)を目視で5段階評価した。
結果を表4に併せて示す。
Claims (8)
- 前記(B)アクリル酸エステル(B1)/アクリル酸(B2)共重合体が、さらに(B3)エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を構成成分として含むものである、請求項1に記載する組成物。
- (A)成分の含有量が0.1〜10質量%、(B)成分の含有量が3質量%未満である、請求項1又は2に記載する組成物。
- 前記(C)成分の含有量が0.05〜10質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載する組成物。
- 前記組成物が、pH4.5〜8.5の範囲にある、液状、乳液状、ゲル状、フォーム状またはクリーム状のいずれかの形状を有する外用組成物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載する組成物。
- アスコルビン酸化合物の経時的変色が抑制されたアスコルビン酸化合物含有組成物を調製する方法であって、
(A)アスコルビン酸化合物、
(B)(B1)一般式[B1]で示されるアクリル酸エステル:
(B2)一般式[B2]で示されるアクリル酸:
を構成成分とし、前記アクリル酸エステル(B1)と前記アクリル酸(B2)との割合(モル比)が、(B1)/(B2)=2:98〜6:94であるアクリル酸エステル/アクリル酸共重合体、および
(C)シクロデキストリン化合物
を配合する工程を有する、前記調製方法。 - アスコルビン酸化合物含有組成物のアスコルビン酸化合物に起因する経時的変色を抑制する方法であって、前記組成物において
(A)アスコルビン酸化合物と、
(B)(B1)一般式[B1]で示されるアクリル酸エステル:
(B2)一般式[B2]で示されるアクリル酸:
を構成成分とし、前記アクリル酸エステル(B1)と前記アクリル酸(B2)との割合(モル比)が、(B1)/(B2)=2:98〜6:94であるアクリル酸エステル/アクリル酸共重合体
とを共存させる工程を有する、前記経時的変色抑制方法。 - さらに(C)シクロデキストリン化合物を共存させる工程を有する、請求項7に記載する経時的変色抑制方法。
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