JP6933588B2 - 複層塗膜形成方法 - Google Patents
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Description
しかし、被塗装材には、アルミニウム鋳物、亜鉛溶射鋼材、亜鉛めっき鋼材等のように、それらの製造法に由来した多くの孔を有するものが少なくない。こういった多孔質素材に塗料を塗布し、加熱すると、孔内の空気が膨張して発泡し、膨張が激しい場合は塗膜が破断して、硬化後の塗膜に外観上の欠陥が生じることがある。
また、変性エポキシ系プライマー塗料を使用したり、孔を修正するために、塗装の仕上げ工程においてパテ埋めを行ったりして対応することもある。
さらに、WAXなどを上塗粉体塗料に添加して対応することもある。
さらに、WAXなどを上塗粉体塗料に添加して対応する場合、発泡抑制効果が上がらなかったり、トップコート又は補修塗装に対する付着性が劣ったりする場合がある。
<1>多孔質金属材料又は多孔質合金材料からなる被塗物に、ポリアミドアミン樹脂及びエポキシ樹脂を含有するプライマー塗料を塗装して、乾燥膜厚が20μmより大きく60μm以下のプライマー塗膜を形成し、該プライマー塗膜上に粉体塗料及び溶剤型塗料の少なくとも一方を塗装して上塗塗膜を形成する、複層塗膜形成方法。
<2>前記プライマー塗料が顔料を含有する、<1>に記載の複層塗膜形成方法。
<3>前記ポリアミドアミン樹脂の重量平均分子量が800〜7000である、<1>又は<2>に記載の複層塗膜形成方法。
<4>前記ポリアミドアミン樹脂の活性水素当量が90〜500である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の複層塗膜形成方法。
<5>前記プライマー塗料を強制乾燥させる際の温度が40〜180℃であり、乾燥時間が5〜120分である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の複層塗膜形成方法。
<6>前記プライマー塗料を常温乾燥させる際の温度が10〜40℃であり、乾燥時間が2〜72時間である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の複層塗膜形成方法。
本発明の被塗物は、多孔質金属材料又は多孔質合金材料からなる。
多孔質金属とは、金属粉末や金属繊維を焼結して成形した多孔体のことを言い、該金属としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、スズ、亜鉛、マグネシウム等が挙げられる。
多孔質合金とは、複数の金属元素あるいは金属元素と非金属元素からなる合金を焼結して成形した多孔体のことを言い、該合金としては、例えば、鉄合金、銅合金、アルミニウム合金、ニッケル合金、マグネシウム合金等が挙げられる。
これらの中でも、塗装焼付時に気泡がより発生しやすい素材である、亜鉛溶射鋼板、アルミニウムダイキャストを好適に用いることができる。
本発明で使用するプライマー塗膜は、被塗物にポリアミドアミン樹脂及びエポキシ樹脂を含有するプライマー塗料を塗装して形成する。
また、プライマー塗膜中のエポキシ樹脂を架橋硬化させることによって、プライマー塗膜の被塗物への付着性が発揮され、プライマー塗膜として求められる防食性能を持った強靭な塗膜となる。
本発明で使用するポリアミドアミン樹脂は、脂肪族ポリアミンとジカルボン酸もしくは芳香族ポリアミンとジカルボン酸の反応から得られ、アミド結合を有し、エポキシ基と反応し得る活性水素を有する。
これらの中でも、脂肪酸由来の長鎖構造、エポキシ樹脂との反応性及び溶剤に対する溶解性を持ったポリアミドアミン樹脂を生成させるという観点から、ジエチレントリアミンが好ましい。
これらの中でも、長鎖構造の柔軟なポリアミドアミン樹脂を生成させる観点から、ダイマー酸が好ましい。
ポリアミドアミン樹脂の重量平均分子量が800未満だと、プライマー塗料の粘度が低くなりすぎる傾向があり、ポリアミドアミン樹脂の重量平均分子量が7000より大きいと、溶解性が悪くなる傾向があるからである。
