JP7062874B2 - 感放射線性樹脂組成物及びレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Description
当該感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体及び[B]感放射線性酸発生体(以下、「[B]酸発生体」ともいう。)を含有する。当該感放射線性樹脂組成物は、好適成分として、[B]酸発生体以外の感放射線性酸発生体(以下、「[C]感放射線性酸発生体」又は「[C]酸発生体」ともいう。)、[A]重合体よりもフッ素原子の質量含有率が大きい重合体(以下、「[D]重合体」ともいう。)、[E]溶媒及び[F]窒素含有化合物を含有していてもよい。さらに、当該感放射線性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の任意成分を含有していてもよい。当該感放射線性樹脂組成物は、上記構成を有することで、LWR性能、CDU性能及びMEEF性能に優れる。以下、各成分について説明する。
[A]重合体は、2個のノルボルナン(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン)が1辺を共有するジノルボルナン構造を含む下記式(1)で表される構造単位(I)を有する重合体である。[A]重合体は、通常、当該感放射線性樹脂組成物におけるベース重合体となる。「ベース重合体」とは、レジストパターンを構成する重合体のうちの最も含有率が大きい重合体であって、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上を占める重合体をいう。
構造単位(I)は、酸解離性基を含む構造単位である。構造単位(I)は、下記式(1)で表される構造単位を含む。当該感放射線性樹脂組成物によれば、放射線の照射により[B]酸発生体等から生じる酸により露光部の構造単位(I)の酸解離性基が解離して露光部と未露光部とで現像液に対する溶解性に差異が生じ、その結果、レジストパターンを形成することができる。
メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基等が挙げられる。これらの中で、アルキル基が好ましく、炭素数1~4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基及びi-プロピル基がさらに好ましい。
シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の1価の単環の脂環式飽和炭化水素基;
シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の1価の単環の脂環式不飽和炭化水素基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基等の1価の多環の脂環式飽和炭化水素基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基等の1価の多環の脂環式不飽和炭化水素基等が挙げられる。これらの中で1価の単環の脂環式飽和炭化水素基及び1価の多環の脂環式飽和炭化水素基が好ましく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基及びアダマンチル基がより好ましい。
フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、メチルアントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、アントリルメチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
構造単位(II)は、構造単位(I)とは異なる酸解離性基を含む構造単位である。構造単位(II)としては、構造単位(I)とは異なる酸解離性基を含む限り特に限定されない。
メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基等が挙げられる。これらの中で、アルキル基が好ましく、炭素数1~4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基及びi-プロピル基がさらに好ましく、エチル基が特に好ましい。
シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の1価の単環の脂環式飽和炭化水素基;
シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の1価の単環の脂環式不飽和炭化水素基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基等の1価の多環の脂環式飽和炭化水素基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基等の1価の多環の脂環式不飽和炭化水素基等が挙げられる。これらの中で1価の単環の脂環式飽和炭化水素基及び1価の多環の脂環式飽和炭化水素基が好ましく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基及びアダマンチル基がより好ましい。
フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、メチルアントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、アントリルメチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
