JP6935279B2 - 立体物の製造方法及びこれに用いる製造装置 - Google Patents

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本発明は、積層造形法によるセラミックス製の立体物の製造方法と、該製造方法に用いられる製造装置に関する。
近年、立体物を造形する方法として、造形対象物である立体物モデルの断面データに従って造形材料を積層する積層造形法が着目されている。従来は、造形材料として樹脂材料が主流であったが、最近では、セラミックスや金属など、造形する材料の種類が拡大している。
例えば、特許文献1には、セラミックス粒子層を形成した後にレーザーで高温での局所加熱を施し、セラミックス粒子間を焼結する工程を繰り返すことで立体物を得る方法が開示されている。しかしながら、係る方法では、加熱時間が短時間であるため、セラミックス粒子間の焼結が不十分となり強度が悪化する傾向にあった。
また、造形対象物を成す構造体が存在しない非造形部の上に造形部を形成する、所謂オーバーハング構造を形成する場合には、非造形部の上部に存在する造形部のセラミックス粒子を焼結する必要がある。しかしながら、係る焼結の際の局所的な熱収縮により反りが発生することがあるため、形状によっては反りを抑制するサポート部を非造形部に形成する必要があった。係るサポート部は、立体物の造形後に除去する必要があるが、セラミックスは材質の硬度が高いだけでなく、負荷により破損しやすいため、選択的にサポート部を除去することは困難であった。また、除去を前提としてサポート部を形成する必要があるため、サポート部を形成できない微細構造は造形できないことがあった。
近年、セラミックス粒子と樹脂バインダーの混合材料を用いて、立体物の形状を作製後に樹脂バインダーを除去(脱脂)し、焼結することでセラミックス製の立体物を得る手法が報告されている。例えば、特許文献2に開示された製造方法では、先ず、熱可塑性樹脂でセラミックス粒子を結合した造形層に、硬化剤としての樹脂成分とセラミックス粒子とを含む液状結合剤を付与して硬化する工程を繰り返し、樹脂とセラミックス粒子との積層体を得る。次いで、該液状結合剤を付与しなかった領域を除去した後に、樹脂成分を加熱除去し、セラミックス粒子を焼結することで立体物を得る。この方法では、液状結合剤が付与されなかった領域の造形層が、オーバーハング構造のサポート体として機能する。
特開2015−38237号公報 特開2015−205485号公報
しかしながら、特許文献2の方法では、サポート体を除去した後に、樹脂成分を除去し、セラミックス粒子の焼結を行う際に、オーバーハング構造の形状によっては、係る形状を維持できず、変形や破損を生じるおそれがある。そのため、造形可能な形状や大きさに制限があった。
また、造形部にも樹脂成分が含まれているため、樹脂成分の含有量が多い場合には、脱脂によって変形や破損が生じたり、得られた立体物中に空隙が生じたりしてしまう。また、樹脂成分を硬化剤として溶解させた液状結合剤では、強度を上げるために樹脂成分の濃度を上げると粘度が高くなり、造形層の下方まで液状結合剤が回り込まずに樹脂成分が偏った状態になり、焼結時の反り等の原因となる。一方で、樹脂成分の濃度が低いと、液状結合剤の塗布を繰り返す必要があり、積層速度が遅くなる。また、樹脂成分が少ないと樹脂とセラミックス粒子との積層体の強度が弱くなり、サポート体を取り除く際に造形部が破損するおそれがあり、特に、微細構造において、サポート体を取り除くことは困難となる。
本発明の課題は、オーバーハング構造を有するセラミックス製の立体物を、形状や大きさの制限を受けることなく、積層造形法によって精度良く且つ歩留まり良く製造することにある。
本発明の第一は、積層造形法による立体物の製造方法であって、
セラミックス粒子層を形成する工程と、前記セラミックス粒子層の所望の領域に、金属アルコキシドと金属塩化物と前記金属アルコキシドの加水分解物と前記加水分解物の重縮合体のうちの少なくとも一種と、水と、を少なくとも含有する液状の前駆体組成物を付与する工程と、を複数回繰り返して積層体を得る工程と、
前記積層体を、前記セラミックス粒子の焼結温度よりも低い温度で加熱する工程と、
加熱後の前記積層体より、前記前駆体組成物が付与されなかった領域のセラミックス粒子を除去する工程と、
を有することを特徴とする。
本発明の第二は、積層造形法により立体物を製造する製造装置であって、
立体物を形成するステージと、
前記ステージ上にセラミックス粒子層を形成する手段と、
前記セラミックス粒子層の所望の領域に、金属アルコキシドと金属塩化物と前記金属アルコキシドの加水分解物と前記加水分解物の重縮合体のうちの少なくとも一種と、水と、を少なくとも含有する液状の前駆体組成物を付与する手段と、
前記前駆体組成物が付与された前記セラミックス粒子層が複数積層された積層体を加熱する手段と、
前記ステージに対する、前記セラミックス粒子層を形成する手段と、前記前駆体組成物を付与する手段と、の相対的な位置を可逆的に変動させる手段と、
を有することを特徴とする。
本発明によれば、セラミックス粒子層に付与した前駆体組成物をゾル−ゲル法によってセラミックス化するため、造形部のセラミックス粒子のみを強固に結合することができる。よって、反りや破損がなく、形状や大きさに制限のない、セラミックス製の立体物を提供することができる。
