JP6943055B2 - 撹拌装置及び凝集粒子の製造方法 - Google Patents

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本発明は、撹拌装置及び凝集粒子の製造方法に関する。
トナー粒子等の凝集粒子の製造方法には湿式製法があり、例えば、以下の方法が知られている。
例えば、特許文献1には、結着樹脂(1)を凝集させたコア凝集粒子を含む分散液に、樹脂(2)と金属塩とを含む金属塩添加樹脂分散液を追添加し、前記コア凝集粒子の表面に樹脂(2)を付着させて、コアシェル凝集粒子を形成し、前記コアシェル凝集粒子を、結着樹脂(1)及び樹脂(2)のガラス転移温度以上に加熱することにより融合(合一)するコアシェルトナーの製造方法が開示されている。
ところで、凝集粒子の製造には、例えば、撹拌槽と、前記撹拌槽内に回転可能に取り付けられた撹拌軸と、前記撹拌軸に取り付けられた撹拌翼と、前記撹拌槽の壁面から槽内に熱を与える伝熱部と、前記撹拌槽内に流体を導入する導入部と、を備える撹拌装置が用いられる。具体的には、撹拌装置の撹拌槽内に導入した第1樹脂粒子を含む第1分散液を撹拌翼により撹拌し、第1樹脂粒子を凝集した後、第2樹脂粒子を含む第2分散液を撹拌装置の導入部から撹拌槽内に導入し、撹拌槽内の第1分散液と撹拌することで、第1樹脂粒子が凝集したコア凝集粒子の表面に第2樹脂粒子が付着した凝集粒子を製造する。
ここで、通常、導入部から第2分散液を導入したときの撹拌槽内の液面の泡立ちを抑えるために、導入部から撹拌槽の内壁に向けて第2分散液を吐出し、第2分散液を撹拌槽の内壁に接触させて、内壁に沿うようにして第2分散液を導入する場合がある。しかし、撹拌槽の内壁は、液体が滞留し易い場所である。また、撹拌槽の内壁に接触した液体や内壁に滞留している液体は、撹拌槽の壁面から槽内に熱を与える伝熱部からの熱により昇温され易い。その結果、撹拌槽の内壁に接触させ、撹拌槽の内壁に沿うように追添加された第2分散液中の樹脂粒子には過剰な凝集力が作用し、粗大粒子が形成される場合がある。
ここで、粗大粒子とは、得られた凝集粒子の体積平均粒径と比較して粒径が非常に大きい粒子をいい、凝集粒子の体積平均粒径に対して、特に2.5倍以上の粒径を有する粒子を言う。
特開2011−8244号公報
本発明の目的は、撹拌槽内に第1樹脂粒子を含む第1分散液を導入し、撹拌翼により第1分散液を撹拌している状態で、第2樹脂粒子を含む第2分散液を撹拌槽の内壁に接触させ、撹拌槽の内壁に沿うようにして撹拌槽内に導入する場合と比較して、粗大粒子の形成が抑制される撹拌装置及び凝集粒子の製造方法を提供することである。
請求項1に係る発明は、撹拌槽と、前記撹拌槽内に回転可能に取り付けられた撹拌軸と、前記撹拌軸に取り付けられた撹拌翼と、前記撹拌槽の壁面から槽内に熱を与える伝熱部と、吐出口を有し、前記吐出口から前記撹拌槽内に向って流体を吐出し、前記流体を前記撹拌槽内に導入する導入部と、を備え、前記導入部は、前記撹拌槽内に予め導入され前記撹拌翼により撹拌されている第1樹脂粒子を含む第1分散液の流れに沿う速度成分を有するように、且つ前記撹拌槽の内壁に接触させずに、第2樹脂粒子を含む第2分散液を導入する撹拌装置である。
請求項2に係る発明は、前記導入部の吐出口と前記撹拌軸とを結ぶ直線に対する垂線と前記導入部の吐出口の中心軸線とがなす角度をθ1、前記撹拌槽内の液面から前記導入部の吐出口までの高さをH、前記導入部の吐出口から前記第2分散液が吐出する方向に延びる延長線と水平線とがなす角度をθ2、前記導入部の吐出口から前記第2分散液が吐出する方向における前記吐出口と前記撹拌槽の内壁との間の水平距離をdとしたとき、下記(1)〜(4)を満たす請求項1に記載の撹拌装置である。
−90°<θ1<90° (1)
0.05m≦H1.0m (2)
0°<θ2<90° (3)
0.1m≦d≦2.5m (4)
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の撹拌装置を用い、前記撹拌槽内に導入した第1樹脂粒子を含む第1分散液を前記撹拌翼により撹拌し、前記第1樹脂粒子を凝集する凝集工程と、前記撹拌槽内で前記撹拌翼により撹拌されている前記第1分散液の流れに沿う速度成分を有するように、且つ前記撹拌槽の内壁に接触させずに、第2樹脂粒子を含む第2分散液を前記導入部から前記撹拌槽内に導入し、前記撹拌槽内の第1分散液と撹拌する追添加工程と、を有する凝集粒子の製造方法である。
請求項4に係る発明は、前記第2分散液の導入後の前記撹拌槽内の温度T2と前記第2分散液の導入前の前記撹拌槽内の温度T1との差(T2−T1)を−5℃以上−1℃以下の範囲とする請求項3に記載の凝集粒子の製造方法である。
請求項5に係る発明は、前記導入部から前記撹拌槽内に第2分散液を導入する際、前記撹拌槽内の液体に対し、前記液体の単位体積当たり0.5kW/m以上4.0kW/m以下の撹拌動力で撹拌する請求項3又は4に記載の凝集粒子の製造方法である。
請求項1に係る発明によれば、撹拌槽内に第1樹脂粒子を含む第1分散液を導入し、撹拌翼により第1分散液を撹拌している状態で、第2樹脂粒子を含む第2分散液を撹拌槽の内壁に接触させ、撹拌槽の内壁に沿うようにして撹拌槽内に導入する場合と比較して、粗大粒子の形成が抑制される撹拌装置が提供される。
請求項2に係る発明によれば、上記(1)〜(4)を満たさない場合と比較して、粗大粒子の形成が抑制される撹拌装置が提供される。
請求項3に係る発明によれば、撹拌槽内に第1樹脂粒子を含む第1分散液を導入し、撹拌翼により第1分散液を撹拌している状態で、第2樹脂粒子を含む第2分散液を撹拌槽の内壁に接触させ、撹拌槽の内壁に沿うようにして撹拌槽内に導入する場合と比較して、粗大粒子の形成が抑制される凝集粒子の製造方法が提供される。
請求項4に係る発明によれば、第2分散液の導入後の撹拌槽内の温度T2と前記第2分散液の導入前の前記撹拌槽内の温度T1との差(T2−T1)が−1℃超の場合と比較して、粗大粒子の形成が抑制される凝集粒子の製造方法が提供される。
請求項5に係る発明によれば、前記導入部から前記撹拌槽内に第2分散液を導入する際、前記撹拌槽内の液体に対し、前記液体の単位体積当たり0.5kW/m未満の撹拌動力で撹拌する場合と比較して、粗大粒子の形成が抑制される凝集粒子の製造方法が提供される。
本実施形態に係る撹拌装置の構成の一例を示す概略断面図である。 撹拌槽内で撹拌翼により撹拌されている第1分散液の流れに沿う速度成分を有するように、且つ撹拌槽の内壁に接触させずに、導入部から第2分散液を導入する一例を説明するための図であり、本実施形態に係る撹拌装置の上面図である。 (A)及び(B)は、撹拌槽内で撹拌翼により撹拌されている第1分散液の流れに沿う速度成分を有するように、且つ撹拌槽の内壁に接触させずに、導入部から第2分散液を導入するその他の例を説明するための図であり、本実施形態に係る撹拌装置の上面図である。 (A)〜(B)は、撹拌槽内で撹拌翼により撹拌されている第1分散液の流れに沿う速度成分を有しない第2分散液の導入形態を説明するための図であり、撹拌装置の上面図である。 (A)〜(C)は、撹拌槽内で撹拌翼により撹拌されている第1分散液の流れに沿う速度成分を有しない第2分散液の導入形態を説明するための図であり、撹拌装置の上面図である。 (A)は、図1に示す撹拌装置の上面図であり、(B)は、図1に示す導入部の拡大図である。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
<撹拌装置>
図1は、本実施形態に係る撹拌装置の構成の一例を示す概略断面図である。図1に示す撹拌装置1は、撹拌槽10と、撹拌槽10内に回転可能に取り付けられた撹拌軸12と、撹拌軸12に取り付けられた撹拌翼14と、撹拌槽10の壁面から撹拌槽10内に熱を与える伝熱部16と、撹拌槽10内に流体を導入する導入部18と、を備える。撹拌装置1は、撹拌槽10内に設けられた邪魔板20を備えてもよい。
図1に示す撹拌軸12には、不図示の駆動源(例えばモータ等)が取り付けられている。駆動源により撹拌軸12が回転(例えば、図1に示す矢印A方向に回転)することで、撹拌翼14が回転し、撹拌槽10内に導入された流体が撹拌される。撹拌翼14の形状は、特に限定されないが、例えば、パドル翼、プロペラ翼、タービン翼等が挙げられる。これらの中では、流体の撹拌性に優れる点で、パドル翼であることが好ましい。
伝熱部16は、例えば、図1に示すような、撹拌槽10の外壁の少なくとも一部を覆うジャケット部22、ジャケット部22に設けられる熱媒入口24及び熱媒出口26を備える加熱ジャケットである。伝熱部16は、熱媒体が熱媒入口24からジャケット部22内に導入され、ジャケット部22内を通過する熱媒体により撹拌槽10の壁面から撹拌槽10内に熱が与えられる。ジャケット部22内を通過した熱媒体は熱媒出口26から排出される。熱媒体は、特に限定されず、液相熱媒、気相熱媒、蒸気等が挙げられる。伝熱部16は、撹拌槽10の壁面から槽内に熱を与えるものであれば、加熱ジャケットに限定されず、例えば、内部コイル、外部熱交換手段等でもよい。
