以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る浴槽及び浴槽装置を模式的に表すブロック図である。
図1に表したように、浴槽装置10は、浴槽100に取り付けて使用される。浴槽100は、浴槽本体102を備える。浴槽本体102は、内壁面104を有する。内壁面104は、入浴者の背中を支持する背もたれ面106を有する。また、浴槽本体102は、浴槽本体102内に溜められた湯水を吸い込むための吸込み口110を有する。
ここで、本願明細書においては、背もたれ面106に背中を当接させた入浴者からみて上方を「上方」とし、下方を「下方」とし、前方を「前方」とし、後方を「後方」とし、右側を「右側方」とし、左側を「左側方」とする。
浴槽装置10は、電動ポンプ12と、切替弁14(圧力損失増大部)と、ジェットポンプユニット16と、共通流路20と、第1流路21と、第2流路22と、第1吐水部31と、第2吐水部32と、制御部40と、操作部42と、を備える。浴槽装置10において、例えば、電動ポンプ12、切替弁14、ジェットポンプユニット16、共通流路20、第1流路21、第2流路22、及び制御部40などの各部は、浴槽本体102の裏側のスペース(浴槽本体102と浴室の壁面との間のスペース)に設けられる。
電動ポンプ12は、配管50を介して吸込み口110と接続されている。電動ポンプ12は、浴槽本体102に接続可能な配管50に接続される。電動ポンプ12は、吸込み口110から浴槽本体102内に溜められた湯水を吸引し、下流側に供給する。電動ポンプ12は、例えば、吸引した湯水に圧力をかけて圧送する機能を有する。電動ポンプ12は、例えば、電気的に駆動される電動モータ(図示せず)に直結されたインペラ(図示せず)の回転により、浴槽本体102内の湯水を吸引し、吸引した湯水を下流側に圧送する。
共通流路20は、電動ポンプ12の下流側に接続されている。第1流路21は、共通流路20の下流側に接続されている。第1吐水部31は、第1流路21の下流側に接続され、電動ポンプ12から供給された湯水を吐水する第1吐水口31aを有する。第1吐水部31は、背もたれ面106に連なる上端(リム面)の上に設けられる。
第1吐水部31は、浴槽本体102の内方に向けて湯水を吐水する。すなわち、第1吐水部31は、前方に向けて湯水を吐水する。第1吐水部31は、例えば、背もたれ面106に背中を当接させた入浴者の首や肩に向けて湯水を吐水する。これにより、例えば、入浴者の首や肩をより温めたり、入浴者の首や肩にマッサージ効果を付与したりすることができ、入浴時のリラクゼーション効果をより高めることができる。
第1吐水部31は、左右方向に延びたスリット状の第1吐水口31aを有する。これにより、第1吐水部31は、左右方向に延びた帯状の水流を第1吐水口31aから吐水する。第1吐水口31aの左右方向の長さは、例えば、20cm以上である。第1吐水口31aの左右方向の長さは、例えば、人間の首の平均的な幅よりも長い。これにより、背もたれ面106に背中を当接させた入浴者の首や肩に適切に湯水を当てることができる。また、第1吐水口31aの左右方向の長さは、例えば、浴槽本体102の内部の空間の左右方向の幅よりも短い。これにより、浴槽本体102内に適切に湯水を吐水することができる。
浴槽装置10は、例えば、複数の第1吐水部31を有してもよい。例えば、入浴者の右肩に湯水を吐水する第1吐水部31と、入浴者の左肩に湯水を吐水する第1吐水部31と、を有してもよい。この場合には、例えば、第1流路21を途中で分岐させればよい。
また、第1吐水部31は、光源部34を有する。光源部34は、前方に向けて光を照射する。これにより、浴槽100の外観をより向上させることができる。光源部34は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
第2流路22は、第1流路21と分岐して共通流路20の下流側に接続されている。第2吐水部32は、第2流路22の下流側に接続され、電動ポンプ12から供給された湯水を吐水する第2吐水口32aを有する。第2吐水部32は、背もたれ面106に設けられている。第2吐水部32は、例えば、背もたれ面106の部分において浴槽本体102を貫通するように取り付けられる。これにより、第2吐水部32は、浴槽本体102の内方に向けて湯水を吐水する。