オキサシクロペンタン構造、チアシクロペンタン構造、アザシクロペンタン構造等の脂肪族複素環構造等が挙げられる。これらの中で、脂環構造が好ましく、シクロヘキサン構造がより好ましい。
上記式(3-1)中、iは、1~4の整数である。
上記式(3-3)中、jは、1~4の整数である。
上記式(3-5)中、RA2’、RA3’及びRA4’は、それぞれ独立して、炭素数1~20の1価の炭化水素基である。
上記式(8-1)中、RA1、RA5、RA6及びRA7は、上記式(8)と同義である。
構造単位(III)は、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを含む構造単位である。[A]重合体は、構造単位(I)及び構造単位(II)に加え、構造単位(III)をさらに有することで現像液への溶解性をより適度に調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能等をより向上させることができる。また、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジストパターンと基板との密着性を向上させることができる。
構造単位(IV)は、フェノール性水酸基を含む構造単位である。レジストパターン形成方法における露光工程で照射する放射線として、KrFエキシマレーザー光、EUV、電子線等を用いる場合には、[A]重合体が構造単位(IV)を有することで、感度をより高めることができる。
構造単位(V)は、アルコール性水酸基を含む構造単位である。[A]重合体は、構造単位(V)を有することで、現像液への溶解性をより適度に調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能等をより向上させることができる。また、レジストパターンの基板への密着性をより高めることができる。
[A]重合体は、上記構造単位(I)~(V)以外にもその他の構造単位を有してもよい。上記その他の構造単位としては、例えばケトン性カルボニル基、シアノ基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基又はこれらの組み合わせを含む構造単位、非解離性の1価の脂環式炭化水素基を含む(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位等が挙げられる。その他の構造単位の含有割合の上限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、20モル%が好ましく、10モル%がより好ましい。
[A]重合体は、例えば各構造単位を与える単量体を、ラジカル重合開始剤等を用い、適当な溶媒中で重合することにより合成できる。
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビスイソブチレート等のアゾ系ラジカル開始剤;
ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系ラジカル開始剤などが挙げられる。これらの中で、AIBN及びジメチル2,2’-アゾビスイソブチレートが好ましく、AIBNがより好ましい。これらのラジカル重合開始剤は1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン等の飽和炭化水素;
シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等の脂環式飽和炭化水素;
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素;
クロロブタン、ブロモヘキサン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;
酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸i-ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル;
アセトン、メチルエチルケトン、4-メチル-2-ペンタノン、2-ヘプタノン等のケトン;
テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル;
メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、4-メチル-2-ペンタノール等のアルコールなどが挙げられる。これらの重合に使用される溶媒は、1種単独で又は2種以上を併用してもよい。
当該感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体に加えて、[B]酸発生体を含有する。[B]酸発生体は、露光により酸を発生する物質である。この発生した酸により、[A]重合体等が有する酸解離性基が解離してカルボキシ基、ヒドロキシ基等が生じ、[A]重合体の現像液への溶解性が変化するため、当該感放射線性樹脂組成物によりレジストパターンを形成することができる。酸発生体の当該感放射線性樹脂組成物における含有形態としては、遊離の化合物の形態(以下、適宜「[B]酸発生剤」という)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、トリシクロデセン、ジノルボルナン等の縮合環炭化水素構造;
オキサスピロデカン等の多環の脂肪族複素環構造
ナフタレン、フェナントレン、アントラセン等の多環の芳香環構造;
ベンゾピラン、インドール等の多環の芳香族複素環構造などが挙げられる。
ノルボルナン、アダマンタン、ノルボルネン等の橋かけ環炭化水素構造;
ノルボルナンラクトン、ノルボルナンスルトン、オキサノルボルナン、ジアザビシクロオクタン、チアノルボルナン等の多環の脂肪族複素環構造などが挙げられる。
シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロドデカン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロデセン等の単環の脂環式炭化水素構造;
ヘキサノラクトン、ヘキサノスルトン、オキサシクロヘプタン、環状アセタール、アザシクロヘキサン、チアシクロヘキサン等の単環の脂肪族複素環構造;
ベンゼン等の単環の芳香環構造;
フラン、ピラン、ピリジン、ピリミジン等の単環の芳香族複素環構造などが挙げられる。
上記T+で表される1価の感放射線性オニウムカチオンとしては、例えば下記式(r-a)で表されるカチオン(以下、「カチオン(r-a)」ともいう。)、下記式(r-b)で表されるカチオン(以下、「カチオン(r-b)」ともいう。)、下記式(r-c)で表されるカチオン(以下、「カチオン(r-c)」ともいう。)等が挙げられる。
メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基等の直鎖状のアルキル基;
i-プロピル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基等の分岐状のアルキル基;
フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
当該感放射線性樹脂組成物は、必要に応じて[C]感放射線性酸発生体を含有してもよい。[C]感放射線性酸発生体においては、発生する酸の酸性度が上記[B]感放射線性酸発生体が発生する酸の酸性度よりも低い。[C]感放射線性酸発生体は、露光により弱酸を発生する。[A]重合体に含まれる酸解離性基が[C]感放射線性酸発生体から発生する弱酸によっても解離するものである場合、[B]感放射線性酸発生体と[C]感放射線性酸発生体を併用することで、どちらか一方のみを使用した場合に比べてレジスト膜中において発生する酸の濃度分布を適切に調整することができ、LWR、CDUを向上させることができる。一方、[A]重合体に含まれる酸解離性基が[C]感放射線性酸発生体から発生する弱酸によって解離しないものである場合、[C]感放射線性酸発生体は[B]感放射線性酸発生体から発生する酸を捕捉し、露光により下記[B]酸発生体から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御する。この際、露光領域においては[C]感放射線発生体も放射線の作用により弱酸を発生するため、[B]感放射線性酸発生体から生じた酸を捕捉することはなく[A]重合体に含まれる酸解離性基の解離を阻害しない。この結果、[C]酸発生体は非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する酸拡散制御剤としての効果を奏する。[C]感放射線性酸発生体の当該感放射線性樹脂組成物における含有形態としては、遊離の化合物(以下、適宜「[C]酸発生剤」という)の形態でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
[D]重合体は、[A]重合体よりもフッ素原子の質量含有率が大きい重合体である。
ベース重合体となる重合体より疎水性が高い重合体は、レジスト膜表層に偏在化する傾向があり、[D]重合体は[A]重合体よりもフッ素原子の質量含有率が大きいため、この疎水性に起因する特性により、レジスト膜表層に偏在化する傾向がある。その結果、当該感放射線性樹脂組成物によれば、液浸露光時における酸発生剤、酸拡散制御剤等が液浸媒体に溶出することを抑制することができる。また、当該感放射線性樹脂組成物によれば、この[D]重合体の疎水性に起因する特性により、レジスト膜と液浸媒体との前進接触角を所望の範囲に制御でき、バブル欠陥の発生を抑制できる。さらに、当該感放射線性樹脂組成物によれば、レジスト膜と液浸媒体との後退接触角が大きくなり、水滴が残らずに高速でのスキャン露光が可能となる。当該感放射線性樹脂組成物は、このように[D]重合体を含有することにより、液浸露光法に好適なレジスト膜を形成することができる。
構造単位(f-1)は、下記式(f-1)で表される構造単位である。[D]重合体は構造単位(f-1)を有することでフッ素原子の質量含有率を調整することができる。
構造単位(f-2)は、下記式(f-2)で表される。[D]重合体は構造単位(f-2)を有することで、アルカリ現像液への溶解性が向上し、現像欠陥の発生を抑制することができる。
当該感放射線性樹脂組成物は、通常[E]溶媒を含有する。[E]溶媒は、少なくとも[A]重合体及び[B]酸発生体並びに必要に応じて含有される[C]酸発生体、[D]重合体、[F]窒素含有化合物等を溶解又は分散可能な溶媒であれば特に限定されない。
4-メチル-2-ペンタノール、n-ヘキサノール等の炭素数1~18の脂肪族モノアルコール系溶媒;
シクロヘキサノール等の炭素数3~18の脂環式モノアルコール系溶媒;
プロピレングリコール等の炭素数2~18の多価アルコール系溶媒;
プロピレングリコールモノメチルエーテル等の炭素数3~19の多価アルコール部分エーテル系溶媒などが挙げられる。
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル等のジアルキルエーテル系溶媒;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル系溶媒;
ジフェニルエーテル、アニソール等の芳香環含有エーテル系溶媒などが挙げられる。
アセトン、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル-iso-ブチルケトン、2-ヘプタノン、エチル-n-ブチルケトン、メチル-n-ヘキシルケトン、ジ-iso-ブチルケトン、トリメチルノナノン等の鎖状ケトン系溶媒:
