JP6819872B2 - サーミスタ及びその製造方法並びにサーミスタセンサ - Google Patents

サーミスタ及びその製造方法並びにサーミスタセンサ Download PDF

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Description

本発明は、高B定数が得られるサーミスタ及びその製造方法並びにサーミスタセンサに関する。
温度センサ等に使用されるサーミスタ材料は、高精度、高感度のために、高いB定数が求められている。近年、このようなサーミスタ材料として、非焼成で熱処理が不要であり、高B定数が得られる金属窒化物材料が開発されている。
例えば、本願発明者らは、非焼成で絶縁性基材に直接成膜できるサーミスタ用金属窒化物材料として、一般式:TiAl(0.70≦y/(x+y)≦0.95、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型の単相であるサーミスタ用金属窒化物材料を開発している(特許文献1)。その他にも、非焼成で形成でき、Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Si,Cu及びAlの少なくとも1種の窒化物材料であり、上記結晶構造を有するものであって高B定数が得られる材料を開発している(特許文献2〜7)。
特開2013−179161号公報 特開2014−123646号公報 特開2014−236204号公報 特開2015−65408号公報 特開2015−65417号公報 特開2015−73077号公報 特開2015−73075号公報
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、上記各特許文献に記載のサーミスタ用金属窒化物材料を膜状に形成した際、a軸配向度よりもc軸配向度に優れた結晶配向をもつウルツ鉱型窒化物サーミスタ材料にて、より高いB定数が得られることが分かっているが、さらに結晶配向度に優れた結晶性を得ることができる金属窒化膜を有したサーミスタが望まれている。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、より高い結晶性をもち、高B定数が得られるサーミスタ及びその製造方法並びにサーミスタセンサを提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係るサーミスタは、基材上に形成されたサーミスタであって、前記基材上に直接又は下地膜を介して形成された第1金属窒化膜と、前記第1金属窒化膜上に形成された第2金属窒化膜とを備え、前記第2金属窒化膜が、サーミスタ特性を有する結晶性M−A−N(但し、MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示すと共に、AはAl又は(Al及びSi)を示す。)であり、前記第1金属窒化膜が、絶縁性の結晶性M’−Al−N(但し、M’はTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示す。)であり、前記第1金属窒化膜及び前記第2金属窒化膜の結晶構造が、共に六方晶系のウルツ鉱型の単相であることを特徴とする。
このサーミスタでは、第1金属窒化膜が絶縁性の結晶性M’−Al−Nであり、その結晶構造が六方晶系のウルツ鉱型の単相であるので、絶縁性の結晶性M’−Al−Nと同じ結晶系の第2金属窒化膜が第1金属窒化膜上に成膜されているため、成膜開始直後のサーミスタ用Mの初期結晶成長時より、M結晶は十分に窒化させることが可能であり、窒素欠陥量が極めて少ない柱状結晶化膜となり、さらに結晶配向度が高くなって、より高いB定数が得られる。また、第1金属窒化膜と第2金属窒化膜との両膜がAlを共通元素としており、より結晶性が良いエピタキシャル成長された第2金属窒化膜が容易に得られる。
第2の発明に係るサーミスタは、第1の発明において、前記第1金属窒化膜に含有されている前記M’の元素が、前記第2金属窒化膜に含有されている前記Mの元素と同じであることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタでは、第1金属窒化膜に含有されている前記M’の元素が、第2金属窒化膜に含有されている前記Mの元素と同じであるので、両膜のすべての構成元素が共通であることで、さらに結晶性が良いエピタキシャル成長された第2金属窒化膜が容易に得られる。また、第1金属窒化膜及び第2金属窒化膜が同じ元素からなる膜であるので、同じエッチング液で同時にパターニングすることができ、製造工程の簡略化を図ることが可能になる。
第3の発明に係るサーミスタは、第1又は第2の発明において、前記第1金属窒化膜が、前記基材上に前記下地膜を介して形成され、前記下地膜が、結晶性Al−Nであり、その結晶構造が六方晶系のウルツ鉱型の単相であることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタでは、下地膜が、結晶性Al−Nであり、その結晶構造が六方晶系のウルツ鉱型の単相であるので、結晶性Al−Nと同じ結晶系の第1金属窒化膜が下地膜上に成膜されているため、窒素欠陥量が極めて少ない柱状結晶化膜となり、さらにその上に成膜された第2金属窒化膜もより結晶配向度が高くなって、さらに高いB定数が得られる。
第4の発明に係るサーミスタは、第1から第3の発明のいずれかにおいて、前記第1金属窒化膜の抵抗値が、前記第2金属窒化膜の抵抗値の1000倍以上であることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタでは、第1金属窒化膜の抵抗値が、第2金属窒化膜の抵抗値の1000倍以上であるので、サーミスタ層である第2金属窒化膜に対して第1金属窒化膜が相対的に十分な絶縁性を有する下地絶縁層として機能する。
第5の発明に係るサーミスタは、第1から第4の発明のいずれかにおいて、前記第2金属窒化膜が、サーミスタ特性を有する結晶性Ti−Al−Nであり、前記第1金属窒化膜が、絶縁性の結晶性Ti−Al−Nであることを特徴とする。
第6の発明に係るサーミスタは、第1から第5の発明のいずれかにおいて、前記第2金属窒化膜が、膜厚方向にa軸配向度よりc軸配向度が大きい結晶配向をもつエピタキシャル成長膜であると共に、前記第1金属窒化膜が、膜厚方向にa軸配向度よりc軸配向度が大きい結晶配向をもつ膜であることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタでは、第1金属窒化膜及び第2金属窒化膜が、共にc軸配向度が大きい結晶配向をもつエピタキシャル成長膜であるので、より高いB定数が得られる。