第2吐水部32は、例えば、背もたれ面106に背中を当接させた入浴者の腰などに向けて湯水を噴射する。第2吐水部32は、例えば、入浴者の抗重力筋である脊柱起立筋の位置を狙って湯水を噴射する。これにより、入浴者の腰などに刺激を与え、入浴時のリラクゼーション効果をより高めることができる。
浴槽装置10は、例えば、複数の第2吐水部32を有してもよい。例えば、背もたれ面106に左右に並べて設けられた2つの第2吐水部32を有してもよい。この場合には、例えば、第2流路22を途中で分岐させればよい。
上記とは反対に、第1吐水部31から入浴者の腰などに向けて湯水を吐水し、第2吐水部32から入浴者の肩などに向けて湯水を吐水してもよい。また、第1吐水部31及び第2吐水部32は、上記に限ることなく、例えば、浴槽本体102の底面部分に設けられ、入浴者の脚に向けて湯水を吐水する吐水部などでもよい。第1吐水部31及び第2吐水部32は、浴槽本体102の内方に向けて湯水を吐水する任意の吐水部でよい。
切替弁14は、第1流路21と第2流路22との分岐部に設けられている。切替弁14は、共通流路20を介して電動ポンプ12に接続されている。切替弁14は、第1吐水部31のみに湯水を供給する第1片側吐水状態と、第2吐水部32のみに湯水を供給する第2片側吐水状態(片側吐水状態)と、第1吐水部31及び第2吐水部32のそれぞれに湯水を供給する同時吐水状態と、を切替可能である。このように、切替弁14は、電動ポンプ12から供給された湯水を第1吐水部31側に送る経路と、第2吐水部32側に送る経路と、の切り替えを行う。
第2吐水部32は、配管54を介して切替弁14と接続されている。これにより、浴槽装置10では、電動ポンプ12を駆動し、切替弁14を第2片側吐水状態又は同時吐水状態にすることにより、第2吐水部32から湯水が吐水される。すなわち、浴槽装置10では、配管54によって第2流路22が構成される。第2流路22は、1つの配管54に限ることなく、第2吐水部32に湯水を供給可能な任意の構成でよい。
ジェットポンプユニット16は、第1流路21の経路上に設けられる。この例において、ジェットポンプユニット16は、第1吐水部31と切替弁14との間に設けられる。ジェットポンプユニット16は、例えば、第1吐水部31の直下に設けられる。
ジェットポンプユニット16は、第2流路22の経路上に設けてもよい。ジェットポンプユニット16は、第1流路21及び第2流路22のいずれか一方の経路上に設けられていればよい。
ジェットポンプユニット16は、貯水部60と、吸引管62と、噴射部64と、を有する。貯水部60は、容器状であり、内部の空間に湯水を貯水可能とする。貯水部60は、配管56を介して吸込み口110と接続されている。これにより、貯水部60には、吸込み口110を介して浴槽本体102から湯水が供給される。すなわち、浴槽本体102に湯水を溜めることにより、貯水部60にも湯水が溜められる。貯水部60は、吸込み口110及び配管56を介して浴槽本体102から供給された湯水を内部に貯水する。貯水部60への湯水の供給は、電動ポンプ12の吸込み口110とは別の吸込み口から供給してもよい。また、貯水部60に供給される湯水は、浴槽本体102内に溜められた湯水に限ることなく、別の給水源から供給された湯水でもよい。
貯水部60は、配管58を介して切替弁14と接続されている。配管58は、例えば、貯水部60の下部に接続される。吸引管62は、貯水部60に貯水された湯水を吸引するための管路である。吸引管62は、例えば、配管58と対向して貯水部60の上部に接続される。吸引管62は、貯水部60から上方に向かって延び、第1吐水部31と接続される。これにより、この例では、配管58と貯水部60と吸引管62とによって、切替弁14から第1吐水部31へと到る第1流路21が構成される。第1流路21の構成は、上記の構成に限定されるものではない。例えば、吸引管62は、別の配管を介して第1吐水部31と接続してもよい。
