以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
はじめに、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る外装体付きワイヤーハーネスの構成について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る外装体3及び外装体付きワイヤーハーネス1を示す斜視図である。
なお、説明の便宜上、外装体3の長手方向(長さ方向)を「X」とし、外装体3の短手方向(幅方向)を「Y」とする。
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る外装体付きワイヤーハーネス1は、複数の電線が束ねられたワイヤーハーネス2と、当該ワイヤーハーネス2の外周に装着される電線用外装体(以下、「外装体」ともいう。)3と、を備える。ワイヤーハーネス2は、外装体3によって外部環境から保護されている。なお、図1においては、ワイヤーハーネス2を1本の円柱形状で示しているが、ワイヤーハーネス2は、1本以上の電線を備えたものである。本発明の第1の実施の形態に係る外装体付きワイヤーハーネス1には、短手方向Yの中央付近に、車両(図示省略)に取り付けるための取付部材61が複数(本発明の第1の実施の形態では2個。)係合されている。
次に、図1及び図2を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る外装体3の構成について説明する。図2は、外装体3を展開した状態で示す斜視図である。
図1に示すように、外装体3は、ワイヤーハーネス(電線)2の延び方向(長手方向X)に沿って延在する複数の壁部4を備えており、この複数の壁部4に囲まれて形成され、ワイヤーハーネス2を収容する収容部5を有している。外装体3は、短手方向Yの断面形状が四角形状又は略四角形状となっている。
図1及び図2に示すように、複数の壁部4は、1枚の熱可塑性樹脂発泡シートを折り曲げることにより一体的に形成されている。熱可塑性樹脂発泡シート樹脂種については、熱可塑性樹脂であれば、特に限定されず、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、アクリル樹脂等を挙げることができる。また、熱可塑性樹脂発泡シートの厚さは、折り曲げ容易性と引張強さ等の機械的強度とのバランスをより向上させる点から、0.50mm以上4.0mm以下が好ましく、0.8mm以上2.5mm以下が特に好ましい。
図2に示すように、複数の壁部4は、熱可塑性樹脂発泡シートを折曲部20a〜20dで折り曲げることにより形成されている。折曲部20a〜20dは、平坦な熱可塑性樹脂発泡シートを押し成形による押し成形部、ハーフカット部、破線状のカット部等を形成することにより、折り曲げ形成し易い形状となっている。
複数の壁部4は、底壁部41と、底壁部41の端縁から折曲部20aを介して連設された側壁部42と、底壁部41の端縁から折曲部20bを介して連設された側壁部43と、側壁部42の端縁から折曲部20cを介して連設された下蓋壁部(内側壁部)44と、側壁部43の端縁から折曲部20dを介して連設された上蓋壁部(外側壁部)45とを有している。
図1に示すように、底壁部41は、側壁部42と側壁部43との間に配置され、底壁部41の端縁から折曲部20aを介して側壁部42が立設され、底壁部41の端縁から折曲部20bを介して側壁部43が立設されている。
下蓋壁部44と上蓋壁部45とは、互いに重なり合い、当該重なり合った部分が壁面重ね合わせ部となっている。具体的には、壁面重ね合わせ部は、下蓋壁部44の上から上蓋壁部45を覆い重ね合わせた部分であり、下蓋壁部44の上面44cと上蓋壁部45の下面45dとが接合されている(後述する図4参照)。なお、下蓋壁部44の上面44cと上蓋壁部45の下面45dとの接合手段としては、例えば、接着剤や粘着テープ等の接着手段、超音波溶着、熱溶着等の溶着手段、係止部材、リベット等を用いた嵌合手段、ホッチキス等を用いた貫通固定手段等を挙げることができる。壁面重ね合わせ部には、外装体3を車体に取り付けるための取付部材61が係合されている。
