JP6949363B2 - ドーパミン産生促進剤 - Google Patents

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Description

本発明は、ドーパミン産生促進剤に関する。
近年、高齢化社会に備えて、認知症の研究が進んでいる。認知症の一つにパーキンソン病がある。パーキンソン病は、ドーパミン作動性の神経細胞の変性及び脱落によって神経細胞のドーパミン産生能が低下することで、進行するといわれている。
そこで、従来、神経細胞のドーパミン産生能の低下を抑制、または、産生促進させる工夫がされてきた(たとえば、特許文献1,2)。
特開2006−321737号公報 特開2008−19242号公報 特開2015−208282号公報
本願発明者は、従来技術とは異なる物質であって、神経細胞のドーパミン産生能を促進させる物質について鋭意探求した。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、神経細胞のドーパミン産生能を促進させることができる新規なドーパミン産生促進剤を提供することを課題とする。
本発明のドーパミン産生促進剤は、6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート類又はその配糖体と、
不飽和脂肪酸およびポリフェノールの群から選ばれる1種以上と、
を有する。
本発明のドーパミン産生促進剤によれば、神経細胞のドーパミン産生能を促進させることができる。
実験例1のドーパミン産生試験結果を示す図である。 実験例2の6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート(6−MSITC)の毒性試験結果を示す図である。 実験例2のクルクミンの毒性試験結果を示す図である。 実験例2のDHAの毒性試験結果を示す図である。 実験例2のイソラムネチンの毒性試験結果を示す図である。
本実施形態のドーパミン産生促進剤は、(A)6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート(以下、「6−MSITC」ともいう。)類又はその配糖体等のイソチオシアネート類、(B)不飽和脂肪酸、並びに(C)ポリフェノールの群から選ばれる1種以上を有する。
(A)イソチオシアネート類
本実施形態において、イソチオシアネート類は、−NCS基を有する化合物をいう。イソチオシアネート類は、例えば、側鎖として脂肪族又は芳香族の基を有するとよい。脂肪族の基を有するイソチオシアネート類としては、例えば、イソプロピルイソチオシアネート、イソブチルイソチオシアネート、2−ブチルイソチオシアネート、イソアミルイソチオシアネート、アミルイソチオシアネート、アリルイソチオシアネート、3−ブテニルイソチオシアネート、4−ペンテニルイソチオシアネート、5−ヘキセニルイソチオシアネート、6−ヘプテニルイソチオシアネート、3−メチルチオプロピルイソチオシアネート、4−メチルチオブチルイソチオシアネート、5−メチルチオペンチルイソチオシアネート、6−メチルチオヘキシルイソチオシアネート、7−メチルチオヘプチルイソチオシアネート、4−メチルスルフィニルブチルイソチオシアネート、5−メチルスルフィニルペンチルイソチオシアネート、6−メチルスルフィニルへキシルイソチオシアネート、6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート類(6−MSITC類)、及び7−メチルスルフィニルヘプチルイソチオシアネートの群から選ばれた1種以上が挙げられ、中でも、4−メチルスルフィニルブチルイソチオシアネート、5−メチルスルフィニルペンチルイソチオシアネート、6−MSITC類、7−メチルスルフィニルヘプチルイソチオシアネートがよい。芳香族の基を有するイソチオシアネート類としては、例えば、フェネチルイソチオシアネートが挙げられる。
本実施形態において、イソチオシアネート類は、配糖体も含む概念である。
本実施形態において、イソチオシアネート類の中で好ましいのは、6−MSITC類又はその配糖体である。
本実施形態において、6−MSITC類とは、6−MSITC及び6−MSITC類似体を含む意味である。6−MSITCは、以下の化学式で表される。
Figure 0006949363