第7の発明に係るサーミスタセンサは、第1から第6の発明のいずれかのサーミスタの前記基材,前記第1金属窒化膜及び前記第2金属窒化膜と、前記第2金属窒化膜に形成された一対のパターン電極とを備えていることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタセンサでは、第1から第6の発明のいずれかのサーミスタを備えているので、同じ結晶構造の第1金属窒化膜上に非焼成で形成された高B定数の薄膜サーミスタ部(第2金属窒化膜)により、良好なサーミスタ特性を有したサーミスタセンサが得られる。
第8の発明に係るサーミスタセンサは、第7の発明において、前記基材が、絶縁性フィルムであることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタセンサでは、基材が、絶縁性フィルムであるので、上記薄膜サーミスタ部が柔軟性を有していると共に基材が柔軟性を有することで、サーミスタセンサ全体として柔軟性を有し、例えば測定対象物に押し当てた際に、柔軟に湾曲して測定対象物と接触させることが可能になる。また、測定対象物が曲面をもっていても、測定対象物とサーミスタ部とを面接触させることができるので、柔軟性と応答性とを兼ね備えたサーミスタセンサが得られる。
第9の発明に係るサーミスタの製造方法は、第1から第6の発明のいずれかのサーミスタの製造方法であって、基材上に形成された絶縁性の結晶性M’−Al−N(但し、M’はTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示す。)の前記第1金属窒化膜上に、M−A合金スパッタリングターゲット(但し、MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示すと共に、AはAl又は(Al及びSi)を示す。)を用いて窒素含有雰囲気中で反応性スパッタを行って前記第2金属窒化膜を成膜する成膜工程を有していることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタの製造方法では、基材上に形成された結晶性M’−Al−Nの第1金属窒化膜上に、M−A合金スパッタリングターゲット(但し、MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示すと共に、AはAl又は(Al及びSi)を示す。)を用いて窒素含有雰囲気中で反応性スパッタを行って成膜するので、より結晶性が良く、結晶配向度の強い上記Mからなる第2金属窒化膜をエピタキシャル成長させることができる。
第10の発明に係るサーミスタの製造方法は、第9の発明において、前記成膜工程前に、前記第1金属窒化膜の表面に存在する表面酸化膜を除去する酸化膜除去工程を有していることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタの製造方法では、成膜工程前に、第1金属窒化膜の表面に存在する表面酸化膜を除去する酸化膜除去工程を有しているので、さらに結晶配向度に優れた第2金属窒化膜をエピタキシャル成長させることができる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るサーミスタによれば、第2金属窒化膜の下地層である第1金属窒化膜がウルツ鉱型結晶構造をもつ絶縁性の結晶性M’−Al−Nであるので、結晶性M’−Al−Nと同じ結晶系の第2金属窒化膜が第1金属窒化膜上に成膜されていることで、成膜開始直後のサーミスタ用Mの初期結晶成長時より、M結晶を十分に窒化させることが可能であり、窒素欠陥量が極めて少ない柱状結晶化膜となり、さらに結晶配向度が高くなって、より高いB定数が得られる。
また、本発明に係るサーミスタ用金属窒化物膜構造の製造方法によれば、基材上に形成された結晶性M’−Al−Nの第1金属窒化膜上に、M−A合金スパッタリングターゲットを用いて窒素含有雰囲気中で反応性スパッタを行って成膜するので、結晶配向度の強い上記Mからなる第2金属窒化膜をエピタキシャル成長させることができる。
さらに、本発明に係るサーミスタセンサによれば、上記本発明のサーミスタを備えているので、非焼成で形成された高B定数の薄膜サーミスタ部(第2金属窒化膜)により、良好なサーミスタ特性を有したサーミスタセンサが得られる。
本発明に係るサーミスタ及びその製造方法並びにサーミスタセンサの第1実施形態において、サーミスタを示す断面図である。 第1実施形態及び本発明に係る実施例において、サーミスタセンサ及び膜評価用素子を示す正面図及び平面図である。 本発明に係るサーミスタ及びその製造方法並びにサーミスタセンサの第2実施形態において、サーミスタを示す断面図である。 本発明に係る温度センサ及びその製造方法の比較例1を示す断面TEM像である。 本発明に係る温度センサ及びその製造方法の実施例5を示す断面TEM像である。 本発明に係る比較例1におけるTi−Al−N膜断面の電子線回折像である。 本発明に係る実施例5におけるTi−Al−N膜断面の電子線回折像である。 本発明に係る実施例において、第2金属窒化膜となるTi−Al−N膜の入射角を1度とした際の視斜角入射X線回折(XRD)の結果を示すグラフである。 本発明に係る実施例において、第1金属窒化膜となるTi−Al−N膜の入射角を1度とした際の視斜角入射X線回折(XRD)の結果を示すグラフである。 本発明に係る実施例において、第1金属窒化膜及び第2金属窒化膜となるTi−Al−N積層膜の入射角を1度とした際の視斜角入射X線回折(XRD)の結果を示すグラフである。 本発明に係る実施例において、第2金属窒化膜となるTi−Al−N膜の入射角0度とした際のX線回折(XRD)の結果を示すグラフである。 本発明に係る実施例において、第1金属窒化膜となるTi−Al−N膜の入射角0度とした際のX線回折(XRD)の結果を示すグラフである。 本発明に係る実施例において、第1金属窒化膜及び第2金属窒化膜となるTi−Al−N積層膜の入射角0度とした際のX線回折(XRD)の結果を示すグラフである。 図8のTi−Al−N単層膜の断面SEM写真である。 図9のTi−Al−N単層膜の断面SEM写真である。 図10のTi−Al−N積層膜の断面SEM写真である。 本発明に係る実施例において、組成比Al/(Al+Ti)に対するTi−Al−N膜の格子定数(a軸長)を示すグラフである。 本発明に係る実施例において、組成比Al/(Al+Ti)に対するTi−Al−N膜の格子定数(c軸長)を示すグラフである。
以下、本発明に係るサーミスタ及びその製造方法並びにサーミスタセンサにおける第1実施形態を、図1及び図2を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部を認識可能又は認識容易な大きさとするために必要に応じて縮尺を適宜変更している。
