以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1に、本発明の一形態による吸収性物品1の一部破断図を示す。吸収性物品1は、図1に示すように、不透液性の裏面シート2と、透液性の表面シート3と、これら両シート2、3間に設けられた吸収体4とを有する本体(吸収性物品本体)8とを備えている。吸収体4の形状保持等のために、吸収体4は、クレープ紙又は不織布等からなる被包シート5によって包まれていてもよい。
本体8は、図1に示すように、全体としては、前後方向に所定の長さを有し、前後方向と直交する方向に略一定の幅を有する細長い形状を有している。そして、吸収性物品1は、前後方向に延びる中心線CLに対し略線対称の形状になっている。また、吸収性物品1は、装着する際に体液排出部に対応する領域(体液排出部対応領域)40を含む中央領域Mと、中央領域Mの前方にある前方端部領域Fと、中央領域Mの後方にある後方端部領域Rとを有する。中央領域Mは、その両側方から延びるウィングWを有している。前方端部領域Fは、ウィングWの前方の起点となる位置から前方の領域であり、後方端部領域Rは、ウィングWの後方の起点となる位置から後方の領域とすることができる。図示の例では、ウィングWがある構成を示しているが、吸収性物品1はウィングWを有していなくともよい。
吸収体4の前方及び後方の端縁部では、裏面シート2の外縁と表面シート3の外縁とが、ホットメルト等の接着剤やヒートシール、超音波シール等の接着手段によって接合されている。また、表面シート側の両側部には、それぞれ前後方向(長手方向)に沿ってサイド不織布7が設けられている。サイド不織布7は、本体8の側方に部分的に突出し、同じく側方に突出する裏面シート2に積層され、ホットメルト等の接着剤やヒートシール、超音波シール等の接着手段によって接合されており、これにより、本体8の両側部にウィングWが形成されている。
裏面シート2としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂シート等の少なくとも遮水性を有するシート材を用いることができる。ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布の積層シート等を用いることができる。また、ムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられることがさらに望ましい。このような遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。
表面シート3は、経血、おりもの、尿等の体液を速やかに透過させる透液性のシートである。表面シート3としては、有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスチックシート等が好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の合成繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、及びこれらの混紡繊維、並びに綿等の天然繊維を単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、不織布の加工法としては、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等が挙げられる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、スパンボンド法はドレープ性に富む不織布を製造できる点で好ましく、サーマルボンド法は嵩高でソフトな不織布を製造できる点で好ましい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維を用いることができる。
裏面シート2と表面シート3との間に介在される吸収体4は、体液を吸収して保持できる材料であれば限定されないが、綿状パルプと吸水性ポリマーとを含むことが好ましい。吸水性ポリマーとしては、高吸水ポリマー粒状粉(superabsorbent polymer(SAP))、高吸水ポリマー繊維(superabsorbent fiber(SAF))及びこれらの組合せを用いることができる。パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられる。化学パルプの原料材としては、広葉樹材、針葉樹材等が用いられるが、繊維長が長いこと等から針葉樹材が好適に使用される。
