JP6933239B2 - ハロゲン化アルケン化合物及びフッ化アルキン化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、ハロゲン化アルケン化合物及びフッ化アルキン化合物の製造方法に関する。
ハロゲン化アルケン化合物の製造方法として、例えば、特許文献1では、CF3CHClCHClCCl3、CF3CCl2CH2CCl3、CF3CClHCHFCCl3、CF3CClFCH2CCl3等を出発物質として、オキシフッ素化クロム触媒の存在下にフッ化水素と反応させ、フッ素化しながら脱フッ化水素することでCF3CF=CHCF3を得ている。
国際公開第2012/067864号
本開示は、ハロゲン化アルケン化合物及びハロゲン化アルキン化合物を高い転化率及び高い選択率で得ることができる方法を提供することを目的とする。
本開示は、以下の構成を包含する。
項1.一般式(2A):
CX1X2X3CX4=CHCX5X6X7 (2A)
[式中、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は同一又は異なって、ハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化ブテン化合物の製造方法であって、
一般式(1A):
CX1X2X3CHX4CFHCX5X6X7 (1A)
[式中、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は前記に同じである。]
で表されるハロゲン化ブタン化合物を脱フッ化水素反応する工程を含む、製造方法。
項2.一般式(3A):
CX1X2X3C≡CCX5X6X7 (3A)
[式中、X1、X2、X3、X5、X6及びX7は同一又は異なって、ハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化ブチン化合物の製造方法であって、
一般式(2A):
CX1X2X3CX4=CHCX5X6X7 (2A)
[式中、X1、X2、X3、X5、X6及びX7は前記に同じである。X4はハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化ブテン化合物を脱ハロゲン化水素反応する工程
を含む、製造方法。
項3.一般式(3A):
CX1X2X3C≡CCX5X6X7 (3A)
[式中、X1、X2、X3、X5、X6及びX7は同一又は異なって、ハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化ブチン化合物の製造方法であって、
(IA)一般式(1A):
CX1X2X3CHX4CFHCX5X6X7 (1A)
[式中、X1、X2、X3、X5、X6及びX7は前記に同じである。X4はハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化ブタン化合物を脱フッ化水素反応して一般式(2A):
CX1X2X3CX4=CHCX5X6X7 (2A)
[式中、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は前記に同じである。]
で表されるハロゲン化ブテン化合物を製造する工程、
(IIA)前記工程(IA)の後、フッ化水素を除去する工程、及び
(IIIA)前記工程(IIA)の後、得られた一般式(2A):
CX1X2X3CX4=CHCX5X6X7 (2A)
[式中、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は前記に同じである。]
で表されるハロゲン化ブテン化合物を脱ハロゲン化水素反応して一般式(3A):
CX1X2X3C≡CCX5X6X7 (3A)
[式中、X1、X2、X3、X5、X6及びX7は前記に同じである。]
で表されるハロゲン化ブチン化合物を製造する工程
を含む、製造方法。
項4.前記脱フッ化水素反応及び/又は前記脱ハロゲン化水素反応する工程を触媒及び/又は塩基の存在下で行う、項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
項5.前記脱フッ化水素反応及び/又は前記脱ハロゲン化水素反応する工程を液相で行う、項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
項6.前記脱フッ化水素反応及び/又は前記脱ハロゲン化水素反応する工程を密閉反応系で行う、項5に記載の製造方法。
項7.前記脱フッ化水素反応及び/又は前記脱ハロゲン化水素反応する工程を、気相で行う、項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
項8.前記脱フッ化水素反応及び/又は前記脱ハロゲン化水素反応する工程を、活性炭触媒、酸化クロム触媒、ゼオライト触媒及びシリカアルミナ触媒よりなる群から選ばれる少なくとも1種の触媒の存在下で行う、項7に記載の製造方法。
項9.一般式(2B):
CX8A1=CHA2 (2B)
[式中、A1及びA2は同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。X8はハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化アルケン化合物の製造方法であって、
一般式(1B):
CHX8A1CHX9A2 (1B)
[式中、A1及びA2は前記に同じである。X8及びX9は同一又は異なって、ハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化アルカン化合物を、触媒の存在下、気相で脱ハロゲン化水素反応する工程を含む、製造方法。
項10.一般式(3B):
CA1≡CA2 (3B)
[式中、A1及びA2は同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。]
で表されるフッ化アルキン化合物の製造方法であって、
一般式(2B):
CX8A1=CHA2 (2B)
[式中、A1及びA2は前記に同じである。X8はハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化アルケン化合物を、触媒の存在下、脱ハロゲン化水素反応する工程を含む、製造方法。
項11.前記脱ハロゲン化水素反応する工程を、気相で行う、項10に記載の製造方法。
項12.一般式(3B):
CA1≡CA2 (3B)
[式中、A1及びA2は同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。]
で表されるフッ化アルキン化合物の製造方法であって、
(IB)一般式(1B):
CHX8A1CHX9A2 (1B)
[式中、A1及びA2は前記に同じである。X8及びX9は同一又は異なって、ハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化アルカン化合物を、触媒の存在下、気相で脱ハロゲン化水素反応し、一般式(2B):
CX8A1=CHA2 (2B)
[式中、A1、A2及びX8は前記に同じである。]
で表されるハロゲン化アルケン化合物を製造する工程、
(IIB)前記工程(IB)の後、ハロゲン化水素を除去する工程、及び
(IIIB)前記工程(IIB)の後、得られた一般式(2B):
CX8A1=CHA2 (2B)
[式中、A1、A2及びX8は前記に同じである。]
で表されるハロゲン化アルケン化合物を、触媒の存在下、気相で脱ハロゲン化水素反応し、一般式(3B):
CA1≡CA2 (3B)
[式中、A1及びA2は前記に同じである。]
で表されるフッ化アルキン化合物を製造する工程
を含む、製造方法。
項13.前記脱フッ化水素反応及び/又は前記脱ハロゲン化水素反応する工程を、気相連続流通式で行う、項1〜12のいずれか1項に記載の製造方法。
項14.前記脱フッ化水素反応及び/又は前記脱ハロゲン化水素反応する工程を、
炭化水素化合物における炭素原子と結合する全ての水素原子がハロゲン原子で置換した環状炭化ハロゲン化合物の存在下で行う、項1〜13のいずれか1項に記載の製造方法。
項15.一般式(1A):
CX1X2X3CX4=CHCX5X6X7 (1A)
[式中、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は同一又は異なって、ハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化ブテン化合物を含有する組成物であって、
組成物全量を100モル%として、前記一般式(1A)で表されるハロゲン化ブテン化合物の含有量が80.00〜99.99モル%である、組成物。
項16.組成物全量を100モル%として、前記一般式(1A)で表されるハロゲン化ブテン化合物として、(E)-ハロゲン化ブテン化合物を85.00〜99.98モル%含む、項15に記載の組成物。
