JP6937208B2 - 同軸フラットケーブル - Google Patents
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Description
内部導体1は、図1及び図2に示すように、同軸ケーブル10の長手方向Yに延びる1本の素線で構成されるもの、又は複数本の素線を撚り合わせて構成されるものであり、同軸ケーブル10の中心導体を構成している。素線は、良導電性金属であればその種類は特に限定されないが、銅線、銅合金線、アルミニウム線、アルミニウム合金線、銅アルミニウム複合線等の良導電性の金属導体、又はそれらの表面にめっき層が施されたものを好ましく挙げることができる。高周波用の観点からは、銅線、銅合金線が特に好ましい。めっき層としては、はんだめっき層、錫めっき層、金めっき層、銀めっき層、ニッケルめっき層等が好ましい。素線の断面形状も特に限定されないが、断面形状が円形又は略円形であってもよいし、角形形状であってもよい。
誘電体層2は、図1〜図3に示すように、内部導体1の外周に設けられている低誘電率の絶縁層である。誘電体層2の構成は特に限定されないが、図2に示すように、長手方向Yに連続する空隙部2Aを有していることが好ましい。この空隙部2Aは、誘電体層2の中に連続して設けられているが、その形態は、丸形でも矩形でもよく特に限定されない。特に、内環状部2B、外環状部2C及びこれらを連結する連結部2Dで構成された中空構造体2(誘電体層と同じ符号2を用いることがある。)は、空隙部2Aが内環状部2B、外環状部2C及び連結部2Dで囲まれた断面形態になっており、側圧強度に優れるので好ましい。側圧強度に優れる中空構造体2は、同軸ケーブル10及び同軸フラットケーブル20の製造時や同軸フラットケーブル20の配線作業時等に潰れにくく、高周波特性を安定なものとすることができる。なお、中空構造体2は、押出ダイを走行する内部導体1の外周に、例えばPFA樹脂を押出しして成形することができる。なお、PFAは、テトラフルオロエチレンとペルフルオロエーテルの共重合体である。内環状部2B、外環状部2C及び連結部2Dのそれぞれの厚さは特に限定されないが、例えば0.01mm〜0.05mm程度の範囲内であり、形成された中空構造体2(誘電体層2)の外径は、例えば0.4mm〜1.0mm程度の範囲内である。
外部導体3は、誘電体層2の外周に設けられており、細線を編組としたものや横巻きしたものであってもよいし、金属層付絶縁テープ(例えば銅層付きのポリエチレンテレフタレートフィルム等)であってもよいし、それらの両方を組み合わせたものであってもよい。図2の例では、誘電体層2の外周に細線横巻3Aを設け、さらにそれを覆うように金属層付き絶縁テープ3Bを設けているが、こうした構成に限定されない。外部導体3の厚さは特に限定されないが、例えば0.01mm〜0.15mm程度の範囲内である。
同軸フラットケーブル20は、図1〜図3に示すように、一定の間隔Pで並列に配された複数本の同軸ケーブル10と、その同軸ケーブル10を両面から一体化する固定テープ11とを有するように構成されている。さらに。本発明では、外部導体3の外周に設けられる絶縁層(図5を参照)が存在しない。そのため、内部導体1を太くしても、絶縁層が存在しない個々の同軸ケーブル10の外径が太くなるのを制限することができる。その結果、所望のコネクタのピッチを超えてしまうことがなく、安定で優れた高周波特性を示す同軸フラットケーブル20を既存のコネクタを変更することなく利用することができる。なお、同軸ケーブル10については既に説明したとおりである。
固定テープ11は、図1、図3及び図4に示すように、複数本の同軸ケーブル10の端末部21又は全面を両面から一体化するものである。本発明では、同軸ケーブル10の外部導体の電位を電位差なく揃えて電気的特性を維持するので、図1及び図4に示すように、片面ではなく、両面に固定テープ11を設けることが望ましい。両面に固定テープ11を設ける形態としては、2枚の固定テープ11で挟んで貼り合わせて一体化したり、1枚の固定テープ11で両面を包むように覆って貼り合わせて一体化したりすることが好ましい。
相対伝送速度(V)=100/√ε(%)
特性インピーダンス(Zo)=60/√ε・LnD/d(Ω)
静電容量(C)=55.63ε/LnD/d(PF/m)
ただし、ε:絶縁体(誘電体層2)の比誘電率、D:絶縁体(誘電体層2)の外径(外部導体3の内径)、d:導体外径(内部導体1の外径)とする。
