JP6945272B2 - 立体造形物及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、立体造形物及びその製造方法に関する。
従来より、外科手術等の手技練習用にはシリコーン、ウレタンエラストマー、スチレンエラストマー等で製造された臓器モデルが提案されている(例えば、特許文献1参照)。患者の手術後の回復の良否及びQOL向上のためにも、外科医と補助スタッフの手技レベルを一定水準以上に向上することが求められている。そのためにも、より人間の臓器に触感や、超音波メス、電気メス等の手術デバイスの使用感の類似した臓器モデルを提供することが求められている。しかし、現在普及している擬似モデルは触感や内部構造が実物とは程遠いものである。
したがって、外科医の手技能力を向上するために形状だけでなく触感、切れ味等の質感についても忠実に再現した臓器モデルが必要とされている。
一方、実際の手術に際して患者本人の臓器を忠実に再現できた臓器モデルがあれば、術前に手術計画を立案する際に実際にこれを切ったり、縫合したりするシミュレーションが可能になり、難易度の高い腫瘍摘出手術などの成功率を向上することが可能となる。
また、質感を再現することを目的とした臓器モデルとしては、ポリビニルアルコールを主体とする材料が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この提案の材料を用いて製造された臓器モデルは、実物の臓器に比べて比較的硬く、血管や腫瘍部分等の内部構造(内包物)を忠実に再現することができていなかった。また、臓器モデルの含水率が高く、保存状態によってカビ等の菌類が繁殖するため、保存状態が限定されている。
また、水を三次元網目構造中に含有するハイドロゲルが提案されている(例えば、特許文献3参照)。この提案のハイドロゲルは力学特性が比較的良好なことから、臓器モデルを含むソフトマテリアル、立体造形物への適用が期待できる。しかし、この提案では、ハイドロゲが高い吸水性が有していることから、カビ等の菌類の繁殖が生じ、保存安定性が課題である。
本発明は、保存安定性に優れ、臓器モデル等として好適な立体造形物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の立体造形物は、有機ポリマーと鉱物と水を含有するハイドロゲルで構成された立体造形物であって、
前記立体造形物を、温度25℃、相対湿度50%の環境下で1週間放置した前後での可視光領域の光透過率の減少率が20%以下である。
本発明によると、保存安定性に優れ、臓器モデル等として好適な立体造形物を提供することができる。
図1は、層状鉱物、及び層状鉱物を水中で分散させた状態の一例を示す模式図である。 図2は、立体造形物の代表例である臓器モデル(肝臓)の一例を示す概略図である。 図3は、本発明の立体造形物を造形するための立体造形物の製造装置の一例を示す概略図である。 図4Aは、本発明の立体造形物の一例を示す概略斜視図である。 図4Bは、図4Aの概略断面図である。
(立体造形物)
本発明の立体造形物は、ハイドロゲルからなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
<ハイドロゲル>
前記ハイドロゲルは、有機ポリマーと鉱物と水を含有するハイドロゲルで構成され、防腐剤を含有することが好ましい。
−有機ポリマー−
前記有機ポリマーは、有機モノマーが重合したものであり、前記有機モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、N−置換アクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換アクリルアミド誘導体、N−置換メタクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換メタクリルアミド誘導体、などが挙げられ、具体的には、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機モノマーを重合させることにより、アミド基、アミノ基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有する有機ポリマーが得られる。
前記アミド基、アミノ基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有する有機ポリマーは、ハイドロゲルの強度を保つために有利な構成成分である。
前記有機ポリマーの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ハイドロゲルの全量に対して、0.5質量%以上20質量%以下が好ましい。
−鉱物−
前記鉱物としては、層状鉱物が単一層の状態で水に分散した鉱物であることが好ましい。
ここで、図1の上図に示すように、前記層状鉱物は、単位格子を結晶内に持つ二次元円盤状の結晶が積み重なった状態を呈しており、前記層状鉱物を水中で分散させると、図1の下図に示すように、各単一層状態で分離して円盤状の結晶となる。
前記層状鉱物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水膨潤性層状鉱物などが挙げられる。
前記水膨潤性層状鉱物としては、例えば、水膨潤性スメクタイト、水膨潤性雲母などが挙げられる。より具体的には、ナトリウムを層間イオンとして含む水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリナイト、水膨潤性サポナイト、水膨潤性合成雲母などが挙げられる。
前記水膨潤性とは、図1に示すように層状鉱物の層間に水分子が挿入され、水中に分散されることを意味する。
前記水膨潤性層状鉱物としては、前記例示したものを、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、また、適宜合成したものであってもよいし、市販品であってもよい。
前記市販品としては、例えば、合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、RockWood社製)、SWN(Coop Chemical Ltd.製)、フッ素化ヘクトライト SWF(Coop Chemical Ltd.製)などが挙げられる。これらの中でも、合成ヘクトライトの分散体が好ましい。
前記鉱物の含有量は、ハイドロゲルの全量に対して、1質量%以上40質量%以下が好ましく、1質量%以上15質量%以下がより好ましい。
−水−
前記水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
前記水には、保湿性付与、抗菌性付与、導電性付与、硬度調整などの目的に応じて有機溶媒等のその他の成分を溶解ないし分散させてもよい。
前記水の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−防腐剤−
前記防腐剤は、微生物、特に細菌・真菌(カビ)の発生、発育を防止する機能を有するものを意味し、水に溶解又は安定に分散可能であり、実用上十分な抗菌性、及び防腐性を有し、安全性が高く、環境負荷の少ないものが好ましい。
前記防腐剤としては、有機防腐剤、又は無機防腐剤を特に制限なく使用することができ、例えば、日本防菌防黴学会編、「防菌防黴ハンドブック」(技報堂出版、1986年発行)、日本防菌防黴学会編、「防菌防黴剤事典」等に記載されたものなどが挙げられる。
前記有機防腐剤としては、例えば、含窒素複素環化合物、第4級アンモニウム塩、フェノール化合物、アルコール化合物、カルボン酸化合物、その他の有機防腐剤などが挙げられる。これらの中でも、含窒素複素環化合物が好ましい。
前記含窒素複素環化合物としては、例えば、ピリジン化合物、ピリミジン化合物、ピラゾール化合物、オキサゾール化合物、オキサジン化合物、イミダゾール化合物、ベンズイミダゾール化合物、ジアジン化合物、1,3,5−トリアジン化合物、ヘキサヒドロトリアジン化合物、トリアゾール化合物、イソオキサゾール化合物、チアゾール化合物、チアジアジン化合物、ベンズチアゾール化合物、チアゾリン−2−オン化合物、イソチアゾリン−3−オン化合物、ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物、ベンゾチアゾリン−2−オン化合物、テトラヒドロチアジアジン−2−チオン化合物、モルホリン化合物、ピロール化合物などが挙げられる。
前記含窒素複素環化合物の具体例としては、チアベンダゾール、2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾール−3(2H)−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、3,4−イソチアゾリン−3−オン、ベンゾイソチアゾロン、アルキルイソチアゾロン、クロルアルキルイソチアゾロン、ベンズイソチアゾロン、ベンズイミダゾール、サイアベンダゾール、チアゾスルファミド、ピリジンチオールオキシド、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(4−チアゾリル)−ベンゾイミダゾール、2−メトキシ−カルボニルアミノベンゾイミダゾール、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、4,4−ジメチルオキサゾリジンなどが挙げられる。
前記第4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラブチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、塩化ベンザルコニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウムなどが挙げられる。
