JP6951643B2 - 感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法及び感放射線性酸発生剤 - Google Patents
感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法及び感放射線性酸発生剤 Download PDFInfo
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Description
当該感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体と、[B]酸発生剤と、[C]溶媒とを含有する。当該感放射線性樹脂組成物は、好適成分として、[B]酸発生剤以外の感放射線性酸発生体(以下、「[D]他の酸発生体」ともいう)及び/又は[E]窒素含有化合物を含有していてもよい。さらに、当該感放射線性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の任意成分を含有していてもよい。
[A]重合体は、構造単位(I)を有する重合体である。当該感放射線性樹脂組成物によれば、放射線の照射により[B]酸発生剤等から生じる酸により露光部の[A]重合体の酸解離性基が解離して、露光部と未露光部とで現像液に対する溶解性に差異が生じ、その結果、レジストパターンを形成することができる。[A]重合体は、通常、当該感放射線性樹脂組成物におけるベース重合体となる。「ベース重合体」とは、レジストパターンを構成する重合体のうちの最も含有率が大きい重合体であって、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上を占める重合体をいう。
構造単位(I)は、酸解離性基を含む構造単位である。構造単位(I)としては、例えば下記式(2)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−1)」ともいう)等が挙げられる。[A]重合体は、構造単位(I)を1種又は2種以上有していてもよい。以下、構造単位(I−1)について説明する。
構造単位(I−1)は、下記式(2)で表される構造単位である。
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基等が挙げられる。これらの中で、アルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基及びi−プロピル基がさらに好ましく、エチル基が特に好ましい。
シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環の1価の脂環式飽和炭化水素基;
シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の単環の1価の脂環式不飽和炭化水素基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の多環の1価の脂環式飽和炭化水素基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基、テトラシクロドデセニル基等の多環の1価の脂環式不飽和炭化水素基などが挙げられる。これらの中で単環の1価の脂環式飽和炭化水素基及び多環の1価の脂環式飽和炭化水素基が好ましく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基及びアダマンチル基がより好ましい。
フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、メチルアントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、アントリルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造等の単環の飽和脂環構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等の多環の飽和脂環構造等が挙げられる。これらの中で、炭素数5〜8の単環のシクロアルカン構造及び炭素数7〜12の多環の飽和脂環構造が好ましく、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロオクタン構造、ノルボルナン構造、アダマンタン構造及びテトラシクロドデカン構造がより好ましく、シクロペンタン構造、アダマンタン構造及びテトラシクロドデカン構造がさらに好ましい。
上記式(2−1)中、iは、1〜4の整数である。
上記式(2−3)中、jは、1〜4の整数である。
上記式(2−6)中、R6’、R7’及びR7’は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。
構造単位(II)は、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを含む構造単位である。[A]重合体は、構造単位(I)に加え、構造単位(II)をさらに有することで現像液への溶解性をより適度に調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能をより向上させることができる。また、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジストパターンと基板との密着性を向上させることができる。
構造単位(III)は、芳香族性(フェノール性)水酸基を含む構造単位である。レジストパターン形成方法における露光工程で照射する放射線として、KrFエキシマレーザー光、EUV、電子線等を用いる場合には、[A]重合体が構造単位(III)を有することで、感度をより高めることができる。