本実施形態のサーミスタ1は、図1に示すように、基材2上に形成されたサーミスタであって、基材2上に形成された第1金属窒化膜3と、第1金属窒化膜3上に形成された第2金属窒化膜4とを備えている。すなわち、本実施形態のサーミスタ1は、基材2上に第1金属窒化膜3と第2金属窒化膜4との金属窒化膜の積層構造を有したものである。
上記第2金属窒化膜4は、サーミスタ特性を有する結晶性M−A−N(但し、MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示すと共に、AはAl又は(Al及びSi)を示す。)である。
特に、第2金属窒化膜4は、一般式:M(但し、MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示すと共に、AはAl又は(Al及びSi)を示す。0.70≦y/(x+y)≦0.98、0.4≦z≦0.5、x+y+z=1)で示される金属窒化物からなり、その結晶構造が、六方晶系のウルツ鉱型(空間群P6mc(No.186))の単相であると共に、膜厚方向にa軸配向度よりc軸配向度が大きい結晶配向をもつエピタキシャル成長膜である。なお、Aは、Al又は(Al及びSi)、すなわちAlか、Al及びSiであって、少なくともAlを含む。
さらに、第2金属窒化膜4は、サーミスタ特性を有する結晶性Ti−Al−Nであることが好ましい。
なお、第2金属窒化膜4である結晶性Mについては、上記「y/(x+y)」(すなわち、A/(M+A))が0.70未満であると、ウルツ鉱型の単相が得られず、NaCl型相との共存相又はNaCl型のみの結晶相となってしまい、十分な高抵抗と高B定数とが得られない。
また、上記「y/(x+y)」(すなわち、A/(M+A))が0.98を超えると、抵抗率が非常に高く、きわめて高い絶縁性を示すため、サーミスタ材料として適用できない。
なお、上記A/(M+A)が0.98以下であっても、第2金属窒化膜4に対して1000倍以上の高い抵抗値を有した第1金属窒化膜3は、本発明では第2金属窒化膜4に対して相対的に十分な絶縁性を有している。例えば、M=Ti,A=Alの場合、Al/(Ti+Al)が0.85の第2金属窒化膜4では、25℃抵抗率が2.47×10Ωcmであるが、Al/(Ti+Al)が0.97の第1金属窒化膜3では、25℃抵抗率が2.41×10Ωcmである。したがって、Al/(Ti+Al)が0.97の第1金属窒化膜3は、Al/(Ti+Al)が0.85の第2金属窒化膜4に対して約10万倍の抵抗値を有することから、十分な絶縁性を有した下地として機能する。
また、Al/(Ti+Al)が0.91の第1金属窒化膜3では、25℃抵抗率が1.38×10Ωcmであるが、Al/(Ti+Al)が0.97の第1金属窒化膜3では、25℃抵抗率が2.41×10Ωcmである。したがって、Al/(Ti+Al)が0.97の第1金属窒化膜3は、Al/(Ti+Al)が0.91の第2金属窒化膜4に対して、1000倍以上の抵抗値を有することから、十分な絶縁性を有した下地として機能する。なお、上記第1金属窒化膜3及び第2金属窒化膜4の抵抗値は、熱酸化膜(SiO)付きSi基板上に成膜したものを実測している。
また、上記「z」(すなわち、N/(M+A+N))が0.4未満であると、金属の窒化量が少ないため、ウルツ鉱型の単相が得られず、十分な高抵抗と高B定数とが得られない。
さらに、上記「z」(すなわち、N/(M+A+N))が0.5を超えると、ウルツ鉱型の単相を得ることができない。このことは、ウルツ鉱型の単相において、窒素サイトにおける欠陥がない場合の化学量論比が0.5(すなわち、N/(M+A+N)=0.5)であることに起因する。
上記第1金属窒化膜3は、絶縁性の結晶性M’−Al−N(但し、M’はTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示す。)であり、その結晶構造が六方晶系のウルツ鉱型の単相であると共に、膜厚方向にa軸配向度よりc軸配向度が大きい結晶配向をもつエピタキシャル成長膜又はスパッタ膜である。
なお、第1金属窒化膜3が、絶縁性の結晶性M’−Al−N(但し、M’はTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示す。)の場合、薄膜サーミスタ部3のサーミスタ特性を有するM−A−N(但し、MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示すと共に、AはAl又は(Al及びSi)を示す。)よりも抵抗値が1000倍以上であることが好ましい。なお、絶縁性の結晶性M’−Al−Nの組成比Al/(Al+M’)を、サーミスタ特性を有するM−A−Nの組成比A/(A+M)よりも、十分に大きくすることで、きわめて高い絶縁性が実現される。このように、第1金属窒化膜3は、その抵抗値が第2金属窒化膜4の1000倍以上であれば、第2金属窒化膜4に対して十分高い絶縁性を有した下地層として機能し、第2金属窒化膜4のサーミスタ特性に影響を与えない。
なお、結晶相の同定は、視斜角入射X線回折(Grazing Incidence X-ray Diffraction)により、実施し、管球をCuとし、入射角を1度とした。なお、膜の表面に対して垂直方向(膜厚方向)にa軸配向(100)が強いかc軸配向(002)が強いかの判断は、上記X線回折(XRD)を用いて結晶軸の配向性を調べ、(100)(a軸配向を示すhkl指数)と(002)(c軸配向を示すhkl指数)とのピーク強度比から、「(100)のピーク強度」/「(002)のピーク強度」が1未満である場合、c軸配向が強いものとする。なお、(100)ピークを検出されない場合、すなわち、「(100)のピーク強度」/「(002)のピーク強度」がゼロの場合は、膜厚方向のc軸配向度が極めて強い膜であると判断される。なお、膜厚方向へc軸配向度が極めて強い膜については、本XRD条件(入射角1度)による検出される(002)のピーク強度だけでは、c軸配向度を厳密に評価する、もしくは、エピタキシャル膜であるか評価することが非常に困難なため、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて、膜断面の電子線回折像を取得し、膜厚方向のc軸配向度を評価した。
上述したように、ウルツ鉱型の結晶構造は、六方晶系の空間群P6mc(No.186)であり、MとAとは同じ原子サイトに属し(MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示すと共に、AはAl又は(Al及びSi)を示す。)、いわゆる固溶状態にある。ウルツ鉱型は、(M,A)N4四面体の頂点連結構造をとり、(M,A)サイトの最近接サイトがN(窒素)であり、(M,A)は窒素4配位をとる。
