JP6280050B2 - 肥満症予防又は治療剤,リウマチの予防又は治療剤 - Google Patents

肥満症予防又は治療剤,リウマチの予防又は治療剤 Download PDF

Info

Publication number
JP6280050B2
JP6280050B2 JP2014554372A JP2014554372A JP6280050B2 JP 6280050 B2 JP6280050 B2 JP 6280050B2 JP 2014554372 A JP2014554372 A JP 2014554372A JP 2014554372 A JP2014554372 A JP 2014554372A JP 6280050 B2 JP6280050 B2 JP 6280050B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
present
synoviolin
obesity
ubiquitination
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014554372A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2014103862A1 (ja
Inventor
中島 利博
利博 中島
英俊 藤田
英俊 藤田
聡子 荒谷
聡子 荒谷
尚子 八木下
尚子 八木下
Original Assignee
中島 利博
利博 中島
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 中島 利博, 利博 中島 filed Critical 中島 利博
Publication of JPWO2014103862A1 publication Critical patent/JPWO2014103862A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6280050B2 publication Critical patent/JP6280050B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/12Ketones
    • A61K31/122Ketones having the oxygen directly attached to a ring, e.g. quinones, vitamin K1, anthralin
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P29/00Non-central analgesic, antipyretic or antiinflammatory agents, e.g. antirheumatic agents; Non-steroidal antiinflammatory drugs [NSAID]
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/04Anorexiants; Antiobesity agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Diabetes (AREA)
  • Child & Adolescent Psychology (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Obesity (AREA)
  • Pain & Pain Management (AREA)
  • Rheumatology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)

