JP6936019B2 - メチル化カテキン含有茶エキスの製造方法 - Google Patents

メチル化カテキン含有茶エキスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、メチル化カテキンを含有する茶抽出液にタンナーゼを作用させて得られる、苦渋味が低減されたメチル化カテキン含有茶エキスの製造方法に関する。
近年、食習慣・ライフスタイル・環境の変化やストレスなどの要因により、アレルギー疾患と診断される患者数は増加し、国民の3人に1人が何らかのアレルギー疾患に罹患していると言われている。アレルギー疾患は生活の質を著しく低下させるため、大きな社会問題となっている。
アレルギー疾患の治療のために種々の医薬品が開発されているが、医薬品は副作用を伴うため、天然物由来の抗アレルギー成分が探索された結果、特定の茶葉に含まれるメチル化カテキンが抗アレルギー成分として見出されている(特許文献1)。メチル化カテキンは、べにふうきやべにほまれなどの特定の品種の茶葉に含まれているが、抗アレルギー作用を発揮する量のメチル化カテキンをこれらの茶葉から摂取しようとすると、苦渋味が極めて強く、飲用しにくいという課題がある。
苦渋味を低減して、一定量以上のメチル化カテキンを摂取するための方法として、茶抽出液から有機溶媒によりメチル化カテキンを抽出する方法(特許文献2)、メチル化カテキンを含む茶葉を加熱水蒸気で処理する方法(特許文献3)などが開示されている。
特開2000-159670号 特開2011-004635号 特開2015-112023号
苦渋味を低減して、一定量以上のメチル化カテキンを摂取するための方法として上記のような方法が開示されている。しかしながらこれらの方法は少なくとも次のような欠点を有する。例えば、特許文献2の有機溶媒によりメチル化カテキンを抽出する方法は、安全性の観点から有機溶媒を完全に除去する必要が有り、その除去に時間が掛かるという欠点を有している。また、有機溶媒を用いるという点で環境上好ましくなく、消費者は有機溶媒と食品の接触を望まないという社会的な問題も有る。特許文献3の茶葉を加熱水蒸気で処理する方法ではメチル化カテキンの含量が大幅に減少するため、一定量以上のメチル化カテキンを摂取するために多量の茶を摂取しなくてはならないという問題がある。
したがって、本発明の目的は、上記問題点を克服した苦渋味が低減されたメチル化カテキン含有茶エキスを提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、メチル化カテキンを含有する茶抽出液にタンナーゼを作用させて特定のカテキン組成に制御することで、苦渋味が低減されたメチル化カテキン含有茶エキスを得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
タンナーゼは、ポリフェノールとフェノール酸との間に形成されているエステル結合を加水分解する酵素であり、茶に含まれるガレート型カテキンの一種であるエピガロカテキン 3-O-ガレート(epigallocatechin 3-O-gallate、以下EGCgとする)を基質とした場合、EGCgを苦渋味の少ないエピガロカテキン(epigallocatechin、以下EGCとする)と没食子酸(gallic acid)に分解する酵素である。メチル化カテキンはガレート型カテキンのガレート部分の水酸基がメトキシ基に置換したものであるため、ガレート型カテキンと同様にタンナーゼにより分解されると考えられてきた。しかしながら、意外なことに、タンナーゼはガレート型カテキンを選択的、優先的に分解して、メチル化カテキンは保持されるという現象を本発明者は見出した。このようなタンナーゼの反応選択性はこれまでに報告された例は無く、この反応選択性を利用して、メチル化カテキンを保持しながらガレート型カテキンを分解して苦渋味を低減させることは、従来の技術からは想起することができない全く新しい技術である。
