以下図面を参照しながら、本発明の質量推定装置の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。以下の実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
<第1実施形態>
本発明の質量推定装置の第1実施形態に係るX線検査装置10について説明する。
(1)X線検査装置を備えたランク選別システム
初めに、X線検査装置10を備えたランク選別システム100の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るX線検査装置10を有するランク選別システム100の概略構成図である。
ランク選別システム100は、次々と搬送されてくる食品等の物品の推定質量を算出するとともに、算出された推定質量に基づいて物品のランクを判定し、物品をランク別に仕分けるシステムである。
以下の説明では、ランク選別システム100において推定質量の算出の対象となる(ランク別の仕分けの対象となる)物品を、参照符号Aを付して物品Aと称する。なお、図1のように、推定質量の算出の対象となる全ての物品に同一の参照符号Aが付されているが、これは全ての物品が均一であることを意味するものではない。物品には、その質量に個体差がある。また、図1中では同じ大きさの同じ形状の四角形で物品Aを描画しているが、物品Aのサイズ(例えば体積、面積、物品長、周囲長等)や形状には個体差がある。物品Aは、例えば、農産物、海産物、畜産物等の自然物である。
ランク選別システム100は、主に、前段コンベア70、X線検査装置10、後段コンベア80、及び振分装置90を備える。
前段コンベア70は、物品AをX線検査装置10まで搬送する。X線検査装置10は、前段コンベア70により搬送されてきた物品Aを更に搬送しながら、物品Aの推定質量を算出し、算出した推定質量に基づいて物品Aのランクを判定する。X線検査装置10のランク判定結果は、振分装置90に送信される。後段コンベア80は、X線検査装置10によるランク判定後の物品Aを搬送する。振分装置90は、後段コンベア80に沿って設けられている。振分装置のタイプを限定するものではないが、例えば、振分装置90は、後段コンベア80の搬送路上に張り出すように回動可能なアーム部材91を複数有する。複数のアーム部材91は、後段コンベア80に沿って並べて配置されている。複数のアーム部材91のそれぞれは、物品Aの所定の1のランクと対応付けられている。振分装置90は、ランク判定済みの物品Aが後段コンベア80により搬送される時に、ランク判定の結果にしたがって、その物品Aのランクと対応付けられたアーム部材91を後段コンベア80の搬送路上に張り出させ、物品Aを後段コンベア80外へと導く。アーム部材91により後段コンベア80外に導かれた物品は、そのアーム部材91に対応するケース(ランク別に設けられたケース)へと入る。
なお、以下の説明では、X線検査装置10の質量推定機能及び質量に基づくランク判定機能に着目して説明するが、X線検査装置10は、他の機能、例えば物品Aへの異物の混入の有無の検査機能を有してもよい。そして、X線検査装置10により異物が混入していると判定された物品Aは、ランク選別システム100外に排出されるように構成されてもよい。
(2)X線検査装置
以下に、図面を参照しながらX線検査装置10について説明する。
図2は、X線検査装置10の外観斜視図である。図3は、X線検査装置10のシールドボックス11の内部を模式的に示した内部構成図である。図4は、X線検査装置10のX線ラインセンサ14による物品を通過するX線の測定について説明するための図である。図5は、X線検査装置10のブロック構成図である。
なお、以下の説明では、「上」、「下」、「左」、「右」、「前(正面)」、「後(背面)」等の方向を示す表現を用いる場合がある。特に断りのない場合、これらの方向は、図2、図3中に矢印で示した方向を示している。
X線検査装置10は、シールドボックス11と、コンベア12と、X線照射器13と、X線ラインセンサ14と、タッチパネルモニタ30と、コンピュータ20とを主に有する(図2、図3及び図5参照)。
(2−1)シールドボックス
シールドボックス11は、コンベア12、X線照射器13、X線ラインセンサ14及びコンピュータ20等のX線検査装置10の各種構成を内部に収容するケーシングである。
シールドボックス11の正面上部には、タッチパネルモニタ30や、操作のためのスイッチ等が配置されている(図2参照)。
シールドボックス11の左右の側面のそれぞれには、物品Aをシールドボックス11の内部(検査空間)に搬入し、物品Aをシールドボックス11の外部に搬出するための開口11aが形成されている(図2参照)。開口11aは、シールドボックス11の外部へのX線の漏洩を防止するために、遮蔽ノレン(図示せず)により塞がれている。遮蔽ノレンは、例えば、鉛やタングステンを含むゴム製である。遮蔽ノレンは、物品Aが開口11aを通過する際に、物品Aによって押しのけられるように構成されている。
(2−2)コンベア
コンベア12は、主にシールドボックス11内において物品Aを搬送する。
コンベア12は、コンベアベルト12a、ローラ12b、コンベアモータ12c及びエンコーダ12dを有する(図3及び図5参照)。
コンベアベルト12aは、無端状のベルトである。コンベアベルト12aは、図2に示すように、シールドボックス11の両側面に形成された開口11aを貫通するように配置されている。コンベアベルト12aは、駆動ローラを含むローラ12bに掛け回されている(図3参照)。コンベアベルト12aは、駆動ローラがコンベアモータ12cによって駆動されることで回転し、コンベアベルト12a上に載置された物品Aを搬送する。
後述するコンピュータ20は、コンベア12の搬送速度が所定の速度になるように、コンベアモータ12cをインバータ制御する。コンベアモータ12cには、コンベア12の搬送速度を検出してコンピュータ20に送る、エンコーダ12dが装着されている(図5参照)。
(2−3)X線照射器
X線照射器13は、照射部の一例である。X線照射器13は、質量推定の対象である物品Aに電磁波の一例としてのX線を照射する。
X線照射器13は、図2に示すように、物品Aを搬送するコンベア12の上方に配置されている。X線照射器13は、下方のX線ラインセンサ14に向けてX線を照射する。X線照射器13は、扇状の照射範囲XにX線を照射する(図3参照)。
(2−4)X線ラインセンサ
X線ラインセンサ14は、物品Aを通過(透過)したX線の量を測定する測定部の一例である。
X線ラインセンサ14は、物品Aを搬送するコンベア12の下方に配置されている。X線ラインセンサ14は、主に、多数の画素センサ14aを有する。画素センサ14aは、コンベア12の搬送方向に直交する向きに直線状に配置されている。複数の画素センサ14aは、水平に並べられている。
各画素センサ14aは、物品Aやコンベア12を通過したX線を検出し、X線透視像信号を出力する。X線透視像信号は、X線の明るさを示す信号である。言い換えれば、X線透視像信号は、物品Aを通過した検出したX線の量に対応する信号である。つまり、X線ラインセンサ14は、物品Aを通過したX線の量を測定する。
(2−5)光電センサ
光電センサ15は、物品Aが扇状のX線の照射範囲X(図3参照)を通過するタイミングを検知するための同期センサである(図5参照)。光電センサ15は、主として、コンベア12を挟んで配置される一対の投光器(図示せず)及び受光器(図示せず)から構成されている。
