JP6943026B2 - 転がり軸受の浸炭方法、及び転がり軸受の製造方法 - Google Patents

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本発明は、転がり軸受の浸炭方法、及び転がり軸受の製造方法に関する。
一般に、歯車、軸受等の機械部品においては、表面近傍(例えば表面から1mm程度の深さ)の硬度を高くして、耐摩耗性、摺動性、疲労強度等の諸特性を向上させるために、浸炭焼き入れを施すことがある。このような浸炭法は、固体浸炭、液体浸炭、ガス浸炭、真空浸炭に分類され、いずれもオーステナイト域に加熱した部品表面から炭素(C)を侵入させる処理である。工業的には、大部分がガス浸炭であり、Fe−C平衡状態図におけるA1点以上の温度に加熱した炉内に、キャリアガスとして吸熱型変成ガスを流し、更に、エンリッチガスとしてプロパン、ブタン等の炭化水素ガスを供給する。必要とされる浸炭深さは、部品のサイズ、摩耗量や疲労特性、使用する鋼材の化学成分、製品の使用条件等に応じて決定されるため、部品毎に所望の深さとなる浸炭時間で処理される。
一方、転がり軸受の場合、荷重を受けて回転すると、内輪・外輪の軌道面および転動体の転動面は絶えず繰り返し荷重を受けるので、材料の疲れによって、フレーキングと呼ばれるうろこ状のはくり損傷が生じる。大きな荷重下で転動疲労強度を確保するため、それぞれの部材表面から例えば10mmを超える浸炭深さが必要とされるなど、荷重が負荷される領域が広範囲に及ぶことがある(図4参照)。しかし、この部品を950℃でガス浸炭処理する場合、200〜300時間もの処理時間が必要となる。そのため、浸炭処理では、リードタイムの過大が最大の生産課題となっており、浸炭処理時間の短縮を求めて各種検討がなされている(特許文献1〜3参照)。
特許文献1には、高周波加熱を用いて、共晶点以上、包晶点以下の温度に加熱したワークに、浸炭源として炭化水素ガスを供給して浸炭処理する手法が記載されている。しかし、共晶点以上の温度域では、オーステナイトの固溶限を超えて炭素が侵入すると、ワーク表面に液相が生成される。液相は重力によって容易に移動するため、ワーク形状を保持し続けるには限界がある。また、炭化水素ガスを浸炭源として、ワーク表面に炭素を均一に吸着させることは難しく、炭素の流入量を固溶限以下に制御することは困難である。
引用文献2には、ワークの表面に炭素をコーティングし、所定の温度に加熱し、炭素を内部に拡散する手法が記載されている。しかしながら、この手法により得られる硬化層は、ごく表面のみであり、短い浸炭時間で、転がり軸受に必要な広範囲でかつ十分な浸炭深さを得るためには、十分な量の炭素源を供給する必要がある。また、引用文献2は、共晶点以下の浸炭を想定しており、共晶点以上の温度域に適用すると、炭素と接触したワーク表面において液相が生じるため、炭素流入量を固溶限以下に制御することは難しい。
引用文献3には、FeとCの化合物である鉄炭化物を浸炭源に用いる浸炭手法が記載されている。炭素は、オーステナイトと平衡する鉄炭化物から供給される。また、鉄粉末とGr(グラファイト)粉末と鉄合金粉末をメカニカルミリングにより鉄炭化物を生成させ、浸炭源剤を製造することが記載されている。しかし、引用文献3も共晶点以下の浸炭を想定しており、上記したように、共晶点以上の温度域に適用すると、炭素と接触したワーク表面において液相が生じるため、炭素流入量を固溶限以下に制御することは難しい。
特許第3899081号公報 特開2015−108164号公報 特開2010−1508号公報