すなわち、本発明は、(A)メチル化カテキン、(B)ガレート型カテキンおよび(C)非ガレート型カテキンを含有する茶抽出液にタンナーゼを作用させることを特徴とする茶エキスの製造方法および茶エキスの苦渋味低減方法を提供するものである。
本発明によれば、苦渋味が低減されたメチル化カテキン含有茶エキスを製造することができる。また、本発明の製造方法により得られた茶エキスを用いることで、メチル化カテキンを含有する苦渋味の少ない飲食品、特には、容器詰茶飲料、粉末茶飲料などの飲料を提供することができる。
以下において本発明を詳細に説明する。
本発明における(A)メチル化カテキンとしては、エピガロカテキン3-O-(3”-O-メチル)ガレート(epigallocatechin 3-O-(3”-O-methyl)gallate、以下EGCg3”Meとする)、エピカテキン 3-O-(3”-O-メチル)ガレート(epicatechin 3-O-(3”-O-methyl)gallate、以下ECg3”Meとする)、エピガロカテキン 3-O-(4”-O-メチル)ガレート(epigallocatechin 3-O-(4”-O-methyl)gallate、以下EGCg4”Meとする)、エピカテキン 3-O-(4”-O-メチル)ガレート(epicatechin 3-O-(4”-O-methyl)gallate、以下ECg4”Meとする)、ガロカテキン 3-O-(3”-O-メチル)ガレート(gallocatechin 3-O-(3”-O-methyl)gallate、以下GCg3”Meとする)、カテキン 3-O-(3”-O-メチル)ガレート(catechin 3-O-(3”-O-methyl)gallate、以下Cg3”Meとする)、ガロカテキン 3-O-(4”-O-メチル)ガレート(gallocatechin 3-O-(4”-O-methyl)gallate、以下GCg4”Meとする)、カテキン 3-O-(4”-O-メチル)ガレート(catechin 3-O-(4”-O-methyl)gallate、以下Cg4”Meとする)などの、ガレート型カテキンのガレート部分の水酸基がメトキシ基に置換したものを指すが、本発明における(A)メチル化カテキンとは、これらのうち、EGCg3”Me および GCg3”Meの合計値とする。また、(B)ガレート型カテキンとは、エピガロカテキン 3-O -ガレート(epigallocatechin 3-O-gallate、以下EGCgとする)、エピカテキン 3-O-ガレート(epicatechin 3-O-gallate、以下ECgとする)、ガロカテキン 3-O-ガレート(gallocatechin 3-O-gallate、以下GCgとする)、カテキン 3-O-ガレート(catechin 3-O-gallate、以下Cgとする)を指し、(C)非ガレート型カテキンとは、エピガロカテキン(epigallocatechin、以下EGCとする)、エピカテキン(epicatechin、以下ECとする)、ガロカテキン(gallocatechin、以下GCとする)、カテキン(catechin、以下Cとする)を指す。更に(A)メチル化カテキン、(B)ガレート型カテキンおよび(C)非ガレート型カテキンの合計量を総カテキンとする。
本発明に使用する原料茶葉は、(A)メチル化カテキン、(B)ガレート型カテキンおよび(C)非ガレート型カテキンを含有する茶樹(Camellia sinensis var. sinensisやCamellia sinensis var. assamicaまたはこれらの雑種)の生葉や生茎、あるいはこれらを一次原料として製造された茶葉(たとえば、煎茶、玉露、かぶせ茶、番茶、釜炒り緑茶などの不発酵茶、不発酵茶に花の香りを移したジャスミン茶などの花茶、白茶などの弱発酵茶、烏龍茶などの半発酵茶、紅茶などの発酵茶、プアール茶などの後発酵茶など)である。(A)メチル化カテキン、(B)ガレート型カテキンおよび(C)非ガレート型カテキンを含有する茶葉としては、べにふうき、べにほまれ、べにふじ、かなやみどり、ゆたかみどり、りょうふう、おくむさし、そうふう、おくみどり、やえほ、するがわせ、べにひかり、やまかい、からべに、やまとみどり、青心烏龍、大葉烏龍、武夷水仙、青心大パン、鳳凰単叢、鳳凰水仙、白葉単叢水仙などが挙げられる。これらの茶葉は単一または複数混合して用いてもよい。また、抽出効率を上げるためにこれらを予め粉砕、破断、裁断してもよい。これらの茶葉のうち、特に発酵前の茶葉を利用することが好ましい。
