JP6942334B2 - 受圧板セット及びこれを用いた斜面保護方法 - Google Patents

受圧板セット及びこれを用いた斜面保護方法 Download PDF

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Description

本発明は、受圧板セットに関し、特に、アンカーを点在させて設置した地山の斜面に展設された網体の上方からアンカーに取り付けられて網体を斜面側に押圧固定する受圧板と、展設された網体と斜面との間に配置されて受圧板の下敷きとなる下敷板と、を有する受圧板セットに関する。また、本発明は、この受圧板セットを用いた斜面保護方法に関する。
一般に、地山の斜面は、岩盤等の安定地層(深層)と安定地層上の風化した不安定層(表層)とからなり、両層の境界面がすべり面となっており、上記表層がすべり面に沿って崩落する表層すべりという現象が問題になっていた。従来、出願人は、地山の斜面の保護を目的として、地山の斜面にアンカーを点在させ、その上から斜面保護用網体を展設し、展設された網体の上からアンカーに受圧板を取付けて網体を斜面側に押下げ固定する斜面保護方法を提案していた。
これによれば、網体が受圧板によって斜面に押さえつけられ、保護すべき斜面の凹凸により的確に追従して設置されることでこの網体によって斜面の表層すべりを未然に防止することができる。さらに、斜面が網体によって隙間なく押圧されているので、斜面に点在するアンカー相互間における不安定層(表層)の中抜けをも防止することができる。
そのうえ、この斜面保護用網体を用いた斜面保護方法の利点は、斜面に対して重量あるコンクリートブロックを設置する必要もなく、あるいは法枠工を施す必要もないので、施工期間が従来よりも短縮され、経済的であるということであった。また、網体を用いると植生及び緑化が図られるという利点もある。
しかし、受圧板によって斜面側に押下げ固定された網体に対して面広がり方向に大きな力が作用すると、アンカーの側部と網体の接触部位に応力が集中して網体が当該接触部位で破損する恐れがあること、さらに、受圧板による網体の押下げ固定部において、網体が地山表面の鋭利な凸部(岩石等)に当接すると、網体自体又は網体を構成するワイヤーの防食層が腐食・破損する恐れがあることが明らかとなった。
特許文献1には、受圧板による網体の押下げ固定部における網体破損の恐れを解消する発明が開示されている。具体的には、特許文献1には、アンカーが点在する保護すべき斜面に網体を展設し、アンカーに受圧板を取付け、この受圧板により網体を斜面側に押圧して斜面を保護する斜面保護システムにおいて、受圧板のアンカーへの取付け状態でその受圧板の下面に網体の網目に挿通し得る突起部を設け、且つ、斜面と網体との間に斜面の凹凸を吸収する下敷板を介在させる斜面保護システムの発明が開示されている。
これによれば、斜面に設置された網体に対してその面広がり方向に大きな力が作用した際には突起部及びアンカーが網体にそれぞれ当接して網体に作用する応力が分散され、受圧板による網体の押圧固定部における網体の破れの恐れが低減される。
また、押圧固定部において斜面の凹凸が下敷板によって吸収されるので、網体が直接その斜面の鋭利な凸部に接触することによる網体の腐食・破損の恐れが回避される。
特開2016−044429号公報
しかしながら、特許文献1の斜面の保護システムによれば、その構成上、網体の網目を挿通した突起部の先端が下敷板に当接し、受圧板と下敷板との間には突起の高さの空間が生じることとなり、突起の高さよりも網体の厚みが小さい場合には受圧板下で網体が不要に移動可能となってしまっていた。
ここで、網体は受圧板によって斜面側に押下げられ、押圧固定されているところ、網体が不要に移動可能であると網体が受圧板の側端部と擦れて摩耗し、該摩耗により網体が破断する恐れがある。また、網体が不要に移動可能であると、アンカーの引張力を網体に伝達することが十分にできず、網体による斜面の押圧効果が的確に発揮されない場合がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、地山の斜面への設置状態において、網体の不要な移動を防止することによりアンカー、受圧板及び網体が適切に一体化されることでてアンカーからの引張力を網体に的確に伝達させることができ、さらに、網体の破損をより効果的に防止することができる受圧板セットを提供することにある。また、本発明の目的は、本発明の受圧板セットを用いることにより、斜面保護効果及び耐久性に優れる斜面保護方法を提供することにある。