なお、Ti以外に、V(バナジウム)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)が同様に上記結晶構造においてTiと同じ原子サイトに存在することができ、Mの元素となり得る。有効イオン半径は、原子間の距離を把握することによく使われる物性値であり、特によく知られているShannonのイオン半径の文献値を用いると、論理的にもウルツ鉱型のM(但し、MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示すと共に、AはAl又は(Al及びSi)を示す。)が得られると推測できる。
以下の表1にAl,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Siの各イオン種における有効イオン半径を示す(参照論文 R.D.Shannon, Acta Crystallogr., Sect.A, 32, 751(1976))。
ウルツ鉱型は4配位であり、Mに関して4配位の有効イオン半径を見ると、2価の場合、Ni<Cu<Co<Fe<Mnであり、3価の場合、Al<Feであり、4価の場合、Mn<Co<Cr<Tiであり、5価の場合、Cr<Vとなっている。これらの結果より、(Al,Cu,Co,Fe,Ni,Mn)<Cr<(V,Ti)であると考えられる。(Ti及びV、もしくは、Cu,Co,Fe,Ni,Mn及びAlのイオン半径の大小関係は判別できない。)ただし、4配位のデータは価数がそれぞれ異なっているので、厳密な比較とはならないため、参考で3価イオンに固定したときの6配位(MN6八面体)のデータを用いて比較した。表1中のHSは高スピン状態、LSは低スピン状態を示す。低スピン状態(LS)のとき、イオン半径が、Al<Cu<Co<Fe<Ni<Mn<Cr<V<Tiとなっていることがわかる。(高スピン状態のとき、Mn,Fe,Co,Niのイオン半径は、Alのイオン半径より大きく、Tiのイオン半径より小さい。)
本発明は、ウルツ鉱型の結晶構造をもつ窒化物絶縁体である結晶性Al−NのAlサイトをTi等のMに置き換えることにより、キャリアドーピングし、電気伝導が増加することで、サーミスタ特性が得られるものであるが、例えばAlサイトをTiに置き換えた場合は、AlよりTiの方が有効イオン半径が大きいので、その結果、AlとTiとの平均イオン半径は増加する。その結果、原子間距離が増加し、格子定数が増加すると推測できる。
実際に、特許文献2〜7にて、ウルツ鉱型のM(但し、MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示すと共に、AはAl又は(Al及びSi)を示す。)が得られ、サーミスタ特性が得られている。また、結晶性Al−NのAlサイトをTi等に置き換えることによる格子定数の増加が、X線データより確認されていることが報告されている。なお、Siについては、表1より、Si及びAlのイオン半径の大小関係は判別できないが、特許文献5にて、AlとSiの双方を含むMにて、ウルツ鉱型の結晶構造をもち、さらに、サーミスタ特性が得られていることが報告されている。
結晶性M’−Al−N上にM膜をエピタキシャル成長させるには、(Al,M’)−N原子間距離とより近い(Al,M)−N原子間距離をもつM元素を選択すること、すなわち、Alのイオン半径とより近いイオン半径をもつM元素選択することが必要である。特に、表1に示す、3d遷移金属元素(Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu)は、4d遷移金属元素(例えば、Zr,Nb,Mo)、5d遷移金属元素(例えば、Hf,Ta,Mo)よりもイオン半径が小さく、Alのイオン半径とより近いため、(Al,M’)−N原子間距離とより近い(Al,M)−N原子間距離をもつ窒化物サーミスタのエピタキシャル膜を結晶性M’−Al−N膜上に形成することが可能である。
さらに、結晶性M’−Al−N膜がウルツ鉱型結晶構造をもち、膜厚方向にc軸配向度が高いエピタキシャル成長膜又はスパッタ膜であると、ウルツ鉱型結晶構造をもつM膜を容易にエピタキシャル成長させることが可能となる。
次に、本実施形態のサーミスタを用いたサーミスタセンサについて説明する。このサーミスタセンサ10は、図2に示すように、サーミスタ1の基材2,第1金属窒化膜3及び第2金属窒化膜4と、第2金属窒化膜4の上に形成された一対のパターン電極5とを備えている。
上記基材2は、例えば、熱酸化膜(SiO)付きSi基板であり、第1金属窒化膜3は熱酸化膜付きSi基板の基材2上にスパッタ成膜させた絶縁性の結晶性Ti−Al−N膜である。この他に上記基材2として、結晶配向度の高い絶縁基板が採用される。例えば、サファイア基板(コランダム型結晶構造のα−Al)であり、そのAlは膜厚方向にc軸配向している基板が採用される。また、サファイア基板上に結晶性Al−N膜がエピタキシャル成長された、c軸配向度が極めて優れた基板(例えばDOWAエレクトロニクス製のAl−Nエピタキシャル膜付きサファイア基板)も採用される。
絶縁性の結晶性Ti−Al−N膜をスパッタリングにより形成する場合は、Ti−Al合金スパッタリングターゲットを用い、窒素含有雰囲気中で反応性スパッタ法にて、Ti−Al−N(Al/(Al+Ti)比=0.97)の第1金属窒化膜3を膜厚100nmで成膜する。その時のスパッタ条件は、到達真空度4×10−5Pa、スパッタガス圧0.25Pa、ターゲット投入電力(出力)200Wで、Arガス+窒素ガスの混合ガス雰囲気下において、窒素ガス分率を30%で作製した。
なお、基材2として、絶縁性フィルムを採用しても良い。なお、上記絶縁性フィルムとしては、他にPET:ポリエチレンテレフタレート,PEN:ポリエチレンナフタレート等でも作製できるが、柔軟性と耐熱性とが要求される。例えば定着ローラの温度測定用としては、最高使用温度が200℃程度と高いため、耐熱性に優れたポリイミドフィルムが望ましい。
上記一対のパターン電極5は、例えばCr膜とAu膜との積層金属膜でパターン形成され、第2金属窒化膜4上で互いに対向状態とされていると共に、複数の櫛部5aを有した櫛形パターンとされている。
上記サーミスタの製造方法及びこれを用いたサーミスタセンサの製造方法について、以下に説明する。
本実施形態のサーミスタの製造方法は、基材2上に形成された絶縁性の結晶性M’−Al−Nの第1金属窒化膜3上に、M−A合金スパッタリングターゲット(但し、MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示すと共に、AはAl又は(Al及びSi)を示す。)を用いて窒素含有雰囲気中で反応性スパッタを行って第2金属窒化膜4を成膜する成膜工程を有している。