前記フェノール化合物としては、例えば、フェノール、チモール、クロロフェノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、ブロモフェノール、クロロブロモフェノール、クレゾール、グアヤコール、o−フェニルフェノール、キシレノール、クロルキシレノール、フェノールスルホン酸、レゾルシン、ピロガロール、フェノキシエタノール、ビスフェノールなどが挙げられる。
前記アルコール化合物としては、例えば、エタノール、クロルブタノール、イソプロパノール、フェノキシアルコール、アラルキルアルコール、フェノキシエーテルなどが挙げられる。
前記カルボン酸化合物としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、モノブロム酢酸エステル、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、ソルビン酸、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸カルシウム、ソルビン酸エステルなどが挙げられる。
前記その他の有機防腐剤としては、例えば、ブロム系防腐剤〔CH3CONHBr、C65−CH2OCOCH2Br、HOH2C−CBr(NO2)−CH2OH等〕、アミン類(ヘキサメチレンテトラミン、アルキルグアニジン、ニトロメチルベンジルエチレンジアミン等)、酸アミド類、カルバミン酸、カルバメート類、チオ尿素類、チオセミカルバジド類、ジチオカルバメート類、スルフィド類、ジスルフィド類、スルホキシド類、スルファミド類、有機水銀化合物(フェニル酢酸水銀、フェニルオレイン酸水銀等)などが挙げられる。
前記無機防腐剤としては、例えば、重金属イオンを含有する無機物(銀イオン含有物等)又はその塩などが挙げられる。
前記防腐剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、油溶性の防腐剤、水溶性の防腐剤など種々のものを用いることができるが、水溶性の防腐剤が好ましい。
これらの中でも、含窒素複素環化合物、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルが好ましく、チアベンダゾール、2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾール−3(2H)−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、3,4−イソチアゾリン−3−オン、ベンゾイソチアゾロン、アルキルイソチアゾロン、クロルアルキルイソチアゾロン、ベンズイソチアゾロン、ベンズイミダゾール、サイアベンダゾール、チアゾスルファミド、ピリジンチオールオキシド、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、N−n−ブチル−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンがより好ましく、2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾール−3(2H)−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、3,4−イソチアゾリン−3−オン、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、N−n−ブチル−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンが更に好ましく、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンが特に好ましい。
前記防腐剤の市販品としては、例えば、プロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルLV、プロキセルGXL(S)、プロキセルXL2、プロキセルIB、プロキセルTN、Glycacil 2000、DENSIL DN(いずれも、ロンザジャパン株式会社製)などが挙げられる。
前記防腐剤の含有量は、ハイドロゲルの全量に対して、25質量%以下が好ましく、0.01質量%以上10質量%以下がより好ましく、0.05質量%以上5質量%以下が更に好ましい。前記含有量が25質量%以下であると、カビ等の菌類が繁殖することがなく立体造形物の保存安定性が向上し、防腐剤が層状鉱物に吸着して反応阻害を引き起こすことを防止でき、透明性及び導電性が良好な立体造形物が得られる。
前記防腐剤の含有量は、例えば、熱重量分析(株式会社Rigaku製、Thermo plus TG8120)を用いて測定することができる。
前記防腐剤の含有量は、立体造形物の保存安定性の点から、立体造形物の中心部よりも表面側の方が高いことが好ましい。
前記立体造形物の表面の防腐剤の含有量の測定は、まず、立体造形物の表面から2mm角のハイドロゲルを切り出す。これを熱重量分析装置に入れ、防腐剤の沸点近辺での熱重量減少率を測定する。具体的には、防腐剤としてプロキセルGXL(S)((ロンザジャパン株式会社製)を用いる場合には、前記プロキセルGXL(S)は沸点が154℃〜158℃の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを20質量%含有しているため、120℃〜160℃までの温度範囲での1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの重量減少値を測定した。前記2mm角のハイドロゲルの重量を100%とした時の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの重量減少率から、防腐剤の含有量を算出することができる。
一方、前記立体造形物の中心部の防腐剤の含有量の計測方法は、立体造形物の表面から50mm内部にあるハイドロゲルを2mm角で切り出し、前記表面の場合と同様にして測定することができる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、本発明の目的を阻害しない範囲で、例えば、着色剤、水溶性有機溶剤(保湿剤)、重合開始剤、香料、酸化防止剤などを含有することができる。
−着色剤−
前記着色剤を用いることにより、例えば、臓器モデルを人体の臓器に近似した色に着色することができる。
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば染料、顔料が挙げられる。
前記染料としては、以下に説明するようなものが挙げられる。
ブラック染料としては、例えば、MS BLACK VPC(三井化学株式会社製);AIZEN SOT BLACK−1、AIZEN SOT BLACK−5(保土谷化学株式会社製);RESORIN BLACK GSN 200%、RESOLIN BLACK BS(バイエルジャパン社製);KAYASET BLACK A−N(日本化薬株式会社製);DAIWA BLACK MSC(ダイワ化成株式会社製);HSB−202(三菱化成株式会社製);NEPTUNE BLACK X60、NEOPEN BLACK X58(BASFジャパン社製);Oleosol Fast BLACK RL(田岡化学工業株式会社製);Chuo BLACK80、Chuo BLACK80−15(中央合成化学株式会社製)などが挙げられる。
マゼンタ染料としては、例えば、MS Magenta VP、MS Magenta HM−1450、MS Magenta Hso−147(いずれも、三井化学株式会社製);AIZENSOT Red−1、AIZEN SOT Red−2、AIZEN SOT Red−3、AIZEN SOT Pink−1、SPIRON Red GEHSPECIAL(いずれも、保土谷化学株式会社製);RESOLIN Red FB 200%、MACROLEX Red Violet R、MACROLEX ROT 5B(いずれも、バイエルジャパン社製);KAYASET RedB、KAYASET Red 130、KAYASET Red 802(いずれも、日本化薬株式会社製);PHLOXIN,ROSE BENGAL、ACID Red(いずれも、ダイワ化成株式会社製);HSR−31、DIARESIN RedK(いずれも、三菱化成株式会社製);Oil Red(BASFジャパン社製);Oil Pink330(いずれも、中央合成化学株式会社製)などが挙げられる。
シアン染料としては、例えば、MS Cyan HM−1238、MS Cyan HSo−16、Cyan Hso−144、MS Cyan VPG(いずれも、三井化学株式会社製);AIZEN SOT Blue−4(保土谷化学株式会社製);RESOLIN BR.Blue BGLN 200%、MACROLEX Blue RR、CERES BlueGN、SIRIUS SUPRATURQ.Blue Z−BGL、SIRIUS SUPRA TURQ.Blue FB−LL330%(いずれも、バイエルジャパン社製);KAYASET Blue Fr、KAYASET Blue N、KAYASET Blue 814、Turq.Blue GL−5 200、LightBlue BGL−5 200(いずれも、日本化薬株式会社製);DAIWA Blue 7000、Oleosol Fast Blue GL(いずれも、ダイワ化成株式会社製);DIARESINBlue P(三菱化成株式会社製);SUDAN Blue 670、NEOPEN Blue808、ZAPON Blue 806(いずれも、BASFジャパン社製)などが挙げられる。
