JP6942268B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に搭載される自動変速機の制御装置に関する。
従来、エンジンにより駆動されるオイルポンプから吐出されるオイルの油圧を用いた油圧制御回路を構成するバルブの故障を検知する変速機が知られている(特許文献1参照)。
油圧制御回路は、第1オイルポンプから供給されたオイルを、冷却油路、潤滑油路及びクラッチ油路に供給する。油圧制御回路は、レギュレータバルブ、2つのソレノイドバルブ、2つのシフトバルブ及びリリーフバルブを備える。レギュレータバルブはソレノイドによって、第2シフトバルブとリリーフバルブはソレノイドによって、それぞれ状態が切替えられる。電気モータ、クラッチ油路及びオイルパンには、油温センサがそれぞれ設けられる。ECUは、これらのセンサの出力値に基づいて、バルブの故障を検知する。
上記従来の変速機は、故障を検知した場合、リンプホーム性を確保しながらトルクを制限することが考えられるが、潤滑ソレノイドが故障した場合、走行状態によってはすぐに影響が出ない。このため、故障を検知したのみで変速機入力トルク制限などを実施すると過度な制限となり、運転者を含む乗員に違和感を与える場合がある。一方、潤滑ソレノイドの故障を放置すれば、潤滑ソレノイドが失陥によってクラッチへの供給潤滑流量が低下した場合、クラッチ温度が上昇してしまい、クラッチの熱負荷が大きくなってしまう、という問題があった。
特開2014−77461号公報
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、潤滑ソレノイドが故障した際、乗員に違和感を与えることなく、摩擦要素の熱負荷増大を抑制することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の自動変速機の制御装置は、その一態様として、自動変速機と、コントロールバルブユニットと、変速機コントロールユニットと、を備える。
コントロールバルブユニットの油圧制御回路に、摩擦要素へ供給する潤滑流量を、発熱を抑える適正な流量に調圧する潤滑ソレノイドを有する。
変速機コントロールユニットに、摩擦要素温度を発熱量と放熱量とから推定する摩擦要素温度推定部と、潤滑ソレノイドの故障モードを対策するフェールセーフ制御部とを有する。
摩擦要素温度推定部は、潤滑ソレノイドが故障すると、連続変速プロテクションでの推定放熱量を潤滑ソレノイドの故障時放熱量に置き換え、置き換えた放熱量により摩擦要素温度を推定する。
フェールセーフ制御部は、潤滑ソレノイドの故障が判定され、且つ、摩擦要素温度推定部からの摩擦要素推定温度が所定温度以上になると、自動変速機による変速を制限する。
このように、潤滑ソレノイドが故障すると、高熱負荷変速パターンである連続変速プロテクションでの推定放熱量に基づいて摩擦要素温度を推定する。そして、摩擦要素の熱対策として、変速機入力トルクを制限する対策ではなく、変速を制限する対策を採用する。この結果、潤滑ソレノイドが故障した際、乗員に違和感を与えることなく、摩擦要素の熱負荷増大を抑制することができる。
実施例1の制御装置が適用された自動変速機を搭載するエンジン車を示す全体システム図である。 実施例1の制御装置が適用された自動変速機の一例を示すスケルトン図である。 実施例1の制御装置が適用された自動変速機での変速用の摩擦要素の各変速段での締結状態を示す締結表図である。 実施例1の制御装置が適用された自動変速機での変速マップの一例を示す変速マップ図である。 実施例1のコントロールバルブユニットとATコントロールユニットの詳細構成を示す制御系構成図である。 潤滑ソレノイドが正常であるときに潤滑弁圧指示を検索する潤滑圧設定マップの一例を示す三次元マップ図である。 潤滑ソレノイドが正常であるときにエンジン回転数(=LU状態でのタービン回転数)に対するクーラー流量(潤滑流量)の調整範囲を示すクーラー流量特性図である。 実施例1のATコントロールユニットのフェールセーフ制御部にて実行される潤滑ソレノイドが電気故障になったときのフェールセーフ制御処理の流れを示すフローチャートである。 潤滑ソレノイドが電気故障になったときのフェールセーフ制御作用を説明する各特性を示すタイムチャートである。
以下、本発明の自動変速機の制御装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
実施例1における制御装置は、前進9速・後退1速の変速段を有する自動変速機を搭載したエンジン車(車両の一例)に適用したものである。以下、実施例1の構成を、「全体システム構成」、「自動変速機の詳細構成」、「油圧/電子制御系の詳細構成」、「潤滑ソレノイド故障時のフェールセーフ制御処理構成」に分けて説明する。
[全体システム構成]
図1は実施例1の制御装置が適用された自動変速機を搭載するエンジン車を示す全体システム図である。以下、図1に基づき、全体システム構成を説明する。
