以下に、本発明の樹脂組成物の詳細について説明する。
本発明の樹脂組成物の使用用途は特に限定されるものではなく、例えば、電子回路基板に用いられる積層板、電子部品に用いられる封止剤、注型材、フィルム材、接着剤、電気絶縁塗料、難燃性の必要な複合材、及び紛体塗料等に使用することができる。本発明においては、特に電子回路基板に用いられる積層板、電子部品に用いられる封止剤、及び注型材等に使用することが好ましく、積層板に使用することが最も好ましい。本発明の樹脂組成物及びその硬化物は、電気特性に優れ、難燃性に優れていることから、プリント配線板等の絶縁材料として好適に使用することができる。
本発明で使用される(A)成分であるポリフェニレンエーテル樹脂は、下記式(II)で表される構造を有する重合体である。
式(II)中、sは1〜100の数を表し、R
21〜R
24はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルカルボニル基、又はアルケニルカルボニル基を表す。*は結合手を表す。
R21〜R24で表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの基が挙げられる。
R21〜R24で表されるアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基などの基が挙げられる。
R21〜R24で表されるアルキニル基としては、例えば、エチニル、2−プロピニルなどの基が挙げられる。
R21〜R24で表されるアルキルカルボニル基としては、例えばアセチル基などの基が挙げられる。
R21〜R24で表されるアルケニルカルボニル基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基を挙げることができる。
ポリフェニレンエーテル樹脂の中でも、一般式(II)中、R21〜R24がそれぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基であるものがコスト、入手が容易である点で特に好ましい。
本発明に使用される(A)成分であるポリフェニレンエーテル樹脂は、その末端が水酸基を有する場合もあり、その末端が不飽和結合を有する基などによって変性されたものである場合もある。
本発明の樹脂組成物から得られる製品の耐熱性、耐薬品性、耐水性等を改善する為に、本発明の樹脂組成物又はその硬化物に含まれる(A)成分であるポリフェニレンエーテル樹脂は、架橋したポリフェニレンエーテル樹脂であってもよい。このため、本発明の樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル樹脂に加えて、これを架橋させるための成分を含有していてもよい。
本発明において、(A)ポリフェニレンエーテル樹脂を架橋させる方法としては、(I)(A)ポリフェニレンエーテル樹脂、(C)エチレン性不飽和結合基を分子中に2個以上有する架橋型硬化剤及び(D)ラジカル開始剤を樹脂組成物に含有させる方法、あるいは、(II)(A)ポリフェニレンエーテル樹脂として末端が水酸基を有するものを選択し、(B)エポキシ基及び/又はイソシアネート基と、エチレン性不飽和結合基とを有する化合物、(C)エチレン性不飽和結合基を分子中に2個以上有する架橋型硬化剤及び(D)ラジカル開始剤を樹脂組成物に含有させる方法などが挙げられる。
本発明の(A)成分として使用される末端に水酸基を有するポリフェニレンエーテル樹脂は、通常公知の方法により製造し得るものである。それらの末端に水酸基を有するポリフェニレンエーテル樹脂としては、通常、架橋して使用する場合においては、その数平均分子量が、1000〜70000のものを好ましく使用することができる。
これら末端に水酸基を有するポリフェニレンエーテル樹脂の市販品としては、例えば、SA−90(Sabic社製)などが挙げられる。
末端にエチレン性不飽和結合を有する変性ポリフェニレンエーテル樹脂は、例えば、末端に水酸基を有するポリフェニレンエーテル樹脂に対して、エチレン性不飽和結合及び水酸基と反応し得る基を有する化合物を反応させることによって製造することができる。末端に不飽和二重結合を有するポリフェニレンエーテル樹脂としては、通常、架橋して使用する場合においてはその数平均分子量が、1000〜70000のものを好ましく使用することができる。ポリフェニレンエーテル樹脂の末端のエチレン性不飽和結合を構成するエチレン性不飽和結合基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基が挙げられる。なお、エチレン性不飽和結合としてはエチレン性二重結合が挙げられ、同様にエチレン性不飽和結合基としては、エチレン性二重結合基が挙げられる。
これらの末端にエチレン性不飽和結合を有するポリフェニレンエーテル樹脂の市販品としては、例えば、MX−9000(Sabic社製)などが挙げられる。
本発明において(A)成分として末端に水酸基を有するポリフェニレンエーテル樹脂を使用する場合において併用し得る(B)成分であるエポキシ基及び/又はイソシアネート基と、エチレン性不飽和結合基とを有する化合物としては、その要件を満たすものであればその構造は限定されるものではないが、例えば、ビニル基含有エポキシド、ビニル基含有イソシアネート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
本発明において(B)成分である化合物を使用する場合においては、その使用量が、(A)成分であるポリフェニレンエーテル樹脂の水酸基1モルに対して、(B)成分のイソシアネート基及びエポキシ基の総量が0.8〜2.0モルとなる量であることが好ましい。
本発明において使用することができる(C)成分であるエチレン性不飽和結合基を分子中に2個以上有する架橋型硬化剤としては、その構造は限定されるものではないが、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルフェニル、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート(TAC)、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン等が挙げられる。