イエロー染料としては、例えば、MS Yellow HSm−41、Yellow KX−7、Yellow EX−27(いずれも、三井化学株式会社製)、AIZENSOT Yellow−1、AIZEN SOT YelloW−3、AIZEN SOT Yellow−6(いずれも、保土谷化学株式会社製)、MACROLEX Yellow 6G、MACROLEX FLUOR、Yellow 10GN(いずれも、バイエルジャパン社製)、KAYASET Yellow SF−G、KAYASET Yellow2G、KAYASET Yellow A−G、KAYASET Yellow E−G(いずれも、日本化薬株式会社製)、DAIWA Yellow 330HB(ダイワ化成株式会社製)、HSY−68(三菱化成株式会社製)、SUDAN Yellow 146、NEOPEN Yellow 075(いずれも、BASFジャパン社製);Oil Yellow 129(中央合成化学株式会社製)などが挙げられる。
前記顔料としては、各種の有機顔料及び無機顔料を使用することができ、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料及びキレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、アントセキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料などが挙げられる。
前記顔料としては、具体的には、カラーインデックスに記載される下記の番号の有機顔料又は無機顔料が使用できる。
赤又はマゼンタ顔料としては、例えば、Pigment Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257;Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88;Pigment Orange 13、16、20、36などが挙げられる。
青又はシアン顔料としては、例えば、pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60などが挙げられる。
緑顔料としては、例えば、Pigment Green 7、26、36、50などが挙げられる。
黄顔料としては、例えば、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94、95、97、108、109、110、137、138、139、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193などが挙げられる。
黒顔料としては、例えば、Pigment Black 7、28、26などが挙げられる。
前記顔料としては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、クロモファインイエロー2080、5900、5930、AF−1300、2700L、クロモファインオレンジ3700L、6730、クロモファインスカーレット6750、クロモファインマゼンタ6880、6886、6891N、6790、6887、クロモファインバイオレット RE、クロモファインレッド6820、6830、クロモファインブルーHS−3、5187、5108、5197、5085N、SR−5020、5026、5050、4920、4927、4937、4824、4933GN−EP、4940、4973、5205、5208、5214、5221、5000P、クロモファイングリーン2GN、2GO、2G−550D、5310、5370、6830、クロモファインブラックA−1103、セイカファストエロー10GH、A−3、2035、2054、2200、2270、2300、2400(B)、2500、2600、ZAY−260、2700(B)、2770、セイカファストレッド8040、C405(F)、CA120、LR−116、1531B、8060R、1547、ZAW−262、1537B、GY、4R−4016、3820、3891、ZA−215、セイカファストカーミン6B1476T−7、1483LT、3840、3870、セイカファストボルドー10B−430、セイカライトローズR40、セイカライトバイオレットB800、7805、セイカファストマルーン460N、セイカファストオレンジ900、2900、セイカライトブルーC718、A612、シアニンブルー4933M、4933GN−EP、4940、4973(いずれも、大日精化工業株式会社製);KET Yellow 401、402、403、404、405、406、416、424、KET Orange 501、KET Red 301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、336、337、338、346、KET Blue 101、102、103、104、105、106、111、118、124、KET Green 201(いずれも、DIC株式会社製);Colortex Yellow 301、314、315、316、P−624、314、U10GN、U3GN、UNN、UA−414、U263、Finecol Yellow T−13、T−05、Pigment Yellow1705、Colortex Orange 202、Colortex Red101、103、115、116、D3B、P−625、102、H−1024、105C、UFN、UCN、UBN、U3BN、URN、UGN、UG276、U456、U457、105C、USN、Colortex Maroon601、Colortex BrownB610N、Colortex Violet600、Pigment Red 122、Colortex Blue516、517、518、519、A818、P−908、510、Colortex Green402、403、Colortex Black 702、U905(いずれも、山陽色素株式会社製);Lionol Yellow 1405G、Lionol Blue FG7330、FG7350、FG7400G、FG7405G、ES、ESP−S(いずれも、東洋インキ株式会社製);Toner Magenta E02、Permanent RubinF6B、Toner Yellow HG、Permanent Yellow GG−02、Hostapeam BlueB2G(いずれも、ヘキストインダストリ社製);カーボンブラック#2600、#2400、#2350、#2200、#1000、#990、#980、#970、#960、#950、#850、MCF88、#750、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA77、#52、#50、#47、#45、#45L、#40、#33、#32、#30、#25、#20、#10、#5、#44、CF9(いずれも、三菱化学株式会社製)などが挙げられる。
前記着色剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ハイドロゲルの全量に対して、0.1質量%以上5質量%以下が好ましい。
−水溶性有機溶剤−
前記水溶性有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、メチルエチルケトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルコールエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、保湿性の点から、多価アルコールが好ましく、グリセリンがより好ましい。
−重合開始剤−
前記重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤が挙げられる。
(立体造形物の製造方法)
本発明の立体造形物の第1の形態の製造方法は、有機モノマー、鉱物、水、及び防腐剤を含むハイドロゲル前駆体液を用いて立体物を造形する工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
<立体物を造形する工程>
前記立体物を造形する工程は、有機モノマー、鉱物、水、及び防腐剤を含むハイドロゲル前駆体液を用いて立体物を造形する工程である。
前記有機モノマー、前記鉱物、前記水、及び前記防腐剤としては、前記立体造形物と同様のものを用いることができる。
前記立体物を造形する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、型を用いて成型する方法、3次元プリンターにより積層造形する方法などにより行うことができる。
本発明の立体造形物の第2の形態の製造方法は、立体物を造形する工程、及び防腐剤含有液を付与する工程を含み、立体造形物を乾燥する工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
<立体物を造形する工程>
前記立体物を造形する工程は、有機モノマー、鉱物、及び水を含むハイドロゲル前駆体液を用いて立体物を造形する工程である。
前記有機モノマー、前記鉱物、及び前記水としては、前記立体造形物と同様のものを用いることができる。
前記立体物を造形する工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、型を用いて成型する方法、3次元プリンターにより積層造形する方法などにより行うことができる。
前記立体物を造形する工程としては、有機モノマー、鉱物、水及び保湿剤を含むハイドロゲル前駆体液を付与して成膜する第一の工程と、
前記第一の工程で形成された膜を硬化させる第二の工程と、を複数回繰り返すことにより行うことが好ましい。
前記有機モノマー、前記鉱物、及び前記水としては、前記立体造形物と同様のものを用いることができる。
前記保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトールなどが挙げられる。