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶媒:
2,4-ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン等が挙げられる。
N,N’-ジメチルイミダゾリジノン、N-メチルピロリドン等の環状アミド系溶媒;
N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド系溶媒などが挙げられる。
酢酸n-ブチル、乳酸エチル等のモノカルボン酸エステル系溶媒;
プロピレングリコールアセテート等の多価アルコールカルボキシレート系溶媒;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコール部分エーテルカルボキシレート系溶媒;
シュウ酸ジエチル等の多価カルボン酸ジエステル系溶媒;
γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン等のラクトン系溶媒;
ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒などが挙げられる。
n-ペンタン、n-ヘキサン等の炭素数5~12の脂肪族炭化水素系溶媒;
トルエン、キシレン等の炭素数6~16の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
当該感放射線性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、[F]窒素含有化合物を含有してもよい。[F]窒素含有化合物は、露光により[D]他の酸発生体等から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する酸拡散制御剤としての効果を奏する。また、感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性が向上すると共に、レジストとしての解像度がより向上する。さらに、露光から現像処理までの引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に優れた感放射線性樹脂組成物が得られる。
当該感放射線性樹脂組成物は、上記[A]~[F]成分以外のその他の任意成分を含有していてもよい。その他の任意成分としては、例えば界面活性剤、脂環式骨格含有化合物、増感剤、偏在化促進剤等が挙げられる。これらのその他の任意成分は、それぞれ1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤は、塗工性、ストリエーション、現像性等を改良する効果を奏する。界面活性剤としては、例えば
ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn-オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn-ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤;
市販品としては、信越化学工業社の「KP341」、共栄社化学社の「ポリフローNo.75」、「同No.95」、トーケムプロダクツ社の「エフトップEF301」、「同EF303」、「同EF352」、DIC社の「メガファックF171」、「同F173、住友スリーエム社の「フロラードFC430」、「同FC431」、旭硝子工業社の「アサヒガードAG710」、「サーフロンS-382」、「同SC-101」、「同SC-102」、「同SC-103」、「同SC-104」、「同SC-105」、「同SC-106」等が挙げられる。界面活性剤の含有量の上限としては、[A]重合体100質量部に対して、2質量部が好ましく、1質量部がより好ましい。
脂環式骨格含有化合物は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を改善する効果を奏する。
増感剤は、[B]酸発生体からの酸の生成量を増加する作用を示すものであり、当該感放射線性樹脂組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を奏する。
偏在化促進剤は、当該感放射線性樹脂組成物が[D]重合体を含有する場合等に、[D]重合体を、より効率的にレジスト膜表面に偏在化させる成分である。当該感放射線性樹脂組成物が偏在化促進剤を含有することで、[D]重合体をレジスト膜表面により効果的に偏在化させることができ、結果として[D]重合体の使用量を少なくすることができる。偏在化促進剤としては、例えばラクトン化合物、カーボネート化合物、ニトリル化合物、多価アルコール等が挙げられる。偏在化促進剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
当該感放射線性樹脂組成物は、例えば[A]重合体及び[B]酸発生体並びに必要に応じて含有される[C]感放射線性酸発生体、[D]重合体、[E]溶媒、[F]窒素含有化合物、その他の任意成分を所定の割合で混合し、好ましくは、得られた混合液を、例えば孔径0.2μm程度のフィルター等でろ過することで調製することができる。当該感放射線性樹脂組成物の固形分濃度の下限としては、0.1質量%が好ましく、0.5質量部がより好ましく、1質量%がさらに好ましい。上記固形分濃度の上限としては、50質量%が好ましく、30質量%がより好ましく、20質量%がさらに好ましい。
当該レジストパターン形成方法は、基板の一方の面側に当該感放射線性樹脂組成物を塗工する工程(以下、「塗工工程」ともいう。)、上記塗工工程により得られたレジスト膜を露光する工程(以下、「露光工程」ともいう。)、及び上記露光されたレジスト膜を現像する工程(以下、「現像工程」ともいう。)を備える。