なお、本実施形態では、光電センサ15を用いて物品AがX線の照射範囲Xを通過するタイミングが検知されるが、タイミングの検知方法は例示であって、これに限定されるものではない。例えば、X線検査装置10は、X線ラインセンサ14の検出するX線透過像信号を利用して、物品AがX線の照射範囲Xを通過するタイミングを検知してもよい。
(2−6)タッチパネルモニタ
タッチパネルモニタ30は、フルドット表示の液晶ディスプレイである。タッチパネルモニタ30には、X線検査装置10が算出する物品Aの推定質量の値や、X線検査装置10が行う物品Aのランク判定結果等が表示される。また、タッチパネルモニタ30は、X線検査装置10が動作・処理を行う上で必要となる各種設定の入力をオペレータに促す画面を表示する。
また、タッチパネルモニタ30は入力部の一例である。タッチパネルモニタ30は、タッチパネル機能を有し、オペレータによる各種設定の入力を受け付ける。
(2−7)コンピュータ
コンピュータ20は、X線検査装置10の各部の動作の制御や、物品Aの推定質量の算出やランク判定を行う。
コンピュータ20は、主に、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリーメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ハードディスク等を有している。さらに、コンピュータ20は、タッチパネルモニタ30のデータ表示を制御する表示制御回路(図示せず)、タッチパネルモニタ30を介してオペレータにより入力されたキー入力データを取り込むキー入力回路(図示せず)、プリンタ(図示せず)等の外部機器やLAN等のネットワークとの接続を可能にする通信ポート(図示せず)等も有している。コンピュータ20の各部は、アドレスバスやデータバス等のバスラインを介して相互に接続されている。
コンピュータ20は、コンベアモータ12c、エンコーダ12d、X線照射器13、X線ラインセンサ14、及び光電センサ15等のX線検査装置10の各部に接続されている。コンピュータ20は、コンベアモータ12cやX線照射器13等の動作を制御する。また、コンピュータ20は、エンコーダ12dが検出したコンベア12の搬送速度や、X線ラインセンサ14が測定した物品Aを通過したX線の量(X線透過像信号)や、光電センサ15の物品Aの検知結果等を受け付ける。
ROMやハードディスク等を含むコンピュータ20の記憶部22には、例えば、画像生成モジュール、相関情報学習モジュール、仮質量算出モジュール、質量推定モジュール及びランク判定モジュールを含む各種プログラムが格納されている。CPUは、記憶部22に格納されている各種プログラムを実行し、制御処理部21として機能する。また、記憶部22には、X線検査装置10による質量推定及びランク判定に必要な各種設定や、物品Aの質量推定結果及びランク判定結果が保存される。記憶部22に記憶される各種設定は、タッチパネルモニタ30からの入力によって変更(設定)可能に構成されている。
(2−7−1)制御処理部
制御処理部21は、X線検査装置10の各部の動作の制御や、物品Aの推定質量の算出やランク判定等の処理を行う。
ここでは、制御処理部21の機能のうち、画像生成機能、相関情報学習機能、仮質量算出機能、質量推定機能及びランク判定機能について説明する。なお、ここでは、画像生成機能、相関情報学習機能、仮質量算出機能、質量推定機能及びランク判定機能を行う機能部を、それぞれ、画像生成部21a、相関情報学習部21b、仮質量算出部21c、質量推定部21d及びランク判定部21eと呼ぶ。
初めに、各機能部の機能について概略を説明する。
画像生成部21aは、X線ラインセンサ14から出力されるX線透視像信号に基づいて物品AのX線透過画像を生成する。
仮質量算出部21cは、X線ラインセンサ14の物品Aを通過したX線の量の測定結果に基づいて、物品Aの仮推定質量を算出する。具体的には、仮質量算出部21cは、物品AのX線ラインセンサ14のX線透過像信号に基づき画像生成部21aが生成した物品AのX線透過画像に基づいて、物品Aの仮推定質量を算出する。
質量推定部21dは、X線ラインセンサ14の物品Aを通過したX線の量の測定結果と、仮質量算出部21cが算出したその物品Aの仮推定質量とに基づいて、物品Aの推定質量を算出する。具体的には、質量推定部21dは、物品AのX線ラインセンサ14のX線透過像信号に基づき画像生成部21aが生成した物品AのX線透過画像と、仮質量算出部21cが算出したその物品Aの仮推定質量とに基づいて、物品Aの推定質量を算出する。
なお、仮質量算出部21cが算出する物品Aの仮推定質量は、最終的な物品Aの質量(質量推定部21dがX線検査装置10の最終的な推定結果として算出する質量)の推定に用いられる仮物理量である。なお、以下では、混同を避けることを目的として、仮質量算出部21cが算出する物品Aの推定質量を第1推定質量と呼び、質量推定部21dが算出する物品Aの推定質量を第2推定質量と呼ぶ場合がある。
相関情報学習部21bは、仮質量算出部21cが物品Aの仮推定質量を算出(導出)するために用いる概略質量相関情報を学習する。また、相関情報学習部21bは、質量推定部21dが物品Aの推定質量を算出するために用いる質量相関情報を学習(導出)する。
ランク判定部21eは、質量推定部21dにより算出された物品Aの推定質量に基づいて、物品Aのランクを判定する。
以下に、各機能部について更に説明する。
(2−7−1−1)画像生成部
画像生成部21aは、X線ラインセンサ14から出力されるX線透視像信号に基づいて、物品AのX線透過画像を生成する。画像生成部21aは、物品Aが扇状のX線の照射範囲X(図2参照)を通過する時にX線ラインセンサ14の各画素センサ14aから出力されるX線透視像信号を細かい時間間隔で取得し、取得したX線透視像信号に基づいて物品AのX線透過画像を生成する。すなわち、画像生成部21aは、X線ラインセンサ14の各画素センサ14aから得られるX線の明るさに関する細かい時間間隔毎のデータをマトリクス状に時系列につなぎ合わせることにより、物品Aを写すX線透過画像を生成する。なお、物品Aが扇状のX線の照射範囲Xを通過するタイミングは、光電センサ15からの信号と、コンベア12の搬送速度とにより判断される。
(2−7−1−2)相関情報学習部
相関情報学習部21bは、仮質量算出部21cが仮推定質量(第1推定質量)の算出に使用する概略質量相関情報を導出(学習)する。相関情報学習部21bが導出した概略質量相関情報は、記憶部22の概略質量相関情報記憶領域22aに記憶される。
また、相関情報学習部21bは、質量推定部21dが推定質量(第2推定質量)の算出に使用する質量相関情報を導出(学習)する。相関情報学習部21bが導出した質量相関情報は、記憶部22の質量相関情報記憶領域22bに記憶される。
概略質量相関情報は、物品を通過したX線の量と、X線が通過した部分の物品の質量との相関を表す情報である。本実施形態では、概略質量相関情報は、物品を通過したX線の量と、X線が通過した部分の物品の質量との相関を表す関数の定数である。
概略質量相関情報は、質量推定の対象となる物品の種類毎に学習され、記憶部22の概略質量相関情報記憶領域22aに物品の種類毎に記憶される。なお、ここでは、例えば同一種類の物品(例えばアスパラガスという野菜)であっても、品種や、産地の違い等によって異なる種類の物品として取り扱われてもよい。相関情報学習部21bは、例えばX線検査装置10で、ある種類の物品の質量の推定が初めて行われる前に、その物品についての概略質量相関情報を学習する。好ましくは、相関情報学習部21bは、検査対象の物品の種類毎に、1つの概略質量相関情報を学習する。