下蓋壁部44は、側壁部42の端縁から折曲部20cを介して底壁部41と平行又は略平行に配置されており、重ね合わせ部において内側(収容部5側)に配置されている。下蓋壁部44の端縁44aは、対向する折曲部20dに接触又は若干の隙間を設けて配置されている。すなわち、下蓋壁部44の短手方向Yにおける幅方向の長さは、上蓋壁部45の短手方向Yにおける幅方向の長さと同一又は略同一の長さを有している。下蓋壁部44には、取付部材61と収容部5に収容されたワイヤーハーネス2との接触を避ける逃げ部が形成されている。後述するように、本発明の第1の実施の形態では、逃げ部は、四角形状の内側貫通孔46である場合について説明する(図2参照)。
上蓋壁部45は、側壁部43の端縁から折曲部20dを介して底壁部41と平行又は略平行に配置され、重ね合わせ部において外側に配置されている。上蓋壁部45は、下蓋壁部44の上側に配置された状態で端縁45aが側壁部42と略面一に配置されている。後述するように、上蓋壁部45には、取付部材61が挿入される四角形状の外側貫通孔47が形成されている(図2参照)。
収容部5は、底壁部41、側壁部42,43、下蓋壁部44及び上蓋壁部45で囲まれた部分である。収容部5は、底壁部41、側壁部42,43、下蓋壁部44及び上蓋壁部45により長手方向Xにおける一側と他側が貫通した筒状に形成されており、ワイヤーハーネス2を収容することができる。
次に、図3を参照して、外装体3に係合される取付部材の一例について説明する。図3は、外装体3を車体へ取り付けるための取付部材の一例を示すための図であり、図3(a)は、取付部材61の斜視図であり、図3(b)は、取付部材を長手方向X側から見た側面図である。なお、図3に示す取付部材61は、本発明の第1の実施の形態に係る外装体3に係合される取付部材の一例であり、外装体3に係合される取付部材は同様の他の取付部材であってもよい。
図3(a)及び図3(b)に示すように、取付部材61は、外装体3に取り付けられる外装体側係合部62と、車体に取り付けられる車体側係合部63とを有している。
外装体側係合部62は、下蓋壁部44の内側貫通孔46の内部に配置される底部64と、上蓋壁部45の外側貫通孔47の内部に配置され、短手方向Y(図1参照)における底部64の幅より幅狭に形成されて底部64から上方へ立設する立設部65と、後述する挿入部70が挿入可能に立設部65の上方から下方へ凹む挿入穴66が形成されている。底部64の高さH1と立設部65の高さH2は、同一又は略同一の高さに設定されている。
車体側係合部63は、底部64と同一又は略同一の幅に形成されて上蓋壁部45の上面45cに配置される基部67と、短手方向Y(図1参照)における底部64、立設部65及び基部67の幅より幅狭に形成されて、基部67から上方に延びる柱部68と、柱部68の上部先端から両側方に突出するように形成された羽部69と、基部67から下方に延出する挿入部70とを有している。羽部69は、車体の取付孔(図示省略)に挿入可能に、かつ挿入後に係止可能に弾性変形可能に形成されている。挿入部70は、挿入穴66に挿入されると先端部が内側に弾性変形し、挿入穴66の係止部66aを乗り越えると弾性復帰して係止部66aの周縁に当接して係止する。挿入部70が係止部66aに係止すると、立設部65の上端が基部67の下面に当接し、外装体側係合部62と車体側係合部63とが係止される。
次に、図2及び図4を参照して、下蓋壁部44の逃げ部(内側貫通孔)46及び上蓋壁部45の外側貫通孔47の形状について説明する。図4は、図1に示すA−A線に沿う断面における外装体3の断面図である。
図2及び図4に示すように、内側貫通孔46は、下蓋壁部44において、上蓋壁部45側である上面44cから収容部5側である下面44dへ貫通した貫通孔である。内側貫通孔46は、取付部材61の底部64が挿入される貫通部46aと、貫通部46aの収容部5側と反対側に位置する周縁が面取り形状とされた面取り部46bとを有している。
図4に示すように、貫通部46aは、取付部材61の底部64が挿入可能で、かつ内部に位置することが可能に、短手方向Y(図1参照)における幅が底部64の短手方向Yにおける幅より僅かに大きく形成されている。貫通部46aの深さD1は、取付部材61が下蓋壁部44の下面44dから突出することを防止する点から、底部64の高さH1(図3(b)参照)と同一又は高さH1より大きいことが好ましい(D1=H1又はD1>H1)。すなわち、複数の壁部4を構成する熱可塑性樹脂発泡シートは、貫通部46aに挿入される底部64の高さH1と同一の厚さ又は高さH1より厚く、この熱可塑性樹脂発泡シートを用いて内側貫通孔46を形成することが好ましい。なお、本発明の第1の実施の形態では、貫通部46aの深さD1は、底部64の高さH1と同一の場合を図示して説明する。
