JP6944659B2 - サーミスタセンサ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高い信頼性を有するサーミスタセンサ及びその製造方法に関する。
温度センサ等に使用されるサーミスタ材料は、高精度、高感度のために、高いB定数が求められている。近年、このようなサーミスタ材料として、非焼成で熱処理が不要であり、高B定数が得られる金属窒化物材料が開発されている。
例えば、本願発明者らは、非焼成で絶縁性基材に直接成膜できるサーミスタ用金属窒化物材料として、一般式:TiAl(0.70≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であるサーミスタ用金属窒化物材料を開発している(特許文献1)。その他にも、非焼成で形成でき、Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Si,Cu及びAlの少なくとも1種の窒化物材料であり、上記結晶構造を有するものであって高B定数が得られる材料を開発している(特許文献2〜7)。
また、同様に、非焼成で絶縁性基材に直接成膜できるサーミスタ用金属窒化物材料として、一般式:MAl(但し、MはZr,Nb,Mo,Hf,Ta及びWの少なくとも1種を示す。0.65≦y/(x+y)≦0.98、0.35≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であって高B定数が得られる材料も開発している(特許文献8)。
さらに、一般式:(M1−wAl(但し、MはTi,V,Cr,Mn,Fe及びCoの少なくとも1種を示すと共に、AはSc,Zr,Mo,Nb及びWの少なくとも1種を示す。0.0<w<1.0、0.70≦y/(x+y)≦0.98、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相である材料も開発している(特許文献9)。
また、上記サーミスタ用金属窒化物材料を成膜して金属窒化膜を形成する際に、結晶配向性に優れた金属窒化膜を得るために、基材上に予め絶縁性下地膜を形成する技術も開発されている(特許文献10,11)。
特開2013−179161号公報 特開2014−123646号公報 特開2014−236204号公報 特開2015−65408号公報 特開2015−65417号公報 特開2015−73077号公報 特開2015−73075号公報 特開2016−136609号公報 特開2015−073075号公報 特開2017−163127号公報 特開2017−163128号公報
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、複数の素子を同時に製造する際には、一枚の基材を切断して複数の素子を製造することが一般的である。そのような製造方法において、基材上の絶縁性下地膜を介して金属窒化膜を成膜した場合、基材全面に絶縁性下地膜が成膜されていると、素子毎に切断する際に切断面から絶縁性下地膜にクラックが入るおそれがあり、信頼性が低下するおそれがあった。また、絶縁性フィルム等のフレキシブルな基材を採用した場合、全体を曲げた際に、基材全面に成膜された絶縁性下地膜全体に曲げ応力が強く加わり、やはりクラックが入るおそれがあった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、切断時や曲げた際に絶縁性下地膜にクラックが入ることを抑制可能なサーミスタセンサ及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係るサーミスタセンサは、基材と、前記基材上に形成された絶縁性下地膜と、前記絶縁性下地膜上に形成されたサーミスタ特性を有する結晶性の金属窒化膜と、前記金属窒化膜に形成された一対の対向電極とを備え、前記絶縁性下地膜が、前記基材の外周縁を避けてパターン形成されていることを特徴とする。
このサーミスタセンサでは、絶縁性下地膜が、基材の外周縁を避けてパターン形成されているので、素子毎に切断する際に基材部分だけを切断可能であり、絶縁性下地膜にクラックが入り難い。また、基材全面に絶縁性下地膜を成膜した場合に比べて絶縁性下地膜に加わる応力を低減することができ、やはりクラックが入り難い。
第2の発明に係るサーミスタセンサは、第1の発明において、前記絶縁性下地膜が、非晶質膜であることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタセンサでは、絶縁性下地膜が、非晶質膜であるので、結晶性の下地膜に比べて非晶質膜の絶縁性下地膜が応力の緩和層としても機能することで、クラックがより入り難くなると共に、耐熱試験後でも抵抗値変化が小さくなり、優れた耐熱性も得ることができる。
第3の発明に係るサーミスタセンサは、第1又は第2の発明において、前記絶縁性下地膜が、前記金属窒化膜と同じ形状でパターン形成されていることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタセンサでは、絶縁性下地膜が、金属窒化膜と同じ形状でパターン形成されているので、小面積化することができる。