質量相関情報は、物品を通過したX線の量と、X線が通過した部分の物品の質量との相関を表す情報である。質量相関情報は、概略質量相関情報を用いて算出される第1推定質量よりも精度の良い第2推定質量を算出するために用いる情報である。
質量相関情報は、物品の種類毎であって、更に物品の質量帯毎(仮推定質量の値の範囲別)に学習され、記憶部22の質量相関情報記憶領域22bに物品の種類毎に記憶される情報である。例えば、本実施形態では、相関情報学習部21bは、ある種類の物品の質量相関情報として、質量の値が境界値Y1より小さい場合(第1質量帯)についての第1質量相関情報と、質量の値がY1以上でY2より小さい場合(第2質量帯)についての第2質量相関情報と、質量の値がY2以上の場合(第3質量帯)についての第3質量相関情報とを導出する。なお、質量相関情報は、3つの質量帯について導出される必要はなく、例えば、2つの質量帯、又は、4つ以上の質量帯について導出されてもよい。精度の良い物品の質量推定のためには、物品の種類毎に、少なくとも3つの質量帯について質量相関情報が導出されることが好ましい。
以下に、物品Aについての概略質量相関情報及び質量相関情報の学習について、図6のフローチャートを参照しながら説明する。
概略質量相関情報及び質量相関情報の学習は、例えば、ある種類の物品Aの質量の推定がX線検査装置10により初めて行われる前に行われる。なお、以下で説明する処理の内容は例示であって、発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更されてもよい。また、例えば、図6のフローチャート中の処理の順序は発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更されてもよく、また発明の要旨を変更しない範囲で一部の処理が他の処理と同時に実行されてもよい。
本実施形態では、初めに概略質量相関情報が導出され、その後に質量相関情報が導出される。概略質量相関情報及び質量相関情報の学習処理は、例えばオペレータがタッチパネルモニタ30から入力する学習処理の実行指令に応じて開始される。
まず、ステップS1では、質量が既知の(例えば、X線検査装置10に要求される質量推定の精度よりも精度の高い電子秤等で質量を計測済みの)物品A(第1サンプル)がコンベア12で搬送され、搬送中の第1サンプルに対してX線照射器13がX線を照射する。また、ステップS1では、画像生成部21aが、第1サンプルが扇状のX線の照射範囲X(図2参照)を通過する時にX線ラインセンサ14の各画素センサ14aから出力されるX線透視像信号を細かい時間間隔で取得し、取得したX線透視像信号に基づいて第1サンプルのX線透過画像を生成する。画像生成部21aが取得する第1サンプルについてのX線透視像信号は、第1サンプルを通過したX線の量のX線ラインセンサ14による測定結果である。
なお、第1サンプルには、その質量が物品Aの質量の代表値に近い物品が使用されることが好ましい。物品Aの質量の代表値とは、物品Aの質量を代表するような値、例えば、無作為に選択した多数の物品Aの質量の平均値、中央値、最頻値等である。また、ここでは、質量が物品Aの質量の代表値に近いとは、例えば質量の値が代表値の±10%の範囲内にあることを意味する。ここでは、第1サンプルの質量をM1とする。
次に、ステップS2では、相関情報学習部21bは、第1サンプルを通過したX線の量のX線ラインセンサ14による測定結果に基づいて、概略質量相関情報を導出する。具体的には、相関情報学習部21bは、X線ラインセンサ14の各画素センサ14aから出力されるX線透視像信号に基づき画像生成部21aが生成する第1サンプルのX線透過画像に基づいて、概略質量相関情報を導出する。
概略質量相関情報の導出の方法について詳しく説明する。
画像生成部21aにより生成されるX線透過画像では、その画素に対応するX線透視像信号が示すX線の明るさが暗いほど(言い換えれば、画素センサ14aにより検出されるX線の量が少ないほど)、輝度が低く(暗く)表わされる。そして、同じ物質を通過したX線であれば、X線の照射方向に厚みのある物質を通過するほど画素センサ14aが検出するX線の量が減少し、画素センサ14aが出力するX線透視像信号に対応する画素の輝度は低くなる。
そして、X線透過画像上の、物品Aの厚さtの部分を通過したX線の量に対応する画素の明るさIは、物品Aの存在しない部分を通過したX線の量に対応する画素の明るさをI0とした場合、以下の式(1)によって表すことができる。
I/I0=e-μt ・・・(1)
ここで、μは、X線のエネルギーと物質の種類とに応じて定まる線吸収係数である。式(1)を物質の厚さtについて解くと、以下の式(2)のようになる。
t=−1/μ×ln(I/I0) ・・・(2)
X線透過画像の1つの画素に対応する物品Aの微小部位の質量は、当該微小部位の厚さに比例する。したがって、明るさIの画素の写す内容物の微小部位の質量mは、適当な定数αを用いれば、以下の式(3)によって近似的に算出される。なお、式(3)をグラフで表すと、図7の概略質量推定カーブのように表すことができる。
m=−αln(I/I0) ・・・(3)
定数αを導出することができれば、物品AのX線透過画像中の物品Aを構成する全ての画素(物品Aの存在しない部分を通過したX線の量に対応する画素よりも暗い画素)に対応する質量mを算出して足し合わせることにより、物品A全体の質量を推定することができる。
相関情報学習部21bは、ステップS2において、式(3)中の定数αの値を概略質量相関情報として導出する。具体的には、第1サンプル全体の質量M1は既知であり、第1サンプルのX線透過画像中の第1サンプルを構成する全ての画素に対応する質量mを算出して足し合わせた値は質量M1と等しくなることを利用して、相関情報学習部21bは、定数αの値を導出する。
なお、精度の良い概略質量相関情報を導出するために、ステップS1及びステップS2が繰り返し行われてもよい。そして、相関情報学習部21bは、各ステップS2で得られる定数αの平均値を概略質量相関情報として導出してもよい。
次に、ステップS3では、相関情報学習部21bは、第1サンプルを通過したX線の量のX線ラインセンサ14による測定結果に基づいて、境界値Y1以上かつ境界値Y2(Y2>Y1)より小さい質量帯(第2質量帯)についての質量相関情報(第2質量相関情報)を導出する。
なお、境界値Y1は、例えば物品Aの質量の最大値(物品Aが取ると想定される最大の質量)の1/3の値である。また、境界値Y2は、例えば物品Aの質量の最大値の2/3の値である。ここでは、第1サンプルの質量M1は、境界値Y1と境界値Y2との間の値である。第1サンプルの質量M1は、例えば、境界値Y1と境界値Y2との平均値に近い値や、第2質量帯に含まれる物品Aの質量の代表値(平均値、中央値、最頻値等)に近い値であることが好ましい。
境界値Y1及び境界値Y2は、タッチパネルモニタ30によりオペレータが入力可能(変更可能)に構成されることが好ましい。境界値Y1及び境界値Y2をタッチパネルモニタ30により設定可能とすることで、必要に応じて、どの質量に対して第1質量相関情報、第2質量相関情報、及び第3質量相関情報のいずれを使用するかを変更できる。その結果、質量推定部21dによる物品Aの質量推定の精度の改善を図ることができる。
相関情報学習部21bによる第2質量相関情報(第2質量帯の質量相関情報)の導出方法は、上述した概略質量相関情報の導出方法と同様である。そして、相関情報学習部21bが導出する第2質量相関情報、つまり、相関情報学習部21bが導出する第2質量相関情報としての式(3)における定数αの値は、概略質量相関情報としての式(3)における定数αの値と同じである。