本実施形態において、6−MSITC類似体は、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートの天然に存在する類似体、及び合成して得られる天然に存在しない6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートの類似体を含む。例えば、6-メチルチオヘキシルイソチオシアネート(硫黄が酸化されていない、すなわちメチルスルフィド基を有する構造)及び6-メチルスルフォニルヘキシルイソチオシアネート(硫黄が過酸化された、すなわち、メチルスルフォニル基を含む構造)等を指す。
本実施形態に用いられる6−MSITC類は、例えば、アブラナ科植物に含まれている。アブラナ科の中でも、本わさびおよび/または西洋わさびは、多くの6−MSITC類を含んでいる。
本実施形態に用いられる6−MSITC類は、化学的な合成法により得ることができるが、植物から抽出・精製したものでもよい。6−MSITC類の原料となり得る植物としては、例えば、バティス科(Bataceae)、アブラナ科(Brassicaceae)、ブレッシュネイデラ科(Bretschneideraceae)、フウチョウソウ科(Capparaceae)、パパイア科(Caricaceae)、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、ギロステモン科(Gyrostemonaceae)、リムナンテス科(Limnanthaceae)、ワサビノキ科(Moringaceae)、ペンタディプランドラ科(Pentadiplandraceae)、ヤマゴボウ科(Phytolaccaceae)、トベラ科(Pittosporaceae)、モクセイソウ科(Resedaceae)、サルウァドラ科(Salvadoraceae)、トウァリア科(Tovariaceae)、ノウゼンハレン科(Tropaeolaceae)、の植物等を挙げることができる。具体的には、例えば、わさび(Wasabia japonica)[別名:本わさび]、西洋わさび(Armoracia rusticana)[別名:山わさび]、Batis maritima(和名不詳)、からし(Brassica juncea)、ブロッコリー(Brassica oleracea var.italica)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、ナズナ(Capsella bursa―pastoris)、クレソン(Nasturtium officinale)、Bretschneidera sinensis(和名不詳)、ケッパー(Capparis spinosa)、パパイア(Carica papaya)、Drypetes roxburghii(和名不詳別名);Putranjiva roxburghii(和名不詳)、Tersonia brevipes(和名不詳)、Limnanthes douglasii(和名不詳)、ワサビノキ(Moringa oleifera)、Pentadiplandra brazzeana(和名不詳)、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca americana)、Bursaris spinosa var.incana(和名不詳)、シノブモクセイソウ(Reseda alba)、Salvadora persica(和名不詳)、Tovaria pendula(和名不詳)、キンレンカ(Tropaeolum majus)等が挙げられる。ただし、本開示で用いることができる6−MSITC類は、上記の植物から得られるものに限定されるものではなく、6−MSITC類を含有するすべての天然資源を原料として用いることができる。
前記植物の抽出・精製方法としては、例えば、アブラナ科植物であるわさびや西洋わさびから6−MSITC類を抽出する方法等を挙げることができる。好ましい抽出方法は特許3919489号公報によって公開されている。
本実施形態において、6−MSITC類の配糖体は、6−MSITC類に糖残基が結合した化合物である。6−MSITC類に結合する糖残基は、グルコース、ラムノース、フルクトース及びガラクトースからなる群より選択される1以上の糖であるとよく、更にグルコースが好ましい。糖残基は単糖又は多糖のいずれでもよいが、単糖が好ましい。単糖とは、単糖分子からなる糖をいう。多糖とは、2以上の単糖分子が結合した糖鎖をいう。多糖は、2以上10以下の単糖が結合して形成されていることがよく、さらに2以上5以下の単糖が結合して形成されていることが好ましい。
6−MSITC類に結合している糖残基の結合位置は、NCS基部分であるとよく、さらに、Sに結合していることが好ましい。