また、同じメタルマスクにより同一形状の金属窒化膜と絶縁性下地膜とを続けてパターン形成することができ、工程数を削減することが可能になる。
第4の発明に係るサーミスタセンサは、第1又は第2の発明において、前記金属窒化膜が、前記絶縁性下地膜の外周縁よりも内側にパターン形成され、前記対向電極が、前記金属窒化膜上から前記絶縁性下地膜上を介して前記基材上までパターン形成されていることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタセンサでは、金属窒化膜が、絶縁性下地膜の外周縁よりも内側にパターン形成され、対向電極が、金属窒化膜上から絶縁性下地膜上を介して基材上までパターン形成されているので、金属窒化膜から基材まで延在する対向電極の段差が小さくなり、段差による対向電極の断線を防ぐことができる。
第5の発明に係るサーミスタセンサは、第1から第4のいずれか一項に記載のサーミスタセンサにおいて、前記絶縁性下地膜が、非晶質のAl−O膜であることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタセンサでは、絶縁性下地膜が、非晶質のAl−O膜であるので、Al−Oを結晶核として金属窒化膜が結晶成長することで、成膜初期から良質な柱状結晶化膜の金属窒化膜を得ることができる。
第6の発明に係るサーミスタセンサは、第1から第4の発明のいずれかにおいて、前記絶縁性下地膜が、非晶質のSi−N膜であることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタセンサでは、絶縁性下地膜が、非晶質のSi−N膜であるので、Si−Nを結晶核として金属窒化膜が結晶成長することで、成膜初期から良質な柱状結晶化膜の金属窒化膜を得ることができる。
第7の発明に係るサーミスタセンサは、第1から第6の発明のいずれかにおいて、前記金属窒化膜が、サーミスタ特性を有するM−A−N(但し、MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示すと共に、AはAl又は(Al及びSi)を示す。)、M’−Al−N(但し、M’はZr,Nb,Mo,Hf,Ta及びWの少なくとも1種を示す。)、又はG−A’−Al−N(但し、GはTi,V,Cr,Mn,Fe及びCoの少なくとも1種を示すと共に、A’はSc,Zr,Mo,Nb及びWの少なくとも1種を示す。)であり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタセンサでは、金属窒化膜が、サーミスタ特性を有するM−A−N(但し、MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示すと共に、AはAl又は(Al及びSi)を示す。)、M’−Al−N(但し、M’はZr,Nb,Mo,Hf,Ta及びWの少なくとも1種を示す。)、又はG−A’−Al−N(但し、GはTi,V,Cr,Mn,Fe及びCoの少なくとも1種を示すと共に、A’はSc,Zr,Mo,Nb及びWの少なくとも1種を示す。)であり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であるので、高B定数を得ることができる。
第8の発明に係るサーミスタセンサは、第7の発明において、前記金属窒化膜が前記M−A−Nであり、前記M−A−Nにおける前記Mの元素がTiであり、前記Aの元素がAlであることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタセンサでは、金属窒化膜が前記M−A−Nであり、前記M−A−Nにおける前記Mの元素がTiであり、前記Aの元素がAlであるので、金属窒化膜層がTi−Al−Nである。
第9の発明に係るサーミスタセンサは、第1から第8の発明のいずれかにおいて、前記基材が、絶縁性フィルムであることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタセンサでは、基材が絶縁性フィルムであるので、柔軟性を有する絶縁性下地膜及び金属窒化膜を成膜すれば、全体として柔軟性を有することができ、曲げた状態で設置等が可能なフレキシブルサーミスタとして使用することが可能になる。
第10の発明に係るサーミスタセンサは、第1から第9の発明のいずれかのサーミスタセンサの製造方法であって、基材上に絶縁性下地膜を形成する下地膜形成工程と、前記絶縁性下地膜上に金属窒化膜を形成する金属窒化膜形成工程とを有し、前記下地膜形成工程で、前記絶縁性下地膜を前記基材の外周縁を避けてパターン形成することを特徴とする。
第11の発明に係るサーミスタセンサは、第10の発明において、前記下地膜形成工程及び前記金属窒化膜形成工程で、同じメタルマスクを用いて前記基材上に前記絶縁性下地膜と前記絶縁性下地膜とをこの順で続けてパターン形成することを特徴とする。