また、吸収体4には合成繊維を混合してもよい。合成繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、及びこれらの共重合体を使用することができ、これらのうちの2種を混合して使用することもできる。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維も用いることができる。なお、疎水性繊維を親水化剤で表面処理し、体液に対する親和性を付与したものを用いることもできる。
吸収体4の厚みは、0.5〜25mmの範囲内とすることができ、3.5〜7.5mmの範囲であると好ましい。吸収体4は、前面にわたり均一な厚みを有していなくともよく、体液排出口対応領域40等を膨出させた構造とすることもできる。また、吸収体4は、積繊又はエアレイド法によって製造されたものが好ましい。
サイド不織布7としては、撥水処理不織布又は親水処理不織布を使用することができる。例えば、経血やおりもの等が浸透するのを防止する効果又は肌触り感を高める場合は、シリコン系、パラフィン系、アルキルクロミッククロリド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いることが好ましい。また、ウィングWにおける経血等の吸収性を高める場合には、不織布の材料として、親水処理された不織布を用いることが好ましい。不織布の種類としては、折り癖が付きにくく、シワに成りにくく柔らかいエアスルー不織布が好ましい。
ウィングWの外縁には、サイド不織布7と裏面シート2との接合のため及び剛性を高める目的で、所定の箇所に、ドット状や所定の形状を有する圧搾部(エンボス)が設けられていてもよい。
吸収性物品1の全長は、130〜450mmとすることができ、140〜360mmであってよく、170〜270mmとすることができる。
吸収性物品1には、複数の圧搾溝(圧縮溝、エンボスともいう)が設けられている。この圧搾溝は、表面シート3から裏面シート2側に窪む溝として形成されたものである。圧搾溝が形成されていることで、身体の形状に適合した変形を容易にしたり、表面又は内部での体液の移行をコントロールしたりすることができる。圧搾溝は、吸収体4の上に表面シート3を積層させた積層体を、一対の加圧ロールの間に通過させることによって形成することができる。例えば、上記積層体を、表面シート3側及び吸収体4側に、凸状のロール及び平坦なロールがそれぞれ配置されるようにして通過させることができる。
図1に示すように、圧搾溝には、本体8の前後方向に延びる中心線CLを対称軸として線対称に且つ前後方向に延びる一対の第1圧搾溝10、10が含まれる。一対の第1圧搾溝10、10は、体液排出部対応領域40の側部に沿って、若しくは体液排出部対応領域40の側部から側方へ所定の距離をおいて前後方向に延びている。一対の第1圧搾溝10、10は、主として中央領域Mに形成されているが、図1の例のように、中央領域Mを越えた前後方向の範囲に形成されていてもよい。第1圧搾溝10、10があることで、装着時に吸収性物品の側部が容易に折れ曲がり、主として、体液排出部対応領域40を含む中央領域Mにおいて第1圧搾溝10、10間の領域を盛り上げることができるので、装着時に体液排出部へのフィット性を高めることができる。
図1の例では、第1圧搾溝10、10は幅方向内側に凹状に湾曲しているので、装着時に両脚(両腿)の丸みに沿って自然に吸収性物品1を変形させることができる。但し、第1圧搾溝10、10の湾曲の方向は、図示の例に限られず、幅方向外側に凸状に湾曲していてもよい。また、第1圧搾溝10、10は、湾曲せずに直線的に形成されていてもよく、その場合、第1圧搾溝10、10は、第1圧搾溝10、10間の幅が、前方又は後方に向かって徐々に広がるように形成されていてもよい。