噴射部64は、貯水部60と配管58との接続部に設けられる。噴射部64は、貯水部60に貯水された湯水がジェットポンプ作用によって吸引管62に吸引されるように、切替弁14及び配管58を介して電動ポンプ12から供給された湯水を吸引管62内に噴射する。これにより、電動ポンプ12から供給された湯水が第1吐水部31に供給されるとともに、貯水部60内に貯水された湯水が、ジェットポンプ作用によって吸引管62内に引き込まれ、貯水部60内に貯水された湯水も第1吐水部31に供給される。これにより、電動ポンプ12を比較的小型にした場合にも大流量の湯水を第1吐水部31に供給することができる。例えば、電動ポンプ12の最大流量以上の流量の湯水を第1吐水部31に供給することができる。
このように、浴槽装置10では、電動ポンプ12を駆動し、切替弁14を第1片側吐水状態又は同時吐水状態にすることにより、第1吐水部31から湯水が吐水される。切替弁14を同時吐水状態にした場合には、切替弁14によって第1吐水部31側及び第2吐水部32側の双方が電動ポンプ12と連通することにより、第1吐水部31からの湯水の吐水及び第2吐水部32からの湯水の噴射を同時に行うことができる。
制御部40は、電動ポンプ12、切替弁14、及び操作部42と接続されている。操作部42は、例えば、浴槽本体102や浴室の壁面などに取り付けて使用される。操作部42は、スイッチやセンサなどを有し、入浴者などの操作に応じて、制御部40に種々の操作指示を入力可能である。操作部42は、いわゆるリモコンである。制御部40と操作部42との間の電気的な通信は、有線でもよいし、無線を介して行ってもよい。
制御部40は、操作部42から入力された操作指示に応じて、電動ポンプ12及び切替弁14の動作を制御する。制御部40は、第1吐水部31からの湯水の吐水を操作部42から指示された場合、電動ポンプ12の駆動を開始し、切替弁14を第1片側吐水状態にすることにより、第1吐水部31から湯水を吐水させる。
制御部40は、第2吐水部32からの湯水の噴射を操作部42から指示された場合、電動ポンプ12の駆動を開始し、切替弁14を第2片側吐水状態にすることにより、第2吐水部32から湯水を噴射させる。
また、制御部40は、第1吐水部31及び第2吐水部32からの同時吐水を操作部42から指示された場合、電動ポンプ12の駆動を開始し、切替弁14を同時吐水状態にすることにより、第1吐水部31から湯水を吐水させるとともに、第2吐水部32から湯水を噴射させる。
そして、制御部40は、第1吐水部31からの湯水の吐水の停止、又は第2吐水部32からの湯水の噴射の停止を指示された場合に、電動ポンプ12の駆動を停止させる。また、制御部40は、例えば、操作部42から入力された操作指示に応じて、電動ポンプ12の出力(駆動力)を変化させる。制御部40は、例えば、電動ポンプ12の回転数を変化させる。これにより、第1吐水部31及び第2吐水部32から吐水される湯水の流量を変化させることができる。例えば、流量の少ない「弱運転」、弱運転よりも流量の多い「強運転」、弱運転と強運転との間の流量の「中運転」などのように運転モードを切り替えることができる。
制御部40は、光源部34と接続されている。制御部40は、操作部42から入力された操作指示に応じて、光源部34の点灯及び消灯を切り替える。
図2(a)及び図2(b)は、実施形態に係る浴槽装置の切替弁を模式的に表す斜視図である。
図2(a)及び図2(b)に表したように、切替弁14は、弁本体70と、駆動部72と、を有する。なお、図2(b)では、便宜的に弁本体70の一部を切り欠いて図示し、図2(a)のA1−A2線断面を模式的に表している。
弁本体70は、ケーシング74と、可動部76と、を有する。ケーシング74は、入口部74aと、第1出口部74bと、第2出口部74cと、内部流路74dと、を有する。入口部74aは、共通流路20を介して電動ポンプ12と接続される。第1出口部74bは、配管58を介してジェットポンプユニット16の貯水部60と接続される。第2出口部74cは、配管54を介して第2吐水部32と接続される。内部流路74dは、入口部74aと第1出口部74bと第2出口部74cとを相互に接続する管路であり、これらの間に湯水が流れることを可能にする。