本発明における原料茶葉の抽出方法としては、ニーダーや抽出用タンクなどを用いたバッチ式抽出法や抽出塔などを用いたカラム式抽出法などの公知の方法が挙げられる。抽出の条件は原料茶葉の種類、抽出機の種類、風味などにより適宜選択されるものであるが、例えば原料茶葉1重量部に対して3〜50重量部の抽出溶媒を用いれば良く、4〜30重量部が抽出効率、製造コストおよび品質などの点で好ましい。抽出溶媒は水、温水、熱水を用いるのが、安全上問題が無く好ましい。抽出温度は特に制限されないが、60〜100℃が好ましく、80〜100℃がより好ましい。抽出時間は抽出溶媒の量や抽出温度にも依存するが、30秒〜6時間、好ましくは3分〜3時間、さらに好ましくは4分〜1時間が良い。抽出時は必要に応じて撹拌を行い、上記抽出工程の後にカートリッジフィルター、ネルろ布、ろ過板、ろ紙、ろ過助剤を併用したフィルタープレスなどのろ過や遠心分離などにより固液分離して茶抽出液を得るようにすれば良い。また、抽出工程においては茶抽出液の酸化を抑制するために酸化防止剤を添加しても良い。酸化防止剤としては、食品添加物として認められているアスコルビン酸、エリソルビン酸またはそれらの金属塩などが挙げられる。また、得られた茶抽出液を濃縮したものや市販の茶エキスを溶解したものについても、そもそもの出発原料が茶葉である点で茶抽出液として利用することができる。
本発明では前記茶抽出液にタンナーゼを添加して酵素反応を行う。本発明で使用されるタンナーゼとは、タンニンアシルヒドロラーゼ(EC 3.1.1.20)を指し、ポリフェノールとフェノール酸との間に形成されているエステル結合を加水分解する酵素である。酵素反応の基質をEGCgとした場合、タンナーゼはEGCgを加水分解してより苦渋味の少ないEGCと没食子酸(gallic acid)を生成する。タンナーゼは麹菌などの糸状菌、酵母、細菌などの微生物産生により得ることができるが、特にAspergillus属やPenicillium属などの糸状菌が利用されている。タンナーゼはこれら糸状菌から得てもよいが、工業的には市販の真菌由来タンナーゼであるタンナーゼKTシリーズ(キッコーマンバイオケミファ(株))、スミチームTAN(新日本化学工業(株))、タンナーゼ(三菱化学フーズ(株))などの市販の酵素製剤を利用するのが好ましい。
タンナーゼの添加量は、抽出液の茶固形分1g当たり0.1〜100Uが好ましく、0.2〜50Uがより好ましく、0.4〜25Uがさらに好ましい。添加する酵素量は適宜調節することが望ましいが、茶固形分1g当たり0.1U未満では反応時間が長くなるため好ましくなく、100Uを超えるとガレート型カテキンのみならずメチル化カテキンも分解されるため好ましくない。
タンナーゼによる酵素反応の反応温度は、0〜50℃が好ましく、5〜45℃がより好ましく、10〜40℃がさらに好ましい。0℃未満では反応時間が長くなるため好ましくなく、50℃を超えると酵素活性の低下により反応が遅くなるため好ましくない。
また、タンナーゼを作用させる茶抽出液の初期pHは4.0〜6.0の範囲に調整するのが好ましい。初期pHがこの範囲外にあると、酵素活性が低下したり、酵素自体が不安定になったりするため好ましくない。なお、反応中は没食子酸(gallic acid)の生成により徐々にpHが低下するため、反応の進行度をpHのモニタリングにより推し量ることもできる。
反応時間は反応液のカテキン組成が所望の範囲となった時点を終点とする。したがって、一義的に特定できるものではないが、作業効率や成分の安定性などを考慮すると、10分〜12時間が好ましく、20分〜6時間が好ましく、30分〜4時間がさらに好ましい。