項17.一般式(2B):
CX8A1=CHA2 (2B)
[式中、A1及びA2は同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。X8はハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化アルケン化合物と、
少なくとも1種のハイドロフルオロカーボン(HFC)化合物(前記一般式(2B)で表されるハロゲン化アルケン化合物を除く)とを含有する、
組成物。
項18.前記組成物全量を100モル%として、前記一般式(2B)で表されるハロゲン化アルケン化合物の含有量が80モル%以上であり、前記ハイドロフルオロカーボン(HFC)化合物の含有量が20モル%以下である、項17に記載の組成物。
項19.前記ハイドロフルオロカーボン(HFC)化合物が、ヘキサフルオロブテン、ヘキサフルオロブタン及びオクタフルオロブタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項17又は18に記載の組成物。
項20.一般式(3B):
CA1≡CA2 (3B)
[式中、A1及びA2は同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。]
で表されるフッ化アルキン化合物と、
少なくとも1種のハイドロフルオロカーボン(HFC)化合物(前記一般式(3B)で表されるフッ化アルキン化合物を除く)とを含有する、
組成物。
項21.一般式(3A):
CX1X2X3C≡CCX5X6X7 (3A)
[式中、X1、X2、X3、X5、X6及びX7は同一又は異なって、ハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化ブチン化合物と、
少なくとも1種のハイドロフルオロカーボン(HFC)化合物(前記一般式(3A)で表されるハロゲン化ブチン化合物を除く)とを含有する、
組成物。
項22.前記組成物全量を100モル%として、前記一般式(3B)で表されるフッ化アルキン化合物又は前記一般式(3A)で表されるハロゲン化ブチン化合物の含有量が80モル%以上であり、前記ハイドロフルオロカーボン(HFC)化合物の含有量が20モル%以下である、項20又は21に記載の組成物。
項23.前記ハイドロフルオロカーボン(HFC)化合物が、トリフルオロメタン、ジフロロメタン、テトラフルオロメタン及びモノフルオロメタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項20〜22のいずれか1項に記載の組成物。
項24.クリーニングガス、エッチングガス、冷媒、熱移動媒体又は有機合成用ビルディングブロックとして用いられる、項15〜23のいずれか1項に記載の組成物。
本開示によれば、ハロゲン化アルケン化合物及びハロゲン化アルキン化合物を高い転化率及び高い選択率で合成することができる。
本開示におけるアルケン(ハロゲン化ブテン化合物又はハロゲン化アルケン化合物)及びアルキン(ハロゲン化ブチン化合物又はフッ化アルキン化合物)の製造方法を模式的に示す図面である。図1では、精留塔で、発生したフッ化水素を分離することができる。 本開示におけるアルケン(ハロゲン化ブテン化合物又はハロゲン化アルケン化合物)及びアルキン(ハロゲン化ブチン化合物又はフッ化アルキン化合物)の製造方法を模式的に示す図面である。図2では、ハロゲン化水素除去剤(除去塔)を用いて、発生したハロゲン化水素を除去することができる。
本明細書において、「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する概念である。また、本明細書において、数値範囲を「A〜B」で示す場合、A以上B以下を意味する。
本開示において、「選択率」とは、反応器出口からの流出ガスにおける原料化合物以外の化合物の合計モル量に対する、当該流出ガスに含まれる目的化合物の合計モル量の割合(モル%)を意味する。
本開示において、「転化率」とは、反応器に供給される原料化合物のモル量に対する、反応器出口からの流出ガスに含まれる原料化合物以外の化合物の合計モル量の割合(モル%)を意味する。
従来は、特許文献1では、CF3CHClCHClCCl3、CF3CCl2CH2CCl3、CF3CClHCHFCCl3、CF3CClFCH2CCl3等を出発物質として、オキシフッ素化クロム触媒の存在下にフッ化水素と反応させ、フッ素化しながら脱フッ化水素することでCF3CF=CHCF3を得ているが、その収率は14.8%に過ぎなかった。
以上から、従来の方法によれば、収率は14.8%に過ぎなかった。本開示の製造方法によれば、従来と比較しても、ハロゲン化アルケン化合物及びハロゲン化アルキン化合物を高い転化率及び高い選択率で合成することができる。
1.ハロゲン化ブテン化合物及びハロゲン化ブチン化合物の製造方法
[1−1]ハロゲン化ブタン化合物からハロゲン化ブテン化合物への製造方法
本開示のハロゲン化ブテン化合物の製造方法は、
一般式(2A):
CX1X2X3CX4=CHCX5X6X7 (2A)
[式中、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は同一又は異なって、ハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化ブテン化合物の製造方法であって、
一般式(1A):
CX1X2X3CHX4CFHCX5X6X7 (1A)
[式中、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は前記に同じである。]
で表されるハロゲン化ブタン化合物を脱フッ化水素反応する工程を含む。
本開示によれば、上記した一般式(1A)で表されるハロゲン化ブタン化合物の脱フッ化水素反応を行うことで、一般式(1A)で表されるハロゲン化ブタン化合物1モルに対して1モルのフッ化水素が脱離した一般式(2A)で表されるハロゲン化ブテン化合物を選択的に得ることができ、しかも、連続的に一般式(2A)で表されるハロゲン化ブテン化合物からさらに、HX4で表されるハロゲン化水素の脱離反応は起こりにくい。また、本開示によれば、一般式(2A)で表されるハロゲン化ブテン化合物として、幾何異性体のなかでもE体を選択的に合成することができる。これは、CF3基等のトリハロゲン化メチル基の電子吸引効果によりCF3基等のトリハロゲン化メチル基のα位の炭素が電子不足となるため、フッ素アニオン等のハロゲン化アニオンが脱離しづらいためハロゲン化ブチンではなくハロゲン化ブテンが生成する。またE体が選択的にできるのはCF3基等のトリハロゲン化メチル基の立体障害によりトランス配置の方がエネルギー的に安定となるためである。
(1−1−1)原料化合物(ハロゲン化ブタン化合物)
本開示の製造方法において使用できる基質としてのハロゲン化ブタン化合物は、上記のとおり、一般式(1A):
CX1X2X3CHX4CFHCX5X6X7 (1A)
[式中、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は同一又は異なって、ハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化ブタン化合物である。
一般式(1A)において、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7で示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
基質であるハロゲン化ブタン化合物としては、ハロゲン化ブテン化合物を特に、高い転化率、収率及び選択率で製造することができる観点においてX1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7はいずれも、フッ素原子及び塩素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
上記したX1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は、それぞれ同一でもよいし、異なっていてもよい。
上記のような条件を満たす基質としてのハロゲン化ブタン化合物としては、具体的には、CF3CFHCFHCF3、CCl3CClHCFHCCl3、CBr3CBrHCFHCBr3等が挙げられる。これらのハロゲン化ブタン化合物は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。このようなハロゲン化ブタン化合物は、公知又は市販品を採用することができる。
(1−1−2)脱フッ化水素反応
本開示におけるハロゲン化ブタン化合物から脱フッ化水素反応させる工程では、例えば、基質として、一般式(1A)で表されるハロゲン化ブタン化合物では、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は、フッ素原子であることがより好ましい。