本発明の製造方法の一実施形態の工程を示す断面模式図である。 本発明の製造装置の一実施形態の構成を示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態を示して、本発明を詳細に説明する。各図面において、同一部材或いは対応する部材を示す箇所には、同一の符号を付与している。特に図示或いは記述をしない構成や工程には、当該技術分野の周知技術又は公知技術を適用することが可能である。また、重複する説明は省略する場合がある。
本発明は、積層造形法による立体物の製造方法であって、下記の工程を有する。
(I)セラミックス粒子層を形成する工程
(II)セラミックス粒子層に前駆体組成物を付与する工程
(III)(I)から(II)の工程を繰り返して積層体を得る工程
(IV)積層体を加熱した後に、不要のセラミックス粒子を除去する工程
以下、図1を用いて各工程について説明するが、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。
(I)セラミックス粒子層を形成する工程
本工程では、造形対象物のスライスデータの厚さに応じてセラミックス粒子層11を形成する(図1(a))。造形対象物のスライスデータとは、造形対象物を造形方向に所定の間隔でスライスして得られるもので、立体物の断面の形状や材質の配置などの情報を含むデータである。
セラミックス粒子層11の厚さは、1μm以上2mm以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1μm以上200μm以下である。1μm以上であることで、造形時の一層の厚さが厚くなるため、造形速度が速くなる傾向にある。また、2mm以下であると得られる立体物14の表面粗さが小さくなる。
本発明で用いられるセラミックス粒子は、既存のセラミックス粒子を使用することができ、本発明では非金属無機材料をセラミックスと定義する。具体的には、酸化物及び非酸化物がそれぞれ用いられる。酸化物としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ウラン、チタン酸バリウム、バリウムヘキサフェライト、ムライトなどの金属酸化物が挙げられる。非酸化物としては、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化タングステン、炭化ホウ素、ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、ホウ化ランタン、モリブデンシリサイド、鉄シリサイド、バリウムシリサイドなどが挙げられる。これらセラミックス粒子は、複数種類からなるものでも構わない。また、セラミックス粒子には添加物が添加されたものでも構わない。また、セラミックス粒子層11は複数種のセラミックス粒子を用いても構わない。
また、セラミックス粒子は表面が多孔質構造を有していてもよい。多孔質構造を有することで、セラミックス粒子間結合時に、セラミックス粒子表面から多孔質内部に連続したセラミックスを形成することで、結着強度が増加するため、好ましい。
セラミックス粒子の体積平均粒径は1μm以上1000μm以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは10μm以上200μm以下である。1μm以上であることで、セラミックス粒子層11の一層の厚さが厚くなるため、造形速度が速くなる傾向にある。1000μm以下であると最終的に得られる立体物14の表面粗さが小さくなる傾向にあり、好ましい。
セラミックス粒子の体積平均粒径の測定は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置「LA−950」(HORIBA社製)を用いて行うことができる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフトを用いる。具体的な測定方法としては、先ず、測定溶媒が入ったバッチ式セルをレーザー回折散乱式粒度分布測定装置「LA−950」(HORIBA社製)にセットし、光軸の調整、バックグラウンドの調整を行なう。ここで、使用する溶媒は測定する粒子が溶解しないものを選択する必要がある。また、測定するセラミックス粒子の分散向上のために必要に応じて適宜分散剤を溶媒中に添加してもよい。測定対象のセラミックス粒子の粉末を、タングステンランプの透過率が95%乃至90%になるまでバッチ式セルに添加し、粒度分布の測定を行い、得られた測定結果から体積基準の平均粒径を算出することができる。
セラミックス粒子層11中には複数の粒径を有するセラミックス粒子がある方が好ましく、特に、上記の範囲の体積平均粒径のセラミックス粒子が形成する空隙を埋めるような小粒径のセラミックス粒子が存在することが好ましい。このような小粒径のセラミックス粒子が存在することで、セラミックス粒子層11中の空隙が少なくなり、結果的に空隙率が小さい立体物14を得ることができる。
また、前記セラミックス粒子は、仮想表面の断面の平均円形度が0.94以上であることが好ましく、より好ましくは0.96以上である。セラミックス粒子の仮想表面の断面の平均円形度が0.94以上であれば、セラミックス粒子が球に近い構造を有することになり、セラミックス粒子同士が点接触するようになる。従って、本発明にかかるセラミックス粒子を含む粉末は、流動性が維持されやすく、セラミックス粒子層11中に細密充填しやすくなるため、空隙が少ないセラミックス粒子層11を形成しやすくなる。