6−MSITC類の配糖体は、例えば、グルコヘスペリンがある。グルコヘスペリンは、以下の化学式で表される化合物である。
Figure 0006949363
6−MSITC類の配糖体は、本わさびなど、6−MSITC類の配糖体を含む植物から得ることができる。例えば、当該植物について、加熱(電磁波、遠赤外線、焼成等も含む)、乾燥、凍結、酵素処理、化学的処理等の方法により酵素反応を停止させた後、水、有機溶媒などによる溶媒抽出又は圧搾、乾燥、粉砕、精製、酵素反応、化学反応等の手段を行うことにより、6−MSITC類の配糖体を抽出又は分離、精製を行う。また、6−MSITC類の配糖体は、化学的に合成して得ることもできる。
(B)不飽和脂肪酸
不飽和脂肪酸は、1又は2以上の二重結合を有する脂肪酸をいう。2以上の二重結合を有する不飽和脂肪酸がよい。不飽和脂肪酸の炭素数は特に限定しないが、12〜24がよく、更に15〜24が好ましく、18〜22が望ましい。
不飽和脂肪酸が有する二重結合の位置は、ω3位、ω6位、及びω9位のいずれか1箇所以上であることがよい。特に、不飽和脂肪酸は、ω3脂肪酸であることが好ましい。
ω3脂肪酸は、脂肪酸の少なくともω3位に二重結合を有する不飽和脂肪酸をいう。ω3脂肪酸としては、例えば、ドコサヘキサエン酸(DHA、22:6(△4,7,10,13,16,19))、ドコサペンタエン酸(DPA、22:5(△7,10,13,16,19))、エイコサペンタエン酸(EPA、20:5(△5,8,11,14,17))、α−リノレン酸(ALA、18:3(△9,12,15))が挙げられる。
ω3脂肪酸は、魚介類及び/又は魚油から抽出されるとよい。DHAは、例えば、青魚に含まれる。EPAは、例えば、タラ、ニシン、サバ、サケ、イワシ、オキアミなどの魚油に含まれる。この中、DHA、EPAがよく、さらに、DHAが望ましい。
(C)ポリフェノール
本実施形態において、ポリフェノールは、分子内に複数のフェノール性のヒドロキシ基を持つ化合物の総称をいう。ポリフェノールは、クルクミノイド及びフラボノイドの群から選ばれる1種以上からなることがよい。
クルクミノイドは、以下の式(I)で表されるとよい。
Figure 0006949363
(式中、Arは、OH基を有する芳香族基を示す。)
クルクミノイドは、クルクミンジメトキシクルクミン、ビスジメトキシクルクミンが挙げられ、この中、クルクミンが好ましい。クルクミンの中には、以下の式(I−I)から(I−IV)に示すものが例示される。
Figure 0006949363
クルクミンを有する成分としては、例えば、ウコンエキス、ウコン色素、又はターメリック色素などが挙げられる。
クルクミノイドはウコンから抽出されるとよい。クルクミンを含むクルクミノイドは、例えば、ウコン等を原料として有機溶媒、アルコール溶媒などを用いた抽出分離法、合成方法により得ることができる。
フラボノイドは、下記の式(II)で表されるフラボノールであることが好ましい。
Figure 0006949363
(式中、Xは−O又は−OHを示し、Yは−O又は−OHを示し、Zは−O又は−OHを示し、X、Y及びZには、あわせて2以上の−OHを有する。nは1〜4の整数を示し、mは1〜5の整数を示す。)
フラボノールとしては、以下の式(II−I)〜(II−XI)に示すものが挙げられる。この中、式(II−III)で示されるイソラムネチンが好ましい。
Figure 0006949363
Figure 0006949363
イソラムネチンを含有する成分としては、例えば、イチョウ(銀杏)エキスが挙げられる。
フラボノイドはイチョウ葉から抽出されるとよい。フラボノイドは、フラボノイドを含む植物から既知の方法により抽出する方法、又は既知の合成方法により得ることができる。イソラムネチンは、イチョウの葉から既知の方法で抽出することができる。
本実施形態のドーパミン産生促進剤は、6−MSITC類、ドコサヘキサエン酸(DHA)、クルクミン、イソラムネチンをそれぞれ単独又は2以上の組合せを有するとよい。
本実施形態のドーパミン産生促進剤は、以下の成分の組み合わせを有していてもよい。
・6−MSITC類及びDHA、
・6−MSITC類及びクルクミン、
・6−MSITC類及びイソラムネチン。
本実施形態のドーパミン産生促進剤が、(A)6−MSITC類及び(B)ドコサヘキサエン酸(DHA)を有する場合、(A)6−MSITC類に対する(B)DHAのモル比は、0.2以上400以下であることがよく、0.2以上80以下が好ましく、更には1以上80以下が望ましい。