Description

本発明は,シノビオリンの自己ユビキチン化活性を阻害するための剤や,そのような剤を含む,肥満症を予防又は治療するための医薬,リウマチを予防又は治療するための医薬に関する。
肥満は,脂肪組織の過剰な蓄積を引き起こし,糖尿病,循環器系疾患,うつ病などの様々な健康上のリスクを高める(非特許文献1参照)。この問題は,現代社会において非常に大きな経済的及び社会的損失を生じさせる。脂肪細胞代謝の分子メカニズムは広範囲に研究されている(非特許文献2及び3参照)。
シノビオリンは,リウマチ患者由来滑膜細胞で過剰発現している膜タンパク質として発見されたタンパク質である(特許文献1参照)。そして,遺伝子改変動物を用いた研究により,シノビオリンは関節リウマチの発症に必須の分子であることが判明した。
タンパク質構造予測システムにより,シノビオリンはリングフィンガー(RING finger)モチーフを有することが示唆されている。このモチーフはタンパク質のユビキチン化に重要な役割を果たすE3ユビキチンライゲースという酵素に多く見出されている。そして,シオビオリンがE3ユビキチンライゲースの特徴のひとつである自己ユビキチン化活性を有することが証明されている(特許文献1参照)。
国際公開第02/052007号パンフレット
Wickelgren,I. (1998). Obesity: how big a problem? Science 280, 1364-1367. Lefterova,M.I., and Lazar, M.A. (2009). New developments in adipogenesis. TrendsEndocrinol Metab 20, 107-114. Rosen, E.D.,and MacDougald, O.A. (2006). Adipocyte differentiation from the inside out. NatRev Mol Cell Biol 7, 885-896.
本発明は,シノビオリンの自己ユビキチン化活性を阻害するための剤を提供することを目的とする。
本発明は,肥満症の予防又は治療のための医薬を提供することを目的とする。
本発明は,リウマチの予防又は治療のための医薬を提供することを目的とする。
本発明は,基本的には,一般式(I)で示されるナフタレン誘導体,その医薬的に許容しうる塩,又はその医薬的に許容しうる溶媒和物(本発明の化合物)が,シノビオリンの自己ユビキチン化活性を阻害するという知見に基づく。
さらに本発明は,本発明の化合物が,シノビオリンの自己ユビキチン化活性を阻害し,これにより肥満症を治療又は予防できるという知見に基づく。
本発明の第1の側面は,一般式(I)で示されるナフタレン誘導体,その医薬的に許容しうる塩,又はその医薬的に許容しうる溶媒和物を含むシノビオリン蛋白質のユビキチン化活性阻害剤に関する。
Figure 0006280050
式(I)中,
〜Rは,同一でも異なってもよく,水素原子,水酸基,C1−3アルキル基,C1−3アルコキシ基,及びハロゲン原子のいずれかを表わす。ここで,R〜Rの少なくともひとつは水酸基である。
及びRは,同一でも異なってもよく,水素原子,C1−3アルキル基,及びハロゲン原子のいずれかを表わす。
及びXは,同一でも異なってもよく,酸素原子又は硫黄原子を表す。
−Aは,C−C(単結合),又はC=C(二重結合)を表す。
第1の側面の好ましい態様は,R及びRの少なくともひとつは水酸基であるシノビオリン蛋白質のユビキチン化活性阻害剤に関する。
第1の側面の好ましい態様は,一般式(I)において,A−Aは,C=Cを表すシノビオリン蛋白質のユビキチン化活性阻害剤に関する。このナフタレン誘導体は,以下の一般式(II)で示されるナフタレン誘導体である。
Figure 0006280050
第1の側面の好ましい態様は,一般式(I)において,X及びXは,ともに酸素原子を表し,A−Aは,C=Cを表すシノビオリン蛋白質のユビキチン化活性阻害剤に関する。このナフタレン誘導体は,以下の一般式(III)で示されるナフトキノン誘導体である。