前記ハイドロゲル前駆体液を付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディスペンサー方式、スプレー方式、インクジェット方式などが挙げられる。
前記膜を硬化する手段としては、例えば、紫外線(UV)照射ランプ、電子線照射装置、加熱装置などが挙げられる。前記膜を硬化する手段は、オゾン除去機構を有していることが好ましい。
前記ハイドロゲル前駆体液として、組成が異なる複数のハイドロゲル前駆体液を用い、前記第一の工程として、複数の前記前駆体液を付与する位置と量を制御することで、硬化後の80%歪み圧縮応力又は圧縮弾性率が異なる複数の領域を有する膜を成膜することができる。
前記各工程の前記繰り返し回数としては、作製する立体造形物の大きさ、形状、構造などに応じて異なり一概には規定できないが、一層あたりの厚みが10μm以上50μm以下の範囲であれば、精度よく、剥離することもなく造形することが可能であるため、作製する立体造形物の高さ分だけ繰り返して積層することが好ましい。
<防腐剤含有液を付与する工程>
前記防腐剤含有液を付与する工程は、前記立体物を造形する工程で得られた立体造形物に対して防腐剤含有液を付与する工程である。
前記防腐剤含有液の付与は、前記立体物を造形する工程で得られた造形物に対して行ってもよく、乾燥後の立体造形物に対して行ってもよい。
前記防腐剤含有液は、前記防腐剤及び溶媒を含有し、更に必要応じてその他の成分を含有してなる。
前記防腐剤含有液における防腐剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%以上50質量%以下が好ましい。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、アルコール等の親水性溶媒、又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。
前記防腐剤含有液を付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬方式、スプレー方式、刷毛塗りなどが挙げられる。
<立体造形物を乾燥する工程>
前記立体造形物を乾燥する工程は、前記立体物を造形する工程で得られた立体造形物を乾燥する工程である。
前記乾燥は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、室温での放置乾燥、乾燥機を用いた加熱乾燥などが挙げられる。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、三次元データの取得や加工を行うデータ処理工程、ハイドロゲルとその支持体(硬質成形体)を剥離する剥離工程、立体造形物の清浄工程、立体造形物の研磨工程などが挙げられる。
<光透過率の減少率>
前記立体造形物は、温度25℃、相対湿度50%の環境下で1週間放置した前後での可視光領域の光透過率の減少率が20%以下であり、10%以下が好ましい。
前記光透過率の減少率が20%以下であると、立体造形物の保存安定性が良好であり、例えば、臓器モデルにカビ等の菌類が繁殖せず、臓器モデルの内部が可視化でき、臓器を再現した表面のウェットな感触が得られる。
前記可視光領域の光透過率の減少率は、前記立体造形物の可視光領域の光透過率を分光光度計(株式会社日立製作所製、U3310型)により測定し、下記数式1により、可視光領域の光透過率の減少率を求めることができる。
[数式1]
光透過率の減少率(%)=[(放置前の光透過率)−(放置後の光透過率)]/(放置前の光透過率)×100
<80%歪み圧縮応力>
前記立体造形物の80%歪み圧縮応力は、0.01MPa以上5.0MPa以下が好ましく、0.1MPa以上3.0MPa以下がより好ましい。
前記80%歪み圧縮応力が0.01MPa以上5.0MPa以下であると、例えば、臓器モデルに必要とされる弾性及び機械的強度が得られる。
前記80%歪み圧縮応力は、例えば、万能試験機(株式会社島津製作所製、AG−I)に、ロードセル1kN、1kN用圧縮治具を設けて測定することができる。
第一のハイドロゲルで構成された第一の領域と、前記第一のハイドロゲルとは異なる弾性率(80%歪み圧縮応力又は圧縮弾性率)を有する第二のハイドロゲルで構成された第二の領域とを少なくとも有し、用途にもよるが、前記第一のハイドロゲル及び前記第二のハイドロゲルのいずれか一方の80%歪み圧縮応力が0.4MPa以上であり、もしくは圧縮弾性率が0.3MPa以上が好ましい。これにより、1つの立体造形物中に弾性率(80%歪み圧縮応力又は圧縮弾性率)が異なる領域を有する立体造形物(ハイドロゲル)が得られる。
前記80%歪み圧縮応力は、例えば、万能試験機(株式会社島津製作所製、AG−I)などを用いて測定することができる。前記圧縮弾性率は、10%歪み圧縮応力と20%歪み圧縮応力の差分をとり10%変位時の傾きとして算出することができる。
ここで、図4A及び図4Bに示すように、前記第一の領域(領域A)は、前記第二の領域(領域B)を完全に包含していることが好ましい。
前記立体造形物は、1つの立体造形物中に弾性率が異なる領域を有することができるので、臓器モデル等として好適に用いられる。前記臓器モデルは、硬度や弾性率の異なる血管や疾患部等の内部構造を忠実に再現でき、かつ臓器の触感及び切れ味が所望の臓器に極めて近く、更に手術用メスでの切開が可能であるため、手技練習用臓器モデルとして特に好適である。
<水分量>
前記立体造形物の水分量は、立体造形物の弾性率等の点から、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上が特に好ましい。なお、上限値は他の成分との兼ねあいに応じて適宜選定することができる。
前記水分量は、例えば、熱重量分析装置(株式会社Rigaku製、Thermo plus TG8120)などにより、測定することができる。
<質量減少率>
前記立体造形物は、温度25℃、相対湿度50%環境下で1週間放置した前後での質量減少率が20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。
前記質量減少率が20質量%以下であると、乾燥による臓器モデルなどの質感の変化が少ない点で好ましい。
前記質量減少率は、グリセリン等の保湿剤の付与量を変化させることにより適宜調整することができる。なお、前記保湿剤を立体造形後の立体造形物に対して浸漬付与することにより、立体造形物の中心部よりも表面近傍の保湿剤の含有量を高めることも可能である。
前記質量減少率は、前記立体造形物の質量を、例えば、電子天秤などで測定し、下記数式2により、質量減少率を求めることができる。
[数式2]
質量減少率(%)=[(放置前の質量)−(放置後の質量)]/(放置前の質量)×100
本発明の立体造形物は、保存安定性に優れ、複雑かつ精細な形状を形成することができるので、例えば、靴のインソール、滑り防止用のグリップ、臓器モデル等の各種ソフトマテリアルなどが挙げられる。これらの中でも、臓器モデルが特に好ましい。
<臓器モデル>
前記臓器モデルは、機械的強度を保持し、弾力を臓器と同等にするために、有機ポリマーと鉱物と水とを含むことが必要であり、有機ポリマーと、鉱物と、水を含むハイドロゲル前駆体液から作製することができる。
この場合、前記ハイドロゲル前駆体液における前記有機ポリマーと前記層状鉱物との質量比率を調整することによって、適切な硬さ、粘弾性、色等の臓器情報を忠実に再現することが可能となる。即ち、有機ポリマーと、層状鉱物とが複合化して形成された三次元網目構造の中に、水が含有されている有機−無機複合ハイドロゲルを含むことにより、機械的強度を保持し、弾力を臓器と同等にすることができる。また、前記有機−無機複合ハイドロゲルは、前記構成を有することにより、伸張性が向上する。更に、臓器と同等の触感が得られ、手術用メス等による切れ味が所望の臓器と極めて近くなる。
前記臓器モデルは、ハイドロゲル中に水を含有する。このため、保存安定性に若干の課題がある。例えば、臓器モデルにカビ等の菌類が繁殖して中が可視化できなくなることや、臓器を再現した表面のウェットな感触が無くなるという問題点がある。前記問題点を有するため、ハイドロゲルバルクもしくは表面近傍に防腐剤を存在させることが必要である。これにより、臓器モデルの保存安定性を向上させることが可能になる。
前記臓器モデルには、色及び硬度のいずれかが異なる内包物(内部構造)が目的の位置に配置されていることが好ましい。これにより、手術前に手術用メスを入れる位置を確認するモデルとしても用いることができる。
前記内包物としては、例えば、血管、管、疾患部等の模倣物;空洞、襞(ひだ)などが挙げられる。
前記硬度の調整は、例えば、前記ハイドロゲル前駆体液中に含まれる層状鉱物の含有量を変化させることにより行うことができる。
前記色の調整は、例えば、前記ハイドロゲル前駆体液に着色剤を添加することにより行うことができる。
<臓器モデルの製造方法>
前記臓器モデルの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、一般的に臓器モデルは、元の3Dデータに基づき複雑な形状を再現する必要があり、更に複数の性質の異なる部位が混在する必要があるため、以下に示すような製造方法が好ましい。
例えば、適切な加工方法で型を製作し、前記型にハイドロゲル前駆体液を注入し硬化させる方法である。なお、血管等の内包物は別途成形しておき、型の所定位置に配置することができる。
前記型、及び前記血管等の内包物としては、3Dデータに基づき金属や樹脂を切削加工、光造形、又は三次元プリンターなどで製造することが好ましい。
また、三次元プリンターと呼ばれる立体造形物の製造装置を用いて、ハイドロゲル前駆体液と、必要に応じて支持体液とを3Dデータに基づき積層する方法を採用することも可能である。