(B)成分及び(C)成分におけるエチレン性不飽和結合基としては、ポリフェニレンエーテル樹脂の末端のエチレン性不飽和結合を構成するエチレン性不飽和結合基として上述したものが挙げられる。
本発明において(C)成分である架橋型硬化剤を使用する場合においては、その使用量が、(A)成分であるポリフェニレンエーテル樹脂の水酸基及び/又はエチレン性不飽和結合基1モルに対して架橋型硬化剤が0.5〜6.0モルとなる量であることが好ましく、0.8〜3.0モルとなる量であることがより好ましい。
本発明において使用することができる(D)成分であるラジカル開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−1−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−〔4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル〕−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−〔(4−メチルフェニル)メチル〕−1−〔4−(4−モルホリニル)フェニル〕−1−ブタノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、オキシフェニル酢酸−2−〔2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ〕エチルエステルとオキシフェニル酢酸−2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物、1,2−オクタンジオン1−〔4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、エタノン1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(0−アセチルオキシム)、α,α’−ジ(第三ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ベンゾイン、ベンゾインメチル、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、4,4’−ジアジドカルコン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノン、4,4’−ジアジドベンゾフェノン、アゾビスイソブチルニトリル、2,2’−アゾビスプロパン、m,m’−アゾキシスチレン、ヒドラゾン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルパーオクチル)ヘキシン−3、ジクミルパーオキシド、イソブチルパーオキサイド、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ−n−プロピルパーオキシジカルボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジイソプロピルパーオキシカルボネート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカルボネート、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカルボネート、第三ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ジメトキシブチルパーオキシデカノエート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカルボネート、第三ブチルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、オクタノイルパーオキシド、1,1,3,5−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、第三ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、第三ブチルパーオキシブチレート、第三ブチルトリメチルシリルパーオキシドなどが挙げられる。
また、本発明の(A)、(B)及び(C)成分の架橋は、(D)ラジカル開始剤を用いるラジカル反応の代わりにカチオン開始剤を用いたカチオン反応によって実施することも可能である。カチオン開始剤としては、例えば、BF4、PF6、AsF6、SbF6を対アニオンとするジアリルヨードニウム塩、トリアリルホスホニウム塩及び脂肪族スルホニウム塩等が挙げられる。
本発明において(D)成分であるラジカル開始剤を使用する場合においては、その使用量が、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分のエチレン性不飽和結合基の総量に対して、0.01〜20当量であることが好ましい。
次に、本発明の(E)成分である下記式(1)で表される含リン化合物について説明する。
式(1)中、mは1〜10の整数を表し、R
1及びR
2はそれぞれ独立して、アルキル基、アリール基、又は−NR
4R
5を表し、R
3は、酸素、硫黄、リン及び窒素から選ばれる原子を含んでいる場合がある炭化水素基を表し、Xは酸素原子又は硫黄原子を表し、Yは、酸素原子、硫黄原子、又は−NR
6−を表し、R
4及びR
5は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、R
6は、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。また、R
1及びR
2が共に−NR
4R
5であった場合には、R
4同士又はR
5同士が異なる基である場合がある。