本発明の茶エキスの製造方法では、(A)メチル化カテキン、(B)ガレート型カテキンおよび(C)非ガレート型カテキンを含む茶抽出液にタンナーゼを作用させることで、選択的にガレート型カテキンを減少させてカテキン組成を制御する。(A)/(B)は0.19以上、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.3以上となるようにタンナーゼを作用させ、かつ(A)/((A)+(B)+(C))は0.061以上、好ましくは0.07以上、より好ましくは0.08以上となるようにタンナーゼを作用させることで苦渋味を低減させることができる。
(A)/(B)の上限値については、特に限定はないが、製造条件等を鑑みて、0.7以下が好ましい。また、(A)/((A)+(B)+(C))についても、0.08以下が好ましい。
酵素反応終了後は、速やかに酵素の失活処理を行う。酵素の失活処理はpH調整や加熱により行うことができる。pH調整により失活させる場合にはpH 6.0を超えるようにするのが好ましく、反応液中のメチル化カテキンの安定性を考慮すると、pH 6.0〜7.5がより好ましい。加熱により失活させる場合には、加熱は酵素活性が停止する条件で行えばよく、60〜140℃程度で10秒〜30分程度の加熱を行う条件を挙げることができ、70〜95℃で1〜10分間行うのが好適である。
本発明の茶エキスの製造方法による酵素処理によるメチル化カテキンの残存率は、酵素反応未処理品と比較して、好ましくは65%以上、より好ましくは80%以上である。また、ガレート型カテキンの残存率は、酵素未処理品と比較して、85%以下、より好ましくは70%以下である。尚、各残存率は、以下の式より算出した。
メチル化カテキン残存率(%)=((A)メチル化カテキン/(A)酵素未処理のメチル化カテキン)×100
ガレート型カテキン残存率(%)=((B)ガレート型カテキン/(B)酵素未処理のガレート型カテキン)×100
本発明の茶エキスの製造では、茶エキスの苦渋味をさらに低減するために上記タンナーゼ処理した反応液を精製する工程を設けることができる。精製手段としてはいくつかの方法があり、それらを適宜選択して用いることができる。例えば、鉱物類(活性白土や珪藻土など)、活性炭、合成吸着樹脂、イオン交換樹脂などを利用した公知の精製処理手段が挙げられる。本発明においては、簡便に精製できる観点から特にイオン交換樹脂を用いて精製するのが好ましい。
イオン交換樹脂を用いて精製処理する場合、弱酸性陽イオン交換樹脂を用いるのが好ましく、弱酸性陽イオン交換樹脂としては、アンバーライトFPC3500、IRC76、IRC86RF(以上、ダウ・ケミカル社)、ダイヤイオンWK10、WK11、WK40L(以上、三菱化学(株))などが挙げられる。アクリル重合体を母体構造に持つアンバーライトFPC3500、IRC76、IRC86RFやダイヤイオンWK40Lなどの弱酸性陽イオン交換樹脂は特にガレート型カテキン、メチル化カテキンとの親和性が高いため、タンナーゼ処理により増大した非ガレート型カテキンを除くことでさらに苦渋味を低減することが可能となる。具体的には、弱酸性陽イオン交換樹脂に反応液を通液してメチル化カテキンを樹脂に吸着させ、常温の水で洗浄することで非ガレート型カテキンを除去し、その後50℃〜80℃の熱水を通液することでメチル化カテキンを回収することができる。
上記イオン交換樹脂で処理することで、より選択的にガレート型カテキンを減少させてカテキン組成を制御することが可能である。この場合、(A)/(B)は0.25以上、好ましくは0.3以上となるように樹脂処理させ、かつ(A)/((A)+(B)+(C))は0.1以上、好ましくは0.2以上となるように樹脂処理させることで、より効果的に苦渋味を低減させることができる。