可動部76は、内部流路74dの内部に可動可能に設けられている。可動部76は、内部流路74dの内部で可動することにより、入口部74aと第1出口部74bとを連通させた状態と、入口部74aと第2出口部74cとを連通させた状態と、第1出口部74b及び第2出口部74cのそれぞれを入口部74aと連通させた状態と、を切り替える。すなわち、可動部76を可動させることにより、切替弁14が第1片側吐水状態と第2片側吐水状態と同時吐水状態とに切り替わる。
可動部76は、例えば、内部流路74dの内部に回転可能に設けられたボール状である。この例において、切替弁14は、いわゆるボールバルブである。切替弁14の構成は、上記に限ることなく、各吐水状態を切り替え可能な任意の構成でよい。
駆動部72は、可動部76と接続され、可動部76を可動させる。駆動部72は、例えば、ケーシング74(内部流路74a)の外側に設けられ、ケーシング74の外側から可動部76を可動させる。駆動部72は、制御部40に接続されており、制御部40の制御に基づいて可動部76を可動させる。これにより、前述のように、制御部40の制御によって、切替弁14の各吐水状態が切り替わる。駆動部72は、例えば、可動部76を回転させるモータである。駆動部72の構成は、可動部76を可動させることができる任意の構成でよい。駆動部72は、例えば、ソレノイドアクチュエータなどでもよい。
図3(a)〜図3(c)は、実施形態に係る浴槽装置の切替弁を模式的に表す説明図である。
図3(a)〜図3(c)では、図2(b)の断面を直交する方向に見た状態を模式的に表している。
図3(a)〜図3(c)に表したように、可動部76は、開口部76a〜76dと、閉塞部76eと、を有する。開口部76a〜76dは、互いに連通し、湯水を流すことが可能な管路を形成する。閉塞部76eは、第1出口部74b及び第2出口部74cのいずれか一方を閉塞可能な形状に形成されている。
開口部76aは、入口部74aと対向して配置される。可動部76は、例えば、開口部76aの中心を軸に回転可能に内部流路74d内に設けられる。
開口部76b〜76d及び閉塞部76eは、開口部76aと直交する向きに設けられている。また、開口部76b〜76d及び閉塞部76eは、互いに90°回転した位置に配置されている。これにより、開口部76aの中心を軸に可動部76を回転させることにより、開口部76b〜76d及び閉塞部76eのいずれかが、第1出口部74b及び第2出口部74cと対向する。
図3(a)に表したように、開口部76bと第1出口部74bとを対向させ、閉塞部76eと第2出口部74cとを対向させた位置に可動部76を回転させる。これにより、開口部76aと開口部76bとを介して入口部74aと第1出口部74bとが連通するとともに、閉塞部76eによって第2出口部74cが閉塞される。これにより、電動ポンプ12から供給された湯水が、第1吐水部31のみに供給されるようになる。すなわち、切替弁14が第1片側吐水状態になる。
図3(b)に表したように、閉塞部76eと第1出口部74bとを対向させ、開口部76dと第2出口部74cとを対向させた位置に可動部76を回転させる。これにより、開口部76aと開口部76dとを介して入口部74aと第2出口部74cとが連通するとともに、閉塞部76eによって第1出口部74bが閉塞される。これにより、電動ポンプ12から供給された湯水が、第2吐水部32のみに供給されるようになる。すなわち、切替弁14が第2片側吐水状態になる。
図3(c)に表したように、開口部76bの一部及び開口部76cの一部を第1出口部74bと対向させ、開口部76bの一部及び閉塞部76eの一部を第2出口部74cと対向させた位置に可動部76を回転させる。これにより、開口部76aと開口部76bの一部及び開口部76cの一部とを介して入口部74aと第1出口部74bとが連通するとともに、開口部76aと開口部76bの一部とを介して入口部74aと第2出口部74cとが連通する。これにより、電動ポンプ12から供給された湯水が、第1吐水部31及び第2吐水部32のそれぞれに供給されるようになる。すなわち、切替弁14が同時吐水状態になる。
図4(a)〜図4(c)は、実施形態に係る浴槽装置の切替弁を模式的に表す説明図である。
図4(a)は、第2片側吐水状態にある切替弁14を第2出口部74cと直交する方向(図3(b)において矢線V1で示す方向)から見た状態を模式的に表している。