式(1)中、mは1〜7であることが好ましく、2〜5であることがより好ましい。mが10より大きい数の場合には、含リン化合物を製造する際に、粘度が高くなって製造が困難となるので好ましくない。またmが2以上である場合、硬化後のブリードアウトを防止しやすいため好ましい。
式(1)中、R1及びR2は、アルキル基又はアリール基であるもの、あるいは、何れも−NR4R5であるものが容易に製造できるため好ましく使用される。
式(1)中、R1、R2、R4、R5及びR6で表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、第三ブチル基、アミル基、イソアミル基、第三アミル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、第三オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。これらのアルキル基のうち、炭素数が1〜6のものが好ましく、特に1〜2のものがより好ましい。上記R1、R2、R4、R5及びR6で表されるアリール基としては、炭素数が6〜14、特に6〜10のものが好ましく挙げられ、例えば、フェニル基、ナフチル基等があげられる。
式(1)中、R3で表される炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、第三ブチル基、アミル基、イソアミル基、第三アミル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、第三オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;メチレン基、エチレン基、プロピレン基、エタンジイル基、オクタンジイル基等のアルカンジイル基;メタントリイル、1,1,2−エタントリイル基等のアルカントリイル基;1,1,2,2−エタンテトライル等のアルカンテトライル基;ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルクシノール等の単核多価フェノール化合物から水酸基を除いた残基;ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、イソプロピリデン(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホニルビスフェノール、オキシビスフェノール、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、エチルフェノールノボラック、ブチルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、レゾルシンノボラック、テルペンフェノール等の多核多価フェノール化合物から水酸基を除いた残基が挙げられる。R3で表される炭化水素基は酸素、硫黄、リン及び窒素から選ばれる原子を含んでいる場合もあり、その場合は、例えば芳香環同士を連結する連結基中に酸素、硫黄、リン及び窒素から選ばれる原子が含まれていることが好ましい。
本発明に使用される(E)成分である含リン化合物は、製造するための原料が容易に入手可能であるという観点から、上記式(1)中、Xが酸素原子であり、且つYが酸素原子であることが好ましい。
本発明に使用される(E)成分である含リン化合物は、(E)成分中におけるリン含有量を上げることができるとの観点から、上記式(1)中、R1及びR2が共にアルキル基であるもの、あるいは、R1及びR2が共に−NR4R5であって、かつR4が水素原子、R5がアルキル基であるものが好ましい。とりわけ、R1及びR2が共に−NR4R5であって、かつR4が水素原子、R5がアルキル基であるものが好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物を硬化させた硬化物の物性の観点から、本発明で用いられる(E)成分の含リン化合物は、骨格に芳香環を少なくとも1個含む化合物であることが好ましく、上記式(1)中、R3が、下記一般式(2−1)、(2−2)、(2−4)、(2−5)、及び(2−6)から選択される何れかの構造を有する基である化合物が好ましい化合物として挙げられる。
式(2−1)中、pは0〜3の整数を表し、R
7は、水素原子又は炭素数が1〜4のアルキル基を表し、R
8は単結合、メチレン基、又は−C(CH
3)
2−を表し、R
9及びR
10は、独立して、水素原子、又は炭素数が1〜6のアルキル基を表し、*は結合手を表す。
式(2−2)中、nは0〜3の整数を表し、oは0〜50の整数を表し、R
11は、水素原子、又は炭素数が1〜4のアルキル基を表し、R
12は酸素及び硫黄から選ばれる原子を含んでいる場合がある炭化水素基を表し、Zは水酸基、又は下記一般式(2−3)で表される官能基であり、*は結合手を表す。
式(2−3)中、R
1及びR
2は、上記式(1)のそれと同様の基を表す。*は結合手を表す。
式中、R9及びR10で表される炭素数が1〜6のアルキル基や、R7及びR11で表される炭素数が1〜4のアルキル基としては、上述したR1、R2、R4、R5及びR6で表されるアルキル基として例示した基のうち、所定炭素数のものが挙げられる。
R12で表される酸素及び硫黄から選ばれる原子を含んでいる場合がある炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキレン基のほか、−S−、−SO−、−SO2−が挙げられる。
これら好ましく挙げられる化合物の中でもさらに、R3が式(2−1)又は(2−2)で表される基であるものが好ましく、特に、R3が式(2−1)で表される基であり且つR7が水素原子であるものが好適なものとして挙げられる。