図1に示す邪魔板20は、撹拌槽10の内壁から予め定めた離れた位置に、例えば鉛直方向に配置されている板状の部材であるが、邪魔板20の形状等はこれに限定されるものではなく、撹拌装置の邪魔板として公知の態様から適宜選択されればよい。邪魔板20を撹拌槽10内に設置することで、撹拌槽10内に邪魔板20を設置しない場合と比べて、例えば、撹拌槽10内の流体が略均一に撹拌される。
図1に示す導入部18は、導入口28と、吐出口30と、導入口28と吐出口30とを繋ぐ流体流路32と、を備える。図1に示す流体流路32は、例えば、撹拌槽10の液面Lに向って直線的に延び、その途中で屈曲して、撹拌槽10の液面Lに対して傾斜している。導入口28から流体流路32内に供給された流体(分散液等)は、流体流路32内を通り、吐出口30から吐出され、撹拌槽10内に導入される。
本実施形態に係る導入部は、図1に示す導入部18の形状に制限されるものではなく、例えば、流体流路32全体が直線状で、撹拌槽10の液面Lに対して傾斜していてもよいし、吐出口30が斜め上方を向くように流体流路32が湾曲していてもよいし、その他の形状であってもよい。いずれにしろ、本実施形態に係る導入部は、後述するように、撹拌槽内に予め導入され撹拌翼により撹拌されている第1樹脂粒子を含む第1分散液の流れに沿う速度成分を有するように、且つ撹拌槽の内壁に接触させずに、第2樹脂粒子を含む第2分散液を撹拌槽内に導入するように構成されていればよい。
以下、図1に示す撹拌装置1を用いた凝集粒子の製造方法を説明すると共に、図1に示す撹拌装置1の動作や第1分散液の流れに沿う速度成分等について詳述する。
本実施形態に係る凝集粒子の製造方法は、撹拌装置1の撹拌槽10内に導入した第1樹脂粒子を含む第1分散液を撹拌翼14により撹拌し、第1樹脂粒子を凝集する凝集工程と、撹拌槽10内で撹拌翼14により撹拌されている第1分散液の流れに沿う速度成分を有するように、且つ撹拌槽10内の内壁に接触させずに、第2樹脂粒子を含む第2分散液を導入部18から撹拌槽10内に導入し、撹拌槽10内の第1分散液と撹拌する追添加工程と、を有する。本実施形態に係る凝集粒子の製造方法は、例えば、静電荷像現像用トナーの製造に好適に使用される。
本実施形態に係る凝集粒子の製造方法では、上記凝集工程及び追添加工程により、例えば、第1樹脂粒子が凝集した粒子(コア凝集粒子と呼ぶ場合がある)の表面に第2樹脂粒子が付着した凝集粒子が得られる。なお、本実施形態の凝集粒子とは、上記凝集工程及び上記追添加工程により得られた凝集粒子だけでなく、その後の任意の工程を実施して得られた粒子も含まれるものとする。例えば、上記凝集工程及び追添加工程の後、合一工程を実施することにより得られた粒子も含まれる。
<凝集工程>
図1に示す撹拌装置1では、例えば、第1樹脂粒子を含む第1分散液を撹拌装置1の導入部18から撹拌槽10内に導入する。第1分散液は、例えば、離型剤や着色剤等を含んでいても良い。また、第1樹脂粒子を含む第1分散液を撹拌槽10内に導入する際、別途離型剤を含む離型剤分散液、着色剤を含む着色剤分散液等を撹拌槽10内に導入してもよい。なお、第1樹脂粒子を含む第1分散液は導入部18とは別に設けられた導入部から導入してもよい。
図1に示す撹拌装置1では、撹拌軸12を回転させ、撹拌軸12の回転に伴う撹拌翼14の回転により、撹拌槽10内に導入された第1分散液を撹拌し、第1分散液中の第1樹脂粒子を凝集させ、コア凝集粒子を得る。第1樹脂粒子を凝集する際には、熱媒入口24からジャケット部22内に熱媒体を供給し、撹拌槽10の外壁から撹拌槽10内に熱を与えて、撹拌槽10内の第1分散液を加熱することが好ましい。
凝集工程において、撹拌槽10内の温度は、第1分散液中の第1樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)未満とすることが好ましい。撹拌槽10内の温度を第1分散液中の第1樹脂粒子のガラス転移温度未満とすることで、第1分散液中の第1樹脂粒子のガラス転移温度以上とした場合に比べて、例えば、第1樹脂粒子の過剰な凝集が抑制され、粗大粒子の形成が抑制される。また、伝熱部16の温度(ジャケット部22内に供給する熱媒体の温度)は、第1分散液中の第1樹脂粒子のTgに対して+5℃以下であることが好ましい。伝熱部16の温度(ジャケット部22内に供給する熱媒体の温度)が、第1分散液中の第1樹脂粒子のTgに対して+5℃以下であると、第1分散液中の第1樹脂粒子のTgに対して+5℃超の場合と比較して、例えば、撹拌槽10の内壁面での第1樹脂粒子の融着が抑制され、粗大粒子の形成が抑制される。なお、伝熱部16の温度(ジャケット部22内に供給する熱媒体の温度)の下限は特に制限されるものではないが、例えば、第1分散液中の第1樹脂粒子のTgに対して−30℃以上である。
凝集工程では、撹拌槽10内に導入された第1分散液等を含む液体に対し、液体の単位体積当たり0.5kW/m以上4.0W/m以下の撹拌動力で撹拌することが好ましく、0.5kW/m以上3.0kW/m以下の撹拌動力で撹拌することがより好ましい。ここで、撹拌動力とは、撹拌槽10内の液体の撹拌に要する電力(kW)を撹拌槽10内の液体の液量(m)で除した値である。図1に示す撹拌装置1では、撹拌軸12および撹拌翼14の回転に使用する電力が撹拌槽10内の液体の撹拌に要する電力となる。
凝集工程における撹拌動力が0.5kW/m以上であると、撹拌動力が0.5kW/m未満の場合と比較して、例えば、撹拌槽10の内壁面に第1分散液が滞留し難くなり、粗大粒子の形成が抑制される場合がある。また、凝集工程における撹拌動力が4.0kW/m以下であると、撹拌動力が4.0kW/m超の場合と比較して、例えば、コア凝集粒子の解砕が抑制され、コア凝集粒子の粒径成長速度が向上する場合がある。
<追添加工程>
次に、図1に示す撹拌装置1では、第2樹脂粒子を含む第2分散液を導入部18から撹拌槽10内に導入する。導入部18は、撹拌槽10内で撹拌翼14により撹拌されている第1分散液の流れに沿う速度成分を有するように、且つ撹拌槽10の内壁に接触させずに、第2分散液を導入する。図1に示す撹拌装置1では、撹拌軸12の回転に伴う撹拌翼14の回転により、撹拌槽10内の第1分散液と第2分散液を撹拌し、コア凝集粒子の表面に第2樹脂粒子が付着した凝集粒子を得る。
図2は、撹拌槽内で撹拌翼により撹拌されている第1分散液の流れに沿う速度成分を有するように、且つ撹拌槽の内壁に接触させずに、導入部から第2分散液を導入する一例を説明するための図であり、本実施形態に係る撹拌装置の上面図である。なお、図2では、図1に示す伝熱部16を省略している(図3以降も同様である)。
図2に示す矢印Aは、撹拌軸12の回転方向を示している。したがって、撹拌槽10内に導入された第1分散液は、矢印A方向に周回している。また、図2に示す矢印Bは、導入部18の吐出口30から吐出される第2分散液の吐出方向を示している。また、図2に示す点Cは、第2分散液の接液点を示している。第2分散液の接液点とは、導入部18の吐出口30から吐出された第2分散液が最初に接触する部位である。ここで、本実施形態に係る導入部18は、撹拌槽10の内壁に接触させずに、第2分散液を撹拌槽10内に導入するものであるので、第2分散液の接液点は、撹拌槽10の内壁ではなく、撹拌槽10内に導入されている第1分散液の液面Lとなる。
導入部18の吐出口30から吐出方向Bに吐出された第2分散液は、接液点Cにおける液面Lに接触し、接液点Cから液面L上を矢印D方向(上面視において吐出方向Bの延長方向)に流れようとする。すなわち、第2分散液は、接液点Cにおいて、液面L上を矢印D方向に沿って流れる速度成分を有する。液面L上を矢印D方向に沿って流れる速度成分は、接液点Cと撹拌軸12とを結ぶ直線Xに沿う液面L上の速度成分Eと、接液点Cと撹拌軸12とを結ぶ直線Xに対して垂直方向に沿う液面L上の速度成分Fとに分解される。この直線Xに対して垂直方向に沿う液面L上の速度成分F(以下、垂直方向の速度成分Fと称する場合がある)は、第1分散液の流れの垂直方向の速度成分に対して同ベクトル方向である。ここで、第1分散液の流れの垂直方向の速度成分に対して同ベクトル方向である垂直方向の速度成分Fを第1分散液の流れに沿う速度成分と定義する。
第1分散液の流れの垂直方向の速度成分に対して同ベクトル方向である垂直方向の速度成分Fを有する第2分散液は、第1分散液の流れの垂直方向の速度成分に対して同ベクトル方向である垂直方向の速度成分Fを有しない場合と比較して、第1分散液の流れに沿って徐々に拡散し、撹拌槽の内壁に直ちに拡散することが抑えられると考えられる。投入された第2分散液が第1分散液の流れの垂直方向の速度成分に対して同ベクトル方向である垂直方向の速度成分Fを有しない場合は、第1分散液の液面での流動が乱され、十分な流動状態である液中に引き込まれ難くなるため、第1分散液の液面では撹拌の遠心力によって、滞留し易い撹拌槽の内壁へ流動し易くなると推定される。したがって、撹拌槽の内壁に接触させずに、且つ撹拌槽内で撹拌翼により撹拌されている第1分散液の流れに沿う速度成分を有するように、第2分散液を導入部から撹拌槽内に導入することで、第2分散液を撹拌槽の内壁に接触させ、撹拌槽の内壁に沿うように撹拌槽内に導入した場合と比べて、撹拌槽の内壁に第2分散液が滞留することが抑制され、また、伝熱部からの熱による急激な昇温も抑制されると考えられる。したがって、第2分散液を撹拌槽の内壁に接触させ、撹拌槽の内壁に沿うように撹拌槽内に導入した場合と比べて、撹拌槽内に導入された第2分散液の第2樹脂粒子に過剰な凝集力が作用し難くなり、粗大粒子の形成が抑制されると考えられる。