面取り部46bは、下蓋壁部44の上面44c側の貫通部46aの周縁を円弧状に丸めて、熱可塑性樹脂発泡シートの厚さ程度のR面取りがなされた部分である。なお、面取り部46bは、R面取りである場合を図示して説明するが、面取り部46bは、下蓋壁部44の上面44c側の貫通部46aの周縁をテーパー面にしたC面取りがなされていてもよい。
図2及び図4に示すように、外側貫通孔47は、上蓋壁部45において、上面45cから収容部5側である下面45dへ貫通した貫通孔である。外側貫通孔47は、取付部材61の立設部65が挿入可能な貫通部47aと、貫通部47aの収容部5側と反対側に位置する周縁が面取りされた面取り部47bとを有している。
図4に示すように、貫通部47aは、取付部材61の立設部65が挿入可能で、かつ内部に位置することが可能に、短手方向Y(図1参照)における幅が立設部65の短手方向Yにおける幅より僅かに大きく形成されている。すなわち、貫通部47aの中心は、上下方向において貫通部46aの中心と同じ位置に配置されており、貫通部47aは、貫通部46aより短手方向Yにおける幅が狭く形成されている。貫通部47aの深さD2は、取付部材61が下蓋壁部44の下面44dから突出することを防止する点から、立設部65の高さH2(図3(b)参照)と同一又は略同一であることが好ましい(D2=H2)。
面取り部47bは、上蓋壁部45の上面45c側を貫通部47aの周縁を円弧状に丸めて、熱可塑性樹脂発泡シートの厚さ程度のR面取りがなされた部分である。なお、面取り部47bは、R面取りである場合を図示して説明するが、面取り部47bは、上蓋壁部45の上面45c側の貫通部47aの周縁をテーパー面にしたC面取りがなされていてもよい。
次に、上述した外装体3の形成方法、及び外装体3へワイヤーハーネス2を装着して外装体付きワイヤーハーネス1を形成する方法についてそれぞれ説明する。
外装体3の形成方法では、先ず、外装体3を形成するための母材となる熱可塑性樹脂発泡シートから、外装体3に相当する部分を打ち抜く、打ち抜き加工を行う。打ち抜き加工としては、例えば、低コスト化と加工簡易性の点から、トムソン刃金型での打ち抜き等が挙げられる。
外装体3に相当する部分を打ち抜いた後、打ち抜かれた外装体3に相当する部分のうち、折曲部20a〜20dに対応する部分に押し成形を施す。押し成形を施すことにより、折曲部20a〜20dを形成し、折曲部20a〜20dに良好な折り曲げ性を付与する。
また、下蓋壁部44の取付部材61が取り付けられる位置に内側貫通孔46に相当する部分を打ち抜き、上蓋壁部45の取付部材61が取り付けられる位置に外側貫通孔47に相当する部分を打ち抜く、打ち抜き加工を行う。内側貫通孔46及び外側貫通孔47に相当する部分を打ち抜くと、内側貫通孔46及び外側貫通孔47の周縁を面取りする面取り加工を行い、面取り部46b及び面取り部47bを形成する。
上記のように形成された外装体3をワイヤーハーネス2へ装着する方法では、先ず、底壁部41に対して側壁部42,43が略垂直となるように、折曲部20a,20bで折り曲げる。折曲部20a,20bで折り曲げると、側壁部42,43の端部側の間が長手方向Xに沿って上方に開口した形状となる。
折曲部20a,20bを折り曲げた後、底壁部41にワイヤーハーネス2を載置し、底壁部41に対して下蓋壁部44が略平行となるように、折曲部20cで折り曲げる。次に、底壁部41に対して上蓋壁部45が略平行となるように、折曲部20dで折り曲げる。折曲部20dで上蓋壁部45を折り曲げると、下蓋壁部44と上蓋壁部45とが重なって壁面重ね合わせ部となる。折曲部20dで上蓋壁部45を折り曲げると、側壁部42と側壁部43間の開口が塞がれて収容部5が形成されるとともに、収容部5内にワイヤーハーネス2が挿通された状態で収容される。また、壁面重ね合わせ部において、下蓋壁部44と上蓋壁部45とを接合することにより、側壁部42と側壁部43間の開口が塞がれた状態が固定され、外装体3がワイヤーハーネス2の外周に装着される。