より具体的には、インクジェット方式を用いたマテリアルジェット造形装置によりゲル前駆体液を吐出して成形することが精度よく形状を成形する点から好ましい。
前記防腐剤をハイドロゲルバルク、もしくは表面近傍に存在させるためには、ハイドロゲル前駆体液を用いて、型あるいは三次元プリンターにより造形した後に、防腐剤含有液にて後処理を行う方法が挙げられる。防腐剤の種類によっては、ハイドロゲル前駆体液に防腐剤を含めると、ハイドロゲルの硬化性を阻害する場合があり、そのような場合には上記の方法が有効である。具体的には、前記防腐剤含有液(必要によっては溶剤、その他の添加剤を加えてもよい)に、臓器モデルを浸漬させる方法である。このような処理により、防腐剤を臓器モデル表面からバルク方向に含浸させることができる。
前記防腐剤の含有量、浸漬時間等については、特に制限はなく、ハイドロゲルの状態などにより、適宜調整することができる。
前記臓器モデルは、特に制限はなく、人体内のあらゆる内臓部位を再現することが可能であるが、例えば、脳、心臓、食道、胃、膀胱、小腸、大腸、肝臓、腎臓、膵臓、脾臓、子宮などが挙げられる。
前記臓器モデルは、血管や疾患部等の内部構造を忠実に再現でき、かつ臓器の触感及び切れ味が所望の臓器に極めて近く、更に手術用メスでの切開が可能であるので、例えば、医師、大学の医学部、病院などにおいて、医師、研修医、医学生などの手技練習用の臓器モデル、製造された手術用メスを出荷する前に、その切れ味を検査するための手術用メスの切れ味検査用の臓器モデル、手術を行う前に手術用メスの切れ味を確認するための臓器モデルなどとして好適である。
ここで、図2に示す手技練習用臓器モデルとしての肝臓モデルを用いて説明する。
肝臓は、上腹部の右側で肋骨の下にある人体最大の臓器であり、成人では重さが1.2kg〜1.5kgである。食べ物から摂取した栄養素を体が利用できる形にしたり、貯蔵及び供給する「代謝」、有害物質を無毒化する「解毒」や、脂肪等の分解・吸収を助ける胆汁の分泌等の重要な働きをしている。
図2に示すように、肝臓40は、胆嚢41と下大静脈42を結ぶ主分割面(カントリー線;図示せず)によって左葉45と右葉44に分割される。
前記肝臓の一部を切り取る手術が肝切除術である。前記肝切除術の適応となる病気としては、肝臓がん(原発性肝がん)が大部分であり、その他に転移性肝がん、肝良性腫瘍、肝外傷などが対象となる。
肝切除術は、切り方によって部分切除、亜区域切除、区域切除、葉切除、拡大葉切除、3区域切除などの種類がある。これらの部分は肝臓に印が付いているわけではなく、手術に際しては、その部分を栄養する門脈や肝動脈を縛ったり、血管に色素を注入したりして色の変化によって境目を見極めている。そして、電気メス、ハーモニックスカルペル(超音波振動手術器具)、CUSA(超音波外科用吸引装置)、マイクロターゼ(マイクロ波手術器)など、様々な機械を使って肝臓を切除している。
その際の手術シミュレーション用として、血管や疾患部等の内包物を忠実に再現でき、かつ臓器の触感及び切れ味が所望の臓器に極めて近く、更に手術用メスでの切開が可能である手技練習用臓器モデルを好適に用いることができる。
<立体造形物の製造装置>
以下、本発明の立体造形物の製造方法及び立体造形物の製造装置の具体的な実施形態について説明する。
軟質な立体造形物を得るためには、造形体部分にはハイドロゲル前駆体液(以下、「軟質成形体用液体材料」と称することもある。)を配置し、支持体部分には支持体液(以下、「硬質成形体用液体材料」と称することもある。)を配置する。硬質な立体造形物を得るためには、逆に造形体部分には硬質成形体用液体材料を配置し、支持体部分に軟質成形体用液体材料を配置する。なお、支持体部分の作製は省略することができる。
前記ハイドロゲル前駆体液及び前記支持体液を付与する方法としては、インクジェット法又はディスペンサー法でも、液滴が適切な精度で目的の場所に塗布できる方式であれば適用することが可能である。実施の形態はいずれの場合もほぼ同様であるため、以下では液体の付与方法としてインクジェット法を用いた形態を主体に説明する。
まず、三次元CADで設計された三次元形状又は三次元スキャナやディジタイザで取り込んだ三次元形状のサーフェイスデータあるいはソリッドデータを、STLフォーマットに変換して立体造形物の製造装置に入力する。
この入力されたデータに基づいて、造形しようとする三次元形状の造形方向を決める。造形方向は特に制約ないが、通常はZ方向(高さ方向)が最も低くなる方向を選択する。
造形方向を確定したら、その三次元形状のX−Y面、X−Z面、Y−Z面への投影面積を求める。得られたブロック形状に補強のため、X−Y面の上面を除いて、その他の各面を適当量外側に移動させる。移動させる量については、特に制限はなく、形状や大きさや使用する液体材料などに応じて異なるが、1mm〜10mm程度である。これで造形しようとする形状を閉じ込めた(上面は開放されている)ブロック形状が特定される。
このブロック形状を一層の厚みでZ方向に輪切り(スライス)にする。前記一層の厚みは、使用する材料により異なり一概には規定できないが、10μm以上50μm以下が好ましい。
造形しようとする立体造形物が1個の場合はこのブロック形状がZステージ(一層造形毎に一層分ずつ下降する造形物を載せるテーブル)の真中に来るように配置される。また、複数個同時に造形する場合はブロック形状がZステージに配置されるが、ブロック形状を積み重ねることも可能である。これらブロック形状化や輪切りデータ(スライスデータ:等高線データ)やZステージへの配置は、使用する液体材料を指定すれば自動的に作成することも可能である。
次に、造形工程となる。輪切りデータの最外郭の輪郭線を基準に、内外判定(輪郭線上の位置に、軟質成形体用液体材料及び硬質成形体用液体材料のいずれかを噴射するかを判定すること)で、軟質成形体用液体材料を噴射する位置と硬質成形体用液体材料を噴射する位置が制御される。
噴射の順序としては、支持体層を形成する硬質成形体用液体材料を噴射してから、造形体層を形成する軟質成形体用液体材料を噴射させる。
このような順序で噴射させると、先に支持体で溝や堰などの溜部ができて、その中に軟質成形体用液体材料を噴射することになり、軟質成形体用液体材料として常温で液体の材料を使っても「たれ」の心配がなく、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等を幅広く用いることができる。
また、造形時間をより短縮させるには、一体化したインクジェットヘッドの往路及び復路のそれぞれで軟質成形体用液体材料及び硬質成形体用液体材料を噴射して積層する方法が好ましい。
更に、軟質成形体用液体材料を噴射するインクジェットヘッドに紫外線照射機を隣接させることにより、高速造形が可能である。
また、立体造形した層を平滑化するために、硬化処理を行った直後に、平滑化処理を行う。
前記平滑化処理は、例えば、ローラー、ブレード等の平滑化部材を用い、硬化膜の表面を平滑化するものである。これにより、層ごとの精度が向上し、立体造形物全体を精密に作製することができる。
この際、積層時間を短縮するため、また層の平滑性を向上させるために、前記平滑化部材を紫外線照射機に隣接して配置することが好ましい。
ここで、図3は、本発明の立体造形物の製造装置を用いた本発明の立体造形物の製造方法における造形体製造工程の一例を示す概略図である。
立体造形物の製造装置10は、インクジェットヘッドを配列したヘッドユニットを用いて、造形体用液体材料噴射ヘッドユニット11からハイドロゲル前駆体液(軟質成形体用液体材料)を、支持体用液体材料噴射ヘッドユニット12、13から支持体液(硬質成形体用液体材料)を噴射し、隣接した紫外線照射機14、15で軟質成形体用液体材料を硬化しながら積層する。
即ち、硬質成形体用液体材料をインクジェットヘッド(支持体用液体材料噴射ヘッドユニット12、13)から噴射し固化させて溜部を有する第1の支持体層を形成し、その第1の支持体層の溜部に軟質成形体用液体材料をインクジェットヘッド(造形体用液体材料噴射ヘッドユニット11)から噴射し、その軟質成形体用液体材料に活性エネルギー線を照射して硬化させた後、硬化膜に対して平滑化部材(ローラー20、21)を用いて平滑化処理を行い、第1の造形体層を形成する。
次いで、前記第1の支持体層の上に溶融した硬質成形体用液体材料を噴射し固化させて溜部を有する第2の支持体層を積層し、その第2の支持体層の溜部に軟質成形体用液体材料を噴射し、その軟質成形体用液体材料に活性エネルギー線を照射して第1の造形体層の上に第2の造形体層を積層し、更に平滑化処理を行い、三次元立体造形物19を製作する。
マルチヘッドユニットが矢印A方向に移動する時は、基本的に支持体用液体材料噴射ヘッドユニット12、造形体用液体材料噴射ヘッドユニット11、紫外線照射機15を用いて、支持体18及び造形体19を造形体支持基板16上に形成する。同時にローラー形状の平滑化部材21で、支持体18及び造形体19を平滑化する。なお、支持体用液体材料噴射ヘッドユニット13、及び紫外線照射機14を補助的に用いてもよい。
ローラー形状の平滑化部材を使用する場合、操作方向に対して、ローラーを逆転させる方向で回転させると平滑化の効果がより有効に発揮される。
また、マルチヘッドユニットが矢印B方向に移動する時は、基本的に支持体用液体材料噴射ヘッドユニット13、造形体用液体材料噴射ヘッドユニット11、紫外線照射機14を用いて、支持体18、造形体19を造形体支持基板16上に形成する。同時にローラー形状の平滑化部材20で、支持体18、及び造形体19を平滑化する。なお、支持体用液体材料噴射ヘッドユニット12、及び紫外線照射機15を補助的に用いてもよい。
更に、液体材料噴射ヘッドユニット11、12、13及び紫外線照射機14、15と、造形体19及び支持体18とのギャップを一定に保つため、積層回数に合わせて、ステージ17を下げながら積層する。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<ハイドロゲル前駆体液の調製>