セラミックス粒子の円形度は、以下のように測定することができ、平均円形度は、任意のセラミックス粒子10個以上について測定して得られた円形度を平均して得ることができる。
円形度=(セラミックス粒子の仮想表面の投影面積と同じ面積の円の周囲長)/(セラミックス粒子の仮想表面の投影像の周囲長)
ここで、「セラミックス粒子の仮想表面の投影面積」とは二値化された粒子の仮想表面の投影像の面積であり、「セラミックス粒子の仮想表面の投影像の周囲長」とはセラミックス粒子の仮想表面の投影像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。円形度はセラミックス粒子の形状の複雑さを示す指標であり、セラミックス粒子が完全な球形の場合に1.00を示し、セラミックス粒子の仮想表面の投影像が円形から外れる程、円形度は小さな値となる。尚、セラミックス粒子の円形度は、電子顕微鏡などの観察画像の画像処理及び、フロー式粒子像測定装置(例えば、東亜医用電子社製「FPIA−3000型」)などを用いて測定を行うことができる。
セラミックス粒子層11は、適宜加圧してもよい。セラミックス粒子層11を加圧することによって、セラミックス粒子間の接触点数が増加し、最終的に得られる立体物14に欠陥が形成されにくくなる傾向にある。また、加圧によって、セラミックス粒子層11中にセラミックス粒子が緻密に存在することで、後述する前駆体組成物付与時や加熱時においても、セラミックス粒子が動きにくくなることで、形状を維持しやすい傾向にある。
(II)セラミックス粒子層に前駆体組成物を付与する工程
(I)の工程で形成したセラミックス粒子層11の、造形対象物のスライスデータに応じた領域12に、前駆体組成物を付与する(図1(b))。ここで、前駆体組成物を付与された領域12が最終的に立体物14を構成する造形部であり、前駆体組成物を付与されなかった領域11’は除去される非造形部である。
本発明は、金属アルコキシドの加水分解及び重縮合反応により金属酸化物を形成する、いわゆるゾル−ゲル法によってセラミックスを形成することに特徴を有している。金属アルコキシドは、金属塩化物から得られるため、出発原料として金属アルコキシドのかわりに金属塩化物を用いても、セラミックスをゾル−ゲル法で製造することができる。
よって、本発明においては、出発原料として、金属塩化物及び金属アルコキシドのいずれかを用いても、両者を混合して用いてもかまわない。製造プロセスにおける安定性の観点から、金属アルコキシドであることが好ましい。
本発明において用いられる前駆体組成物は、金属アルコキシドと水とを少なくとも含んだ組成、金属塩化物と水とを少なくとも含んだ組成、或いはこれら組成を混合した組成、のいずれかとして調製される。しかしながら、金属塩化物からの金属アルコキシドの生成や、該金属アルコキシドの加水分解及び重縮合反応は、前駆体組成物の調製直後から経時的に進行する。よって、本発明の前駆体組成物は、金属アルコキシドと金属塩化物と前記金属アルコキシドの加水分解物と前記加水分解物の重縮合体のうちの少なくとも一種と、水と、を少なくとも含有している。
本発明においては、基本的に金属アルコキシドの加水分解・重縮合反応により金属酸化物を形成する。そのため、前駆体組成物中の金属アルコキシドや金属塩化物の濃度を高めた場合でも、粘度上昇は小さく、前駆体組成物の粘度制御と固形分濃度制御の両立が可能である。
金属アルコキシドとしては、例えば、ケイ素のアルコキシドが挙げられる。具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン等の有機金属アルコキシドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、アルミニウムのアルコキシドも好ましく用いられ、上記ケイ素と同様のアルコキシドが挙げられる。
金属塩化物としては、例えば、四塩化チタン、オキシ塩化ジルコニウムなどが挙げられるが、これらに限定はされない。
上記金属アルコキシド、金属塩化物は組み合わせて用いても良く、2種以上の成分金属を含有する複合化した金属化合物であっても良い。
本発明においては、出発原料である金属アルコキシドや金属塩化物によって形成されるセラミックスの組成が、(I)の工程で形成するセラミックス粒子層11を構成するセラミックス粒子に含有されることが好ましく、より好ましくは、組成が同じである。金属塩化物や金属アルコキシドによって形成されるセラミックスと同じ組成をセラミックス粒子が含有することで、前駆体組成物がセラミックス化する際に、セラミックス粒子表面と結合しやすくなる。その結果、前駆体組成物がセラミックス化してセラミックス粒子同士を結合して、強固な立体物を得ることができる。例えば、セラミックス粒子が酸化ケイ素(シリカ)からなる場合には、金属アルコキシドとしてケイ素のアルコキシドを用いることが望ましい。