本発明の樹脂組成物中における上記(E)含リン化合物の配合量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物の(A)成分、並びに必要に応じて添加される(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び後述する(F)成分の合計質量に対する(E)成分の配合量が0.5〜50質量%となる量であることが好ましく、5〜25質量%となる量であることがより好ましい。(E)成分の配合量を1質量%以上とすることで、樹脂組成物の難燃性の低下を防止しやすい。一方、(E)成分の配合量を100質量%以下とすることで、樹脂組成物の耐水性の低下を防止しやすい。また、同様の観点から上記(E)含リン化合物の配合量は、樹脂組成物の(A)成分100質量部に対して、1〜100質量部が好ましく、10〜50質量部がより好ましい。
本発明の樹脂組成物には、(E)成分である含リン化合物以外の難燃剤〔(F)成分〕を使用することができ、例えば、(E)成分以外の含リン化合物、含窒素化合物、及び含ホウ素化合物,ハロゲン化合物、ケイ素化合物、無機化合物などが挙げられる。特に、環境負荷を考えた場合には、分子骨格にリン原子を有する(E)成分以外の含リン化合物が好適に使用される。
上記(E)成分以外の含リン化合物としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート等の脂肪族リン酸エステル;トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ビス(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、トリス(トリメチルフェニル)ホスフェート、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート等の芳香族リン酸エステル;レゾルシノールポリフェニルホスフェート、1,3−フェニレンビス(2,6−ジメチルフェニルホスフェート)、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート、ハイドロキノンポリ(2,6−キシリル)ホスフェート並びにこれらの縮合物等の縮合リン酸エステル;リン酸アンモニウム、リン酸メラミン等のリン酸塩;ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン等の縮合リン酸塩;トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(メチルエチルホスフィン酸)アルミニウム、ビス(ジエチルホスフィン酸)亜鉛、ビス(メチルエチルホスフィン酸)亜鉛、ビス(ジフェニルホスフィン酸)亜鉛、トリホスフィン酸亜鉛、ビス(ジエチルホスフィン酸)チタニル、テトラキス(ジエチルホスフィン酸)チタン、ビス(メチルエチルホスフィン酸)チタニル、テトラキス(ジフェニルホスフィン酸)チタン、テトラホスフィン酸チタニル等のホスフィン酸の金属塩;ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸メチル、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(以下DOPOと表記する)、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキシド等のホスフィン酸エステル;DOPOとアクリル酸エステルの付加反応生成物、DOPOとエポキシ樹脂の付加反応生成物、HCAとハイドロキノンの付加反応生成物等のDOPO変性型化合物;ジフェニルビニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリアルキルホスフィンオキサイド、トリス(ヒドロキシアルキル)ホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド系化合物;ヘキサシクロトリフォスファゼン、ヘキサフェニルシクロトリフォスファゼン等のフォスファゼン誘導体;赤リンなどが挙げられる。
これらの(E)成分以外の含リン化合物の中でも、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキシド(HCA)、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキシド(三光(株)製のHCA−HQ)、ヘキサフェニルシクロトリフォスファゼン、又は、下記式(6−1)〜(6−11)の何れかで表される難燃剤であることが更に好ましい。
式(6−2)中、2つのXは、両方が下記式(6−2−1)で表される基であるか、或いは、一方が下記式(6−2−1)で表される基であり且つ他方が下記式(6−2−2)で表される基である。
式(6−1)におけるfは1〜50の整数;式(6−2)におけるgは1〜20の整数を表す;
式(6−3)〜(6−5)におけるa、b、cは、それぞれ独立して、1〜5の整数を表す;
式(6−6)及び(6−7)におけるd、eは、それぞれ独立して、1〜10の整数を表す;
式(6−8)におけるhは、1〜50の整数を表し、式(6−11)におけるAは水素原子、又は−OR17を表し、R17は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
式(6−11)におけるA中のR17で表される炭素数1〜6のアルキル基としては、上記式(1)中のR1〜R4及びR6で表されるアルキル基として例示したもの中の、炭素数が1〜6のものが挙げられる。
上記含リン化合物の中では、難燃性の効果が非常に優れているという点で、トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム、10−(2,5−フォスファフェナントレン−10−オキシドが特に好ましい。
上記含窒素化合物としては、窒化珪素、窒化アルミ、トリアジン系化合物とシアヌール酸又はイソシアヌール酸の塩を形成する化合物が挙げられる。トリアジン系化合物とシアヌール酸又はイソシアヌール酸との塩とは、トリアジン系化合物とシアヌール酸又はイソシアヌール酸との付加物であり、通常は1対1(モル比)、場合により2対1(モル比)の組成を有する付加物である。トリアジン系化合物のうち、シアヌール酸又はイソシアヌール酸と塩を形成しないものは除外される。