すなわち、このサーミスタセンサの製造方法では、下地膜形成工程及び金属窒化膜形成工程で、同じメタルマスクを用いて基材上に絶縁性下地膜と金属窒化膜とをこの順で続けてパターン形成するので、同一形状の金属窒化膜と絶縁性下地膜とを続けて成膜でき、工程数を削減することが可能になる。特に、メタルマスクでパターニングするので、絶縁性下地膜がエッチングによりパターニングが困難な材料であるときでも、容易に所望の形状でパターン形成することが可能である。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るサーミスタセンサ及びその製造方法によれば、絶縁性下地膜が、基材の外周縁を避けてパターン形成されるので、素子毎に切断する際に基材部分だけを切断可能であると共に、基材全面に絶縁性下地膜を成膜した場合に比べて絶縁性下地膜に加わる応力を低減することができ、絶縁性下地膜にクラックが入り難い。したがって、本発明のサーミスタセンサでは、クラックが生じ難い絶縁性下地膜により、高い信頼性を得ることができる。
本発明に係るサーミスタセンサ及びその製造方法の第1実施形態において、サーミスタを示す断面図である。 第1実施形態及び本発明に係る実施例において、サーミスタセンサ及び膜評価用素子を示す平面図である。 本発明に係るサーミスタセンサ及びその製造方法の第2実施形態において、サーミスタを示す断面図である。 第2実施形態において、サーミスタセンサを示す平面図である。 本発明の実施例2(絶縁性下地膜を非晶質のAl−O膜とした場合)を示す断面TEM像である。 本発明の実施例4(絶縁性下地膜を非晶質のSi−N膜とした場合)を示す断面TEM像である。
以下、本発明に係るサーミスタセンサ及びその製造方法における第1実施形態を、図1及び図2を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部を認識可能又は認識容易な大きさとするために必要に応じて縮尺を適宜変更している。
本実施形態のサーミスタ1は、図1及び図2に示すように、基材2上に形成されたサーミスタであって、基材2上に形成された絶縁性下地膜3と、絶縁性下地膜3上に形成されたサーミスタ特性を有する結晶性の金属窒化膜4と、金属窒化膜4に形成された一対の対向電極5とを備えている。
上記絶縁性下地膜3は、基材2の外周縁を避けてパターン形成されている。
本実施形態では、絶縁性下地膜3が、金属窒化膜4と同じ形状でパターン形成されている。例えば、矩形状の基材2上の中央部に、互いに同じ矩形状及び配置で絶縁性下地膜3と金属窒化膜4とが積層されてパターン形成されている。
上記金属窒化膜4は、柱状結晶化膜であり、絶縁性下地膜3は、非晶質膜である。
本実施形態では、絶縁性下地膜3が、無機系非晶質のAl−O膜である。
なお、絶縁性下地膜3が非晶質であることは、X線回折および電子線回折において回折パターンが得られないことで確認している。
膜厚は、応力等を考慮して絶縁性下地膜3,金属窒化膜4共に200nm以下に設定することが好ましく、より好ましくは、絶縁性下地膜3を厚さ50nmにすると共に、金属窒化膜4を厚さ100nmにする。
上記金属窒化膜4は、サーミスタ特性を有するM−A−N(但し、MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示すと共に、AはAl又は(Al及びSi)を示す。)、M’−Al−N(但し、M’はZr,Nb,Mo,Hf,Ta及びWの少なくとも1種を示す。)、又はG−A’−Al−N(但し、GはTi,V,Cr,Mn,Fe及びCoの少なくとも1種を示すと共に、A’はSc,Zr,Mo,Nb及びWの少なくとも1種を示す。)であり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相である。
本実施形態では、特に金属窒化膜4が前記M−A−Nであり、前記M−A−Nにおける前記Mの元素がTiであり、前記Aの元素としてAlが採用されている。すなわち、金属窒化膜4は、サーミスタ特性を有する結晶性Ti−Al−Nである。特に、金属窒化膜4は、一般式:TiAl(0.70≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなる。また、金属窒化膜4には、サーミスタ特性を大きく変えない範囲内において、酸素が含まれていてもよい。
なお、金属窒化膜4は、基板面に垂直な方向(膜厚方向)にc軸配向度が大きい結晶配向をもつ。結晶相の同定は、視斜角入射X線回折(Grazing Incidence X−ray Diffraction)により実施し、管球をCuとし、入射角を1度とする。なお、膜の表面に対して垂直方向(膜厚方向)にa軸配向(100)が強いかc軸配向(002)が強いかの判断は、上記X線回折(XRD)を用いて結晶軸の配向性を調べ、(100)(a軸配向を示すhkl指数)と(002)(c軸配向を示すhkl指数)とのピーク強度比から、「(100)のピーク強度」/「(002)のピーク強度」が1未満である場合、c軸配向が強いものとする。TEM(透過型電子顕微鏡)を用いる場合は、膜断面の電子線回折像を取得することで、金属窒化膜4の膜厚方向にc軸配向度が高いことが確認される。