外装体3をワイヤーハーネス2の外周に装着した後、下蓋壁部44の下面44d側から上方に向かって下蓋壁部44の貫通部46aに取付部材61の立設部65及び底部64を挿入し、上蓋壁部45の上面45c側から下方に向かって上蓋壁部45の貫通部47aに取付部材61の挿入部70を挿入する。そして、取付部材61の挿入部70を取付部材61の挿入穴66に挿入して係止すると、立設部65の上端が基部67の下面に当接し、底部64と基部67との間で上蓋壁部45を挟み込む。また、底部64が内側貫通孔146の貫通部46aに挿入され、立設部65が外側貫通孔147の貫通部47aに挿入されることにより、外装体3に取付部材61が係合し、外装体3が車体に取り付け可能になる。
なお、外装体3は、ワイヤーハーネス2を構成する複数の電線を分散しないように固定するための固定用テープの外周に装着されていてもよく、固定用テープを使用していない複数の電線の外周に装着されていてもよい。また、外装体3は、1本の電線の外周に装着されていてもよい。
上述のように、本発明の第1の実施の形態に係る外装体3及び外装体付きワイヤーハーネス1によれば、下蓋壁部44には、上蓋壁部45の貫通部47aを貫通した取付部材61と収容部5に収容されたワイヤーハーネス2との接触を避ける逃げ部が形成されている。この逃げ部により、取付部材61と収容部5に収容されたワイヤーハーネス2との接触を抑制し、ワイヤーハーネスの破損を防止することができる。
また、逃げ部は、上蓋壁部45側から収容部5側へ貫通する内側貫通孔46であり、内側貫通孔46の深さは、外側貫通孔47から突出した取付部材61の底部64の高さD1と同一又は高さD1より大きい。このため、取付部材61が下蓋壁部44の下面44dから突出することを防止して、ワイヤーハーネスの破損を防止することができる。
さらに、内側貫通孔46は、収容部5側と反対側に位置する周縁が面取り形状である面取り部46bを有し、外側貫通孔47は、収容部5側と反対側に位置する周縁が面取り形状である面取り部47bを有しているため、取付部材61を係合し易くなる。すなわち、下蓋壁部44の貫通部46aに取付部材61の底部64、上蓋壁部45の貫通部47aに立設部65を収容し易くなるため、外装体3の組立作業が容易になる。
そして、外装体3及び外装体付きワイヤーハーネス1によれば、下蓋壁部44の端縁44aは、樹脂シートの折曲部20a〜20dのうち対向する折曲部20dに接触又は若干の隙間を設けて配置されている。具体的には、下蓋壁部44の短手方向Yにおける幅方向の長さは、上蓋壁部45の短手方向Yにおける幅方向の長さと同一又は略同一の長さを有している。すなわち、下蓋壁部44の端縁44aが上蓋壁部45の短手方向Yにおける途中に配置されると、下蓋壁部44の端縁44aとワイヤーハーネス2とが接触することとなる。しかし、本発明の第1の実施の形態では、下蓋壁部44の端縁44aは、折曲部20dに接触又は若干の隙間を設けて配置されているため、下蓋壁部44の端縁44aがワイヤーハーネス2と接触することとがなく、ワイヤーハーネスの破損を防止することができる。
次に、図5乃至図8を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。まず、図5を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る外装体付きワイヤーハーネスの構成について説明する。図5は、本発明の第2の実施の形態に係る外装体103及び外装体付きワイヤーハーネス101を示す斜視図である。
なお、本発明の第2の実施の形態に係る外装体103及び外装体付きワイヤーハーネス101は、上述の本発明の第1の実施の形態に係る外装体3及び外装体付きワイヤーハーネス1の下蓋壁部44の内側貫通孔46及び上蓋壁部45の外側貫通孔47に改良を加えたものであり、その他の部分の構成は同様である。そこで、以下では、上述の本発明の第1の実施の形態に係る外装体3及び外装体付きワイヤーハーネス1と同一の又は類似する構成等については上述の外装体3及び外装体付きワイヤーハーネス1と同一の符号を付してその説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。
図5に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る外装体付きワイヤーハーネス101は、複数の電線が束ねられたワイヤーハーネス2と、当該ワイヤーハーネス2の外周に装着される電線用外装体(以下、「外装体」ともいう。)103と、を備える。本発明の第2の実施の形態に係る外装体付きワイヤーハーネス101には、短手方向Yの中央付近に車両(図示省略)に、取り付けるための取付部材161が複数(本発明の第2の実施の形態では2個。)係止されている。