図4(B)に例示した同軸フラットケーブル20を作製した。内部導体1として、直径0.08mmの銀めっき軟銅線を7本撚りしたAWG32(外径約0.24mm)を用いた。誘電体層2は、中空構造体用ダイスニップルにて350℃でPFA樹脂(デュポン社製)を押出しして、空隙部2Aが内環状部2B、外環状部2C及び連結部2Dで囲まれた断面形態の中空構造体を形成した。この中空構造体において、内環状部2Bの厚さは0.05mm、外環状部2Cの厚さは0.05mm、連結部2Dの厚さは0.05mmであり、中空構造体(誘電体層2)の外径は0.60mmであり、空隙部2Aの空隙率は誘電体層全体(中空構造体全体)の面積に対して30%であった。なお、空隙部2Aの形状は、図4に示すように、ほぼ台形形状であった。
第1固定テープ11’を用いた他は、実施例1と同様にして図4(A)に例示した同軸フラットケーブルを作製した。第1固定テープ11’は、ヒエン電工株式会社製の基材11A(PETフィルム、厚さ約0.012mm)及び導電性接着剤層11B(ポリエステル熱可塑性樹脂と導電材を含む。厚さ約0.013mm)からなるものを、幅25mmに切断して使用した。誘電率εは約1.6であった。
絶縁層104を有する同軸ケーブル100を用いた他は、実施例1と同様にして図5に示す同軸フラットケーブルを作製した。なお、絶縁層104は、厚さ0.001mmのポリエステル熱可塑性樹脂(接着剤層)が片面に設けられた厚さ0.004mmのポリエステルテープを幅3.0mmに切断し、テープ巻き機を用いて接着剤層を外部導体側にして1/3ラップで巻き付けたものである。誘電率εは約1.6であった。
誘電体層2を微小な空気層を有する発泡層(図示しない)とした他は、実施例1と同様にして同軸フラットケーブルを作製した。なお、発泡層は発泡剤入りポリエチレンコンパウンドを押出成型にて形成し、発泡層の空隙率は30%であり、誘電率εは約1.80であった。
(加工作業時や配線時の潰れの有無と高周波特性)
加工作業時には、同軸ケーブル10を固定テープ11でヒートシールする際の加熱(約170℃)と圧力(約0.2MPa)が加わるが、こうした加工作業が同軸ケーブル10の断面形態を変形させて伝搬遅延時間を変動させるか否かを調べた。
2 誘電体層(中空構造体)
2A 空隙部
2B 内環状部
2C 外環状部
2D 連結部
3 外部導体
3A 細線横巻
3B 金属層付絶縁テープ
10 同軸ケーブル
11 固定テープ
11’ 第1固定テープ
11” 第2固定テープ
11A 基材
11B 導電性接着剤層
11C 導電層
11D 接着剤層
20 同軸フラットケーブル
21 端末部
22 中間部(端末部以外の部分)
100 同軸ケーブル
104 絶縁層
P ピッチ(間隔)
Y 長手方向
Claims (5)
- 一定の間隔で並列に配された複数本の同軸ケーブルと、前記複数本の同軸ケーブルの少なくとも端末部を両面から一体化する固定テープとを有する同軸フラットケーブルにおいて、
前記同軸ケーブルは、内部導体と、該内部導体の外周に設けられた誘電体層と、該誘電体層の外周に設けられた外部導体とを少なくとも備え、
前記誘電体層が、内環状部、外環状部及びこれらを連結する連結部で構成された中空構造体であり、長手方向に連続する空隙部を有し、該中空構造体がフッ素系樹脂で構成されており、
前記外部導体は、金属線の編組若しくは横巻き、及び/又は、前記固定テープ側に金属層の設けられた金属層付き絶縁テープ巻き、であり、
前記固定テープは、基材上に、導電性接着剤層が設けられ、又は、導電層及び導電性接着剤層が積層して設けられ、それら導電性接着剤層が前記外部導体に貼り合わされている、ことを特徴とする同軸フラットケーブル。 - 前記外部導体が金属層付き絶縁テープ巻きである場合、前記金属層と前記導電性接着剤層とが貼り合わされている、請求項1に記載の同軸フラットケーブル。
- 前記外部導体が金属線の編組若しくは横巻きである場合、前記金属線と前記導電性接着剤層とが貼り合わされている、請求項1に記載の同軸フラットケーブル。
- 前記外部導体が金属線の編組若しくは横巻きと金属層付き絶縁テープ巻きの両方を組み合わせたものである場合、前記誘電体層の外周に前記金属線の編組若しくは横巻きを設け、前記金属層と前記導電性接着剤層とが貼り合わされている、請求項1に記載の同軸フラットケーブル。
- 前記複数本の同軸ケーブルの両面が、2枚の前記固定テープで挟まれている、又は、1枚の前記固定テープで覆われている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の同軸フラットケーブル。
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