また、金属窒化膜4は、緻密な柱状結晶化膜である。これは、断面SEMや断面TEMの結晶形態の評価によって確認することができる。さらに、金属窒化膜4及び非晶質の絶縁性下地膜3は、それぞれ柔軟性を有した膜であることも確認されている。
なお、金属窒化膜4である結晶性の上記Mについては、上記「y/(x+y)」(すなわち、A/(M+A))が0.70未満であると、ウルツ鉱型の単相が得られず、NaCl型相との共存相又はNaCl型のみの結晶相となってしまい、十分な高抵抗と高B定数とが得られない。
また、上記「y/(x+y)」(すなわち、A/(M+A))が0.98を超えると、抵抗率が非常に高く、きわめて高い絶縁性を示すため、サーミスタ材料として適用できない。
また、上記「z」(すなわち、N/(M+A+N))が0.4未満であると、金属の窒化量が少ないため、ウルツ鉱型の単相が得られず、十分な高抵抗と高B定数とが得られない。
さらに、上記「z」(すなわち、N/(M+A+N))が0.5を超えると、ウルツ鉱型の単相を得ることができない。このことは、ウルツ鉱型の単相において、窒素サイトにおける欠陥がない場合の化学量論比が0.5(すなわち、N/(M+A+N)=0.5)であることに起因する。
上述したように、ウルツ鉱型の結晶構造は、六方晶系の空間群P6mc(No.186)であり、MとAとは同じ原子サイトに属し(MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示すと共に、AはAl又は(Al及びSi)を示す。)、いわゆる固溶状態にある。ウルツ鉱型は、(M,A)N4四面体の頂点連結構造をとり、(M,A)サイトの最近接サイトがN(窒素)であり、(M,A)は窒素4配位をとる。
なお、Ti以外に、V(バナジウム)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)が同様に上記結晶構造においてTiと同じ原子サイトに存在することができ、Mの元素となり得る。有効イオン半径は、原子間の距離を把握することによく使われる物性値であり、特によく知られているShannonのイオン半径の文献値を用いると、論理的にもウルツ鉱型のM(但し、MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示すと共に、AはAl又は(Al及びSi)を示す。)が得られると推測できる。
以下の表1にAl,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Siの各イオン種における有効イオン半径を示す(参照論文 R.D.Shannon, Acta Crystallogr., Sect.A, 32, 751(1976))。
Figure 0006944659
ウルツ鉱型は4配位であり、Mに関して4配位の有効イオン半径を見ると、2価の場合、Ni<Cu<Co<Fe<Mnであり、3価の場合、Al<Feであり、4価の場合、Mn<Co<Cr<Tiであり、5価の場合、Cr<Vとなっている。これらの結果より、(Al,Cu,Co,Fe,Ni,Mn)<Cr<(V,Ti)であると考えられる。(Ti及びV、もしくは、Cu,Co,Fe,Ni,Mn及びAlのイオン半径の大小関係は判別できない。)ただし、4配位のデータは価数がそれぞれ異なっているので、厳密な比較とはならないため、参考で3価イオンに固定したときの6配位(MN6八面体)のデータを用いて比較した。表1中のHSは高スピン状態、LSは低スピン状態を示す。低スピン状態(LS)のとき、イオン半径が、Al<Cu<Co<Fe<Ni<Mn<Cr<V<Tiとなっていることがわかる。(高スピン状態のとき、Mn,Fe,Co,Niのイオン半径は、Alのイオン半径より大きく、Tiのイオン半径より小さい。)
本発明は、ウルツ鉱型の結晶構造をもつ窒化物絶縁体である結晶性Al−NのAlサイトをTi等のMに置き換えることにより、キャリアドーピングし、電気伝導が増加することで、サーミスタ特性が得られるものであるが、例えばAlサイトをTiに置き換えた場合は、AlよりTiの方が有効イオン半径が大きいので、その結果、AlとTiとの平均イオン半径は増加する。その結果、原子間距離が増加し、格子定数が増加すると推測できる。
実際に、特許文献2〜7にて、ウルツ鉱型のM(但し、MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示すと共に、AはAl又は(Al及びSi)を示す。)が得られ、サーミスタ特性が得られている。また、結晶性Al−NのAlサイトをTi等に置き換えることによる格子定数の増加が、X線データより確認されていることが報告されている。なお、Siについては、表1より、Si及びAlのイオン半径の大小関係は判別できないが、特許文献5にて、AlとSiの双方を含むMにて、ウルツ鉱型の結晶構造をもち、さらに、サーミスタ特性が得られていることが報告されている。