次に、図6を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る外装体103の構成について説明する。図6は、外装体103を展開した状態で示す斜視図である。
図6に示すように、外装体103は、ワイヤーハーネス2の延び方向(長手方向X)に沿って延在する複数の壁部4を備えており、底壁部41と、側壁部42,43と、下蓋壁部(内側壁部)44及び上蓋壁部(外側壁部)45とを有している。
下蓋壁部44には、取付部材161と収容部5に収容されたワイヤーハーネス2との接触を避ける逃げ部が形成されている。後述するように、本発明の第2の実施の形態では、逃げ部は、内側貫通孔146である場合について説明する。また、上蓋壁部45には、取付部材161が係止される外側貫通孔147が形成されている。
次に、図7を参照して、外装体103に係合される取付部材の一例について説明する。図7は、外装体103を車体へ取り付けるための取付部材の一例を示すための図であり、図7(a)は、取付部材161の斜視図であり、図7(b)は、取付部材161を長手方向X側から見た側面図である。なお、図7に示す取付部材161は、本発明の第2の実施の形態に係る外装体103に係止される取付部材の一例であり、外装体103に係止される取付部材は同様の他の取付部材であってもよい。
図7(a)及び図7(b)に示すように、取付部材161は、外装体3に取り付けられる外装体側係止部162と、車体に取り付けられる車体側係合部163とを有している。
外装体側係止部162は、下蓋壁部44の内側貫通孔46の内部に配置される内側固定部164と、短手方向Y(図5参照)における内側固定部164の幅より幅広に形成されて、上蓋壁部45の上面45cに配置される外側固定部165と、短手方向Y(図5参照)における内側固定部164及び外側固定部165の幅より幅狭に形成されて、内側固定部164と外側固定部165の略中央部分を連結する連結部166とを有している。内側固定部164の高さH3と連結部166の高さH4は、同一又は略同一の高さに設定されている。
車体側係合部163は、外側固定部165から上方に延びる柱部168と、柱部168の上部先端から両側方に突出するように形成された羽部169とを有している。羽部169は、車体の取付孔(図示省略)に挿入可能に、かつ挿入後に係止可能に弾性変形可能に形成されている。
次に、図6及び図8を参照して、下蓋壁部44の逃げ部(内側貫通孔)146及び上蓋壁部45の外側貫通孔147の形状について説明する。図8は、図5に示すB−B線に沿う断面における外装体103の断面図である。
図6及び図8に示すように、内側貫通孔146は、下蓋壁部44において、上蓋壁部45側である上面44cから収容部5側である下面44dへ貫通した貫通孔である。内側貫通孔146は、取付部材161の内側固定部164が挿入可能な貫通部46aと、貫通部46aの収容部5側と反対側に位置する周縁が面取り形状とされた面取り部46bとを有している。
図8に示すように、貫通部146aは、取付部材161の内側固定部164が挿入可能で、かつ内部に位置することが可能に、短手方向Y(図1参照)における幅が内側固定部164の短手方向Yにおける幅より僅かに大きく形成されている。貫通部146aの深さD3は、取付部材161が下蓋壁部44の下面44dから突出することを防止する点から、底部64の高さH3(図7(b)参照)と同一又は高さH3より大きいことが好ましい(D3=H3又はD3>H3)。すなわち、熱可塑性樹脂発泡シートは、貫通部146aに挿入される内側固定部164の高さH3と同一の厚さ又は高さH3より厚く、この熱可塑性樹脂発泡シートを用いて内側貫通孔146を形成することが好ましい。なお、本発明の第2の実施の形態では、貫通部146aの深さD3は、内側固定部164の高さH3と同一の場合を図示して説明する。
面取り部146bは、下蓋壁部44の上面44c側の貫通部146aの周縁を円弧状に丸めて、熱可塑性樹脂発泡シートの厚さ程度のR面取りがなされた部分である。なお、面取り部146bは、R面取りである場合を図示して説明するが、面取り部146bは、下蓋壁部44の上面44c側の貫通部146aの周縁をテーパー面にしたC面取りがなされていてもよい。