図3(A)及び(B)は、撹拌槽内で撹拌翼により撹拌されている第1分散液の流れに沿う速度成分を有するように、且つ撹拌槽の内壁に接触させずに、導入部から第2分散液を導入するその他の例を説明するための図であり、本実施形態に係る撹拌装置の上面図である。
図3(A)では、導入部18の吐出口30から吐出される第2分散液の吐出方向Bは、接液点Cと撹拌軸12とを結ぶ直線Xに対して垂直な方向となっている。この場合、導入部18の吐出口30から吐出された第2分散液は、接液点Cにおける液面Lに接触し、接液点Cから液面L上を矢印D方向(上面視において吐出方向Bの延長方向)に流れようとする。すなわち、第2分散液は、接液点Cにおいて、液面L上を矢印D方向に沿って流れる速度成分を有する。この速度成分は、接液点Cと撹拌軸12とを結ぶ直線Xに対して垂直方向に沿う液面上の速度成分Fである。当該速度成分Fは、前述したように、第1分散液の流れの垂直方向の速度成分に対して同ベクトル方向であるので、第1分散液の流れに沿う速度成分である。
図3(B)では、導入部18の吐出口30から吐出される第2分散液の吐出方向Bは、接液点Cと撹拌軸12とを結ぶ直線Xに対する垂直方向より撹拌槽10の径方向外側に向いている。この場合、導入部18の吐出口30から吐出方向Bに吐出された第2分散液は、接液点Cにおいて、液面L上を矢印D方向に沿って流れる速度成分を有する。この液面L上を矢印D方向に沿って流れる速度成分は、接液点Cと撹拌軸12とを結ぶ直線Xに沿う液面L上の速度成分Eと、接液点Cと撹拌軸12とを結ぶ直線Xに対して垂直方向に沿う液面L上の速度成分Fとに分解される。当該速度成分Fは、前述したように、第1分散液の流れの垂直方向の速度成分に対して同ベクトル方向であるので、第1分散液の流れに沿う速度成分である。
図3(A)及び(B)の場合も、撹拌槽内で撹拌翼により撹拌されている第1分散液の流れに沿う速度成分を有するように、且つ撹拌槽の内壁に接触させずに、第2分散液を撹拌槽内に導入しているので、前述したように、第2分散液は第1分散液の流れに沿って徐々に拡散し、撹拌槽の内壁に直ちに拡散することが抑制されると考えられる。したがって、第2分散液を撹拌槽の内壁に接触させ、撹拌槽の内壁に沿うように撹拌槽内に導入した場合と比べて、撹拌槽の内壁に第2分散液が滞留することが抑制され、また、伝熱部からの熱による急激な昇温も抑制されると考えられる。したがって、第2分散液を撹拌槽の内壁に接触させ、撹拌槽の内壁に沿うように撹拌槽内に導入した場合と比べて、撹拌槽内に導入された第2分散液の第2樹脂粒子に過剰な凝集力が作用し難くなり、粗大粒子の形成が抑制されると考えられる。
図4(A)〜(B)及び図5(A)〜(C)は、撹拌槽内で撹拌翼により撹拌されている第1分散液の流れに沿う速度成分を有しない第2分散液の導入形態を説明するための図であり、撹拌装置の上面図である。
図4(A)では、導入部18の吐出口30から吐出される第2分散液の吐出方向Bは、接液点Cと撹拌軸12とを結ぶ直線上であって、撹拌軸12から離れる方向となっている。この場合、第2分散液は、接液点Cにおいて、接液点Cと撹拌軸12とを結ぶ直線Xに沿う液面上の速度成分Eのみを有する。当該速度成分Eは、第1分散液の流れの垂直方向の速度成分に対して同ベクトル方向ではなく、逆ベクトル方向である。図4(B)では導入部18の吐出口30から吐出される第2分散液の吐出方向Bは、接液点Cと撹拌軸12とを結ぶ直線上であって、撹拌軸12側に近づく方向となっている。この場合、図4(A)と同様に、第2分散液は、接液点Cにおいて、接液点Cと撹拌軸12とを結ぶ直線Xに沿う液面上の速度成分Eのみを有する。したがって、図4(A)及び(B)に示す第2分散液の導入形態は、第1分散液の流れに沿う速度成分を有するものではなく、本実施形態の範囲から外れるものである。
図5(A)では、導入部18の吐出口30から吐出される第2分散液の吐出方向Bは、接液点Cと撹拌軸12とを結ぶ直線に対して垂直な方向であり、第1分散液の流れと逆方向となっている。この場合、第2分散液は、接液点Cにおいて、接液点Cと撹拌軸12とを結ぶ直線Xに対して垂直方向に沿う液面上の速度成分F’のみを有する。当該速度成分F’は、第1分散液の流れの垂直方向の速度成分に対して同ベクトル方向ではなく、逆ベクトル方向である。したがって、図5(A)に示す第2分散液の導入形態は、第1分散液の流れに沿う速度成分を有するものではなく、本実施形態の範囲から外れるものである。
図5(B)では、導入部18の吐出口30から吐出される第2分散液の吐出方向Bは、接液点Cと撹拌軸12とを結ぶ直線に対する垂直方向より撹拌槽10の径方向外側に向いており、第1分散液の流れと逆方向となっている。また、図5(C)では、導入部18の吐出口30から吐出される第2分散液の吐出方向Bは、接液点Cと撹拌軸12とを結ぶ直線に対する垂直方向より撹拌槽10の径方向内側に向いており、第1分散液の流れと逆方向となっている。これらの場合、第2分散液は、接液点Cにおいて、液面L上を矢印D方向に沿って流れる速度成分を有し、この速度成分は、接液点Cと撹拌軸12とを結ぶ直線Xに沿う液面L上の速度成分Eと、接液点Cと撹拌軸12とを結ぶ直線Xに対して垂直方向に沿う液面L上の速度成分F’とに分解される。前述したように、当該速度成分Eは、第1分散液の流れの垂直方向の速度成分に対して同ベクトル方向ではなく、逆ベクトル方向であり、当該速度成分F’は、第1分散液の流れの垂直方向の速度成分に対して同ベクトル方向ではなく、逆ベクトル方向である。したがって、図5(B)及び(C)に示す第2分散液の導入形態は、第1分散液の流れに沿う速度成分を有するものではなく、本実施形態の範囲から外れるものである。
また、図での説明は省略するが、第2分散液が撹拌槽10内の液面Lに対して垂直方向に吐出され、液面Lに対して垂直に導入される場合、第2分散液には、接液点Cにおいて、液面L上を流れる速度成分は付与されない。したがって、第2分散液が液面Lに対して垂直に導入される第2分散液の導入形態は、第1分散液の流れに沿う速度成分を有するものではなく、本実施形態の範囲から外れるものである。
このような撹拌槽内で撹拌翼により撹拌されている第1分散液の流れに沿う速度成分を有さない第2分散液は、第1分散液の流れに沿う速度成分を有する第2分散液と比較して、第1分散液の流れに反して広範囲に拡散し、撹拌槽の内壁に滞留しやすいと考えられる。これは、前述したように、投入された第2分散液が第1分散液の流れの垂直方向の速度成分に対して同ベクトル方向である垂直方向の速度成分Fを有しない場合は、第1分散液の液面での渦状の流れが乱され、十分な流動状態である液中に引き込まれ難くなるためだと推定される。したがって、第2分散液を撹拌槽の内壁に接触させずに撹拌槽内に導入したとしても、撹拌槽内で撹拌翼により撹拌されている第1分散液の流れに沿う速度成分を有さないように第2分散液を導入した場合には、撹拌槽内で撹拌翼により撹拌されている第1分散液の流れに沿う速度成分を有するように、且つ撹拌槽の内壁に接触させずに、第2分散液を撹拌槽内に導入した場合と比較して、撹拌槽内に導入された第2分散液の第2樹脂粒子に過剰な凝集力が作用し、粗大粒子が形成され易いと考えられる。
以下に、撹拌槽内で撹拌翼により撹拌されている第1分散液の流れに沿う速度成分を有するように、且つ撹拌槽の内壁に接触させずに、第2分散液を撹拌槽内に導入するための好ましいパラメータについて説明する。
図6(A)は、図1に示す撹拌装置の上面図であり、図6(B)は、図1に示す導入部の拡大図である。図6(A)に示す導入部18の吐出口30(吐出口30の中心部)と撹拌軸12とを結ぶ直線Y1に対する垂線Y2と導入部18の吐出口30の中心軸線Y3とがなす角度をθ1、図6(B)に示す撹拌槽10内の液面Lから導入部18の吐出口30(吐出口30の最下点)までの高さをH、図6(B)に示す導入部18の吐出口30から第2分散液が吐出する方向に延びる延長線Z1と水平線Z2とがなす角度をθ2、図6(A)に示す導入部18の吐出口30から第2分散液が吐出する方向における吐出口30と撹拌槽10の内壁との間の水平距離をdとしたとき、下記(1)〜(4)を満たすことが好ましい。
−90°<θ1<90° (1)
0.05m≦H≦1.0m (2)
0°<θ2<90° (3)
0.1m≦d≦2.5m (4)
図6(A)に示す導入部18の吐出口30(吐出口30の中心部)と撹拌軸12とを結ぶ直線Y1に対する垂線Y2と導入部18の吐出口30の中心軸線Y3とがなす角度θ1は、上記(1)の−90°超90°未満であることが好ましく、−30°以上60°以下であることがより好ましい。θ1が−90°以下及び90°以上の場合、例えば、撹拌槽10内の第1分散液の流れに沿う速度成分を有するように第2分散液を導入することが困難となり、上記(1)の範囲を満たす場合と比較して、粗大粒子の形成を抑制する効果が低減する場合がある。