本実施形態のドーパミン産生促進剤が(A)6−MSITC類及び(CI)クルクミンを有する場合、(A)6−MSITC類に対する(CI)クルクミンのモル比は、0.04以上25以下であることがよく、0.2以上25以下であることが好ましい。
本実施形態のドーパミン産生促進剤が(A)6−MSITC類及び(CII)イソラムネチンを有する場合、(A)6−MSITC類に対する(CII)イソラムネチンのモル比は、0.008以上5以下であることがよく0.04以上0.2以下であることが好ましい。
これらの場合には、神経細胞からドーパミンを産生させる効果を更に効果的に促進させることができる。
本実施形態のドーパミン産生促進剤の投与量は、患者の年齢、性別、体重、用法、用量などを考慮することにより決定される。用法としては、経口投与、血管注射、外用・塗布などが挙げられる。経口投与の場合、ドーパミン産生促進剤における6−MSITC類の1日あたりの投与量は10μg〜100mg/日がよく、不飽和脂肪酸の投与量は100mg/日〜10g/日がよく、ポリフェノールの投与量は0.1mg/日〜10g/日がよい。
本実施形態のドーパミン産生促進剤の用法が血管注射である場合、ドーパミン産生促進剤における6−MSITC類の一日あたりの投与量は1μg/日〜5mg/日がよく、不飽和脂肪酸の投与量は1mg/日〜100mg/日がよく、ポリフェノールの投与量は0.1μg/日〜1mg/日がよい。
本実施形態のドーパミン産生促進剤は、更に、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤等を配合することができる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、抗アレルギー剤、清涼剤、ビタミン類、他の生薬を配合することもできる。
本実施形態のドーパミン産生促進剤は、食品、医薬部外品、医薬品に含有されてもよい。
本実施形態のドーパミン産生促進剤を含有する食品の形態は任意であり、限定されるものではない。具体的な食品の形態としては、例えば、一般食品、一般飲料、サプリメント、健康食品、機能性表示食品、特定保健用食品などの保健機能食品及び特定用途食品、清涼飲料水、茶飲料、ドリンク剤、ワイン等のアルコール飲料、菓子、米飯類、パン類、麺類、惣菜類、調味料等が挙げられる。
本実施形態のドーパミン産生促進剤を含有する医薬部外品及び医薬品の用法は任意であり、限定されるものではないが、例えば、内用・外用剤等が挙げられる。
本実施形態のドーパミン産生促進剤を含有する化粧品及び医薬部外品の剤形は限定されるものではないが、例えば、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤、液剤、等が挙げられる。
本実施形態のドーパミン産生促進剤は、神経細胞によるドーパミンの産生を促進させる。本実施形態のドーパミン産生促進剤は、神経細胞に関与する病気又は症状を予防又は治療するために用いることができる。
本実施形態のドーパミン産生促進剤は、例えば、認知症、2型糖尿病、アルツハイマー型認知症、糖尿病、パーキンソン病、伝達性海綿状脳症 いわゆる「狂牛病」、甲状腺髄様癌、不整脈、動脈硬化症、関節リウマチ、大動脈中膜アミロイド、プロラクチン産生腫瘍、家族性アミロイドポリニューロパチー、遺伝的非ニューロパチー性アミロイドーシス、透析アミロイドーシス、フィンランド型アミロイドーシス、格子状角膜ジストロフィ、脳アミロイドアンギオパチー、全身性ALアミロイドーシス、封入体筋炎(Sporadic Inclusion Body Myositis)、褐色細胞腫、骨髄炎、多発性骨髄腫、脳炎、髄膜炎、プレアルツハイマー病、軽度認知障害、早期アルツハイマー病、後期アルツハイマー病、加齢に関連した認知症、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALSまたはルー・ゲーリッグ病)、プリオン病、クロイツフェルト・ヤコブ病、レビー小体病、フリードライヒ運動失調症、脳卒中、遺伝的脳障害、統合失調症、うつ病、双極性障害、注意欠如多動性障害(ADHD)、自閉症、アスペルガー症候群、およびダウン症候群からなる群から選択される神経障害の予防又は治療に用いることができる。
(実験例1)
各種成分を用いたPC12細胞のドーパミン産生試験を、以下のように実施した。
(1)各種成分調製
(a)6−MSITC(成分1)
6−MSITC(金印株式会社製)を入手した。本実施例で用いる6−MSITCは、化学的な合成法により得た。6−MSITCの化学合成法は具体的に説明すると以下のとおりである。