ポリアミドアミン樹脂の活性水素当量が90未満だと、反応性が高すぎる傾向があり、ポリアミドアミン樹脂の活性水素当量が500より大きいと、反応性が低く、プライマー塗膜の金属付着性が低下する傾向があるからである。
なお、本明細書においてポリアミドアミン樹脂の活性水素当量とは、ポリアミドアミン樹脂の重量平均分子量を活性水素数で割ることで得られる、活性水素1個あたりの重量平均分子量を意味する。
本発明で使用するエポキシ樹脂は、1分子中にエポキシ基を1個以上、好ましくは平均2個以上、より好ましくは平均2〜5個有する樹脂である。
ポリアミドアミン樹脂及びエポキシ樹脂の合計の固形分含有量が、プライマー塗料全体に対して5質量%以上であると、発泡防止効果及び被塗物への付着性が良好となるため好ましく、50質量%以下であると、作業性と研磨性が良好となるため好ましい。
ポリアミドアミン樹脂の質量:エポキシ樹脂の質量比が前記範囲であると、発泡防止効果と被塗物への付着性のバランスが良好となるため好ましい。
本発明で使用するプライマー塗料は、さらに、顔料を含有してもよい。顔料としては、体質顔料、防錆顔料、着色顔料等が挙げられる。
これらの中でも、厚膜塗装と塗膜研磨性の観点から、タルク、炭酸カルシウム、シリカが好ましい。
これらの中でも、防食性付与の観点から、トリポリリン酸アルミニウムが好ましい。
これらの中でも、汎用下塗塗料の色目として白色又はグレーが主要な塗色であるので、酸化チタンが好ましい。
本発明で使用するプライマー塗料は、さらに、その他の添加剤を含有してもよい。
その他の添加剤としては、例えば、分散剤、沈降防止剤及び表面調整剤等が挙げられる。
本発明で使用するプライマー塗料は、上記成分等を溶剤に分散及び/又は溶解させて得ることができる。
溶剤としては、例えば、芳香族系溶剤、エーテルアルコール系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、炭化水素系溶剤、エステル系溶剤等が挙げられる。
本発明のプライマー塗膜は、被塗物に、本発明のプライマー塗料を塗装することにより形成することができる。
乾燥膜厚が20μm以下であると、薄すぎて発泡を防止することができない。また、乾燥膜厚が60μmより大きいと、内部応力過剰による付着性低下の懸念があるため、不適である。
公知の表面処理方法としては、リン酸塩系表面処理、クロム酸塩系表面処理、ジルコニウム系表面処理等が挙げられる。
本発明の複層塗膜形成方法においては、上記プライマー塗膜上に粉体塗料及び溶剤型塗料の少なくとも一方を塗装して上塗塗膜を形成する。
この樹脂のエポキシ当量は、通常120〜8000程度である。
この樹脂の水酸基価は、通常20〜200mgKOH/g程度である。
この樹脂の水酸基価は、通常約20〜300mgKOH/gである。
粉体塗料及び溶剤型塗料の少なくとも一方の塗装方法としては、ハケ塗り、スプレー塗装、各種コーター塗装、静電塗装等の一般的な方法を用いることができる。
また、溶剤型塗料の塗装は、塗膜外観と性能の観点から、好ましくは乾燥膜厚で15〜50μmとなるように行われ、より好ましくは20〜40μm、さらに好ましくは20〜30μmとなるように行われる。
粉体塗料の乾燥時間は、5〜40分が好ましく、10〜30分がより好ましく、15〜20分がさらに好ましい。
焼付タイプの溶剤型塗料の乾燥時間は、5〜40分が好ましく、10〜30分がより好ましく、15〜20分がさらに好ましい。
常温乾燥タイプの溶剤型塗料の乾燥時間は、10〜120分が好ましく、20〜60分がより好ましく、25〜40分がさらに好ましい。
クリヤ塗料は、上塗塗膜を保護し、さらに上塗塗膜がプライマー塗膜全面に形成されていない場合には、プライマー塗膜をも保護するためのものであり、溶剤型塗料、水系塗料、粉体塗料など制限なく使用することができる。
クリヤ塗料は、ハケ塗り、スプレー塗装、各種コーター塗装、静電塗装等の一般的な方法を用いることができる。
クリヤ塗料の硬化条件は、クリヤ塗料が硬化する条件から適宜設定できる。
なお、以下の実施例において、「部」とあるのは、「質量部(固形分)」を意味する。
(プライマー塗膜の形成)
表1に示すポリアミドアミン樹脂、エポキシ樹脂、顔料、添加剤及び溶剤を、表1に示す配合割合(質量部)で混合し、顔料粗粒子の粒子径が30μm以下となるまで顔料分散を行ってプライマー塗料を製造した。