Figure 0006280050
第1の側面の好ましい態様は,一般式(I)において,
〜Rは,同一でも異なってもよく,水素原子,水酸基,メチル基,メトキシ基,又は塩素原子を示し,R及びRの少なくともひとつは水酸基であり,
及びRは,同一でも異なってもよく,水素原子,又はメチル基を表し,
及びXは,ともに酸素原子を表し,
−Aは,C=Cを表す,
シノビオリン蛋白質のユビキチン化活性阻害剤である。
第1の側面の好ましい態様は,一般式(I)において,
及びRは,同一でも異なってもよく,R及びRの少なくともひとつは水酸基であり,残りの基は,水素原子,水酸基,メチル基,メトキシ基,又は塩素原子を表し,
及びRは,水素原子を表し,
及びRは,ともに,水素原子を表し,
及びXは,ともに酸素原子を表し,
−Aは,C=Cを表す,
シノビオリン蛋白質のユビキチン化活性阻害剤である。
第1の側面の好ましい態様は,
一般式(I)で示されるナフタレン誘導体が,
5,8-ジヒドロキシ-4a,8a-ジヒドロ-[1,4]ナフトキノン,
5-ヒドロキシ-4a,8a-ジヒドロ-[1,4]ナフトキノン,
5-ヒドロキシ-2,3,4a,8a-テトラヒドロ-[1,4]ナフトキノン,
5-ヒドロキシ-7-メトキシ-4a,8a-ジヒドロ-[1,4]ナフトキノン,
5-ヒドロキシ-8-メトキシ-4a,8a-ジヒドロ-[1,4]ナフトキノン,及び
5-クロロ-8-ヒドロキシ-4a,8a-ジヒドロ-[1,4]ナフトキノンのいずれか又は2つ以上である,
シノビオリン蛋白質のユビキチン化活性阻害剤である。
本発明の第2の側面は,上記したいずれかのシノビオリン蛋白質のユビキチン化活性阻害剤を含む肥満症の治療剤又は予防剤である。
本発明の第3の側面は,上記したいずれかのシノビオリン蛋白質のユビキチン化活性阻害剤を含むリウマチの治療剤又は予防剤である。
本発明によれば,肥満症の効果的な予防又は治療剤を提供することができる。
図1は、本発明の化合物によるシノビオリンのユビキチン化活性阻害を示すウエスタンブロットである。 図2Aは,3T3−L1細胞株の脂肪細胞分化誘導に対する,本発明の化合物の影響を示す写真である。 図2Bは,3T3−L1細胞株の脂肪細胞分化誘導に対する,本発明の化合物の影響を示す他の写真である。 図3Aは,野生型マウスにおける,本発明の化合物による体重変化への影響を示すグラフである。 図3Bは,肥満モデルマウスに対する,本発明の化合物による体重変化への影響を示すグラフである。 図3Cは,本発明の化合物による脂肪組織への影響を示す解剖写真である。
本発明は,基本的には,一般式(I)で示されるナフタレン誘導体,その医薬的に許容しうる塩,又はその医薬的に許容しうる溶媒和物(本発明の化合物)が,シノビオリンの自己ユビキチン化活性を阻害するという知見に基づく。
さらに本発明は,本発明の化合物が,シノビオリンの自己ユビキチン化活性を阻害し,これにより肥満症を治療又は予防できるという知見に基づく。
本発明の第1の側面は,一般式(I)で示されるナフタレン誘導体,その医薬的に許容しうる塩,又はその医薬的に許容しうる溶媒和物を含むシノビオリン蛋白質のユビキチン化活性阻害剤に関する。一般式(I)で示されるナフタレン誘導体,その医薬的に許容しうる塩,又はその医薬的に許容しうる溶媒和物を本発明の化合物ともよぶ。
本発明の化合物は,いずれも公知の化合物である。このため本発明の化合物は,公知の方法を用いて合成できる。さらに,本発明の化合物の多くは市販されている。このため,本発明の化合物は,市販されているものを適宜用いてもよい。
シノビオリン蛋白質のユビキチン化活性阻害剤は,シノビオリンの自己ユビキチン化活性を阻害するための剤を意味する。ユビキチン化活性を阻害するか否かは,実施例により示されたとおり,例えば,インビトロにおいてユビキチン化反応系を形成し,ユビキチン化した細胞数を測定することにより評価できる。シノビオリン蛋白質のユビキチン化活性阻害剤は,後述するように,例えば,リウマチの治療剤又は予防剤として有効であるほか,肥満症の治療剤又は予防剤としても有効である。