つまり、以下の反応式:
CF3CFHCFHCF3 → CF3CF=CHCF3 + HF
に従い、脱フッ化水素反応であることが好ましい。
本開示におけるハロゲン化ブタン化合物から脱フッ化水素反応させる工程は、液相で行うこともできるし、気相で行うこともできる。特に生産性の観点からは、気相で行うことが好ましい。
本開示におけるハロゲン化ブタン化合物から脱フッ化水素反応させる工程は、目的化合物をより高い選択率及びより高い転化率で得ることができる観点から、触媒及び/又は塩基の存在下で行うことが好ましい。より具体的には、液相反応を採用する場合は、塩基及び必要に応じて触媒の存在下で行うことが好ましく、気相反応を採用する場合は、触媒の存在下で行うことが好ましい。それぞれの場合の触媒及び塩基の詳細は後述する。
(1−1−2−1)液相反応
本開示におけるハロゲン化ブタン化合物から脱フッ化水素反応させる工程を液相で行う場合、例えば金属容器を用いることにより、圧力をかけ、原料の沸点を上げることによって液成分を多くすることで、目的化合物の収率をより向上させることができる。
本開示におけるハロゲン化ブタン化合物から脱フッ化水素反応させる工程を液相で行う場合、まず、上記した一般式(1A)で表されるハロゲン化ブタン化合物の溶液を準備し、次いで、塩基の存在下に反応を進行させることが好ましい。
溶媒
上記したハロゲン化ブタン化合物の溶液における溶媒としては、水及び非水溶媒のいずれも採用することができ、非水溶媒としては、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、炭酸メチルプロピル、炭酸エチルプロピル等の炭酸エステル;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル類、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン等のケトン;γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のラクトン;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル;N,N-ジメチルホルム等のアミドアミド;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホン等が好ましい。溶媒は、前記水及び非水溶媒のなかから単独で使用することもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。なかでも、沸点が高く、後述する塩基を分解しにくい溶媒であることが好ましい。具体的には、非水溶媒が好ましく、エーテルがより好ましく、ジブチルエーテルが特に好ましい。
塩基
本開示におけるハロゲン化ブタン化合物から脱フッ化水素反応させる工程を液相で行う場合、上記のように、塩基の存在下で行うことが好ましい。
塩基としては、反応の転化率やハロゲン化ブテン化合物の選択率及び収率の観点から、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物又はアルコキシドが好ましく、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシドがより好ましい。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムtert-ブトキシド等が挙げられ、ナトリウムメトキシド、カリウムtert-ブトキシド等が好ましい。本工程では、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物又はアルコキシドの水溶液とすることが好ましく、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシドの水溶液がより好ましい。具体的には、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムtert-ブトキシド等の水溶液が特に好ましい。このような塩基を用いることで、目的化合物をより高い選択率及びより高い転化率で得ることができる。
反応溶液中の塩基の含有量は特に限定されないが、反応溶液全体を100質量%として、20〜60質量%が好ましく、40〜55質量%がより好ましい。反応溶液中の塩基の含有量を前記範囲とすることで、目的化合物をより高い選択率及びより高い転化率で得ることができる。
触媒
本工程では、必要に応じて触媒を用いることができる。本工程で用いられる触媒は、炭化水素系のアルコキシドが好ましい。炭化水素系のアルコキシドとして、例えば、テトラメチルアンモニウムフルオリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラエチルアンモニウムフルオリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムフルオリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムヨージド、ベンジルトリエチルアンモニウムフルオリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムヨージド、ベンジルトリブチルアンモニウムフルオリド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリブチルアンモニウムヨージド、メチルトリブチルアンモニウムフルオリド、メチルトリブチルアンモニウムクロリド、メチルトリブチルアンモニウムブロミド、メチルトリブチルアンモニウムヨージド、メチルトリオクチルアンモニウムフルオリド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド(商標Aliquat336)、メチルトリオクチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムヨージド等が挙げられる。触媒としては、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。前記触媒を用いることで、目的化合物をより高い選択率及びより高い転化率で得ることができる。
環状炭化ハロゲン化合物
本開示においては、上記したハロゲン化ブタン化合物を脱フッ化水素反応する工程は、環状炭化ハロゲン化合物の存在下で行うこともできる。この環状炭化ハロゲン化合物は、炭化水素化合物における炭素原子と結合する全ての水素原子がハロゲン原子で置換した環状炭化ハロゲン化合物を意味する。言い換えれば、炭素原子及びハロゲン原子のみから構成され、水素原子を含まない環状炭化ハロゲン化合物を意味する。
上記したハロゲン化ブタン化合物を脱フッ化水素反応する工程を、このような環状炭化ハロゲン化合物の存在下で行うことにより、反応の平衡を生成物側にずらすことが可能であり、目的物であるハロゲン化ブテン化合物をさらに高転化率及び高収率で得ることができる。
使用できる環状炭化ハロゲン化合物が有するハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子がいずれも含まれ得る。なかでも、反応の効率性の観点からは、原料化合物であるハロゲン化ブタン化合物中に含まれるハロゲン原子(X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7)と同じ種類のハロゲン原子を含むことが好ましい。なお、ハロゲン化ブタン化合物が複数種類のハロゲン原子を有する場合(X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7の全てが同一ではない場合)は、環状炭化ハロゲン化合物は、ハロゲン化ブタン化合物が有するハロゲン原子を一種又は二種以上含むことが好ましく、ハロゲン化ブタン化合物が有するハロゲン原子を一種のみ含む場合も好ましい。
使用できる環状炭化ハロゲン化合物の炭素数は特に制限されない。目的物であるハロゲン化ブテン化合物の転化率、選択率及び収率の観点からは、環状炭化ハロゲン化合物の炭素数は1〜10が好ましく、2〜7がより好ましく、3〜5がさらに好ましい。
使用できる環状炭化ハロゲン化合物は、不飽和結合を有さない飽和環状炭化ハロゲン化合物であっても、不飽和結合を有する不飽和環状炭化ハロゲン化合物であってもよい。なかでも、目的物であるハロゲン化ブテン化合物の転化率、選択率及び収率の観点からは、飽和環状炭化ハロゲン化合物が好ましい。
以上から、環状炭化ハロゲン化合物としては、飽和環状炭化ハロゲン化合物が好ましい。このような飽和環状炭化ハロゲン化合物としては、一般式(4):
Figure 0006933239
[式中、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9及びA10は同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。]
