JPH1135479A - 蛋白質p82をチロシンリン酸化することを特徴とする糖尿病治療方法および糖尿病治療剤 - Google Patents

蛋白質p82をチロシンリン酸化することを特徴とする糖尿病治療方法および糖尿病治療剤

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JPH1135479A
JPH1135479A JP6194870A JP19487094A JPH1135479A JP H1135479 A JPH1135479 A JP H1135479A JP 6194870 A JP6194870 A JP 6194870A JP 19487094 A JP19487094 A JP 19487094A JP H1135479 A JPH1135479 A JP H1135479A
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protein
insulin
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tyrosine phosphorylation
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JP6194870A
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Koichiro Kitagawa
幸一郎 北川
Junji Hirano
淳史 平野
Hiroyuki Ono
博之 大野
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Ono Pharmaceutical Co Ltd
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Ono Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 蛋白質p82をチロシンリン酸化することを
特徴とする糖尿病治療方法、蛋白質p82をチロシンリ
ン酸化することを特徴とする糖尿病治療剤、蛋白質p8
2をチロシンリン酸化する誘導体、例えば、チアゾリジ
ン誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、
バナジン酸等を有効成分として含有する糖尿病治療剤、
および蛋白質p82を用いることを特徴とする糖尿病治
療剤のスクリーニング方法。 【効果】 蛋白質p82のチロシンリン酸化はグリコー
ゲン合成に必須のステップであり、蛋白質p82をチロ
シンリン酸化する本発明の治療方法、治療剤およびスク
リーニング方法は、高血糖状態の改善、糖尿病、特にイ
ンスリン非依存性糖尿病の予防および/または治療およ
び/または診断および/または測定に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は糖尿病の治療方法および
治療剤に関する。更に詳細に述べると、肝臓におけるイ
ンスリンのシグナル伝達系のキー蛋白質であるp82を
チロシンリン酸化(以下、本明細書では単にリン酸化と
いうこともある。)し、グリコーゲンの合成を促進する
ことを特徴とする糖尿病の治療方法、その治療方法のた
めの治療剤、蛋白質p82をチロシンリン酸化する物質
を有効成分として含有する糖尿病治療剤および蛋白質p
82を用いることを特徴とする糖尿病治療剤のスクリー
ニング方法に関する。
【0002】
【発明の背景】糖尿病とは、インスリン作用の不足に基
づいて糖の代謝機構が障害に陥る疾患であり、基本的な
特徴は耐糖機能の低下、慢性の高血糖である。糖尿病は
障害の原因によって二つに分類される。
【0003】一つは食物摂取により血糖値が上昇しても
インスリンが分泌されないかまたは分泌量が非常に少な
くなるタイプで、インスリン依存性糖尿病(IDDMま
たはI型糖尿病)と呼ばれている。インスリン依存性糖
尿病は、膵臓のβ細胞が破壊されることによって引き起
こされることがわかっている。治療法としては、インス
リンを体外より補給する方法がとられている。
【0004】他の一つは、インスリンは正常に分泌され
ているにも関わらず、末梢組織の応答機構が正常に作動
しなくなり、例えば、筋での糖取り込み促進作用の低
下、肝でのグリコーゲン合成抑制と糖新生の亢進等によ
り血糖値が低下しないタイプであり、インスリン非依存
性糖尿病(NIDDMまたはII型糖尿病)と呼ばれてい
る。米国では、40歳以上の人口の5%はインスリン非
依存性糖尿病に罹っていると言われるほど一般的な疾患
であるが、その原因は未だ解明されるには至っていな
い。
【0005】正常状態でのグルコース代謝は以下のメカ
ニズムで行われる。すなわち、食物として摂取された炭
水化物は小腸でグルコースにまで消化され、血中に取り
込まれる。血糖の上昇を膵臓のβ細胞が感知し、インス
リンを分泌する。インスリンは血流にのって標的末梢組
