JP5232992B2 - グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β阻害剤 - Google Patents

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Description

本発明は、2型糖尿病やアルツハイマー病などの予防や治療に有用な新規なグリコーゲンシンターゼキナーゼ3β阻害剤に関する。
糖尿病は、膵ランゲルハンス島β細胞のインスリン分泌機能の不全によってインスリンの供給不全が起こり、これにインスリン感受性の低下が加わって発症する疾患であり、膵臓からのインスリン分泌の障害に主な発症要因がある1型糖尿病と、肝臓や筋肉などの末梢組織でのインスリン感受性の低下に主な発症要因がある2型糖尿病に大別される。2型糖尿病は、糖尿病全体の90%近くを占めており、最近では若年層にも増加しつつある。現在、2型糖尿病の治療には、スルホニル尿素系薬剤、ビグアナイド系薬剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン誘導体、速効型インスリン分泌促進薬などが用いられているが、近年、新たな作用機序に基づく2型糖尿病予防・治療剤の有効成分となりうる物質として、インスリン作用伝達の下流に位置するグリコーゲンシンターゼキナーゼ3β(GSK-3β)を阻害する物質が注目されている(図4)。GSK-3βは糖尿病態で亢進が見られるリン酸化酵素であり、これを阻害することで肝臓の糖新生律速酵素であるホスホエノールピルベートカルボキシキナーゼ(PEPCK)やグルコース-6-ホスファターゼ(G6Pase)の機能亢進が抑えられ、高血糖を緩和できることが示されている。
また、アルツハイマー病の原因は、未だ完全には解明されてはいないが、タウタンパク質のリン酸化が脳の萎縮や神経原繊維変化を引き起こすことから、そのリン酸化酵素であるGSK-3βを阻害する物質が新たなアルツハイマー病予防・治療剤の有効成分として期待されている(図5)。
以上のように、GSK-3βを阻害する物質は、2型糖尿病やアルツハイマー病などの予防や治療に有用であることから、その研究開発が盛んに行われており、既に種々のGSK-3βを阻害する物質が見出されている(例えば非特許文献1を参照のこと)。しかしながら、その多くは化学合成によって創薬されたものであることから、優れたGSK-3β阻害作用を有していても副作用が強いといった場合がある。従って、食材として用いられている植物などの天然資源から、GSK-3βに対して優れた阻害作用を有するとともに安全な物質を探索することは非常に意義深い。
Laurent Meijer, Marc Flajolet and Paul Greengard, Pharmacological inhibitors of glycogen synthase kinase 3, TRENDS in Pharmacological Sciences Vol.25 No.9 September 2004 p471-480
そこで本発明は、2型糖尿病やアルツハイマー病などの予防や治療に有用な新規なGSK-3β阻害剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の点に鑑みて鋭意研究を行った結果、ワサビに含まれる化合物としてよく知られている6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートが優れたGSK-3β阻害作用を有することを見出した。
上記の知見に基づいてなされた本発明のGSK-3β阻害剤は、請求項1記載の通り、一般式:S=C=N-(CH2)n-S(O)m-R(Rは低級アルキル基、mは1または2、nは2〜10の整数である)で表される化合物を有効成分とすることを特徴とする(但し、2型糖尿病とアルツハイマー病の予防・治療の用途を除く)
また、請求項2記載のGSK-3β阻害剤は、請求項1記載のGSK-3β阻害剤において、有効成分が前記一般式で表される化合物においてmが1で表される化合物であることを特徴とする。
また、請求項3記載のGSK-3β阻害剤は、請求項1または2記載のGSK-3β阻害剤において、有効成分が6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートであることを特徴とする。
本発明によれば、2型糖尿病やアルツハイマー病などの予防や治療に有用な新規なGSK-3β阻害剤が提供される。
本発明のGSK-3β阻害剤は、一般式:S=C=N-(CH2)n-S(O)m-R(Rは低級アルキル基、mは1または2、nは2〜10の整数である)で表される化合物を有効成分とすることを特徴とするものである。
上記の一般式において、低級アルキル基とは、炭素数が1〜6の直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。
上記の一般式で表される化合物の内、代表的な化合物としては、次の化合物が挙げられる。
・ 4-メチルスルフィニルブチルイソチオシアネート(S=C=N-(CH2)4-SO-Me)