本発明は上記事項に鑑みてなされたものであり、その目的は、短い浸炭時間で、転がり軸受に必要な広範囲でかつ十分な浸炭深さを得られる転がり軸受の浸炭方法、及び転がり軸受の製造方法を提供することにある。
本発明は下記構成からなる。
(1)粉末状のFe−C合金と、珪酸ナトリウム水溶液から成る結着剤とを混練した浸炭剤を鋼製部品の転がり軸受の少なくとも一部の表面に接触させ、前記転がり軸受を共晶点以上、包晶点未満のオーステナイト域の温度範囲に一定時間保持する、転がり軸受の浸炭方法。
(2)浸炭層を備える転がり軸受の製造方法であって、粉末状のFe−C合金と、珪酸ナトリウム水溶液から成る結着剤とを混練した浸炭剤を鋼製部品の転がり軸受の少なくとも一部の表面に接触させ、前記転がり軸受を共晶点以上、包晶点未満のオーステナイト域の温度範囲に一定時間保持する、転がり軸受の製造方法
本発明によれば、短い浸炭時間で、広範囲でかつ十分な浸炭深さを有する転がり軸受部品を得ることができる。
Fe−C平衡状態図である。 固相のFe−C合金粉末と、結着剤としての珪酸ナトリウム水溶液とが混合状態の浸炭剤がワーク表面に接触した状態を示す概念図である。 図2に示す状態から更に加熱して浸炭が開始された状態を示す概念図である。 転がり軸受の荷重負荷領域と浸炭深さ(浸炭層)を示す概念図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
一般に、鋼材の表面から炭素を侵入させ、材料内部に拡散させる浸炭工程において、任意の深さ位置における炭素濃度の時間的変化は、Fickの第二法則を用いた(1)式で表される。(1)式によれば、浸炭工程における炭素の拡散について理論的に説明できる。
Figure 0006943026
C:位置xにおける炭素濃度
:表面炭素濃度
D:γ−Fe中の炭素の拡散係数
t:時間
上記(1)式によれば、浸炭速度を向上させるには(1)表面炭素濃度C、即ち、熱処理雰囲気の炭素ポテンシャルを向上させること、又は(2)拡散係数Dが大きい高温で処理することが必要となる。
実用上は、930℃〜1050℃の温度領域(肌焼き入れ鋼及び機械構造用合金鋼におけるA1点以上で共晶点以下の温度領域)での浸炭が主流であるが、更なる処理温度の高温化が可能になれば、理論的には浸炭時間は大幅に短縮できる。しかし、この技術によっても広範囲でかつ十分な浸炭深さが必要とされる部品の浸炭効率化(主に短時間での熱処理)には限界があった。
そこで、短い浸炭時間で10mm、好ましくは15mmを超えるような浸炭深さを得るために、共晶点以上の温度域において、部品表面における浸炭反応を安定して成立させることを鋭意検討した結果、ワークを固相のオーステナイト域で加熱し、炭素源を固相及び液相からなるFe−C合金で供給する手法が適することを見出した。この手法によれば、ワーク表面の炭素濃度が、図1に示すFe−C平衡状態図のJ−E線以上に浸炭され液層が生じる課題、即ち、固溶限を超える過剰な浸炭を回避して、溶解現象のコントロールが可能となる。
ワーク表面が共晶温度以上でオーステナイト固溶限以上に浸炭されると、ワーク表面に液相が発生してしまう。そこで、浸炭剤に含まれる炭素濃度と加熱温度とを制御することで、ワークとの界面の反応速度を制御する。
ここで、浸炭剤に用いるFe−C合金としては、鋳鉄粉、炭素鋼粉、工具鋼粉、鋳鉄グリッド等が使用可能である。粉(末)の形状は、粒状、針状のいずれでも良い。更に、Fe−C合金に、純鉄粉、Gr(グラファイト)粉末を混合することにより、Fe−C合金中の炭素濃度を変化させ、溶解温度をより高精度に制御することも可能である。炭素供給源となるFe−C合金粉末のC量は図1の液相出現領域(γ+L)の範囲から算出することが好ましい。