図6(B)に示す撹拌槽10内の液面Lから導入部18の吐出口30(吐出口30の最下点)までの高さHは、上記(2)の0.05m以上1.0m以下であることが好ましく、0.1m以上0.6m以下であることがより好ましい。Hが0.05m未満であると、Hが上記(2)の範囲を満たす場合と比較して、例えば、導入部18の吐出口30から吐出される第2分散液の流速が低くなり、第2分散液が撹拌槽10の内壁へ拡散し易くなり、粗大粒子の形成を抑制する効果が低減する場合がある。また、Hが1.0m超であると、Hが上記(2)の範囲を満たす場合と比較して、例えば、第2分散液が液面Lに接液した際に泡立ちが発生し易くなり、粗大粒子の形成を抑制する効果が低減する場合がある。
図6(B)に示す導入部18の吐出口30から第2分散液が吐出する方向に延びる延長線Z1と水平線Z2とがなす角度θ2は、上記(3)の0°超90°未満であることが好ましく、10°以上60°以下であることがより好ましい。θ2が0°以下の場合、上記(3)の範囲を満たす場合と比較して、例えば、第2分散液が液面Lに接液した際に泡立ちが発生し易くなり、粗大粒子の形成を抑制する効果が低減する場合がある。また、θ2が90°以上の場合、例えば、撹拌槽10内の第1分散液の流れに沿う速度成分を有するように第2分散液を導入することが困難となり、上記(3)の範囲を満たす場合と比較して、粗大粒子の形成を抑制する効果が低減する場合がある。
図6(A)に示す導入部18の吐出口30から第2分散液が吐出する方向における吐出口30と撹拌槽10の内壁との間の水平距離dは、上記(4)の0.1m以上2.5m以下であることが好ましく、0.5m以上2m以内であることがより好ましい。dが0.1m未満の場合、dが上記(4)の範囲を満たす場合と比較して、例えば、撹拌槽10の内壁により近い位置に第2分散液が導入されるため、第2分散液が撹拌槽10の内壁で滞留し易く、粗大粒子の形成を抑制する効果が低減する場合がある。dが2.5m超の場合、dが上記(4)の範囲を満たす場合と比較して、例えば、撹拌の槽径が過剰に大きくなるため、適切な撹拌動力に設定した場合に液中に引き込む流れより、遠心力によって滞留し易い撹拌槽の内壁へ流動する流れが支配的になり、粗大粒子の形成を抑制する効果が低減する場合がある。
導入部18から撹拌槽10内に第2分散液を導入する際の導入時間は、3分以上60分以下とすることが好ましい。第2分散液の導入時間が3分未満であると、第2分散液の導入時間が上記範囲を満たす場合と比較して、第2分散液の泡立ちが発生し、粗大粒子の形成を抑制する効果が低減する場合がある。また、第2分散液の導入時間が60分超であると、第2分散液の導入時間が上記範囲を満たす場合と比較して、凝集が進行しすぎて所望の体積平均粒径の凝集粒子が得られない場合がある。
第2分散液の導入後の撹拌槽10内の温度T2と第2分散液の導入前の撹拌槽10内の温度T1との差(T2−T1)は、−5℃以上−1℃以下の範囲とすることが好ましく、−3℃以上−1℃以下の範囲とすることが好ましい。T2−T1が−1℃超であると、T2−T1が上記範囲を満たす場合と比較して、例えば、第2樹脂粒子の凝集力が高くなり、粗大粒子が形成され易くなる場合がある。また、T2−T1が−5℃未満であると、T2−T1が上記範囲を満たす場合と比較して、例えば、コア凝集粒子(凝集した第1樹脂粒子)の表面の凝集力が低下すると考えられ、コア凝集粒子の表面に第2樹脂粒子が付着した凝集粒子の得率(収率)が低下する場合がある。図1に示す撹拌装置1では、例えば、第2分散液を導入する際に、伝熱部16の温度を上げて、T2−T1を上記範囲とすることが好ましい。また、図1に示す撹拌装置1では、例えば、撹拌槽10内に導入する前の第2分散液を昇温した後、昇温した第2分散液を撹拌槽10内に導入して、T2−T1を上記範囲としてもよいし、或いは、前述の第2分散液を導入する際に、伝熱部16の温度を上げる手法と組み合わせてもよい。
第2分散液を導入する際の伝熱部16の温度(ジャケット部22内に供給する熱媒体の温度)は、例えば、撹拌槽10内の温度に対して+5℃以下であることが好ましい。第2分散液を導入する際の伝熱部16の温度(ジャケット部22内に供給する熱媒体の温度)が、撹拌槽10内の温度に対して+5℃以下であると、撹拌槽10内の温度に対して+5℃超の場合と比較して、撹拌槽10の内壁面での樹脂粒子の凝集力の上昇が抑制され、粗大粒子の形成がより抑制される。
第2分散液を導入する際、撹拌槽10内の第1分散液等を含む液体に対し、液体の単位体積当たり0.5kW/m以上4.0kW/m以下の撹拌動力で撹拌することが好ましく、0.5kW/m以上3.0kW/m以下の撹拌動力で撹拌することがより好ましい。撹拌動力が0.5kW/m未満であると、撹拌動力が上記範囲を満たす場合と比較して、第2樹脂粒子が、コア凝集粒子の表面に付着する前に凝集する量が増加し、粗大粒子の形成を抑制する効果が低減する場合がある。また、撹拌動力が4.0kW/m超であると、撹拌動力が上記範囲を満たす場合と比較して、コア凝集粒子表面の凝集力より撹拌による剪断力が高くなり、コア凝集粒子表面に第2樹脂粒子が付着し難くなる場合がある。
<その他の工程>
本実施形態の凝集粒子の製造方法は、上記凝集工程及び追添加工程により得られた凝集粒子を合一(融合)する合一工程を含むことが好ましい。上記凝集工程及び追添加工程により得られた凝集粒子の合一は、当該凝集粒子中に含まれる第1樹脂粒子及び第2樹脂粒子の融点又ガラス転移温度以上の温度条件で凝集粒子を加熱することにより行われることが好ましい。凝集粒子は、合一工程により、例えば、不定形からより球形へと変化する。合一工程は、本実施形態の撹拌装置で行ってもよいが、別の撹拌装置で行っても良い。
合一工程の終了後、洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程等を行ってもよい。洗浄工程は、特に制限はないが、例えば、合一工程後の凝集粒子を含む分散液をイオン交換水等で置換洗浄する工程である。固液分離工程も特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好ましい。乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましい。
以下、本実施形態に係る凝集粒子の製造方法に使用する原材料について説明する。
第1樹脂粒子を含む第1分散液、第2樹脂粒子を含む第2分散液は、例えば、乳化重合法及びそれに類似する不均一分散系における重合法等で得られる。また、第1樹脂粒子を含む第1分散液、第2樹脂粒子を含む第2分散液は、予め溶液重合法や隗状重合法等により重合した重合体をその重合体が溶解しない溶媒中へ、安定剤と共に添加して機械的に混合分散する方法等でもよい。
第1樹脂粒子及び第2樹脂粒子を構成する樹脂は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。第1樹脂粒子及び第2樹脂粒子を構成する樹脂としては、特に制限されるものではないが、静電荷像現像用トナー等に用いられる公知の結着樹脂等が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類の単独重合体又は共重合体(スチレン系樹脂);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類の単独重合体又は共重合体(アクリレート系樹脂);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体又は共重合体(ビニルニトリル系樹脂);ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテルの単独重合体又は共重合体(ビニルエーテル系樹脂);ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン類の単独重合体又は共重合体(ビニルケトン系樹脂);エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体(オレフィン系樹脂);エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂、及び、これら非ビニル縮合系樹脂とビニル系モノマーとのグラフト重合体などが挙げられる。これらの樹脂は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中では、ポリエステル樹脂、各種ビニル系樹脂等が好ましく、ポリエステル樹脂が特に好ましい。
結着樹脂がポリエステル樹脂である場合、例えば、重合性単量体を縮重合することにより得られる。重合性単量体としては、ポリカルボン酸及びそのエステル又は酸無水物、並びに、ポリオールが例示され、ポリエステル樹脂の原料として公知の化合物から適宜選択されればよい。また、ポリエステル樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステルのいずれを使用してもよく特に限定されないが、少なくとも非晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。なお、「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10(℃/min)で測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃以内であることを指す。一方、「非晶性」とは、半値幅が10℃を超えること、階段状の吸熱量変化を示すこと、又は明確な吸熱ピークが認められないことを指す。