図4(b)は、同時吐水状態にある切替弁14を第2出口部74cと直交する方向(図3(c)において矢線V2で示す方向)から見た状態を模式的に表している。
図4(c)は、同時吐水状態にある切替弁14を第1出口部74bと直交する方向(図3(c)において矢線V3で示す方向)から見た状態を模式的に表している。
また、図4(a)〜図4(c)において、ハッチングを施した部分は、各方向から見た内部流路74dを表している。換言すれば、ハッチングを施した部分は、湯水の流れる方向(出口部の向く方向)に対して直交する断面における内部流路74dの断面積(開口面積)である。換言すれば、ハッチングを施した部分は、湯水の流れる方向に対して直交する断面に内部流路74dを投影した時の、内部流路74dの最小の投影面積である。
図4(a)及び図4(b)に表したように、切替弁14は、可動部76の回転位置により、湯水が流れる内部流路74dの断面積(湯水の流れる面積)を変化させる。切替弁14は、同時吐水状態において、閉塞部76eの一部を第2出口部74cと対向させることにより、第2片側吐水状態よりも内部流路74dの断面積を小さくする。従って、同時吐水状態においては、第2片側吐水状態よりも電動ポンプ12から第2吐水部32に供給される湯水の圧力損失が増大する。
このように、切替弁14は、第1流路21と第2流路22との分岐部(所定位置)よりも第2吐水口32a側に流れる湯水の圧力損失を増大させる第1状態と、分岐部よりも第2吐水口32a側に流れる湯水の圧力損失の増大量を第1状態よりも小さくした第2状態と、を切替可能である。切替弁14は、断面積を変化させることにより、同時吐水状態において分岐部よりも第2吐水口32a側に流れる湯水の圧力損失を増大させ、第2片側吐水状態において分岐部よりも第2吐水口32a側に流れる湯水の圧力損失の増大量を同時吐水状態よりも小さくする。すなわち、切替弁14は、第1流路2と第2流路22との分岐部から第2吐水部32の第2吐水口32aまでの経路上の所定位置に設けられ、所定位置よりも第2吐水口32a側に流れる湯水の圧力損失を、所定位置に流入する湯水の圧力損失よりも増大させる圧力損失増大部として機能する。所定位置に流入する湯水の圧力損失とは、換言すれば、所定位置の直前を流れる湯水の圧力損失である。圧力損失増大部は、所定位置において直前の部分よりも第2吐水口32a側に流れる湯水の圧力損失を増大させる。この例では、切替弁14が、分岐部(第2流路22の入り口)において、直前の部分よりも第2吐水口32a側に流れる湯水の圧力損失を増大させる。
切替弁14は、可動部76の回転位置により、湯水が流れる内部流路74dの断面積を変化させ、第1状態において、内部流路74dの断面積を第2状態よりも小さくすることにより、第2状態よりも圧力損失を増大させる。切替弁14は、内部流路74dの断面積を変化させることにより、第1状態と第2状態とを切り替える。そして、切替弁14は、同時吐水状態において第1状態になり、第2片側吐水状態において第2状態になる。切替弁14は、例えば、電動ポンプ12を動作させ、第1吐水部31と第2吐水部32とのそれぞれから湯水を吐水させる同時吐水状態の際に、第1吐水部31から吐水される湯水の流量が、第2吐水部32から吐水される湯水の流量の80%以上120%以下となるように、所定位置よりも第2吐水口32a側に流れる湯水の圧力損失を増大させる。
また、図4(c)に表したように、切替弁14は、同時吐水状態において、開口部76bの一部及び開口部76dの一部を第1出口部74bと対向させ、第1吐水部31側に向かう内部流路74dの断面積を、第2吐水部32側に向かう内部流路74dの断面積よりも大きくしている。これにより、同時吐水状態において、電動ポンプ12から第2吐水部32に供給される湯水の圧力損失を増大させた場合にも、電動ポンプ12から第1吐水部31に供給される湯水の圧力損失の増大を抑制することができる。同時吐水状態において、第1出口部74bにおける湯水の圧力損失は、第2出口部74cにおける湯水の圧力損失よりも小さい。同時吐水状態において電動ポンプ12から第1吐水部31に供給される湯水の圧力損失は、第1片側吐水状態において電動ポンプ12から第1吐水部31に供給される湯水の圧力損失と実質的に同じである。