また、金属窒化膜4である結晶性の上記M’Alについては、上記「y/(x+y)」(すなわち、Al/(M’+Al))が0.65未満であると、ウルツ鉱型の単相が得られず、一部のM’元素においては、NaCl型相との共存相又はNaCl型のみの結晶相となってしまい、十分な高抵抗と高B定数とが得られない。
また、上記「y/(x+y)」(すなわち、Al/(M’+Al))が0.98を超えると、抵抗率が非常に高く、きわめて高い絶縁性を示すため、サーミスタ材料として適用できない。
また、上記「z」(すなわち、N/(M’+Al+N))が0.35未満であると、金属の窒化量が少ないため、ウルツ鉱型の単相が得られず、十分な高抵抗と高B定数とが得られない。
また、上記「z」(すなわち、N/(M’+Al+N))が0.5を超えると、ウルツ鉱型の単相を得ることができない。このことは、ウルツ鉱型の単相において、窒素サイトにおける欠陥がない場合の化学量論比が0.5(すなわち、N/(M’+Al+N)=0.5)であることに起因する。
なお、実際に、特許文献8にて、ウルツ鉱型のM’Al(但し、M’はZr,Nb,Mo,Hf,Ta及びWの少なくとも1種を示す。0.65≦y/(x+y)≦0.98、0.35≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物では、非焼成で良好なB定数のサーミスタ特性が得られている。
さらに、金属窒化膜4である結晶性の上記(G1−wA’Alについては、上記「y/(x+y)」(すなわち、Al/(G+A’+Al))が0.70未満であると、ウルツ鉱型の単相が得られず、NaCl型相との共存相又はNaCl型のみの結晶相となってしまい、十分な高抵抗と高B定数とが得られない。
また、上記「y/(x+y)」(すなわち、Al/(G+A’+Al))が0.98を超えると、抵抗率が非常に高く、きわめて高い絶縁性を示すため、サーミスタ材料として適用できない。
また、上記「z」(すなわち、N/(G+A’+Al+N))が0.4未満であると、金属の窒化量が少ないため、ウルツ鉱型の単相が得られず、十分な高抵抗と高B定数とが得られない。
さらに、上記「z」(すなわち、N/(G+A’+Al+N))が0.5を超えると、ウルツ鉱型の単相を得ることができない。このことは、ウルツ鉱型の単相において、窒素サイトにおける欠陥がない場合の化学量論比が0.5(すなわち、N/(G+A’+Al+N)=0.5)であることに起因する。
なお、実際に、特許文献9にて、ウルツ鉱型の(G1−wA’Al(但し、GはTi,V,Cr,Mn,Fe及びCoの少なくとも1種を示すと共に、A’はSc,Zr,Mo,Nb及びWの少なくとも1種を示す。0.0<w<1.0、0.70≦y/(x+y)≦0.98、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物では、非焼成で良好なB定数のサーミスタ特性が得られている。
上記基材2は、ポリイミド等の絶縁性フィルムが採用される。なお、絶縁性フィルムとしては、他にPET:ポリエチレンテレフタレート,PEN:ポリエチレンナフタレート等でも作製できるが、柔軟性と耐熱性とが要求される。例えば定着ローラの温度測定用としては、最高使用温度が200℃程度と高く、高温での使用が可能な、耐熱性に優れたポリイミドフィルムが望ましい。なお、近年、200℃以上の温度でも使用可能な耐熱性が極めて優れたポリイミドフィルムが開発されている。
上記一対の対向電極5は、例えばCr膜5aとAu膜5bとの積層金属膜でパターン形成され、金属窒化膜4上で互いに対向状態とされている。対向電極5は、金属窒化膜4上から基材2上まで延在してパターン形成されている。なお、対向電極5は、複数の櫛部5cを有した櫛形パターンとされている。
上記金属窒化膜4は、エッチングやメタルマスク等を用いてパターン形成されている。
上記サーミスタセンサ1の製造方法について、以下に説明する。
本実施形態のサーミスタセンサ1の製造方法は、基材2上に絶縁性下地膜3を形成する下地膜形成工程と、絶縁性下地膜3上に金属窒化膜4を形成する金属窒化膜形成工程とを有している。
また、上記下地膜形成工程では、絶縁性下地膜3を基材2の外周縁を避けてパターン形成する。
本実施形態では、下地膜形成工程及び金属窒化膜形成工程で、同じメタルマスクを用いて基材2上に絶縁性下地膜3と絶縁性下地膜3とをこの順で続けてパターン形成する。
上記金属窒化膜形成工程では、金属窒化膜4を構成する元素のうち窒素以外の元素からなる合金スパッタリングターゲットを用いて窒素含有雰囲気中で反応性スパッタを行って金属窒化膜4を成膜する。
本実施形態の下地膜形成工程では、Alスパッタリングターゲットを用いてスパッタを行って非晶質のAl−O膜を形成する。
この時のスパッタ条件は、例えば、到達真空度:4×10−5Pa、ターゲット投入電力(出力):200Wで、Arガス雰囲気下においてスパッタガス圧:0.4Paとする。なお、スパッタ時に用いられるガス種は、Arガスと酸素ガスとの混合ガスを用いてもよい。