なお、第2質量相関情報の導出方法は例示であって、これに限定されるものではない。例えば、第1サンプルの質量M1が、第2質量帯内に含まれない場合や、境界値Y1と境界値Y2との平均値や第2質量帯に含まれる物品Aの質量の代表値と大きく相違する場合には、第1サンプルとは異なる物品Aのサンプル(第4サンプル)を用いてステップS1と同様の処理が行われてもよい。そして、相関情報学習部21bは、その結果得られる第4サンプルのX線透過画像を用いて、ステップS2と同様の処理により第2質量相関情報を導出してもよい。なお、このようにして第2質量相関情報を導出する場合には、第4サンプルの質量は、境界値Y1と境界値Y2との平均値に近い値や、第2質量帯に含まれる物品Aの質量の代表値(平均値、中央値、最頻値等)に近い値であることが好ましい。
次に、ステップS4では、質量が既知の、第1サンプルとは異なる質量の物品A(第2サンプル)がコンベア12で搬送され、搬送中の第2サンプルに対してX線照射器13がX線を照射する。また、ステップS4では、画像生成部21aは、第2サンプルが扇状のX線の照射範囲X(図2参照)を通過する時にX線ラインセンサ14の各画素センサ14aから出力されるX線透視像信号を細かい時間間隔で取得し、取得したX線透視像信号に基づいて第2サンプルのX線透過画像を生成する。画像生成部21aが取得する第2サンプルについてのX線透視像信号は、第2サンプルを通過したX線の量のX線ラインセンサ14による測定結果である。
なお、第2サンプルには、境界値Y2以上の質量範囲(第3質量帯)に含まれる質量の物品Aが用いられる。特に、第2サンプルの質量M2は、例えば物品Aの質量の最大値(物品Aが取ると想定される最大の質量)と境界値Y2との平均値に近い値や、第3質量帯に含まれる物品Aの質量の代表値(平均値、中央値、最頻値等)に近い値であることが好ましい。
次に、ステップS5では、相関情報学習部21bは、第2サンプルを通過したX線の量のX線ラインセンサ14による測定結果に基づいて、境界値Y2以上の質量帯(第3質量帯)についての質量相関情報(第3質量相関情報)を導出する。
相関情報学習部21bによる第3質量相関情報の導出方法は、上述したステップS2の概略質量相関情報の導出方法と同様である。相関情報学習部21bが導出する第3質量相関情報、つまり式(3)における定数αの値は、概略質量相関情報とは通常異なる値である。言い換えれば、図8(a)のように、第3質量帯の質量推定カーブは、通常、同質量帯における概略質量推定カーブとは一致しない。
なお、精度の良い第3質量相関情報を導出するために、ステップS4及びステップS5が繰り返し行われてもよい。そして、相関情報学習部21bは、各ステップS5で得られる定数αの平均値を第3質量相関情報として導出してもよい。
次に、ステップS6では、質量が既知の、第1サンプル及び第2サンプルとは異なる質量の物品A(第3サンプル)がコンベア12で搬送され、搬送中の第3サンプルに対してX線照射器13がX線を照射する。また、ステップS6では、画像生成部21aは、第3サンプルが扇状のX線の照射範囲X(図2参照)を通過する時にX線ラインセンサ14の各画素センサ14aから出力されるX線透視像信号を細かい時間間隔で取得し、取得したX線透視像信号に基づいて第3サンプルのX線透過画像を生成する。画像生成部21aが取得する第3サンプルについてのX線透視像信号は、第3サンプルを通過したX線の量のX線ラインセンサ14による測定結果である。
なお、第3サンプルには、境界値Y1より小さい質量範囲(第1質量帯)に含まれる質量の物品Aが用いられる。特に、第3サンプルの質量M3は、例えば境界値Y1の1/2に近い値や、第1質量帯に含まれる物品Aの質量の代表値(平均値、中央値、最頻値等)に近い値であることが好ましい。
次に、ステップS7では、相関情報学習部21bは、第3サンプルを通過したX線の量のX線ラインセンサ14による測定結果に基づいて、境界値Y1より小さい質量帯(第1質量帯)についての質量相関情報(第1質量相関情報)を導出する。
相関情報学習部21bによる第1質量相関情報の導出方法は、上述したステップS2の概略質量相関情報の導出方法と同様である。相関情報学習部21bが導出する第1質量相関情報、つまり式(3)における定数αの値は、概略質量相関情報とは通常異なる値である。言い換えれば、図8(b)のように、第1質量帯の質量推定カーブは、通常、同質量帯における概略質量推定カーブとは一致しない。
なお、精度の良い第1質量相関情報を導出するために、ステップS6及びステップS7が繰り返し行われてもよい。そして、相関情報学習部21bは、各ステップS7で得られる定数αの平均値を第1質量相関情報として導出してもよい。
なお、本実施形態では、概略質量相関情報及び質量相関情報は、関数(3)の定数αであるが、これに限定されるものではない。例えば、概略質量相関情報及び質量相関情報(第1〜第3質量相関情報)は、物品Aを透過したX線の透過量と、X線が透過した部分の物品Aの質量とを関連付けた表であってもよい。
(2−7−1−3)仮質量算出部
仮質量算出部21cは、仮物理量算出部の一例である。仮質量算出部21cは、相関情報学習部21bにより導出され、記憶部22の概略質量相関情報記憶領域22aに記憶された概略質量相関情報と、X線ラインセンサ14が測定した物品Aを通過したX線の量に基づいて、物品Aの仮推定質量(第1推定質量)を仮物理量として算出する。
具体的には、仮質量算出部21cは、記憶部22の概略質量相関情報記憶領域22aに記憶された概略質量相関情報と、X線ラインセンサ14の測定結果から得られたX線透過画像とに基づいて、物品Aの第1推定質量を算出する。より具体的には、仮質量算出部21cは、概略質量相関情報としての式(3)の定数αを利用して、物品AのX線透過画像中の物品Aを構成する全ての画素について、各画素に対応する物品Aの微小部位の質量を算出し、これを足し合わせることにより物品Aの仮推定質量(第1推定質量)を算出する。
(2−7−1−4)質量推定部
質量推定部21dは、相関情報学習部21bにより導出され、記憶部22の質量相関情報記憶領域22bに記憶された質量帯毎の質量相関情報(第1質量相関情報〜第3質量相関情報)の中から、仮質量算出部21cが算出した第1推定質量が属する質量帯に対応する質量相関情報を選択する。
そして、質量推定部21dは、選択した質量相関情報、及び、X線ラインセンサ14が測定した物品Aを通過したX線の量に基づいて、物品Aの質量を推定する(第2推定質量を算出する)。具体的には、質量推定部21dは、選択した記憶部22の質量相関情報記憶領域22bに記憶された質量相関情報と、X線ラインセンサ14の測定結果から得られたX線透過画像とに基づいて、物品Aの第2推定質量を算出する。より具体的には、質量推定部21dは、選択された質量相関情報としての式(3)の定数αを利用して、物品AのX線透過画像中の物品Aを構成する全ての画素について、各画素に対応する物品Aの微小部位の質量を算出し、これを足し合わせることにより、物品Aの質量を推定する(第2推定質量を算出する)。
(2−7−1−5)ランク判定部
ランク判定部21eは、質量推定部21dにより算出された物品Aの推定質量(第2推定質量)に基づいて、物品Aのランクを判定する。ランク判定部21eは、質量推定部21dにより算出された物品Aの推定質量が、例えばタッチパネルモニタ30を介して設定された5つの質量範囲のいずれに入るかを判断し、該当すると判断された質量範囲に対応するランクにその物品Aが属すると判定する。