エンジン車の駆動系には、図1に示すように、エンジン1と、トルクコンバータ2と、自動変速機3と、プロペラシャフト4と、駆動輪5と、を備える。自動変速機3には、変速のためのスプールバルブや油圧制御回路やソレノイドバルブ等によるコントロールバルブユニット6が取り付けられている。このコントロールバルブユニット6に有するアクチュエータ(クラッチソレノイド20、ライン圧ソレノイド21、潤滑ソレノイド22、ロックアップソレノイド23)は、ATコントロールユニット10からの制御指令を受けて作動する。ここで、クラッチソレノイド20は、摩擦要素毎に複数個設けられている。なお、トルクコンバータ2は、締結によりエンジン1のクランク軸と自動変速機3の入力軸INを直結するロックアップクラッチ2aを内蔵する。
エンジン車の制御系には、図1に示すように、ATコントロールユニット10と、エンジンコントロールユニット11と、CAN通信線12と、を備える。なお、ATコントロールユニット10には、クラッチ温度推定部10a(摩擦要素温度推定部)と、フェールセーフ制御部10bとを有する。
自動変速機3の制御装置であるATコントロールユニット10は、タービン回転センサ13、出力軸回転センサ14、ATF油温センサ15、インヒビタースイッチ18、中間軸回転センサ19、等からの信号を入力する。
タービン回転センサ13は、トルクコンバータ2のタービン回転数(=変速機入力軸回転数)を検出し、タービン回転数Ntの信号をATコントロールユニット10に送出する。出力軸回転センサ14は、自動変速機3の出力軸回転数(=車速)を検出し、出力軸回転数No(車速VSP)の信号をATコントロールユニット10に送出する。ATF油温センサ15は、ATF(自動変速機用オイル)の温度を検出し、ATF油温TATFの信号をATコントロールユニット10に送出する。インヒビタースイッチ18は、運転者によるセレクトレバーやセレクトボタン等へのセレクト操作により選択されたレンジ位置を検出し、レンジ位置信号をATコントロールユニット10に送出する。中間軸回転センサ19は、中間軸(インターミディエイトシャフト=第1キャリアC1に連結される回転メンバ)の回転数を検出し、中間軸回転数Nintの信号をATコントロールユニット10に送出する。
ATコントロールユニット10では、変速マップ(図4参照)上での車速VSPとアクセル開度APOによる運転点(VSP,APO)の変化を監視することで、
1.オートアップシフト(アクセル開度を保った状態での車速上昇による)
2.足離しアップシフト(アクセル足離し操作による)
3.足戻しアップシフト(アクセル戻し操作による)
4.パワーオンダウンシフト(アクセル開度を保っての車速低下による)
5.小開度急踏みダウンシフト(アクセル操作量小による)
6.大開度急踏みダウンシフト(アクセル操作量大による:「キックダウン」)
7.緩踏みダウンシフト(アクセル緩踏み操作と車速上昇による)
8.コーストダウンシフト(アクセル足離し操作での車速低下による)
と呼ばれる基本変速パターンによる変速制御を行う。
エンジンコントロールユニット11は、アクセル開度センサ16、エンジン回転センサ17、等からの信号を入力する。
アクセル開度センサ16は、ドライバのアクセル操作によるアクセル開度を検出し、アクセル開度APOの信号をエンジンコントロールユニット11に送出する。エンジン回転センサ17は、エンジン1の回転数を検出し、エンジン回転数Neの信号をエンジンコントロールユニット11に送出する。
エンジンコントロールユニット11では、エンジン単体の様々な制御に加え、ATコントロールユニット10での制御との協調制御によりエンジントルク制限制御等を行う。ATコントロールユニット10とエンジンコントロールユニット11は、双方向に情報交換可能なCAN通信線12を介して接続されている。よって、エンジンコントロールユニット11は、ATコントロールユニット10から情報リクエストが入力されると、リクエストに応じてアクセル開度APOやエンジン回転数NeやエンジントルクTeやタービントルクTtの情報をATコントロールユニット10に出力する。また、ATコントロールユニット10から上限トルクによるエンジントルク制限要求が入力されると、エンジントルクを所定の上限トルクにより制限したトルクとするエンジントルク制限制御が実行される。
[自動変速機の詳細構成]
図2は実施例1の制御装置が適用された自動変速機3の一例を示すスケルトン図であり、図3は自動変速機3での締結表であり、図4は自動変速機3での変速マップの一例を示す。以下、図2〜図4に基づいて、自動変速機3の詳細構成を説明する。
自動変速機3は、下記の点を特徴とする。
(a) 変速要素として、機械的に係合/空転するワンウェイクラッチを用いていない。
(b) 摩擦要素である第1ブレーキB1、第2ブレーキB2、第3ブレーキB3、第1クラッチK1、第2クラッチK2、第3クラッチK3は、変速時にクラッチソレノイド20によってそれぞれ独立に締結/解放が制御される。
(b) 第2クラッチK2と第3クラッチK3は、クラッチピストン油室に作用する遠心力による遠心圧を相殺する遠心キャンセル室を有する。
自動変速機3は、図2に示すように、ギヤトレーンを構成する遊星歯車として、入力軸INから出力軸OUTに向けて順に、第1遊星歯車PG1と、第2遊星歯車PG2と、第3遊星歯車PG3と、第4遊星歯車PG4と、を備えている。
第1遊星歯車PG1は、シングルピニオン型遊星歯車であり、第1サンギヤS1と、第1サンギヤS1に噛み合うピニオンを支持する第1キャリアC1と、ピニオンに噛み合う第1リングギヤR1と、を有する。
第2遊星歯車PG2は、シングルピニオン型遊星歯車であり、第2サンギヤS2と、第2サンギヤS2に噛み合うピニオンを支持する第2キャリアC2と、ピニオンに噛み合う第2リングギヤR2と、を有する。