上記金属窒化膜形成工程では、M−A合金スパッタリングターゲット(但し、MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示すと共に、AはAl又は(Al及びSi)を示す。)、M’−Al合金スパッタリングターゲット(但し、M’はZr,Nb,Mo,Hf,Ta及びWの少なくとも1種を示す。)、又はG−A’−Al合金スパッタリングターゲット(但し、GはTi,V,Cr,Mn,Fe及びCoの少なくとも1種を示すと共に、A’はSc,Zr,Mo,Nb及びWの少なくとも1種を示す。)を用いて窒素含有雰囲気中で反応性スパッタを行って金属窒化膜4を成膜する。
例えば、M=Ti,A=Alとした場合、その時のスパッタ条件は、例えば、組成比Al/(Al+Ti)比=0.85のTi−Al合金スパッタリングターゲットを用い、到達真空度:4×10−5Pa、スパッタガス圧:0.2Pa、ターゲット投入電力(出力):200Wで、Arガス+窒素ガスの混合ガス雰囲気下において窒素ガス分圧:30%とする。
基材2全面にメタルマスクを用いて絶縁性下地膜3及び金属窒化膜4を続けて積層してパターン形成した後、金属窒化膜4及び基材2上にスパッタ法にて、例えばCr膜5aを20nm形成し、さらにAu膜5bを200nm形成する。さらに、その上にレジスト液をバーコーターで塗布した後、110℃で1分30秒のプリベークを行い、露光装置で感光後、現像液で不要部分を除去し、150℃で5分のポストベークにてパターニングを行う。その後、不要な電極部分を市販のAuエッチャント及びCrエッチャントによりウェットエッチングを行い、レジスト剥離にて所望の櫛部5cを有した対向電極5を形成する。このようにして本実施形態のサーミスタセンサ1が作製される。
このように本実施形態のサーミスタセンサ1では、絶縁性下地膜3が、基材2の外周縁を避けてパターン形成されているので、素子毎に切断する際に基材2部分だけを切断可能であり、絶縁性下地膜3にクラックが入り難い。また、基材2全面に絶縁性下地膜3を成膜した場合に比べて絶縁性下地膜に加わる応力を低減することができ、やはりクラックが入り難い。
また、絶縁性下地膜3が、非晶質膜であるので、結晶性の下地膜に比べて非晶質膜の絶縁性下地膜3が応力の緩和層としても機能することで、クラックがより入り難くなると共に、耐熱試験後でも抵抗値変化が小さくなり、優れた耐熱性も得ることができる。特に、絶縁性下地膜3が、非晶質のAl−O膜であるので、Al−Oを結晶核としてAl元素を含む金属窒化膜4が結晶成長することで、成膜初期から良質な柱状結晶化膜の金属窒化膜を得ることができる。
また、絶縁性下地膜3が、金属窒化膜4と同じ形状でパターン形成されているので、小面積化することができる。
本実施形態のサーミスタセンサ1の製造方法では、下地膜形成工程及び金属窒化膜形成工程で、同じメタルマスクを用いて基材2上に絶縁性下地膜3と金属窒化膜4とをこの順で続けてパターン形成するので、同一形状の金属窒化膜4と絶縁性下地膜3とを続けて成膜でき、工程数を削減することが可能になる。特に、メタルマスクでパターニングするので、絶縁性下地膜3がエッチングによりパターニングが困難な材料であるときでも、容易に所望の形状でパターン形成することが可能である。
また、金属窒化膜4が、サーミスタ特性を有するM−A−N(但し、MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示すと共に、AはAl又は(Al及びSi)を示す。)、M’−Al−N(但し、M’はZr,Nb,Mo,Hf,Ta及びWの少なくとも1種を示す。)、又はG−A’−Al−N(但し、GはTi,V,Cr,Mn,Fe及びCoの少なくとも1種を示すと共に、A’はSc,Zr,Mo,Nb及びWの少なくとも1種を示す。)であり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であるので、高B定数を得ることができる。
さらに、基材2が絶縁性フィルムであるので、柔軟性を有する絶縁性下地膜3及び金属窒化膜4を成膜すれば、全体として柔軟性を有することができ、曲げた状態で設置等が可能なフレキシブルサーミスタとして使用することが可能になる。
特に、200℃以上の温度でも使用可能な耐熱性が極めて優れたポリイミドフィルムを採用することで、200℃以上でも使用可能なフレキシブルサーミスタセンサを得ることができる。
次に、本発明に係るサーミスタセンサ及びその製造方法の第2実施形態について、図3及び図4を参照して以下に説明する。なお、以下の実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、絶縁性下地膜3と金属窒化膜4とが同じ形状で積層されパターン形成されているのに対し、第2実施形態のサーミスタセンサ21では、図3及び図4に示すように、金属窒化膜24が、絶縁性下地膜23の外周縁よりも内側にパターン形成され、対向電極25が、金属窒化膜24上から絶縁性下地膜23上を介して基材2上までパターン形成されている点である。