本工程では基板の一方の面側に当該感放射線性樹脂組成物を塗工する。上記レジスト膜を形成する基板としては、例えばシリコンウェハ、アルミニウムで被覆したウェハ等が挙げられる。この基板上に当該感放射線性樹脂組成物を塗工することによりレジスト膜が形成される。当該感放射線性樹脂組成物の塗工方法としては、特に限定されないが、例えばスピンコート法等の公知の方法等が挙げられる。当該感放射線性樹脂組成物を塗工する際には、形成されるレジスト膜が所望の厚みとなるように、塗工する当該感放射線性樹脂組成物の量を調整する。なお当該感放射線性樹脂組成物を基板上に塗工した後、溶媒を揮発させるためにプレベーク(以下、「PB」ともいう。)を行ってもよい。PBの温度の下限としては、30℃が好ましく、50℃がより好ましい。上記温度の上限としては、200℃が好ましく、150℃がより好ましい。PBの時間の下限としては、10秒が好ましく、30秒がより好ましい。上記時間の上限としては、600秒が好ましく、300秒がより好ましい。レジスト膜の平均厚みの下限としては、10nmが好ましく、20nmがより好ましく、50nmがさらに好ましい。上記平均厚みの上限としては、1,000nmが好ましく、200nmがより好ましく、150nmがさらに好ましい。
本工程では、上記塗工工程により得られたレジスト膜を露光する。この露光は、場合によっては、水等の液浸露光液を介し、所定のパターンを有するマスクを介して放射線を照射することにより行う。
本工程では、上記露光工程で露光されたレジスト膜を現像する。この現像に用いる現像液としては、例えばアルカリ水溶液(アルカリ現像液)、有機溶媒を含有する液(有機溶媒現像液)等が挙げられる。これにより、所定のレジストパターンが形成される。
重合体のMw及びMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により東ソー社製のGPCカラム(「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、「G4000HXL」1本)を使用し、以下の条件により測定した。また、分散度(Mw/Mn)は、Mw及びMnの測定結果より算出した。
流量:1.0mL/分
試料注入量:100μL
カラム温度:40℃
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
日本電子社の「JNM-Delta400」を用い、各重合体における各構造単位の含有割合(モル%)を求める分析を行った。
各実施例及び比較例における各重合体の合成で用いた単量体を以下に示す。
単量体としての化合物(M-1)、化合物(M-2)及び化合物(M-5)を、モル比率が25/25/50となるよう2-ブタノン(200質量部)に溶解した。ここに開始剤としてAIBN(5モル%)を添加し、単量体溶液を調製した。反応容器に2-ブタノン(100質量部)を入れ、30分窒素パージした。反応容器内を80℃とし、攪拌しながら、上記単量体溶液を3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。冷却した重合溶液をメタノール(2000質量部)中に投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末をメタノールで2回洗浄した後、ろ別し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A-1)を良好な収率で得た。重合体(A-1)のMwは6,300であり、Mw/Mnは1.39であった。13C-NMR分析の結果、(M-1)、(M-2)、(M-5)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ25.0モル%、24.3モル%、及び50.7モル%であった。
モノマーを適宜選択し、合成例1と同様の操作を行うことによって、重合体(A-2)~重合体(A-7)及び重合体(A-9)~重合体(A-11)を合成した。
単量体としての化合物(M-2)及び化合物(M-10)を、モル比率が50/50となるよう、プロピレングリコールモノメチルエーテル(100質量部)に溶解した。ここに開始剤としてAIBN(6モル%)を、連鎖移動剤としてt-ドデシルメルカプタン(開始剤100質量部に対して38質量部)を加えて単量体溶液を調製した。この単量体溶液を窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間共重合させた。重合反応終了後、重合溶液をn-ヘキサン(1000質量部)中に滴下して、重合体を凝固精製した。上記重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル(150質量部)を加えた。更に、メタノール(150質量部)、トリエチルアミン(化合物(M-10)の使用量に対し1.5モル当量)及び水(化合物(M-10)の使用量に対し1.5モル当量)を加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。反応終了後、溶媒及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた重合体をアセトン(150質量部)に溶解した。これを水(2000質量部)中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ別した。50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A-8)を良好な収率で得た。重合体(A-8)のMwは6,300であり、Mw/Mnは1.90であった。13C-NMR分析の結果、(M-2)及び(M-10)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ49.3モル%及び50.7モル%であった。