第3遊星歯車PG3は、シングルピニオン型遊星歯車であり、第3サンギヤS3と、第3サンギヤS3に噛み合うピニオンを支持する第3キャリアC3と、ピニオンに噛み合う第3リングギヤR3と、を有する。
第4遊星歯車PG4は、シングルピニオン型遊星歯車であり、第4サンギヤS4と、第4サンギヤS4に噛み合うピニオンを支持する第4キャリアC4と、ピニオンに噛み合う第4リングギヤR4と、を有する。
自動変速機3は、図2に示すように、入力軸INと、出力軸OUTと、第1連結メンバM1と、第2連結メンバM2と、トランスミッションケースTCと、を備えている。変速により締結/解放される摩擦要素として、第1ブレーキB1と、第2ブレーキB2と、第3ブレーキB3と、第1クラッチK1と、第2クラッチK2と、第3クラッチK3と、を備えている。
入力軸INは、エンジン1からの駆動力がトルクコンバータ2を介して入力される軸で、第1サンギヤS1と第4キャリアC4に常時連結している。そして、入力軸INは、第2クラッチK2を介して第1キャリアC1に断接可能に連結している。
出力軸OUTは、プロペラシャフト4及び図外のファイナルギヤ等を介して駆動輪5へ変速した駆動トルクを出力する軸であり、第3キャリアC3に常時連結している。そして、出力軸OUTは、第1クラッチK1を介して第4リングギヤR4に断接可能に連結している。
第1連結メンバM1は、第1遊星歯車PG1の第1リングギヤR1と第2遊星歯車PG2の第2キャリアC2を、摩擦要素を介在させることなく常時連結するメンバである。第2連結メンバM2は、第2遊星歯車PG2の第2リングギヤR2と、第3遊星歯車PG3の第3サンギヤS3と、第4遊星歯車PG4の第4サンギヤS4とを、摩擦要素を介在させることなく常時連結するメンバである。
第1ブレーキB1は、第1キャリアC1の回転を、トランスミッションケースTCに対して係止可能な摩擦要素である。第2ブレーキB2は、第3リングギヤR3の回転を、トランスミッションケースTCに対して係止可能な摩擦要素である。第3ブレーキB3は、第2サンギヤS2の回転を、トランスミッションケースTCに対して係止可能な摩擦要素である。
第1クラッチK1は、第4リングギヤR4と出力軸OUTの間を選択的に連結する摩擦要素である。第2クラッチK2は、入力軸INと第1キャリアC1の間を選択的に連結する摩擦要素である。第3クラッチK3は、第1キャリアC1と第2連結メンバM2の間を選択的に連結する摩擦要素である。
図3は、自動変速機3において6つの摩擦要素のうち三つの同時締結の組み合わせによってDレンジにて前進9速後退1速を達成する締結表を示す。以下、図3に基づいて、各変速段を成立させる変速構成を説明する。
1速段(1st)は、第2ブレーキB2と第3ブレーキB3と第3クラッチK3の同時締結により達成する。2速段(2nd)は、第2ブレーキB2と第2クラッチK2と第3クラッチK3の同時締結により達成する。3速段(3rd)は、第2ブレーキB2と第3ブレーキB3と第2クラッチK2の同時締結により達成する。4速段(4th)は、第2ブレーキB2と第3ブレーキB3と第1クラッチK1の同時締結により達成する。5速段(5th)は、第3ブレーキB3と第1クラッチK1と第2クラッチK2の同時締結により達成する。以上の1速段〜5速段が、ギヤ比が1を超えている減速ギヤ比によるアンダードライブ変速段である。
6速段(6th)は、第1クラッチK1と第2クラッチK2と第3クラッチK3の同時締結により達成する。この第6速段は、ギヤ比=1の直結段である。
7速段(7th)は、第3ブレーキB3と第1クラッチK1と第3クラッチK3の同時締結により達成する。8速段(8th)は、第1ブレーキB1と第1クラッチK1と第3クラッチK3の同時締結により達成する。9速段(9th)は、第1ブレーキB1と第3ブレーキB3と第1クラッチK1の同時締結により達成する。以上の7速段〜9速段は、ギヤ比が1未満の増速ギヤ比によるオーバードライブ変速段である。
さらに、1速段から9速段までの変速段のうち、隣接する変速段へのアップ変速を行う際、或いは、ダウン変速を行う際、図3に示すように、掛け替え変速により行う構成としている。即ち、隣接する変速段への変速は、三つの摩擦要素のうち、二つの摩擦要素の締結は維持したままで、一つの摩擦要素の解放と一つの摩擦要素の締結を行うことで達成される。
Rレンジ位置の選択による後退速段(Rev)は、第1ブレーキB1と第2ブレーキB2と第3ブレーキB3の同時締結により達成する。なお、Nレンジ位置及びPレンジ位置を選択したときは、6つの摩擦要素B1,B2,B3,K1,K2,K3の全てが解放状態とされる。
そして、ATコントロールユニット10には、図4に示すような変速マップが記憶設定されていて、Dレンジの選択により前進側の1速段から9速段までの変速段の切り替えによる変速は、この変速マップに従って行われる。即ち、そのときの運転点(VSP,APO)が図4の実線で示すアップシフト線を横切るとアップシフト変速要求が出される。又、運転点(VSP,APO)が図4の破線で示すダウンシフト線を横切るとダウンシフト変速要求が出される。