また、サーミスタの製造方法として、上記成膜工程前に、第1金属窒化膜3の表面に存在する表面酸化膜を除去する酸化膜除去工程を有していることが好ましい。なお、酸化膜除去工程は、成膜工程と同一の成膜装置内で実施することが好ましく、酸化膜除去後は、大気開放することなく、同一成膜装置内で直ちに成膜することが望ましい。酸化膜除去後、大気開放してしまうと、直ちに新たな表面酸化が進行してしまうからである。サーミスタ用金属窒化膜の成膜はプラズマプロセスである反応性スパッタリングを行っているため、上記理由より、酸化膜除去の手法もプラズマを用いた手法が好ましい。なお、このプラズマ処理は、酸化膜だけなく、表面の汚れである有機残渣、水分残渣等の除去にも有効であり、基板洗浄の効果もあることから、成膜前の基板表面の異物、汚染物質の混入も防ぐことができる。
より具体的には、第1金属窒化膜3が絶縁性の結晶性Ti−Al−Nの場合、例えば、まず熱酸化膜付きSi基板の基材2上に絶縁性の結晶性Ti−Al−Nの第1金属窒化膜3を窒素含有雰囲気中における反応性スパッタ法にて膜厚100nmで成膜する。
その時のスパッタ条件は、例えば、組成比Al/(Al+Ti)比=0.97のTi−Al合金スパッタリングターゲットを用い、到達真空度4×10−5Pa、スパッタガス圧0.25Pa、ターゲット投入電力(出力)200Wで、Arガス+窒素ガスの混合ガス雰囲気下において、窒素ガス分率を30%で作製した。
次に、第1金属窒化膜3上に、窒素含有雰囲気中の反応性スパッタ法にてサーミスタ特性を有する上記第2金属窒化膜を膜厚200nmで成膜する。
例えば、M=Ti,A=Alとした場合、その時のスパッタ条件は、例えば、組成比Al/(Al+Ti)比=0.85のTi−Al合金スパッタリングターゲットを用い、到達真空度:4×10−5Pa、スパッタガス圧:0.2Pa、ターゲット投入電力(出力):200Wで、Arガス+窒素ガスの混合ガス雰囲気下において窒素ガス分圧:30%とする。
なお、上述したように、上記成膜工程前に、酸化膜除去工程として逆スパッタによるプラズマ表面処理を行うことが好ましい。具体的には、上記成膜工程のスパッタ前に、基材2側に電力を印加することにより、第1金属窒化膜3表面に形成されている表面酸化膜(自然酸化膜等の汚染膜)を逆スパッタにより除去する。この際の逆スパッタ条件は、例えば到達真空度:4×10−5Pa、ターゲット印加電力:50Wで、Arガス雰囲気下において30分間とする。なお、逆スパッタ時に用いられるガス種は、窒素ガス、Arガスと窒素ガスとの混合ガスを用いてもよい。
また、本実施形態のサーミスタセンサを製造する場合、第1金属窒化膜3上にメタルマスクを用いて所望のサイズで第2金属窒化膜4を成膜して薄膜サーミスタ部を形成する。なお、形成された薄膜サーミスタ部に窒素プラズマを照射することが望ましい。例えば、真空度:6.7Pa、出力:200W及びNガス雰囲気下で、窒素プラズマを薄膜サーミスタ部に照射させる。
なお、第1金属窒化膜3と第2金属窒化膜4とが、同じ元素で構成された膜であるので、同じエッチング液を用いて同時に所望のサイズにパターニングしても構わない。
次に、スパッタ法にて、例えばCr膜を20nm形成し、さらにAu膜を200nm形成する。さらに、その上にレジスト液をバーコーターで塗布した後、110℃で1分30秒のプリベークを行い、露光装置で感光後、現像液で不要部分を除去し、150℃で5分のポストベークにてパターニングを行う。その後、不要な電極部分を市販のAuエッチャント及びCrエッチャントによりウェットエッチングを行い、図2に示すように、レジスト剥離にて所望の櫛部5aを有したパターン電極5を形成する。このようにして本実施形態のサーミスタセンサ10が作製される。
このように本実施形態のサーミスタ1では、第1金属窒化膜3が絶縁性の結晶性M’−Al−Nであり、その結晶構造が六方晶系のウルツ鉱型の単相であるので、絶縁性の結晶性M’−Al−Nと同じ結晶系の第2金属窒化膜4が第1金属窒化膜3上に成膜されているため、成膜開始直後のサーミスタ用Mの初期結晶成長時より、M結晶は十分に窒化させることが可能であり、窒素欠陥量が極めて少ない柱状結晶化膜となり、さらに結晶配向度が高くなって、より高いB定数が得られる。また、第1金属窒化膜3と第1金属窒化膜3との両膜がAlを共通元素としており、より結晶性が良いエピタキシャル成長された第2金属窒化膜4が容易に得られる。
特に、第1金属窒化膜3に含有されている前記M’の元素が、第2金属窒化膜4に含有されている前記Mの元素と同じである場合、例えば第2金属窒化膜4が、サーミスタ特性を有する結晶性Ti−Al−Nであり、第1金属窒化膜3が、絶縁性の結晶性Ti−Al−Nである場合、両膜の構成元素がすべてを共通であることで、さらに結晶性が良いエピタキシャル成長された第2金属窒化膜4が容易に得られる。
また、この場合、第1金属窒化膜3及び第2金属窒化膜4が同じ元素からなる膜であるので、同じエッチング液で同時にパターニングすることができ、製造工程の簡略化を図ることが可能になる。
さらに、第1金属窒化膜3及び第2金属窒化膜4が、共にc軸配向度が大きい結晶配向をもつ膜であり、第2金属窒化膜4がエピタキシャル成長膜であるので、より高いB定数が得られる。
また、第1金属窒化膜3の抵抗値が、第2金属窒化膜4の抵抗値の1000倍以上であるので、サーミスタ層である第2金属窒化膜4に対して第1金属窒化膜3が相対的に十分な絶縁性を有する下地絶縁層として機能する。
また、本実施形態のサーミスタセンサ10では、上記サーミスタ1を備えているので、同じ結晶構造の第1金属窒化膜3上に非焼成で形成された高B定数の薄膜サーミスタ部(第2金属窒化膜4)により、良好なサーミスタ特性を有したサーミスタセンサが得られる。
さらに、基材2に絶縁性フィルムを採用した場合、上記薄膜サーミスタ部が柔軟性を有していると共に基材2が柔軟性を有することで、サーミスタセンサ全体として柔軟性を有し、例えば測定対象物に押し当てた際に、柔軟に湾曲して測定対象物と接触させることが可能になる。また、測定対象物が曲面をもっていても、測定対象物とサーミスタ部とを面接触させることができるので、柔軟性と応答性とを兼ね備えたサーミスタセンサが得られる。
さらに、本実施形態のサーミスタの製造方法では、材上に形成された結晶性M’−Al−Nの第1金属窒化膜3上に、M−A合金スパッタリングターゲット(但し、MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示すと共に、AはAl又は(Al及びSi)を示す。)を用いて窒素含有雰囲気中で反応性スパッタを行って成膜するので、より結晶性が良く、結晶配向の強い上記Mからなる第2金属窒化膜4をエピタキシャル成長させることができる。
特に、成膜工程前に、第1金属窒化膜3の表面に存在する表面酸化膜を除去する酸化膜除去工程を有しているので、酸化膜除去工程がないときと比べて、サーミスタ用Mは、初期結晶成長時から、よりM結晶を窒化させることが可能であり、より結晶性が良く、さらに結晶配向に優れた第2金属窒化膜4をエピタキシャル成長させることができる。