上記トリアジン系化合物の例としては、メラミン、モノ(ヒドロキシメチル)メラミン、ジ(ヒドロキシメチル)メラミン、トリ(ヒドロキシメチル)メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、2−アミド−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
上記ホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸(オルトホウ酸、メタホウ酸など)、ホウ酸塩(四ホウ酸ナトリウムなどのアルカリ金属ホウ酸塩、メタホウ酸バリウムなどのアルカリ土類金属塩、ホウ酸亜鉛などの遷移金属塩など)、縮合ホウ酸(塩)(ピロホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、八ホウ酸又はこれらの金属塩など)、窒化ホウ素などが挙げられる。これらの含ホウ素化合物は、含水物(例えば、含水四ホウ酸ナトリウムであるホウ砂など)であってもよい。これらの含ホウ素化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ハロゲン化合物としては、例えば、テトラブロモビスフェノールA、テトラブルもビスフェノールAのカーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAビス(2−ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとブロム化ビスフェノール付加物等のテトラブロモビスフェノールA誘導体;デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ヘキサブロモシクロドデカン、1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、2,3−ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエーテル、1,2−ビス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)エタン、2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、臭素化ポリスチレン、ポリ臭素化スチレン、ペンタブロモベンジルアクリレート(モノマー)等の臭素系芳香族化合物;塩素化パラフィン;塩素化ナフタレン;トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモピロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロフェニル)ホスフェート、2,3−ジブロモプロピル−2,3−ジクロロプロピルホスフェート、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどの含ハロゲン系リン酸エステルなどが挙げられる。
上記無機化合物としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ベーマイト、黒鉛などが挙げられる。
また、(F)成分として市販されている難燃剤としては、リン酸エステル(例えば、(株)ADEKA製PN−600、及びPFR)、リン含有フェノキシ樹脂(例えば、新日本日鐵化学(株)製のフェノトートERF−001M30、及びTX−0924K30等)、水酸基含有リン酸エステル(例えば、大八化学工業(株)製のDAIGUARD−580、及びDAIGUARD−610等)、HCA誘導体(例えば、三光(株)製のHCA−HQ、M−Ester、及びME−P8等)、複合型の難燃剤であるイントメッセント難燃剤(例えば、(株)ADEKA製のFP−2100JC、FP−2200S、FP−2500S)などが挙げられる。
本発明において(F)成分の使用量としては、これを使用する場合においては、(E)成分であるリン化合物100質量部に対して、1〜1000質量部であることが好ましく、10〜500質量部であることがより好ましく、30〜300質量部であることが更に好ましい。特に、環境への負荷を考慮して、ハロゲン化合物等の使用が必要な場合であってもその使用量は可能な限り少量に抑えることが好ましく、(E)成分であるリン化合物100質量部に対して、ハロゲン化合物の量は500質量部以下であることが好ましく、300質量部以下であることがより好ましい。
(F)成分である難燃剤中にリン原子が含んでいる場合の(F)成分の使用量としては、樹脂組成物の(A)成分、(E)成分、並びに必要に応じて添加される(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び(F)成分の合計質量における、(F)成分由来のリン含有量が0.1〜5質量%となる量であることが好ましく、0.5〜3質量%となる量であることがより好ましい。リン含有量を0.1質量%以上とすることで、樹脂組成物の難燃性が低下することを防止しやすい。一方、リン含有量を5質量%以下とすることで、樹脂組成物の耐水性が著しく低下することを防止できる。
本発明の樹脂組成物には、ポリフェニレンエーテル樹脂と共に他の樹脂を使用することができる。他の樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、熱硬化イミド樹脂、シアネート樹脂などが挙げられる。これらの中での、エポキシ樹脂は好ましい樹脂としてあげることができる。本発明の樹脂組成物は、樹脂総量100質量部に対し、ポリフェニレンエーテル樹脂が10質量部以上であることが好ましく、20質量部であることがより好ましく、50質量部以上であることが特に好ましい。
エポキシ樹脂としては、分子中にエポキシ基を少なくとも2つ有するものである限り、分子構造、分子量等に特に制限なく、公知のエポキシ樹脂の中から適宜選択することができるが、使用する用途によって使い分けることが好ましい。