以下の説明で用いる「連続変速プロテクション」とは、同じ摩擦要素を締結/解放するアップシフトとダウンシフトが短い時間間隔にて連続的に繰り返される高熱負荷の変速パターンをいう。この連続変速プロテクションは、アップシフト線とダウンシフト線が隣接する運転点領域にてアクセル開度APOや車速VSPが変動した場合、運転点(VSP,APO)が2つのシフト線を繰り返して横切ることで生じる。
[油圧/電子制御系の詳細構成]
図5は、実施例1のコントロールバルブユニット6とATコントロールユニット10の詳細構成を示す。以下、図5に基づいて、油圧/電子制御系の詳細構成を説明する。
コントロールバルブユニット6は、油圧源としてメカオイルポンプ61と電動オイルポンプ62を備える。メカオイルポンプ61は、エンジン1によりポンプ駆動され、電動オイルポンプ62は、電動モータ63によりポンプ駆動される。
コントロールバルブユニット6は、油圧制御回路に設けられる弁として、ライン圧ソレノイド21と、ライン圧調圧弁64と、クラッチソレノイド20と、ロックアップソレノイド23を備える。さらに、コントロールバルブユニット6は、潤滑ソレノイド22と、潤滑調圧弁65と、ブースト切換弁66と、P−nP切換弁67と、クーラー68を備える。
ライン圧調圧弁64は、メカオイルポンプ61及び電動オイルポンプ62の少なくとも一方からの吐出油を、ライン圧ソレノイド21からのバルブ作動信号圧に基づいてライン圧PLに調圧する。
クラッチソレノイド20は、ライン圧PLを元圧とし、摩擦要素(B1,B2,B3,K1,K2,K3)毎に締結圧や解放圧等を制御する。なお、図5において、クラッチソレノイド20が1個あるよう記載しているが、摩擦要素(B1,B2,B3,K1,K2,K3)毎に6個のソレノイドを有する。
ロックアップソレノイド23は、ライン圧調圧弁64によるライン圧PLの調圧時における余剰油を用いてロックアップクラッチ2aの差圧を制御する。
潤滑ソレノイド22は、潤滑調圧弁65へのバルブ作動信号圧と、ブースト切換弁66への切換圧と、P−nP切換弁67への切換圧と、を作り出す。
潤滑調圧弁65は、潤滑ソレノイド22からのバルブ作動信号圧によって、摩擦要素とギヤトレーンとを含むパワートレーン(PT)へクーラー68を介して供給する潤滑流量をコントロールすることができる。そして、潤滑調圧弁65によってPT供給潤滑流量を適正化することで、フリクションを低減する。
ブースト切換弁66は、潤滑ソレノイド22からの切換圧によって、第2クラッチK2と第3クラッチK3の遠心キャンセル室の供給油量を増加する。このブースト切換弁66は、遠心キャンセル室の油量が不足しているシーンで一時的に供給油量を増やすときに使用する。
P−nP切換弁67は、潤滑ソレノイド22からの切換圧によって、パーキングモジュールへ供給するライン圧の油路を切り換えて、パークロックを行う。
ここで、潤滑ソレノイド22について説明する。
潤滑ソレノイド22は、摩擦要素へ供給する潤滑流量を、発熱を抑える適正な流量に調圧する機能を有する。そして、連続変速プロテクション以外のときに摩擦要素の発熱を抑える最低潤滑流量をメカ保証し、最低潤滑流量に上乗せされる潤滑流量分を調整するソレノイドである。
即ち、潤滑ソレノイド22の制御は、ソレノイド正常時、例えば、図6に示す潤滑圧設定マップを用い、タービン回転数NtとタービントルクTtにより潤滑弁圧指示を検索し、検索された潤滑弁圧指示することで行われる。図6に示す潤滑圧設定マップでは、潤滑ソレノイド22への潤滑弁圧指示が、例えば、タービン回転数Ntが大きいほど大きな値で、タービントルクTtが大きな値とされる。そして、図7に示すように、エンジン回転数Ne(=LU状態でのタービン回転数Nt)が高くなるほど多くなるクーラー流量(潤滑流量)による最低潤滑流量がメカ保証される。この最低潤滑流量に上乗せされる潤滑流量分を、潤滑ソレノイド22によるクーラー流量(潤滑流量)の調整範囲としている。
このように、コントロールバルブユニット6は、潤滑ソレノイド22と、潤滑調圧弁65と、ブースト切換弁66と、P−nP切換弁67とを備え、Dレンジ圧油路やRレンジ圧油路等を切り換えるマニュアルバルブを廃止していること特徴とする。
ATコントロールユニット10には、図5に示すように、クラッチ温度(摩擦要素温度)を発熱量と放熱量から推定するクラッチ温度推定部10aと、潤滑ソレノイド22の故障モードを対策するフェールセーフ制御部10bと、を有する。
クラッチ温度推定部10aは、潤滑ソレノイド22に電気故障が発生すると、連続変速プロテクションでの推定放熱量を潤滑ソレノイド22の故障時放熱量に置き換え、この置き換えた放熱量によりクラッチ推定温度を演算する。
ここで、連続変速プロテクションでの推定放熱量は、連続変速プロテクションでの最小放熱量とされ、最小放熱量と発熱量によってクラッチ温度が推定演算される。
フェールセーフ制御部10bは、潤滑ソレノイド22の電気故障が判定されると、クラッチ温度推定部10aからそのときのクラッチ推定温度(摩擦要素推定温度)を読み込み、クラッチ推定温度が変速制限閾値以上になると、自動変速機3による変速を制限する。
ここで、フェールセーフ制御部10bでは、潤滑ソレノイド22の電気故障(断線、天絡、地絡)が判定されると、潤滑流量を最低潤滑流量とする潤滑ソレノイド22への指令が出される。「変速制限閾値」は、摩擦要素の締結による走行性能が保証される所定値、つまり、連続変速プロテクション以外の変速ではクラッチ焼け等が発生することがない値に設定される。自動変速機3による変速制限は、連続変速プロテクションによるアップシフトとダウンシフトを繰り返す変速を禁止し、連続変速プロテクション以外の変速を許容する制限とされる。