その医薬的に許容しうる塩とは,一般式(I)で示されるナフタレン誘導体の医薬的に許容しうる塩を意味する。また,その医薬的に許容しうる溶媒和物とは,一般式(I)で示されるナフタレン誘導体の医薬的に許容しうる溶媒和物を意味する。医薬的に許容しうる塩の例は,無機酸塩,有機酸塩,無機塩基塩,有機塩基塩,酸性または塩基性アミノ酸塩である。無機酸塩の例は,塩酸塩,臭化水素酸塩,硫酸塩,硝酸塩,リン酸塩である。有機酸塩の例は,酢酸塩,コハク酸塩,フマル酸塩,マレイン酸塩,酒石酸塩,クエン酸塩,乳酸塩,ステアリン酸塩,安息香酸塩,メタンスルホン酸塩,及びp−トルエンスルホン酸塩である。無機塩基塩の例は,ナトリウム塩,カリウム塩などのアルカリ金属塩,カルシウム塩,マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩,アルミニウム塩,及びアンモニウム塩である。有機塩基塩の例は,ジエチルアミン塩,ジエタノールアミン塩,メグルミン塩,及びN,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩である。酸性アミノ酸塩の例は,アスパラギン酸塩,及びグルタミン酸塩である。塩基性アミノ酸塩の例は,アルギニン塩,リジン塩,及びオルニチン塩である。溶媒和物の例は,水和物である。
本発明の化合物は,抽出,濃縮,留去,結晶化,ろ過,再結晶,各種クロマトグラフィーなどの通常の化学操作を適用し,公知の方法を用いて単離し精製することができる。
Figure 0006280050
式(I)中,
〜Rは,同一でも異なってもよく,水素原子,水酸基,C1−3アルキル基,C1−3アルコキシ基,及びハロゲン原子のいずれかを表わす。後述する実施例により実証されたとおり,R〜Rの少なくともひとつは水酸基である。
及びRは,同一でも異なってもよく,水素原子,C1−3アルキル基,及びハロゲン原子のいずれかを表わす。
及びXは,同一でも異なってもよく,酸素原子又は硫黄原子を表す。
−Aは,C−C(単結合),又はC=C(二重結合)を表す。A−Aが,C=C(二重結合)の場合,式(I)は,式(II)のように表される。
1−3アルキル基は,炭素数が1〜3個のアルキル基を意味する。C1−3アルキル基の例は,メチル基,エチル基,n−プロピル基,及びイソプロピル基である。C1−3アルキル基の好ましい例は,メチル基である。
1−3アルコキシ基は,炭素数が1〜3個のアルコシキ基を意味する。C1−3アルコシキ基の例は,メトキシ基,エトキシ基,n−プロポキシ基,及びイソプロポキシ基である。C1−3アルコキシ基の好ましい例は,メトキシ基である。
ハロゲン原子の例は,フッ素原子,塩素原子,臭素原子,及びヨウ素原子である。ハロゲン原子の好ましい例は塩素原子である。
第1の側面の好ましい態様は,R及びRの少なくともひとつは水酸基であるシノビオリン蛋白質のユビキチン化活性阻害剤に関する。
第1の側面の好ましい態様は,一般式(I)において,A−Aは,C=Cを表すシノビオリン蛋白質のユビキチン化活性阻害剤に関する。このナフタレン誘導体は,以下の一般式(II)で示されるナフタレン誘導体である。
Figure 0006280050
第1の側面の好ましい態様は,一般式(I)において,X及びXは,ともに酸素原子を表し,A−Aは,C=Cを表すシノビオリン蛋白質のユビキチン化活性阻害剤に関する。このナフタレン誘導体は,以下の一般式(III)で示されるナフトキノン誘導体である。
Figure 0006280050
第1の側面の好ましい態様は,一般式(I)において,
〜Rは,同一でも異なってもよく,水素原子,水酸基,メチル基,メトキシ基,又は塩素原子を示し,ここで,R〜Rの少なくともひとつは水酸基であり,
及びRは,同一でも異なってもよく,水素原子,又はメチル基を表し,
及びXは,ともに酸素原子を表し,
−Aは,C=Cを表す,
シノビオリン蛋白質のユビキチン化活性阻害剤である。
第1の側面の好ましい態様は,一般式(I)において,