(3)X線検査装置による質量推定及びランク判定
以下に、X線検査装置10が行う物品Aの質量推定及びランク判定について、図9のフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下で説明する処理の内容は例示であって、発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更されてもよい。
なお、X線検査装置10が物品Aの質量推定及びランク判定を開始する際には、記憶部22の概略質量相関情報記憶領域22aには概略質量相関情報が、質量相関情報記憶領域22bには質量相関情報が、それぞれ記憶されているものとする。
まずステップS11では、検査対象の(つまり質量が未知の)物品Aがコンベア12で搬送され、搬送中の物品Aに対してX線照射器13がX線を照射する。また、ステップS11では、画像生成部21aが、物品Aが扇状のX線の照射範囲X(図2参照)を通過する時にX線ラインセンサ14の各画素センサ14aから出力されるX線透視像信号を細かい時間間隔で取得し、取得したX線透視像信号に基づいて物品AのX線透過画像を生成する。画像生成部21aが取得する物品AについてのX線透視像信号は、物品Aを通過したX線の量のX線ラインセンサ14による測定結果である。
次に、ステップS12では、仮質量算出部21cは、記憶部22の概略質量相関情報記憶領域22aに記憶された概略質量相関情報、及び、X線ラインセンサ14の測定結果に基づいて、物品Aの仮推定質量(第1推定質量)を算出する。仮質量算出部21cは、記憶部22の概略質量相関情報記憶領域22aに記憶された概略質量相関情報と、X線ラインセンサ14の測定結果から生成されたX線透過画像とに基づいて、物品Aの第1推定質量を算出する。
次に、ステップS13では、質量推定部21dは、記憶部22の質量相関情報記憶領域22bに記憶された質量帯毎の質量相関情報(第1質量相関情報〜第3質量相関情報)の中から、ステップS12で仮質量算出部21cが算出した第1推定質量が属する質量帯に対応する1の質量相関情報を選択する。そして、質量推定部21dは、選択された1の質量相関情報、及び、X線ラインセンサ14の測定したX線の量に基づいて、物品Aの質量を推定する(第2推定質量を算出する)。具体的には、質量推定部21dは、選択した記憶部22の質量相関情報記憶領域22bに記憶された質量相関情報と、X線ラインセンサ14の測定結果から生成されたX線透過画像に基づいて、物品Aの第2推定質量を算出する。
次にステップS14では、ランク判定部21eは、質量推定部21dにより算出された物品Aの推定質量(第2推定質量)に基づいて、物品Aのランクを判定する。
次にステップS15では、ランク判定部21eのランク判定結果が振分装置90に対して出力される。また、ランク判定部21eの判定結果は、タッチパネルモニタ30に表示されてもよい。
(4)特徴
(4−1)
本実施形態のX線検査装置10は、照射部の一例としてのX線照射器13と、測定部の一例としてのX線ラインセンサ14と、仮物理量算出部の一例としての仮質量算出部21cと、記憶部22と、質量推定部21dと、を備える。X線照射器13は、対象物品としての物品Aに電磁波の一例としてのX線を照射する。X線ラインセンサ14は、物品Aを通過したX線の量を測定する。仮質量算出部21cは、X線ラインセンサ14の測定結果に基づいて、物品Aの仮物理量(ここでは仮推定質量)を算出する。記憶部22は、物品Aの物理量帯毎(ここでは質量帯毎)に、X線の量と物品Aの質量との相関を表す質量相関情報を記憶する。質量推定部21dは、記憶部22に記憶された物理量帯毎の質量相関情報の中から、仮質量算出部21cが算出した仮物理量が属する物理量帯に対応する質量相関情報を選択する。質量推定部21dは、選択した質量相関情報及びX線の量に基づいて、物品Aの質量を推定する。
本実施形態のX線検査装置10では、物品Aの仮物理量(ここでは仮推定質量)を算出した後に、その仮物理量が当てはまる物理量帯(質量帯)用に準備された質量相関情報を用いて物品Aの推定質量を算出する。そのため、物品Aの物理量(ここでは質量)の個体差が比較的大きい場合であっても、物品Aの物理量によらず、精度の高い質量推定が可能である。
また対象物品の物理量に応じて、言い換えれば対象物品の生育の具合等に応じて、対象物品の密度や組成等に差が生じ易い自然物(農産物・海産物・畜産物等)が対象物品である場合にも、対象物品の仮物理量を算出した後に、その仮物理量が当てはまる物理量帯用に準備された質量相関情報を用いて対象物品の推定質量が改めて算出されるため、対象物品の大きさに関する物理量によらず、精度の高い質量推定が可能である。
なお、本実施形態における電磁波はX線である。透過力の強いX線を電磁波として用いることで、幅広い物品に対して精度よく質量推定を行うことができる。
(4−2)
本実施形態のX線検査装置10では、記憶部22は、物品Aの種類毎に、X線の量と、物品Aの質量との相関を表す、概略質量相関情報を記憶する。仮質量算出部21cは、概略質量相関情報及びX線の量に基づいて物品Aの仮推定質量を仮物理量として算出する。
本実施形態のX線検査装置10では、比較的容易な構成で、仮物理量である仮推定質量を算出し、更には質量帯別に準備された質量相関情報を用いて物品Aの最終的な質量を精度良く算出することができる。
(4−3)
本実施形態のX線検査装置10は、相関情報学習部21bを備える。相関情報学習部21bは、質量が既知の物品A(第1サンプル〜第3サンプル)を通過したX線の量のX線ラインセンサ14による測定結果に基づいて、質量相関情報及び概略質量相関情報を導出する。
本実施形態のX線検査装置10では、初期設定時等に実際の物品A(第1サンプル〜第3サンプル)の測定結果に基づいて質量相関情報及び概略質量相関情報が導出されるため、物品Aの質量を精度良く推定することが容易である。
(4−4)
本実施形態のX線検査装置10では、相関情報学習部21bは、質量が既知で、かつ質量が物品Aの質量の代表値に近い物品A(第1サンプル)を通過したX線の量のX線ラインセンサ14による測定結果に基づいて、概略質量相関情報を導出する。相関情報学習部21bは、質量が既知で、かつ互いに質量が異なる3つ以上の物品A(本実施形態では、第1〜第3サンプルの3つの物品A)を通過したX線の量のX線ラインセンサ14による測定結果に基づいて、質量相関情報を導出する。
本実施形態のX線検査装置10では、質量が代表値に近い物品A(第1サンプル)を通過したX線の量に基づいて概略質量相関情報を導出することで、物品Aの質量によらず、概略質量相関情報を用いて、比較的精度良く仮の質量を推定することができる。また、質量が互いに異なる3つ以上の物品Aを通過したX線の量に基づいて質量相関情報を導出することで、質量帯それぞれについて適切な質量相関情報を導出することが可能で、物品Aの質量を精度良く推定することができる。
(4−5)
本実施形態のX線検査装置10は、ランク判定部21eを備える。ランク判定部21eは、質量推定部21dにより算出された物品Aの推定質量に基づいて、物品Aのランクを判定する。
本実施形態のX線検査装置10では、精度良く推定された物品Aの質量に基づいて適切にランクの判定を行うことができる。
(4−6)
本実施形態のX線検査装置10は、物理量帯(質量帯)の境界値Y1,Y2を入力する入力部の一例としてのタッチパネルモニタ30を備える。