モノマーを選択し、合成例8と同様の操作を行うことによって、重合体(A-12)を合成した。
単量体としての化合物(M-1)及び化合物(M-9)をモル比率が70/30となるよう、2-ブタノン(200質量部)に溶解した。ここに開始剤としてAIBN(全単量体に対して5モル%)を添加して単量体溶液を調製した。反応容器に2-ブタノン(100質量部)を入れ、30分窒素パージした。反応容器内を80℃とし、攪拌しながら上記単量体溶液を3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。溶媒をアセトニトリル(400質量部)に置換した後、ヘキサン(100質量部)を加えて撹拌しアセトニトリル層を回収する作業を3回繰り返した。溶媒をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに置換することで、重合体(D-1)の溶液を良好な収率で得た。重合体(D-1)のMwは7,300であり、Mw/Mnは2.00であった。13C-NMR分析の結果、(M-1)、(M-9)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ71.1モル%、28.9モル%であった。
感放射線性樹脂組成物を構成する[A]重合体及び[D]重合体以外の成分について示す。
[B]酸発生剤として下記式(B-1)~(B-7)で表される化合物を用いた。
[C]酸発生剤として下記式(C-1)~(C-2)で表される化合物を用いた。
C-1:トリフェニルスルホニウム10-カンファースルホネート
C-2:トリフェニルスルホニウムサリチレート
[E]溶媒として下記(E-1)~(E-4)を用いた。
E-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
E-2:シクロヘキサノン
E-3:γ-ブチロラクトン
E-4:乳酸エチル
[F]窒素含有化合物として下記式(F-1)で表される化合物を用いた。
F-1:N-(n-ウンデカン-1-イルカルボニルオキシエチル)モルホリン
[A]重合体としての(A-1)100質量部、[B]酸発生剤としての(B-2)10質量部、[C]酸拡散制御剤としての(C-1)7質量部、[D]重合体としての(D-1)3質量部、[E]溶媒としての(E-1)2,240質量部、(E-2)960質量部及び(E-3)30質量部を混合し、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過することにより、感放射線性樹脂組成物(J-1)を調製した。
下記表2に示す種類及び含有量の各成分を用いた以外は実施例1と同様にして、感放射線性樹脂組成物(J-2)~(J-14)及び(K-1)~(K-4)を調製した。
12インチのシリコンウェハ表面に、スピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT12」)を使用して、下層反射防止膜形成用組成物(ブルワーサイエンス社の「ARC66」)を塗布した後、205℃で60秒間加熱することにより膜厚105nmの下層反射防止膜を形成した。この下層反射防止膜上に、上記スピンコーターを使用して各感放射線性樹脂組成物を塗布し、100℃で50秒間PAB(Post applied baking;塗布後ベーク)を行った。その後23℃で30秒間冷却し、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。次に、この塗膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(ASML社の「TWINSCAN XT-1900i」)を用い、NA=1.35、Annular(σ=0.8/0.6)の光学条件にて、58nmホール96nmピッチのレジストパターン形成用のマスクパターンを介して露光した。露光後、90℃で50秒間PEBを行った。その後、酢酸n-ブチルを用い、23℃で10秒間パドル現像を行い、2,000rpm、15秒間振り切りでスピンドライすることにより、48nmホール96nmピッチのレジストパターンを形成した。このレジストパターン形成の際、ホールパターンのサイズが48nmとなる露光量を最適露光量(Eop)とした。
12インチのシリコンウェハ表面に、スピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT12」)を使用して、下層反射防止膜形成用組成物(ブルワーサイエンス社の「ARC66」)を塗布した後、205℃で60秒間加熱することにより膜厚105nmの下層反射防止膜を形成した。この下層反射防止膜上に、上記スピンコーターを使用して各感放射線性樹脂組成物を塗布し、100℃で50秒間PABを行った。その後23℃で30秒間冷却し、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。次に、この塗膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(ASML社の「TWINSCAN XT-1900i」)を用い、NA=1.35、Dipole35X(σ=0.97/0.77)の光学条件にて、38nmラインアンドスペース(1L/1S)のレジストパターン形成用のマスクパターンを介して露光した。露光後、90℃で50秒間PEBを行った。その後、2.38質量%TMAH水溶液を用い、23℃で30秒間パドル現像を行い、次に、超純水を用いて7秒間リンスし、その後、2,000rpm、15秒間振り切りでスピンドライすることにより、40nmラインアンドスペース(1L/1S)のレジストパターンを形成した。このレジストパターン形成の際、ターゲット寸法が40nmラインアンドスペースのパターン形成用のマスクパターンを介して形成した線幅が40nmのラインを形成する露光量を最適露光量(Eop)とした。