及びRは,同一でも異なってもよく,R及びRの少なくともひとつは水酸基であり,残りの基は,水素原子,水酸基,メチル基,メトキシ基,又は塩素原子を表し,
及びRは,水素原子を表し,
及びRは,ともに,水素原子を表し,
及びXは,ともに酸素原子を表し,
−Aは,C=Cを表す,
シノビオリン蛋白質のユビキチン化活性阻害剤である。
第1の側面の好ましい態様は,
一般式(I)で示されるナフタレン誘導体が,
5,8-ジヒドロキシ-4a,8a-ジヒドロ-[1,4]ナフトキノン,
5-ヒドロキシ-4a,8a-ジヒドロ-[1,4]ナフトキノン,
5-ヒドロキシ-2,3,4a,8a-テトラヒドロ-[1,4]ナフトキノン,
5-ヒドロキシ-7-メトキシ-4a,8a-ジヒドロ-[1,4]ナフトキノン,
5-ヒドロキシ-8-メトキシ-4a,8a-ジヒドロ-[1,4]ナフトキノン,及び
5-クロロ-8-ヒドロキシ-4a,8a-ジヒドロ-[1,4]ナフトキノンのいずれか又は2つ以上である,
シノビオリン蛋白質のユビキチン化活性阻害剤である。
本発明の第2の側面は,上記したいずれかのシノビオリン蛋白質のユビキチン化活性阻害剤を含む肥満症の治療剤又は予防剤である。換言すれば,この肥満症の治療剤又は予防剤は,一般式(I)で示されるナフタレン誘導体,その医薬的に許容しうる塩,又はその医薬的に許容しうる溶媒和物(本発明の化合物)を有効成分として有効量含む肥満症の治療剤又は予防剤である。この肥満症の治療剤又は予防剤は,脂肪細胞の分化を抑制することで,対象の肥満化を防止することができ,これにより対象の肥満症を治療又は予防できる。実施例において実証されたとおり,シノビオリン蛋白質のユビキチン化活性を阻害することで,脂肪細胞の分化を抑制でき,これにより対象の肥満症を治療又は予防できる。
本発明の第3の側面は,上記したいずれかのシノビオリン蛋白質のユビキチン化活性阻害剤を含むリウマチの治療剤又は予防剤である。換言すれば,このリウマチの治療剤又は予防剤は,一般式(I)で示されるナフタレン誘導体,その医薬的に許容しうる塩,又はその医薬的に許容しうる溶媒和物(本発明の化合物)を有効成分として有効量含むリウマチの治療剤又は予防剤である。シノビオリン蛋白質のユビキチン化活性を阻害することで,リウマチの発現を予防したり,リウマチの症状が悪化する事態を防止するなどリウマチの治療に有効である。このように,本発明のリウマチの治療剤又は予防剤は,上記したいずれかのシノビオリン蛋白質のユビキチン化活性阻害剤を含むことで,リウマチの治療や予防にゆ工である。
本発明の薬剤(本発明の化合物を有効成分として有効量含むシノビオリン蛋白質のユビキチン化活性阻害剤,肥満症の治療剤又は予防剤,リウマチの治療剤又は予防剤)は,生理学的に許容される担体,賦形剤,あるいは希釈剤等と混合し,医薬組成物として経口,あるいは非経口的に投与することができる。経口剤としては,顆粒剤,散剤,錠剤,カプセル剤,溶剤,乳剤,あるいは懸濁剤等の剤型とすることができる。非経口剤としては,注射剤,点滴剤,外用薬剤,あるいは座剤等の剤型を選択することができる。注射剤には,皮下注射剤,筋肉注射剤,あるいは腹腔内注射剤等を示すことができる。外用薬剤には,経鼻投与剤,吸入剤(噴霧剤),あるいは軟膏剤等を示すことができる。主成分である本発明の薬剤を含むように,上記の剤型とする製剤技術は公知である。
例えば,経口投与用の錠剤は,本発明の薬剤に賦形剤,崩壊剤,結合剤,および滑沢剤等を加えて混合し,圧縮整形することにより製造することができる。賦形剤には,乳糖,デンプン,あるいはマンニトール等が一般に用いられる。崩壊剤としては,炭酸カルシウムやカルボキシメチルセルロースカルシウム等が一般に用いられる。結合剤には,アラビアゴム,カルボキシメチルセルロース,あるいはポリビニルピロリドンが用いられる。滑沢剤としては,タルクやステアリン酸マグネシウム等が公知である。