結着樹脂がビニル系樹脂である場合、例えば、重合性単量体をラジカル重合することにより得られる。重合性単量体は、エチレン性不飽和結合、好ましくはビニル基を有する公知の化合物等から適宜選択されればよい。
第1分散液や第2分散液等は、界面活性剤等を含んでいてもよい。界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン性界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、アルキルアルコールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤、及び、種々のグラフトポリマー等が挙げられる。
第1分散液、第2分散液、又は離型剤分散液等に含まれる離型剤としては、静電荷像現像用トナーの製造において用いられる公知の離型剤等が挙げられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウのごとき動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物系、石油系のワックス、及びそれらの変性物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
第1分散液、第2分散液、又は着色剤分散液等に含まれる着色剤としては、例えばカーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレートなどの種々の顔料や、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、着色剤は、例えば、ロジン、ポリマー等により表面改質処理したものも利用される。なお、着色剤の表面処理に用いるポリマーとしては、例えば、アクリロニトリル重合体、メチルメタクリレート重合体等が挙げられる。表面改質処理としては、例えば、着色剤(顔料)存在下でモノマーを重合させる重合法、ポリマー溶液中に着色剤(顔料)を分散させ、該ポリマーの溶解度を低下させて着色剤(顔料)表面に析出させる相分離法等が挙げられる。
第1分散液や第2分散液等は、さらに種々の添加剤を含んでいてもよく、例えば、本実施形態の凝集粒子の製造方法を用いて静電荷像現像用トナーを製造する場合には、公知の内添剤、帯電制御剤、無機粒子、有機粒子、滑剤、研磨剤等の添加剤を含んでいてもよい。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、「%」及び「部」は、特に断りのない限り、「質量%」及び「質量部」を意味する。
<ポリエステル樹脂の合成>
ジャケット付ステンレス容器に、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン60モル部と、エチレングリコール30モル部と、シクロヘキサンジオール20モル部と、テレフタル酸70モル部と、イソフタル酸10モル部と、n−ドデセニルコハク酸8モル部を原料に、触媒としてジブチル錫オキサイドを入れ、装置内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、150℃以上230℃以下で約12時間共縮重合反応させ、その後、210℃以上250℃以下で徐々に減圧して、ポリエステル樹脂を合成した。
得られたポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、17,100であった。ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)(ポリスチレン換算)は、GPC(東ソー(株)製:HLC−8120)を用いて測定した。カラムは東ソー製TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒によりGPCスペクトルを測定した。単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用してポリエステル樹脂の分子量を算出した。
得られたポリエステル樹脂の酸価は11.0mgKOH/gであった。酸価は、JIS K0070に従い、中和滴定法を用いて測定した。即ち、適当量の試料を分取し、溶剤(ジエチルエーテル/エタノール混合液)100ml、及び、指示薬(フェノールフタレイン溶液)数滴を加え、水浴上で試料が完全に溶けるまで充分に振り混ぜた。これに、0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、指示薬の薄い紅色が30秒間続いた時を終点とした。酸価をA、試料量をS(g)、滴定に用いた0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液をB(ml)、fを0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液のファクタとした時、A=(B×f×5.611)/Sとして算出した。
得られたポリエステル樹脂のガラス転移温度を、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定し、JIS規格(JIS K−7121参照)により解析した。その結果、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度(Tg)は56℃であった。
<ポリエステル樹脂粒子を含む第1分散液の調製>
・上記ポリエステル樹脂 100質量部
・酢酸エチル 70質量部
・イソプロピルアルコール 15質量部
ジャケット付ステンレス容器に上記酢酸エチルと上記イソプロピルアルコールとの混合溶媒を投入し、これに上記ポリエステル樹脂を徐々に投入して、攪拌を施しつつ、完全に溶解させて油相を得た。この攪拌されている油相に10質量%アンモニア水溶液を合計で3質量部となるようにポンプで徐々に滴下し、更にイオン交換水230質量部を10L/minの速度で徐々に滴下して転相乳化させた。その後、減圧蒸留を実施することにより、ポリエステル樹脂粒子を含む第1分散液(固形分濃度:40質量%)を得た。固形分濃度は、水分率計MA35 (ザルトリウス・メカトロニクス・ジャパン(株)社製)を用いて測定した。以下の各試料の固形分濃度の測定も同様である。
得られた第1分散液中のポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径(D50v)は180nmであった。ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700:堀場製作所製)を用いて測定した。測定法としては、分散液となっている状態の試料を固形分で約2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して、約40mlにし、これをセルに適当な濃度になるまで投入し、2分待って、セル内の濃度がほぼ安定になったところで測定した。得られた粒度範囲(チャンネル)ごとの体積平均粒径を、体積平均粒径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒径(D50v)とした。
<離型剤分散液の調製>
・パラフィンワックス(日本精蝋(株)製、FNP92、融点92℃) 45部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK) 5部
・イオン交換水 200部
以上を混合して95℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した。その後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で分散処理し、離型剤を分散させてなる離型剤分散液(固形分濃度:20質量%)を調製した。
離型剤分散液中の離型剤粒子の体積平均粒径は0.19μmであった。離型剤粒子の体積平均粒径の測定方法は、上記のポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径の測定方法と同じである。
<ポリエステル樹脂粒子を含む第2分散液の調製>
・ポリエステル樹脂粒子を含む第1分散液 200部
・イオン交換水 100部
・アニオン性界面活性剤(花王(株)製、デモールSN−B) 1.0部
上記原料をステンレス撹拌槽に投入し、0.3Mの硝酸水溶液20部を加えて、pH3.0に調整し、ポリエステル樹脂粒子を含む第2分散液(固形分濃度:25質量%)を得た。
(実施例1:凝集粒子(1)の製造)
図1に示す撹拌装置を準備した。実施例1では、図6(A)に示すθ1を30°、dを1.0m、図6(B)に示すθ2を60°に設定した。