すなわち、第2実施形態では、例えば基材2上にメタルマスクを用いて絶縁性下地膜23を矩形状にパターン形成した後、さらに別のメタルマスクを用いて金属窒化膜24を絶縁性下地膜23よりも小さい矩形状にパターン形成する。したがって、絶縁性下地膜23は、金属窒化膜24よりも広くパターニングされている。
また、第1実施形態では、絶縁性下地膜3が非晶質のAl−O膜であるのに対し、第2実施形態のサーミスタセンサ21では、絶縁性下地膜23が非晶質のSi−N膜である点でも異なっている。
すなわち、第2実施形態では、下地膜形成工程で、Siスパッタリングターゲットを用いてスパッタを行って非晶質膜のSi−N膜を形成している。
なお、この時のスパッタ条件は、例えば、到達真空度:4×10−5Pa、ターゲット投入電力(出力):200Wで、スパッタガス圧:0.67Paとし、Arガス+窒素ガスの混合ガス雰囲気下において窒素ガス分圧:40%とする。
このように第2実施形態のサーミスタセンサ21では、金属窒化膜24が、絶縁性下地膜23の外周縁よりも内側にパターン形成され、対向電極25が、金属窒化膜24上から絶縁性下地膜23上を介して基材2上までパターン形成されているので、金属窒化膜24から基材2まで延在する対向電極25の段差が小さくなり、段差による対向電極25の断線を防ぐことができる。
また、絶縁性下地膜23が、非晶質のSi−N窒化膜であるので、Si−Nを結晶核として同じ窒化物膜である金属窒化膜4が結晶成長することで、成膜初期から良質な柱状結晶化膜の金属窒化膜4を得ることができる。
次に、本発明に係るサーミスタセンサ及びその製造方法について、上記実施形態に基づいて作製した実施例により評価した結果を、図5及び図6を参照して具体的に説明する。
<膜評価用素子の作製>
本発明の実施例及び比較例として、図2に示すサーミスタセンサを膜評価用素子として次のように作製した。なお、これら実施例及び比較例は、膜評価用として基材全面に非晶質の絶縁性下地膜及び金属窒化膜を形成したものであり、パターン形成していない。
まず、本発明の実施例1〜3として、ポリイミド基板の基材上に絶縁性下地膜として非晶質のAl−O膜を表2に記載の膜厚で成膜した。
一方、本発明の実施例4,5として、ポリイミド基板の基材上に絶縁性下地膜として非晶質のSi−N膜を表2に記載の膜厚で成膜した。
次に、これら実施例1〜5の非晶質からなる絶縁性下地膜上に、反応性スパッタ法にて、組成比Al/(Ti+Al)=0.85としたTi−Al合金ターゲットを用いてTi−Al−N膜(Al0.85Ti0.15N)を膜厚100nmで形成した。
次に、これら実施例1〜5の金属窒化膜上に、上述した条件で対向電極を形成して、本発明の実施例のサーミスタセンサを作製した。
なお、比較例1〜3として、反応性スパッタ法にて、組成比Al/(Ti+Al)=0.85としたTi−Al合金ターゲットを用いて、ポリイミド基板の基材上に直接、Ti−Al−Nの金属窒化膜を膜厚100nmで形成したものも、同様に作製した。
なお、比較例2,3と実施例1〜5とは、対向電極のパターン形状が同じであるが、比較例1は対向電極のパターン形状が異なっているため、25℃の抵抗値が小さくなっている。
<比抵抗測定>
上記比較例及び本発明の各実施例について、4端子法(van der pauw法)にて25℃での比抵抗を測定した。その結果をもとに、対向電極のパターン形状を検討し、所望の25℃の抵抗値を設計した。
<B定数測定>
各膜評価用素子の25℃及び50℃の抵抗値を恒温槽内で測定し、25℃と50℃との抵抗値よりB定数を算出した。その結果も表2に示す。また、25℃と50℃との抵抗値より負の温度特性をもつサーミスタであることを確認している。
なお、本発明におけるB定数算出方法は、上述したように25℃と50℃とのそれぞれの抵抗値から以下の式によって求めている。
B定数(K)=ln(R25/R50)/(1/T25−1/T50)
R25(Ω):25℃における抵抗値
R50(Ω):50℃における抵抗値
T25(K):298.15K 25℃を絶対温度表示
T50(K):323.15K 50℃を絶対温度表示
なお、絶縁性下地膜3が、基材2の外周縁を避けてパターン形成されているので、素子毎に切断する前後において、絶縁性下地膜3にクラックが入ることがなく、所望の抵抗値とB定数が得られている。
Figure 0006944659
また、上記各実施例及び比較例において、250℃で1000hの耐熱試験を行った後に25℃での抵抗値上昇率及びB定数変化率を調べた。その結果を表2に示す。
これらの結果からわかるように、本発明の実施例及び比較例は、いずれも高い抵抗率及びB定数が得られているが、本発明の実施例は、いずれも比較例に比べて耐熱試験後の25℃抵抗値の上昇率が低く抑えられている。
次に、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いた実施例2(絶縁性下地膜を非晶質のAl−O膜とした場合)及び実施例4(絶縁性下地膜を非晶質のSi−N膜とした場合)の断面TEM像(明視野像)を図5及び図6に示す。