また注射剤は,主成分である本発明の薬剤を適当な分散剤とともに溶解,分散媒に溶解,あるいは分散させることにより得ることができる。分散媒の選択により,水性溶剤と油性溶剤のいずれの剤型とすることもできる。水性溶剤とするには,蒸留水,生理食塩水,あるいはリンゲル液等を分散媒とする。油性溶剤では,各種植物油やプロピレングリコール等を分散媒に利用する。このとき,必要に応じてパラベン等の保存剤を添加することもできる。また注射剤中には,塩化ナトリウムやブドウ糖等の公知の等張化剤を加えることができる。更に,塩化ベンザルコニウムや塩酸プロカインのような無痛化剤を添加することができる。
また,本発明の薬剤を固形,液状,あるいは半固形状の組成物とすることにより外用剤とすることができる。固形,あるいは液状の組成物については,先に述べたものと同様の組成物とすることで外用剤とすることができる。半固形状の組成物は,適当な溶剤に必要に応じて増粘剤を加えて調製することができる。溶剤には,水,エチルアルコール,あるいはポリエチレングリコール等を用いることができる。増粘剤には,一般にベントナイト,ポリビニルアルコール,アクリル酸,メタクリル酸,あるいはポリビニルピロリドン等が用いられる。この組成物には,塩化ベンザルコニウム等の保存剤を加えることができる。また,担体としてカカオ脂のような油性基材,あるいはセルロース誘導体のような水性ゲル基材を組み合わせることにより,座剤とすることもできる。
本発明の薬剤は,安全とされている投与量の範囲内において,ヒトを含む哺乳動物に対して,必要量(有効量)が投与される。本発明の薬剤の投与量は,剤型の種類,投与方法,患者の年齢や体重,患者の症状等を考慮して,最終的には医師または獣医師の判断により適宜決定することができる。本発明の薬剤は,例えば,1日当たり1回〜数回対象に投与される。本発明の薬剤を対象に投与する場合,有効成分である本発明の化合物は,例えば,1回あたり1μg以上10g以下投与され,10μg以上100mg以下投与されてもよい。
本発明は,対象であるヒト又はヒト以外の哺乳動物に対し,有効量の本発明の化合物を投与する工程を含む,前記対象のシノビオリン蛋白質のユビキチン化活性を阻害する方法や,肥満症の治療又は予防,リウマチの治療又は予防をも提供する。
以下,実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが,本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1:シノビオリンのユビキチン化活性阻害剤)
シノビオリンは,E3ユビキチンリガーゼであり,自己ユビキチン化活性を有していることが知られている(国際公開第02/052007号パンフレット)。そこで,シノビオリンのインビボ(in vivo)での機能も自己ユビキチン化活性に依存していると考え,シノビオリンの自己ユビキチン化活性を阻害する物質を探索した。
具体的には,被験対象の化合物をin vitro自己ubiquitin化反応系(50mM Tris−HCl (pH7.5), 5m M
MgCl, 2mM ATP, 1 mM DTT, 0.1% NP−40, 800ng ubiquitin−FLAG, 15ng His−E1 (human), 250 ng E2 (His−UBE2G2), 100ng GST−SYNOΔTM, total 15μL)に任意の濃度の希釈系列で添加し,37度で60分間反応を行った。反応液中のタンパク質を7.5%SDS−PAGEで分離後,PVDF膜に転写し,抗FLAG抗体を用いてウエスタンブロットを行った。結果を表1及び図1に示す。なお,表1中の数値はユビキチン化活性のIC50値である。
Figure 0006280050
表1から,本発明の化合物を含む表1に記載された化合物は,シノビオリンの自己ユビキチン化活性を強く阻害することが分かった。また,表1から化合物351の化合物は,シノビオリンの自己ユビキチン化活性がそれほど高くない。このことから,ベンゼン環における水酸基の有無が活性に非常に大きな影響を与えることがわかった。
(実施例2:リウマチ滑膜細胞増殖抑制作用の評価)