織(筋肉と肝臓)に作用し、血中のグルコースの吸収を
促進してグリコーゲンとして蓄積することによって血糖
値を低下させる。
【0006】具体的に説明すると、筋においてはグルコ
ーストランスポーター4(Glut 4)という糖輸送体が特
異的に発現されており、インスリンシグナル伝達にとも
なって Glut 4 が細胞内から細胞膜にトランスロケーシ
ョンすること、およびその数が増大することによって糖
の取り込み活性を促進する。一方、肝においては糖輸送
体として、その数は変化しないと言われているGlut 2が
存在する。また肝では、インスリンのシグナル伝達にと
もなって解糖系のキー蛋白質であるグルコキナーゼ、ホ
スホフルクトキナーゼ、ピルビン酸キナーゼの酵素誘導
促進が観察される。その結果、肝では糖吸収の増加、新
生された糖の血中への放出の抑制が生じる。また、肝で
はインスリンの作用によりグリコーゲン合成酵素の活性
促進およびホスホリラーゼキナーゼの抑制が生じ、グリ
コーゲンが組織内に蓄積する。
【0007】
【化1】
【0008】特にインスリンによるグリコーゲン合成調
節系は、現在、最も注目されている領域の一つである。
【0009】
【従来の技術】肝でのインスリンによるグリコーゲン合
成促進の作用機序は、セリン−スレオニンキナーゼカス
ケード系を中心に研究されており、
【0010】
【化2】
【0011】(MAPKKはmitogen-activated protei
n kinase kinase 、ISPKはinsulin-stimulated pro
tein kinase 、PP1Gはprotein phosphatase 1G、G
SK3はglycogen synthase kinase 3を意味する。)で
示される伝達経路の完成は肝におけるインスリンによる
グリコーゲンの合成調節機序の解明に大きな進歩をもた
らした。
【0012】一方、インスリンがインスリン受容体のα
サブユニットに結合すると、βサブユニットが自己リン
酸化され、同時に、受容体に内在するチロシンキナーゼ
部位が活性化される。このキナーゼによってリン酸化さ
れる基質としては、6種類の蛋白質が明らかにされてい
る。
【0013】一つは、1235個のアミノ酸からなる、分子
量185kDのインスリン受容体基質−1(IRS−
1)である。IRS−1がチロシンリン酸化されると、
ホスファチジルイノシトールをリン酸化する酵素である
PI3−キナーゼが結合し、活性化されることが判明し
ている。また、IRS−1を介してRasの活性化が生
じると考えられており、この間に関与する蛋白としてA
sh/Grb2(分子量25kD)およびSos(分子
量18kD)の結合物を介する経路が報告されている
が、まだ証明されるには至っていない。
【0014】1988年、クーパー (Cooper, G. J. S.) 等
は高血糖状態に伴い、インスリンと同様膵臓β細胞から
分泌されるホルモンを発見し、アミリンと命名した。彼
らはアミリンの生理作用としてインスリン作用を阻害す
ることから、アミリンはインスリン抵抗性の惹起物質で
あると指摘した。1991年、アミリンをトランスジェニッ
クマウスで過剰発現させるとインスリン非依存性糖尿病
が引き起こされるという決定的な報告がなされた。さら
に最近、アミリンが肝におけるインスリンによるグリコ
ーゲン合成促進作用を阻害することが報告された。しか
しながら、アミリンがインスリンの情報伝達系にどのよ
うに関与しているかについては現在のところ不明であ
る。
【0015】
【目的】本発明者らは、アミリンが肝におけるインスリ
ンのグリコーゲン合成促進作用を阻害することに注目
し、アミリンのインスリンによるチロシンリン酸化カス
ケード系阻害部位を検討した結果、分子量82Kdの蛋
白(p82)の同定に成功した。そして本発明者等は生
化学的検討の結果、p82蛋白は肝でのグリゴーゲン合
成に関与する蛋白であることを明らかにし、本発明を完
成した。
【0016】
【発明の構成】本発明は、(1)蛋白質p82をチロシ
ンリン酸化することを特徴とする糖尿病治療方法、
(2)蛋白質p82をチロシンリン酸化することを特徴
とする糖尿病治療剤、(3)蛋白質p82をチロシンリ
ン酸化する物質を有効成分として含有する糖尿病治療
剤、および(4)蛋白質p82を用いることを特徴とす
る糖尿病治療剤のスクリーニング方法に関する。
【0017】既に報告されているように肝においてイン
スリンはグリコーゲン合成を促進する。一方、アミリン
はインスリンのグリコーゲン合成促進作用を濃度依存的
に抑制する。本発明者らはこれはアミリンがインスリン
シグナル伝達系を阻害するためではないかと考え、イン
スリン依存的チロシンリン酸化カスケード系を抗ホスホ
チロシン抗体を用いたウエスタンブロット法で検討し
た。その結果、アミリン処理により特異的にチロシンリ
ン酸化が阻害される分子量82kDの蛋白の同定に成功
した。
【0018】以下、この蛋白質をその分子量からp82
と呼び、さらにチロシンリン酸化された蛋白質をpp8