で表される飽和環状炭化ハロゲン化合物が好ましい。
一般式(4)において、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9及びA10で表されるパーフルオロアルキル基は、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基である。パーフルオロアルキル基は、例えば、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜6、さらに好ましくは炭素数1〜4、特に好ましくは炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。パーフルオロアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。前記パーフルオロアルキル基として、トリフルオロメチル基(CF3-)、及びペンタフルオロエチル基(C2F5-)であることが好ましい。
以上のような条件を見たす環状炭化ハロゲン化合物としては、具体的には、
Figure 0006933239
等が挙げられる。
本開示の製造方法において、液相において、環状炭化ハロゲン化合物の存在下にハロゲン化ブタン化合物を脱フッ化水素反応させるに当たっては、例えば、ハロゲン化ブタン化合物の溶液に対して、環状炭化ハロゲン化合物を気体の状態で吹き込んでもよいし、液相(例えば液化ガス等)を投入してもよい。
本開示の製造方法において、環状炭化ハロゲン化合物の存在下にハロゲン化ブタン化合物を脱フッ化水素反応させる場合、環状炭化ハロゲン化合物の使用量は特に制限はなく、目的物であるハロゲン化ブテン化合物の転化率、選択率及び収率の観点からは、原料化合物であるハロゲン化ブタン化合物に対して過剰量とすることが好ましく、具体的には、原料化合物であるハロゲン化ブタン化合物1モルに対して1〜20モルが好ましく、2〜10モルがより好ましく、3〜5モルがさらに好ましい。
密閉反応系
本開示において、目的化合物の一般式(2A)で表されるハロゲン化ブテン化合物は、その沸点が低く、室温で気体(ガス)として存在する。そのため、本開示における脱フッ化水素反応する工程では、反応系を密閉反応系とすることで、自然と密閉反応系内の圧力は上昇し、加圧条件下で反応を行うことができる。このため、目的化合物である一般式(2A)で表されるハロゲン化ブテン化合物をより高い選択率及びより高い転化率で得ることができる。
このように、目的化合物の沸点が低いことにより密閉反応系は加圧され、反応溶液(塩基溶液)中の基質(原料化合物)濃度が上昇し反応性を向上させることが可能である。前記密閉反応系は、バッチ式の耐圧反応容器を用いて反応系を密閉させて、反応を行うことが好ましい。バッチ式で反応を行う場合には、例えば、オートクレーブ等の圧力容器に原料化合物、塩基溶液(アルカリ水溶液)、触媒等を仕込み、ヒーターにて適切な反応温度まで昇温させ、撹拌下に一定時間反応することが好ましい。反応雰囲気としては、窒素、ヘリウム、炭酸ガス等の不活性ガスの雰囲気中で反応を行うことが好ましい。
本開示における脱フッ化水素反応する工程では、密閉圧反応系での反応温度は、より効率的に脱離反応を進行させ、目的化合物をより高い選択率で得ることができる観点、転化率の低下を抑制する観点から、通常0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、15℃以上がさらに好ましい。
本開示における脱フッ化水素反応する工程では、密閉反応系での反応温度は、より効率的に脱フッ化水素反応を進行させ、目的化合物をより高い選択率で得ることができる観点、且つ反応生成物が分解又は重合することによる選択率の低下をより抑制する観点から、通常100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。
加圧反応系
本開示において、脱フッ化水素反応する工程は、反応温度を10℃以上とし、反応圧力を0kPa以上とすることで、加圧反応系にて反応を行うこともできる。これにより、目的化合物である一般式(2A)で表されるハロゲン化ブテン化合物をより選択率及びより高い転化率で得ることができる。このように反応系が加圧されると、反応溶液(塩基溶液、アルカリ水溶液)中の基質(原料化合物)濃度が上昇し反応性を向上させることが可能である。前記加圧反応系は、バッチ式の耐圧反応容器を用いて反応系を密閉させて、反応を行うことが好ましい。バッチ式で反応を行う場合には、例えば、オートクレーブ等の圧力容器に原料化合物、塩基溶液(アルカリ水溶液)、触媒等を仕込み、ヒーターにて適切な反応温度まで昇温させ、撹拌下に一定時間反応することが好ましい。
本開示における脱離反応する工程では、加圧条件は、反応圧力を0kPa以上とすることが好ましい。反応圧力は、加圧反応系に用いる反応容器内部の圧力である。本開示における脱フッ化水素反応する工程では、反応圧力は、0kPa以上が好ましく、5kPa以上がより好ましく、10kPa以上がさらに好ましく、15kPa以上が特に好ましい。反応圧力の上限は特に制限はなく、通常、2MPa程度である。なお、本開示において、圧力については特に表記が無い場合はゲージ圧とする。
加圧には、反応系に、窒素、ヘリウム、炭酸ガス等の不活性ガスを送り込むことで、反応系内の圧力を上昇させることができる。
本開示における脱フッ化水素反応する工程では、加圧反応系での反応温度は、より効率的に脱離反応を進行させ、目的化合物をより高い選択率で得ることができる観点、転化率の低下を抑制する観点から、通常0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、15℃以上がさらに好ましい。
本開示における脱フッ化水素反応する工程では、密閉反応系での反応温度は、より効率的に脱フッ化水素反応を進行させ、目的化合物をより高い選択率で得ることができる観点、且つ反応生成物が分解又は重合することによる選択率の低下をより抑制する観点から、通常100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。
密閉反応系と加圧反応系との組合せ
本開示における脱フッ化水素反応する工程では、また、連続相槽型反応器(CSTR)に背圧弁を接続する等の方法により、液を抜き出しながら、若しくは生成物をガス化させて抜き出しながら、連続且つ加圧での反応形態で行うこともできる。
脱フッ化水素反応終了後は、必要に応じて常法にしたがって精製処理を行い、一般式(2A)で表されるハロゲン化シクロブテン化合物を得ることができる。
(1−1−2−2)気相反応
本開示におけるハロゲン化ブタン化合物から脱フッ化水素反応させる工程を気相で行う場合、溶媒を用いる必要がなく産廃が生じず、生産性に優れるという利点がある。
本開示におけるハロゲン化ブタン化合物から脱フッ化水素反応させる工程は、気相、特に固定床反応器を用いた気相連続流通式で行うことが好ましい。気相連続流通式で行う場合は、装置、操作等を簡略化できるとともに、経済的に有利である。
触媒
本開示におけるハロゲン化ブタン化合物から脱フッ化水素反応させる工程は、触媒の存在下に行うことが好ましい。
本開示の製造方法において使用される触媒としては、活性炭触媒、酸化クロム触媒、ゼオライト触媒、シリカアルミナ触媒等が好ましい。これらの触媒は、フッ素化されていない触媒及びフッ素化された触媒のいずれも採用することができる。
活性炭触媒としては、特に制限はなく、破砕炭、成形炭、顆粒炭、球状炭等の粉末活性炭が挙げられる。粉末活性炭は、JIS試験(JIS Z8801)で、4メッシュ(4.75mm)〜100メッシュ(0.150mm)の粒度を示す粉末活性炭を用いることが好ましい。これらの活性炭は、公知又は市販品を採用することができる。
活性炭は、フッ素化することにより、より強い活性を示すようになるため、反応に用いる前に、予め活性炭をフッ素化したフッ素化活性炭を活性炭触媒として用いることもできる。つまり、活性炭触媒としては、フッ素化されていない活性炭及びフッ素化活性炭のいずれも使用することができる。
活性炭をフッ素化するためのフッ素化剤としては、例えば、HF等の無機フッ素化剤の他、ヘキサフルオロプロペン等のハイドロフルオロカーボン(HFC)、クロロフルオロメタン等のクロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)等の有機フッ素化剤も用いることができる。
活性炭をフッ素化する方法としては、例えば、室温(25℃)〜400℃程度の温度条件下に大気圧下で上記したフッ素化剤を流通させてフッ素化する方法を挙げることができる。
酸化クロム触媒については、特に制限されないが、酸化クロムをCrOmで表記した場合に、1.5<m<3が好ましく、2<m<2.75がより好ましく、2<m<2.3がさらに好ましい。また、酸化クロムをCrOm・nH2Oで表記した場合に、nの値が3以下、特に1〜1.5となるように水和していてもよい。