構造単位(IV)は、アルコール性水酸基を含む構造単位である。[A]重合体は、構造単位(IV)を有することで、現像液への溶解性をより適度に調製することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能をより向上させることができる。また、レジストパターンの基板への密着性をより高めることができる。
[A]重合体は、上記構造単位(I)〜(IV)以外にもその他の構造単位を有してもよい。上記その他の構造単位としては、例えばケトン性カルボニル基、シアノ基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基又はこれらの組み合わせを含む構造単位、非解離性の1価の脂環式炭化水素基を含む(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位等が挙げられる。その他の構造単位の含有割合の上限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、20モル%が好ましく、10モル%がより好ましい。
[A]重合体は、例えば各構造単位を与える単量体を、ラジカル重合開始剤等を用い、適当な溶媒中で重合することにより合成できる。
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ系ラジカル開始剤;
ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系ラジカル開始剤などが挙げられる。これらの中で、AIBN及びジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートが好ましく、AIBNがより好ましい。これらのラジカル重合開始剤は1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン;
シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン;
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素;
クロロブタン、ブロモヘキサン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;
酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル;
アセトン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン;
テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル;
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール等のアルコールなどが挙げられる。これらの重合に使用される溶媒は、1種単独で又は2種以上を併用してもよい。
GPCカラム:例えば東ソー社の「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本及び「G4000HXL」1本
カラム温度:40℃
溶出溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
[B]酸発生剤は、放射線の照射により酸を発生する物質であって、化合物(P)である。当該感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体に加えて、化合物(P)である[B]酸発生剤を含有することで、LWR性能及び感度に優れる。
化合物(P)は、橋状結合を含む第1環と、この第1環と少なくとも1辺を共有して縮環する少なくとも2つの第2環とを有する。
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環、ビシクロ[2.2.2]オクタン環、ビシクロ[4.2.2]デカン環等の飽和脂環;
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン環、ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン環、ビシクロ[4.2.2]デカ−7−エン環等の不飽和脂環などの2環系の脂環、
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環、トリシクロ[5.2.2.02,6]ウンデカン環、トリシクロ[6.2.2.02,7]ドデカン環等の飽和脂環;
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン環、トリシクロ[5.2.2.02,6]ウンデカ−3−エン環、トリシクロ[6.2.2.02,7]ドデカ−4−エン環等の不飽和脂環などの3環系の脂環、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン環、テトラシクロ[4.4.0.22,5.27,10]テトラデカン環、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]ヘプタデカン環等の飽和脂環;
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン環、テトラシクロ[4.4.0.22,5.27,10]テトラデカ−3−エン環、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]ヘプタデカ−3−エン環等の不飽和脂環などの4環系以上の脂環、