次に、本発明に係るサーミスタ及びその製造方法の第2実施形態について、図3を参照して以下に説明する。なお、以下の実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、基材上に第1金属窒化膜3を直接形成しているのに対し、第2実施形態のサーミスタ21では、図3に示すように、基材2上に下地膜22を介して第1金属窒化膜3が形成されている点である。
上記下地膜22は、結晶性Al−Nであり、その結晶構造が六方晶系のウルツ鉱型の単相であり、c軸配向度が大きい結晶配向をもつ膜である。
この下地膜22は、サファイア基板(コランダム型結晶構造のα−Al)の基材2上にエピタキシャル成長又はスパッタ成膜させている。この他に、ポリイミドなどの樹脂基板や、熱酸化膜付きシリコン基板やアルミナ基板等、様々な絶縁性基板を採用することで、スパッタ成膜等により下地膜22を形成することが可能である。
結晶性Al−N膜をスパッタリングにより形成する場合は、例えば、Alスパッタリングターゲットを用い、スパッタ条件は、到達真空度4×10−5Pa、スパッタガス圧0.2Pa、ターゲット投入電力(出力)200Wで、Arガス+窒素ガスの混合ガス雰囲気下において窒素ガス分率を35%とする。
より具体的には、例えばサファイア基板の基材2上に結晶性Al−Nの下地膜22を厚さ1μmでエピタキシャル成長したもの(例えばDOWAエレクトロニクス製のAl−Nエピタキシャル膜付きサファイア基板)を用意し、その上に第1金属窒化膜3と第2金属窒化膜4とを第1実施形態と同様に成膜する。なお、下地膜22成膜後に、Ar逆スパッタを行って表面処理した状態で第1金属窒化膜3を形成することが好ましい。
このように第2実施形態のサーミスタ21では、下地膜22が、結晶性Al−Nであり、その結晶構造が六方晶系のウルツ鉱型の単相であり、c軸配向度が大きい結晶配向をもつ膜であるので、結晶性Al−Nと同じ結晶系の第1金属窒化膜3が下地膜22上に成膜されているため、結晶性Al−Nの上に成膜された第1金属窒化膜3及び第2金属窒化膜4のc軸配向度はさらに高まり、c軸配向度が大きい結晶配向をもつエピタキシャル成長膜の形成がより容易に実現可能となり、窒素欠陥量が極めて少ない柱状結晶化膜となり、さらにその上に成膜された第2金属窒化膜4もより結晶配向度が高くなって、さらに高いB定数が得られる。
次に、本発明に係るサーミスタ及びその製造方法並びにサーミスタセンサについて、上記実施形態に基づいて作製した実施例により評価した結果を、図2から図18を参照して具体的に説明する。
<膜評価用素子の作製>
本発明の実施例及び比較例として、図2に示すサーミスタセンサを膜評価用素子として次のように作製した。
まず、本発明の実施例1として、反応性スパッタ法にて、組成比Al/(Ti+Al)=0.97としたTi−Al合金ターゲットを用いて、熱酸化膜(SiO)付きSi基板の基材2上に絶縁性の結晶性Ti−Al−Nの第1金属窒化膜3を膜厚100nm形成し、さらにこの上に、反応性スパッタ法にて、組成比Al/(Ti+Al)=0.85としたTi−Al合金ターゲットを用いて、サーミスタ特性を有する結晶性Ti−Al−N膜(第2金属窒化膜4)を膜厚200nm形成した。
また、本発明の実施例2として、反応性スパッタ法にて、組成比Al/(Ti+Al)=0.97としたTi−Al合金ターゲットを用いて、熱酸化膜付きSi基板の基材2上に絶縁性の結晶性Ti−Al−Nの第1金属窒化膜3を膜厚100nm形成し、その後、Ar逆スパッタ(100W、60sec)で表面処理を行った状態で、反応性スパッタ法にて、組成比Al/(Ti+Al)=0.85としたTi−Al合金ターゲットを用いて、サーミスタ特性を有する結晶性Ti−Al−N膜(第2金属窒化膜4)を膜厚200nm形成した。
また、本発明の実施例3として、反応性スパッタ法にて、組成比Al/(Ti+Al)=0.97としたTi−Al合金ターゲットを用いて、ポリイミド基板の基材2上に絶縁性の結晶性Ti−Al−Nの第1金属窒化膜3を膜厚50nm形成し、さらにこの上に、反応性スパッタ法にて、組成比Al/(Ti+Al)=0.85としたTi−Al合金ターゲットを用いて、サーミスタ特性を有する結晶性Ti−Al−N膜(第2金属窒化膜4)を膜厚200nm形成した。
さらに、本発明の実施例4として、反応性スパッタ法にて、組成比Al/(Ti+Al)=0.97としたTi−Al合金ターゲットを用いて、ポリイミド基板の基材2上に絶縁性の結晶性Ti−Al−Nの第1金属窒化膜3を膜厚50nm形成し、その後、Ar逆スパッタ(100W、60sec)で表面処理を行った状態で、反応性スパッタ法にて、組成比Al/(Ti+Al)=0.85としたTi−Al合金ターゲットを用いて、サーミスタ特性を有する結晶性Ti−Al−N膜(第2金属窒化膜4)を膜厚200nm形成した。上記各Ti−Al−N膜のスパッタ条件は、上述したものと同じである。
次に、上記各第2金属窒化膜4の上に、上述した条件でパターン電極5を形成した。そして、これをチップ状にダイシングして、本発明の実施例の膜評価用素子とした。
また、比較として熱酸化膜付きSi基板を基材として用いて、その上に同様にサーミスタ特性を有するTi−Al−N膜を膜厚200nm成膜した比較例1(膜の組成比Al/(Ti+Al)=0.85)も作製して評価を行った。
なお、ポリイミド基板を基材2とした実施例3,4において、柔軟性を有し、曲げ前後に抵抗値変化が無いことを確認している。
<組成分析>
反応性スパッタ法にて得られた上記各Ti−Al−N膜について、X線光電子分光法(XPS)にて元素分析を行った。このXPSでは、Arスパッタにより、最表面から深さ20nmのスパッタ面において、定量分析を実施した。
なお、上記X線光電子分光法(XPS)は、X線源をMgKα(350W)とし、パスエネルギー:58.5eV、測定間隔:0.125eV、試料面に対する光電子取り出し角:45deg、分析エリアを約800μmφの条件下で定量分析を実施した。
この結果、組成比Al/(Ti+Al)=0.85としたTi−Al合金ターゲットを用いて作製された比較例及び実施例のTi−Al−N膜は、いずれも組成比Al/(Ti+Al)=0.85±0.01であった。
<比抵抗測定>
上記比較例のTi−Al−N膜及び各実施例のTi−Al−N膜(第2金属窒化膜4)について、4端子法(van der pauw法)にて25℃での比抵抗を測定した。その結果を表2及び表3に示す。
<B定数測定>
各膜評価用素子の25℃及び50℃の抵抗値を恒温槽内で測定し、25℃と50℃との抵抗値よりB定数を算出した。その結果も表2に示す。また、25℃と50℃との抵抗値より負の温度特性をもつサーミスタであることを確認している。
なお、本発明におけるB定数算出方法は、上述したように25℃と50℃とのそれぞれの抵抗値から以下の式によって求めている。
B定数(K)=ln(R25/R50)/(1/T25−1/T50)