本発明の製造方法により得られる茶エキスは、水溶液の形態として使用することができるが、必要に応じて公知の方法により濃縮液や乾燥させた固形状、粉末状などにしても良い。濃縮には減圧濃縮、逆浸透膜濃縮、凍結濃縮等の手段を採用すれば良いが、香味面を考慮すると熱負荷の小さい逆浸透膜濃縮や凍結濃縮が好ましい。濃縮の程度は特に制限されないが、茶飲料へ配合する際の作業性を考慮すると茶エキスの茶固形分は1〜30%が好ましい。殺菌する場合には、高温長時間の加熱では香味のバランスが崩れるため、高温短時間の加熱(80〜135℃で3秒〜30分程度)が適当である。さらに加熱後の濃縮液は冷蔵または冷凍保存することにより香味の劣化を防ぐことができる。乾燥させる場合には噴霧乾燥法や凍結乾燥法など、一般的に用いられている方法を採れば良い。
本発明の茶エキスの(A)メチル化カテキン、(B)ガレート型カテキン、(C)非ガレート型カテキンの含有量は所定の成分比であればよい。茶葉使用量により高濃度のエキスも製造できるが、茶固形分1gあたり(A)+(B)+(C)の合計値で50〜900mgが好ましく、100〜800mgがより好ましい。同様に(A)メチル化カテキンは3〜90mgが好ましく、5〜60mgがより好ましい。
尚、上記殺菌条件により、熱異性化がおこり、EGCg3”Meの異性化体GCg3”Meが増加するが、本発明においては影響はない。
本発明の製造方法により得られる茶エキスはその用途を問わず、飲料や食品に添加してメチル化カテキンを含有する苦渋味の少ない飲料や食品を提供することができる。
また、必要に応じて各種の食品に使用可能な添加物、例えば甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、乳化剤、香料、pH調整剤、栄養強化剤などの成分を適宜選択して混合し、茶エキスを製剤として使用することもできる。
たとえば、本発明の茶エキスを配合して茶飲料を製造することができる。茶飲料は液体状の容器詰茶飲料としてもよく、また粉末状のインスタント茶飲料としてもよい。本発明の茶エキスを添加してなる容器詰飲料は製造工程のいずれかの段階で殺菌を行い、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるペットボトル)、瓶などの通常の状態で提供することができる。金属缶や瓶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合は、レトルト殺菌(110〜140℃、1〜数十分間)により製造されるが、ペットボトルや紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、充填前に、例えばプレート式熱交換機などで高温短時間殺菌(UHT殺菌:110〜150℃、1〜数十秒間)し、一定の温度まで冷却後、あらかじめ殺菌された容器に充填するなどの方法が選択できる。上記容器詰茶飲料は、(A)メチル化カテキン、(B)ガレート型カテキン、(C)非ガレート型カテキンを(A)/(B)は0.19以上、 (A)/((A)+(B)+(C))は0.061以上となるように調製すればよい。総カテキンである(A)メチル化カテキン、(B)ガレート型カテキン、(C)非ガレート型カテキンの合計値で、40〜150mg/100mL、(A)メチル化カテキン濃度が3.5〜8.0mg/100mLとなるように調製するのが好ましい。また、該茶飲料のpHは25℃換算値で5.5〜7.0に調整するのが好ましい。
さらに、インスタント粉末茶飲料の場合は、本発明の茶エキスを前記方法により乾燥した茶エキスをそのままインスタント茶飲料にすることもできる。また液体状の茶エキスを添加した茶調合液を公知の方法により粉末状にしても良い。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
[検討例1]
緑茶葉(品種べにふうき)200gを85℃のイオン交換水3000gに投入して30分間撹拌抽出後、生産用ろ紙(No.28、アドバンテック(株))を用いて固液分離を行い、2162gの抽出液(pH 5.34、Brix 3.24%)を得た。この抽出液をロータリーエバポレーターで濃縮後、凍結乾燥してべにふうき抽出物53.18gを得た。