フッ素化された酸化クロム触媒は、上記した酸化クロム触媒のフッ素化により調製することができる。このフッ素化は、例えば、HF、フルオロカーボン等を用いて行うことができる。このようなフッ素化された酸化クロム触媒は、例えば、特開平05−146680号公報に記載されている方法にしたがって合成することができる。
以下、酸化クロム触媒及びフッ素化された酸化クロム触媒の合成方法の一例を示す。
まず、クロム塩の水溶液(硝酸クロム、塩化クロム、クロムみょうばん、硫酸クロム等)とアンモニア水とを混合することよって水酸化クロムの沈殿を得ることができる。この時の沈澱反応の反応速度により水酸化クロムの物性を制御することができる。反応速度は、速いことが好ましい。反応速度は反応溶液温度、アンモニア水混合方法(混合速度)、撹拌状態等により左右される。
この沈澱を濾過洗浄後、乾燥することができる。乾燥は、例えば、空気中、70〜200℃で、1〜100時間行うことができる。この段階の触媒を水酸化クロムの状態と呼ぶことがある。次いで、この触媒を解砕することができる。ペレットの強度、触媒の活性等の観点から、解砕された粉末(例えば、粒径は1000μm以下、特に46〜1000μmの粒径品が95%)の粉体密度が0.6〜1.1g/ml、好ましくは0.6〜1.0g/mlになるように沈澱反応速度を調整することが好ましい。粉体の比表面積(BET法による比表面積)は例えば200℃、80分の脱気条件で、100m2/g以上が好ましく、120m2/g以上がより好ましい。なお、比表面積の上限は、例えば、220m2/g程度である。
この水酸化クロムの粉体に、要すればグラファイトを3重量%以下混合し、打錠機によりペレットを形成することができる。ペレットのサイズ及び強度は適宜調整することができる。
成形された触媒を不活性雰囲気中、例えば窒素気流中焼成し、非晶質の酸化クロムとすることができる。この焼成温度は360℃以上が好ましく、結晶化抑制の観点からは、380〜460℃が好ましい。また、焼成時間は、例えば1〜5時間とすることができる。
焼成された触媒の比表面積は、触媒の活性の観点から、例えば170m2/g以上が好ましく、180m2/g以上がより好ましく、200m2/g以上がさらに好ましい。なお、比表面積の上限は、通常、240m2/g程度が好ましく、220m2/g程度がより好ましい。
次いで、酸化クロムをフッ素化することによってフッ素化された酸化クロムを得ることができる。フッ素化の温度は、生成する水が凝縮しない温度範囲とすればよく、反応熱により触媒が結晶化しない温度を上限とすればよい。フッ素化の温度は、例えば100〜460℃とすることができる。フッ素化時の圧力に制限はないが、触媒反応に供される時の圧力で行うことが好ましい。
ゼオライト触媒としては、公知の種類のゼオライトを広く採用することができる。例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の結晶性含水アルミノ珪酸塩が好ましい。ゼオライトの結晶形は、特に限定されず、A型、X型、LSX型等が挙げられる。ゼオライト中のアルカリ金属又はアルカリ土類金属は、特に限定されず、カリウム、ナトリウム、カルシウム、リチウム等が挙げられる。
ゼオライト触媒は、フッ素化することにより、より強い活性を示すようになるため、反応に用いる前に、予めゼオライト触媒をフッ素化してフッ素化ゼオライト触媒として用いることができる。
ゼオライト触媒をフッ素化するためのフッ素化剤としては、例えば、F2、HF等の無機フッ素化剤、ヘキサフルオロプロペン等のフルオロカーボン系の有機フッ素化剤等を用いることができる。
ゼオライト触媒をフッ素化する方法としては、例えば、室温(25℃)〜400℃程度の温度条件下に大気圧下で上記したフッ素化剤を流通させてフッ素化する方法を挙げることができる。
シリカアルミナ触媒は、シリカ(SiO2)及びアルミナ(Al2O3)を含む複合酸化物触媒であり、シリカ及びアルミナの総量を100質量%として、例えば、シリカの含有量が20〜90質量%、特に50〜80質量%の触媒を使用することができる。
シリカアルミナ触媒は、フッ素化することにより、より強い活性を示すようになるため、反応に用いる前に、予めシリカアルミナ触媒をフッ素化してフッ素化シリカアルミナ触媒として用いることもできる。
シリカアルミナ触媒をフッ素化するためのフッ素化剤としては、例えば、F2、HF等の無機フッ素化剤、ヘキサフルオロプロペン等のフルオロカーボン系の有機フッ素化剤等を用いることができる。
シリカアルミナ触媒をフッ素化する方法としては、例えば、室温(25℃)〜400℃程度の温度条件下に大気圧下で上記したフッ素化剤を流通させてフッ素化する方法を挙げることができる。
上記した触媒は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。これらのなかでも、転化率、選択率及び収率の観点から、活性炭触媒(活性炭又はフッ素化された活性炭)、酸化クロム触媒(酸化クロム又はフッ素化された酸化クロム)等が好ましく、活性炭触媒(活性炭又はフッ素化された活性炭)がより好ましい。
また、触媒として上記した酸化クロム触媒、ゼオライト触媒、シリカアルミナ触媒等を使用する場合は、担体に担持させることも可能である。このような担体としては、例えば、炭素、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、シリカ(SiO2)、チタニア(TiO2)等が挙げられる。炭素としては、活性炭、不定形炭素、グラファイト、ダイヤモンド等を用いることができる。
本開示の製造方法において、気相において、触媒の存在下にハロゲン化ブタン化合物を脱フッ化水素反応させるに当たっては、例えば、触媒を固体の状態(固相)でハロゲン化ブタン化合物と接触させることが好ましい。この場合、触媒の形状は粉末状とすることもできるが、ペレット状のほうが気相連続流通式の反応に採用する場合には好ましい。
触媒のBET法により測定した比表面積(以下、「BET比表面積」と言うこともある。)は、通常10〜3000m2/gが好ましく、10〜2500m2/gがより好ましく、20〜2000m2/gがさらに好ましく、30〜1500m2/gが特に好ましい。触媒のBET比表面積がこのような範囲にある場合、触媒の粒子の密度が小さ過ぎることがないため、より高い選択率でハロゲン化ブテン化合物を得ることができる。また、ハロゲン化ブタン化合物の転化率をより向上させることも可能である。
環状炭化ハロゲン化合物
本開示においては、上記したハロゲン化ブタン化合物を脱フッ化水素反応する工程は、環状炭化ハロゲン化合物の存在下で行うこともできる。この環状炭化ハロゲン化合物は、炭化水素化合物における炭素原子と結合する全ての水素原子がハロゲン原子で置換した環状炭化ハロゲン化合物を意味する。言い換えれば、炭素原子及びハロゲン原子のみから構成され、水素原子を含まない環状炭化ハロゲン化合物を意味する。
上記したハロゲン化ブタン化合物を脱フッ化水素反応する工程を、このような環状炭化ハロゲン化合物の存在下で行うことにより、反応の平衡を生成物側にずらすことが可能であり、目的物であるハロゲン化ブテン化合物をさらに高転化率及び高収率で得ることができる。
このような環状炭化ハロゲン化合物は、上記した(1−1−2−1)液相反応において説明したものを採用できる。好ましい具体例や使用量も同様である。
本開示の製造方法において、気相において、環状炭化ハロゲン化合物の存在下にハロゲン化ブタン化合物を脱フッ化水素反応させるに当たっては、例えば、環状炭化ハロゲン化合物を気体の状態(気相)でハロゲン化ブタン化合物と接触させることが好ましい。
反応温度
本開示におけるハロゲン化ブタン化合物を脱フッ化水素反応させる工程では、反応温度は、より効率的に脱フッ化水素反応を進行させて転化率をより向上させ、目的化合物であるハロゲン化ブテン化合物をより高い選択率で得ることができる観点から、通常230℃以上が好ましく、280℃以上がより好ましく、320℃以上がさらに好ましい。なお、触媒として活性炭を使用する場合は、環状炭化ハロゲン化合物を使用しない場合は、反応温度は、脱フッ化水素反応をより効率的に進行させるためにより高温とすることが好ましく、400℃以上が好ましく、420℃以上がより好ましい。触媒として活性炭を使用する場合であっても、気相において、環状炭化ハロゲン化合物の存在下にハロゲン化ブタン化合物を脱フッ化水素反応させる場合は、脱フッ化水素反応をより効率的に進行させることができるため、反応温度はやや低温とすることも可能であり、通常230℃以上が好ましく、280℃以上がより好ましく、320℃以上がさらに好ましい。
本開示におけるハロゲン化ブタン化合物を脱フッ化水素反応させる反応温度は、より効率的に脱フッ化水素反応を進行させて転化率をより向上させ、目的化合物であるハロゲン化ブテン化合物をより高い選択率で得ることができる観点から、通常500℃以下が好ましく、450℃以下がより好ましい。