・ポリエステル樹脂粒子を含む第1分散液 300部
・離型剤分散液 40部
・アニオン性界面活性剤(花王(株)製、デモールSN−B) 2.0部
準備した撹拌装置の撹拌槽に上記原料を投入した後、0.3Mの硝酸水溶液12部を加えて、pHを4.0に調整した。撹拌槽内の混合分散液を撹拌槽外に設置した分散機(大平洋機工(株)製、キャビトロン)を介して循環させながら、凝集剤として硫酸アルミニウム10%水溶液150部を撹拌槽内に滴下した。尚、この凝集剤滴下の途中で、原料混合物の粘度が増大するので、粘度上昇した時点で、滴下速度を緩め、凝集剤が一箇所に偏らないよう注意した。滴下終了後に得られた混合分散液の温度は30℃であった。続いて、得られた混合分散液を500rpmで撹拌し(分散機を介した循環は停止)、ジャケット温度55℃の昇温条件で昇温し、撹拌槽内の温度を48℃に維持して凝集を進め、ポリエステル樹脂粒子の粒子径が5.0μmとなるまで凝集させた(凝集工程)。ポリエステル樹脂粒子の粒子径は、後述する方法により測定した。
上記凝集工程後、図3(A)に示す第2分散液の導入形態で、ポリエステル樹脂粒子を含む第2分散液を導入部から10分間で投入し、撹拌回転数50rpmで撹拌しながら15分保持した(追添加工程)。すなわち、第1分散液の流れに沿う速度成分を有するように、且つ撹拌槽の内壁に接触させずに、第2分散液を撹拌槽内に導入した。第2分散液を導入部から導入する際、図6(B)に示すHは0.2mだった。
15分撹拌後pHを8に上げ、撹拌回転数を100rpmに落とし、コア凝集粒子(凝集したポリエステル樹脂粒子)の表面にポリエステル樹脂粒子が付着した凝集粒子を得た。この凝集粒子を合一させるために、凝集粒子を含む分散液を別の撹拌装置に移して、90℃まで昇温した(合一工程)。合一工程後の凝集粒子を含む分散液を冷却した後、凝集粒子を含む分散液を洗浄乾燥して、凝集粒子(1)を得た。
(実施例2:凝集粒子(2)の製造)
図6(A)に示すθ1を60°、dを1.8m、図6(B)に示すθ2を60°、追添加工程において、第2分散液を導入部から導入する際のHを0.05mとしたこと、そして、図2に示す第2分散液の導入形態で、第1分散液の流れに沿う速度成分を有するように、且つ撹拌槽の内壁に接触させずに、第2分散液を導入したこと以外は実施例1と同様に凝集粒子を製造し、凝集粒子(2)を得た。
(実施例3:凝集粒子(3)の製造)
図6(A)に示すθ1を0°、dを0.6m、図6(B)に示すθ2を60°、追添加工程において、第2分散液を導入部から導入する際の図6(B)に示すHを0.5mとしたこと、そして、図3(B)に示す第2分散液の導入形態で、第1分散液の流れに沿う速度成分を有するように、且つ撹拌槽の内壁に接触させずに、第2分散液を導入したこと以外は実施例1と同様に凝集粒子を製造し、凝集粒子(3)を得た。
(実施例4:凝集粒子(4)の製造)
図6(A)に示すθ1を−30°、dを0.1m、図6(B)に示すθ2を80°、追添加工程において、第2分散液を導入部から導入する際の図6(B)に示すHを0.5mとしたこと、そして、図3(B)に示す第2分散液の導入形態で、第1分散液の流れに沿う速度成分を有するように、且つ撹拌槽の内壁に接触させずに、第2分散液を導入したこと以外は実施例1と同様に凝集粒子を製造し、凝集粒子(4)を得た。
(実施例5:凝集粒子(5)の製造)
図6(A)に示すθ1を60°、dを1.8m、図6(B)に示すθ2を10°、追添加工程において、第2分散液を導入部から導入する際の図6(B)に示すHを0.3mとしたこと、そして、図3(B)に示す第2分散液の導入形態で、第1分散液の流れに沿う速度成分を有するように、且つ撹拌槽の内壁に接触させずに、第2分散液を導入したこと以外は実施例1と同様に凝集粒子を製造し、凝集粒子(5)を得た。
(実施例6:凝集粒子(6)の製造)
図6(A)に示すθ1を80°、dを2.3m、図6(B)に示すθ2を5°、追添加工程において、第2分散液を導入部から導入する際の図6(B)に示すHを0.2mとしたこと、そして、図3(B)に示す第2分散液の導入形態で、第1分散液の流れに沿う速度成分を有するように、且つ撹拌槽の内壁に接触させずに、第2分散液を導入したこと以外は実施例1と同様に凝集粒子を製造し、凝集粒子(6)を得た。
(比較例1:凝集粒子(7)の製造)
撹拌槽の液面に向って直線的に延びた導入部を用い(すなわち、図6(B)に示すθ2を90°とし、)、追添加工程において、第2分散液を導入部から導入する際のHを0.03としたこと、そして、第2分散液を撹拌槽内の液面に対して垂直方向に吐出し、液面に対して垂直に導入したこと(すなわち、撹拌槽の内壁に接触させないが、第1分散液の流れに沿う速度成分を有さないように第2分散液を導入した)以外は実施例1と同様に凝集粒子を製造し、凝集粒子(7)を得た。
(比較例2:凝集粒子(8)の製造)
図6(A)に示すθ1を−90°、dを0.1m、図6(B)に示すθ2を60°、追添加工程において、第2分散液を導入部から導入する際の図6(B)に示すHを0.8mとしたこと、そして、図4(A)に示す第2分散液の導入形態で、第1分散液の流れに沿う速度成分を有さないように第2分散液を導入したこと(但し、第2分散液を撹拌槽の内壁に接触させた)以外は実施例1と同様に凝集粒子を製造し、凝集粒子(8)を得た。
(比較例3:凝集粒子(9)の製造)
図6(A)に示すθ1を90°、dを2.6m、図6(B)に示すθ2を30°、追添加工程において、第2分散液を導入部から導入する際の図6(B)に示すHを1.5mとしたこと、そして、図4(B)に示す第2分散液の導入形態で、第1分散液の流れに沿う速度成分を有さないように第2分散液を導入したこと(但し、第2分散液を撹拌軸に接触させた)以外は実施例1と同様に凝集粒子を製造し、凝集粒子(9)を得た。
(比較例4:凝集粒子(10)の製造)
図6(A)に示すθ1を135°、dを2.0m、図6(B)に示すθ2を60°、追添加工程において、第2分散液を導入部から導入する際の図6(B)に示すHを1.2mとしたこと、そして、図5(A)に示す第2分散液の導入形態で、第1分散液の流れに沿う速度成分を有さないように、且つ撹拌槽の内壁に接触させずに、第2分散液を導入したこと以外は実施例1と同様に凝集粒子を製造し、凝集粒子(10)を得た。
(比較例5:凝集粒子(11)の製造)
図6(A)に示すθ1を90°、dを2.6m、図6(B)に示すθ2を60°、追添加工程において、第2分散液を導入部から導入する際の図6(B)に示すHを1.5mとしたこと、そして、図5(A)に示す第2分散液の導入形態で、第1分散液の流れに沿う速度成分を有さないように、且つ撹拌槽の内壁に接触させずに、第2分散液を導入したこと以外は実施例1と同様に凝集粒子を製造し、凝集粒子(11)を得た。
(比較例6:凝集粒子(12)の製造)
図6(A)に示すθ1を−90°、dを0.1m、図6(B)に示すθ2を60°、追添加工程において、第2分散液を導入部から導入する際の図6(B)に示すHを0.15mとしたこと、そして、図4(A)に示す第2分散液の導入形態で、第1分散液の流れに沿う速度成分を有さないように第2分散液を導入したこと以外は実施例1と同様に凝集粒子を製造し、凝集粒子(12)を得た。
<各実施例及び各比較例で得られた凝集粒子(1)〜(12)の体積平均粒径(D50v)の測定>
測定装置として、コールターマルチサイザー−II型(ベックマンーコールター社製)を用い、電解液として、ISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用した。測定法としては、分散剤として界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の5%水溶液2ml中に、測定試料を0.5mg加え、これを前記電解液100ml中に添加して、測定試料を懸濁した電解液を調製した。測定試料を懸濁した電解液を超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザー−II型により、アパーチャー径が100μmのアパーチャーを用いて、粒径が2.0から60μmの範囲の粒子の粒度分布を測定した。測定した粒子数は50,000であった。測定された粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小径側から累積分布を描き、累積50%となる粒径をD50vと定義した。
実施例1で得られた凝集粒子(1)のD50vは5.90μmであった。実施例2で得られた凝集粒子(2)のD50vは5.86μmであった。実施例3で得られた凝集粒子(3)のD50vは6.02μmであった。実施例4で得られた凝集粒子(4)のD50vは6.04μmであった。実施例5で得られた凝集粒子(5)のD50vは5.92μmであった。実施例6で得られた凝集粒子(6)のD50vは5.98μmであった。比較例1で得られた凝集粒子(7)のD50vは6.02μmであった。比較例2で得られた凝集粒子(8)のD50vは6.30μmであった。比較例3で得られた凝集粒子(9)のD50vは6.11μmであった。比較例4で得られた凝集粒子(10)のD50vは5.98μmであった。比較例5で得られた凝集粒子(11)のD50vは5.97μmであった。比較例6で得られた凝集粒子(12)のD50vは6.18μmであった。