得られたべにふうき抽出物より、茶固形分濃度25mg/mLのべにふうき抽出液を調製し、このべにふうき抽出液8mLに市販のタンナーゼ溶液2mLを加えてpH 5.4、所定温度(5、20、35℃)で所定時間(0、30、60、90、120分)酵素反応を行った。市販のタンナーゼは、スミチームTAN(新日本化学工業(株))を用いた。酵素反応後は反応液を沸騰水浴で5分間加熱して酵素を失活させ、得られた茶エキスの成分組成をHPLC分析にて定量した。
(HPLC分析方法)
HPLC分析は以下の条件で行った。定量用標準物質としては、メチル化カテキン(EGCg3”MeおよびGCg3”Me、長良サイエンス(株))、ガレート型カテキン(EGCg、ECg、GCg、Cg、三井農林(株))、非ガレート型カテキン(EGC、EC、GC、C、三井農林(株))、没食子酸(gallic acid)(関東化学(株))、caffeine(関東化学(株))を用いた。
装置:Alliance HPLCシステム(ウォーターズ社)
カラム:Poroshell 120 EC-C18(4.6×100mm、粒子径2.7μm、アジレント社製)
カラム温度:40℃
移動相:A液0.05%リン酸水/アセトニトリル=1000/25(体積比),B液メタノール
グラジエントプログラム:0〜1分,B 0%→1〜11分,B 0〜33%→11〜11.25分,B 33〜95%→11.25〜13.25分,B 95%→13.25〜13.5分,B 95〜0%→13.5〜15.5分,B 0%
流速:1.5mL/min
検出:UV 230nm(カテキン類),275nm(没食子酸(gallic acid)、カフェイン(caffeine))
また、メチル化カテキン濃度が6.8mg/100mLとなるように茶エキスをイオン交換水で希釈し、未処理品を比較対象として、苦渋味をパネラー5名により官能評価して平均処理した。評価基準は次の通りである。
(苦渋味の評価基準)
評価点:4(かなり低減している)、3(低減している)、2(低減していない)1(増加している)
評価:5人の平均評価点が、3.4以上を◎、2.7〜3.3を○、1.7〜2.6を△、1.6以下を×とした。
Figure 0006936019
表1より、(A)メチル化カテキンと(B)ガレート型カテキンとの比率、また(A)メチル化カテキンと総カテキン((A)+(B)+(C)の合計)との比率を一定になるよう茶抽出液にタンナーゼを作用させることで、メチル化カテキンを65%以上保持しつつ、苦渋味が低減された茶エキスが得られることを確認できた。タンナーゼによる酵素反応の反応温度は、酵素処理時間の観点から、20〜35℃がより好適であることが確認できた。
[検討例2]
検討例1で得られた酵素処理前の凍結乾燥したべにふうき抽出物より、茶固形分濃度25mg/mLのべにふうき抽出液を調製し、1M塩酸溶液および炭酸水素ナトリウムにて所定pH(4.5、5.5、6.5)に調整した。このべにふうき抽出液8mLに市販のタンナーゼ溶液2mLを加えて25℃にて所定時間(0、30、60、90、120分)酵素反応を行った。市販のタンナーゼは、スミチームTAN(新日本化学工業(株))を用いた。酵素反応後は反応液を沸騰水浴で5分間加熱して酵素を失活させて茶エキスを得た。得られた茶エキスのHPLC分析と官能評価を検討例1と同様の方法で行った。
Figure 0006936019
表2より、タンナーゼ処理において、初期pHを4.0〜6.0の範囲に調整することにより、ガレート型カテキンが低減された、メチル化カテキン高含有茶エキスを得られることを確認できた。
緑茶葉(品種べにふうき)10gを90℃のイオン交換水150gに投入して30分撹拌抽出後、生産用ろ紙(No.28、アドバンテック(株))を用いて固液分離を行い、得られたろ液を茶固形分2.66%に希釈してべにふうき抽出液を得た。このべにふうき抽出液78mLに酵素液2mL(タンナーゼKTFH(キッコーマンバイオケミファ(株))50mg/5mL)を添加し、pH 5.4、5℃で100分酵素反応を行った。酵素反応後は反応液を沸騰水浴で5分間加熱して酵素を失活させて、発明例14となる反応液を得た。