・減圧脱気を10分間実施したイオン交換水を、純水として用いた。
・開始剤液として、純水98質量部に対してペルオキソ二硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)2質量部を溶解させた水溶液を準備した。
まず、純水195質量部を攪拌させながら、水膨潤性層状鉱物として[Mg5.34Li0.66Si20(OH)]Na 0.66の組成を有する合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、RockWood社製)8質量部を少しずつ添加し、攪拌して分散液を作製した。
次に、前記分散液に重合性モノマーとして、活性アルミナのカラムを通過させ重合禁止剤を除去したN,N−ジメチルアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製)を20質量部添加した。
次に、界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)を0.2質量部添加し、混合した。
次に、保湿剤としてグリセリンを15質量部添加し、混合した。
次に、防腐剤としてプロキセルGXL(S)(ロンザジャパン株式会社製、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを20質量%含有)を0.2質量部添加し、混合した。
次に、得られた混合液を氷浴で冷却しながらテトラメチルエチレンジアミン(和光純薬工業株式会社製)を0.1質量部添加した。
次に、前記開始剤液を5質量部添加して攪拌混合した後、減圧脱気を10分間実施し、均質なハイドロゲル前駆体液を得た。
<ハイドロゲルの成形>
得られたハイドロゲル前駆体液を、以下に示す型に流し込み、25℃環境下で20時間静置し、型から取り出すことで、立体造形物としての肝臓モデル1を得た。得られた肝臓モデル1は、防腐剤であるプロキセルGXL(S)を0.08質量%含有していた。
−型の作製−
立体造形物の製造装置としてのキーエンス社製アジリスタを用い、肝臓の三次元モデルデータを適用して加工した型を製作した。
次に、以下のようにして、「可視光領域の光透過率の減少率」、「80%歪み圧縮応力」、「水分量」、「防腐剤の含有量」、及び「質量減少率」を測定し評価した。結果を表1に示した。
<可視光領域の光透過率の減少率(保存安定性、防腐性)>
得られた肝臓モデル1を温度25℃、相対湿度50%環境下に1週間放置した前後での可視光領域の光透過率を分光光度計(株式会社日立製作所製、U3310型)により測定し、下記数式1により、可視光領域の光透過率の減少率を求めたところ、14%であり、このような環境下において臓器モデル表面にカビ等の菌類の繁殖は目視で認められなかった。
[数式1]
光透過率の減少率(%)=[(放置前の光透過率)−(放置後の光透過率)]/(放置前の光透過率)×100
<80%歪み圧縮応力>
前記ハイドロゲル前駆体液を型に流し込み、石英ガラスで蓋をして密閉状態とし、紫外線照射機(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE SP5−250DB)で350mJ/cmの光量を照射して、10mm×10mm×10mmの立方体形状のハイドロゲルを作製した。
万能試験機(株式会社島津製作所製、AG−I)に、ロードセル1kN、1kN用圧縮治具を設け、10mm×10mm×10mmの形状のハイドロゲルを設置した。前記ロードセルに掛かる圧縮に対する応力をコンピュータに記録し、変位量に対する応力をプロットした。
破断したハイドロゲルについては破断時の圧縮応力を最大値とし、破断しなかったハイドロゲルについては80%歪み圧縮応力を示す。
<水分量>
得られた肝臓モデル1について、熱重量分析装置(株式会社Rigaku製、Thermo plus TG8120)により、水分量を測定した。
肝臓モデル表面の水分量の計測方法は、始めに、肝臓モデルの表面から2mm角のハイドロゲルを切り出した。これを熱重量分析装置に入れ、水の沸点近辺での熱重量減少率から水分量を算出した。
<防腐剤の含有量>
得られた肝臓モデル1の防腐剤含有量は、熱重量分析(株式会社Rigaku製、Thermo plus TG8120)を用いて計測した。
肝臓モデル表面の防腐剤の含有量の測定方法は、始めに、肝臓モデルの表面から2mm角のハイドロゲルを切り出した。これを熱重量分析装置に入れ、防腐剤の沸点近辺での熱重量減少率を測定した。具体的には、防腐剤としてプロキセルGXL(S)を使用している。前記プロキセルGXL(S)は、沸点が154℃〜158℃の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを20質量%含有しているため、120℃〜160℃までの温度範囲での1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの重量減少値を測定した。前記2mm角のハイドロゲルの重量を100%とした時の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの重量減少率から、防腐剤の含有量を算出した。
肝臓モデル中心部の防腐剤の含有量の測定方法は、肝臓モデルの表面から50mm内部にあるハイドロゲルを2mm角で切り出し、前記表面の場合と同様にして測定した。
肝臓モデル1〜7については、臓器モデル中心部(内部)の防腐剤の含有量を測定した。
肝臓モデル8〜14については、臓器モデル表面の防腐剤の含有量を測定した。
<質量減少率>
得られた肝臓モデル1を温度25℃、相対湿度50%環境下で1週間放置した前後での質量を、電子天秤(FX−500i、株式会社エー・アンド・デイ製)により測定し、下記数式2により、質量減少率を求めた。
[数式2]
質量減少率(%)=[(放置前の質量)−(放置後の質量)]/(放置前の質量)×100
(実施例2)
<ハイドロゲルの成形>
実施例1と同様にして、ハイドロゲル前駆体液の調製を行った。
得られたハイドロゲル前駆体液を、肝臓の三次元モデルデータを適用して図3に示す立体造形物の製造装置(ただし、支持体用液体材料噴射ヘッドユニットは不使用)により吐出した。吐出後に硬化させることで、肝臓モデル2を得た。
次に、実施例1と同様にして、「可視光領域の光透過率の減少率」、「80%歪み圧縮応力」、「水分量」、「防腐剤の含有量」、及び「質量減少率」を測定し評価した。結果を表1に示した。
(実施例3)
<ハイドロゲル前駆体液の調製>
実施例1において、防腐剤としてプロキセルGXL(S)(ロンザジャパン株式会社製、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを20質量%含有)を3.8質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、ハイドロゲル前駆体液を得た。
<ハイドロゲルの成形>
得られたハイドロゲル前駆体液を、実施例1と同様の型に流し込み、25℃環境下で20時間静置し、型から取り出すことで、肝臓モデル3を得た。
次に、実施例1と同様にして、「可視光領域の光透過率の減少率」、「80%歪み圧縮応力」、「水分量」、「防腐剤の含有量」、及び「質量減少率」を測定し評価した。結果を表1に示した。
(比較例1)
<ハイドロゲル前駆体液の調製>
実施例1において、防腐剤としてプロキセルGXL(S)(ロンザジャパン株式会社製、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを20質量%含有)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、ハイドロゲル前駆体液を得た。
<ハイドロゲルの成形>
得られたハイドロゲル前駆体液を、実施例1と同様の型に流し込み、25℃環境下で20時間静置し、型から取り出すことで、肝臓モデル4を得た。
次に、実施例1と同様にして、「可視光領域の光透過率の減少率」、「80%歪み圧縮応力」、「水分量」、「防腐剤の含有量」、及び「質量減少率」を測定し評価した。結果を表1に示した。
(比較例2)
<ハイドロゲル前駆体液の調製>
実施例1において、防腐剤としてプロキセルGXL(S)(ロンザジャパン株式会社製、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを20質量%含有)を4.5質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、ハイドロゲル前駆体液を得た。
<ハイドロゲルの成形>
得られたハイドロゲル前駆体液を、実施例1と同様の型に流し込み、25℃環境下で20時間静置したところ、反応が進行しておらず、液状のままであった。これは、水膨潤性層状鉱物に防腐剤が吸着して反応阻害を引き起こしためと考えられる。
(実施例4)
<ハイドロゲル前駆体液の調製>
実施例1において、防腐剤としてGlycacil 2000(ロンザジャパン株式会社製、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルを6質量%含有)を0.2質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、ハイドロゲル前駆体液を得た。
<ハイドロゲルの成形>
得られたハイドロゲル前駆体液を、実施例1と同様の型に流し込み、25℃環境下で20時間静置し、型から取り出すことで、肝臓モデル5を得た。
次に、実施例1と同様にして、「可視光領域の光透過率の減少率」、「80%歪み圧縮応力」、「水分量」、「防腐剤の含有量」、及び「質量減少率」を測定し評価した。結果を表1に示した。
(実施例5)
<ハイドロゲル前駆体液の調製>