1,4−(メタンジイルシクロヘキサンジイルメタンジイル)ベンゼン環等の芳香環含有環などが挙げられる。第1環としては、これらの中で、脂環が好ましく、2環系の脂環がより好ましく、ビシクロ[2.2.2]オクタン環及びビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン環がさらに好ましい。
ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の芳香族炭素環;
シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、ビシクロ[4.4.0]環等の脂環;
ピリジン環、ピロール環、フラン環、ピラン環、チオフェン環等の芳香族複素環;
アザシクロヘキサン環、オキサシクロペンタン環、チアシクロペンタン環等の脂肪族複素環などが挙げられる。第2環としては、これらの中で、芳香環が好ましく、芳香族炭素環がより好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
スルホン酸、ホスホン酸、イミド酸、アミド酸、メチド酸等(以下、これらの酸をまとめて「酸(I−A)」ともいう);
カルボン酸等(以下、「酸(I−B)」ともいう)などが挙げられる。
メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基;
i−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の分岐状アルキル基などが挙げられる。
フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
nが1の場合、
メタントリイル基等の炭素数1の3価の炭化水素基;
エタントリイル基、エテントリイル基等の炭素数2の3価の炭化水素基などが挙げられ、
nが2の場合、
メタンテトライル基等の炭素数1の4価の炭化水素基;
エタンテトライル基等の炭素数2の4価の炭化水素基などが挙げられ、
nが3の場合、
エタンペンタイル基等の炭素数2の4価の炭化水素基などが挙げられ、
nが4の場合、
エタンヘキサイル基等の炭素数2の4価の炭化水素基などが挙げられる。
シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロペンテン構造等の脂環構造;
アザシクロペンタン構造、アザシクロヘキサン構造、オキサシクロペンタン構造、オキサシクロヘキサン構造、チアシクロペンタン構造、チアシクロヘキサン構造、環状(チオ)アセタール構造等の脂肪族複素環構造などが挙げられる。これらの中で、脂肪族複素環構造が好ましく、アザシクロペンタン構造及び環状(チオ)アセタール構造がより好ましい。アザシクロペンタン構造としては、アザジオキサシクロペンタン構造(コハク酸イミド構造)が好ましい。環状(チオ)アセタール構造としては、環状アセタール構造が好ましく、1,3−ジオキサシクロペンタン構造がさらに好ましい。
[C]溶媒は、少なくとも[A]重合体、[B]酸発生剤及び必要に応じて含有される任意成分等を溶解又は分散可能な溶媒であれば特に限定されない。
4−メチル−2−ペンタノール、n−ヘキサノール等の炭素数1〜18の脂肪族モノアルコール系溶媒;
シクロヘキサノール等の炭素数3〜18の脂環式モノアルコール系溶媒;
1,2−プロピレングリコール等の炭素数2〜18の多価アルコール系溶媒;
プロピレングリコールモノメチルエーテル等の炭素数3〜19の多価アルコール部分エーテル系溶媒などが挙げられる。
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル等のジアルキルエーテル系溶媒;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル系溶媒;
ジフェニルエーテル、アニソール等の芳香環含有エーテル系溶媒などが挙げられる。
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、2−ヘプタノン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン等の鎖状ケトン系溶媒:
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶媒:
2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン等が挙げられる。
N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン等の環状アミド系溶媒;
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド系溶媒などが挙げられる。
酢酸n−ブチル、乳酸エチル等のモノカルボン酸エステル系溶媒;
プロピレングリコールアセテート等の多価アルコールカルボキシレート系溶媒;
酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコール部分エーテルカルボキシレート系溶媒;
シュウ酸ジエチル等の多価カルボン酸ジエステル系溶媒;
γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒;
ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒などが挙げられる。
n−ペンタン、n−ヘキサン等の炭素数5〜12の脂肪族炭化水素系溶媒;
トルエン、キシレン等の炭素数6〜16の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