浸炭剤としてFe−C合金を主体とする粉末を用いる場合、高温まで酸化させないことが重要となる。粉末は表面積が大きく、雰囲気によっては、Fe−C合金粉末中の炭素の脱炭に伴い、溶融温度が上昇し、浸炭源を液層で供給できなくなる問題がある。このような問題に対しては、不活性ガス雰囲気中で処理することや、Fe−C合金粉末に珪酸ナトリウムや硫酸カルシウム(石膏)等の酸化防止剤を混合させることで解決できる。
珪酸ナトリウムは、特に水溶液として供給することが好ましい。珪酸ナトリウム水溶液は、高温まで粘性のあるガラス状を呈する。Fe−C合金粉末と珪酸ナトリウム水溶液とを混練して、ワーク表面に供給することによって、Fe−C粉末自体の脱炭が抑制可能となる。
珪酸ナトリウムの第2の効果として、粉末状態の脱酸剤を形成できることが挙げられる。珪酸ナトリウム水溶液は、空気中のCOガスと反応して、固化する働きを持つ。したがって、Fe−C粉末同士、及びFe−C粉末とワーク表面との界面の密着性を向上させることができる。これに加え、酸素を遮断する効果も得られる。
また、硫酸カルシウム(石膏)は、珪酸ナトリウムと同様に、Fe−C合金粉末同士やワーク表面との密着性を向上でき、酸素の遮断性能も得られる。
本浸炭方法は、共晶点以上の温度域において、炭素をFe−C合金として供給する方法であって、ワークの炭素濃度を固溶限濃度(図1に示すFe−C状態図のJ−E線)以下のオーステナイト域に保持することを特徴としている。また、浸炭剤に珪酸ナトリウム又は硫酸カルシウムを混合し、浸炭剤を無酸化状態にして浸炭させることを特徴としている。
上記浸炭方法を図2,図3を用いて概念的に説明する。
図2は固相のFe−C合金粉末11と、結着剤としての珪酸ナトリウム水溶液13との混合状態の浸炭剤がワークW表面に接触した状態を示す概念図である。
ワークWは、例えば、肌焼き鋼、機械構造用合金鋼を用いた鋼製部品である。
珪酸ナトリウム水溶液13は、自身の粘着性によってFe−C合金粉末11同士を結着させるとともに、ワーク表面にFe−C合金粉末11を固着させる。このため、浸炭剤は、ワーク表面から剥がれにくくなり、ワークへの適用部位に制約を生じることがない。
図2の状態から加熱すると、図3に示すように、浸炭剤は、Fe−C合金粉末11の一部が溶融して、固相のFe−C合金粉末11及び液相のFe−C合金15と、結着剤としての珪酸ナトリウム水溶液13が混合状態となってワークW表面に接触する。この場合、液相となったFe−C合金15が、ワーク表面に広がって接触することで、浸炭剤とワークWとの接触面積が増加し、ワークWへの炭素供給速度が大幅に向上する。しかも、共晶点以上に加熱した場合に、珪酸ナトリウム水溶液13の作用によって、Fe−C合金の脱炭が抑制できるため、ワーク表面は浸炭が促進する。その結果、Fe−C合金の溶融温度の上昇を防止し、浸炭源を液相で供給しやすくなる。
なお、図3の状態から更に固相のFe−C合金粉末11が液相化して、浸炭剤が液相のFe−C合金15と結着剤との混合状態になることも考えられる。その場合でも、結着剤である珪酸ナトリウム水溶液13は、Fe−C合金の酸化防止剤として機能して、Fe−C合金の溶融温度の上昇を防止できる。
上記浸炭方法の効果を確認するため、転がり軸受の表層部を模擬した試験片を用い、以下の実験を行った。実施例としては、JIS G 4053(機械構造用合金鋼鋼材)のSCr420鋼材(炭素0.18〜0.23%、中央値0.205%、オーステナイト域880〜1470℃)を選定し、外径φ20mm、内径φ15mmの止まり穴を有する試験片を作製した。