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、アンカーを点在させて設置した地山の斜面に展設された網体の上方から、前記アンカーに取り付けられて前記網体を斜面側に押圧固定する受圧板と、前記展設された網体と斜面との間に配置されて前記受圧板の下敷きとなる下敷板と、を有する受圧板セットにおいて、前記受圧板が、前記受圧板の一方の面から突出し、前記網体の網目より小さい外径と前記網体の厚みよりも長い長さとを有する突起部を有し、且つ前記下敷板が、前記受圧板の下敷きとなった状態における前記突起部と対応する位置に前記突起部を挿入可能な挿入孔を有し、前記受圧板による前記網体の押圧固定状態で、前記受圧板と前記下敷板との間に介在させるスペーサーを有することを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、アンカーを点在させて設置した地山の斜面に展設された網体の上方から、前記アンカーに取り付けられて前記網体を斜面側に押圧固定する受圧板と、前記展設された網体と斜面との間に配置されて前記受圧板の下敷きとなる下敷板と、を有する受圧板セットにおいて、前記受圧板が、前記受圧板の一方の面から突出し、前記網体の網目より小さい外径と前記網体の厚みよりも長い長さとを有する突起部を有し、且つ前記下敷板が、前記受圧板の下敷きとなった状態における前記突起部と対応する位置に前記突起部を挿入可能な挿入孔を有し、前記受圧板は、該受圧板の前記一方の面から突出し且つ前記突起部の横断面積及び前記挿入孔の開口面積よりも大きい横断面積を有するスペーサー部を更に有し、該スペーサー部の上部から前記突起部が突出していることを特徴とする。
この構成によれば、網体が地山の斜面に押圧固定された状態において、受圧板の突起部が下敷板の挿入孔に挿入されることから、網体が受圧板と下敷板との双方から押さえ付けられるので、その不要な移動が防止される。これにより、受圧板の側部と接触する網体部分の摩耗が抑制され、受圧板下部における網体の破損をより効果的に防止することができる。また、不要な移動が防止されることにより、アンカー、受圧板及び網体が適切に一体化されてアンカーの引張力を網体に的確に伝達させることができるので、網体による斜面の押圧効果を確実に得ることができる。
また、網体は受圧板によって斜面側に押下げられて押圧固定されていることから、受圧板の側端部においては網体が屈曲して傷がつきやすく、破損しやすい部位となっているところ、スペーサーを有する構成によれば、スペーサーによって網体の高さ位置を上げることで受圧板の側端部における網体の屈曲角度を大きくすることができ、網体の当該屈曲部における破損の恐れを低減させることができる。同時に、受圧板による斜面側への押圧力がスペーサーを介して下敷板及び斜面に伝達されることから、スペーサーを介在させずに単に受圧板の高さ位置を上げる場合と比較して斜面をより効果的に保護することが可能となっている。
また、受圧板がスペーサー部を有する構成によれば、スペーサー機能を有する部分(スペーサー部)が受圧板の一方の面、即ち底面に形成されていることから、スペーサーを別部材として用いなくても上述したスペーサーによる機能を発揮することができるので、設置作業の容易化及び効率化が図られる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の受圧板セットにおいて、前記スペーサーが、ばね部材であることを特徴とする。
この構成によれば、スペーサーがばね部材であることから、受圧板と下敷板との間にスペーサーを介在させたまま、すなわち、スペーサーを両者に接触させて受圧板の押圧力が斜面に伝達される状態のまま、ばね部材が弾性変形可能な範囲で受圧板の高さ位置を微調整することが可能となる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の受圧板セットにおいて、前記スペーサーが、前記網目を挿通可能な外径を有すると共に、前記アンカーが挿通可能な管状体であることを特徴とする。
この構成によれば、網目を挿通した管状体のスペーサーによって受圧板の押圧力を下敷板に確実に伝達可能であると共に、スペーサーによって受圧板の高さが確保されて網体の屈曲角度が大きくなり、網体の破損の恐れをより低減させることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の受圧板セットにおいて、前記挿入孔は、前記下敷板を完全に貫通させて形成されたことを特徴とする。