図5は、実施形態に係る浴槽装置の制御部の動作の一例を模式的に表すフローチャートである。
入浴者は、第1吐水部31及び第2吐水部32のいずれかから湯水を吐水させたい場合、操作部42を操作し、各吐水状態のいずれかを選択して運転の開始を制御部40に指示する(図5のステップS01)。
浴槽装置10の制御部40は、操作部42から運転の開始を指示されると、切替弁14の駆動部72を駆動させ、選択された吐水状態に対応する所定位置に可動部76を移動させる(図5のステップS02)。
制御部40は、切替弁14を駆動させた後、操作部42で選択された運転モードなどに対応する所定条件で電動ポンプ12を駆動する(図5のステップS03)。制御部40は、例えば、弱運転、中運転、強運転のそれぞれに対応する回転数で、電動ポンプ12を駆動する。
入浴者は、必要に応じて操作部42を操作することにより、第1片側吐水状態、第2片側吐水状態、及び同時吐水状態の各吐水状態の切り替えを行う。例えば、第1吐水部31のみから肩などに向けて湯水を吐水させた状態から、第1吐水部31及び第2吐水部32のそれぞれから湯水を吐水する状態に切り替える。
制御部40は、操作部42から各吐水状態の切り替えを指示されると、電動ポンプ12の動作を停止させる。もしくは、電動ポンプ12の出力を低下させることにより、電動ポンプ12から下流に供給する湯水の流量を低下させる(図5のステップS04、S05)。
制御部40は、電動ポンプ12の動作を停止又は流量を低下させた後、切替弁14の駆動部72を駆動させ、切り替えが指示された吐水状態に対応する所定位置に可動部76を移動させる(図5のステップS06)。このように、制御部40は、各吐水状態のいずれかの吐水状態で電動ポンプ12を動作させている状態からいずれか別の吐水状態に切り替える際に、切替弁14を動作させる前に、電動ポンプ12を停止又は電動ポンプ12から下流に供給する湯水の流量を低下させる。例えば、第2片側吐水状態と同時吐水状態との切り替えのみが可能である場合、制御部40は、第2片側吐水状態及び同時吐水状態のいずれか一方の吐水状態で電動ポンプ12を動作させている状態からいずれか他方の吐水状態に切り替える際に、切替弁14を動作させる前に、電動ポンプ12を停止又は電動ポンプ12から下流に供給する湯水の流量を低下させる。
制御部40は、切替弁14を駆動させた後、操作部42で選択された運転モードなどに対応する所定条件で電動ポンプ12の駆動を再開する(図5のステップS07)。制御部40は、操作部42から運転の停止を指示されると、電動ポンプ12の動作を停止させ、吐水を停止させる。制御部40は、以下、同様の処理を繰り返す。
以上、説明したように、本実施形態に係る浴槽装置10によれば、第1流路21と第2流路22との分岐部から第2吐水口32aまでの経路上の所定位置に圧力損失増大部として機能する切替弁14を設けたことにより、第1吐水口31a側に流れる湯水の圧力損失と第2吐水口32a側に流れる湯水の圧力損失との差を小さくすることができる。すなわち、圧力損失が高くなるジェットポンプユニット16に合わせて分岐部から第2吐水口32aまでの経路上の所定位置の圧力損失を増大させることにより、第1吐水口31a側に流れる湯水の圧力損失と第2吐水口32a側に流れる湯水の圧力損失との差を小さくすることができる。従って、1つの電動ポンプ12と1つのジェットポンプユニット16とを用いて第1吐水部31及び第2吐水部32のそれぞれから同時に湯水を吐水する場合にも、第1吐水部31及び第2吐水部32のそれぞれにおいて適切な吐水流量を得ることができる。また、第2吐水部32のみから湯水を吐水する場合の圧力損失を低くすることができる。従って、第2吐水部32のみから湯水を吐水する場合に、電動ポンプ12の駆動力を抑えることができ、消費電力を抑えることができる。
また、浴槽装置10では、切替弁14が、湯水が流れる内部流路74dの断面積を第1状態において第2状態よりも小さくすることにより、所定位置よりも第2吐水口32a側に流れる湯水の圧力損失を増大させる。これにより、断面積を小さくするという簡単な構成で圧力損失を増大させることができる。