・ 6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート(S=C=N-(CH2)6-SO-Me)
・ 6-メチルスルフォニルヘキシルイソチオシアネート(S=C=N-(CH2)6-SO2-Me)
・ 7-メチルスルフィニルヘプチルイソチオシアネート(S=C=N-(CH2)7-SO-Me)
・ 8-メチルスルフィニルオクチルイソチオシアネート(S=C=N-(CH2)8-SO-Me)
・ 9-メチルスルフィニルノニルイソチオシアネート(S=C=N-(CH2)9-SO-Me)
これらの化合物は、いずれも文献公知の化合物であり、市販もされている化合物である。中でも、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートは、ワサビに含まれる化合物としてよく知られている(その単離精製方法については例えばH. Etoh, et al., Agric. Biol. Chem., 54, 1587-1589 (1990)を参照のこと)。また、J. Kawabata, et al., Agric. Biol. Chem., 53, 3361-3362 (1989)には、8-メチルスルフィニルオクチルイソチオシアネートの合成方法が記載されており、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートは、8-メチルスルフィニルオクチルイソチオシアネートの合成方法に準じて合成することができる。なお、6-メチルスルフォニルヘキシルイソチオシアネートは、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートを酸化することにより合成することができる。その他の化合物についても、同様の方法で合成することができる。
上記の一般式で表される化合物は、GSK-3β阻害剤の有効成分として用いることができる。医薬品としてヒトや動物に対して投与する場合の投与方法は、経口的な投与方法であってもよいし、非経口的な投与方法であってもよい。非経口的な投与方法としては、例えば、静脈注射、筋肉内注射、皮下注射、腹腔内注射、経皮投与、経肺投与、経鼻投与、経腸投与、口腔内投与、経粘膜投与などが挙げられ、この場合、本発明のGSK-3β阻害剤は、これらの投与方法に適した形態に自体公知の方法で製剤化されて投与される。製剤形態としては、例えば、注射剤、坐剤、エアゾール剤、経皮吸収テープ、点眼剤、点鼻剤などが挙げられる。注射剤を調製する場合、適宜、pH調整剤、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤などを添加して注射剤とする。経口投与製剤としては、例えば、錠剤(糖衣錠、コーティング錠、バッカル錠を含む)、散剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)、顆粒剤(コーティングしたものを含む)、丸剤、トローチ剤、液剤、これらの製剤学的に許容され得る徐放化製剤などが挙げられる。液剤には、懸濁剤、乳剤、シロップ剤(ドライシロップを含む)、エリキシル剤などを含む。例えば、錠剤は、公知の製剤学的製造法に準じ、薬学的に許容され得る担体、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤などとともに調製することができる。この場合、担体や賦形剤としては、例えば、乳糖、ブドウ糖、白糖、マンニトール、馬鈴薯デンプン、トウモロコシデンプン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、結晶セルロース、カンゾウ末、ゲンチアナ末などを用いることができる。結合剤としては、例えば、デンプン、トラガントゴム、ゼラチン、シロップ、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどを用いることができる。崩壊剤としては、例えば、デンプン、寒天、ゼラチン末、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、結晶セルロース、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、アルギン酸ナトリウムなどを用いることができる。滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、水素添加植物油、マクロゴールなどを用いることができる。着色剤としては、医薬品に添加することが許容されているものを用いることができる。錠剤や顆粒剤は、必要に応じ、白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、精製セラック、グリセリン、ソルビトール、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、フタル酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルメタクリレート、メタアクリル酸重合体などで被膜してもよいし、2層以上の層で被膜してもよい。さらにエチルセルロースやゼラチンなどを用いてカプセル化してもよい。