関節リウマチ患者から得た滑膜細胞(RASC)を96 well plate に播種し,1日間培養したRASCの培養液中に任意の濃度の希釈系列で表1に記載された化合物を添加し,72時間後に細胞数をCell counting kit(WST-8)にて測定した。結果を表1に示す。なお,表1中の数値はRASCの増殖抑制活性のIC50値を示す。
表1から,本発明の化合物を含む表1に記載された化合物は,リウマチ滑膜細胞の増殖を抑制することが分かった。したがって,前記化合物は関節リウマチの予防又は治療に有効であると考えられる。
(実施例3:in vitroにおける抗肥満作用の検証)
3T3−L1細胞を10%FBS含有DMEM(High Glucose)でconfluentに達した後3日間培養した。500μM IBMX,1μM Dexamethasone,5 μg/mL Insulinを添加し分化を誘導した。同時に10μMのシノビオリンのユビキチン化活性阻害剤(表1に記載の各化合物)又は対照としてDMSOを添加した。3日間培養後,4μg/mL Insulinを含む培地に置換し10μMの前記各化合物又は対照としてDMSOを添加した。3日間培養後,DMEM(10%FBS,High Glucose)に置換し3日間培養した。
3T3−L1細胞をPBS(−)で洗ったのち,10%formalinで固定した。PBS(−)で洗浄し60%Isopropanolに置換した。18mg/mLのOil Red O(溶媒:Isopropanol)で20分染色し,60%Isopropanol及び PBS(−)で洗浄し顕微鏡で観察した。図2A及び2Bは,3T3−L1細胞株の脂肪細胞分化誘導に対する,本発明の化合物の影響を示す写真である。なお,図2A中,○は,分化した脂肪細胞を示し,□は,正常な脂肪細胞でない脂肪滴を示す。
図2A及びBから,本発明のシノビオリンのユビキチン化活性阻害剤を添加した細胞では,対照と比較して,分化した脂肪細胞が少なく,分化が抑制されていることが示唆された。また,輪環状の正常な脂肪細胞ではない脂肪滴が認められた。
(実施例4:in vivoにおける抗肥満作用の検証)
野生型マウス及び肥満モデルマウスを用いて,恒常的に高脂肪食を摂取させる条件下で本発明の化合物の投与がこれらのマウスの体重減少を誘導するか否かを検証した。
肥満モデルマウスとしては,代表的な肥満モデルマウスであるob/ob(レプチン遺伝子の異常)マウス,及びdb/db(レプチン受容体遺伝子の異常)マウス(いずれも中枢性に摂食が効かなくなり過食となり肥満,糖尿病,メタボリック症候群などのモデルとして汎用)を用いた。
具体的な手順としては,生後7〜8週間後の野生型マウス及び肥満モデルマウス(ob/obマウス)に高脂肪食を摂取させ,野生型マウスにおいては試験開始後2日目,4日目,6日目,9日目,11日目,13日目,及び16日目にそれぞれ1mg/kgの被験化合物を投与し、肥満モデルマウスにおいては1mg/mlの348、並びに5mg/mlの349及び351を試験開始後連日投与した。毎日体重を測定し、高脂肪食摂取開始時の体重を100として体重変化(%)を求めた。野生型マウスにおける結果を図3A,肥満モデルマウスにおける結果を図3Bに示す。
また、前記試験において試験終了時のマウスを解剖し、脂肪組織の状態を観察した。348を投与した野生型マウスの写真を図3Cに示す。
図3A及びBから,本発明のシノビオリンのユビキチン化活性阻害剤を添加したマウスでは,対照と比較して,体重が減少していることが確認された。また,図3Cから,これらのマウスでは,皮下及び腸間膜の脂肪がともにほとんど認められなかった。なお、この試験において単なる脱力や摂食障害は見られなかった。中枢神経系レベルでのレプチンシグナルの不活性化及び/又は高エネルギー摂取によって誘導される肥満に対して,本発明の化合物が有効であることを示唆している。すなわち,本発明の化合物は,中枢神経系に対する作用ではなく,末梢の脂肪細胞におけるエネルギー消費に作用していると考えられる。
本発明の肥満症予防又は治療剤は,末梢性の抗肥満作用を有する医薬として有用である。このため,本発明は,製薬業において利用されうる。