この構成によれば、挿入孔が下敷板を完全に貫通しているので、下敷板と受圧板との間の幅が所望の幅となるようにアンカーの締め付けを行うことが可能となる。したがって、受圧板セットを設置する斜面の状況や網体の寸法や厚さ、網体を構成するワイヤーの太さなどに応じて適切に受圧板セットを設置することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の受圧板セットにおいて、前記網体はひし形の網目を有し、前記突起部は、設置状態において、前記網体の網目の四隅のうち少なくとも一隅に対応する部分に設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、受圧板の設置状態において、受圧板の突起部が網体の網目の少なくとも一隅に係止されることにより、網体の不要な移動を更に確実に防止することができる。
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか1項に記載の受圧板セットにおいて、前記下敷板の挿通孔は、上側から下側にかけて漸次広がる形状を有することを特徴とする。
この構成によれば、斜面の状況などにより下敷板と受圧板とを完全に並行に配置することができず受圧板の突起部を下敷板の挿通孔に挿通することが難しい場合であっても、配置された下敷板に対して受圧板の角度を調整することで受圧板の突起部を下敷板の挿通孔に挿通することが可能となる。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の受圧板セットを用いた斜面保護方法であって、前記アンカーを斜面に点在させて設置するアンカー設置工程と、置された前記アンカーに対応する箇所に、前記下敷板を配置する下敷板配置工程と、置された前記下敷板の上から前記網体を展設する網体展設工程と、前記受圧板前記突起部前記下敷板の挿入孔に挿入させつつ、前記網体と前記スペーサー又は前記スペーサー部とが前記下敷板と前記受圧板との間に介在するように受圧板を配置する受圧板配置工程と、前記アンカーを前記受圧板の上から緊張定着具で締結するアンカー締結工程と、を含む斜面保護方法である。上述した本発明の受圧板セットを用いた斜面保護方法は、斜面保護効果及び耐久性に優れる斜面保護方法である。
本発明によれば、網体が地山の斜面に押圧固定された状態で、受圧板の突起部が下敷板の挿入孔に挿通されていることから、網体が受圧板と下敷板とに押さえつけられるので、その不要な移動が防止される。これにより、受圧板の側部と接触する網体部分の摩耗が抑制され、網体の押圧固定部における破損をより効果的に防止することができ、網体の寿命が向上し、より長期間に亘る斜面の保護が可能となる。また、不要な移動が防止されることで、アンカーの引張力を網体に的確に伝達させることができるので、網体による斜面の押圧効果を確実に得ることができる。
本発明の受圧板セットの一例を示す分解斜視図(a)及び受圧板を裏から見た斜視図(b)である。 スペーサーの他の例を示す図である。 網体の平面図(A)及び断面図(B)である。 受圧板セットの設置状態を示す平面図である。 受圧板セットの設置状態を示す断面図である。 図5の一部詳細図である。 受圧板の他の例と網体の配置関係を示す図である。 受圧板の他の例の側面図(a)及び設置状態の断面図(b)である。 下敷材の他の例を示す断面図である。
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図1(a)は、本発明の受圧板セットの一例を示す分解斜視図であり、図1(b)は受圧板を裏から見た斜視図である。本発明の受圧板セットは、アンカー22が設置され地山の斜面に展設された網体24の上方から、アンカー22に取り付けられて網体24を斜面側に押圧固定する受圧板12と、網体24と斜面との間に配置されて受圧板12の下敷きとなる下敷板14とを有する。
受圧板12は平板状の部材からなる。受圧板12の一方の面12a(即ち、裏面)には複数の突起部13が形成されている。突起部13は受圧板の裏面12aから突出し、その形状は、網体24の網目より小さい外径と網体24の厚み24T(図3を参照)よりも長い長さを有する。本実施の形態では、突起部13は円柱状であり、その長さは、例えば、2〜4cmであり、外径は1〜2cmである。
各突起部13は受圧板12の中心から互いに同じ距離かほぼ同じ距離の位置に設けられている。図示されているように、4本の突起部のうちの2本は受圧板12の中心を基準として対角線上にあることが好ましい。本実施の形態では、突起部13は4本の場合を示しているが、1本、2本、3本、又は5本以上でもよい。突起部13は円柱状のものを示しているが、角柱状など種々の形状をとることができる。