一対の第1圧搾溝10、10はそれぞれ、弱剛性部分30、30を有している。図1の例では、弱剛性部分30、30として、前方弱剛性部分31、31と後方弱剛性部分32、32とが形成されているが、一対の第1圧搾溝10、10に形成される弱剛性部分30、30は、前方弱剛性部分31、31及び後方弱剛性部分32、32のいずれかであってもよい。
図1の例では、前方弱剛性部分31、31は、中央領域Mの前方の端又はその近傍、すなわち、前後方向で見てウィングWの前方の起点となる位置又はその近傍の位置に形成されている。また、後方弱剛性部分32、32は、中央領域Mの後方の端又はその近傍、すなわち、前後方向で見てウィングWの後方の起点となる位置又はその近傍の位置に形成されている。しかし、弱剛性部分30、30の位置は、図示の例に限られない。後述のように、弱剛性部分30、30が形成されていることでその位置で容易に折り曲げることができるようになることから、吸収性物品1をどの位置で折るかがが予め決まっている場合には、弱剛性部分30、30の位置を折り位置に対応させることが好ましい。
弱剛性部分30、30は、その前後方向に形成されている第1圧搾溝10、10の部分と比較して剛性が弱くなっている部分である。よって、弱剛性部分30、30があることで、吸収性物品本体8は、弱剛性部分30、30を起点として前後方向に折り曲げやすくなる。これにより、吸収性物品1を、略幅方向に延びる折り線に沿って前後方向に折る場合、吸収性物品1を弱剛性部分30、30において折ると、折り位置を安定させることができる。具体的には、略幅方向に延びる折り線Y1を、前方弱剛性部分31、31が形成されている位置に対応させ、且つ/又は略幅方向に延びる折り線Y2を、後方弱剛性部分32、32に対応させることができる。
なお、ここでいう「折り線」とは、吸収性物品を前後方向に折り曲げる際の折り曲げ位置の目安となる線を意味する。しかし、実際に吸収性物品が折り曲げられた場合に吸収性物品に付く折り跡は、「折り線」と一致する場合もあるが、「折り線」と一致せずに、例えば複数の折り跡(襞)となる場合もある。
図1の例では、前方弱剛性部分31、31及び後方弱剛性部分32、32(合せて、弱剛性部分30、30という)は、一対の第1圧搾溝10、10が間欠する部分となっている。すなわち、弱剛性部分30、30においては、本体8に圧搾加工がされていない。但し、後述のように、弱剛性部分30、30は、別の構成を有していてもよい。
吸収性物品1に形成された圧搾溝には、さらに、一対の第2圧搾溝20、20が含まれる。一対の第2圧搾溝20、20は、一対の第1圧搾溝10、10の内側に、前後方向中心線CLを対称軸として線対称に、幅方向外側に凸状に湾曲して前後方向に延びる圧搾溝である。
一対の第2圧搾溝20、20は、体液排出部対応領域40の前方及び/又は後方に形成されていてよい。すなわち、一対の第2圧搾溝20、20には、一対の前方の第2圧搾溝21、21と一対の後方の第2圧搾溝22、22との少なくとも一方が含まれていてよい。一対の前方の第2圧搾溝21、21は、前方領域Fと中央領域Mとの境界に跨るように、また、一対の後方の第2圧搾溝22、22は、中央領域Mと後方領域Rとの境界に跨るように形成されていてよい。
一対の前方の第2圧搾溝21、21及び一対の後方の第2圧搾溝22、22の形状は、同じであってもよいし異なっていてもよい。また、両者のサイズも同じであってもよいし異なっていてもよい。図示の例では、一対の前方の第2圧搾溝21、21と一対の後方の第2圧搾溝22、22との両方が形成されており、一対の後方の第2圧搾溝22、22は、同じサイズを有する一対の前方の第2圧搾溝21、21の形状(ハート形)を前後方向に反転させた形状(逆ハート形)となっている。
上述のように、第1圧搾溝10、10が弱剛性部分30、30を有していることによって、この部分に対応する位置で吸収性物品1を折った場合に、安定して折りを形成することができる。そのため、製造時の折り工程で、実際の折り位置が折り目標位置から外れてしまったり、また個装後の吸収性物品1(後述の個装吸収性物品100)の形状が安定しなかったりすることを回避することができる。
しかしながら、第1圧搾溝10、10が弱剛性部分30、30を有していることで、吸収性物品1を折り畳んだ後に折り跡(折りグセ)が強く付いてしまうことがある。具体的には、製造時の折り工程によって弱剛性部分30、30の全体又は一部が強く凹み、吸収性物品1を使用しようとして個装を解いたときにも、その凹みが維持されることがある。そのような場合、装着時には、折り跡及びその近傍の領域が本体8が肌から離れやすくなり、フィット性が損なわれ、場合によっては折り跡に沿って体液の漏れが生じる可能性がある。