上記エポキシ樹脂としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルクシノールなどの単核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホビスフェノール、オキシビスフェノール、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、エチルフェノールノボラック、ブチルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、レゾルシンノボラック、テルペンフェノール等の多核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオグリコール、ジシクロペンタジエンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン(水素化ビスフェノールA)、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビスフェノールA−エチレンオキシド付加物などの多価アルコール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等の脂肪族、芳香族又は脂環族多塩基酸のグリシジルエステル化合物及びグリシジルメタクリレートの単独重合体又は共重合体;N,N−ジグリシジルアニリン、ビス(4−(N−メチル−N−グリシジルアミノ)フェニル)メタン、ジグリシジルオルトトルイジン、N,N−ビス(2,3−エポキシプロピル)−4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2−メチルアニリン、N,N−ビス(2,3−エポキシプロピル)−4−(2,3−エポキシプロポキシ)アニリン、N,N,N’,N’−テトラ(2,3−エポキシプロピル)−4,4−ジアミノジフェニルメタン等のグリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物;ビニルシクロヘキセンジエポキシド、シクロペンタンジエンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の環状オレフィン化合物のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン共重合物等のエポキシ化共役ジエン重合体;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環化合物が挙げられる。また、これらのエポキシ樹脂は、末端イソシアネートのプレポリマーにより内部架橋されたもの、あるいは多価の活性水素化合物(多価フェノール、ポリアミン、カルボニル基含有化合物、ポリリン酸エステル等)で高分子量化したものでもよい。
上記エポキシ樹脂は単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。難燃性エポキシ樹脂組成物が積層板用である場合、エポキシ樹脂としては、多核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物を使用することが好ましく、その中でも、ノボラック型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノール型エポキシ樹脂を用いることが、安価で入手がしやすい点でより好ましい。
また、本発明の樹脂組成物にエポキシ樹脂を使用する場合には、エポキシ樹脂用硬化剤を使用することができ、エポキシ樹脂用硬化剤としては、フェノール樹脂類、脂肪族アミン類、芳香族アミン類、潜在性硬化剤、及び酸無水物類が挙げられる。本発明においては、これらの硬化剤を用途によって使い分けることが好ましい。特に、本発明を積層板用途に使用する場合にはフェノール樹脂類もしくは潜在性硬化剤の使用が好ましい。
上記硬化剤の使用量は必要に応じて変更できる。例えば、硬化剤としてフェノール樹脂類を選択した場合には、エポキシ樹脂のエポキシ基1個に対し、フェノール樹脂類中の水酸基が0.3〜1.5個になるように配合することが好ましく、0.8〜1.2個になるように配合することがより好ましい。
また、硬化剤として潜在性硬化剤を選択した場合には、エポキシ樹脂及び潜在性硬化剤の合計量に対し、0.1〜80質量%、好ましくは0.5〜60質量%、さらに好ましくは1〜40質量%である。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、粘度調整剤として有機溶剤を含有している場合がある。この場合の有機溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。本発明においては、これらの溶剤の中から選択される少なくとも一つの溶剤を、本発明の(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び任意で使用される反応性希釈剤の総質量に対して、例えば、1〜90質量%の範囲となる量に配合することができる。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、無機充填剤を含有する場合がある。このような無機充填剤としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸ケイ素、ケイ酸カルシウム、チタン酸カリウム、べリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の紛体、又はこれらを球形化したビーズ、及びガラス繊維等が挙げられる。これらの無機充填剤は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、使用する用途によって上記した無機充填剤を使い分けることが好ましい。積層板の用途に関しては、溶融シリカ、水酸化アルミニウム等を使用する好ましい。封止剤の用途に関しては、溶融シリカ、結晶シリカ等を使用することが好ましく、溶融シリカを使用することが特に好ましい。注型材の用途に関しては、溶融シリカ、結晶シリカ、又は水酸化アルミニウム等を使用することが好ましく、溶融シリカを使用することが特に好ましい。