2と呼ぶことにする。肝ではインスリンによりチロシン
リン酸化される蛋白が数個報告されているが、分子量8
2kDの蛋白の報告はされていない。分子量からみてこ
れはこれまでに知られていない全く新規な蛋白と推定さ
れる。また、本発明の蛋白p82はAsh/Grb2お
よびSosに対する抗体とは反応しないことより、蛋白
質p82はAsh/Grb2およびSosとは全く異な
る新規な蛋白と推定される。
【0019】本発明者等は、次にp82のチロシンリン
酸化度とグリコーゲン合成促進度の相関関係を種々の化
合物を用いて検討した。(±)−5−[4−(6−ヒド
ロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−
イルメトキシ)ベンジル]−2,4−チアゾリジンジオ
ン(CS−045)、ビタミンK5 およびバナジン酸は
肝においてグリコーゲン合成を促進することが報告され
ている。そこでこれらの化合物によるp82のチロシン
リン酸化の促進を検討したところ、すべての化合物がリ
ン酸化を促進した。この結果からp82蛋白のチロシン
リン酸化による活性化はインスリンによるグリコーゲン
合成酵素活性化に必須であり、またインスリン受容体以
後のシグナル伝達に関与する蛋白であることが明かにな
った。
【0020】従って、本発明は蛋白質p82をチロシン
リン酸化することを特徴とする糖尿病、とりわけインス
リン非依存性糖尿病の治療方法に関する。さらに、本発
明は蛋白質p82をチロシンリン酸化することを特徴と
する糖尿病、とりわけインスリン非依存性糖尿病治療剤
に関する。ここで、蛋白質p82をチロシンリン酸化す
ることを特徴とする糖尿病治療方法および糖尿病治療剤
とは、蛋白質p82をチロシンリン酸化することを主た
る作用メカニズムとするすべての糖尿病治療方法および
糖尿病治療剤を含むものである。
【0021】また、本発明は、蛋白質p82をチロシン
リン酸化する物質を有効成分として含有する糖尿病治療
剤に関する。ここで、蛋白質p82をチロシンリン酸化
する物質とは、現在、その活性を有することが確認され
ている物質だけでなく、今後、新たに活性を有すること
が確認されるであろうすべての物質が含まれる。現在、
チロシンリン酸化活性を有することが確認されている物
質としては、例えば、(1)一般式(I)
【0022】
【化3】
【0023】(式中、Xは酸素原子、硫黄原子またはイ
ミノ基を表わし、nは1〜3の整数を表わし、R1 は水
素原子またはC1〜4のアルキル基を表わし、R2 、R
3 およびR5 はそれぞれ独立して、水素原子、C1〜4
のアルキル基またはC1〜4のアルコキシ基を表わし、
4 は水素原子、C1〜4のアルキル基、
【0024】
【化4】
【0025】(基中、R6 はC1〜6のアルキル基、C
2〜6のアルケニル基、C4〜7のシクロアルキル基、
フェニル基、ナフチル基、あるいはニトロ基、ハロゲン
原子、NR7 8 基(基中、R7 およびR8 は水素原子
またはC1〜4のアルキル基を表わす。)、C1〜4の
アルキル基、C1〜4のアルコキシ基、水酸基から選ば
れる基1または2個で置換されているフェニル基または
ナフチル基、酸素原子、硫黄原子または窒素原子1個を
含有する4〜7員のヘテロ環、またはC6〜11のアラ
ルキルオキシ基を表わす。)で示されるチアゾリジン誘
導体、それらの非毒性塩および酸付加塩、(2)一般式
(II)
【0026】
【化5】
【0027】(式中、m個のR9 はそれぞれ独立して、
水素原子、C1〜4のアルキル基、ヒドロキシ基、アミ
ノ基、またはCOOR10基(基中、R10は水素原子また
はC1〜4のアルキル基を表わす。)を表わし、mは1
〜3の整数を表わす。)で示されるベンゼンまたはナフ
タレン誘導体、それらの非毒性塩および酸付加塩、
(3)バナジン酸が挙げられる。
【0028】より具体的には、一般式(I)で示される
化合物としては、5−[4−(6−ヒドロキシ−2,
5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イルメトキ
シ)ベンジル]−2,4−チアゾリジンジオン(CS−
045)、5−[4−[2−(6−ヒドロキシ−2,
5,7,8−テトラメチルクロマン−2−イル)エトキ
シ]ベンジル]−2,4−チアゾリジンジオン、5−
[4−(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチ
ルクロマン−2−イルメトキシ)ベンジル]−ロダニ
ン、5−[4−[2−(6−ヒドロキシ−2,5,7,
8−テトラメチルクロマン−2−イル)エトキシ]ベン
ジル]−ロダニン等が挙げられる。
【0029】一般式(II)で示される化合物としては、
4−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸、4−アミノ−1
−ナフトール、4−アミノ−2−ナフトール、1−アミ
ノナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、4−