また、前駆体組成物には、金属アルコキシドの加水分解を促進する触媒を添加することによって、効率よくセラミックスを形成できる。具体的には、酸性触媒、塩基性触媒のいずれでも用いられ、酸性触媒としては塩酸、酢酸が、塩基性触媒としてはアンモニアを用いることができる。尚、出発原料として金属塩化物を用いた場合には、アルコールを併用することで、金属塩化物とアルコールとの反応で塩化水素(塩酸)が発生するため、係る塩化水素を酸性触媒として用いることもでき、さらに、別途上記酸性触媒を添加しても良い。
前駆体組成物は、セラミックス粒子層11毎に同じ組成であっても、異なる組成であっても構わない。また、同じセラミックス粒子層11に対して、一種類の前駆体組成物のみ付与しても、複数種類の前駆体組成物を付与しても構わない。
前駆体組成物の濃度及び付与量は、立体物の空隙率に影響するため、求める立体物の空隙に応じて適宜調整される。
本発明においては、金属アルコキシドの加水分解のために、水を含有する必要があり、好ましくは純水が用いられる。
本発明に係る前駆体組成物には、金属アルコキシドの層均一性を増すために、有機溶媒を添加しても良い。具体的には、メタノールやエタノール、イソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、アセチルアセトン等のケトン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素等が用いられる。これらの有機溶媒は、セラミックス粒子層11に前駆体組成物を付与した後に、適切な速度で蒸発するため、均質なセラミックスが得られやすく、好ましい。
また、出発原料として金属塩化物を用いる場合には、金属アルコキシドを形成するためにアルコールを添加して用いても良い。具体的には、金属塩化物の種類によって選択されるが、例えば四塩化チタンの場合には、2−プロパノールが用いられる。
また、金属アルコキシドや金属塩化物の分散性を制御するために、適宜、添加剤を加えてもかまわない。
また、前駆体組成物から形成されるセラミックスの該前駆体組成物に対する割合は0.1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、更に好ましくは10質量%以上である。係る割合が0.1質量%以上であることで、前駆体組成物からセラミックスを形成する際の空隙を減らすことができ、より緻密な造形物を得ることができる。
本発明に係る前駆体組成物は、金属アルコキシド又は金属塩化物を溶液中に添加し撹拌して得られる。また、前駆体組成物中の金属アルコキシドの反応を適度に進めるため、前駆体組成物を必要に応じて加熱することもできる。
本発明においては、セラミックス粒子層11に前駆体組成物を付与した後、該前駆体組成物を付与した領域12を乾燥させることが好ましい。前駆体組成物をセラミックス粒子上で乾燥させることにより、濃縮された前駆体組成物が表面張力によってセラミックス粒子間の粒界に集まることで、金属アルコキシドによって形成されるセラミックスが粒界に集積し、セラミックス粒子を強固に結合する。乾燥速度や乾燥手段は、前駆体組成物の種類や濃度に応じて任意に変えることができる。
本発明に係る前駆体組成物は、金属アルコキシドの加水分解及び重縮合反応により形成された重縮合体を含有するゾルであることが好ましい。係る重縮合体は活性が高いため、該重縮合体を起点にセラミックス粒子間を結着することができる。
本発明の前駆体組成物は、出発原料として金属塩化物を用いた場合には調製直後から金属アルコキシドの生成と、該金属アルコキシドの加水分解及び重縮合反応が始まる。また、出発原料として金属アルコキシドを用いた場合には、該金属アルコキシドの加水分解及び重縮合反応が始まる。よって、調製後から使用するまでの時間が長いほど、含有される加水分解物や重縮合体が増加し、最終的にゲル化する。よって、加水分解及び重縮合反応の速度と、前駆体組成物層を形成する時点で前駆体組成物に含まれる重縮合体の濃度を考慮して、前駆体組成物の調製から前駆体組成物層形成までの時間を調整することが望ましい。
また、本発明に係る前駆体組成物は、必要に応じて、着色剤を含有していても構わない。
本発明において、前駆体組成物をセラミックス粒子層11上の所望の領域に付与する方法としては、前駆体組成物を吐出して描画する方法等を用いて形成することができ、一般のあらゆる手法を使用することが可能である。特に、液量や配置位置が制御可能な点から、インクジェットにて吐出することが好ましい。
インクジェットにて吐出する場合、前駆体組成物の粘度は20cP(0.02Pa・s)以下が好ましく、より好ましくは10cP(0.01Pa・s)以下である。粘度が20cP以下であれば、前駆体組成物の吐出を制御しやすく、セラミックス粒子層11に付与した際に、該セラミックス層11の下層まで前駆体組成物がしみ込み、セラミックス層11の表面層に前駆体組成物が偏在しにくくなる。
また、本発明においては、セラミックス粒子層11の、前駆体組成物を付与しなかった非造形部11’に、前駆体組成物とは異なる結合剤を付与して、非造形部11’のセラミックス粒子を固定化してもよい。具体的には、後述する積層体13の加熱温度において分解する樹脂を溶剤に溶かした樹脂溶液が挙げられる。積層体13の加熱時に分解することで、加熱後に、積層体13より容易に除去することができる。尚、係る結合剤は、前駆体組成物を付与する造形部12に付与しても構わないが、立体物14中に残存すると、不純物となるため、使用する材料の種類や量には注意する必要がある。