実施例1において、防腐剤としてDENSIL DN(ロンザジャパン株式会社製、N−n−ブチル−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを99.2質量%含有)を0.2質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、ハイドロゲル前駆体液を得た。
<ハイドロゲルの成形>
得られたハイドロゲル前駆体液を、実施例1と同様の型に流し込み、25℃環境下で20時間静置し、型から取り出すことで、肝臓モデル6を得た。
次に、実施例1と同様にして、「可視光領域の光透過率の減少率」、「80%歪み圧縮応力」、「水分量」、「防腐剤の含有量」、及び「質量減少率」を測定し評価した。結果を表1に示した。
(実施例6)
<ハイドロゲル前駆体液の調製>
実施例1において、保湿剤としてグリセリンを60質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、ハイドロゲル前駆体液を得た。
<ハイドロゲルの成形>
得られたハイドロゲル前駆体液を、実施例1と同様の型に流し込み、25℃環境下で20時間静置し、型から取り出すことで、保湿剤であるグリセリンを30質量%含有する肝臓モデル7を得た。
次に、実施例1と同様にして、「可視光領域の光透過率の減少率」、「80%歪み圧縮応力」、「水分量」、「防腐剤の含有量」、及び「質量減少率」を測定し評価した。結果を表1に示した。
Figure 0006945272
Figure 0006945272
<外科医師による実評価>
得られた肝臓の外形を再現した実施例1〜3、比較例1、及び実施例4〜6の肝臓モデル1〜7について、5名の熟練した外科医師へのヒアリングを実施した結果、肝臓モデル1、2、5、6及び7は弾力、手術用メスによる切れ味ともに実物を再現できているという評価結果を5名の外科医師全員から得られた。
また、実施例3で作製した肝臓モデル3は、ハイドロゲルの成形はできているが、防腐剤の含有量が9.2質量%であるため、防腐剤による反応阻害から硬さを再現できていなかった。
また、比較例1で作製した肝臓モデル4は、硬さの再現はできているが、防腐剤が含有されていないため、カビ等の菌類の繁殖が目視で認められ、表面が黒ずんでしまった。
(実施例7)
<ハイドロゲル前駆体液の調製>
・減圧脱気を10分間実施したイオン交換水を、純水とした。
・開始剤液として、純水98質量部に対してペルオキソ二硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)2質量部を溶解させた水溶液を準備した。
まず、純水195質量部を攪拌させながら、水膨潤性層状鉱物として[Mg5.34Li0.66Si20(OH)]Na 0.66の組成を有する合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、RockWood社製)8質量部を少しずつ添加し、攪拌して分散液を作製した。
次に、前記分散液に重合性モノマーとして、活性アルミナのカラムを通過させ重合禁止剤を除去したN,N−ジメチルアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製)を20質量部添加した。
次に、界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)を0.2質量部添加し、混合した。
次に、保湿剤としてグリセリンを15質量部添加し、混合した。
次に、得られた混合液を氷浴で冷却しながらテトラメチルエチレンジアミン(和光純薬工業株式会社製)を0.1質量部添加した。
次に、前記開始剤液を5部質量添加して攪拌混合した後、減圧脱気を10分間実施し、均質なハイドロゲル前駆体液を得た。
<ハイドロゲルの成形>
得られたハイドロゲル前駆体液を、以下に示す型に流し込み、25℃環境下で20時間静置し、型から取り出すことでハイドロゲルを得た。
−型の作製−
立体造形物の製造装置としてのキーエンス社製アジリスタを用い、肝臓の三次元モデルデータを適用して加工した型を製作した。
次に、得られたハイドロゲルを、防腐剤であるプロキセルGXL(S)(ロンザジャパン株式会社製、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを20質量%含有)を3質量%含有した水溶液に25℃環境下で1時間浸漬した。水溶液から取り出して、肝臓モデル8を得た。得られた肝臓モデル8は、防腐剤であるプロキセルGXL(S)を0.1質量%含有していた。
次に、実施例1と同様にして、「可視光領域の光透過率の減少率」、「80%歪み圧縮応力」、「水分量」、「防腐剤の含有量」、及び「質量減少率」を測定し評価した。結果を表2に示した。
(実施例8)
<ハイドロゲルの成形>
実施例7と同様にして、ハイドロゲル前駆体液の調製を行った。
得られたハイドロゲル前駆体液を、肝臓の三次元モデルデータを適用して図3に示す立体造形物の製造装置(ただし、支持体用液体材料噴射ヘッドユニットは不使用)により吐出した。吐出後に硬化させることでハイドロゲルを得た。
得られたハイドロゲルを、防腐剤であるプロキセルGXL(S)(ロンザジャパン株式会社製、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを20質量%含有)を3質量%含有した水溶液に25℃環境下で1時間浸漬した。水溶液から取り出して、肝臓モデル9を得た。得られた肝臓モデル9は、防腐剤であるプロキセルGXL(S)を0.1質量%含有していた。
次に、実施例1と同様にして、「可視光領域の光透過率の減少率」、「80%歪み圧縮応力」、「水分量」、「防腐剤の含有量」、及び「質量減少率」を測定し評価した。結果を表2に示した。
(実施例9)
<ハイドロゲルの成形>
実施例7と同様にして、ハイドロゲル前駆体液の調製を行った。
得られたハイドロゲル前駆体液を、実施例1と同様の型に流し込み、25℃環境下で20時間静置し、型から取り出すことでハイドロゲルを得た。このハイドロゲルを、防腐剤であるプロキセルGXL(S)(ロンザジャパン株式会社製、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを20質量%含有)を30質量%含有した水溶液に25℃環境下で2時間浸漬した。水溶液から取り出して、肝臓モデル10を得た。得られた肝臓モデル10は、防腐剤であるプロキセルGXL(S)を10質量%含有していた。
次に、実施例1と同様にして、「可視光領域の光透過率の減少率」、「80%歪み圧縮応力」、「水分量」、「防腐剤の含有量」、及び「質量減少率」を測定し評価した。結果を表2に示した。
(実施例10)
<ハイドロゲルの成形>
実施例7と同様にして、ハイドロゲル前駆体液の調製を行った。
得られたハイドロゲル前駆体液を、実施例1と同様の型に流し込み、25℃環境下で20時間静置し、型から取り出すことでハイドロゲルを得た。このハイドロゲルを、防腐剤であるプロキセルGXL(S)(ロンザジャパン株式会社製、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを20質量%含有)を50質量%含有した水溶液に25℃環境下で2時間浸漬した。水溶液から取り出して、肝臓モデル11を得た。得られた肝臓モデル11は、防腐剤であるプロキセルGXL(S)を18質量%含有していた。
次に、実施例1と同様にして、「可視光領域の光透過率の減少率」、「80%歪み圧縮応力」、「水分量」、「防腐剤の含有量」、及び「質量減少率」を測定し評価した。結果を表2に示した。
(比較例3)
<ハイドロゲルの成形>
実施例7と同様にして、ハイドロゲル前駆体液の調製を行った。
得られたハイドロゲル前駆体液を、実施例1と同様の型に流し込み、25℃環境下で20時間静置し、型から取り出すことで肝臓モデル12を得た。得られた肝臓モデル12は、防腐剤を含有していなかった。
次に、実施例1と同様にして、「可視光領域の光透過率の減少率」、「80%歪み圧縮応力」、「水分量」、「防腐剤の含有量」、及び「質量減少率」を測定し評価した。結果を表2に示した。
(実施例11)
<ハイドロゲルの成形>
実施例7と同様にして、ハイドロゲル前駆体液の調製を行った。
得られたハイドロゲル前駆体液を、実施例1と同様の型に流し込み、25℃環境下で20時間静置し、型から取り出すことでハイドロゲルを得た。このハイドロゲルを、防腐剤であるGlycacil 2000(ロンザジャパン株式会社製、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルを6質量%含有)を3質量%含有した水溶液に25℃環境下で1時間浸漬した。水溶液から取り出して、肝臓モデル13を得た。得られた肝臓モデル13は、防腐剤であるGlycacil 2000を0.1質量%含有していた。
次に、実施例1と同様にして、「可視光領域の光透過率の減少率」、「80%歪み圧縮応力」、「水分量」、「防腐剤の含有量」、及び「質量減少率」を測定し評価した。結果を表2に示した。
(実施例12)
<ハイドロゲルの成形>
実施例7と同様にして、ハイドロゲル前駆体液の調製を行った。
得られたハイドロゲル前駆体液を、実施例1と同様の型に流し込み、25℃環境下で20時間静置し、型から取り出すことでハイドロゲルを得た。このハイドロゲルを、防腐剤であるDENSIL DN(ロンザジャパン株式会社製、N−n−ブチル−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを99.2質量%含有)を3質量%含有した水溶液に25℃環境下で1時間浸漬した。水溶液から取り出して、肝臓モデル14を得た。得られた肝臓モデル14は、防腐剤であるDENSIL DNを0.1質量%含有していた。
次に、実施例1と同様にして、「可視光領域の光透過率の減少率」、「80%歪み圧縮応力」、「水分量」、「防腐剤の含有量」、及び「質量減少率」を測定し評価した。結果を表2に示した。