[潤滑ソレノイド故障時のフェールセーフ制御処理構成]
図8は、実施例1のATコントロールユニット10のフェールセーフ制御部10bにて実行される潤滑ソレノイド故障時のフェールセーフ制御処理の流れを示す。以下、図8の各ステップについて説明する。
ステップS1では、スタートに続き、自己診断により潤滑ソレノイド22に電気故障(断線、天絡、地絡)が発生したか否かを判断する。YES(潤滑ソレノイド電気故障発生有り)の場合はステップS2へ進み、NO(潤滑ソレノイド電気故障発生無し)の場合は、潤滑ソレノイド22が正常なときの制御を継続しつつ、ステップS1の判断を繰り返す。
ステップS2では、ステップS1での潤滑ソレノイド故障発生有りとの判断に続き、潤滑ソレノイド22が故障状態のままで所定時間を経過したか否かを判断する。YES(所定時間経過後)の場合はステップS3へ進み、NO(所定時間経過前)の場合はステップS1へ戻る。
ここで、「所定時間」は、潤滑ソレノイド22が電気故障であることを確定させるために設定した故障状態の継続判定時間である。つまり、正常な潤滑ソレノイド22が瞬間的に電気故障(断線、天絡、地絡)とみなされる状態になったとき、潤滑ソレノイド22に電気故障発生有りと誤判断するのを排除するためである。
ステップS3では、ステップS2でのYESであるとの判断、或いは、ステップS10でのATCUリセット無しとの判断に続き、潤滑ソレノイド22に対して最低潤滑圧を得る潤滑指令を出力し、ステップS4へ進む。
ステップS4では、ステップS3での最低潤滑圧を得る潤滑指令の出力に続き、潤滑ソレノイド22が故障であることを報知し、ステップS5へ進む。なお、潤滑ソレノイド22が故障であることの報知は、故障ランプの点滅表示やモニタ画面への故障表示、音声による故障アナウンス等によりなされる。
ステップS5では、ステップS4での潤滑ソレノイド22の故障報知に続き、クラッチ温度推定部10aにより推定演算されているそのときのクラッチ推定温度を読み込み、ステップS6へ進む。
ここで、クラッチ温度推定部10aでは、潤滑ソレノイド22に電気故障が発生すると、連続変速プロテクションでの最小放熱量を潤滑ソレノイド22の故障時放熱量に置き換えられる。そして、故障発生タイミングからATCUリセットまでの間、置き換えられた最小放熱量と発熱量によりクラッチ温度が推定演算される。
ステップS6では、ステップS5でのクラッチ推定温度の読み込みに続き、クラッチ推定温度が変速制限閾値以上であるか否かを判断する。YES(クラッチ推定温度≧変速制限閾値)の場合はステップS9へ進み、NO(クラッチ推定温度<変速制限閾値)の場合はステップS7へ進む。
ステップS7では、ステップS6における「クラッチ推定温度<変速制限閾値」であるとの判断に続き、変速制限中であるか否かを判断する。YES(変速制限中)の場合はステップS8へ進み、NO(変速制限無し)の場合はステップS10へ進む。
ステップS8では、ステップS7での変速制限中であるとの判断に続き、「クラッチ推定温度<変速制限閾値」になったことに基づいて変速制限を解除し、ステップS10へ進む。
ステップS9では、ステップS6での「クラッチ推定温度≧変速制限閾値」であるとの判断に続き、自動変速機3による変速を制限し、ステップS10へ進む。
ここで、「自動変速機3による変速制限」は、連続変速プロテクションによるアップシフトとダウンシフトを繰り返す変速は禁止する。つまり、潤滑流量として最低潤滑流量が確保されていることを受け、連続変速プロテクション以外の変速は許容する制限とする。
ステップS10では、ステップS9での変速制限、或いは、ステップS7での変速制限無しとの判断、或いは、ステップS8での変速制限解除に続き、ATコントロールユニット10がリセットされたか否かを判断する。YES(ATCUリセット有り)の場合はエンドへ進み、NO(ATCUリセット無し)の場合はステップS3へ戻る。
次に、実施例1の作用を、「背景技術」、「潤滑ソレノイド故障時のフェールセーフ制御作用」に分けて説明する。
[背景技術]
既存の変速機ユニットでは自然潤滑であったが、コントロールバルブユニットに潤滑ソレノイドにより潤滑流量を制御する機能が新規に追加された。そのため、潤滑ソレノイドの故障モードとそれぞれの影響を新規に検討する必要が生じた。
そこで、潤滑ソレノイドの故障モードを明確にして、それに応じた処置を織り込むことにした。以下、(1)自己診断ポリシー、(2)システム概要、(3)潤滑ソレノイドの故障要因/故障モード分析、(4)課題を明確化、について説明する。
(1)自己診断ポリシー
自己診断開発で考慮すべき5つの要求(安全確保、法規対応、誤検知防止、PT保護、リンプホーム性確保)を達成できるようにする。
(2)システム概要
潤滑ソレノイドが持っている機能は、潤滑調圧弁制御機能(供給潤滑流量を適正化する)と、ブースト切換弁制御機能(遠心キャンセル室への油量を増大し、変速ラグを短縮する)と、P−nP切換弁制御機能(パークフックのロック/解放を行う)との3つである。
潤滑ソレノイドの機能毎の油圧の領域は、潤滑ソレノイドの油圧が、低油圧領域を潤滑調圧弁制御機能領域に割り当て、中油圧領域をブースト切換弁制御機能領域に割り当て、高油圧領域をP−nP切換弁制御機能領域に割り当てている。