本発明のGSK-3β阻害剤が有効に作用する疾患は、例えば、2型糖尿病やアルツハイマー病である。本発明のGSK-3β阻害剤をこれらの疾患に対する予防・治療剤として患者に投与する場合、その投与量は、患者の年齢や体重、症状の程度、健康状態などの条件によって適宜設定すればよいが、標準的には、成人1日当たり約10mg〜約10gを、経口的または非経口的に1日1回〜数回にて投与すればよい。点眼剤の場合、有効成分の濃度が0.003〜5(w/v)%の点眼剤を、1日数回、1回数滴投与すればよい。
また、本発明のGSK-3β阻害剤は、種々の形態の食品(サプリメントを含む)に、GSK-3β阻害作用を発揮するに足る有効量を添加して食してもよい(体重1kg当たり0.1mg〜100mgの摂取が標準的である)。
また、本発明のGSK-3β阻害剤は、研究試薬として利用することもできる。


以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、以下の記載に何ら限定して解釈されるものではない。
実施例1:6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートのGSK-3β阻害活性測定
6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート(LKT laboratories, Inc.より購入)の10μM(溶媒:DMSO)におけるGSK-3β阻害活性を、Leclerc, S., et al., J. Biol. Chem., 276, 251(2001)記載の方法に従って測定した。即ち、昆虫のSf21細胞に発現させたヒトGSK-3βと5μMのPhospho-Glycogen Synthase Peptide-2を基質として用い、20mM MOPS (pH7.2)、5mM EGTA、20mM MgCl2、1mM DTT、25mM β-Glycerophosphate、1mM Na3VO4、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート(終濃度10μM)を添加した反応液(1% DMSO含有)にて37℃、15分間プレインキュベーションした後、基質として[32P]-γ-ATPを加え30分間反応させた。反応後、反応液をホスフォセルロースペーパーにスポット後、十分に1%リン酸水溶液中で洗浄してから乾燥し、液体シンチレーションカウンターにてリン酸化されたPhospho-Glycogen Synthase Peptide-2のカウントを測定した。その結果、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートのGSK-3βによるリン酸化反応に対する阻害率は42%であった(対:6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートを添加しないコントロール)。従って、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートは、GSK-3βに対して優れた阻害作用を有することがわかった。一方、比較対照として、6-メチルスルフェニルヘキシルイソチオシアネート(S=C=N-(CH2)6-S-Me:LKT laboratories, Inc.より購入)の10μM(溶媒:DMSO)におけるGSK-3β阻害活性を測定したところ、阻害率は4%であった(対:6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートを添加しないコントロール)。従って、わずかな化学構造の違いでGSK-3β阻害活性が大きく異なることがわかった。
実施例2:6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートおよびその類縁体の別法によるGSK-3β阻害活性測定
表1に示す化合物(LKT laboratories, Inc.より購入)のGSK-3β阻害活性を、より簡便なGSK-3β活性の測定方法である基質のATPの減少を化学発光により定量する方法で測定した。即ち、40mM Tris-HCl (pH7.5)、20mM MgCl2、0.1mg/ml BSA、0.2mM DTTの緩衝液に、1μM ATP、25ng ヒトGSK-3β、メタノールに所定の濃度で溶解した化合物2.5μlを加えて37℃、10分間プレインキュベーションした後、基質として2.5μMのPhospho-Glycogen Synthase Peptide-2を加え120分間反応させた。反応後、プロメガ社のKinase-Glo Luminecent Kinase Assayを説明書通りに加え、10分後プレートリーダーにて反応によって減少したATP量を定量した。10μMでのそれぞれの化合物のGSK-3βによるリン酸化反応に対する阻害率(%,対:被検物質を添加しないコントロール,n=2の平均)を表1に示す。表1から明らかなように、比較対照とした6-メチルスルフェニルヘキシルイソチオシアネート以外は、その構造に応じてGSK-3β阻害活性を有していた。
Figure 0005232992