本実施形態のX線検査装置10では、実際の質量推定の結果等に基づいて、各物理量帯に対し、どの質量相関情報を用いればよいかを適切に設定することができる。そのため、物品Aの質量を精度良く推定することができる。
<第2実施形態>
本発明の質量推定装置の第2実施形態に係るX線検査装置110について説明する。
図10は、X線検査装置110のブロック構成図である。X線検査装置110は、コンピュータ120以外は第1実施形態のX線検査装置10と同様に構成されている。以下では、説明の簡略化のため、X線検査装置10との相違点であるX線検査装置110のコンピュータ120についてのみ説明する。
(1)コンピュータ
コンピュータ120の物理的な構成は、コンピュータ20と同様である。
ここでは、コンピュータ20との相違点である、コンピュータ120の制御処理部21の相関情報学習部121b及び仮質量算出部121cについて主に説明する。なお、コンピュータ120の制御処理部21の画像生成部21a、質量推定部21d、及びランク判定部21eについては第1実施形態と同様であるため、説明は省略する。
また、コンピュータ120の記憶部122は、概略質量相関情報を記憶する概略質量相関情報記憶領域22aの代わりに、サイズ質量相関関数を記憶するサイズ質量相関情報記憶領域122aを有することを除き、第1実施形態のコンピュータ20の記憶部22と同様であるので、詳しい説明は省略する。
(1−1)相関情報学習部
相関情報学習部121bは、仮質量算出部121cが物品Aの仮推定質量を算出(導出)するために用いるサイズ質量相関情報を学習する。また、相関情報学習部121bは、質量推定部21dが物品Aの推定質量を算出するために用いる質量相関情報を学習(導出)する。相関情報学習部121bによる質量相関情報の学習については、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
サイズ質量相関情報は、物品Aのサイズと、物品Aの質量との相関を表す情報である。物品Aのサイズとは、例えば体積、面積、物品長、周囲長等を意味する。本実施形態では、物品Aのサイズは物品Aの面積(コンベア12で搬送される状態の物品Aを上方から見た時の物品Aの面積)である。なお、サイズ質量相関情報において物品Aのサイズとして使用する物理量には、質量との相関が強い(例えば、物理量と質量とが概ね比例関係にある)物理量が選択されることが好ましい。
サイズ質量相関情報は、質量推定の対象となる物品の種類毎に学習され、記憶部22のサイズ質量相関情報記憶領域122aに物品の種類毎に記憶される。なお、ここでは、例えば同一種類の物品(例えばアスパラガスという野菜)であっても、品種や、産地の違い等によって異なる種類の物品として取り扱われてもよい。相関情報学習部121bは、例えばX線検査装置110で、ある種類の物品の質量の推定が初めて行われる前に、その物品についてのサイズ質量相関情報を学習する。好ましくは、相関情報学習部121bは、検査対象の物品の種類毎に、1つのサイズ質量相関情報を学習する。
以下に、物品Aについてのサイズ質量相関情報の学習について、図11のフローチャートを参照しながら説明する。
サイズ質量相関情報の学習処理は、例えばオペレータがタッチパネルモニタ30から入力する学習処理の実行指令に応じて開始される。
まず、ステップS21では、質量が既知の(例えば、X線検査装置10に要求される質量推定の精度よりも精度の高い電子秤等で質量を計測済みの)物品A(第5サンプル)がコンベア12で搬送され、搬送中の第5サンプルに対してX線照射器13がX線を照射する。また、ステップS21では、画像生成部21aが、第5サンプルが扇状のX線の照射範囲X(図2参照)を通過する時にX線ラインセンサ14の各画素センサ14aから出力されるX線透視像信号を細かい時間間隔で取得し、取得したX線透視像信号に基づいて第5サンプルのX線透過画像を生成する。画像生成部21aが取得する第5サンプルについてのX線透視像信号は、第5サンプルを通過したX線の量のX線ラインセンサ14による測定結果である。
なお、第5サンプルには、その質量が物品Aの質量の代表値に近い物品が使用されることが好ましい。物品Aの質量の代表値とは、物品Aの質量を代表するような値、例えば、無作為に選択した多数の物品Aの質量の平均値、中央値、最頻値等である。また、ここでは、質量が物品Aの質量の代表値に近いとは、例えば質量の値が代表値の±10%の範囲内にあることを意味する。なお、第5サンプルと、第2質量帯についての質量相関情報(第2質量相関情報)を導出するために用いられる第1サンプルとは、同一の物品Aであってもよいし、異なる物品Aであってもよい。
次に、ステップS22では、相関情報学習部121bは、第5サンプルを通過したX線の量のX線ラインセンサ14による測定結果に基づいて、第5サンプルのサイズ(ここでは面積)を算出する。具体的には、相関情報学習部121bは、第5サンプルのX線透過画像中の物品Aを構成する全ての画素(第5サンプルの存在しない部分を通過したX線の量に対応する画素よりも暗い画素)に対応する微小面積を算出して足し合わせることにより、第5サンプルの面積を算出する。第5サンプルの質量は既知であるため、例えば物品Aの面積と物品Aの質量とが概ね比例する関係にあることが分かっていれば、相関情報学習部121bは、図12のグラフにおける比例定数をサイズ質量相関情報として導出することができる。
なお、精度の良いサイズ質量相関情報を導出するために、ステップS21及びステップS22が繰り返し行われてもよい。そして、相関情報学習部121bは、各ステップS22で得られる比例定数の平均値をサイズ質量相関情報として導出してもよい。
(1−2)仮質量算出部
仮質量算出部121cは、以下の様にして、X線ラインセンサ14の物品Aを通過したX線の量の測定結果に基づいて、物品Aの仮推定質量を算出する。
まず仮質量算出部121cは、X線ラインセンサ14の測定結果に基づいて、物品Aのサイズを判断する。例えば、仮質量算出部121cは、物品Aのサイズとして、X線ラインセンサ14の測定結果から得られた物品AのX線透過画像中の、物品Aを構成する全ての画素(物品Aの存在しない部分を通過したX線の量に対応する画素よりも暗い画素)に対応する微小面積を算出して足し合わせることにより、物品Aの面積を算出する。そして仮質量算出部121cは、判断されたサイズと、記憶部122のサイズ質量相関情報記憶領域122aに記憶されたサイズ質量相関情報とに基づいて物品Aの仮推定質量を仮物理量として算出する。
(2)X線検査装置による質量推定及びランク判定
X線検査装置110が行う物品Aの質量推定及びランク判定に関する処理は、仮質量算出部121cによる仮推定質量の算出方法が異なる点を除き、第1実施形態のX線検査装置10が行う物品Aの質量推定及びランク判定に関する処理と同様である。そのため、ここでは説明を省略する。
(3)特徴
第2実施形態のX線検査装置110も、第1実施形態のX線検査装置10の(4−1)、(4−5)、(4−6)と同様の特徴を有する。また、X線検査装置110は、以下の特徴を有する。
(3−1)
本実施形態のX線検査装置110では、記憶部122は、物品Aの種類毎に、物品Aのサイズと、物品Aの質量との相関を表す、サイズ質量相関情報を記憶する。仮質量算出部121cは、X線ラインセンサ14の測定結果に基づいて物品Aのサイズを判断し、判断されたサイズとサイズ質量相関情報とに基づいて物品Aの仮推定質量を仮物理量として算出する。
本実施形態のX線検査装置110では、比較的容易な構成で、仮物理量である仮推定質量を算出し、更には質量帯別に準備された質量相関情報を用いて物品Aの最終的な質量を精度良く算出することができる。