これに対し、本例においては、一対の第1圧搾溝10、10の内側に、一対の第2圧搾溝20、20が形成され、一対の第2圧搾溝20、20間の幅が最大となる位置を、一対の第1圧搾溝10、10の弱剛性部分30、30の位置に対応させている。すなわち、図1に示すように、例えば、前後方向中心線CLと直交する幅方向に延び、且つ一対の前方の第2圧搾溝21、21の間の幅が最大となる位置を通る線を仮想線X1とした場合、第1圧搾溝10、10の前方弱剛性部分31、31が仮想線X1に跨るように、圧搾溝を配置している。図示の例では、さらに、前後方向中心線CLと直交する幅方向に延び、且つ一対の後方の第2圧搾溝22、22の間の幅が最大となる位置を通る線を仮想線X2とした場合、第1圧搾溝10、10の後方弱剛性部分32、32が仮想線X2に跨っている。
本体8に、一対の第2圧搾溝20、20が設けられていると、装着時には第2圧搾溝20、20が起点となって、第2圧搾溝20、20間の領域を、装着者の肌面側に盛り上げやすくなる。そして、第2圧搾溝20、20間の幅を大きくすれば、その盛り上がりの領域を大きくすることができる。さらに、図示のように、第2圧搾溝20、20間の最大幅の位置を、第1圧搾溝10、10の弱剛性部分30、30に対応させることによって、弱剛性部分30、30が形成されている位置(折った場合に折り跡がつきやすい位置)において、本体8を肌方向に大きい幅で盛り上げて、身体へ密着させることができる。
よって、例えば、一対の第1圧搾溝10、10の前方弱剛性部分31、31に対応する位置で、折り線Y1で吸収性物品1を折り曲げて折り跡が付いたとしても、身体への密着性を高め、側方への漏れを良好に防ぐことができる。また、後方弱剛性部分32、32に対応する位置で、折り線Y2で吸収性物品1を折り曲げた場合にも、同様の効果が得られる。なお、ここで、折り線Y1、Y2はそれぞれ、仮想線X1、X2と同じ位置であってよい。
図2A及び図2Bに、図1のI−I断面図を模式的に示す。図1に示すように、I−I線は、前後方向中心線CLと直交する幅方向に延び且つ前方弱剛性部分31、31を通っている。図2Aは、吸収性物品1の装着前の状態であり、図2Bは、装着時の状態を示す。
図2Aに示すように、装着前の状態では、吸収性物品1は全体として平坦になっている。これに対し、装着時には、体液排出部対応領域40(図1)の側部は、装着者の両脚からの力を両側から受けて変形するため、変形した位置より前方の領域の両側部は後方へと引っ張られる。そうすると、図2Bに示すように、引っ張られた部分(両側部)が肌面側へ立ち上がりやすくなる。両側部が立ち上がると、通常は、前後方向中心線CL付近の領域が肌面から離れやすくなる。しかし、第2圧搾溝20、20が設けられていることで、第2圧搾溝20、20が起点となり、前後方向中心線CL付近の領域(第2圧搾溝20、20間の領域)を肌方向に盛り上げることができる。
I−I線は、仮想線X1に極めて近い(第2圧搾溝20、20間の幅が最大となる位置に極めて近い)ため、第2圧搾溝20、20間の幅は比較的大きい。これにより、図2Bに示すように、装着時に、第2圧搾溝20、20間を大きな幅で盛り上げることができ、本体の身体への密着性を高めることができる。
図3A及び図3Bに、図1のII−II断面図を模式的に示す。II−II線は、I−I線よりも後方に位置し、前後方向中心線CLと直交する幅方向に延び且つ前方弱剛性部分31、31を通らない線である。II−II線の位置では、第2圧搾溝20、20間の幅は、I−I線の位置における第2圧搾溝21、21間の幅よりも小さくなっている。図3Aは、吸収性物品1の装着前の状態であり、図3Bは、装着時の状態を示す。
装着時には、図2Bに示す状態と同様、II−II線の位置においても本体の両側部が後方に引っ張られ、図3Bに示すように、引っ張られた部分(両側部)が立ち上がる。II−II線の位置における第2圧搾溝20、20間の幅は、I−I線の位置における第2圧搾溝20、20間の幅よりも小さいため、II−II線の位置においては、本体の盛り上がりは小さい。