また、切替弁14を設けることにより、肩のみの吐水、腰のみの吐水、肩と腰の同時吐水など、種々の吐水パターンを入浴者の好みに応じて選択することができ、浴槽装置10の使い勝手を向上させることができる。また、切替弁14の制御のみで経路の切り替えと圧力損失の増大とを行うことができる。従って、より簡単な構成で、圧力損失の増大と経路の切り替えとを行うことができる。浴槽装置10の部品点数を削減し、浴槽装置10の製造コストの増加を抑えることができる。
また、浴槽装置10では、制御部40が、各吐水状態のいずれかの吐水状態で電動ポンプ12を動作させている状態からいずれか別の吐水状態に切り替える際に、切替弁14を動作させる前に、電動ポンプ12を停止又は電動ポンプ12から下流に供給する湯水の流量を低下させる。これにより、各吐水状態の切り替え時に切替弁14の可動部76に大きな負荷がかかってしまうことを抑制することができる。従って、切替弁14の故障などを抑制し、長期に亘って安定して切替弁14を動作させることができる。
また、浴槽装置10では、切替弁14が、電動ポンプ12を動作させ、第1吐水部31と第2吐水部32とのそれぞれから湯水を吐水させる同時吐水状態の際に、第1吐水部31から吐水される湯水の流量が、第2吐水部32から吐水される湯水の流量の80%以上120%以下となるように、所定位置よりも第2吐水口32a側に流れる湯水の圧力損失を増大させる。これにより、1つの電動ポンプ12と1つのジェットポンプユニット16とを用いて第1吐水部31及び第2吐水部32のそれぞれから同時に湯水を吐水する場合に、第1吐水部31及び第2吐水部32のそれぞれにおいて適切な吐水流量とすることができる。従って、例えば、入浴者の肩と腰に同時に湯水を吐水させる場合などに、一方が強すぎるなどの違和感を入浴者に与えてしまうことを抑制することができ、リラクゼーション効果をより向上させることができる。
図6は、実施形態に係る浴槽装置の変形例を模式的に表すブロック図である。
なお、上記実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明は省略する。
図6に表したように、浴槽装置10aは、圧力損失増大部18をさらに備える。圧力損失増大部18は、第1流路21と第2流路22との分岐部から第2吐水部32の第2吐水口32aまでの経路上の所定位置に設けられる。圧力損失増大部18は、例えば、第1流路21と第2流路22との分岐部と第2吐水部32との間に設けられる。浴槽装置10aが切替弁14を備える場合、圧力損失増大部18は、切替弁14と第2吐水部32との間に設けられる。
圧力損失増大部18は、所定位置(第1流路21と第2流路22との分岐部)よりも第2吐水口32a側に流れる湯水の圧力損失を増大させる第1状態と、所定位置よりも第2吐水口32a側に流れる湯水の圧力損失の増大量を第1状態よりも小さくした第2状態と、を切替可能である。第2状態は、例えば、所定位置よりも第2吐水口32a側に流れる湯水の圧力損失を、所定位置に流入する湯水の圧力損失と実質的に同じにした状態である。換言すれば、第2状態は、圧力損失を実質的に変化させない状態である。但し、第2状態は、圧力損失の増大量を第1状態よりも小さくした任意の状態でよい。圧力損失増大部18は、例えば、湯水が流れる流路の断面積を変化させ、第1状態において、流路の断面積を第2状態よりも小さくすることにより、第2状態よりも圧力損失を増大させる。圧力損失増大部18には、例えば、バタフライバルブなど、流路に流れる湯水の流量を調整可能なバルブなどが用いられる。
圧力損失増大部18は、制御部40と接続されている。制御部40は、圧力損失増大部18の第1状態と第2状態との切り替えを制御する。制御部40は、切替弁14を同時吐水状態にした時に、圧力損失増大部18を第1状態にし、切替弁14を第2片側吐水状態にした時に、圧力損失増大部18を第2状態にする。