正常時の潤滑流量マップについては、PT保護のために潤滑を適切に設定したいが、一方で燃費要求から潤滑量を絞りたいという要求と、潤滑流量を確保することによってトルクコンバータ油温をメカ保証温度以下とする要求と、を満足する設定としている(図6参照)。
(3)潤滑ソレノイドの故障要因/故障モード分析
潤滑ソレノイドの故障要因と故障モードの分析を、機能毎に実施した。
(a)潤滑量が指示より低く、連続変速を繰り返す走行シーンでクラッチ滑りからクラッチ焼けによる走行不能が発生する。
(b)連続変速や高負荷走行時に性能保証以上まで油温が上昇する。
(c)上記(a),(b)は、電気故障時に挙動が現れる前に検知でき、故障要因も特定できる。
(d)一方、機能故障時に上記(a)は他の油圧系失陥(変速系SOL、ライン圧SOL)と挙動が同じであり、切り分けできないが、クラッチ滑り時点で処置を行えば、安全性、PT保護、リンプホーム性のマスト要求は達成できる。
(4)課題の明確化
自己診断要求を達成するための課題を以下にまとめる。
・潤滑minかつ連続で変速を繰り返す走行シーンでクラッチ焼けを防止する。
・リンプホーム性をできるだけ悪化させない(即クラッチ焼けとはならないため、その保護のために故障グレードを悪化させない)。
[潤滑ソレノイド故障時のフェールセーフ制御作用]
本発明は、上記(4)課題の明確化において抽出した課題に着目してなされたものである。この課題を解決する手段として、潤滑ソレノイド22が故障すると、連続変速プロテクションでの推定放熱量を潤滑ソレノイド22の故障時放熱量に置き換え、置き換えた放熱量によりクラッチ温度を推定するクラッチ温度推定部10aを設ける。潤滑ソレノイド22の故障が判定され、且つ、クラッチ温度推定部10aからのクラッチ推定温度が所定温度以上になると、自動変速機3による変速を制限するフェールセーフ制御部10bを採用した。
即ち、クラッチ温度推定部10aの放熱係数を、連続変速プロテクションの最低潤滑流量相当に切り替え、クラッチ推定温度に応じて変速を制限することにより、課題であるPT保護とリンプホーム性を確保でき、自己診断ポリシーを満たすことができる。
主な変更点は、下記の通りである。
クラッチ温度推定部10aは、以下の3機能で構成されている。
(1)発熱量を演算する機能
(2)放熱量を演算する機能
(3)上記(1)(2)からクラッチ温度を推定する機能
よって、潤滑ソレノイド22の故障を検知した際、クラッチ温度推定部10aの上記(2)の機能に「放熱量を最低潤滑流量相当に切り替える機能」を追加する。なお、最低潤滑流量であっても、連続変速時以外では、クラッチ焼けに対するメカ保証に必要な潤滑流量を確保することができる。
次に、潤滑ソレノイド故障時のフェールセーフ制御処理作用を、図8のフローチャートに基づいて説明する。
潤滑ソレノイド22に電気故障が発生し、電気故障であると判定されると、図8のフローチャートにおいて、S1→S2→S3→S4→S5→S6へと進む。S3では最低潤滑圧を得る潤滑指令が出力され、S4では潤滑ソレノイド故障が報知される。S5ではクラッチ温度推定部10aからそのときのクラッチ推定温度が読み込まれ、S6ではクラッチ推定温度が変速制限閾値以上であるか否かが判断される。
S6で「クラッチ推定温度<変速制限閾値」であると判断されている間は、S6からS7へ進み、S3→S4→S5→S6→S7→S10へと進む流れが繰り返されて、潤滑ソレノイド22が電気故障と判定されても、変速が制限されることが無い。
一方、クラッチ推定温度が上昇し、S6で「クラッチ推定温度≧変速制限閾値」であると判断されると、S6からS9→S10へと進む。S9では、連続変速プロテクションによるアップシフトとダウンシフトを繰り返す変速を禁止し、連続変速プロテクション以外の変速を許容する変速制限が実行される。S10ではATCUリセットか否かが判断され、ATCUリセットでない間は、S3→S4→S5→S6→S9→S10へと進む流れが繰り返される。
変速制限が実行されている途中で変速制限によりクラッチ推定温度が低下し、S6で「クラッチ推定温度<変速制限閾値」であると判断されると、S6からS7→S8→S10へと進む。S8では、変速制限が解除される。変速制限が解除された後は、再び、S3→S4→S5→S6→S7→S10へと進む流れが繰り返されることになる。このフェールセーフ制御処理は、ATCUをリセットするまで保持されて、ATCUリセットになると、S10からエンドへ進み、終了する。
次に、潤滑ソレノイド故障時のフェールセーフ制御作用を、図9のタイムチャートに基づいて説明する。
時刻t1から時刻t2の区間は、潤滑ソレノイド22が正常な区間であり、タービントルクTtとタービン回転数Ntに応じた供給潤滑流量が得られる正常時の潤滑制御が実行される。
時刻t2にて潤滑ソレノイド22に電気故障が発生すると、時刻t2から時刻t3までは、潤滑ソレノイド22からの実圧や潤滑ソレノイド22への実電流は、故障したなりの値になる。また、時刻t2にて潤滑ソレノイド22に電気故障が発生すると、故障発生タイミングからクラッチ温度推定部10aにおいて、連続変速プロテクションでの推定放熱量を潤滑ソレノイド22の故障時放熱量に置き換え、置き換えた放熱量によりクラッチ温度を推定する演算が開始される。よって、時刻t2からのクラッチ推定温度(処置後の実線特性)は、放熱量が抑えられる分、通常の破線特性よりも高くなる。