受圧板12の平面形状は図示した六角形に限られず、長方形などの多角形、長方形の角が面取りされた形状、円形、楕円形、などでもよい。受圧板12のサイズは、例えば、平面形状が長方形の受圧板の場合は、短辺の長さが20〜30cm、長辺の長さが20〜60cmである。受圧板12の面積は、例えば、面積が400〜2000cmである。受圧板12の材質は、鋼等の金属や、繊維強化プラスチック(FRP)などを使用することができる。
受圧板12の裏面12aには保護層(図示せず)が形成されていることが好ましい。これにより、設置状態において網体と受圧板とが接触して受圧板が損傷することを防止することができる。保護層の材料としては、ゴムやプラスチック(ポリエステルやポリプロピレンなどのポリオレフィン)を使用することができる。保護層は保護層の材料を塗工することや、受圧板12の裏面12aに保護層のためのシートを貼付することなどにより設けることができる。
下敷板14は受圧板12に対応する形状の平板部材からなる。下敷板14には、受圧板12の下敷きとなった状態における受圧板12の突起部13と対応する位置に突起部13を挿入可能な挿入孔15を有する。挿入孔15は、下敷板14を完全に貫通させて形成されている。挿入孔15の形状は突起部13の円柱状に対応するように円形状の孔部として形成されているが、突起部13を挿入させることができればどのような形状でもよい。
下敷板14の形状も受圧板12の形状と同様に、長方形などの多角形、長方形の角が面取りされた形状、円形、楕円形、などでもよい。下敷板14のサイズや面積は、上述した受圧板12のものと同様である。下敷板14が金属で形成されている場合には、下敷板14の上面14aには保護層(図示せず)が形成されていることが好ましい。これにより、設置状態において網体24と下敷板14とが接触して下敷板14が損傷することを防止することができる。保護層としては受圧板12について説明したものと同様のものを採用することができる。下敷板14の材質は、鋼等の金属や、繊維強化プラスチック(FRP)などを使用することができる。下敷板14の厚さは例えば8〜15mmである。
なお、挿入孔15は上述したように下敷板14の上面14aから下面14bにかけて貫通させたものを示しているが、貫通させていなくてもよい。この場合には、受圧板12の突起部13を貫通孔に挿入すると、突起部13の端部は下敷板14の上面14aと下面14bとの間に位置し、その位置で固定される。
本実施の形態では、スペーサー16が、受圧板12と下敷板14の間に配置されている。スペーサー16は円筒形状を有しており、その高さは適宜設定されるが、例えば、10〜25mmである。スペーサー16は、好ましくは鋼などの硬質材料から形成される。円筒形状であるスペーサー16の内径は後述するアンカー22が挿通することができる大きさであり、外径は網体24の網目内をスペーサー16が挿通することができる大きさである。
スペーサー16は、必要に応じて設けられるものであり、受圧板セット10を設置する斜面の形状等の条件により設置するかどうかが決定され、設置する場合にはスペーサーの高さが適宜設定される。スペーサー16を設置することにより、下敷板14と受圧板12との間に介在される網体24が下敷板14と受圧板とにより押しつぶされることなく、網体24の機能を十分に発揮することが可能となる。すなわち、網体24としては、地山からの力に対して柔軟に対応することができるように、ある程度の緩みを持たせた構造(立体的構造)を有する網体が好ましく用いられるが、網体が押しつぶされてしまうとそのような機能を発揮することができなくなる可能性があるため、スペーサー16を設置することによりそのような事態を回避することが可能となる。
上述したスペーサー16に限られず、スペーサーとしては、図2(A)及び(B)に示すものも使用することができる。
図2(A)に示すスペーサー36は、筒状部36aと筒状部36aの両端にそれぞれ設けられたフランジ部36bとを有する。スペーサー36の大きさは、筒状部36aの内径がアンカー22を挿通させることができる大きさであり、外径が網体24の網目内にスペーサー36を配置することができる大きさである。スペーサー36の材質としては上述したスペーサー16と同じものを使用することができる。フランジ部36bの存在により、設置状態において受圧板と下敷板との設置状態の安定性を向上させることができる。