アミノ−2−メチル−1−ナフトール(以下、ビタミン
5 と記す。)、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ
酸等が挙げられる。
【0030】ここで、適当な非毒性塩としては、アルカ
リ金属(カリウム、ナトリウム等)の塩、アルカリ土類
金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウ
ム塩、薬学的に許容される有機アミン(テトラメチルア
ンモニウム、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチ
ルアミン、シクロペチルアミン、ベンジルアミン、フェ
ネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジ
エタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミ
ン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルカミン
等)の塩が挙げられる。
【0031】また、適当な酸付加塩としては、塩酸塩、
臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩のような無機
酸塩、または酢酸塩、トルフルオロ酢酸塩、乳酸塩、酒
石酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、クエ
ン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスル
ホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸
塩、イセチオン酸塩、グルクロン酸塩、グルコン酸塩の
ような有機酸塩が挙げられる。一般式(I)および(I
I)で示される化合物は、それ自身公知であるか、また
は公知の方法により容易に製造することができる。
【0032】本発明に用いられる蛋白質p82をチロシ
ンリン酸化する物質は、高血糖状態の改善、糖尿病、特
にインスリン非依存性糖尿病の予防および/または治療
に有用である。本発明による蛋白質p82をチロシンリ
ン酸化する物質の各有効成分およびそれらの非毒性の塩
および酸付加塩を上記の目的で用いるには、通常、全身
的または局所的に、経口または非経口の形で投与され
る。投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方
法、処理時間等により異なるが、通常、一日一回から数
回経口投与されるか、または非経口投与(好ましくは、
静脈内投与)されるか、または一日1時間から24時間
の範囲で静脈内に持続投与される。
【0033】本発明化合物を投与する際には、経口投与
のための固体組成物、液体組成物およびその他の組成
物、非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤等として
用いられる。経口投与のための固体組成物には、錠剤、
丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれる。カプセ
ル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含ま
れる。
【0034】このような固体組成物においては、一つま
たはそれ以上の活性物質が、少なくとも一つの不活性な
希釈剤、例えばラクトース、マンニトール、マンニッ
ト、グルコース、ヒドロキシプロピルセルロース、微結
晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタ
ケイ酸アルミン酸マグネシウムと混合される。組成物
は、常法に従って、不活性な希釈剤以外の添加剤、例え
ばステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、繊維素グ
リコール酸カルシウムのような崩壊剤、グルタミン酸ま
たはアスパラギン酸のような溶解補助剤を含有していて
もよい。
【0035】錠剤または丸剤は必要により白糖、ゼラチ
ン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロースフタレートなどの胃溶性あるいは腸
溶性物質のフィルムで被覆していてもよいし、また2以
上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような
吸収されうる物質のカプセルも包含される。経口投与の
ための液体組成物は、薬学的に許容される乳濁剤、溶液
剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含む。このような液
体組成物においては、一つまたはそれ以上の活性物質
が、一般的に用いられる不活性な希釈剤(例えば精製
水、エタノール)に含有される。この組成物は、不活性