[D]他の酸発生体は、[B]酸発生剤以外の感放射線性酸発生体である。当該感放射線性樹脂組成物における[D]他の酸発生体の含有形態としては、低分子化合物(以下、適宜「[D]他の酸発生剤」ともいう)の形態でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造、シクロノナン構造、シクロデカン構造、シクロドデカン構造等の単環のシクロアルカン構造;
シクロペンテン構造、シクロヘキセン構造、シクロヘプテン構造、シクロオクテン構造、シクロデセン構造等の単環のシクロアルケン構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等の多環のシクロアルカン構造;
ノルボルネン構造、トリシクロデセン構造等の多環のシクロアルケン構造などが挙げられる。
ヘキサノラクトン構造、ノルボルナンラクトン構造等のラクトン構造;
ヘキサノスルトン構造、ノルボルナンスルトン構造等のスルトン構造;
オキサシクロヘプタン構造、オキサノルボルナン構造等の酸素原子含有複素環構造;
アザシクロヘキサン構造、ジアザビシクロオクタン構造等の窒素原子含有複素環構造;
チアシクロヘキサン構造、チアノルボルナン構造のイオウ原子含有複素環構造などが挙げられる。
ベンゼン構造、ナフタレン構造、フェナントレン構造、アントラセン構造等が挙げられる。
フラン構造、ピラン構造、ベンゾピラン構造等の酸素原子含有複素環構造;
ピリジン構造、ピリミジン構造、インドール構造等の窒素原子含有複素環構造などが挙げられる。
当該感放射線性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、[E]窒素含有化合物を含有していてもよい。
[フッ素原子含有重合体]
フッ素原子含有重合体は[A]重合体よりもフッ素原子含有率が大きい重合体である。当該感放射線性樹脂組成物がフッ素原子含有重合体を含有すると、レジスト膜を形成した際に、レジスト膜中のフッ素原子含有重合体の撥油性的特徴により、その分布がレジスト膜表面近傍に偏在化する傾向があり、液浸露光等の際における酸発生体、酸拡散制御体等が液浸媒体に溶出することを抑制することができる。また、このフッ素原子含有重合体の撥水性的特徴により、レジスト膜と液浸媒体との前進接触角を所望の範囲に制御でき、バブル欠陥の発生を抑制することができる。さらに、レジスト膜と液浸媒体との後退接触角が高くなり、水滴が残らずに高速でのスキャン露光が可能となる。このように、当該感放射線性樹脂組成物は、フッ素原子含有重合体をさらに含有することで、液浸露光法に好適なレジスト膜を形成することができる。
界面活性剤は、塗工性、ストリエーション、現像性等を改良する効果を奏する。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤;市販品としては、信越化学工業社の「KP341」、共栄社化学社の「ポリフローNo.75」、「同No.95」、トーケムプロダクツ社の「エフトップEF301」、「同EF303」、「同EF352」、DIC社の「メガファックF171」、「同F173、住友スリーエム社の「フロラードFC430」、「同FC431」、旭硝子工業社の「アサヒガードAG710」、「サーフロンS−382」、「同SC−101」、「同SC−102」、「同SC−103」、「同SC−104」、「同SC−105」、「同SC−106」等が挙げられる。界面活性剤の含有量の上限としては、[A]重合体100質量部に対して、2質量部が好ましく、1質量部がより好ましい。
脂環式骨格含有化合物は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を改善する効果を奏する。
増感剤は、[B]酸発生剤等からの酸の生成量を増加する作用を示すものであり、当該感放射線性樹脂組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を奏する。
当該感放射線性樹脂組成物は、例えば[A]重合体、[B]酸発生剤、[C]溶媒及び必要に応じて[D]他の酸発生体等の任意成分を所定の割合で混合し、好ましくは、得られた混合液を、例えば孔径0.2μm程度のフィルターで濾過することにより調製することができる。当該感放射線性樹脂組成物の固形分濃度の下限としては、0.1質量%が好ましく、0.5質量部がより好ましく、1質量%がさらに好ましい。上記固形分濃度の上限としては、50質量%が好ましく、30質量%がより好ましく、20質量%がさらに好ましい。
当該レジストパターン形成方法は、基板の一方の面側に当該感放射線性樹脂組成物を塗工する工程(以下、「塗工工程」ともいう)と、上記塗工により得られたレジスト膜を露光する工程(以下、「露光工程」ともいう)と、上記露光されたレジスト膜を現像する工程(以下、「現像工程」ともいう)とを備える。
本工程では、基板の一方の面側に当該感放射線性樹脂組成物を塗工する。これにより、レジスト膜を形成する。当該感放射線性樹脂組成物を塗工する基板としては、例えばシリコンウェハ、アルミニウムで被覆したウェハ等が挙げられる。当該感放射線性樹脂組成物の塗工方法としては、特に限定されないが、例えばスピンコート法等の公知の方法等が挙げられる。当該感放射線性樹脂組成物を塗工する際には、形成されるレジスト膜が所望の厚みとなるように、塗工する当該感放射線性樹脂組成物の量を調整する。なお当該感放射線性樹脂組成物を基板上に塗工した後、溶媒を揮発させるためにプレベーク(以下、「PB」ともいう)を行ってもよい。PBの温度の下限としては、30℃が好ましく、50℃がより好ましい。上記温度の上限としては、200℃が好ましく、150℃がより好ましい。PBの時間の下限としては、10秒が好ましく、30秒がより好ましい。上記時間の上限としては、600秒が好ましく、300秒がより好ましい。レジスト膜の平均厚みの下限としては、10nmが好ましく、20nmがより好ましく、50nmがさらに好ましい。上記平均厚みの上限としては、1,000nmが好ましく、200nmがより好ましく、150nmがさらに好ましい。