<各実施例及び各比較例で得られた凝集粒子(1)〜(12)中の粗大粒子の割合の測定>
コールターマルチサイザー−II型により測定された粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積割合について小径側から累積分布を描き、15μm以上の粒子を粗大粒子と定義し、凝集粒子中の粗大粒子の割合(体積%)を求めた。
実施例1で得られた凝集粒子(1)中の粗大粒子の割合は0.6体積%であった。実施例2で得られた凝集粒子(2)中の粗大粒子の割合は0.2体積%であった。実施例3で得られた凝集粒子(3)中の粗大粒子の割合は1.5体積%であった。実施例4で得られた凝集粒子(4)中の粗大粒子の割合は1.8体積%であった。実施例5で得られた凝集粒子(5)中の粗大粒子の割合は0.8体積%であった。実施例6で得られた凝集粒子(6)中の粗大粒子の割合は1.4体積%であった。比較例1で得られた凝集粒子(7)中の粗大粒子の割合は2.5体積%であった。比較例2で得られた凝集粒子(8)中の粗大粒子の割合は3.5体積%であった。比較例3で得られた凝集粒子(9)中の粗大粒子の割合は2.4体積%であった。比較例4で得られた凝集粒子(10)中の粗大粒子の割合は3.0体積%であった。比較例5で得られた凝集粒子(11)中の粗大粒子の割合は2.1体積%であった。比較例6で得られた凝集粒子(12)中の粗大粒子の割合は3.1体積%であった。
また、凝集粒子(1)〜(7)中の粗大粒子の割合を以下の判定基準で評価した。なお、凝集粒子を静電荷像現像用トナーとして使用する場合の実用上の許容範囲は△以上である。
○:0.5体積%未満
△:2.0体積%未満
×:2.0体積%以上
表1に、各実施例及び各比較例で用いた撹拌装置のθ1、θ2、d及びHをまとめた。また、表1に、各実施例及び各比較例における第2分散液の接液点(最初に接触した部位)、及び第2分散液を導入した際、第1分散液の流れに沿う速度成分を有するか否かをまとめた。さらに、各実施例及び各比較例で得られた凝集粒子の体積平均粒径(D50v)、凝集粒子中の粗大粒子の割合、及び凝集粒子中の粗大粒子の割合の判定結果をまとめた。
Figure 0006943055
表1の結果から分かるように、実施例1〜6は、比較例1〜6と比べて、凝集粒子中の粗大粒子の割合が低い値であり、粗大粒子の形成が抑制された。なお、実施例1〜6の凝集粒子中の粗大粒子の割合はいずれも2.0体積%以下であり、静電荷像現像用トナーとして使用する場合の実用上の許容範囲を満たしていた。これらのことから、撹拌槽内に予め導入され撹拌翼により撹拌されている第1樹脂粒子を含む第1分散液の流れに沿う速度成分を有するように、且つ撹拌槽の内壁に接触させずに、第2樹脂粒子を含む第2分散液を、導入部から撹拌槽内に導入して凝集粒子を製造することにより、粗大粒子の形成が抑制されると言える。
<非晶性ポリエステル樹脂粒子を含む分散液の調製>
加熱乾燥した撹拌槽に、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン10モル部と、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン90モル部と、テレフタル酸10モル部と、フマル酸67モル部と、n−ドデセニルコハク酸3モル部と、トリメリット酸20モル部と、これらの酸成分(テレフタル酸、n−ドデセニルコハク酸、トリメリット酸、フマル酸の合計モル数)に対して0.05モル部のジブチル錫オキサイドとを入れ、槽内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、150℃以上230℃以下で12時間から20時間共縮重合反応させ、その後、210℃以上250℃以下で徐々に減圧して、非晶性ポリエステル樹脂を合成した。この樹脂の重量平均分子量Mwは55000、ガラス転移温度Tgは55℃であった。次いで、高温・高圧乳化装置の乳化タンクに、得られた非晶性ポリエステル樹脂3000部、イオン交換水10000部、界面活性剤ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム90部を投入した後、130℃に加熱溶融後、110℃で流量3L/mにて10000回転で30分間分散させ、冷却タンクを通過させて非晶性ポリエステル樹脂粒子を含む分散液を回収し、体積平均粒径(D50v)が150nmの非晶性ポリエステル樹脂粒子を含む分散液(固形分濃度:40質量%)を得た(以下、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液と称する場合がある)。なお、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量及びガラス転移温度の測定方法は前述した通りである。また、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液中の非晶性ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径の測定方法は、前述した第1分散液中のポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径の測定方法と同様である。
<結晶性ポリエステル樹脂粒子を含む分散液の調製>
ペンタンジオール52mol%、コハク酸48mol%、触媒としてジブチルスズオキシド0.08mol%の割合で撹拌槽内に投入、混合し、減圧雰囲気下、220℃まで加熱し、6時間脱水縮合反応を行うことで、結晶性ポリエステル樹脂を得た。ついでこの結晶性ポリエステル樹脂80質量部および脱イオン水720質量部を55℃に加熱した。結晶性ポリエステル樹脂が溶融した時点で、ホモジナイザーを用いて撹拌した。ついでアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK;20質量%)1.8質量部を滴下しながら、乳化分散を行い、体積平均粒径(D50v)が0.160μmの結晶性ポリエステル樹脂粒子を含む分散液(固形分濃度:10質量%)を得た(以下、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液と称する場合がある)。 また、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液中の結晶性ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径の測定方法は、前述した第1分散液中のポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径の測定方法と同様である。
<顔料分散液の調製>
・カーボンブラック(キャボット社製、モーガルL) 50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンRK) 6部
・イオン交換水 200部
上記成分を常温にて十分混合した後、分散機で100分間分散し、体積平均粒径(D50v)が160nmの顔料分散液(固形分濃度:20質量%)を得た。体積平均粒径の測定方法は、前述した第1分散液中のポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径の測定方法と同様である。
<離型剤分散液の作製>
・パラフィンワックス(日本精蝋社製、HNP0190、融点85℃) 50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR) 3部
・イオン交換水 150部
上記成分を混合し120℃に加熱した後、圧力吐出型ホモジナイザ(ゴーリン社製、高圧ホモジナイザ)に通して分散処理を行い、体積平均粒径(D50v)が200nmの離型剤分散液(固形分濃度:20質量%)を得た。体積平均粒径の測定方法は、前述した第1分散液中のポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径の測定方法と同様である。
(実施例7:凝集粒子(13)の製造)
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液 200部
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液 50部
・顔料分散液 50部
・離型剤分散液 45部
・ポリ塩化アルミニウム 1部
・イオン交換水 300部
上記原料を加熱冷却可能なジャケットを有した攪拌槽に投入し、pHを4.0に調整し、分散機を用いて混合分散させ、混合分散液を得た。