浸炭剤は、炭素材をFe−3.1%Cの粉末とし、10重量%の珪酸ナトリウム水溶液と混練した。Fe−3.1%Cの粉末を9g含むこの浸炭剤10gを上記試験片の被浸炭面に密着させた。その後、窒素ガス雰囲気中で1200℃(Fe−C平衡状態図よりSCr420鋼材の共晶点1147℃、包晶点1494℃の中間温度)で30分加熱保持して浸炭処理を実施し、炉内で冷却した。
比較例としては、実施例と同様にSCr420鋼材からなる転がり軸受の表層部を模擬した試験片を作製し、Rxガス(吸熱型変成ガス)+エンリッチガス雰囲気中でカーボンポテンシャルを1.05として、950℃(Fe−C平衡状態図よりSCr429鋼材の共晶点1147℃未満の温度)で実施例の10倍に相当する5時間のガス浸炭を実施した後、油冷して、一般的な大型軸受の浸炭処理であるガス浸炭を模擬した。
実験による浸炭効果は、それぞれの試験片の断面をEPMA分析し、C%プロファイルから全浸炭深さを求め、F.E.Harrisの実験式(x=K√t)における浸炭速度定数Kを求めた。
以上の比較実験の結果を表1に纏めて示す。
Figure 0006943026
実施例では、浸炭速度定数K=2.69となり、比較例(従来法)のガス浸炭における浸炭速度定数K=0.76に対して迅速な浸炭となることが確認できた。即ち、従前では1.7mmの浸炭深さを得るのに5時間を要していたところ、本浸炭方法によれば、僅か0.5時間で比較例の浸炭深さを超える1.9mmの浸炭深さが得られることになる。
従前、高温ではオーステナイトに固溶する炭素量が多いため、固体浸炭では過剰浸炭になりやすい。そのため、高温浸炭の場合は、カーボンポテンシャルを制御しやすいガス浸炭に限られていた。一方、本浸炭方法では、珪酸ナトリウムを用いることで、オーステナイト域における高温浸炭時のカーボンポテンシャルを高精度に制御可能にしている。珪酸ナトリウムは、従前より浸炭防止剤として用いられるが、このような浸炭防止剤を用いてカーボンポテンシャルを制御する技術は、他に見当たらない。本浸炭方法は、浸炭防止剤の高温粘性が高い性質を利用して、高温浸炭時に浸炭剤がワーク表面に密着し続けて深い浸炭層を形成するという、低コストで画期的な浸炭方法である。
また、浸炭剤が固相及び液相の混合状態であることで、ワーク表面と浸炭剤が広範囲に接触する状態となり、全てが固相の場合と比較して、均一に浸炭が可能となる。よって、高品位な浸炭処理を短時間で実現できる。
このように、本浸炭方法によれば、高温浸炭時におけるガス浸炭の炭素ポテンシャルと比較して高い炭素ポテンシャル状態を維持でき、例えば大型の広範囲でかつ十分な浸炭深さが必要な転がり軸受において、従前よりも大幅に時間短縮した浸炭が可能となる。
また、酸化防止剤として用いる珪酸ナトリウム、及び珪酸ナトリウム水溶液としては、JIS K 1408に記載のように、1〜3号の水ガラス(珪酸ナトリウム水溶液)、メタ珪酸ナトリウム1、2号(結晶)を用いることができる。
硫酸カルシウムとしては、JIS R 9111に記載のように、特級〜B級の陶磁器型材用せっこうを用いることができる。
炭素材であるFe−C合金には、その他の元素を含んでも構わない。本構成では、炉加熱による加熱方式としているが、高周波加熱も使用可能である。不活性ガスとしては、工業的にはNガスやCOガスを主体とする還元性の変成ガスを用いることができる。
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 粉末状のFe−C合金と、前記粉末状のFe−C合金の粉末同士を結着させる結着剤とを含む浸炭剤を、少なくとも一部の表面に接触させた鋼製部品を、