その後、温度80℃及び湿度5%RHの雰囲気中で30分間乾燥してプライマー塗膜を形成した。
得られたプライマー塗膜上に、熱硬化性ポリエステル樹脂系粉体塗料(商品名:ニッシンパウダー784−041ホワイト、久保孝ペイント株式会社製)を静電塗装することによって乾燥膜厚で60〜70μmになるように塗布した。
その後、温度180℃及び湿度5%RHの雰囲気中で20分間乾燥して複層塗膜を形成した。
(発泡防止効果)
得られた複層塗膜上に5mm×5mmのマスが100マスある碁盤目を重ねたとき、発泡跡が何マスにあるかを目視にて確認し、複層塗膜の発泡状態を下記基準にて評価した。結果を表1に示す。
なお、下記基準でS、A及びBの複層塗膜を、発泡による外観不良を防止できていると判断した。
A:発泡跡を確認したマスの数が4〜9マスであった。
B:発泡跡を確認したマスの数が10〜29マスであった。
C:発泡跡を確認したマスの数が30〜100マスであった。
JIS K5600−5−6:1999に規定された碁盤目試験(カットの間隔:2mm)を実施し、プライマー塗膜の亜鉛溶射鋼板に対する付着性を下記基準にて評価した。結果を表1に示す。
×:試験結果が分類2〜5であった。
JIS K5600−5−4:1999に規定された鉛筆法により、複層塗膜の鉛筆硬度を測定した。結果を表1に示す。
JIS K5600−7−2:1999に規定された湿潤試験(連続結露法)を、試験片の位置の温度50℃及び相対湿度98%の条件下で500時間実施後、複層塗膜の膨れの有無により、複層塗膜の耐湿性を下記評価基準にて評価した。結果を表1に示す。
△:複層塗膜全体中、膨れが発生した部分の面積が0.1%以上2%未満であった。
×:複層塗膜全体中、膨れが発生した部分の面積が2%以上であった。
上記湿潤試験を行った後、JIS K5600−5−6:1999に規定された碁盤目試験(カットの間隔:2mm)を実施し、プライマー塗膜の亜鉛溶射鋼板に対する付着性を下記基準にて評価した。結果を表1に示す。
×:試験結果が分類2〜5であった。
ポリアミドアミン樹脂、エポキシ樹脂、顔料、添加剤及び溶剤の種類及び配合量を下記表1〜3に示すとおりとした以外は、実施例1と同様に試験した。ただし、比較例1〜3においては、発泡防止効果を評価する試験のみを行った。結果を下記表1〜3に示す。
なお、ポリアミドアミン樹脂は表4に記載のものを使用し、エポキシ樹脂は表5又は表6に記載のものを使用した。
亜鉛溶射鋼板上に塗布したプライマー塗料の乾燥膜厚を15〜20μmとした以外は、実施例1と同様に試験した。結果を下記表3に示す。
プライマー塗膜上に塗布する上塗塗料、上塗塗膜の乾燥条件を下記表7に示すとおりとした以外は、実施例1と同様に試験した。結果を下記表7に示す。
プライマー塗膜を形成する際の温度を常温(20℃)とし、乾燥時間を下記表8に示すとおりとした以外は、実施例1と同様に試験した。結果を下記表8に示す。
Claims (5)
- 多孔質金属材料又は多孔質合金材料からなる被塗物に、
重量平均分子量が800〜7000であるポリアミドアミン樹脂及びエポキシ樹脂を含有するプライマー塗料を塗装して、乾燥膜厚が20μmより大きく60μm以下のプライマー塗膜を形成し、
該プライマー塗膜上に粉体塗料及び溶剤型塗料の少なくとも一方を塗装して上塗塗膜を形成する、複層塗膜形成方法。 - 前記プライマー塗料が顔料を含有する、請求項1に記載の複層塗膜形成方法。
- 前記ポリアミドアミン樹脂の活性水素当量が90〜500である、請求項1又は2に記載の複層塗膜形成方法。
- 前記プライマー塗料を強制乾燥させる際の温度が40〜180℃であり、乾燥時間が5〜120分である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
- 前記プライマー塗料を常温乾燥させる際の温度が10〜40℃であり、乾燥時間が2〜72時間である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
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