本工程では、上記塗工により得られたレジスト膜を露光する。この露光は、場合によっては、水等の液浸露光液を介し、所定のパターンを有するマスクを介して放射線を照射することにより行う。
本工程では、上記露光工程で露光されたレジスト膜を現像する。この現像に用いる現像液としては、例えばアルカリ水溶液(アルカリ現像液)、有機溶媒を含有する液(有機溶媒現像液)等が挙げられる。これにより、所定のレジストパターンが形成される。
東ソー社のGPCカラム(G2000HXL:2本、G3000HXL:1本、G4000HXL:1本)を用い、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、試料濃度:1.0質量%、試料注入量:100μL、カラム温度:40℃、検出器:示差屈折計の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。また、分散度(Mw/Mn)は、Mw及びMnの測定結果より算出した。
[実施例1](酸発生剤(P−1)の合成)
窒素置換したナス型フラスコに、無水マレイン酸100mmol、アントラセン100mmol及びトルエン300mLを仕込み、120℃のオイルバスで20時間加熱撹拌した。次に、析出した固体を、桐山ロートを用いて濾過した後、5〜10℃に冷却したトルエンで洗浄した。洗浄した固体を減圧乾燥することで、収率75%で中間体(M−1)を得た。
下記式(P−2)〜(P−6)、(P−10)及び(P−11)で表される酸発生剤について、実施例1と同様に、対応するアントラセン誘導体及びジエノフィルを用いて合成した。
窒素置換したナス型フラスコに、(E)−1−ニトロ−2−(フェニルスルホニル)エテン50mmol、アントラセン50mmol及びトルエン200mLを仕込み、120℃のオイルバスで20時間加熱撹拌した。反応終了後、放冷し、得られた固体を5〜10℃に冷却したトルエンで洗浄した。洗浄した固体を減圧乾燥することで、中間体(M−2)を収率86%で得た。
次に、上記得られた中間体(M−2)43mmol、水素化トリブチルスズ150.5mmol、アゾビスイソブチロニトリル34.4mmol及びトルエン300mLを仕込み、110℃のオイルバスで1時間加熱撹拌した。反応終了後、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製した。得られた粘性固体に、ジクロロメタン100mL、超純水100mL及びトリフェニルスルホニウムクロリド30mmolを加え、室温で12時間撹拌した。得られた生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し、白色固体である酸発生剤(P−7)を収率60%で得た。
窒素置換したナス型フラスコに、アセチレンジカルボン酸ジメチル50mmol及びアントラセン50mmolを仕込み、180℃のオイルバスで0.5時間加熱撹拌した。反応終了後、放冷し、得られた固体を5〜10℃に冷却したトルエンで洗浄した。洗浄した固体を減圧乾燥することにより、中間体(M−3)を収率81%で得た。
窒素置換したナス型フラスコに、無水マレイン酸50mmol、アントラセン50mmol及びトルエン200mLを仕込み、120℃のオイルバスで20時間加熱撹拌した。反応終了後、放冷し、析出した固体を5〜10℃に冷却したトルエンで洗浄した。得られた固体を減圧乾燥し、中間体(M−4)を収率87%で得た。
アントラセン56.7mmol、p−ベンゾキノン68.1mmol及びトルエン70mLを混合し、130℃のオイルバスで12時間加熱還流した。放冷し、析出した固体を60℃の超純水500mLで3回洗浄した。得られた固体を減圧乾燥し、トリプチセン−1,4−キノンを収率80%で得た。
[A]重合体の合成に用いた単量体を以下に示す。
単量体としての上記化合物(M−5)、化合物(M−6)及び化合物(M−7)を、モル比率が35モル%、45モル%及び20モル%となるように、合計19.9gを2−ブタノン40gに溶解し、ラジカル重合開始剤としてのAIBNを単量体の合計に対して5モル%添加して単量体溶液を調製した。次に、20gの2−ブタノンを入れた三口フラスコを30分窒素パージした後、攪拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合反応液を水冷して30℃以下に冷却した。400gのメタノール中に冷却した重合反応液を投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末を80gのメタノールで2回洗浄した後、ろ別し、50℃で12時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A−1)を収率75%で得た。重合体(A−1)のMwは7,200、Mw/Mnは1.56であった。13C−NMR分析の結果、(M−5)、(M−6)及び(M−7)に由来する構造単位の含有割合は、それぞれ34.3モル%、45.0モル%及び20.7モル%であった。