実施例3:dexamethasoneとBt2cAMP(Dex/Bt2cAMP)で刺激した細胞におけるPEPCKとG6Paseの遺伝子発現に及ぼす6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートの作用
Lochhead, P.A., et al., Diabetes, 50, 937-946 (2001)記載の方法に従って、ラット肝臓由来細胞H4IIEを用いて調べた。即ち、10%牛胎仔血清を含むDMEMで培養し、コンフルエントとした細胞を無血清条件で24時間培養した後、500nM dexamethasoneおよび0.1mM Bt2cAMPを含むDMEM+0.1%牛血清アルブミン(BSA)培地に交換すると同時に、インスリン、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート、6-メチルスルフェニルヘキシルイソチオシアネート、メタノールのいずれかを加えるか、またはいずれも加えない条件で24時間培養した。また、コントロールとしてDMEM+0.1%BSA培地のみで細胞を培養した。培養後、それぞれの細胞からtotal RNAを調製し、Northern blotting法にてPEPCKおよびG6Paseの遺伝子発現量を定量した。結果をそれぞれ図1と図2に示す。なお、図1における縦軸は、Dex/Bt2cAMPで刺激した細胞におけるPEPCK遺伝子の発現量を100とした相対量(%)であり、平均±標準誤差(n=6〜9)を表す。図2における縦軸は、Dex/Bt2cAMPで刺激した細胞におけるG6Pase遺伝子の発現量を100とした相対量(%)であり、平均±標準誤差(n=6〜10)を表す。化合物Aは6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートを表し、化合物Bは6-メチルスルフェニルヘキシルイソチオシアネートを表す(溶媒:メタノール)。異なる符号は処理間の有意差を示す(p<0.05)。
図1と図2から明らかなように、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートは、Dex/Bt2cAMPで刺激した細胞におけるPEPCKとG6Paseの遺伝子発現を顕著に抑制し、その程度はインスリン(10nM)とほぼ同じであった。一方、6-メチルスルフェニルヘキシルイソチオシアネートには、Dex/Bt2cAMPで刺激した細胞におけるPEPCKとG6Paseの遺伝子発現を抑制する作用は認められなかった。
実施例4:Dex/Bt2cAMPで刺激した細胞の培地へのグルコース放出に及ぼす6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートの作用
Ito, Y., et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 70, 2191-2198 (2006)記載の方法に従って、ラット肝臓由来細胞H4IIEを用いて調べた。即ち、10%牛胎仔血清を含むDMEMで培養し、コンフルエントとした細胞を無血清条件で24時間培養した後、500nM dexamethasoneおよび0.1mM Bt2cAMPを含むDMEM+0.1%牛血清アルブミン(BSA)培地に交換すると同時に、インスリン、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート、6-メチルスルフェニルヘキシルイソチオシアネート、メタノールのいずれかを加えるか、またはいずれも加えない条件で24時間培養した。また、コントロールとしてDMEM+0.1%BSA培地のみで細胞を培養した。その後、細胞をリン酸緩衝液で洗浄し、20mMピルビン酸ナトリウムおよび2mM乳酸ナトリウムを含むDMEM(グルコースおよびフェノールレッド不含)培地に替え、さらに4時間培養した後、培養上清を回収し、培養液中のグルコース量を測定し、プレートのタンパク質量で補正した。結果を図3に示す。なお、図3における縦軸は、Dex/Bt2cAMPで刺激した細胞の培地へのグルコース放出量(細胞タンパク質量で補正)を100とした相対量(%)であり、平均±標準誤差(n=8)を表す。化合物Aは6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートを表し、化合物Bは6-メチルスルフェニルヘキシルイソチオシアネートを表す(溶媒:メタノール)。異なる符号は処理間の有意差を示す(p<0.05)。
図3から明らかなように、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートは、Dex/Bt2cAMPで刺激した細胞における糖新生を抑制することで、培地へのグルコース放出を抑制した。一方、6-メチルスルフェニルヘキシルイソチオシアネートには、培地へのグルコース放出を抑制する作用は認められなかった。従って、実施例3と実施例4の結果から、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートの、Dex/Bt2cAMPで刺激した細胞におけるPEPCKとG6Paseの遺伝子発現に及ぼす作用と糖新生に及ぼす作用との間には、相関性があることが確認できた。