<第3実施形態>
本発明の質量推定装置の第3実施形態に係るX線検査装置210について説明する。
図13は、X線検査装置210のブロック構成図である。X線検査装置210は、コンピュータ220以外は第1実施形態のX線検査装置10と同様に構成されている。以下では、説明の簡略化のため、X線検査装置10との相違点であるX線検査装置210のコンピュータ220についてのみ説明する。
(1)コンピュータ
コンピュータ220の物理的な構成は、コンピュータ20と同様である。
ここでは、コンピュータ20との相違点である、コンピュータ220の制御処理部21の相関情報学習部221b、仮物理量算出部221c、及び質量推定部221dについて主に説明する。なお、コンピュータ220の制御処理部21の画像生成部21a及びランク判定部21eについては第1実施形態と同様であるため、説明は省略する。
また、コンピュータ220の記憶部222は、質量相関情報記憶領域222bに記憶される質量相関情報が、質量帯毎ではなく、サイズ帯毎(物理量帯毎)の情報である点を除き、第1実施形態のコンピュータ20の記憶部22と同様であるので、詳しい説明は省略する。
(1−1)相関情報学習部
相関情報学習部221bは、質量推定部221dが推定質量の算出に使用する質量相関情報を導出(学習)する。相関情報学習部221bが導出した質量相関情報は、記憶部222の質量相関情報記憶領域222bに記憶される。
質量相関情報は、物品を通過したX線の量と、X線が通過した部分の物品の質量との相関を表す情報である。
なお、質量相関情報は、物品の種類毎であって、更に物品の物理量帯毎に学習され、記憶部222の質量相関情報記憶領域222bに物品の種類毎に記憶される情報である。第3実施形態における質量相関情報は、第1実施形態及び第2実施形態における質量帯毎の情報とは違い、物理量帯毎(ここでは物品のサイズ帯毎)の情報である。なお、物品Aのサイズとは、例えば体積、面積、物品長、周囲長等を意味する。本実施形態では、物品Aのサイズは物品Aの面積(コンベア12で搬送される状態の物品Aを上方から見た時の物品Aの面積)である。
例えば、本実施形態では、相関情報学習部221bは、ある種類の物品の質量相関情報として、サイズ(本実施形態では面積)が境界値Z1より小さい場合(第1サイズ帯)についての第1質量相関情報と、サイズが境界値Z1以上で境界値Z2より小さい場合(第2サイズ帯)についての第2質量相関情報と、サイズが境界値Z2以上の場合(第3サイズ帯)についての第3質量相関情報とを導出する。なお、質量相関情報は、3つのサイズ帯について導出される必要はなく、例えば、2つのサイズ帯、又は、4つ以上のサイズ帯について導出されてもよい。精度の良い物品の質量推定のためには、物品の種類毎に、少なくとも3つのサイズ帯について質量相関情報が導出されることが好ましい。
なお、境界値Z1は、例えば物品Aのサイズの最大値(物品Aが取ると想定される最大のサイズ)の1/3の値である。また、境界値Z2は、例えば物品Aのサイズの最大値の2/3の値である。
なお、境界値Z1及び境界値Z2は、タッチパネルモニタ30によりオペレータが入力可能(変更可能)に構成されることが好ましい。境界値Z1及び境界値Z2をタッチパネルモニタ30により設定可能とすることで、必要に応じて、どのサイズに対して第1質量相関情報、第2質量相関情報、及び第3質量相関情報のいずれを使用するかを変更できる。その結果、質量推定部221dによる物品Aの質量推定の精度の改善を図ることができる。
以下に、物品Aについての質量相関情報の学習について、図14のフローチャートを参照しながら説明する。
物品Aについての質量相関情報の学習は、例えば、ある種類の物品Aの質量の推定がX線検査装置210により初めて行われる前に行われる。なお、以下で説明する処理の内容は例示であって、発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更されてもよい。また、例えば、図14のフローチャート中の処理の順序は発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更されてもよく、また発明の要旨を変更しない範囲で一部の処理が他の処理と同時に実行されてもよい。
質量相関情報の学習処理は、例えばオペレータがタッチパネルモニタ30から入力する学習処理の実行指令に応じて開始される。
まず、ステップS31では、質量が既知の(例えば、X線検査装置210に要求される質量推定の精度よりも精度の高い電子秤等で質量を計測済みの)物品A(第6サンプル)がコンベア12で搬送され、搬送中の第6サンプルに対してX線照射器13がX線を照射する。また、ステップS31では、画像生成部21aが、第6サンプルが扇状のX線の照射範囲X(図2参照)を通過する時にX線ラインセンサ14の各画素センサ14aから出力されるX線透視像信号を細かい時間間隔で取得し、取得したX線透視像信号に基づいて第6サンプルのX線透過画像を生成する。画像生成部21aが取得する第6サンプルについてのX線透視像信号は、第6サンプルを通過したX線の量のX線ラインセンサ14による測定結果である。
なお、第6サンプルには、境界値Z1と境界値Z2との間のサイズ範囲(第2サイズ帯)に含まれるサイズの物品Aが用いられる。第6サンプルのサイズは、例えば、境界値Z1と境界値Z2との平均値に近い値や、第2サイズ帯に含まれる物品Aのサイズの代表値(平均値、中央値、最頻値等)に近い値であることが好ましい。
次に、ステップS32では、相関情報学習部221bは、第6サンプルを通過したX線の量のX線ラインセンサ14による測定結果に基づいて、第2サイズ帯の質量相関情報(第2質量相関情報)を導出する。なお、相関情報学習部221bによる第2質量相関情報の導出方法は、上述した第1実施形態における概略質量相関情報の導出方法と同様であるので、詳細な説明は省略する。
次に、ステップS33では、質量が既知の物品A(第7サンプル)がコンベア12で搬送され、搬送中の第7サンプルに対してX線照射器13がX線を照射する。また、ステップS33では、画像生成部21aが、第7サンプルが扇状のX線の照射範囲X(図2参照)を通過する時にX線ラインセンサ14の各画素センサ14aから出力されるX線透視像信号を細かい時間間隔で取得し、取得したX線透視像信号に基づいて第7サンプルのX線透過画像を生成する。画像生成部21aが取得する第7サンプルについてのX線透視像信号は、第7サンプルを通過したX線の量のX線ラインセンサ14による測定結果である。
なお、第7サンプルには、境界値Z2以上のサイズ範囲(第3サイズ帯)に含まれるサイズの物品Aが用いられる。特に、第7サンプルのサイズは、例えば物品Aのサイズの最大値(物品Aが取ると想定される最大のサイズ)と境界値Z2との平均値に近い値や、第3サイズ帯に含まれる物品Aのサイズの代表値(平均値、中央値、最頻値等)に近い値であることが好ましい。
次に、ステップS34では、相関情報学習部221bは、第7サンプルを通過したX線の量のX線ラインセンサ14による測定結果に基づいて、第3サイズ帯の質量相関情報(第3質量相関情報)を導出する。なお、相関情報学習部221bによる第3質量相関情報の導出方法は、上述した第1実施形態における概略質量相関情報の導出方法と同様であるので、詳細な説明は省略する。