単量体としての上記化合物(M−1)6.88g、化合物(M−8)及び化合物(M−2)を、モル比率が40モル%、10モル%及び50モル%となるように、合計20.0gを2−ブタノン40gに溶解し、ラジカル重合開始剤としてのAIBNを単量体の合計に対して5モル%添加して単量体溶液を調製した。次に、20gの2−ブタノンを入れた三口フラスコを30分窒素パージした後、攪拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合反応液を水冷して30℃以下に冷却した。400gのメタノール中に冷却した重合反応液を投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末を80gのメタノールで2回洗浄した後、ろ別し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A−2)を収率74%で得た。重合体(A−2)のMwは7,500、Mw/Mnは1.53であった。13C−NMR分析の結果、(M−1)、(M−8)及び(M−2)に由来する構造単位の含有割合は、それぞれ40.2モル%、10.1モル%及び49.7モル%であった。
単量体としての上記化合物(M−1)、化合物(M−10)、化合物(M−9)及び化合物(M−7)を、モル比率が20モル%、15モル%、40モル%及び25モル%となるように、合計20.0gを2−ブタノン40gに溶解し、ラジカル重合開始剤としてのAIBNを単量体の合計に対して5モル%添加して単量体溶液を調製した。次いで20gの2−ブタノンを入れた三口フラスコを30分窒素パージした後、攪拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合反応液を水冷して30℃以下に冷却した。400gのメタノール中に冷却した重合溶液を投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末を80gのメタノールで2回洗浄した後、ろ別し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A−3)を収率77%で得た。重合体(A−3)のMwは7,200、Mw/Mnは1.53であった。13C−NMR分析の結果、(M−1)、(M−10)、(M−9)、(M−7)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ19.5モル%、15.5モル%、40.1モル%、及び24.9モル%であった。
単量体としての上記化合物(M−4)及び化合物(M−3)を、モル比率が65モル%及び35モル%となるように合計100.0g用い、この単量体と、ラジカル重合開始剤としてのAIBN4gと、t−ドデシルメルカプタン1gとをプロピレングリコールモノメチルエーテル100gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間重合反応させた。重合反応終了後、重合反応液を1,000gのn−ヘキサン中に滴下して、重合体を凝固精製した。次いで上記重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加えた後、さらに、メタノール150g、トリエチルアミン34g及び水6gを加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。反応終了後、溶媒及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた重合体をアセトン150gに溶解した後、2,000gの水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A−4)を収率77%で得た。重合体(A−4)のMwは7,500、Mw/Mnは1.90であった。13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレン及び(M−3)に由来する構造単位の含有割合は、それぞれ65.4モル%及び34.6モル%であった。
感放射線性樹脂組成物の調製に用いた[B]酸発生剤、[C]溶媒、[D]他の酸発生剤及び[E]窒素含有化合物について以下に示す。
上記合成した酸発生剤(P−1)〜(P−12)
C−1:酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル
C−2:シクロヘキサノン
各構造式を以下に示す。
D1−1:トリフェニルスルホニウム2−(アダマンタン−1−イルカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート
D1−2:トリフェニルスルホニウムノルボルナンスルトン−2−イルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート
D1−3:トリフェニルスルホニウム3−(ピペリジン−1−イルスルホニル)−1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1−スルホネート
D1−4:トリフェニルスルホニウムアダマンタン−1−イルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート
D2−1:トリフェニルスルホニウムサリチレート
D2−2:トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート
D2−3:トリフェニルスルホニウム(1R,4S)−3−カルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−エタノナフタレン−2−カルボキシラート
各構造式を以下に示す。
E−1:N−(n−ウンデカン−1−イルカルボニルオキシエチル)モルホリン
E−2:2,6−ジi−プロピルアニリン
E−3:トリn−ペンチルアミン