な希釈剤以外に湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味
剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
【0036】経口投与のためのその他の組成物として
は、一つまたはそれ以上の活性物質を含み、それ自体公
知の方法により処方されるスプレー剤が含まれる。この
組成物は不活性な希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムの
ような安定剤と等張性を与えるような安定化剤、塩化ナ
トリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のよう
な等張剤を含有していてもよい。スプレー剤の製造方法
は、例えば米国特許第 2,868,691号および同第 3,095,3
55号明細書に詳しく記載されている。
【0037】本発明による非経口投与のための注射剤と
しては、無菌の水性または非水性の溶液剤、懸濁剤、乳
濁剤を包含する。水性の溶液剤、懸濁剤としては、例え
ば注射用蒸留水および生理食塩水が含まれる。非水溶性
の溶液剤、懸濁剤としては、例えばプロピレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物
油、エタノールのようなアルコール類、ポリソルベート
80(登録商標)等がある。このような組成物は、さら
に防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補
助剤(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸)のよう
な補助剤を含んでいてもよい。
【0038】これらはバクテリア保留フィルターを通す
ろ過、殺菌剤の配合または照射によって無菌化される。
これらはまた無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌
化または無菌の注射用蒸留水または他の溶媒に溶解して
使用することもできる。非経口投与のためのその他の組
成物としては、一つまたはそれ以上の活性物質を含み、
常法により処方される外用液剤、軟コウ、塗布剤、直腸
内投与のための坐剤および腟内投与のためのペッサリー
等が含まれる。さらに本発明は、蛋白質p82を用いる
ことを特徴とする糖尿病治療剤のスクリーニング方法に
関する。
【0039】上記の情報伝達メカニズムから、p82蛋
白のチロシンリン酸化度を指標にした化合物スクリーニ
ングによってグリコーゲン合成活性の一次的な評価が行
なうことができる。例えば、Faoラット肝細胞をダル
ベッコ変法イーグル培地(10%牛胎児血清含有)を用
い、5%CO2 培養器中、37℃で8〜10日間培養す
る。その後、血清を含まないダルベッコ変法イーグル培
地で18時間処理した後、アミリンを添加し、さらに3
0分間培養する。そこにインスリンを添加し、一定時間
培養した後、氷冷したリン酸緩衝液で洗浄する。細胞を
ホモジナイズした後、遠心にてサイトゾル分画を回収す
る。この分画に抗ホスホチロシン抗体を添加し、反応さ
せ、プロテインGセファロースで回収する。pp82蛋
白をフェニルホスフェート溶液で溶出後、SDSサンプ
ル緩衝液に可溶化し、電気泳動させる。蛋白は、ニトロ
セルロース膜に転写後、抗ホスホチロシン抗体を用いた
ウエスタンブッロト法にて検出し、p82蛋白のリン酸
化度を定量する。従って、本発明によれば、蛋白質p8
2を用いることにより糖尿病、とりわけインスリン非依
存性糖尿病の治療剤のスクリーニングを行うことができ
る。さらに、本発明によれば、蛋白質p82を用いるこ
とにより糖尿病の診断をも行うことができる。
【0040】
【実施例】以下、実施例によって本発明を詳述するが、
これらは本発明を限定するものではない。
【0041】実施例1:p82の精製方法 Faoラット肝細胞をセルトレイ(225cm2 )を用
い、5%CO2 培養器中、37℃で7〜10日間培養し
た。培地はダルベッコ変法イーグル培地(10%牛胎児
血清含有)を用い、3日ごとに培地を変えた。細胞を、
血清を含まないダルベッコ変法イーグル培地で2時間処
理した後、200mMバナジン酸および100nMイン
スリンを添加し、10分間反応した。細胞を25mMト
リス緩衝液(バナジン酸200mM,プロテアーゼ阻害
剤を含む)に懸濁後、可溶化し、遠心にて上清を回収し
た。終濃度 0.1%オクタ(エチレングリコール)エーテ
ル(C12E8)を添加し、ミリポア膜ろ過をした。
【0042】抗ホスホチロシン抗体を結合させたプロテ
インGセファロースゲルを作成し、上記処理したサンプ
ル液を充填した。チロシンリン酸化蛋白(pp82)は
ゲルに吸着した。カラムを25mMトリス緩衝液で洗浄
後、10mMフェニルホスフェート液にてpp82を溶
出した。溶出液をセントリコン30で濃縮後、アセトン
沈殿法にて析出させた。精製pp82を電気泳動法にて