原理的にはKjaer等の方法に従う(Kjaer等, Acta chem.. Scand., 11, 1298, 1957)。6−クロロヘキサノールを用い、CH−SNaと還流して6−メチルチオヘキサノールを得る。これに塩化チオニル(SOCl)を作用させて、6−クロロヘキシルメチルサルファイドを得る。次にガブリエル法を用いて、フタルイミドカリウム塩により、アミノ基を導入し、N−(6−メチルチオヘキシル)−フタルイミドを生成する。これにヒドラジン水和物を加えて還流し、6−メチルチオヘキシルアミンを得た後、チオカルボニルクロライドを作用させて、6−メチルチオヘキシルイソチオシアネートを得る。
さらに、得られた6−メチルチオヘキシルイソチオシアネートを、m−クロロ過安息香酸でメチルチオ基を酸化し、6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート(6−MSITC)を得る(Morimitsu et. al., J.Biol.Chem., 277, 3456, 2002)。
また、本発明に関わる6−MSITCは、アブラナ科植物等に含まれており、これらの植物からの溶媒抽出もしくは粉砕によって得ることもできる。
100mgの6−MSITCをDMSO(ジメチルスルホキシド)溶媒に溶解して、100mMの6−MSITCを有する6−MSITC溶液を調製した。
(b)DHA(成分2)
DHA(ナカライテスク社製、製品番号14122−64)を入手した。このDHAは、青魚から抽出したものである。100mgのDHAをDMSO溶媒に溶解して、100mMのDHAを有するDHA溶液を調製した。
(c)クルクミン(成分3)
クルクミン(CAS番号458−37−7、東京化成工業社製、製品番号C2302)を入手した。クルクミンは、以下の化学式で表される。
Figure 0006949363
このクルクミンは、合成したものである。67.56mgのクルクミンをDMSO溶媒に溶解して、200mMのクルクミンを有するクルクミン溶液を調製した。
(d)イソラムネチン(成分4)
イソラムネチン(EXTRASYNTHESE社製、製品番号1120S)を入手した。イソラムネチンは、銀杏の葉から抽出したものである。10mgのイソラムネチンについてピペットを用いてDMSO溶媒に溶解して、10mMのイソラムネチンを有するイソラムネチン溶液を調製した。
(2)培地調製
以下の成分を含む増殖培地Aと分化培地Bとを準備した。
(a)増殖培地Aの成分
DMEM(Dulbecco’s Modified Eagle Medium,ナカライテスク社製、製品番号08458−45)
10wt%の馬血清(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、製品番号16050−122)
5wt%牛血清(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、製品番号10437−028)
1wt%ペニシリンストレプトマイシン(ナカライテスク社製、製品番号26253−84)
(b)分化培地Bの成分
DMEM(Dulbecco’s Modified Eagle Medium,ナカライテスク社製、製品番号08458−45)
2wt%馬血清(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、製品番号16050−122)
1wt%ペニシリンストレプトマイシン(ナカライテスク社製、製品番号26253−84)
(3)PC12細胞増殖
細胞培養用フラスコ(TPP社製)に、上記の増殖培地Aを入れ、更に、PC12細胞(理化学研究所製、製品番号RCB0009)を入れて増殖させた。PC12細胞は、ラットの副腎髄質由来の褐色細胞腫で、神経細胞分化のモデルである。PC12細胞は、コンフルエントが80−90%となったときに、増殖培地Aを入れた新しいフラスコに、増殖培地Aを入れた新しいフラスコに、増殖したPC12細胞を入れて、継代した。細胞が増殖した培養液と、新しい増殖培地Aとの割合は、1:5(体積比)とした。このような継代を3回以上繰り返した。このような継代を3回以上繰り返した。
(4)PC12細胞分化
96ウェルプレートの各ウェルに、(3)で得た継代後のPC12細胞を5×10/ml濃度で含む増殖培地Aを100μlずつ播種した。一晩室温に放置して、PC12細胞を安定化させた。プレートを遠心回転させて、プレートの各ウェルにPC12細胞を沈降させた。上澄み液を除去した。PC12細胞が沈降している各ウェルに、分化培地Bを100μlずつ入れて攪拌して、PC12細胞を分化培地Bに懸濁させた。