[A]重合体としての(A−1)100質量部、[B]酸発生剤としての(P−1)(他の酸発生剤(D1−1)と同モル)、[C]溶媒としての(C−1)3,880質量部及び(C−2)970質量部並びに[D]他の酸発生剤としての(D1−1)10質量部を混合し、得られた混合液を、孔径0.2μmのメンブレンフィルターで濾過することにより、感放射線性樹脂組成物(R−1)を調製した。
下記表1及び表2に示す種類及び含有量の各成分を用いた以外は、実施例12と同様に操作して、感放射線性樹脂組成物(R−2)〜(R−25)及び(CR−1)〜(CR−15)を調製した。表1及び表2中の[B]酸発生剤又は[D]他の酸発生剤の含有量の数値の単位は、質量部である。「D1−1/D2−1」の含有量が「10/(D1−1と同モル)」であるとは、他の酸発生剤(D1−1)の含有量が10質量部であり、他の酸発生剤(D2−1)の含有量が、他の酸発生剤(D1−1)のモル数と同じモル数であることを意味する。
[実施例38〜63]
(アルカリ現像)
8インチのシリコンウエハ表面にスピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT8」)を使用して、上記調製した感放射線性樹脂組成物を塗工し、100℃で60秒間PBを行った後、23℃で30秒間冷却し、平均厚み60nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜に、簡易型の電子線描画装置(日立製作所社の「HL800D」、出力:50KeV、電流密度:5.0A/cm2)を用いて電子線を照射した。次いで、2.38質量%のTMAH水溶液を用い、23℃で30秒間現像しポジ型のレジストパターンを形成した。
上記TMAH水溶液の代わりに、酢酸n−ブチルを用いて有機溶媒現像し、かつ水での洗浄を行わなかった以外は、上記「アルカリ現像」の場合と同様に操作して、ネガ型のレジストパターンを形成した。
上記調製した感放射線性樹脂組成物について、下記方法に従い、LWR性能及び感度を評価した。評価結果を下記表3に示す。レジストパターンの測長には、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社の「S−9380」)を用いた。
レジストパターンを、上記走査型電子顕微鏡を用い、パターン上部から観察した。線幅を任意のポイントで計50点測定し、その測定値の分布から3シグマ値を求め、これをLWR性能(nm)とした。LWR性能は、その値が小さいほど良いことを示す。LWR性能は、下記表3に示す判定基準の比較例の感放射線性樹脂組成物の値と比べたとき、10%以上の向上(LWR性能の値が90%以下)の場合は「A」(良好)と、10%未満の変化(LWR性能の値が90%を超え110%未満)の場合は「B」(同等)と、悪化した場合(LWR性能の値が110%以上)には「C」(不良)と評価した。
レジストパターンのライン幅が150nmに形成される露光量を測定し、この測定値を感度(μC)とした。感度は、測定値が小さいほど良いことを示す。感度は、表3に示す判定基準の比較例の感放射線性樹脂組成物の値と比べたとき、10%以上改良した場合(感度の値が90%未満)は「A」(良好)と、10%未満の変化(感度の値が90%を超え110%未満)が見られた場合は「B」(同等)と、悪化した(感度の値が110%以上)場合は「C」(不良)と評価した。
Claims (9)
- 酸解離性基を含む第1構造単位を有する重合体と、
第1感放射線性酸発生剤と、
溶媒と
を含有し、
上記第1感放射線性酸発生剤が、
橋状結合を含む第1環と、この第1環と少なくとも1辺を共有して縮環する少なくとも2つの第2環とを有する第1化合物であり、
上記第1化合物が下記式(1)で表される感放射線性樹脂組成物。
- 上記式(1)におけるnが2以上である請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 上記酸発生基が、放射線の照射によりスルホ基又はカルボキシ基を生じる請求項1又は請求項2に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 上記第2環に酸発生基を含む基が結合している請求項1、請求項2又は請求項3に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 上記第1感放射線性酸発生剤以外の第2感放射線性酸発生体をさらに含有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 上記第2感放射線性酸発生体が酸発生剤であり、上記第1感放射線性酸発生剤の上記第2感放射線性酸発生体に対するモル比が0.1以上10以下である請求項5に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 上記第2感放射線性酸発生剤から発生する酸が、上記第1感放射線性酸発生体から発生する酸より強い請求項5又は請求項6に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 基板の一方の面側に、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物を塗工する工程と、
上記塗工により得られたレジスト膜を露光する工程と、
上記露光されたレジスト膜を現像する工程と
を備えるレジストパターン形成方法。 - 橋状結合を含む第1環と、この第1環と少なくとも1辺を共有して縮環する少なくとも2つの第2環と有する化合物であり、
上記化合物が下記式(1)で表される感放射線性酸発生剤。
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