(III)(I)から(II)の工程を繰り返して積層体を得る工程
図1(b)で前駆体組成物を付与した1段目のセラミックス粒子層の上に、前記(I)の工程により、2段目のセラミックス粒子層11を形成する(図1(c))。次いで、(II)の工程により、該2段目のセラミックス粒子層11の造形部12に前駆体組成物を付与する(図1(d))。このように、(I)から(II)の工程を複数回繰り返すことにより、所望の領域12に前駆体組成物が付与された積層体13が得られる(図1(e))。積層体13は上部より加圧してもよく、加圧によって、セラミックス粒子同士の接点が増加し、後述する加熱時にセラミックス粒子間の決着が効率よく進む。
(IV)積層体を加熱した後に、不要のセラミックス粒子を除去する工程
上記(III)の工程で得られた積層体13を加熱することで、造形部12のセラミックス粒子を結合した立体物14が得られる(図1(f))。尚、(III)の工程で、非造形部11’に結合剤が付与されている場合には、係る加熱工程で結合剤は分解する。
次いで、積層体13から、非造形部11’のセラミックス粒子を除去することで、立体物14が取り出される(図1(g))。
積層体13を加熱する温度は、前記(I)乃至(III)の工程における温度以上、セラミックス粒子の焼結温度よりも低い温度である。本発明において、「セラミックス粒子の焼結温度」とは、セラミックス粒子層11を構成するセラミックス粒子同士が接触する状態で、60分間加熱した際に、該セラミックス粒子同士が結合する温度である。本発明では、係る焼結温度よりも低い温度で加熱するため、セラミックス粒子同士は焼結しない。一方、セラミックス粒子間に介在する前駆体組成物中の金属アルコキシドの加水分解・重縮合反応が加熱によってさらに進行し、セラミックス化する。よって、造形部12のセラミックス粒子同士は金属アルコキシドから生成したセラミックスを介して結合し、固定化されて、立体物14が得られる。
金属アルコキシドから形成されるセラミックスは活性が高い状態であるため、加熱によるセラミックス形成時にセラミックス粒子の表面と結合することで、より強固にセラミックス粒子を固定することができる。更には、通常のセラミックス粒子の焼結温度よりも低い温度で焼結が進行するため、セラミックス粒子の焼結温度より低い加熱温度であっても、緻密なセラミックスを形成することができる。
本発明の製造方法では、非造形部11’のセラミックス粒子によって造形部12のセラミックス粒子が固定された状態で、造形部12に付与された前駆体組成物がセラミックス化し、セラミックス粒子を固定化することで、セラミックス製の立体物が作製される。よって、造形部12は、反りなどの形状変化が抑えられた状態で、セラミックスの密度を上げたり、結晶化させたり、結晶性を高めることができる。
加熱後の積層体13より、非造形部11’のセラミックス粒子を除去する方法は、公知の方法を用いることができ、また、除去したセラミックス粒子は回収して、再度、造形材として用いることができる。
得られた立体物14は、必要に応じて、前記加熱温度よりもさらに高い温度で加熱することで、立体物14を構成するセラミックスを結晶化させたり、結晶性を高めたり、密度を高め、特性を向上させることができる。
前駆体組成物中の金属アルコキシドから形成されたセラミックスは通常のセラミックスよりも活性が高く、係るセラミックスを起点にセラミックス粒子の焼結が容易に進行する。また、本発明で得られる立体物はセラミックスで形成されており、焼結時の脱脂などで組成が大きく変化しないため、更に焼結する場合も形状変化を抑えながら特性を向上させることが可能である。
本発明では、造形部12はセラミックス粒子の焼結温度以下で前駆体組成物からセラミックスを形成することができるため、造形部12と非造形部11’とのセラミックス粒子の固定化温度を変えることができる点が大きな特徴である。更には、熱処理時に全体的な均一加熱が可能になるため、局所的な温度差による衝撃が少なくなり、セラミックスであっても造形物形成時の割れが少なくなる。また、造形部12をセラミックス粒子と樹脂との複合体として焼結する手法とは異なり、立体物14の焼結後に非造形部11’を除去するため、非造形部11’を除去する工程で、立体物14が破損するおそれがない。さらには、造形部12が樹脂で固定されていないため、脱脂を考慮したサイズの制限がなく、立体物14中に樹脂による不純物の混入が少ない。
よって、本発明によれば、オーバーハング構造や複雑形状であっても、大きさや形状の制限を受けることなく、容易に作製することができる。
次に、本発明の製造方法を実施しうる製造装置について説明する。
本発明の製造装置は、立体物を形成するステージと、セラミックス粒子層形成手段と、前駆体組成物付与手段と、積層体の加熱手段と、上記ステージに対する、上記手段の相対的な位置を可逆的に変動させる手段と、を有している。各部材について、図2を用いて詳細に説明する。図2は、本発明の製造装置の好ましい実施形態の構成を模式的に示す概略図である。
図2の装置は、立体物を形成するためのステージ21と、セラミックス粒子層を形成する手段として粉体供給部22と、前駆体組成物を付与する手段として液体供給部25と、加熱手段としての加熱装置28と、を備えている。図2の装置においては、粉体供給部22と液体供給部25とが基板26に取り付けられ、ステージ21が基板26に対して矢印A方向に可逆的に搬送されることにより、ステージ21と基板26との相対位置が変動する。