また、本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、上記無機充填剤以外の添加剤を含有する場合がある。上記添加剤としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ベンジルアルコール、コールタール等の非反応性の希釈剤(可塑剤);ガラス繊維、パルプ繊維、合成繊維、セラミック繊維等の繊維質充填剤;ガラスクロス、アラミドクロス、カーボンファイバー等の補強材;顔料;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−N’−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤;キャンデリラワックス、カルナウバワックス、木ろう、イボタロウ、みつろう、ラノリン、鯨ろう、モンタンワックス、石油ワックス、脂肪族ワックス、脂肪族エステル、脂肪族エーテル、芳香族エステル、芳香族エーテル等の潤滑剤;増粘剤;チキソトロピック剤;酸化防止剤;光安定剤;紫外線吸収剤;消泡剤;防錆剤;コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ等の常用の添加剤をあげることができる。本発明においては、更に、キシレン樹脂、石油樹脂等の粘着性の樹脂類を併用することもできる。
本発明の樹脂組成物は、電子回路基板に用いられる積層板、電子部品に用いられる封止材、注型材、フィルム材、接着剤、電気絶縁塗料、難燃性の必要な複合材、紛体塗料、床材、防錆塗料、コンクリート補修材等に使用することができ、特に、積層板、半導体封止材料、層間絶縁膜、樹脂付銅箔に使用するのに好適である。
次に、本発明を実施例及び比較例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
尚、以下の実施例等における%は、特に記載がない限り質量基準である。
実施例にて評価した項目は、難燃性である。
下記の実施例及び比較例で得られた樹脂組成物の硬化物を約5mm角に砕き、ピンセットで保持した状態でライターを用いて着火した。自己消火を示したものを○、自己消火を示さなかったもの、ドリップがあったものを×とした。評価結果は〔表1〕に示した。
〔実施例1〕
固形分濃度が約70質量%となるように、NORYL SA−90(SABIC社製;低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂)60質量部、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)40質量部、パーブチルP(日本油脂(株)製;ラジカル発生剤)1.0質量部及び下記含リン化合物P−1 29質量部をトルエンに投入し、90℃で、完全に溶解するまで撹拌して樹脂溶液状の樹脂組成物を作製した。
次に、得られた樹脂組成物を130℃、2時間の条件で加熱乾燥させた後、220℃、4時間の条件で加熱することで樹脂組成物の硬化物を作製した。
(式中、pは0〜3である。その平均値は0.1である。)
〔実施例2〕
含リン化合物P−1を下記含リン化合物P−2 24質量部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及びその硬化物を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
〔実施例3〕
含リン化合物P−1を下記含リン化合物P−3 28質量部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及びその硬化物を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
(式中、pは0〜3である。その平均値は0.1である。)
〔実施例4〕
含リン化合物P−1を下記含リン化合物P−4 27質量部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及びその硬化物を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
〔実施例5〕
含リン化合物P−1を下記含リン化合物P−5 25質量部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及びその硬化物を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
〔実施例6〕
含リン化合物P−1を下記含リン化合物P−6 25質量部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及びその硬化物を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
(式中、oは0〜10である。その平均値は3.2である。)
〔比較例1〕
含リン化合物P−1を使用しない以外は実施例1と同様に樹脂組成物及びその硬化物を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
〔比較例2〕
含リン化合物P−1を下記含リン化合物HP−1 42質量部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及びその硬化物を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
上記実施例により示された通り、本発明の樹脂組成物は、電気特性に優れたポリフェニレンエーテル樹脂を主成分として、難燃性に優れていることから、特に電子材料用途に好適に使用することができる。