図1に示す撹拌装置を準備した。実施例7では、図6(A)に示すθ1を30°、dを1.0m、図6(B)に示すθ2を60°に設定した。準備した撹拌装置の撹拌槽に上記混合分散液を投入した。この状態で1.5kW/mの撹拌動力で撹拌し、熱媒入口温度48℃の条件で昇温した(凝集工程)。昇温開始から120分後の槽内温度は47.5℃であった。次に、熱媒入口温度48℃を維持し、0.8kW/mの撹拌動力に設定し、図3(A)に示すように、40℃に昇温した非晶性ポリエステル樹脂分散液(第2分散液)150部を導入部から20分間で投入した(追添加工程)。すなわち、第1分散液(混合分散液)の流れに沿う速度成分を有するように、且つ撹拌槽の内壁に接触させずに、第2分散液を撹拌槽内に導入した。追添加工程において、第2分散液を導入部から導入する際のHは0.2mだった。
第2分散液導入後の撹拌槽内温度は44℃であり、第2分散液導入後の撹拌槽内温度(T2)と第2分散液導入前の撹拌槽内温度(T1)との差は−3.5℃であった。
熱媒入口温度を45℃に設定し、3分撹拌後pHを8に上げながら、撹拌動力を0.3kW/mに落とし、コア凝集粒子(凝集した結晶性及び非晶性ポリエステル樹脂粒子)の表面に非晶性ポリエステル樹脂粒子が付着した凝集粒子を得た。この凝集粒子を合一させるために、凝集粒子を含む分散液を別の撹拌装置に移して、90℃まで昇温した(合一工程)。合一工程後の凝集粒子を含む分散液を冷却した後、凝集粒子を含む分散液を洗浄乾燥して、凝集粒子(13)を得た。投入原料に対する凝集粒子(13)の回収率は99%であった。実施例4で得られた凝集粒子(13)中の粗大粒子の割合は0.4体積%であった。粗大粒子の割合の測定方法は前述の測定方法と同様であり、以下の実施例も同様の測定方法である。投入原料とは、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液、顔料分散液、離型剤分散液、ポリ塩化アルミニウム、イオン交換水、非晶性ポリエステル樹脂分散液(第2分散液)であり、投入原料に対する回収率とは、(投入原料−粗大粒子−未付着の非晶性ポリエステル樹脂粒子)÷投入原料 [%]である。
(実施例8)
第2分散液導入後の撹拌槽内温度(T2)を46℃とし、T2−T1を−1.5℃としたこと以外は、実施例7と同様に凝集粒子を製造し、凝集粒子(14)を得た。投入原料に対する凝集粒子(14)の回収率は97%であった。実施例8で得られた凝集粒子(9)中の粗大粒子の割合は0.8体積%であった。
(実施例9)
第2分散液導入後の撹拌槽内温度(T2)を43℃とし、T2−T1を−4.5℃としたこと以外は、実施例7と同様に凝集粒子を製造し、凝集粒子(15)を得た。投入原料に対する凝集粒子(15)の回収率は97%であった。実施例9で得られた凝集粒子(10)中の粗大粒子の割合は0.3体積%であった。
(実施例10)
第2分散液導入中の撹拌動力を0.8kW/mから0.6kW/mに変更したこと以外は、実施例7と同様に凝集粒子を製造し、凝集粒子(16)を得た。投入原料に対する凝集粒子(16)の回収率は97%であった。実施例10で得られた凝集粒子(16)中の粗大粒子の割合は0.5体積%であった。
(実施例11)
第2分散液導入中の撹拌動力を0.8kW/mから3.5kW/mに変更したこと以外は、実施例7と同様に凝集粒子を製造し、凝集粒子(17)を得た。投入原料に対する凝集粒子(17)の回収率は98%であった。実施例11で得られた凝集粒子(17)中の粗大粒子の割合は0.3体積%であった。
(実施例12)
第2分散液導入中の撹拌動力を0.8kW/mから0.4kW/mに変更したこと以外は、実施例7と同様に凝集粒子を製造し、凝集粒子(18)を得た。投入原料に対する凝集粒子(18)の回収率は96%であった。実施例12で得られた凝集粒子(18)中の粗大粒子の割合は1.2体積%であった。
(実施例13)
第2分散液導入中の撹拌動力を0.8kW/mから4.5kW/mに変更したこと以外は、実施例7と同様に凝集粒子を製造し、凝集粒子(19)を得た。投入原料に対する凝集粒子(19)の回収率は96%であった。実施例13で得られた凝集粒子(19)中の粗大粒子の割合は0.2体積%であった。
(実施例14)
導入部から導入する第2分散液の温度を40℃から20℃に変更し、第2分散液を導入する際の熱媒入口温度を48℃から52℃に変更したこと以外は、実施例7と同様に凝集粒子を製造し、凝集粒子(20)を得た。投入原料に対する凝集粒子(20)の回収率は97%であった。実施例14で得られた凝集粒子(20)中の粗大粒子の割合は1.0体積%であった。
(実施例15)
第2分散液導入後の撹拌槽内温度(T2)を42℃とし、T2−T1を−5.5℃としたこと以外は、実施例7と同様に凝集粒子を製造し、凝集粒子(20)を得た。投入原料に対する凝集粒子(20)の回収率は90%であった。実施例15で得られた凝集粒子(20)中の粗大粒子の割合は0.2体積%であった。
(実施例16)
第2分散液導入中の撹拌動力を0.8kW/mから4.0kW/mに変更したこと以外は、実施例7と同様に凝集粒子を製造し、凝集粒子(22)を得た。投入原料に対する凝集粒子(22)の回収率は97%であった。実施例16で得られた凝集粒子(22)中の粗大粒子の割合は0.3体積%であった。
表2に、実施例7〜16における第2分散液導入前の撹拌槽内温度(T1)、導入部から導入する第2分散液の温度、第2分散液を導入する際の熱媒入口温度、第2分散液導入中の撹拌動力、第2分散液導入後の撹拌槽内温度(T2)、T2とT1との差(T2−T1)、凝集粒子中の粗大粒子の割合、及び凝集粒子の回収率をまとめた。
Figure 0006943055
表2の結果から分かるように、第2分散液導入前の撹拌槽内温度(T1)と第2分散液導入後の撹拌槽内温度(T2)との差が−5℃以上−1℃以下の範囲とした実施例7〜14及び16は、第2分散液導入前の撹拌槽内温度(T1)と第2分散液導入後の撹拌槽内温度(T2)との差が−5℃未満である実施例15と比べて、凝集粒子中の粗大粒子の割合は同程度だが、凝集粒子の回収率が大幅に増加した。さらに、実施例7〜14及び16の中では、第2分散液導入中の撹拌動力を0.5kW/m以上4.0kW/m以下の範囲とした実施例7〜11、14及び16は、第2分散液導入中の撹拌動力を0.5kW/m未満とした実施例12と比べて、凝集粒子中の粗大粒子の割合が低く、凝集粒子の回収率も増加し、4.0kW/m超である実施例13と比べて、凝集粒子中の粗大粒子の割合は同程度だが、凝集粒子の回収率が増加した。
以上の通り、実施例の方法により、撹拌槽内に第1樹脂粒子を含む第1分散液を導入し、撹拌翼により第1分散液を撹拌している状態で、第2樹脂粒子を含む第2分散液を撹拌槽の内壁に接触させ、撹拌槽の内壁に沿うようにして撹拌槽内に導入する場合と比較して、粗大粒子の形成が抑制された。
1 撹拌装置、10 撹拌槽、12 撹拌軸、14 撹拌翼、16 伝熱部、18 導入部、20 邪魔板、22 ジャケット部、24 熱媒入口、26 熱媒出口、28 導入口、30 吐出口、32 流体流路。

Claims (5)

  1. 撹拌槽と、前記撹拌槽内に回転可能に取り付けられた撹拌軸と、前記撹拌軸に取り付けられた撹拌翼と、前記撹拌槽の壁面から槽内に熱を与える伝熱部と、吐出口を有し、前記吐出口から前記撹拌槽内に向って流体を吐出し、前記流体を前記撹拌槽内に導入する導入部と、を備え、
    前記導入部は、前記撹拌槽内に予め導入され前記撹拌翼により撹拌されている第1樹脂粒子を含む第1分散液の流れに沿う速度成分を有するように、且つ前記撹拌槽の内壁に接触させずに、第2樹脂粒子を含む第2分散液を導入することを特徴とする撹拌装置。
  2. 前記導入部の吐出口と前記撹拌軸とを結ぶ直線に対する垂線と前記導入部の吐出口の中心軸線とがなす角度をθ1、前記撹拌槽内の液面から前記導入部の吐出口までの高さをH、前記導入部の吐出口から前記第2分散液が吐出する方向に延びる延長線と水平線とがなす角度をθ2、前記導入部の吐出口から前記第2分散液が吐出する方向における前記吐出口と前記撹拌槽の内壁との間の水平距離をdとしたとき、下記(1)〜(4)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撹拌装置。
    −90°<θ1<90° (1)
    0.05m≦H1.0m (2)
    0°<θ2<90° (3)
    0.1m≦d≦2.5m (4)
  3. 請求項1又は2に記載の撹拌装置を用い、前記撹拌槽内に導入した第1樹脂粒子を含む第1分散液を前記撹拌翼により撹拌し、前記第1樹脂粒子を凝集する凝集工程と、
    前記撹拌槽内で前記撹拌翼により撹拌されている前記第1分散液の流れに沿う速度成分を有するように、且つ前記撹拌槽の内壁に接触させずに、第2樹脂粒子を含む第2分散液を前記導入部から前記撹拌槽内に導入し、前記撹拌槽内の第1分散液と撹拌する追添加工程と、を有する凝集粒子の製造方法。
  4. 前記第2分散液の導入後の前記撹拌槽内の温度T2と前記第2分散液の導入前の前記撹拌槽内の温度T1との差(T2−T1)を−5℃以上−1℃以下の範囲とすることを特徴とする請求項3に記載の凝集粒子の製造方法。
  5. 前記導入部から前記撹拌槽内に第2分散液を導入する際、前記撹拌槽内の液体に対し、前記液体の単位体積当たり0.5kW/m以上4.0kW/m以下の撹拌動力で撹拌することを特徴とする請求項3又は4に記載の凝集粒子の製造方法。
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