上記形成したレジストパターンについて、下記方法に従って測定することにより、各感放射線性樹脂組成物の評価を行った。評価結果を下記表3に示す。なお、レジストパターンの測長には走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社の「CG-5000」)を用いた。
レジストパターンの形成(1)で求めたEopと同じ露光量を照射して形成したホールパターンを、上記走査型電子顕微鏡を用い、パターン上部から観察した。一辺400nm四方の範囲でホール径を16点測定してその平均値を求め、その平均値を任意のポイントで計500点測定し、その測定値の分布から3シグマ値を求め、これをCDU性能(nm)とした。CDU性能は、その値が小さいほど、長周期でのホール径のばらつきが小さく良好である。CDU性能は、5.0nm以下の場合は「良好」と、5.0を超える場合は「不良」と評価できる。
レジストパターンの形成(1)で求めたEopと同じ露光量を照射して形成したホールパターンを、上記走査型電子顕微鏡を用い、パターン上部から観察した。一辺400nm四方の範囲でホール径を16点測定してその平均値を求め、その平均値を任意のポイントで計100点測定し、平均のホール径を算出した。同様の測定をマスクサイズが1nm刻みで異なる5条件にて実施し、マスク変化量に対するホール径変化量をMEEF性能(nm)とした。MEEF性能は、その値が小さいほど、マスク忠実性があり良好である。MEEF性能は、3.9nm以下の場合は「良好」と、3.9を超える場合は「不良」と評価できる。
レジストパターンの形成(2)で求めたEopと同じ露光量を照射して形成したラインアンドスペースパターンを、上記走査型電子顕微鏡を用い、パターン上部から観察した。線幅のばらつきを計500点測定し、その測定値の分布から3シグマ値を求め、これをLWR性能(nm)とした。LWR性能は、その値が小さいほど、ラインのがたつきが小さく良好である。LWR性能は、3.9nm以下の場合は「良好」と、3.9を超える場合は「不良」と評価できる。
[A]重合体としての(A-8)100質量部、[B]酸発生剤としての(B-2)20質量部、[C]酸発生剤としての(C-3)2.5質量部、[E]溶媒としての(E-1)4280質量部、(E-4)1830質量部を混合し、0.2μmのメンブランフィルターでろ過することにより、感放射線性樹脂組成物(J-15)を調製した。
下記表4に示す種類及び含有量の各成分を用いた以外は実施例15と同様にして、感放射線性樹脂組成物(J-16)~(J-17)及び(K-5)~(K-6)を調製した。
8インチのシリコンウェハ表面にスピンコーター(CLEAN TRACK ACT8、東京エレクトロン製)を使用して、上記表4に記載の各感放射線性樹脂組成物を塗布し、90℃で60秒間PBを行った。その後、23℃で30秒間冷却し、膜厚50nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜に、簡易型の電子線描画装置(日立製作所製、型式「HL800D」、出力:50KeV、電流密度:5.0A/cm2)を用いて電子線を照射した。照射後、120℃で60秒間PEBを行った。その後、アルカリ現像液として2.38質量%のTMAH水溶液を用いて23℃で30秒間現像し、水で洗浄し、乾燥して100nmホール200nmピッチのポジ型レジストパターンを形成した。
感放射線性樹脂組成物について、上記方法に従い、最適露光量(Eop)を照射して形成したレジストパターンのCDU性能を評価した。レジストパターンの測長には、走査型電子顕微鏡(S-9380、日立ハイテクノロジーズ製)を用いた。結果を下記表5に示す。
また、表5の結果においては、当該感放射線性樹脂組成物が、電子線露光におけるアルカリ現像の場合もCDU性能が良好であった。一方、比較例の感放射線性樹脂組成物は、CDU性能が実施例のものに対して劣っていることが示された。一般的に、電子線露光によれば、EUV露光の場合と同様の傾向を示すことが知られている。従って、本実施例の結果からEUV露光の場合においても、優れたCDU性能及び限界解像度を示すと推測される。
Claims (4)
- 下記式(1-1)又は下記式(1-2)で表される第1構造単位及び上記第1構造単位とは異なる酸解離性基を含む第2構造単位を有する第1重合体と、
スルホン酸又はジスルホニルイミド酸を発生する第1感放射線性酸発生体と
を含有し、
上記第1重合体における上記第1構造単位の含有割合が、上記第1重合体を構成する全構造単位に対して、10モル%以上70モル%以下であり、
上記第1感放射線性酸発生体が、多環構造を含む基を有し、かつ1又は複数のフッ素原子を有するアニオンを含む感放射線性樹脂組成物。
- 上記第1感放射線性酸発生体以外の第2感放射線性酸発生体をさらに含有し、
上記第2感放射線性酸発生体が発生する酸の酸性度が上記第1感放射線性酸発生体が発生する酸の酸性度よりも低い請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。 - 上記第1重合体よりもフッ素原子の質量含有率が大きい第2重合体をさらに含有する請求項1又は請求項2に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 基板の一方の面側に請求項1、請求項2又は請求項3に記載の感放射線性樹脂組成物を塗工する工程と、
上記塗工工程により得られるレジスト膜を露光する工程と、
上記露光されたレジスト膜を現像する工程と
を備えるレジストパターン形成方法。
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