前記鋼製部品の共晶点以上、包晶点未満のオーステナイト域の温度範囲に一定時間保持する、鋼製部品の浸炭方法。
この鋼製部品の浸炭方法によれば、過剰浸炭を回避しつつ、深い浸炭深さが短時間で形成できる。また、浸炭時にFe−C合金の粉末同士を結着させ、鋼製部品の表面に浸炭剤を密着させた状態にできる。そのため、重力や加熱等の要因によって鋼製部品から浸炭剤が剥がれることがなく、鋼製部品の確実な浸炭処理が行える。
(2) 前記浸炭剤は、前記共晶点以上で、前記Fe−C合金が固相と液相との混合状態で含まれる(1)に記載の鋼製部品の浸炭方法。
この鋼製部品の浸炭方法によれば、高品位な浸炭処理を短時間で実現できる。
(3) 前記結着剤は、前記共晶点以上で、前記Fe−C合金の酸化防止機能を有する(2)に記載の鋼製部品の浸炭方法。
この鋼製部品の浸炭方法によれば、酸化防止機能を有することで、Fe−C合金の融点上昇が抑制され、Fe−C合金の液相化に影響を及ぼすことがない。
(4) 前記結着剤は、珪酸ナトリウム、硫酸カルシウムのいずれかを含む(3)に記載の鋼製部品の浸炭方法。
この鋼製部品の浸炭方法によれば、低コストで確実な浸炭処理が行える。
(5) 前記結着剤は、珪酸ナトリウム水溶液である(3)に記載の鋼製部品の浸炭方法。
この鋼製部品の浸炭方法によれば、Fe−C粉末同士を、粘性を伴って確実に結着させることができる。
(6) 前記鋼製部品を不活性ガス雰囲気中で加熱する(1)〜(5)のいずれか一つに記載の鋼製部品の浸炭方法。
この鋼製部品の浸炭方法によれば、Fe−C合金の脱炭が抑制され、溶融温度の上昇を防止できるため、浸炭源を液相で供給しやすくなる。
(7) 粉末状のFe−C合金と、前記粉末状のFe−C合金の粉末同士を結着させる結着剤とを含む浸炭剤を、少なくとも一部の表面に接触させた鋼製部品を、
前記鋼製部品の共晶点以上、包晶点未満のオーステナイト域の温度範囲に一定時間保持させて得た、鋼製部品。
この鋼製部品によれば、耐摩耗性、摺動性、疲労強度に優れた浸炭層が短時間で深い領域まで形成される。
(8) 粉末状のFe−C合金と、前記粉末粒子同士を鋼材の共晶点以上で結着させる結着剤と、を含む浸炭剤。
この浸炭剤によれば、鋼材の過剰浸炭を回避しつつ、深い浸炭深さが短時間で形成できる。
11 Fe−C合金粉末(固相)
13 珪酸ナトリウム水溶液
15 Fe−C合金(液相)
W ワーク

Claims (5)

  1. 粉末状のFe−C合金と、珪酸ナトリウム水溶液から成る結着剤とを混練した浸炭剤を鋼製部品の転がり軸受の少なくとも一部の表面に接触させ、前記転がり軸受を共晶点以上、包晶点未満のオーステナイト域の温度範囲に一定時間保持する、転がり軸受の浸炭方法。
  2. 前記浸炭剤は、前記共晶点以上で、前記Fe−C合金が固相と液相との混合状態で含まれる請求項1に記載の転がり軸受の浸炭方法。
  3. 前記結着剤は、前記共晶点以上で、前記Fe−C合金の酸化防止機能を有する請求項1に記載の転がり軸受の浸炭方法。
  4. 前記転がり軸受を不活性ガス雰囲気中で加熱する請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の転がり軸受の浸炭方法。
  5. 浸炭層を備える転がり軸受の製造方法であって、
    粉末状のFe−C合金と、珪酸ナトリウム水溶液から成る結着剤とを混練した浸炭剤を鋼製部品の転がり軸受の少なくとも一部の表面に接触させ、前記転がり軸受を共晶点以上、包晶点未満のオーステナイト域の温度範囲に一定時間保持する、転がり軸受の製造方法
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