各ウェル内の分化培地BにNGF(Sigma−Aldrich社製、製品番号N2513)を加えた。すべてのウェル内の培地に含まれるNGF濃度が50ng/mlであった。
更に、各ウェル内の培地に、(1)で調製した各種成分1〜4を1種類で又は2種類の組合せで各種濃度となるように加え、それぞれ試料1〜39とした。表1には、各ウェル内の培地における、各試料を構成する成分の濃度を示した。
Figure 0006949363
Figure 0006949363
プレートを二酸化炭素インキュベータ(5%CO、37℃)内に入れて、PC12細胞を72時間培養した。
(5)ドーパミン産生の評価
各上澄み液中のドーパミン濃度を測定した。ドーパミン濃度の測定は、仕様書にしたがって、ELIZA KIT(ImmuSmol社製、品番:BA−E−5300)を用いて行った。コントロールの上澄み液中のドーパミン濃度を1としたときの、各試料を用いた場合の上澄み液中のドーパミン濃度の比率を百分率(%)で示した。測定結果を図1に示した。
図1において、「M」、「C」、「D」、「I」は、順に、「6−MSITC」、「クルクミン」、「DHA」、「イソラムネチン」を意味する。図2〜図5においても同様である。図1において、τは統計的に有意であることを意味している。*は成分を2つ組み合わせたことで相乗効果が認められたものを意味する。ここで、相乗効果とは、各成分を単独で用いたときのドーパミン産生量の和よりも、両者を組み合わせて使用する方が多くのドーパミン産生量を産生し得ることをいう。
図2に示すように、6−MSITC、クルクミン、DHA、イソラムネチンのいずれかが培地に含まれることにより、これらを含まない場合に比べて、ドーパミン産生能が高められた。6−MSITCのドーパミン産生効果は、クルクミン、DHA、イソラムネチンに比べて高かった。
6−MSITCを培地に加えた場合には、6−MSITCが0.5μM、2.5μMのときに、コントロールに比べて、PC12細胞のドーパミン産生量が多かった。クルクミンを培地に加えた場合には、クルクミンが0.1μM、2.5μMのときに、コントロールに比べて、PC12細胞のドーパミン産生量が多かった。DHAを培地に加えた場合には、DHAが0.5μM、40μMのときに、コントロールに比べて、PC12細胞のドーパミン産生量が多かった。イソラムネチンを培地に加えた場合には、イソラムネチンが0.02μM、0.1μM、0.5μMのときに、コントロールに比べて、PC12細胞のドーパミン産生量が多かった。
6−MSITCとそれ以外の成分とを組み合わすことにより、1種類の成分を用いた場合に比べて、ドーパミン産生量が高くなる傾向が認められた。6−MSITCとクルクミンの組み合わせの場合には、6−MSITCが0.1〜2.5μM、クルクミンが0.1〜2.5μMであるときにドーパミン産生量が多かった。6−MSITCとDHAとの組み合わせの場合には、6−MSITCが0.1〜2.5μM、DHAが0.5〜40μMであるときにドーパミン産生量が多かった。6−MSITCとイソラムネチンとの組み合わせの場合には、6−MSITCが0.1〜2.5μM、イソラムネチンが0.02〜0.5μMであるときにドーパミン産生量が多かった。
(実験例2)
PC12細胞に対する各成分の毒性について、MTT(3−(4,5−di−methylthiazol−2−yl)−2,5−diphenyltetrazolium bromide, yellow tetrazole)試薬を用いて調査した。
PC12細胞に対する各成分の毒性を調査するために、培地に添加する成分以外の点で、上記(実験例1)の(1)〜(4)と同様に、PC12細胞を培養した。(4)において各ウェル内の分化培地Bに添加される成分は、6−MSITC(成分1)、クルクミン(成分3)、DHA(成分2)、又はイソラムネチン(成分4)のいずれかである。分化培地B中での各成分の濃度は、6−MSITC(成分1)については、0(コントロール)、2.5μM、5μM、10μM、20μM、40μM、80μM、160μMとし、クルクミン(成分3)については、0(コントロール)、2.5μM、5μM、10μM、20μM、40μMとし、DHA(成分2)については、0(コントロール)、2.5μM、5μM、10μM、20μM、40μM、80μM、160μMとし、イソラムネチン(成分4)については、0(コントロール)、0.02μ,、0.1μM、0.5μM、1μM、2.5μM、5μM、10μMとした。