次に、ステップS35では、質量が既知の物品A(第8サンプル)がコンベア12で搬送され、搬送中の第8サンプルに対してX線照射器13がX線を照射する。また、ステップS35では、画像生成部21aが、第8サンプルが扇状のX線の照射範囲X(図2参照)を通過する時にX線ラインセンサ14の各画素センサ14aから出力されるX線透視像信号を細かい時間間隔で取得し、取得したX線透視像信号に基づいて第8サンプルのX線透過画像を生成する。画像生成部21aが取得する第8サンプルについてのX線透視像信号は、第8サンプルを通過したX線の量のX線ラインセンサ14による測定結果である。
なお、第8サンプルには、境界値Z1より小さいサイズ範囲(第1サイズ帯)に含まれるサイズの物品Aが用いられる。特に、第8サンプルのサイズは、例えば境界値Z1の1/2に近い値や、第1サイズ帯に含まれる物品Aのサイズの代表値(平均値、中央値、最頻値等)に近い値であることが好ましい。
次に、ステップS36では、相関情報学習部221bは、第8サンプルを通過したX線の量のX線ラインセンサ14による測定結果に基づいて、第1サイズ帯の質量相関情報(第3質量相関情報)を導出する。なお、相関情報学習部221bによる第1質量相関情報の導出方法は、上述した第1実施形態における概略質量相関情報の導出方法と同様であるので、詳細な説明は省略する。
なお、精度の良い質量相関情報を導出するために、各ステップS31〜S36が繰り返し行われてもよいのは、第1実施形態と同様である。
(1−2)仮物理量算出部
仮物理量算出部221cは、X線ラインセンサ14が測定した物品Aを通過したX線の量に基づいて、物品Aのサイズ(ここでは面積)を仮物理量として算出する。
具体的には、仮物理量算出部221cは、X線ラインセンサ14の測定結果から得られたX線透過画像に基づいて、物品Aのサイズ(ここでは面積)を算出する。より具体的には、仮物理量算出部221cは、物品Aのサイズとして、X線ラインセンサ14の測定結果から得られた物品AのX線透過画像中の、物品Aを構成する全ての画素(物品Aの存在しない部分を通過したX線の量に対応する画素よりも暗い画素)に対応する微小面積を算出して足し合わせることにより、物品Aの面積を算出する。
(1−3)質量推定部
質量推定部221dは、相関情報学習部221bにより導出され、記憶部222の質量相関情報記憶領域222bに記憶されたサイズ毎の質量相関情報(第1質量相関情報〜第3質量相関情報)の中から、仮物理量算出部221cが算出した仮物理量(サイズ)が属する仮物理量帯(サイズ帯)に対応する質量相関情報を選択する。
そして、質量推定部221dは、選択した質量相関情報、及び、X線ラインセンサ14が測定した物品Aを通過したX線の量に基づいて、物品Aの質量を推定する。具体的には、質量推定部221dは、選択した記憶部222の質量相関情報記憶領域222bに記憶された質量相関情報と、X線ラインセンサ14の測定結果から得られたX線透過画像とに基づいて、物品Aの推定質量を算出する。より具体的には、質量推定部221dは、選択された質量相関情報としての式(3)の定数αを利用して、物品AのX線透過画像中の物品Aを構成する全ての画素について、各画素に対応する物品Aの微小部位の質量を算出し、これを足し合わせることにより、物品Aの質量を推定する。
(2)X線検査装置による質量推定及びランク判定
以下に、X線検査装置10が行う物品Aの質量推定及びランク判定について、図15のフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下で説明する処理の内容は例示であって、発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更されてもよい。
なお、X線検査装置10が物品Aの質量推定及びランク判定を開始する際には、記憶部222の質量相関情報記憶領域222bには質量相関情報が既に記憶されているものとする。
まずステップS41では、検査対象の(つまり質量が未知の)物品Aがコンベア12で搬送され、搬送中の物品Aに対してX線照射器13がX線を照射する。また、ステップS41では、画像生成部21aが、物品Aが扇状のX線の照射範囲X(図2参照)を通過する時にX線ラインセンサ14の各画素センサ14aから出力されるX線透視像信号を細かい時間間隔で取得し、取得したX線透視像信号に基づいて物品AのX線透過画像を生成する。画像生成部21aが取得する物品AについてのX線透視像信号は、物品Aを通過したX線の量のX線ラインセンサ14による測定結果である。
次に、ステップS42では、仮物理量算出部221cは、X線ラインセンサ14の測定結果に基づいて、物品Aのサイズ(ここでは面積)を算出する。
次に、ステップS43では、質量推定部221dは、記憶部222の質量相関情報記憶領域222bに記憶されたサイズ帯毎の質量相関情報(第1質量相関情報〜第3質量相関情報)の中から、ステップS42で仮物理量算出部221cが算出したサイズが属するサイズ帯に対応する1の質量相関情報を選択する。そして、質量推定部221dは、選択された1の質量相関情報、及び、X線ラインセンサ14の測定したX線の量に基づいて、物品Aの質量を推定する。具体的には、質量推定部221dは、選択した記憶部222の質量相関情報記憶領域222bに記憶された質量相関情報と、X線ラインセンサ14の測定結果から生成されたX線透過画像に基づいて、物品Aの推定質量を算出する。
次にステップS44では、ランク判定部21eは、質量推定部221dにより算出された物品Aの推定質量に基づいて、物品Aのランクを判定する。
次にステップS45では、ランク判定部21eのランク判定結果が振分装置90に対して出力される。また、ランク判定部21eの判定結果は、タッチパネルモニタ30に表示されてもよい。
(3)特徴
第3実施形態のX線検査装置210も、第1実施形態のX線検査装置10の(4−1)、(4−5)、(4−6)と同様の特徴を有する。また、X線検査装置210は、以下の特徴を有する。
(3−1)
本実施形態のX線検査装置210では、仮物理量算出部221cは、物品Aのサイズを仮物理量として算出する。
本実施形態のX線検査装置210では、仮物理量である物品Aのサイズを算出した上で、サイズ帯別に準備された質量相関情報を用いて物品Aの最終的な質量を精度良く算出することができる。
<変形例>
上記実施形態は、互いに矛盾しない範囲で適宜組み合わされてもよい。
以下に、上記実施形態の変形例を示す。変形例は、互いに矛盾しない範囲で適宜組み合わされてもよい。
(1)変形例A
上記実施形態では、X線検査装置10,110,210は、ランク選別システム100に組み込まれ、ランク選別システム100の一部を構成するが、これに限定されるものではない。例えば、X線検査装置10,110,210は、独立した装置であってもよい。
(2)変形例B
上記実施形態では、X線検査装置10,110,210の相関情報学習部21b,121b,221bが質量相関情報を導出するが、これに限定されるものではない。例えば、記憶部22,122,222には、予め質量相関情報が記憶されていてもよい。
概略質量相関情報やサイズ質量相関情報についても同様である。
(3)変形例C
上記実施形態では、電磁波はX線であるが、これに限定されるものではない。例えば、電磁波は近赤外線等であってもよい。
(4)変形例D
上記実施形態では、仮物理量がある程度精度良く算出されているが、仮物理量の算出方法は上記方法に限定されるものではない。
仮物理量は、質量相関情報の選択のために、質量推定の対象の物品Aの物理量がどの物理量帯に入るかを決定できる程度の精度で算出されればよい。例えば、第1実施形態や第2実施形態であれば、物品Aの質量が、境界値Y2以上、境界値Y1以上で境界値Y2より小さい、境界値Y1より小さいということだけが分かる程度の精度で仮推定質量が算出されてもよい。