図2(B)に示すスペーサー46は、バネ状のスペーサーである。このスペーサー46はコイルばねであり、その材質としては、バネ鋼などの硬質部材を使用することができる。スペーサー46の大きさとしてはコイル形状により形成される内径がアンカー22を挿通させることができる大きさであり、コイル形状により形成される外径が網体24の網目内にスペーサー46を配置することができる大きさである。バネ状のスペーサー46を使用することにより、後述するアンカーを締結する工程において、アンカーを締結する作業を行うときに、スペーサーの高さを所望の高さに調整することが可能となる。
網体24、従来から使用されているものでよく、特に限定されない。図3(A)は網体の一例の平面図であり、図3(B)その側面図である。この網体24は、一定の間隔をおいて繰り返される直線部と屈曲部とにより図示左右方向に延在する線25を構成線として、この線15を隣り合う線と相互に屈曲部において連結してなる、菱形の網目を有する菱形網体である。網体24のサイズとしては、網体24の網目の内接円を描いたときのこの内接円の直径が好ましくは5〜15cm以下であり、特に好ましくは5〜10cmである。図3(B)に示すように、網体24は所定の厚み24tを有している。厚みは例えば10〜30mmである。
線25の引張強度は、800〜2000N/mmであることが好ましく、1000〜2000N/mmが特に好ましい。線25の直径φは、2〜4mmの範囲が好ましく、2.5〜4mmが特に好ましい。このような太さと高い引張強度を有する線を使用することにより、斜面保護効果をより強力且つ安定的に得ることが可能となる。線25は硬鋼製であることが好ましく、具体的にはJIS G 3506に規定される硬鋼線材から作製されたものであることが好ましい。硬鋼製の線は鉄線と比較して優れたバネ性(弾性変形性)を有し、塑性変形し難いので、斜面を強力な力で押圧することが可能である。
網体24はこれに限定されるものではなく、従来から使用されているものでよい。例えば、亀甲網体や、環状の構成線材からなる多数のリング部材をそれぞれ隣り合うリング部材の内周側が接触するように繋ぎ合わせてなるリングネットなども使用することができる。網体の好ましい例は上記で例示した所定の厚みのある立体構造(三次元構造)を有する網体である。ひし形の網体を使用する場合は、ひし形の2つの対角線の長さは同じでも異なっていてもよい。
アンカー22は従来から用いられているものでよく、グラウンドアンカーでもロックボルトでもよく、好ましくはロックボルトが用いられる。アンカー22の長さは本発明の受圧板セットが適用される斜面の状態や層の構造により適宜調節される。隣り合うアンカー22の間隔は、例えば、1.5〜4m、好ましくは2〜3mである。アンカー22の配置は、千鳥状配置でもよいし、縦横に整列させた矩形条配置でもよい。ナット23は受圧板12をアンカー22に固定することができればよく、特に限定されず、従来から使用されているものでよい。
上記説明した実施の形態の受圧板セット10によれば、網体24が地山の斜面に押圧固定された状態において、受圧板12の突起部13が下敷板14の挿入孔15に挿入されることから、網体24が受圧板12と下敷板14との双方から押さえ付けられ、その不要な移動が防止される。これにより、アンカー22の引張力が網体24に的確に伝達されるだけでなく、受圧板12の側部と接触する網体24部分の摩耗が抑制され、受圧板12下部における網体24の破損をより効果的に防止することができる。そして、挿入孔15が下敷板14を完全に貫通しているので、受圧板12の締め付けが強い場合でも突起部13の先端が底突きすることがなく、より確実に受圧板12下部における網体24の破損を防止することができる。
さらに、網体24は受圧板12によって斜面側に押下げられて押圧固定されることから、受圧板12の側端部においては網体24が屈曲して傷がつきやすく、破損しやすい部位となっているところ、上記の構成によれば、スペーサー16によって網体24の高さ位置を上げることで受圧板12の側端部における網体の屈曲角度を大きくすることができ、網体24の当該屈曲部における破損の恐れを低減させることができる。
同時に、受圧板12による斜面側への押圧力がスペーサー16を介して下敷板14及び斜面に伝達されることから、スペーサー16を介在させずに単に受圧板12の高さ位置を上げる場合と比較して斜面をより効果的に保護することが可能となっている。
次に、上記の受圧板セットを用いた斜面保護方法について説明する。上述したように、本発明の斜面保護方法は、
アンカーを斜面に点在させて設置するアンカー設置工程と、
点在設置されたアンカーに対応する箇所に、前記下敷板を配置する下敷板配置工程と、
点在配置された下敷板の上から前記網体を展設する網体展設工程と、
受圧板を、前記突起部が前記下敷板の挿入孔に挿入させつつ、前記網体が前記下敷板と前記受圧板との間に介在するように受圧板を配置する受圧板配置工程と、