実施例5:Dex/Bt2cAMPで刺激した細胞の培地へのグルコース放出に及ぼす6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート類縁体の作用
表2に示す化合物(LKT laboratories, Inc.より購入)について実施例4と同様にして調べた。結果を表2に示す。表2から明らかなように、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート類縁体も、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートと同様に、Dex/Bt2cAMPで刺激した細胞の培地へのグルコース放出を抑制する作用を有していた。
Figure 0005232992
製剤例1:注射剤
6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート1.5gを可溶化剤としてエタノールを含有する生理食塩水100 mlに溶解し(合計1.5 g/100 ml)、バイアルに充填した後、加熱殺菌を行って、静注用注射剤を製造した。
製剤例2:錠剤
以下の組成で各成分を混合し、打錠して、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートを50 mg含む500 mgの錠剤400個を製造した。
6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート ・・・ 20 g
馬鈴薯澱粉 ・・・ 6 g
ステアリン酸タルク ・・・ 4 g
6 % HPC乳糖 ・・・ 170 g
(合計200 g)
製剤例3:顆粒剤
以下の組成で各成分を混合し、圧縮成形し、粉砕し、整粒して、20〜50メッシュの5 %顆粒剤を製造した。
6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート ・・・ 10 g
乳糖 ・・・ 187 g
ステアリン酸マグネシウム ・・・ 3 g
(合計200 g)
製剤例4:カプセル剤
以下の組成で各成分をよく混合し、混合物を1号カプセルに充填して、カプセル剤300個を製造した。
6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート ・・・ 5 g
乳糖 ・・・ 40 g
馬鈴薯澱粉 ・・・ 50 g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース ・・・ 3.5 g
ステアリン酸マグネシウム ・・・ 1.5 g
(合計100 g)
製剤例5:点眼剤
以下の各成分を滅菌精製水100 mlに溶解し、常法により点眼剤を製造した。
6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート ・・・ 5 g
塩化ナトリウム ・・・ 0.9 g
塩化ベンザルコニウム ・・・ 微量
1 N 水酸化ナトリウム ・・・ 適量
1 N 塩酸 ・・・ 適量
エタノール ・・・ 適量
本発明は、2型糖尿病やアルツハイマー病などの予防や治療に有用な新規なGSK-3β阻害剤を提供することができる点において、産業上の利用可能性を有する。
実施例における、Dex/Bt2cAMPで刺激した細胞におけるPEPCKの遺伝子発現に及ぼす6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートの作用を示すグラフである。 同、Dex/Bt2cAMPで刺激した細胞におけるG6Paseの遺伝子発現に及ぼす6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートの作用を示すグラフである。 同、Dex/Bt2cAMPで刺激した細胞の培地へのグルコース放出に及ぼす6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートの作用を示すグラフである。 GSK-3β阻害作用と2型糖尿病の予防・治療との関係を示す図である。 同、アルツハイマー病の予防・治療との関係を示す図である。

Claims (3)

  1. 一般式:S=C=N-(CH2)n-S(O)m-R(Rは低級アルキル基、mは1または2、nは2〜10の整数である)で表される化合物を有効成分とすることを特徴とするグリコーゲンシンターゼキナーゼ3β阻害剤(但し、2型糖尿病とアルツハイマー病の予防・治療の用途を除く)
  2. 有効成分が前記一般式で表される化合物においてmが1で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載のグリコーゲンシンターゼキナーゼ3β阻害剤。
  3. 有効成分が6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートであることを特徴とする請求項1または2記載のグリコーゲンシンターゼキナーゼ3β阻害剤。
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