図6及び図8に示すように、外側貫通孔147は、上蓋壁部45において、上面45cから収容部5側である下面45dへ貫通した貫通孔であり、上面視するとT字形状を有している。外側貫通孔147は、取付部材161の連結部166が挿入可能な貫通部147aと、外側貫通孔147の収容部5側と反対側に位置する周縁が面取りされた面取り部147bと、貫通部147aより幅広な幅広部147cとを有している。
図8に示すように、貫通部147aは、取付部材161の連結部166が挿入可能で、かつ内部に位置することが可能に、短手方向Y(図5参照)における幅が連結部166の短手方向Yにおける幅より僅かに大きく形成されている。すなわち、貫通部147aの中心は、上下方向において貫通部146aの中心と同じ位置に配置されており、貫通部147aは、貫通部146aより短手方向Yにおける幅が狭く形成されている。貫通部147aの深さD4は、取付部材61が下蓋壁部44の下面44dから突出することを防止する点から、連結部166の高さH4(図8(b)参照)と同一又は略同一であることが好ましい(D4=H4)。
面取り部147bは、上蓋壁部45の上面45c側を貫通部147a及び幅広部147cの周縁を円弧状に丸めて、熱可塑性樹脂発泡シートの厚さ程度のR面取りがなされた部分である。なお、面取り部147bは、R面取りである場合を図示して説明するが、面取り部147bは、上蓋壁部45の上面45c側の貫通部147a及び幅広部147cの周縁をテーパー面にしたC面取りがなされていてもよい。
幅広部147cは、取付部材161の内側固定部164及び連結部166を挿入可能で、かつ挿入された連結部166を貫通部147aへ移動することが可能に形成されている。すなわち、幅広部147cは、短手方向Y(図5参照)における幅が内側固定部164及び連結部166の短手方向Yにおける幅より大きく形成されている。
次に、外装体3へワイヤーハーネス2を装着して外装体付きワイヤーハーネス1を形成する方法について説明する。
上記のように形成された外装体103をワイヤーハーネス2へ装着する方法では、先ず、底壁部41に対して側壁部42,43が略垂直となるように、折曲部20a,20bで折り曲げ、底壁部41にワイヤーハーネス2を載置し、底壁部41に対して下蓋壁部44が略平行となるように、折曲部20cで折り曲げる。
次に、底壁部41に対して上蓋壁部45が略平行となるように、折曲部20dで折り曲げ、下蓋壁部44と上蓋壁部45とが重なった壁面重ね合わせ部において、下蓋壁部44と上蓋壁部45とを接合することにより、外装体103がワイヤーハーネス2の外周に装着される。
外装体103をワイヤーハーネス2の外周に装着した後、取付部材161の内側固定部164を外側貫通孔147の幅広部147cに挿入する。そして、内側固定部164と外側固定部165との間に上蓋壁部45が位置する状態で、幅広部147cから外側貫通孔147の貫通部147aへ取付部材161の連結部166をスライドする。連結部166を貫通部147aへスライドすると、内側固定部164と外側固定部165との間で上蓋壁部45を挟み込む。また、内側固定部164が内側貫通孔146の貫通部146aに挿入され、連結部166が外側貫通孔147の貫通部147aに挿入されることにより、外装体103に取付部材161が係止し、外装体103が車体に取り付け可能になる。
本発明の第2の実施の形態に係る外装体103及び外装体付きワイヤーハーネス1は、上述の本発明の第1の実施の形態に係る外装体3及び外装体付きワイヤーハーネス1と同様の効果を奏することができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態に係る外装体3,103及び外装体付きワイヤーハーネス1に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
上述した本発明の実施の形態における逃げ部は、下蓋壁部44の上面44cから下面44dへ貫通した内側貫通孔46,146である場合について説明したが、収容部5に収容されたワイヤーハーネス2との接触を避ける構造であれは適宜変更が可能である。例えば、下蓋壁部44の上面44cから下面44dへ凹んだ凹み部であってもよい。すなわち、逃げ部は、取付部材61が下蓋壁部44の下面44dから突出することがない構造であればよい。