これらの断面TEM像からわかるように、良好な柱状結晶のTi−Al−Nからなる金属窒化膜が得られている。なお、図中、金属窒化膜はTi−Al−N柱状結晶と記載している。非晶質からなる絶縁性下地膜上に金属窒化膜を結晶成長させることで、金属窒化膜は、成膜開始直後の初期結晶成長時より、窒素欠陥量が極めて少ない柱状結晶化膜が得られ、高い結晶性が得られる。さらに非晶質膜の絶縁性下地膜が応力の緩和層としても機能することで、耐熱試験後でも抵抗値変化が小さくなり、優れた耐熱性が得られている。
また、電子線回折によりTi−Al−Nの金属窒化膜の結晶配向度を調べた結果、基板に垂直な方向に、c軸配向度が高い結晶化膜が形成されていることが確認されている。
さらに、Al−O膜及びSi−N膜のいずれも電子線回折によいて、回折パターンが得られず、非晶質であることが確認されている。なお、図中、Al−O膜の絶縁性下地膜はAl−O非晶質と記載し、Si−N膜の絶縁性下地膜はSi−N非晶質と記載している。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
1,21…サーミスタセンサ、2…基材、3,23…絶縁性下地膜、4,24…金属窒化膜、5,25…対向電極

Claims (11)

  1. 基材と、
    前記基材上に形成された絶縁性下地膜と、
    前記絶縁性下地膜上に形成されたサーミスタ特性を有する結晶性の金属窒化膜と、
    前記金属窒化膜に形成された一対の対向電極とを備え、
    前記絶縁性下地膜が、前記基材の外周縁を避けてパターン形成されていることを特徴とするサーミスタセンサ。
  2. 請求項1に記載のサーミスタセンサにおいて、
    前記絶縁性下地膜が、非晶質膜であることを特徴とするサーミスタセンサ。
  3. 請求項1又は2に記載のサーミスタセンサにおいて、
    前記絶縁性下地膜が、前記金属窒化膜と同じ形状でパターン形成されていることを特徴とするサーミスタセンサ。
  4. 請求項1又は2に記載のサーミスタセンサにおいて、
    前記金属窒化膜が、前記絶縁性下地膜の外周縁よりも内側にパターン形成され、
    前記対向電極が、前記金属窒化膜上から前記絶縁性下地膜上を介して前記基材上までパターン形成されていることを特徴とするサーミスタセンサ。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載のサーミスタセンサにおいて、
    前記絶縁性下地膜が、非晶質のAl−O膜であることを特徴とするサーミスタセンサ。
  6. 請求項1から4のいずれか一項に記載のサーミスタセンサにおいて、
    前記絶縁性下地膜が、非晶質のSi−N膜であることを特徴とするサーミスタセンサ。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載のサーミスタセンサにおいて、
    前記金属窒化膜が、サーミスタ特性を有するM−A−N(但し、MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示すと共に、AはAl又は(Al及びSi)を示す。)、M’−Al−N(但し、M’はZr,Nb,Mo,Hf,Ta及びWの少なくとも1種を示す。)、又はG−A’−Al−N(但し、GはTi,V,Cr,Mn,Fe及びCoの少なくとも1種を示すと共に、A’はSc,Zr,Mo,Nb及びWの少なくとも1種を示す。)であり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であることを特徴とするサーミスタセンサ。
  8. 請求項7に記載のサーミスタセンサにおいて、
    前記金属窒化膜が前記M−A−Nであり、前記M−A−Nにおける前記Mの元素がTiであり、前記Aの元素がAlであることを特徴とするサーミスタセンサ。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載のサーミスタセンサにおいて、
    前記基材が、絶縁性フィルムであることを特徴とするサーミスタセンサ。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載のサーミスタセンサの製造方法であって、
    基材上に絶縁性下地膜を形成する下地膜形成工程と、
    前記絶縁性下地膜上に金属窒化膜を形成する金属窒化膜形成工程とを有し、
    前記下地膜形成工程で、前記絶縁性下地膜を前記基材の外周縁を避けてパターン形成することを特徴とするサーミスタセンサの製造方法。
  11. 請求項10に記載のサーミスタセンサの製造方法において、
    前記下地膜形成工程及び前記金属窒化膜形成工程で、同じメタルマスクを用いて前記基材上に前記絶縁性下地膜と前記絶縁性下地膜とをこの順で続けてパターン形成することを特徴とするサーミスタセンサの製造方法。
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