R25(Ω):25℃における抵抗値
R50(Ω):50℃における抵抗値
T25(K):298.15K 25℃を絶対温度表示
T50(K):323.15K 50℃を絶対温度表示
また、上記各実施例及び比較例において、250℃で1000hの耐熱試験を行った後に25℃での抵抗値上昇率及びB定数変化率を調べた。
これらの結果からわかるように、本発明の実施例及び比較例は、いずれも高い抵抗率及びB定数が得られている。特に、Ar逆スパッタにより、第1金属窒化膜3の表面酸化膜を除去した本発明の実施例は、除去をおこなっていない実施例よりもさらに高B定数が得られている。
また、比較例1に比べて、本発明の実施例1〜4は、いずれも耐熱試験後の抵抗値上昇率が低く抑えられていることがわかる。
<電子線回折による結晶配向度の評価>
次に、反応性スパッタ法にて、組成比Al/(Ti+Al)=0.97としたTi−Al合金ターゲットを用いて、熱酸化膜(SiO)付きSi基板の基材2上に絶縁性の結晶性Ti−Al−N膜(第1金属窒化膜3)を膜厚100nm形成し、この上に組成比Al/(Ti+Al)=0.85としたTi−Al合金ターゲットを用いて、サーミスタ特性を有する結晶性Ti−Al−N膜(第2金属窒化膜4)を膜厚200nm形成した実施例5を作製した。
上記実施例5では、第1金属窒化膜3の成膜後にAr逆スパッタにより表面処理を行い、その後に第2金属窒化膜4を連続成膜した。
なお、連続成膜とは、第1金属窒化膜3の表面酸化を防ぐため、大気開放することなく、第1金属窒化膜3成膜後、同一の成膜装置内にて直ちに第2金属窒化膜4を成膜することを意味する。
TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて、比較例1及び実施例5の結晶配向度について解析を行った。比較例1の断面TEM像を図4に示すと共に、実施例5の断面TEM像を図5に示す。
また、比較例1におけるサーミスタ特性を有するTi−Al−N膜断面の電子線回折像を図6に示す。さらに、実施例5における第2金属窒化膜4であるサーミスタ特性を有するTi−Al−N膜断面の電子線回折像を図7の(a)に示すと共に、実施例5における第2金属窒化膜4であるサーミスタ特性を有するTi−Al−N膜と、第1金属窒化膜3である絶縁性の結晶性Ti−Al−N膜との両方を含む広範囲による電子線回折像を図7の(b)に示す。
また、これらの電子線回折像の上下方向は、基板面に垂直な方向、すなわちTi−Al−N膜の柱状結晶の成長方向と一致する。
上記断面TEM像から、上記比較例及び実施例では、第1金属窒化膜3のTi−Al−N膜および第2金属窒化膜4のTi−Al−N膜のいずれも緻密な柱状結晶化膜のTi−Al−N膜が形成され、高い結晶配向度を有していることがわかる。
また、上記電子線回折像から、上記比較例及び実施例では、いずれも基板に垂直方向(図の上下方向)に、002と00−2との回折点が検出されていることから、基板に垂直な方向に、c軸配向度が高い結晶化膜が形成されていることがわかる。
しかしながら、比較例1の回折点は、実施例に比べて円弧状となっている。すなわち、全ての結晶の配向が揃っているわけではなく、熱酸化膜付きSi基板に対して垂直方向から僅かにずれたc軸配向化膜が存在していることを示している。これは、サーミスタ特性を有する第2金属窒化膜4のTi−Al−N膜がSiO2からなる非晶質の酸化膜上に形成されていることに起因する。
サーミスタ特性を有するTi−Al−N膜断面の電子線回折像について、図7の(a)の実施例は、図6の比較例に比べて、回折点の円弧の長さが短くなっており、サーミスタ特性を有するTi−Al−N膜のc軸配向度がより高くなっていることがわかる。これは、c軸配向度の高い絶縁性の結晶性Ti−Al−N膜上に形成されたことに由来し、サーミスタ用Ti−Al−N膜は、初期結晶成長時から、よりTi−Al−N膜結晶を窒化させることが可能であり、さらにc軸結晶配向に優れたサーミスタ用Ti−Al−N膜をエピタキシャル成長させることができる。窒素欠陥量が極めて少ないサーミスタ特性を有するTi−Al−N膜が形成されているので、実施例のいずれも高い抵抗率及びB定数が得られている。
特に実施例5は、絶縁性の結晶性Ti−Al−N膜のAr逆スパッタによる表面処理を行っており、絶縁性の結晶性Ti−Al−N膜上のごくわずかな表面酸化膜も除去されており、絶縁性の結晶性Ti−Al−N膜とサーミスタ用Ti−Al−N膜との界面近傍にて、歪エネルギーが緩和され、結晶格子が緩和されることで、極めて高い格子整合性が実現されている。そのため、サーミスタ用Ti−Al−N膜は、初期結晶成長時から、よりTi−Al−N膜結晶を窒化させることが可能であり、c軸結晶配向にきわめて優れたサーミスタ用Ti−Al−N膜をエピタキシャル成長させることができる。
<X線回折による結晶配向性の評価>
次に、本発明の実施例はウルツ鉱型相の単相の膜であり、配向性が強いことから、第2金属窒化膜4上に垂直な方向(膜厚方向)の結晶軸においてa軸配向性とc軸配向性のどちらが強いか、視斜角入射X線回折(Grazing Incidence X-ray Diffraction)を用いて調査した。この際、結晶軸の配向性を調べるために、(100)(a軸配向を示すhkl指数)と(002)(c軸配向を示すhkl指数)とのピーク強度比を測定した。
なお、視斜角入射X線回折の条件は、管球をCuとし、入射角を1度とした。なお、図8は、熱酸化膜付Si基板上にAl/(Al+Ti)比=0.85のTi−Al−N単層膜(第2金属窒化膜)について調べたXRDプロファイルであり、図9は、熱酸化膜付Si基板上にAl/(Al+Ti)比=0.97の絶縁性Ti−Al−N単層膜(第1金属窒化膜)について調べたXRDプロファイルである。また、図10は、熱酸化膜Si基板上にAl/(Al+Ti)比=0.97の絶縁性Ti−Al−N膜(第1金属窒化膜)とAl/(Al+Ti)比=0.85のTi−Al−N膜(第2金属窒化膜)とを積層した積層膜について調べたXRDプロファイルである。(なお、図8〜10中の(*)のピークは、熱酸化膜付Si基板に由来するピークであり、ウルツ鉱型の結晶相に対応するピークではない。)
また、図8から図10の上記各Ti−Al−N単層膜及びTi−Al−N積層膜について、入射角を0度とし、2θ=20〜100度の範囲で対称測定(一般的なθ−2θ測定)を実施した結果を、図11から図13に示す。
これらの結果からわかるように、いずれの上記Ti−Al−N膜はいずれも、(100)ピークは検出されておらず、c軸配向性がきわめて強いことがわかる。特に、図10に示す絶縁性の結晶性Ti−Al−N膜(第1金属窒化膜)とサーミスタ特性を有するTi−Al−N膜(第2金属窒化膜)との積層膜においても、c軸配向性がきわめて強いことがわかる。(なお、図11、図13中の33度近傍で検出される半値幅の小さいピークは、熱酸化膜付Si基板のSiに由来するピークである。)