アンカーを前記受圧板の上から緊張定着具で締結するアンカー締結工程と、とを含む。
図4は本発明の受圧板セットを用いた斜面保護方法により斜面保護が行われている状態を示す平面図であり、図5はその断面図であり、図6は図5の一部拡大図である。本発明の斜面保護方法が適用される地山100は一般に、岩盤等の安定化地層(深層)G1及び深層G1上の風化した不安定層(表層)G2の斜面に沿った断層を有する。地山100の表層G2の層の厚さは、一般に1〜3mである。これら表層G2と深層G1との間にはすべり面Sがあり、表層G2はこのすべり面Sに沿って崩落し、崩落方向にある道路、鉄道、建築物等に被害を及ぼす恐れがある(このような崩落は一般的に表層すべりと呼ばれる)。本発明の斜面保護方法はこのような地山100の斜面102に適用されるものである。
まず、アンカー設置工程について説明する。アンカー設置工程では、複数のアンカー22を斜面に点在させて設置する。アンカー22の設置位置は、図示されているように千鳥配置でもよいし矩形配置でもよい。アンカー22の互いの距離は、例えば、1〜3mである。
次に、下敷板配置工程について説明する。図示されているように、下敷板14のアンカー用孔部14c(図1を参照)にアンカー22の上部を挿通させて斜面100上に配置する。下敷板14は、好ましくは図示しているように、その短手方向が斜面上下方向に略一致するように設置される。
次に、網体展設工程について説明する。アンカー22及び下敷板14が配置された領域の斜面100全体に亘って網体24を展設して配置する。網体24を展設する際には、網体24の網目にアンカー22を挿通させるようにして行う。
その後、適宜使用されるスペーサー16を配置する。スペーサー16の配置は、筒状であるスペーサー16の内部にアンカー22を挿通させて行う。スペーサー16の配置作業は下敷板配置工程の後、網体展設工程の後でもよい。
次に、受圧板配置工程について説明する。図示されているように、受圧板12のアンカー用孔部12c(図1を参照)にアンカー22上部を挿通させて載置することにより受圧板12を配置する。受圧板12の配置は、受圧板12の裏面12aに形成された突起部13が下敷板14の挿通孔15に挿通されるように行う。
次に、アンカー締結工程について説明する。受圧板12が配置された状態でその上から緊張定着具としてのナット23を締めて、受圧板12、下敷板14、スペーサー16及びアンカー22全体を固定する。以上のようにして、受圧板セットを用いた斜面保護システムが完成する。本発明の斜面保護方法は、本発明の受圧板セットを使用しているので、斜面保護効果及び耐久性に優れる。
次に、本発明の他の実施の形態について説明する。図7は、本発明の受圧板セットの受圧板の他の例と網体との配置関係を示す底面図である。図示のように、受圧板32の底面には突起部33が形成されている。突起部33は、使用される網体24の網目の4隅のうち、対向する2隅に対応する箇所に配置されている。すなわち、設置時において網体24の網目の上記2隅に対応するように突起部33の位置が調節されて配置されている。これにより、設置時において突起部33により網体24が係止される形となるので、網体24の位置ずれ等を防止することができ、アンカーによる引張力を網体24に的確に伝達することが可能となる。なお、下敷板(図示せず)には、受圧板32の突起部33に対応する位置に挿通孔が設けられる。
上記の説明において突起部は上記の2隅に配置されている例を示したがこれに限られず、網体24の網目の四隅のうち少なくとも1隅に配置されるように設けられていればよく、好ましくは少なくとも設置状態において網体24の網目の4隅のうち斜面上側の1隅に対応する位置に設けられ、特に好ましくは上述したように斜面上下の対向する2隅に設けられる。
次に、本発明の更に他の実施の形態について説明する。図8(a)は、本発明の受圧板セットの受圧板の他の例の側面図を示している。図示のように、受圧板42には、受圧板42の裏面42aにスペーサー部41とスペーサー部41の設置状態における下面41a上に配置された突起部43とを有する。図8(b)の設置状態の断面図に示すように、スペーサー部41は設置状態において受圧板42と下敷板14との間の距離を空けて維持する機能を有する。スペーサー部41の横断面積は突起部43の横断面積及び下敷材14の挿通孔15の開口面積よりも大きく形成されている。
図1で示した実施の形態では、スペーサー16を別個の部材として配置作業を行うことが必要であるが、図8で示したように、受圧板42自体にスペーサー機能を有するスペーサー部41を設けることにより、スペーサーを単独で配置する作業を行うことなく、斜面保護システムを構築することが可能となる。