反応時間
本開示におけるハロゲン化ブタン化合物を脱フッ化水素反応させる反応時間は、例えば気相流通式を採用する場合には、原料化合物の触媒に対する接触時間(W/F)[W:触媒の重量(g)、F:原料化合物の流量(cc/sec)]は、反応の転化率が特に高く、ハロゲン化ブタン化合物をより高収率及び高選択率に得ることができる観点から、5〜100g・sec./ccが好ましく、10〜90g・sec./ccがより好ましく、15〜80g・sec./ccがさらに好ましい。気相において、環状炭化ハロゲン化合物の存在下にハロゲン化ブタン化合物を脱フッ化水素反応させる場合は、脱フッ化水素反応をより効率的に進行させることができるため、接触時間の下限値はより小さくすることも可能であり、1〜100g・sec./ccが好ましく、2〜90g・sec./ccがより好ましく、3〜80g・sec./ccがさらに好ましい。なお、上記接触時間とは、原料化合物及び触媒が接触する時間を意味する。
反応圧力
本開示におけるハロゲン化ブタン化合物を脱フッ化水素反応させる反応圧力は、より効率的に脱フッ化水素反応を進行させて転化率をより向上させ、目的化合物であるハロゲン化ブテン化合物をより高い選択率で得ることができる観点から、0kPa以上が好ましく、10kPa以上がより好ましく、20kPa以上がさらに好ましく、30kPa以上が特に好ましい。反応圧力の上限は特に制限はなく、通常、2MPa程度である。なお、本開示において、圧力については特に表記が無い場合はゲージ圧とする。
本開示におけるハロゲン化ブタン化合物の脱フッ化水素反応において、ハロゲン化ブタン化合物と好ましくは触媒及び環状炭化ハロゲン化合物とを投入して反応させる反応器としては、上記温度及び圧力に耐えうるものであれば、形状及び構造は特に限定されない。反応器としては、例えば、縦型反応器、横型反応器、多管型反応器等が挙げられる。反応器の材質としては、例えば、ガラス、ステンレス、鉄、ニッケル、鉄ニッケル合金等が挙げられる。
脱フッ化水素反応の例示
本開示におけるハロゲン化ブタン化合物の脱フッ化水素反応は、反応器に原料化合物であるハロゲン化ブタン化合物を連続的に仕込み、当該反応器から目的化合物であるハロゲン化ブテン化合物を連続的に抜き出す流通式及びバッチ式のいずれの方式によっても実施することができる。目的化合物であるハロゲン化ブテン化合物が反応器に留まると、さらに脱離反応が進行し得ることから、流通式で実施することが好ましい。本開示におけるハロゲン化ブタン化合物を脱フッ化水素反応させる工程では、気相で行い、特に固定床反応器を用いた気相連続流通式で行うことが好ましい。気相連続流通式で行う場合は、装置、操作等を簡略化できるとともに、経済的に有利である。なお、バッチ式を採用する場合は、上記液相反応において説明した密閉反応系や、加圧反応系を採用することも可能である。
本開示におけるハロゲン化ブタン化合物の脱フッ化水素反応を行う際の雰囲気については、触媒の劣化を抑制する点から、不活性ガス雰囲気下、フッ化水素ガス雰囲気下等が好ましい。当該不活性ガスは、窒素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。これらの不活性ガスのなかでも、コストを抑える観点から、窒素が好ましい。当該不活性ガスの濃度は、反応器に導入される気体成分の0〜50モル%とすることが好ましい。
脱フッ化水素反応終了後は、必要に応じて常法にしたがって精製処理を行い、一般式(2A)で表されるハロゲン化ブテン化合物を得ることができる。
(1−1−3)目的化合物(ハロゲン化ブテン化合物)
このようにして得られる本開示の目的化合物は、一般式(2A):
CX1X2X3CX4=CHCX5X6X7 (2A)
[式中、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は同一又は異なって、ハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化ブテン化合物である。
一般式(2A)におけるX1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は、上記した一般式(1A)におけるX1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7と対応している。このため、製造しようとする一般式(2A)で表されるハロゲン化ブテン化合物は、例えば、具体的には、CF3CF=CHCF3、CCl3CCl=CHCCl3、CBr3CBr=CHCBr3等が挙げられる。これらの化合物は、Z体及びE体をいずれも包含する。
このようにして得られたハロゲン化ブテン化合物は、半導体、液晶等の最先端の微細構造を形成するためのエッチングガス、クリーニングガス、デポジットガス、冷媒、熱移動媒体、有機合成用ビルディングブロック等の各種用途に有効利用できる。デポジットガス及び有機合成用ビルディングブロックについては後述する。
[1−2]ハロゲン化ブテン化合物からハロゲン化ブチン化合物への製造方法
本開示のハロゲン化ブチン化合物の製造方法は、
一般式(3A):
CX1X2X3C≡CCX5X6X7 (3A)
[式中、X1、X2、X3、X5、X6及びX7は同一又は異なって、ハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化ブチン化合物の製造方法であって、
一般式(2A):
CX1X2X3CX4=CHCX5X6X7 (2A)
[式中、X1、X2、X3、X5、X6及びX7は前記に同じである。X4はハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化ブテン化合物を脱ハロゲン化水素反応する工程を含む。
本開示によれば、上記した一般式(2A)で表されるハロゲン化ブテン化合物の脱ハロゲン化水素反応を行うことで、一般式(2A)で表されるハロゲン化ブテン化合物1モルに対して1モルのハロゲン化水素が脱離した一般式(3A)で表されるハロゲン化ブチン化合物を選択的に得ることができる。
(1−2−1)原料化合物(ハロゲン化ブテン化合物)
本開示の製造方法において使用できる基質としてのハロゲン化ブテン化合物は、上記のとおり、一般式(2A):
CX1X2X3CX4=CHCX5X6X7 (2A)
[式中、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は同一又は異なって、ハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化ブテン化合物であり、上記した[1−1]ハロゲン化ブタン化合物からハロゲン化ブテン化合物への製造方法における目的化合物に相当する。
一般式(2A)において、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7で示されるハロゲン原子としては、上記したものを採用できる。好ましい種類も同様である。
上記のような条件を満たす基質としてのハロゲン化ブテン化合物としては、具体的には、CF3CF=CHCF3、CCl3CCl=CHCCl3、CBr3CBr=CHCBr3等が挙げられる。これらの化合物は、Z体及びE体をいずれも包含する。これらのハロゲン化ブテン化合物は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。このようなハロゲン化ブテン化合物は、公知又は市販品を採用することができる。
(1−2−2)脱ハロゲン化水素反応
本開示におけるハロゲン化ブテン化合物から脱ハロゲン化水素反応させる工程では、例えば、基質として、一般式(2A)で表されるハロゲン化ブテン化合物では、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は、フッ素原子であることがより好ましい。
つまり、以下の反応式:
CF3CF=CHCF3 → CF3C≡CCF3 + HF
に従い、脱フッ化水素反応であることが好ましい。
本開示におけるハロゲン化ブテン化合物から脱ハロゲン化水素反応させる工程は、液相で行うこともできるし、気相で行うこともできる。特に生産性の観点からは、気相で行うことが好ましい。
本開示におけるハロゲン化ブテン化合物から脱ハロゲン化水素反応させる工程は、目的化合物をより高い選択率及びより高い転化率で得ることができる観点から、触媒及び/又は塩基の存在下で行うことが好ましい。より具体的には、液相反応を採用する場合は、塩基及び必要に応じて触媒の存在下で行うことが好ましく、気相反応を採用する場合は、触媒の存在下で行うことが好ましい。なお、液相反応の場合の詳細(溶媒、塩基、触媒、環状炭化ハロゲン化合物、密閉反応系及び加圧反応系の条件等)及び気相反応の場合の詳細(触媒、環状炭化ハロゲン化合物、反応温度、反応時間、反応圧力等)については、「ハロゲン化ブタン化合物から脱フッ化水素反応によりハロゲン化ブテン化合物を得る反応」を、「ハロゲン化ブテン化合物から脱ハロゲン化水素反応によりハロゲン化ブチン化合物を得る反応」であるように読み替えること以外は、上記した[1−1]ハロゲン化ブタン化合物からハロゲン化ブテン化合物への製造方法において説明したものを採用できる。好ましい種類及び含有量も同様である。