<結晶形態の評価>
次に、上記図8から図10の各Ti−Al−N単層膜及びTi−Al−N積層膜について、断面SEM写真を、図14から図16に示す。
これらの実施例のサンプルは、熱酸化膜付きSi基板をへき開破断したものを用いている。また、45°の角度で傾斜観察した写真である。
これらの写真からわかるように、上記各Ti−Al−N単層膜及びTi−Al−N積層膜は共に緻密な柱状結晶で形成されている。すなわち、基板面に垂直な方向に柱状の結晶が成長している様子が観測されている。なお、柱状結晶の破断は、熱酸化膜付きSi基板をへき開破断した際に生じたものである。
柱状結晶のアスペクト比を(長さ)÷(粒径)として定義すると、上記各Ti−Al−N単層膜及びTi−Al−N積層膜は6以上の大きいアスペクト比をもっている。柱状結晶の粒径は10nm±5nmφ程度であり、粒径が小さく、緻密な膜が得られている。
<格子定数>
次に、組成比Al/(Al+Ti)を変えた際のウルツ鉱型結晶構造(六方晶、空間群P6mc)をもつTi−Al−Nの格子定数についてa軸長とc軸長とにおいて調べた結果を、図17及び図18に示す。なお、格子定数は、XRD結果より算出した。
これらの結果からわかるように、AlよりTiのイオン半径が大きく(表1参照)、AlサイトにTi元素が部分置換され、固溶されることに伴い(すなわち組成比Al/(Al+Ti)が減少することに伴い)、c軸長(柱状結晶の成長方向)はあまり変化していないのに対し、a軸長(柱状結晶の成長方向に垂直な方向、すなわち、基板に垂直方向)が増大し、結晶性Al−N膜との格子不整合が大きくなっている。しかしながら、本発明の組成範囲において、組成比Al/(Al+Ti)がきわめて大きい絶縁性の結晶性Ti−Al−N膜上に、組成比Al/(Al+Ti)が小さいサーミスタ特性を有する結晶性Ti−Al−Nがエピタキシャル成長していることから、Tiよりイオン半径が小さい他のM元素(V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCu)で置換されたサーミスタ特性を有する結晶性M−Al−N膜において、Ti−Al−N膜よりa軸長が小さくなり、絶縁性の結晶性M’−Al−N膜との格子不整合量がより小さくなることが考えられるので、サーミスタ特性を有する結晶性M−Al−N膜(M=V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCu)においても、同様に絶縁性の結晶性M’−Al−N膜上に第1金属窒化膜であるサーミスタ特性を有する結晶性M−Al−N膜をエピタキシャル成長可能である。
さらに、上記同様な理由より、結晶性Al−N膜上に絶縁性の結晶性M’−Al−N膜をエピタキシャル成長可能であり、その上に形成されるサーミスタ特性を有する絶縁性の結晶性M−Al−N膜は、よりc軸配向度の高いエピタキシャル成長膜を形成可能である。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
1…サーミスタ、2…基材、3…第1金属窒化膜、4…第2金属窒化膜、10…サーミスタセンサ

Claims (9)

  1. 基材上に形成されたサーミスタであって、
    前記基材上に直接又は下地膜を介して形成された第1金属窒化膜と、
    前記第1金属窒化膜上に形成された第2金属窒化膜とを備え、
    前記第2金属窒化膜が、サーミスタ特性を有する結晶性M−A−N(但し、MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示すと共に、AはAl又は(Al及びSi)を示す。)であり、
    前記第1金属窒化膜が、絶縁性の結晶性M’−Al−N(但し、M’はTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示す。)であり、
    前記第1金属窒化膜及び前記第2金属窒化膜の結晶構造が、共に六方晶系のウルツ鉱型の単相であり、
    前記第1金属窒化膜の抵抗値が、前記第2金属窒化膜の抵抗値の1000倍以上であることを特徴とするサーミスタ。
  2. 請求項1に記載のサーミスタにおいて、
    前記第1金属窒化膜に含有されている前記M’の元素が、前記第2金属窒化膜に含有されている前記Mの元素と同じであることを特徴とするサーミスタ。
  3. 請求項1又は2に記載のサーミスタにおいて、
    前記第1金属窒化膜が、前記基材上に前記下地膜を介して形成され、
    前記下地膜が、結晶性Al−Nであり、その結晶構造が六方晶系のウルツ鉱型の単相であることを特徴とするサーミスタ。
  4. 請求項1からのいずれか一項に記載のサーミスタにおいて、
    前記第2金属窒化膜が、サーミスタ特性を有する結晶性Ti−Al−Nであり、
    前記第1金属窒化膜が、絶縁性の結晶性Ti−Al−Nであることを特徴とするサーミスタ。
  5. 請求項1からのいずれか一項に記載のサーミスタにおいて、
    前記第2金属窒化膜が、膜厚方向にa軸配向度よりc軸配向度が大きい結晶配向をもつエピタキシャル成長膜であると共に、
    前記第1金属窒化膜が、膜厚方向にa軸配向度よりc軸配向度が大きい結晶配向をもつ膜であることを特徴とするサーミスタ。
  6. 請求項1からのいずれか一項に記載のサーミスタの前記基材,前記第1金属窒化膜及び前記第2金属窒化膜と、
    前記第2金属窒化膜に形成された一対のパターン電極とを備えていることを特徴とするサーミスタセンサ。
  7. 請求項に記載のサーミスタセンサにおいて、
    前記基材が、絶縁性フィルムであることを特徴とするサーミスタセンサ。
  8. 請求項1からのいずれか一項に記載のサーミスタの製造方法であって、
    基材上に形成された絶縁性の結晶性M’−Al−N(但し、M’はTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示す。)の前記第1金属窒化膜上に、M−A合金スパッタリングターゲット(但し、MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni及びCuの少なくとも1種を示すと共に、AはAl又は(Al及びSi)を示す。)を用いて窒素含有雰囲気中で反応性スパッタを行って前記第2金属窒化膜を成膜する成膜工程を有していることを特徴とするサーミスタの製造方法。
  9. 請求項に記載のサーミスタの製造方法において、
    前記成膜工程前に、前記第1金属窒化膜の表面に存在する表面酸化膜を除去する酸化膜除去工程を有していることを特徴とするサーミスタの製造方法。
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