ステージ上には、ベース基板27が配置され、該ベース基板27上に立体物が形成される。ベース基板27上には、目的とする立体物のスライスデータの厚さに応じて、粉体供給部22よりセラミックス粒子が供給され、所定の厚さのセラミックス粒子層が形成される。図2の装置では、粉体供給部22の後段に、粉体制御部材23が配置されており、係る粉体制御部材23により、ベース基板27上のセラミックス粒子層が加圧される。
ベース基板27上のセラミックス粒子層23の所望の領域に、液体供給部25から前駆体組成物が付与される。液体供給部25としては、インクジェット方式による吐出手段が好ましく用いられる。また、図2の装置では、液体供給部25の前段に、加熱手段24が配置されており、係る加熱手段24でセラミックス粒子層を加熱することにより、後段の液体供給部25から供給された前駆体組成物における加水分解、重縮合反応を促進させることができる。
ステージ21を矢印A方向に前後させて、上記セラミックス粒子層23の形成、加圧、加熱、前駆体組成物の付与を繰り返し、セラミックス粒子層23が複数積層された積層体13を得る。次いで、ステージ21を前進させて、積層体13を加熱装置26によって加熱し、前駆体組成物を付与した領域のセラミックス粒子を結合させ、一体化する。
その後、加熱装置26より取り出した積層体を冷却した後、前駆体組成物を付与しなかった領域のセラミックス粒子を除去すれば、目的とする立体物が得られる。
尚、図2の装置においては、前駆体組成物をセラミックス粒子層に付与した後、1分間静置して、前駆体組成物を乾燥させても良い。さらに、加熱装置26より取り出した積層体13から、非造形部のセラミックス粒子を除去した後、立体物を再び加熱装置26に搬入して、セラミックス粒子の焼結温度で焼結しても良い。係る焼結工程によって、立体物内の空隙が低減し、立体物の機械的強度が向上する。
以下に、本発明の実施例、比較例を示すが、本発明がこれらに限定されるものではない。
<前駆体組成物1の調整>
ケイ酸エチル(特級、キシダ化学社製)4.7gとエタノール(特級、キシダ化学社製)1.0gを混合した後に、常温で4時間撹拌し、溶液Aを得た。別途、0.01mol/Lの塩酸水溶液(キシダ化学社製)1.2gとエタノール(特級、キシダ化学社製)3.1gを混合した後に、常温で4時間撹拌し、溶液Bを得た。溶液Aに溶液Bを添加し、更に24時間撹拌し、前駆体組成物1を得た。前駆体組成物1に含有されるケイ素成分が全てシリカになった場合の前駆体組成物1に対する割合は13.6質量%である。また、前駆体組成物1の粘度は4.1cPであった。
<前駆体組成物2の調整>
アルミニウムsec−ブトキシド(東京化成工業株式会社製)5.2gとIPA(特級、キシダ化学社製)24.2gとアセト酢酸エチル(特級、キシダ化学社製)1.4gを混合した後に、常温で4時間撹拌し、溶液Cを得た。別途、0.01mol/Lの塩酸水溶液0.38gとIPA(特級、キシダ化学社製)1.2gを混合した後に、常温で4時間撹拌し、溶液Dを得た。溶液Cに溶液Dを添加し、更に24時間撹拌し、前駆体組成物2を得た。前駆体組成物2に含有されるアルミニウム成分が全てアルミナになった場合の前駆体組成物2に対する割合は3.3質量%である。また、前駆体組成物2の粘度は3.6cPであった。
<結合剤の調整>
エチルセルロース(日新化成株式会社製「STD04」)6.7gをエタノール(特級、キシダ化学社製)93.3g中に添加、混合した後に24時間常温で撹拌し、結合剤を得た。得られた結合剤中のエチルセルロースの固形分濃度は6.7質量%である。
(実施例1)
セラミックス粒子として、シリカ粉末(アドマテックス社「FEF75A」、体積平均粒径:20μm)を0.05g秤量し、アルミナ基板の上に5乃至10mm角程度のセラミックス粒子層を形成した。次いで、上記セラミックス粒子層の半分の面積に前駆体組成物1を50μL塗布して試料とした。得られた試料を電気炉に入れ300℃で10分間熱処理した。加熱後の試料は、前駆体組成物1の塗布箇所が固化する一方で、非塗布箇所は固化せずセラミックス粒子のまま容易に除去することができた。また、固化した箇所はシリカを形成していた。
(実施例2)
セラミックス粒子として、アルミナ粉末(アドマテックス社「AO−509」、体積平均粒径:11μm)を0.05g秤量し、アルミナ基板の上に5乃至10mm角程度のセラミックス粒子層を形成した。次いで、上記セラミックス粒子層の半分の面積に前駆体組成物2を0.05mL塗布し、試料とした。得られた試料を電気炉に入れ300℃で10分間熱処理した。加熱後の試料は、前駆体組成物の塗布箇所が固化する一方で、非塗布箇所は固化せずセラミックス粒子のまま容易に除去することができた。また、固化した箇所はアルミナを形成していた。
(実施例3)
実施例1で用いたシリカ粉末を用いて10mm×5mmで厚さ1mmの1段目のセラミックス粒子層を形成した後に、前駆体組成物1を全体に0.04mL付与した。次いで、上記セラミックス粒子層の上に、同じシリカ粉末を用いて全体に厚さ1mmの2段目のセラミックス粒子層を形成し、5mm×5mmの領域に前駆体組成物1を0.02mL付与した。次いで、2段目のセラミックス粒子層を下にして、1段目のセラミック粒子層の上に、同じシリカ粉末を用いて10mm×5mmで厚さ2mmの3段目のセラミックス粒子層を形成し、積層体を得た。