この反応液40mLを25℃でアンバーライトFPC3500(20mm×95mm,30mL,ダウ・ケミカル社)に通液した後、25℃でイオン交換水140mLを通液した(比較例12)。ついで70℃でイオン交換水180mLを通液して、発明例15となる茶エキスを回収した。得られた茶エキスのHPLC分析と官能評価を検討例1と同様の方法で行った。
Figure 0006936019
表3の結果より、タンナーゼ処理後の茶エキスを更に精製することにより、非ガレート型カテキンが除去され、さらにメチル化カテキンが濃厚な茶エキスが得られることを確認できた。
[製造例1]インスタント粉末飲料
発明例6の茶エキスにデキストリンを添加し、凍結乾燥後粉末化、ビタミンCを配合して粉末飲料を調製した。配合は下記に示す。
1.デキストリン 74.0重量%
2.発明例15 23.0重量%
3.ビタミンC 3.0重量%
[製造例2]容器詰茶飲料
検討例1で得られた発明例3、未処理品1の茶エキス(凍結乾燥品)それぞれについて、アスコルビン酸濃度30mg/100mL、総カテキン((A)+(B)+(C)の合計)濃度70mg/100mLとなるよう、水で希釈した。更にpH6.8となるように重曹を加えて調合液を調製した。調合液をレトルト殺菌(121℃、10分間)して容器詰茶飲料を得た。
検討例1と同様に官能評価を行った結果、未処理品と比較して、苦渋味が低減された容器詰茶飲料が得られた。
本発明の茶エキスの製造方法は、茶抽出液に含まれるメチル化カテキンを保持しながら、ガレート型カテキンを選択的に分解することで苦渋味を低減することができ、得られた茶エキスを利用して苦渋味の少ないメチル化カテキン含有飲食品を提供できる点において産業上の利用可能性を有する。

Claims (7)

  1. (A)メチル化カテキン、(B)ガレート型カテキンおよび(C)非ガレート型カテキンを含有する茶抽出液に(A)/(B)が0.19以上、かつ(A)/((A)+(B)+(C))が0.061以上となるようにタンナーゼを作用させることを特徴とする茶エキスの製造方法。
  2. タンナーゼを作用させた後に、抽出液を弱酸性陽イオン交換樹脂に吸着させた後に常温の水で洗浄し、その後50℃〜80℃の熱水を通液し、回収することを特徴とする請求項1に記載の茶エキスの製造方法。
  3. (A)メチル化カテキン、(B)ガレート型カテキンおよび(C)非ガレート型カテキンを含有する茶抽出液に(A)/(B)が0.19以上、かつ(A)/((A)+(B)+(C))が0.061以上となるようにタンナーゼを作用させることを特徴とする茶エキスの苦渋味低減方法。
  4. タンナーゼを作用させた後に、抽出液を弱酸性陽イオン交換樹脂に吸着させた後に常温の水で洗浄し、その後50℃〜80℃の熱水を通液し、回収することを特徴とする請求項に記載の茶エキスの苦渋味低減方法。
  5. (A)メチル化カテキン、(B)ガレート型カテキンおよび(C)非ガレート型カテキンを含有し、(A)/(B)が0.474〜0.556、かつ(A)/((A)+(B)+(C))が0.061以上であることを特徴とする茶エキスおよびその乾燥物。
  6. 請求項に記載の茶エキスを配合する茶飲料の製造方法であって、(A)/(B)が0.474〜0.556、かつ(A)/((A)+(B)+(C))が0.061以上を満たすことを特徴とする茶飲料の製造方法。
  7. (A)メチル化カテキン、(B)ガレート型カテキンおよび(C)非ガレート型カテキンを含有し、(A)/(B)が0.474〜0.556、かつ(A)/((A)+(B)+(C))が0.061以上であることを特徴とする容器詰め茶飲料または粉末茶飲料。
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