次に、本発明の別の他の実施の形態について説明する。図9は、本発明の受圧板セットの下敷板の他の例を示す断面図である。図示のように、下敷板54に設けられた挿通孔55は、上側から下側にかけて漸次内径が大きくなるように形成されており、挿通孔の断面形状がテーパ状をしている。テーパ角度は例えば5〜10°である。
この形状とすることにより、斜面の状況などにより下敷板と受圧板とを完全に並行に配置することができず受圧板の突起部を下敷板の挿通孔に挿通することが難しい場合であっても、配置された下敷板54に対して受圧板の角度を調整することで受圧板の突起部を下敷板の挿通孔55に挿通することが可能となる。
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
12 受圧板
13 突起部
14 下敷板
15 挿通孔
16 スペーサー
22 アンカー
23 ナット
24 網体
200 法枠
202 網目

Claims (8)

  1. アンカーを点在させて設置した地山の斜面に展設された網体の上方から、前記アンカーに取り付けられて前記網体を斜面側に押圧固定する受圧板と、前記展設された網体と斜面との間に配置されて前記受圧板の下敷きとなる下敷板と、を有する受圧板セットにおいて、
    前記受圧板が、前記受圧板の一方の面から突出し、前記網体の網目より小さい外径と前記網体の厚みよりも長い長さとを有する突起部を有し、且つ
    前記下敷板が、前記受圧板の下敷きとなった状態における前記突起部と対応する位置に前記突起部を挿入可能な挿入孔を有し、
    前記受圧板による前記網体の押圧固定状態で、前記受圧板と前記下敷板との間に介在させるスペーサーを有することを特徴とする受圧板セット。
  2. 前記スペーサーが、ばね部材であることを特徴とする請求項に記載の受圧板セット。
  3. 前記スペーサーが、前記網目を挿通可能な外径を有すると共に、前記アンカーが挿通可能な管状体であることを特徴とする請求項に記載の受圧板セット。
  4. アンカーを点在させて設置した地山の斜面に展設された網体の上方から、前記アンカーに取り付けられて前記網体を斜面側に押圧固定する受圧板と、前記展設された網体と斜面との間に配置されて前記受圧板の下敷きとなる下敷板と、を有する受圧板セットにおいて、
    前記受圧板が、前記受圧板の一方の面から突出し、前記網体の網目より小さい外径と前記網体の厚みよりも長い長さとを有する突起部を有し、且つ
    前記下敷板が、前記受圧板の下敷きとなった状態における前記突起部と対応する位置に前記突起部を挿入可能な挿入孔を有し、
    前記受圧板は、該受圧板の前記一方の面から突出し且つ前記突起部の横断面積及び前記挿入孔の開口面積よりも大きい横断面積を有するスペーサー部を更に有し、該スペーサー部の上部から前記突起部が突出していることを特徴とする受圧板セット。
  5. 前記挿入孔は、前記下敷板を完全に貫通させて形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の受圧板セット。
  6. 前記網体はひし形の網目を有し、
    前記突起部は、設置状態において、前記網体の網目の四隅のうち少なくとも一隅に対応する部分に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の受圧板セット。
  7. 前記下敷板の挿通孔は、上側から下側にかけて漸次広がる形状を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の受圧板セット。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の受圧板セットを用いた斜面保護方法であって、
    前記アンカーを斜面に点在させて設置するアンカー設置工程と、
    在設置された前記アンカーに対応する箇所に、前記下敷板を配置する下敷板配置工程と、
    在配置された前記下敷板の上から前記網体を展設する網体展設工程と、
    前記受圧板前記突起部前記下敷板の挿入孔に挿入させつつ、前記網体と前記スペーサー又は前記スペーサー部とが前記下敷板と前記受圧板との間に介在するように受圧板を配置する受圧板配置工程と、
    前記アンカーを前記受圧板の上から緊張定着具で締結するアンカー締結工程と、
    を含む斜面保護方法。
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