Figure 0006945272
Figure 0006945272
<外科医師による実評価>
得られた肝臓の外形を再現した実施例7〜10、比較例3、及び実施例11〜12の肝臓モデル8〜14について、5名の熟練した外科医師へのヒアリングを実施した結果、肝臓モデル8〜11、及び13〜14は弾力、手術用メスによる切れ味ともに実物を再現できているという評価結果を5名の外科医師全員から得られた。
また、比較例3で作製した肝臓モデル12は、硬さの再現はできているが、防腐剤が含有されていないため、カビ等の菌類の繁殖が目視で認められ、表面が黒ずんでしまった。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 有機ポリマーと鉱物と水を含有するハイドロゲルで構成された立体造形物であって、
前記立体造形物を、温度25℃、相対湿度50%の環境下で1週間放置した前後での可視光領域の光透過率の減少率が20%以下であることを特徴とする立体造形物である。
<2> 80%歪み圧縮応力が0.01MPa以上5.0MPa以下である前記<1>に記載の立体造形物である。
<3> 温度25℃、相対湿度50%環境下で1週間放置した前後での質量減少率が20質量%以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の立体造形物である。
<4> 防腐剤を含有し、前記防腐剤の含有量が中心部よりも表面側の方が高い前記<1>から<3>のいずれかに記載の立体造形物である。
<5> 防腐剤を含有し、前記防腐剤の含有量が25質量%以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載の立体造形物である。
<6> 前記防腐剤が、含窒素複素環化合物である前記<4>から<5>のいずれかに記載の立体造形物である。
<7> 80%歪み圧縮応力の異なる複数の領域を有する前記<1>から<6>のいずれかに記載の立体造形物である。
<8> 前記鉱物が、合成ヘクトライト分散体である前記<1>から<7>のいずれかに記載の立体造形物である。
<9> 前記有機ポリマーを構成する有機モノマーが、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、及びN−アクリロイルモルホリンから選択される少なくとも1種である前記<1>から<8>のいずれかに記載の立体造形物である。
<10> 水分量が50質量%以上である前記<1>から<9>のいずれかに記載の立体造形物である。
<11> 臓器モデルとして用いられる前記<1>から<10>のいずれかに記載の立体造形物である。
<12> 有機モノマー、鉱物、水、及び防腐剤を含むハイドロゲル前駆体液を用いて立体物を造形する工程を含む前記<1>から<11>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<13> 有機モノマー、鉱物、及び水を含むハイドロゲル前駆体液を用いて立体物を造形する工程と、
得られた立体造形物に対して防腐剤含有液を付与する工程と、
を含む前記<1>から<11>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<14> 有機モノマー、鉱物、及び水を含むハイドロゲル前駆体液を用いて立体物を造形する工程と、
得られた立体造形物を乾燥する工程と、
乾燥後の立体造形物に対して防腐剤含有液を付与する工程と、
を含む前記<1>から<11>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<15> 前記立体物を造形する工程が、3次元プリンターにより積層造形することで行われる前記<12>から<14>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<16> 前記立体物を造形する工程が、有機モノマー、鉱物、水及び保湿剤を含むハイドロゲル前駆体液を付与して成膜する第一の工程と、
前記第一の工程で形成された膜を硬化させる第二の工程と、を複数回繰り返す前記<13>から<14>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<17> 前記ハイドロゲル前駆体液として、組成が異なる複数のハイドロゲル前駆体液を用い、前記第一の工程として、複数の前記前駆体液を付与する位置と量を制御することで、硬化後の80%歪み圧縮応力又は圧縮弾性率が異なる複数の領域を有する膜を成膜する前記<16>に記載の立体造形物の製造方法である。
<18> 前記防腐剤含有液を付与する工程が、防腐剤含有液中に浸漬することで行われる前記<13>から<17>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<19> 前記可視光領域の光透過率の減少率が10%以下である前記<1>から<11>のいずれかに記載の立体造形物である。
<20> 着色剤を含有する前記<1>から<11>及び<19>のいずれかに記載の立体造形物である。
前記<1>から<11>及び<19>から<20>のいずれかに記載の立体造形物、並びに前記<12>から<18>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、前記立体造形物、及び前記立体造形物の製造方法は、保存安定性に優れ、臓器モデル等として好適な立体造形物及び立体造形物の製造方法を提供することを目的とする。
特開2008−241988号公報 特許第4993519号公報 特許第4759165号公報
10 立体造形物の製造装置
11 造形体用液体材料噴射ヘッドユニット
12、13 支持体用液体材料噴射ヘッドユニット
14、15 紫外線照射機
16 造形体支持基板
17 ステージ
18 支持体
19 造形体
20、21 平滑化部材
33 造形体表面(支持体との界面)
40 肝臓
41 胆嚢
42 下大静脈
43 肝鎌状間膜
44 右葉
45 左葉

Claims (17)

  1. 有機モノマーを重合させてなる有機ポリマーと層状鉱物と水と防腐剤とを含有するハイドロゲルで構成された臓器モデルであって、
    前記防腐剤が含窒素複素環化合物であり、
    前記臓器モデルを、温度25℃、相対湿度50%の環境下で1週間放置した前後での可視光領域の光透過率の減少率が20%以下であり、
    80%歪み圧縮応力が0.4MPa以上5.0MPa以下であることを特徴とする臓器モデル
  2. 前記有機モノマーが、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、及びN−アクリロイルモルホリンから選択される少なくとも1種であり、
    前記防腐剤が1,2−ベンゾイソチアゾリン−3オンを含む請求項1に記載の臓器モデル。
  3. 温度25℃、相対湿度50%環境下で1週間放置した前後での質量減少率が20質量%以下である請求項1から2のいずれかに記載の臓器モデル
  4. 前記防腐剤の含有量が中心部よりも表面側の方が高い請求項1から3のいずれかに記載の臓器モデル
  5. 前記防腐剤の含有量が25質量%以下である請求項1から3のいずれかに記載の臓器モデル
  6. 第一のハイドロゲルで構成された第一の領域と、前記第一のハイドロゲルとは異なる弾性率を有する第二のハイドロゲルで構成された第二の領域とを少なくとも有する請求項1から5のいずれかに記載の臓器モデル。
  7. 80%歪み圧縮応力の異なる複数の領域を有する請求項1から6のいずれかに記載の臓器モデル
  8. 前記層状鉱物が、合成ヘクトライト分散体である請求項1から7のいずれかに記載の臓器モデル
  9. 水分量が50質量%以上である請求項1から8のいずれかに記載の臓器モデル。
  10. 外科手術の手技練習用臓器モデルとして用いられる請求項1から9のいずれかに記載の臓器モデル。
  11. 有機モノマー、層状鉱物、水、及び防腐剤を含むハイドロゲル前駆体液を用いて臓器モデルを造形する工程を含む請求項1から10のいずれかに記載の臓器モデルの製造方法。
  12. 有機モノマー、層状鉱物、及び水を含むハイドロゲル前駆体液を用いて臓器モデルを造形する工程と、
    得られた臓器モデルに対して防腐剤含有液を付与する工程と、
    を含む請求項1から10のいずれかに記載の臓器モデルの製造方法。
  13. 有機モノマー、層状鉱物、及び水を含むハイドロゲル前駆体液を用いて臓器モデルを造形する工程と、
    得られた臓器モデルを乾燥する工程と、
    乾燥後の臓器モデルに対して防腐剤含有液を付与する工程と、
    を含む請求項1から10のいずれかに記載の臓器モデルの製造方法。
  14. 前記臓器モデルを造形する工程が、3次元プリンターにより積層造形することで行われる請求項11から13のいずれかに記載の臓器モデルの製造方法。
  15. 前記臓器モデルを造形する工程が、有機モノマー、層状鉱物、水及び保湿剤を含むハイドロゲル前駆体液を付与して成膜する第一の工程と、
    前記第一の工程で形成された膜を硬化させる第二の工程と、を複数回繰り返す請求項12から13のいずれかに記載の臓器モデルの製造方法。
  16. 前記ハイドロゲル前駆体液として、組成が異なる複数のハイドロゲル前駆体液を用い、前記第一の工程として、複数の前記前駆体液を付与する位置と量を制御することで、硬化後の80%歪み圧縮応力又は圧縮弾性率が異なる複数の領域を有する膜を成膜する請求項15に記載の臓器モデルの製造方法。
  17. 前記防腐剤含有液を付与する工程が、防腐剤含有液中に浸漬することで行われる請求項12から13のいずれかに記載の臓器モデルの製造方法。
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