Claims (2)

  1. 5,8−ジヒドロキシ−4a,8a−ジヒドロ−[1,4]ナフトキノン,その医薬的に許容しうる塩,又はその医薬的に許容しうる溶媒和物を含むシノビオリン蛋白質のユビキチン化活性阻害剤。
  2. 請求項1に記載のシノビオリン蛋白質のユビキチン化活性阻害剤を含むリウマチの治療剤又は予防剤。
JP2014554372A 2012-12-26 2013-12-19 肥満症予防又は治療剤,リウマチの予防又は治療剤 Expired - Fee Related JP6280050B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012283764 2012-12-26
JP2012283764 2012-12-26
PCT/JP2013/084050 WO2014103862A1 (ja) 2012-12-26 2013-12-19 肥満症予防又は治療剤,リウマチの予防又は治療剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2014103862A1 JPWO2014103862A1 (ja) 2017-01-12
JP6280050B2 true JP6280050B2 (ja) 2018-02-14

Family

ID=51020949

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014554372A Expired - Fee Related JP6280050B2 (ja) 2012-12-26 2013-12-19 肥満症予防又は治療剤,リウマチの予防又は治療剤

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6280050B2 (ja)
WO (1) WO2014103862A1 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20070042994A (ko) * 2004-07-02 2007-04-24 가부시키가이샤 로코모젠 항시노비올린 항체
JP4822312B2 (ja) * 2005-05-13 2011-11-24 学校法人慶應義塾 ナフトキノン誘導体化合物
WO2008008033A1 (en) * 2006-07-10 2008-01-17 Glucox Biotech Ab The use of naphtoquinones in the treatment and control of diabetes, insulin resistance and hyperglycemia
JP5008932B2 (ja) * 2006-09-20 2012-08-22 利博 中島 タンパク質のユビキチン化抑制剤
WO2009048251A2 (en) * 2007-10-11 2009-04-16 Mazence Inc. Pharmaceutical composition containing micronized particles of naphthoquinone-based compound

Also Published As

Publication number Publication date
WO2014103862A1 (ja) 2014-07-03
JPWO2014103862A1 (ja) 2017-01-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2018202410B2 (en) Methods for treating antipsychotic-induced weight gain
JP5925065B2 (ja) 医薬組成物
JP2019011343A (ja) 選択的s1p1レセプターアゴニストを含む薬学的合剤
CN110785170B (zh) 脂肪细胞的治疗
KR20200098536A (ko) Dux4 발현과 관련된 질병의 치료를 위한 화합물
EP1622605B1 (en) Use of phthalide derivatives for the treatment and prevention of diabetes mellitus
JP5328244B2 (ja) 筋萎縮性側索硬化症治療剤
JP2015098492A (ja) チアゾリジンジオンエネルギー制限模倣剤
JP5105818B2 (ja) 医薬組成物
JP6280050B2 (ja) 肥満症予防又は治療剤,リウマチの予防又は治療剤
US11147807B2 (en) Pharmaceutical composition containing DUSP1 inhibitor
CN106243096B (zh) 三环类药物的新用途
WO2005102331A1 (ja) 骨粗鬆症治療剤
US20120010264A1 (en) Novel medicament for treating cognitive impairment
US20100317699A1 (en) Use of hedgehog agonists in the treatment of musculoskeletal-related disorders
JP5798281B2 (ja) PPARγ活性化剤
EP3849976A1 (en) A gaba a receptor ligand
JP2021167279A (ja) ミトコンドリア病の予防または治療のための医薬組成物
US20230285347A1 (en) Preterm Labour with Prostaglandin E2 Receptor Agonists
JP2009051796A (ja) 前駆脂肪細胞分化抑制剤
EA042675B1 (ru) Лиганд рецептора гамк-а
KR101413830B1 (ko) 3-히드록시크로몬 유도체를 함유하는 항비만 및/또는 항당뇨용 조성물
JP2011001296A (ja) インスリン分泌促進剤
US20110178100A1 (en) Apoptosis inhibitor
JP2008179574A (ja) ピペラジン誘導体を有効成分とする糖化最終産物形成阻害剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161206

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171017

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171212

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180109

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180118

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6280050

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees