JP6938349B2 - サイフォン式散気管、膜分離活性汚泥装置、及び水処理方法 - Google Patents
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Description
膜表面の洗浄性の観点から気泡のサイズは大きい方が好ましい。特許文献1には、大きな気泡を効率的に放出するサイフォン式散気管が開示されている。
[1]曝気を行うサイフォン式散気管であって、
上壁、側壁及び底壁が内部に空間が形成されるように設けられた筐体と、前記筐体内の空間を仕切る第一仕切壁及び第二仕切壁とを備え、
前記第一仕切壁が、前記筐体の上壁から下方に延び、かつ前記第一仕切壁の下端が前記筐体の底壁から離間するように設けられ、
前記第二仕切壁が、前記筐体の底壁から上方に延び、前記第二仕切壁の上端が前記筐体の上壁から離間し、かつ前記第一仕切壁と互いの面が対向するように間隔を開けて設けられ、
処理水流入口が、前記筐体の下部における前記第二仕切壁の前記第一仕切壁と反対側に形成され、散気穴が、前記筐体の上部における前記第一仕切壁の前記第二仕切壁と反対側に形成され、
前記第一仕切壁と前記第二仕切壁のいずれか一方又は両方と、前記筐体とが、上下方向において相対的に移動する、サイフォン式散気管。
[2]曝気を行うサイフォン式散気管であって、
上壁、側壁及び底壁が内部に空間が形成されるように設けられた筐体と、前記筐体内の空間を仕切る第一仕切壁及び第二仕切壁とを備え、
前記第一仕切壁が、前記筐体の上壁から下方に延び、かつ前記第一仕切壁の下端が前記筐体の底壁から離間するように設けられ、
前記第二仕切壁が、前記筐体の底壁から上方に延び、前記第二仕切壁の上端が前記筐体の上壁から離間し、かつ前記第一仕切壁と互いの面が対向するように間隔を開けて設けられ、
処理水流入口が、前記筐体の下部における前記第二仕切壁の前記第一仕切壁と反対側に形成され、散気穴が、前記筐体の上部における前記第一仕切壁の前記第二仕切壁と反対側に形成され、
前記第一仕切壁に少なくとも1つの貫通孔が形成され、
前記貫通孔を開閉する開閉手段が設けられた、サイフォン式散気管。
[3]前記開閉手段が、前記第一仕切壁の面に沿って前記筐体に対して相対的に上下動して前記貫通孔を開閉する開閉板である、[2]に記載のサイフォン式散気管。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載のサイフォン式散気管と、
活性汚泥を含む汚泥含有処理水を膜分離する膜モジュールと、
前記サイフォン式散気管及び前記膜モジュールが設置されている膜分離槽とを備える、膜分離活性汚泥装置。
[5]活性汚泥を用いて原水を活性汚泥処理し、
活性汚泥処理した汚泥含有処理水を[4]に記載の膜分離活性汚泥装置により膜分離処理する、水処理方法。
本発明の水処理方法によれば、気泡のサイズや間欠時間を調整しながら水処理を行うことができる。
以下、本発明の第一の態様の一例について説明する。
図1は、本発明の第一の態様の水処理方法に用いる水処理装置の一例である水処理装置1000を示した模式図である。水処理装置1000は、図1に示すように、活性汚泥処理槽11と、活性汚泥処理槽11の後段に設けられた膜分離活性汚泥装置100(以下、「MBR装置100」と称することがある。)と、MBR装置100の後段に設けられた処理水槽41とを備えている。さらに、水処理装置1000は、図示を省略するが、活性汚泥処理槽11に流入する原水の流量を調整する流量調整槽、MBR装置100から余剰汚泥を引く抜く引抜ポンプ、MBR装置100に薬液や希釈水を送液する送液手段、及び処理水槽41から工場や河川等に処理水を放流する放流手段等を備えている。
活性汚泥処理槽11には、第一の流路12と第二の流路13とが接続されている。第一の流路12は、工場や家庭等から排出された原水を活性汚泥処理槽11に流入させる流路である。第二の流路13は、活性汚泥処理槽11から排出された汚泥含有処理水(被処理水)をMBR装置100に流入させる流路である。
散気装置14は、空気を活性汚泥処理槽11内に散気する散気管14aと、散気管14aに空気を供給する導入管14bと、空気を送気するブロア14cとを備えている。
散気管14aとしては、ブロア14cから供給される空気を上方へ吐出できるものであれば特に限定されず、例えば、穴あきの単管やメンブレンタイプのものが挙げられる。
MBR装置100は、膜分離槽21と、膜モジュール22と、膜モジュール22の下方に設けられたサイフォン式散気管1とを備えている。第二の流路13は、膜分離槽21に接続されている。膜モジュール22とサイフォン式散気管1は、膜分離槽21内に配置されている。