このように、圧力損失増大部18は、切替弁14と別に設けてもよい。この場合にも、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、1つの電動ポンプ12と1つのジェットポンプユニット16とを用いて第1吐水部31及び第2吐水部32のそれぞれから同時に湯水を吐水する場合にも、第1吐水部31及び第2吐水部32のそれぞれにおいて適切な吐水流量を得ることができる。切替弁14を設けることにより、種々の吐水パターンを入浴者の好みに応じて選択することができ、浴槽装置10aの使い勝手を向上させることができる。また、第2吐水部32のみから湯水を吐水する場合の圧力損失を低くすることができる。従って、第2吐水部32のみから湯水を吐水する場合に、電動ポンプ12の駆動力を抑えることができ、消費電力を抑えることができる。
図7は、実施形態に係る浴槽装置の変形例を模式的に表すブロック図である。
図7に表したように、浴槽装置10bでは、切替弁14が、分岐配管80に置き換えられている。従って、浴槽装置10bでは、電動ポンプ12の駆動により、必ず第1吐水部31及び第2吐水部32のそれぞれから湯水が吐水される。
浴槽装置10bでは、配管54の屈曲部が、圧力損失増大部18として機能する。このように、圧力損失増大部18は、必ずしも第1状態及び第2状態を切替可能な部材に限ることなく、所定位置よりも第2吐水口32a側に流れる湯水の圧力損失を、所定位置に流入する湯水の圧力損失よりも増大させることが可能な任意の部材でよい。また、浴槽装置10bでは、2つの圧力損失増大部18が設けられている。このように、圧力損失増大部18は、第1流路21と第2流路22との分岐部から第2吐水部32の第2吐水口32aまでの経路上に、複数設けてもよい。
浴槽装置10bでは、圧力損失増大部18が、電動ポンプ12を動作させ、第1吐水部31と第2吐水部32とのそれぞれから湯水を吐水させる際に、第1吐水部31から吐水される湯水の流量が、第2吐水部32から吐水される湯水の流量の80%以上120%以下となるように、所定位置よりも第2吐水口32a側に流れる湯水の圧力損失を増大させる。
このように、第1吐水部31と第2吐水部32とのそれぞれから湯水を吐水させる際に、第1吐水部31から吐水される湯水の流量を、第2吐水部32から吐水される湯水の流量の80%以上120%以下とすることにより、1つの電動ポンプ12と1つのジェットポンプユニット16とを用いて第1吐水部31及び第2吐水部32のそれぞれから同時に湯水を吐水する場合に、第1吐水部31及び第2吐水部32のそれぞれにおいて適切な吐水流量とすることができる。従って、入浴者の肩と腰に同時に湯水を吐水させる場合に、一方が強すぎるなどの違和感を入浴者に与えてしまうことを抑制することができ、リラクゼーション効果をより向上させることができる。
図8は、実施形態に係る浴槽装置の変形例を模式的に表すブロック図である。
図8に表したように、浴槽装置10cでは、配管54が、一部の断面積を他の断面積よりも小さくした絞り部を有しており、この絞り部が、圧力損失増大部18として機能している。このように、圧力損失増大部18は、第1流路21と第2流路22との分岐部から第2吐水部32の第2吐水口32aまでの経路上の流路の屈曲部や絞り部などで構成してもよい。
例えば、所定位置よりも下流側の流路全体の断面積を他の断面積よりも小さくすることにより、所定位置よりも下流側の流路全体を圧力損失増大部18としてもよい。すなわち、圧力損失増大部18は、湯水が流れる流路の少なくとも一部の断面積を他の断面積よりも小さくすることにより、所定位置よりも第2吐水口32a側に流れる湯水の圧力損失を増大させることが可能な任意の部材でよい。ここで、「他の断面積」とは、例えば、所定位置よりも上流側の流路の断面積である。より具体的には、所定位置の直前の流路の断面積(断面積が小さくなる直前の断面積)である。
圧力損失増大部18は、図1などにおいて切替弁14として表したように、第1流路21と第2流路22との分岐部に設けてもよい。また、圧力損失増大部18は、例えば、第2吐水部32内に設けてもよい。より詳しくは、圧力損失増大部18は、第2吐水部32の湯水の流入口と第2吐水口32aとの間に設けてもよい。例えば、第2吐水口32aの開口面積を小さくすることなどにより、第2吐水口32aを圧力損失増大部18として機能させてもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、浴槽装置10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。