脱ハロゲン化水素反応終了後は、必要に応じて常法にしたがって精製処理を行い、一般式(3A)で表されるハロゲン化ブチン化合物を得ることができる。
(1−2−3)目的化合物(ハロゲン化ブチン化合物)
このようにして得られる本開示の目的化合物は、一般式(3A):
CX1X2X3C≡CCX5X6X7 (3A)
[式中、X1、X2、X3、X5、X6及びX7は同一又は異なって、ハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化ブチン化合物である。
一般式(3A)におけるX1、X2、X3、X5、X6及びX7は、上記した一般式(2A)におけるX1、X2、X3、X5、X6及びX7と対応している。このため、製造しようとする一般式(3A)で表されるハロゲン化ブチン化合物は、例えば、具体的には、CF3C≡CCF3、CCl3C≡CCCl3、CBr3C≡CCBr3等が挙げられる。
このようにして得られたハロゲン化ブチン化合物は、半導体、液晶等の最先端の微細構造を形成するためのエッチングガス、クリーニングガス、デポジットガス、冷媒、熱移動媒体、有機合成用ビルディングブロック等の各種用途に有効利用できる。デポジットガス及び有機合成用ビルディングブロックについては後述する。
[1−3]ハロゲン化ブタン化合物から、ハロゲン化ブテン化合物を経由して、ハロゲン化ブチン化合物への製造方法
本開示のハロゲン化ブチン化合物の製造方法は、
一般式(3A):
CX1X2X3C≡CCX5X6X7 (3A)
[式中、X1、X2、X3、X5、X6及びX7は同一又は異なって、ハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化ブチン化合物の製造方法であって、
(IA)一般式(1A):
CX1X2X3CHX4CFHCX5X6X7 (1A)
[式中、X1、X2、X3、X5、X6及びX7は前記に同じである。X4はハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化ブタン化合物を脱フッ化水素反応して一般式(2A):
CX1X2X3CX4=CHCX5X6X7 (2A)
[式中、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は前記に同じである。]
で表されるハロゲン化ブテン化合物を製造する工程、
(IIA)前記工程(IA)の後、フッ化水素を除去する工程、及び
(IIIA)前記工程(IIA)の後、得られた一般式(2A):
CX1X2X3CX4=CHCX5X6X7 (2A)
[式中、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は前記に同じである。]
で表されるハロゲン化ブテン化合物を脱ハロゲン化水素反応して一般式(3A):
CX1X2X3C≡CCX5X6X7 (3A)
[式中、X1、X2、X3、X5、X6及びX7は前記に同じである。]
で表されるハロゲン化ブチン化合物を製造する工程
を含む。
(1−3−1)工程(IA)
本開示のハロゲン化ブチン化合物の製造方法において、工程(IA)は、上記した[1−1]ハロゲン化ブタン化合物からハロゲン化ブテン化合物への製造方法の説明をそのまま採用することができる。
(1−3−2)工程(IIA)
本開示のハロゲン化ブチン化合物の製造方法は、上記一般式(1A)で表されるハロゲン化ブタン化合物を脱フッ化水素反応し、上記一般式(2A)で表されるハロゲン化ブテン化合物を製造した後(工程(IA))、ハロゲン化ブテン化合物及びフッ化水素を含む混合物から、フッ化水素を除去する工程(IIA)を含む。
本開示のハロゲン化ブチン化合物の製造方法では、工程(IA)の後、工程(IA)の脱フッ化水素反応で生成したフッ化水素を分離及び/又は除去した後、次工程(IIIA)のハロゲン化ブチン化合物への製造に進めることで、脱フッ化水素により、目的化合物であるハロゲン化ブチン化合物を高い転化率(収率)及び高い選択率で製造することができる。
工程(IA)で得られたハロゲン化ブテン化合物及びフッ化水素を含む混合物から、フッ化水素を除去するには、精留塔でフッ化水素を分離する方法(図1)や、アルカリ、セカード、アルミナ、シリカ等のハロゲン化水素除去剤(除去塔)を用いて、フッ化水素を除去する方法(図2)を好ましく採用することができる。
本開示のハロゲン化ブチン化合物の製造方法では、精留により分離した未反応の原料(ハロゲン化ブタン化合物等)を再利用することが好ましい。本開示のハロゲン化ブチン化合物の製造方法では、精留により分離した未反応のハロゲン化ブタン化合物を反応器に戻し(再利用し)、脱フッ化水素に用いることができる。
精留塔でフッ化水素を分離する方法
分離するフッ化水素(HF)の沸点は19.54℃である。
工程(IA)で得られたハロゲン化ブテン化合物及びフッ化水素を含む混合物から、フッ化水素を除去するには、両化合物の沸点を基準に、両化合物の沸点の差に基づいて、精留塔でハロゲン化ブテン化合物とフッ化水素とを分離し、ハロゲン化ブテン化合物を回収し、フッ化水素を分離することができる。次工程(IIIA)のハロゲン化ブチン化合物への製造において、フッ化水素の含有量を少なくすることができ、目的化合物であるハロゲン化ブチン化合物を高い転化率(収率)及び高い選択率で製造することができる。
ハロゲン化水素除去剤を用いてフッ化水素を除去する方法
分離するフッ化水素は、フッ化水素除去剤により、除去することができる。前記フッ化水素除去剤として、アルカリ、アルミナ、シリカ、ゼオライト、セカード等のフッ化水素除去剤を用いることが好ましい。セカードとは、アロフェン(Allophane)と言われる、アモルファス又は結晶化度の低い水和アルミニウムケイ酸塩で構成された、非結晶質の粘土準鉱物(アルミナ・シリカゲル)を主原料等する、吸着剤(合成ゼオライト)である。
工程(IA)で得られたハロゲン化ブテン化合物及びフッ化水素を含む混合物から、フッ化水素を除去するには、フッ化水素除去剤を用いて、フッ化水素を除去し、ハロゲン化ブテン化合物を回収することができる。次工程(IIIA)のハロゲン化ブチン化合物への製造において、フッ化水素の含有量を少なくすることができ、目的化合物であるハロゲン化ブチン化合物を高い転化率(収率)及び高い選択率で製造することができる。
フッ化水素の濃度
本開示のハロゲン化ブチン化合物の製造方法では、工程(IA)の後、工程(IA)の脱フッ化水素で生成したフッ化水素を分離及び/又は除去した後、次工程(IIIA)のハロゲン化ブチン化合物への製造に進めることで、脱フッ化水素により、目的化合物であるハロゲン化ブチン化合物を高い転化率(収率)及び高い選択率で製造することができる。
次工程(IIIA)のハロゲン化ブチン化合物への製造では、原料化合物として上記一般式(2A)で表されるハロゲン化ブテン化合物を用いる。この時、上記一般式(2A)で表されるハロゲン化ブテン化合物に加えて、脱フッ化水素で生成したフッ化水素を含む混合物が、次工程(IIIA)のハロゲン化ブチン化合物への製造に持ち込まれる時がある。
本開示のハロゲン化ブチン化合物の製造方法では、次工程(IIIA)のハロゲン化ブチン化合物への製造において、脱フッ化水素により、目的化合物であるハロゲン化ブチン化合物を高い転化率(収率)及び高い選択率で製造する点で、次工程(IIIA)において原料として用いる組成物において、一般式(2A)で表されるハロゲン化ブテン化合物及びフッ化水素を含む混合物を基準(100モル%)として、フッ化水素の含有量(濃度)は、50モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、3モル%以下が更に好ましく、0.1モル%以下が特に好ましい。一般式(2A)で表されるハロゲン化ブテン化合物及びフッ化水素を含む混合物中に、フッ化水素の含有量が少ないことで、目的化合物であるハロゲン化ブチン化合物を高い転化率(収率)及び高い選択率で製造することができる。
(1−3−3)工程(IIIA)
本開示のハロゲン化ブチン化合物の製造方法において、工程(IIIA)は、上記した[1−2]ハロゲン化ブテン化合物からハロゲン化ブチン化合物への製造方法の説明をそのまま採用することができる。
(1−3−4)脱フッ化水素の例示