このように、本発明の一形態では、図2Bに示すような、第2圧搾溝20、20間の大きな盛り上がりが形成される位置を、第1圧搾溝10、10の弱剛性部分30、30の位置に対応させることで、吸収性物品1を弱剛性部分30、30で折った場合にも本体8を身体へ良好に密着させることができる。
図4に、図1の前方領域R及び中央領域Mの一部を拡大した図を示す。図4中、aは、仮想線X1上の一対の第1圧搾溝10、10間の幅を指し、bは、同様に仮想線X1上の一対の前方の第2圧搾溝21、21(一対の第2圧搾溝20、20)間の幅を指す。つまり、bは、一対の前方の第2圧搾溝21、21(一対の第2圧搾溝20、20)間の最大幅である。
ここで、一対の第2圧搾溝20、20間の最大幅bの、仮想線X1における一対の第1圧搾溝10、10間の幅aに対する比率((b/a)×100)は、40〜80%であると好ましく、50〜70%であるとより好ましい。aに対するbの比率を40%以上とすることで、第2圧搾溝20、20間の盛り上がる領域を十分に大きくできるので、漏れ防止の効果が向上する。また、上記比率を80%以下とすることで、第2圧搾溝20、20を起点とした盛り上がりの効果を維持することができ、また第2圧搾溝20、20が第1圧搾溝10、10に過度に近付いて本体8の柔軟性が低下することを防止できる。
図4中、cは、前方弱剛性部分31、31(弱剛性部分30、30)の前後方向の長さを指す。この長さcは、1〜10mmであると好ましく、2〜5mmであるとより好ましい。弱剛性部分30、30の長さcを1mm以上とすることで、弱剛性部分30、30の位置での折りやすさを向上させることができる。また、長さcを10mm以下とすることで、第1圧搾溝10、10から幅方向外側への体液の漏れを防止でき、見た目にも、漏れを防止できるという安心感を装着者に与えることができる。
なお、図1の例では、圧搾溝には、さらに、前方幅方向圧搾溝15及び後方幅方向圧搾溝16が含まれている。前方幅方向圧搾溝15は、前方領域Fに設けられており、前方に凸状の湾曲した形状を有している。また、後方幅方向圧搾溝16は、後方領域Rに設けられており、後方に凸状の湾曲した形状を有している。
図示の例では、前方幅方向圧搾溝15及び後方幅方向圧搾溝16は、一対の第1圧搾溝10、10の前端及び後端とそれぞれ連結しており、弱剛性部分30、30を備えた、概ね環状の圧搾溝を形成している。このような構成により、環状の圧搾溝の外側への体液の漏れをより確実に防止することができる。吸収性物品1においては、前方幅方向圧搾溝15及び後方幅方向圧搾溝16の一方が設けられていてもよいし、前方幅方向圧搾溝15及び後方幅方向圧搾溝16がなくともよい。
前方幅方向圧搾溝15と一対の第1圧搾溝10、10との連結部、又は両者の境界の位置は、特に限定されない。後方幅方向圧搾溝16と一対の第1圧搾溝10、10の連結部、又は両者の境界の位置も同様である。
本例では、圧搾溝は、高圧搾部と、高圧搾部よりも窪みが浅い低圧搾部とを有していてよい。図1においては、高圧搾部は黒色で、低圧搾部は白色で表示している。高圧搾部は、低圧搾部の底面より、0.5mm〜3mm程度溝深さを相対的に深く形成した部分であってよい。このような高圧搾部と低圧搾部とを含む圧搾溝の構成は、所望の構成に対応する凹凸を有する加圧ロールを用いることによって得ることができる。例えば、圧搾溝全体の形状に対応する凸部を設け、さらに凸部上に、高圧搾部に対応する微細凸部を設けた加圧ロールを用いることができる。また、圧搾溝を構成しようとする領域に、比較的低い圧力で低圧搾部をまず形成し、その後、形成された低圧搾部の領域の一部に、比較的高い圧力で高圧搾部を形成することによって得ることができる。圧搾部の深さの調整は、圧搾溝の形成のために用いられる上述の加圧ロールの印圧を調整することによって行うことができる。
図1に示すように、第1圧搾溝10、10、第2圧搾溝20、20、前方幅方向圧搾溝15、及び後方幅方向圧搾溝16はいずれも、高圧搾部と低圧搾部とを備えた構成を有していてよい。図4においては、第1圧搾溝10、10の高圧搾部を参照番号18で、低圧搾部を参照番号19で示し、第2圧搾溝20、20の高圧搾部を参照番号28で、低圧搾部を参照番号29で示す。