上記(実験例1)の(4)PC12細胞分化においてPC12細胞を72時間培養した後、MTT試薬(ナカライテスク社製、製品番号23547−21、MTT5mg/ml inリン酸緩衝生理食塩水)を10μl/ウェル添加した。更に、二酸化炭素インキュベータ(5%CO、37℃)内に入れて、PC12細胞を4時間培養した。
プレートを遠心回転させてウェルに細胞を沈降させて、上澄み液を除去した。各ウェルにDMSOを100μl/ウェル添加し、振とう攪拌して、PC12細胞をDMSOに懸濁させて細胞液を得た。
各ウェル内の細胞液について、それぞれ490nmの吸光度を測定した。コントロールの細胞液の吸光度を分母、各試料を含む培養液で培養したPC12細胞の細胞液の吸光度を分子とする分数を小数に変換した値をもとめ、この値をMTTアッセイとして示した。6−MSITC、クルクミン、DHA、及びイソラムネチンを用いた場合の測定結果を、順に、図3、図4、図5、図6に示した。
6−MSITC、クルクミン、DHA、及びイソラムネチンを用いた場合には、これらを用いなかった場合(コントロール)に比べて、MTTアッセイが高かった。このことから、6−MSITC、クルクミン、DHA、及びイソラムネチンは、毒性の低い成分であることがわかった。

Claims (5)

  1. 6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートと、
    ドコサヘキサエン酸と、
    を有し、
    前記6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートの濃度が0.5−2.5μmol/Lであり、前記ドコサヘキサエン酸の濃度が0.5−40μmol/Lである、
    ドーパミン産生促進剤。
  2. 6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートと、
    イソラムネチンと、
    を有し、
    前記6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートの濃度が0.1−0.5μmol/Lであり、前記イソラムネチンの濃度が0.02−0.5μmol/Lである、
    ドーパミン産生促進剤。
  3. 6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートと、
    ドコサヘキサエン酸と、
    を有し、
    前記6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートの濃度が0.1−2.5μmol/Lであり、前記ドコサヘキサエン酸の濃度が0.5−40μmol/Lであり、
    前記6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートに対する前記ドコサヘキサエン酸のモル比は0.2以上80以下である、ドーパミン産生促進剤。
  4. 6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートと、
    クルクミンと、
    を有し、
    i)前記6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートの濃度が0.1μmol/Lであり、且つ、前記クルクミンの濃度が0.5−2.5μmol/Lであるか、
    ii)前記6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートの濃度が0.5μmol/Lであり、且つ、前記クルクミンの濃度が0.5μmol/Lであるか、または
    iii)前記6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートの濃度が2.5μmol/Lであり、且つ、前記クルクミンの濃度が0.5μmol/Lである、
    ドーパミン産生促進剤。
  5. 神経障害の予防又は治療に用いるための神経障害予防治療剤であって、
    前記神経障害予防治療剤は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のドーパミン産生促進剤を有する、神経障害予防治療剤。
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