分離後、PVDF膜に転写し、トリプシン処理を行い、
液体クロマトグラフィーで分離した。このようにして精
製されたpp82から、公知の方法によってリン酸を除
去し、精製されたp82を得た。
【0043】実施例2:Fao肝細胞におけるグリコー
ゲン合成 Faoラット肝細胞(105個/dish)をダルベッ
コ変法イーグル培地(10%牛胎児血清含有)を用い、
5%CO2 培養器中、37℃で8日間培養した。その
後、血清を含まないダルベッコ変法イーグル培地で18
時間処理した後、Krebs−Ringer緩衝液で洗
浄した。続いてアミリンを添加し、さらに30分間培養
した。そこにインスリンを添加して10分間培養し、1
4C−Glucose(5mM、0.25μCi)を添加し
て1時間、37℃で培養した。その後、細胞を同緩衝液
で洗浄し、1N水酸化ナトリウム水溶液で1時間処理を
した。遠心にて細胞を回収し、75%エタノールで一夜
放置し、回収したグリコーゲンを液体シンチレーション
カウンターで測定した。その結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】表1より、アミリンがインスリンによるグ
リコーゲン合成促進作用を濃度依存的に抑制することが
確認された。
【0046】実施例3:p82蛋白のチロシンリン酸化
作用 Faoラット肝細胞(105個/dish)をダルベッ
コ変法イーグル培地(10%牛胎児血清含有)を用い、
5%CO2 培養器中、37℃で8日間培養した。その
後、血清を含まないダルベッコ変法イーグル培地で18
時間処理した後、アミリンを添加し、さらに30分間培
養した。そこにインスリンを添加してから10分間培養
し、氷冷したリン酸緩衝液で洗浄した。細胞をホモジナ
イズした後、遠心にてサイトゾル分画を回収した。p8
2蛋白は、抗ホスホロチロシン抗体の結合したセファロ
ースビーズで回収後、フェニルホスフェートで溶出し、
ウエスタンブロッティング法で検出した。精製pp82
をスタンダードとして、バンドのpp82量をデンシト
メーターで測定した。その結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】表2より、アミリンがインスリンによるp
82蛋白のチロシンリン酸化促進作用を抑制することが
確認された。
【0049】実施例4:p82蛋白のリン酸化度とグリ
コーゲン合成活性との相関性 CS−045、ビタミンK5 、バナジン酸について実施
例2および実施例3と同様に行い、表3に示す結果を得
た。
【0050】
【表3】
【0051】表3より、p82蛋白のチロシンリン酸化
を促進する化合物は、グリコーゲン合成を促進すること
が確認された。
【0052】製剤実施例1 以下の各成分を常法により混合した後、打錠して一錠中
に5mgの活性成分を含有する錠剤100錠を得た。 ・(±)−5−[4−(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマ ン−2−イルメトキシ)ベンジル]−2,4−チアゾリジンジオン ……500mg ・カルボキシメチルセルロースカルシウム ……200mg ・ステアリン酸マグネシウム ……100mg ・微結晶セルロース …… 9.2g
【0053】製剤実施例2 以下の各成分を常法により混合した後、打錠して一錠中
に5mgの活性成分を含有する錠剤100錠を得た。 ・ビタミンK5 ……500mg ・カルボキシメチルセルロースカルシウム ……200mg ・ステアリン酸マグネシウム ……100mg ・微結晶セルロース …… 9.2g
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 33/24 A61K 33/24 C07C 39/14 C07C 39/14 215/86 215/86 229/64 229/64 229/70 229/70 C07D 417/12 311 C07D 417/12 311 G01N 33/68 G01N 33/68 //(C07D 417/12 277:32 311:72)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蛋白質p82をチロシンリン酸化するこ
    とを特徴とする糖尿病治療方法。
  2. 【請求項2】 蛋白質p82をチロシンリン酸化するこ
    とを特徴とする糖尿病治療剤。
  3. 【請求項3】 蛋白質p82をチロシンリン酸化する物
    質を有効成分として含有する糖尿病治療剤。
  4. 【請求項4】 蛋白質p82を用いることを特徴とする
    糖尿病治療剤のスクリーニング方法。
JP6194870A 1994-07-27 1994-07-27 蛋白質p82をチロシンリン酸化することを特徴とする糖尿病治療方法および糖尿病治療剤 Pending JPH1135479A (ja)

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