得られた積層体を電気炉に入れ、400℃で60分間熱処理し、前駆体組成物1を付与していない領域のシリカ粉末を除去することで、セラミックス製でオーバーハング構造の立体物が得られた。即ち、従来の焼結温度よりも低い温度でセラミックス製の立体物を得ることができた。
(実施例4)
実施例1で用いたシリカ粉末を用いて10mm×5mmで厚さ1mmの1段目のセラミックス粒子層を形成した後に、前駆体組成物1を全体に0.04mL付与した。次いで、上記セラミックス粒子層の上に、同じシリカ粉末を用いて全体に厚さ1mmのセラミックス粒子層を形成し、5mm×5mmの領域に前駆体組成物1を0.02mL付与し、残りの5mm×5mmの領域に結合剤を0.04mL付与した。次いで、2段目のセラミックス粒子層を下にして、同じシリカ粉末を用いて1段目のセラミックス粒子層の上に10mm×5mmで厚さ2mmの3段目のセラミックス粒子層を形成し、積層体を得た。
得られた積層体を、1段目のセラミック粒子層を下にしたまま、電気炉に入れ、400℃で60分間熱処理し、結合剤を付与した領域のシリカ粉末を除去することで、セラミックス製でオーバーハング構造の立体物を得た。即ち、従来の焼結温度よりも低い温度でセラミックス製の立体物を得ることができた。
(比較例1)
実施例1で用いたシリカ粉末を用いて10mm×5mmで厚さ1mmの1段目のセラミックス粒子層を形成した後に、全体に結合剤を0.08mL付与した。次いで、上記セラミックス粒子層の上に、同じシリカ粉末を用いて全体に厚さ1mmの2段目のセラミックス粒子層を形成し、5mm×5mmの領域に結合剤を0.04mL付与し、積層体を得た。
得られた積層体から、結合剤を付与していない領域のシリカ粉末を除去した後に、2段目のセラミックス粒子層を下にして、電気炉に入れ、シリカ粉末の焼結温度以上の1400℃で60分間加熱し、立体物を得た。
尚、積層体から結合剤を付与していない領域のシリカ粉末を除去する際に、結合剤を付与した領域で破損が発生した。また、得られた立体物は反りによる変形が確認された。
(比較例2)
実施例1で用いたシリカ粉末を用いて10mm×5mmで厚さ1mmの1段目のセラミックス粒子層を形成した後に、結合剤を全体に0.08mL付与した。次いで、1段目のセラミックス粒子層の上に、同じシリカ粉末を用いて全体に厚さ1mmの2段目のセラミックス粒子層を形成し、5mm×5mmの領域に結合剤を0.04mL付与した。次いで、2段目のセラミックス粒子層を下にして、1段目のセラミックス粒子層の上に、同じシリカ粉末を用いて、全体に厚さ2mmの3段目のセラミックス粒子層を形成し、積層体を得た。
得られた積層体を電気炉に入れ、上記シリカ粉末の焼結温度以上の1400℃で60分間加熱し、立体物を得た。
得られた立体物は、結合剤の付与領域に関わらず、積層体全体でセラミックス焼結体を形成しており、オーバーハング構造が得られなかった。
(比較例3)
実施例1で用いたシリカ粉末を用いて10mm×5mmで厚さ1mmの1段目のセラミックス粒子層を形成した後に、全体に結合剤を0.08mL付与した。次いで、1段目のセラミックス粒子層の上に、同じシリカ粉末を用いて全体に厚さ1mmの2段目のセラミックス粒子層を形成し、5mm×5mmの領域に結合剤を0.04mL付与した。次いで、2段目のセラミックス粒子層を下にして、1段目のセラミックス粒子層の上に、同じシリカ粉末を用いて、全体に厚さ2mmの3段目のセラミックス粒子層を形成し、積層体を得た。
得られた積層体を電気炉に入れ、エチルセルロースの分解温度よりも高く、シリカ粉末焼結温度より低い温度である400℃で60分間加熱した。加熱後の積層体は、結合剤の付与に関わらず、全体が粉体状態であり、立体物の形状を維持できなかった。
(比較例4)
実施例1で用いたシリカ粉末を用いて10mm×5mmで厚さ1mmの1段目のセラミックス粒子層を形成した後に、前駆体組成物1を0.04mL付与した。次いで、1段目のセラミックス粒子層の上に、同じシリカ粉末を用いて、全体に厚さ1mmの2段目のセラミックス粒子層を形成し、5mm×5mmの領域に前駆体組成物1を0.02mL付与した。次いで、2段目のセラミックス粒子層を下にして、1段目のセラミックス粒子層の上に、同じシリカ粉末を用いて、全体に厚さ2mmの3段目のセラミックス粒子層を形成し、積層体を得た。
得られた積層体を電気炉に入れ、シリカ粉末の焼結温度以上の1400℃で60分間熱処理し、立体物を得た。
得られた立体物は前駆体組成物1の付与に関わらず、積層体全体でセラミックス焼結体を形成しており、オーバーハング構造は得られなかった。
実施例3、4及び比較例1乃至4から、本発明の製造方法では、反りなどの変形が少なく、オーバーハング構造を有する造形も可能であった。よって、本発明の製造方法によれは、形状や大きさの制限が少ないセラミックス製の立体物を提供することができる。
(実施例5)
実施例1で用いたシリカ粉末を用いて10mm×5mmで厚さ1mmの1段目のセラミックス粒子層を形成した後に、5mm×5mmの領域に前駆体組成物1を0.02mL付与した。次に、1段目のセラミックス粒子層の上に、全体に厚さ1mmの2段目のセラミックス粒子層を形成し、全体に1mmの深さだけ浸透する量の前駆体組成物1を塗布、乾燥させる工程を、前駆体組成物1が合計で0.04mLになるまで繰り返して積層体を得た。