汚泥返送手段30は、第四の流路31を備えている。第四の流路31は、汚泥含有処理水の一部を膜分離槽21から排出し、活性汚泥処理槽11に流入させる流路である。
第四の流路31には、ポンプ31aが設置されている。これにより、膜分離槽21内の汚泥含有処理水の一部を膜分離槽21から活性汚泥処理槽11に返送することができる。
分離膜としてモノリス型膜を用いる場合は、セラミック製の膜を用いることが好ましい。
第三の流路33には、ポンプ33aが設置されている。これにより、膜モジュール22の分離膜を透過した処理水を膜分離槽21から排出できるようになっている。
サイフォン式散気管1は、図2及び図3に示すように、筐体50と、筐体50内の空間を仕切る第一仕切壁4a及び第二仕切壁4bとを備えている。
筐体50は、いずれも正面視形状が矩形状の板状部材である上壁1Aと、4枚の側壁1Bと、底壁1Cとが、内部に空間が形成されるように設けられた立方体状の箱状の筐体である。
底壁1Cは、散気穴6が形成されている側の側壁1Bの下端側から内側に延びるように、4枚の側壁1Bで形成された筒状部分の下方の開口端のほぼ半分を塞ぐように設けられている。筐体50の下側の開口部分における底壁1Cで塞がれていない部分が処理水流入口7となっている。
第二仕切壁4bは、筐体50の底壁1Cにおける第一仕切壁4aの散気穴6とは反対側に位置する先端側から上方に延びるように設けられている。第二仕切壁4bの上端4b1は筐体50の上壁1Aから離間している。第一仕切壁4aと第二仕切壁4bとは、互いの面が対向するように間隔を開けて設けられている。
筐体50内においては、処理水流入口7から散気穴6へ向かう被処理水の流れを想定したとき処理水流入口7側を「上流」とし、散気穴6側を「下流」とする。
サイフォン式散気管1は、膜分離槽21を平面視したときに、膜モジュール22における隣り合う分離膜の間と散気穴6とが重なり合う位置に設けられている。
筐体50の空気供給口3には空気供給管1aを介してブロア1bが接続され、空気供給口3から筐体50内に空気を供給できるようになっている。
第一仕切壁4aや第二仕切壁4b、筐体50を上下動させる機構は、所望の通りに上下動させることができるものであれば特に限定されない。
サイフォン式散気管1の数は、特に限定されず、膜モジュール22の大きさ、枚数に応じて適宜設定できる。
作動開始前においては、図4(a)に示すように、サイフォン式散気管1の筐体50内におけるサイフォン室2、連通部5及び経路4は汚泥含有処理水B(被処理水)で満たされている。ブロア1bにより空気供給管1aを介して空気供給口3から空気Aを筐体50内のサイフォン室2に連続的に供給する。空気供給口3から空気Aを供給し続けると、図4(b)に示すように、サイフォン室2内の汚泥含有処理水Bが散気穴6や処理水流入口7から押し出されて、サイフォン室2の液面Sが次第に降下する。
サイフォン式散気管1では、図5に示すように、第二仕切壁4bを筐体50に対して相対的に下方に移動させることで、上下方向において第二仕切壁4bの上端4b1が第一仕切壁4aの下端4a1に近づき、サイフォン室2の容積が小さくなる。これにより、サイフォン式散気管1から曝気される気泡のサイズが小さくなり、間欠時間が短くなる。一方、第二仕切壁4bを筐体50に対して相対的に上方に移動させることで、上下方向において第二仕切壁4bの上端4b1が第一仕切壁4aの下端4a1から離れ、サイフォン室2の容積が大きくなる。これにより、サイフォン式散気管1から曝気される気泡のサイズが大きくなり、間欠時間が長くなる。
このように、第一仕切壁4aや第二仕切壁4bを筐体50に対して相対的に上下動させることで、サイフォン室2の容積を変化させることができる。サイフォン室2の容積が小さいほど、気泡のサイズが小さくなり、間欠時間が短くなる。
以下、水処理装置1000を用いた水処理方法について説明する。本実施形態の水処理方法は、活性汚泥を用いて原水を活性汚泥処理する活性汚泥処理工程と、活性汚泥処理工程で得られた汚泥含有処理水を膜分離する膜分離工程と、を有している。
例えば膜モジュール22の分離膜表面に有機物等が堆積して膜モジュール22の膜間差圧が大きくなった場合には、第一仕切壁4a及び第二仕切壁4bのいずれか一方又は両方を筐体50に対して相対的に上下動させ、サイフォン室2の容積をより大きくして、曝気される気泡のサイズをより大きくし、間欠時間を長くする。これにより、膜モジュール22の膜表面の洗浄効果が高くなる。
以下、本発明の第二の態様の一例について説明する。
本実施形態の水処理方法に用いる水処理装置は、MBR装置100がサイフォン式散気管1の代わりに図7に例示したサイフォン式散気管8を備えている以外は、水処理装置1000と同じ態様である。
サイフォン式散気管8の数は、特に限定されず、膜モジュール22の大きさ、枚数に応じて適宜設定できる。
サイフォン式散気管8は、第一仕切壁4a及び第二仕切壁4bが筐体50に対して相対的に上下動せず、第一仕切壁4aに複数の貫通孔52が形成され、それら貫通孔52を開閉する開閉手段54が設けられている以外は、サイフォン式散気管1と同様の態様である。サイフォン式散気管8では、第一仕切壁4aに形成された貫通孔52を開閉手段54で開閉することで、サイフォン室2の容積を変化させることができる。
なお、第一仕切壁4aの横方向において、複数の貫通孔52が間隔を開けて形成されていてもよい。
貫通孔52のサイズは、特に限定されず、サイフォン式散気管8の曝気を損なわない範囲で適宜設定すればよい。
開閉手段54を駆動(この例では上下動)させて貫通孔52を開閉する機構は、特に限定されない。
このように、サイフォン式散気管8では、第一仕切壁4aに形成された貫通孔52の開閉によりサイフォン室2の容積を変化させることで、曝気される気泡のサイズや間欠時間を調節することができる。
以下、サイフォン式散気管8を備える水処理装置1000を用いた水処理方法について説明する。本実施形態の水処理方法は、活性汚泥を用いて原水を活性汚泥処理する活性汚泥処理工程と、活性汚泥処理工程で得られた汚泥含有処理水を膜分離する膜分離工程と、を有している。
膜分離工程は、サイフォン式散気管8を備えるMBR装置100を用いる以外は第一の態様で説明した方法と同様に行える。
例えば膜モジュール22の分離膜表面に有機物等が堆積して膜モジュール22の膜間差圧が大きくなった場合には、図7に示すように、開閉手段54により各貫通孔52を閉口状態としてサイフォン室2の容積をより大きくして、曝気される気泡のサイズをより大きくし、間欠時間を長くする。これにより、膜モジュール22の膜表面の洗浄効果が高くなる。
第二の態様のサイフォン式散気管は、第一の態様のサイフォン式散気管よりも製造が容易である。
本発明の膜分離活性汚泥装置は、本発明のサイフォン式散気管と、活性汚泥を含む汚泥含有処理水を膜分離する膜モジュールと、サイフォン式散気管及び膜モジュールが設置されている膜分離槽とを備える以外は、公知の態様を採用できる。
本発明の水処理方法は、活性汚泥処理槽11の中にMBR装置100が設けられた水処理装置を用いて、活性汚泥処理工程と膜分離工程とを同時に行う方法であってもよい。
[実施例1]
図2〜5に例示したサイフォン式散気管1と同様の構成のサイフォン式散気管を作製した。該サイフォン式散気管は、外寸で高さH170mm×長さL160mm×幅D80mm(図2)の筐体とした。散気穴は平面視で10mm×150mmの矩形状とした。筐体の上壁、側壁及び底壁、第一仕切壁及び第二仕切壁の厚さは、それぞれ5mmとした。第一仕切壁と上壁との距離、第一仕切壁と第二仕切壁との距離、第二仕切壁と底壁との距離、第二仕切壁と側壁との距離はそれぞれ10mmとした。
Claims (4)
- 曝気を行うサイフォン式散気管であって、
上壁、側壁及び底壁が内部に空間が形成されるように設けられた筐体と、前記筐体内の空間を仕切る第一仕切壁及び第二仕切壁とを備え、
前記第一仕切壁が、前記筐体の上壁から下方に延び、かつ前記第一仕切壁の下端が前記筐体の底壁から離間するように設けられ、
前記第二仕切壁が、前記筐体の底壁から上方に延び、前記第二仕切壁の上端が前記筐体の上壁から離間し、かつ前記第一仕切壁と互いの面が対向するように間隔を開けて設けられ、
処理水流入口が、前記筐体の下部における前記第二仕切壁の前記第一仕切壁と反対側に形成され、散気穴が、前記筐体の上部における前記第一仕切壁の前記第二仕切壁と反対側に形成され、
前記第一仕切壁に少なくとも1つの貫通孔が形成され、
前記貫通孔を開閉する開閉手段が設けられた、サイフォン式散気管。 - 前記開閉手段が、前記第一仕切壁の面に沿って前記筐体に対して相対的に上下動して前記貫通孔を開閉する開閉板である、請求項1に記載のサイフォン式散気管。
- 請求項1又は2に記載のサイフォン式散気管と、
活性汚泥を含む汚泥含有処理水を膜分離する膜モジュールと、
前記サイフォン式散気管及び前記膜モジュールが設置されている膜分離槽とを備える、膜分離活性汚泥装置。 - 活性汚泥を用いて原水を活性汚泥処理し、
活性汚泥処理した汚泥含有処理水を請求項3に記載の膜分離活性汚泥装置により膜分離処理する、水処理方法。
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