図4に示すように、幅方向に延び且つ第2圧搾溝20、20間の幅が最大となる位置を通る仮想線X1上に、第2圧搾溝20の高圧搾部28が存在しないように、また第2圧搾溝20の低圧搾部29が仮想線X1を跨るように構成されている。これにより、第1圧搾溝10の弱剛性部分30の前後方向の範囲と、第2圧搾溝20の高圧搾部28がない範囲とを対応させる、具体的には前後方向に重複させることができる。これにより、第2圧搾溝20、20の位置でも、本体8を前後方向に折りやすくなる。よって、例えば、吸収性物品1を前方弱剛性部分31、31を通る折り線Y1で折った場合に、吸収性物品1が一層折りやすくなって、製造時の折り畳み工程において折り位置をより安定させることができるとともに、一対の第2圧搾溝20、20間の領域を盛り上げる上述の効果も維持できる。
図1、4の例では、一対の第2圧搾溝20、20は、その前方及び後方で互いに連結し、これにより、ハート形の環状の圧搾溝が形成されている。一対の第2圧搾溝20、20が、互いに連結していることで、前後方向中心線CL及びその近傍での剛性を向上させることができるため、多くの体液を吸収して本体8にヘタリが生じた場合でもヨレを防ぐことができる。
また、図4に示すように、一対の前方の第2圧搾溝21、21が後方で互いに連結して、略V字形状部分25を形成している場合には、装着時に、V字の先端が起点となって本体8が前後方向にも幅方向にも湾曲しやすくなり、身体の丸みに自然に沿って変形しやすくなる。
上述のように、一対の前方の第2圧搾溝21、21は、その最大幅を有する位置(仮想線X1の位置)が、一対の第1圧搾溝10、10の前方弱剛性部分31、31に対応するように配置されている。そのため、前方の第2圧搾溝21、21のV字形状部分25の先端は、仮想線X1よりも後方に位置することになる。これにより、前方弱剛性部分31、31が形成されている位置で吸収性物品1を前後方向に折った場合、折り位置よりも後方に前方の第2圧搾溝21のV字形状部分25の先端が位置することになる。そうすると、折り位置で折り跡が強く付いてしまった場合でも、V字の先端による自然な変形の作用が折り跡の影響を受けることがない。
また、図1、4の例のように、一対の第2圧搾溝21、21の前方が、前方に凸状に湾曲し、前後方向中心線CLの位置で連結している場合には、その連結部も、身体の丸みに沿った自然な湾曲の起点となることができる。
図5に、本発明の別の例による吸収性物品500の部分的な拡大図を示す。吸収性物品500の構成は、吸収性物品1と同様、吸収性物品本体508に、一対の第1圧搾溝510、510と、その内側に一対の前方の第2圧搾溝521、521(一対の第2圧搾溝520、520)とが設けられた構成を有している。また、図5においては、第1圧搾溝510、510の高圧搾部を参照番号518で、低圧搾部を参照番号519で示す。
吸収性物品500は、一対の第1圧搾溝510、510の弱剛性部分530、530が、高圧搾部518が間欠している部分として形成されている点で、吸収性物品1の構成と異なる。図5の例では、弱剛性部分530、530は、第1圧搾溝10の低圧搾部519が連続した部分となっている。
本例では、弱剛性部分530、530が、第1圧搾溝510、510自体の間欠によるものではなく、高圧搾部518の間欠により形成されているので、吸収性物品500の折り畳みを容易にするという効果を維持しつつ、側方への漏れを防止することができる。
第1圧搾溝510においては、複数の高圧搾部518が間隔をおいて形成されており、高圧搾部518以外の領域が低圧搾部519となっている。図示の例では、各高圧搾部518は、第1圧搾溝510の両縁のどちらか一方に接するように形成されており、第1圧搾溝510の左縁に接する高圧搾部と第1圧搾溝510の右縁に接する高圧搾部とが、交互に千鳥状に並んで配置されている。但し、高圧搾部518の配置は、図示のものに限られず、各高圧搾部518が、第1圧搾溝510の両縁に接するように形成され、所定の間隔をおいて配置されていてもよい。
第1圧搾溝510に配置されている高圧搾部518同士の間隔(1つの高圧搾部とそれに隣り合う高圧搾部との間の前後方向の距離であって、両高圧搾部の互いに向き合う端部間の距離)は、特に限定されないが、1.0〜4.0mm程度であると好ましい。また、第1圧搾溝510に配置されている高圧搾部511同士の間隔の算術平均が、1.0〜4.0mm程度であると好ましい。