時刻t2から所定時間を経過した時刻t3になると、潤滑ソレノイド22が電気故障であると判定され、時刻t3からATCUリセット時刻t7までは、潤滑ソレノイド22への指令電流が、最低潤滑流量とする値とされ、併せて、電気故障判定フラグが立てたままとされる。
フェールセーフ処置を開始する時刻t3から時刻t4までは、クラッチ推定温度が変速制限閾値未満であるため、変速が制限されない。しかし、時刻t4にてクラッチ推定温度が変速制限閾値以上になると、変速制限が開始される。変速制限が開始されると、上昇していたクラッチ推定温度が時刻t5から下降に転じ、時刻t6にてクラッチ推定温度が変速制限閾値未満になると、変速制限を終了する。時刻t6からATCUリセット時刻t7までは、クラッチ推定温度が変速制限閾値未満であるため、変速が制限されない。
このように、潤滑ソレノイド22の故障判定条件と、クラッチ推定温度が所定温度以上であるクラッチ推定温度条件とが共に成立する区間(時刻t4〜時刻t6)に限って、自動変速機3による変速が制限される。そして、変速制限は、連続変速プロテクションでのクラッチ焼けを防止するという課題を解決するため、連続変速プロテクションによるアップシフトとダウンシフトを繰り返す変速を禁止するものである。そして、リンプホーム性をできるだけ悪化させないという課題を解決するため、連続変速プロテクション以外の変速は許容される。
以上述べたように、実施例1の自動変速機3の制御装置にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
(1)複数の変速段を実現する自動変速機3と、自動変速機3のギヤトレーンに有する複数の摩擦要素への油圧を調圧するコントロールバルブユニット6と、コントロールバルブユニット6に有する各ソレノイドの制御を行う変速機コントロールユニット(ATコントロールユニット10)と、を備える。この自動変速機3の制御装置であって、コントロールバルブユニット6の油圧制御回路に、摩擦要素へ供給する潤滑流量を、発熱を抑える適正な流量に調圧する潤滑ソレノイド22を有する。
変速機コントロールユニット(ATコントロールユニット10)に、摩擦要素温度を発熱量と放熱量とから推定する摩擦要素温度推定部(クラッチ温度推定部10a)と、潤滑ソレノイド22の故障モードを対策するフェールセーフ制御部10bとを有する。
摩擦要素温度推定部(クラッチ温度推定部10a)は、潤滑ソレノイド22が故障すると、連続変速プロテクションでの推定放熱量を潤滑ソレノイド22の故障時放熱量に置き換え、置き換えた放熱量により摩擦要素温度(クラッチ温度)を推定する。
フェールセーフ制御部10bは、潤滑ソレノイド22の故障が判定され、且つ、摩擦要素温度推定部(クラッチ温度推定部10a)からのクラッチ推定温度(摩擦要素推定温度)が所定温度以上になると、自動変速機3による変速を制限する。
このため、潤滑ソレノイド22が故障した際、乗員に違和感を与えることなく、摩擦要素の熱負荷増大を抑制することができる。
即ち、潤滑ソレノイド22が故障すると、連続変速時にクラッチ焼けが発生するのを防止するため、高熱負荷変速パターンである連続変速プロテクションでの推定放熱量に基づいて摩擦要素温度を推定する。そして、摩擦要素の熱対策として、変速機入力トルクを制限するエンジントルクダウンによる対策ではなく、乗員に違和感を与えない変速を制限する対策を採用する。
(2)摩擦要素温度推定部(クラッチ温度推定部10a)は、連続変速プロテクションでの推定放熱量を、連続変速プロテクションでの最小放熱量とする。
このため、潤滑ソレノイド22が故障した際、ソレノイド故障状態で連続変速が行われるときにクラッチ滑り等が発生するのを未然に防止することができる。
即ち、クラッチ推定温度を演算する際に用いる放熱量として連続変速プロテクションでの最小放熱量を用いることで、例えば、連続変速プロテクションでの平均放熱量を用いる場合に比べ、クラッチ推定温度の温度上昇勾配が高いものになる。このため、変速制限を開始するタイミングが早期になり、ソレノイド故障状態で連続変速が行われるときに変速制限の開始遅れが防止される。
(3)潤滑ソレノイド22は、連続変速プロテクション以外のときに摩擦要素の発熱を抑える最低潤滑流量をメカ保証し、最低潤滑流量に上乗せされる潤滑流量分を調整するソレノイドである。
このため、潤滑ソレノイド22が故障した際、連続変速プロテクション以外のときに摩擦要素の熱負荷増大を抑制することができる。
即ち、潤滑ソレノイド22は、連続変速プロテクション以外のときに摩擦要素の発熱を抑える最低潤滑流量を保証する機能を有する。よって、連続変速プロテクション以外であれば最低潤滑流量によって摩擦要素の熱負荷増大が抑制される。
(4)フェールセーフ制御部10bは、クラッチ推定温度(摩擦要素推定温度)の所定温度を、摩擦要素の締結による走行性能が保証される変速制限閾値に設定する。
このため、潤滑ソレノイド22の電気故障した際、連続変速プロテクションであっても摩擦要素の焼き付きにより走行不能が発生するのを防止することができる。
即ち、変速制限閾値を、摩擦要素の締結による走行性能が保証される値とすることで、連続変速プロテクションであっても、クラッチ滑りからのクラッチ焼けによる走行不能が発生する前に変速制限を開始することができる。