得られた積層体を電気炉に入れ、400℃で60分間熱処理し、固化していないシリカ粉末を除去することで立体物を得た。
得られた立体物はオーバーハング構造を有していた。
11:セラミックス粒子層、13:積層体、14:立体物、21:ステージ

Claims (17)

  1. 積層造形法による立体物の製造方法であって、
    セラミックス粒子層を形成する工程と、前記セラミックス粒子層の所望の領域に、金属アルコキシドと金属塩化物と前記金属アルコキシドの加水分解物と前記加水分解物の重縮合体のうちの少なくとも一種と、水と、を少なくとも含有する液状の前駆体組成物を付与する工程と、を複数回繰り返して積層体を得る工程と、
    前記積層体を、前記セラミックス粒子の焼結温度よりも低い温度で加熱する工程と、
    加熱後の前記積層体より、前記前駆体組成物が付与されなかった領域のセラミックス粒子を除去する工程と、
    を有することを特徴とする立体物の製造方法。
  2. 前記前駆体組成物が、有機溶媒を含有することを特徴とする請求項1に記載の立体物の製造方法。
  3. 前記有機溶媒が、アルコール、ケトン、炭化水素のいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の立体物の製造方法。
  4. 前記セラミックス粒子が、金属酸化物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の立体物の製造方法。
  5. 前記セラミックス粒子が、前記金属アルコキシドから形成されるセラミックスの組成を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の立体物の製造方法。
  6. 前記セラミックス粒子の体積平均粒径が、1μm以上1000μm以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の立体物の製造方法。
  7. 前記セラミックス粒子層の厚さが1μm以上2mm以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の立体物の製造方法。
  8. 前記セラミックス粒子層を加圧することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 得られた立体物を、前記積層体の加熱温度よりも高い温度で加熱することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の立体物の製造方法。
  10. 前記セラミックス粒子層に付与した前記前駆体組成物を乾燥させる工程を有し、前記積層体を加熱する温度が、前記前駆体組成物を乾燥させる温度よりも高いことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の立体物の製造方法。
  11. 前記前駆体組成物を加熱して前記セラミックス粒子層に付与することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の立体物の製造方法。
  12. 前記前駆体組成物から形成されるセラミックスの前記前駆体組成物に対する割合が、0.1質量%以上であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の立体物の製造方法。
  13. 前記セラミックス層の、前記前駆体組成物を付与しなかった領域に、前記積層体を加熱する温度において分解する樹脂溶液を付与することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の立体物の製造方法。
  14. 積層造形法により立体物を製造する製造装置であって、
    立体物を形成するステージと、
    前記ステージ上にセラミックス粒子層を形成する手段と、
    前記セラミックス粒子層の所望の領域に、金属アルコキシドと金属塩化物と前記金属アルコキシドの加水分解物と前記加水分解物の重縮合体のうちの少なくとも一種と、水と、を少なくとも含有する液状の前駆体組成物を付与する手段と、
    前記前駆体組成物が付与された前記セラミックス粒子層が複数積層された積層体を加熱する手段と、
    前記ステージに対する、前記セラミックス粒子層を形成する手段と、前記前駆体組成物を付与する手段と、の相対的な位置を可逆的に変動させる手段と、
    を有することを特徴とする立体物の製造装置。
  15. 前記前駆体組成物を付与する手段の後段に、前記前駆体組成物を乾燥させる手段を有することを特徴とする請求項14に記載の立体物の製造装置。
  16. 前記セラミックス粒子層を加圧する手段を有することを特徴とする請求項14又は15に記載の立体物の製造装置。
  17. 前記前駆体組成物を付与する手段の前段に、前記セラミックス粒子層を加熱する手段を有することを特徴とする請求項14乃至16のいずれか一項に記載の立体物の製造装置。
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