弱剛性部分530の前後方向の長さcは、弱剛性部分530以外の場所における、第1圧搾溝510に配置されている高圧搾部511同士の間隔の算術平均よりも大きいことが好ましく、高圧搾部511同士の間隔の最大値より大きいことが好ましい。なお、弱剛性部分530の前後方向の長さcは、1〜10mmであると好ましく、2〜5mmであるとより好ましい。
図6に、本発明の別の例による吸収性物品600の部分的な拡大図を示す。吸収性物品600の構成は、吸収性物品1と同様、吸収性物品本体608に、一対の第1圧搾溝610、610と、その内側に一対の前方の第2圧搾溝621、621(一対の第2圧搾溝620、620)とが設けられた構成を有している。
吸収性物品600は、一対の第2圧搾溝620、620が互いに連結していない点で、吸収性物品1と異なる。一対の第2圧搾溝620、620が互いに連結していないことによって、本体608の、前後方向中心線CLの付近の領域の剛性が弱まるため、一対の第2圧搾溝620、620間の領域及びその近傍領域を比較的大きな範囲で盛り上がる。また、肌触りの観点からも好ましい。
図示の例では、一対の第2圧搾溝620、620が前方及び後方の両方で互いに連結していないが、一対の第2圧搾溝620、620は、前方及び後方の一方で互いに連結していてもよい。
図7に、本発明の別の例による吸収性物品700の部分的な拡大図を示す。吸収性物品700の構成は、吸収性物品1と同様、吸収性物品本体708に、一対の第1圧搾溝710、710と、その内側に一対の前方の第2圧搾溝721、721(一対の第2圧搾溝720、720)とが設けられた構成を有している。しかし、吸収性物品700は、一対の第2圧搾溝720、720が互いに連結しておらず且つより短くなっている点で、吸収性物品1と異なる。
図7の例では、図6の例と同様、前後方向中心線CLの付近の領域の剛性が弱まるため、一対の第2圧搾溝720、720間の領域及びその近傍領域を比較的大きな範囲で盛り上げることができ、肌触りの観点からも好ましい。
なお、一対の第2圧搾溝720、720の前後方向の長さは、一対の第1圧搾溝710、710の一対の前方弱剛性部分731、731(弱剛性部分730、730)の前後方向の長さより長いことが好ましい。これにより、弱剛性部分730、730に対応する位置で(例えば、折り線Y1で)本体を折った場合にも、折り位置を安定させつつ、折り位置での本体708が盛り上がるようになり、漏れを防止することができる。
図8に、吸収性物品1を折り畳んで得られた個装吸収性物品100を示す。個装吸収性物品100は、吸収性物品1と包装シート9とを含み、吸収性物品1を、包装シート9と共に、略幅方向に延びる折り位置で前後方向に折り畳まれたものである。包装シート9の前方の端部にはテープ9aが設けられており、これにより、吸収性物品1の折り畳み後、包装シート9の前方の端部を個装吸収性物品100に固定することができる。
図示の例では、個装吸収性物品100の包装シート9の側方の端部は、開放されているが、包装シートの側方の端部に圧搾加工等を施して接合させることができる。これにより、吸収性物品1全体を包装し、吸収性物品1に外部から触れられないようにすることができる。
個装吸収性物品100は、三つ折りにされている、すなわち、略幅方向に延びる2つの折り線で前後方向に折り畳まれている。この場合、吸収性物品1を後方の折り線で折った後、前方の折り線で折るという順序で折り畳むことができる。
また、個装吸収性物品100は、四つ折り又は五つ折りされていてもよい。その場合であっても、少なくとも1つの折り位置を弱剛性部分に対応する位置とすることで、折り位置を安定させるという上述の効果を得ることができる。
図8には、吸収性物品1の前方が折られる前の状態を点線で示す。図示の例では、吸収性物品1は、一対の第1圧搾溝10、10にそれぞれ設けられた前方弱剛性部分31、31を通る折り線Y1で、矢印の方向に折られることが示されている。図示のように、吸収性物品1を、第1圧搾溝10、10の剛性の高い部分を避ける位置で折ることができれば、製造時に折り位置を安定させることができ、また折り畳まれた個装吸収性物品100の形状も安定させることができる。