(5)フェールセーフ制御部10bは、クラッチ推定温度(摩擦要素推定温度)が変速制限閾値以上になると、連続変速プロテクションによるアップシフトとダウンシフトを繰り返す変速を禁止し、連続変速プロテクション以外の変速を許容する。
このため、潤滑ソレノイド22の故障によって変速制限された際、パワートレーン保護とリンプホーム性確保を達成することができる。
即ち、連続変速プロテクションが禁止されると、連続変速プロテクション以外の変速に対しては最低潤滑流量によって発熱が抑えられ、パワートレーンが保護される。そして、連続変速プロテクション以外の変速が許容されることで、潤滑ソレノイド22の故障後にディラーや自宅等まで走行する際、登り坂等でダウンシフトが要求されてもこれに応えることができ、リンプホーム性が確保される。
以上、本発明の自動変速機の制御装置を実施例1に基づいて説明してきた。しかし、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、クラッチ温度推定部10a及びフェールセーフ制御部10bとして、潤滑ソレノイド22の電気故障を対象としてフェールセーフ制御を実行する例を示した。しかし、クラッチ温度推定部及びフェールセーフ制御部として、潤滑ソレノイドの機能故障を対象としてフェールセーフ制御を実行する例としても良い。潤滑ソレノイドの機能故障は、ギヤ比の乖離判定が行われると、コントロールバルブユニットに有する各ソレノイドの何れかが故障であると判定し、クラッチ温度推定部において、連続変速プロテクションでの推定放熱量を用いてクラッチ温度を推定する。その後、ライン圧ソレノイドやシフトソレノイドの作動を確認して、ライン圧ソレノイドやシフトソレノイドが正常に作動していることが判定されると、ギヤ比の乖離原因が潤滑ソレノイドにあるとして、潤滑ソレノイドが機能故障であると判定する。
実施例1では、フェールセーフ制御部10bとして、連続変速プロテクションによるアップシフトとダウンシフトを繰り返す変速を禁止し、連続変速プロテクション以外の変速を許容するという、変速制限の一例を示した。しかし、フェールセーフ制御部としては、自動変速機の変速の全てを禁止し、変速段を固定する変速制限にしても良い。
実施例1では、自動変速機として、前進9速後退1速の自動変速機3の例を示した。しかし、自動変速機としては、前進9速後退1速以外の有段変速段を持つ自動変速機の例としても良い。また、実施例1では、エンジン車に搭載される自動変速機の制御装置の例を示したが、エンジン車に限らず、ハイブリッド車や電気自動車等の自動変速機の制御装置としても適用することが可能である。

Claims (5)

  1. 複数の変速段を実現する自動変速機と、前記自動変速機のギヤトレーンに有する複数の摩擦要素への油圧を調圧するコントロールバルブユニットと、前記コントロールバルブユニットに有する各ソレノイドの制御を行う変速機コントロールユニットと、を備える自動変速機の制御装置であって、
    前記コントロールバルブユニットの油圧制御回路に、前記摩擦要素へ供給する潤滑流量を、発熱を抑える適正な流量に調圧する潤滑ソレノイドを有し、
    前記変速機コントロールユニットに、摩擦要素温度を発熱量と放熱量とから推定する摩擦要素温度推定部と、前記潤滑ソレノイドの故障モードを対策するフェールセーフ制御部とを有し、
    前記摩擦要素温度推定部は、前記潤滑ソレノイドが故障すると、連続変速プロテクションでの推定放熱量を前記潤滑ソレノイドの故障時放熱量に置き換え、置き換えた放熱量により摩擦要素温度を推定し、
    前記フェールセーフ制御部は、前記潤滑ソレノイドの故障が判定され、且つ、前記摩擦要素温度推定部からの摩擦要素推定温度が所定温度以上になると、前記自動変速機による変速を制限する、
    自動変速機の制御装置。
  2. 請求項1に記載された自動変速機の制御装置において、
    前記摩擦要素温度推定部は、前記潤滑ソレノイドに電気故障が発生したときに、前記連続変速プロテクションでの推定放熱量を、前記連続変速プロテクションでの最小放熱量とする、
    自動変速機の制御装置。
  3. 請求項2に記載された自動変速機の制御装置において、
    前記潤滑ソレノイドは、前記連続変速プロテクション以外のときに前記摩擦要素の発熱を抑える最低潤滑流量をメカ保証し、前記最低潤滑流量に上乗せされる潤滑流量分を調整するソレノイドである、
    自動変速機の制御装置。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載された自動変速機の制御装置において、
    前記フェールセーフ制御部は、前記摩擦要素推定温度の所定温度を、前記摩擦要素の締結による走行性能が保証される変速制限閾値に設定する、
    自動変速機の制御装置。
  5. 請求項4に記載された自動変速機の制御装置において、
    前記フェールセーフ制御部は、前記摩擦要素推定温度が前記変速制限閾値以上になると、前記連続変速プロテクションによるアップシフトとダウンシフトを繰り返す変速を禁止し、前記連続変速プロテクション以外の変速を許容する、
    自動変速機の制御装置。
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