本開示における脱フッ化水素する工程では、反応は、工程(IA)で、反応器に原料化合物(ハロゲン化ブタン化合物)を連続的に仕込み、当該反応器から目的化合物(ハロゲン化ブテン化合物)を連続的に抜き出す流通式及びバッチ式のいずれの方式によっても実施することができる。その後、ハロゲン化ブテン化合物及びフッ化水素を含む混合物から、フッ化水素を除去し(工程(IIA))、工程(IIIA)で、反応器に原料化合物(ハロゲン化ブテン化合物)を連続的に仕込み、当該反応器から目的化合物(ハロゲン化ブチン化合物)を連続的に抜き出す流通式及びバッチ式のいずれの方式によっても実施することができる。各工程で目的化合物(ハロゲン化ブテン化合物又はハロゲン化ブチン化合物)が反応器に留まらせず、更に脱フッ化水素が進行し得ることから、流通式で実施することが好ましい。
本開示における脱フッ化水素する工程では、反応は気相で行い、特に固定床反応器を用いた気相連続流通式で行うことが好ましい。気相連続流通式で行う場合は、装置、操作等を簡略化できるとともに、経済的に有利である。
本開示における脱フッ化水素する工程では、反応を行う際の雰囲気については、触媒(活性炭、金属触媒等)の劣化を抑制する点から、不活性ガス存在下であることが好ましい。本開示では、不活性ガスとして、窒素、ヘリウム、アルゴン及び二酸化炭素からなる群より選択される少なくとも1種を好ましく用いることができる。これらの不活性ガスの中でも、コストを抑える点から、窒素がより好ましい。当該不活性ガスの濃度は、反応器に導入される気体成分の0〜50モル%とすることが好ましい。
本開示における脱フッ化水素する工程では、反応終了後は、上記の通り、常法に従って、精製処理を行い、目的化合物(ハロゲン化ブテン化合物又はハロゲン化ブチン化合物)を得ることができる。
2.ハロゲン化アルケン化合物及びフッ化アルキン化合物の製造方法
[2−1]ハロゲン化アルカン化合物からハロゲン化アルケン化合物への製造方法
本開示のハロゲン化アルケン化合物の製造方法は、一般式(2B):
CX8A1=CHA2 (2B)
[式中、A1及びA2は同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。X8はハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化アルケン化合物の製造方法であって、
一般式(1B):
CHX8A1CHX9A2 (1B)
[式中、A1及びA2は前記に同じである。X8及びX9は同一又は異なって、ハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化アルカン化合物を、触媒の存在下、気相で脱ハロゲン化水素反応する工程を含む。
本開示によれば、触媒の存在下、気相で上記した一般式(1B)で表されるハロゲン化アルカン化合物の脱ハロゲン化水素反応を行うことで、一般式(1B)で表されるハロゲン化アルカン化合物1モルに対して1モルのハロゲン化水素が脱離した一般式(2B)で表されるハロゲン化アルケン化合物を選択的に得ることができ、しかも、連続的に一般式(2B)で表されるハロゲン化アルケン化合物からさらに、HX8で表されるハロゲン化水素の脱離反応は起こりにくい。また、本開示によれば、一般式(2B)で表されるハロゲン化アルケン化合物として、幾何異性体のなかでもE体を選択的に合成することができる。この効果は、A1及びA2がパーフルオロアルキル基である場合にはより顕著であり、CF3基等のトリハロゲン化メチル基の電子吸引効果によりCF3基等のトリハロゲン化メチル基のα位の炭素が電子不足となるため、フッ素アニオン等のハロゲン化アニオンが脱離しづらいためハロゲン化ブチンではなくハロゲン化ブテンが生成しやすくなる。またE体が選択的にできるのは、A1及びA2がパーフルオロアルキル基である場合にはより顕著であり、CF3基等のトリハロゲン化メチル基の立体障害によりトランス配置の方がエネルギー的に安定となるためである。
(2−1−1)原料化合物(ハロゲン化アルカン化合物)
本開示において、ハロゲン化アルカン化合物からハロゲン化アルケン化合物への製造方法の原料化合物は、一般式(1B):
CHX8A1CHX9A2 (1B)
[式中、A1及びA2は同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。X8及びX9は同一又は異なって、ハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化アルカン化合物である。
一般式(1B)において、A1及びA2で示されるパーフルオロアルキル基、X8及びX9で示されるハロゲン原子としては、上記したものを採用できる。好ましい具体例も同様である。
このような条件を満たす原料化合物であるハロゲン化アルカン化合物としては、例えば、CF3CHClCHClCF3(336mdd)、CF3CHClCHFCl、CHFClCHFCl、CF3CHFCHFCF3(338mee)、CF3CHFCHF2、CHF2CHF2、CF3CHClCHClC2F5、C2F5CHClCHClC2F5、C2F5CHClCHFCl、CF3CHFCHFC2F5、C2F5CHFCHFC2F5、C2F5CHFCHF2等が挙げられる。これらのハロゲン化アルカン化合物は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。このようなハロゲン化アルカン化合物は、公知又は市販品を採用することができる。
(2−1−2)脱ハロゲン化水素反応
本開示におけるハロゲン化アルカン化合物から脱ハロゲン化水素反応させる工程では、ハロゲン化アルカン化合物からハロゲン化アルケン化合物を高い転化率(収率)及び高い選択率で製造することができる点で、例えば、基質として、一般式(1B)で表されるハロゲン化アルカン化合物では、A1及びA2は、共にトリフルオロメチル基(CF3-)であることが好ましく、X8及びX9は、フッ素原子又は塩素原子であることがより好ましい。
つまり、以下の反応式:
CF3CHClCHClCF3(336mdd) → CF3CCl=CHCF3((Z)又は(E)-1326mxz) + HCl
CF3CHFCHFCF3(338mee) → CF3CF=CHCF3((Z)又は(E)-1327myz) + HF
に従い、脱フッ化水素反応又は脱塩化水素反応であることが好ましい。
触媒
本開示におけるハロゲン化アルカン化合物からハロゲン化アルケン化合物への脱ハロゲン化水素反応する工程では、触媒の存在下、気相で行う。
本工程で用いられる触媒は、転化率、選択率及び収率の観点から、活性炭及び金属触媒からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本工程で用いられる触媒として、金属触媒を用いる場合、酸化クロム、フッ化酸化クロム、フッ化クロム、酸化アルミニウム、フッ化酸化アルミニウム、フッ化アルミニウム、酸化鉄、フッ化酸化鉄、フッ化鉄、酸化ニッケル、フッ化酸化ニッケル、フッ化ニッケル、酸化マグネシウム、フッ化酸化マグネシウム及びフッ化マグネシウムよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本工程で、原料化合物のハロゲン化アルカン化合物を高い転化率(収率)で反応させることができ、また、目的化合物のハロゲン化アルケン化合物を高い選択率で製造することができる点で、これら触媒のうち、活性炭、酸化クロム、フッ化酸化クロム、酸化アルミニウム、フッ化酸化アルミニウム等がより好ましい。
本工程において、気相で、原料化合物と触媒とを接触させるに当たっては、触媒を固体の状態(固相)で原料化合物と接触させることが好ましい。
本工程において、触媒は、粉末状でもよいが、ペレット状の方が気相連続流通式の反応に好ましい。
前記触媒のBET法により測定した比表面積(以下、BET比表面積とも称する。)は、通常10〜3000m2/gが好ましく、100〜2000m2/gがより好ましく、500〜1500m2/gがさらに好ましく、1000〜1300m2/gが特に好ましい。触媒のBET比表面積がこのような範囲にある場合、触媒の粒子の密度が小さ過ぎることがない為、より高い選択率で目的化合物を得ることができる。また、原料化合物の転化率をより向上させることも可能である。
触媒として活性炭を用いる場合、破砕炭、成形炭、顆粒炭、球状炭等の粉末活性炭を用いる事が好ましい。粉末活性炭は、JIS試験で、4メッシュ(4.76mm)〜100メッシュ(0.149mm)の粒度を示す粉末活性炭を用いることが好ましい。
触媒として活性炭を用いる場合、活性炭(例えば、比表面積1200m2/g程度)の形状は、粉体や粒状のどちらも使用することが好ましく、粒状の活性炭を用いることがより好ましい。
触媒として金属触媒を用いる場合、担体に担持されていることが好ましい。前記担体としては、例えば、炭素、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、シリカ(SiO2)、チタニア(TiO2)等を好ましく用いることができる。また、炭素としては、活性炭、不定形炭素、グラファイト、ダイヤモンド等を好ましく用いることができる。
本開示における触媒の一例として、酸化クロム及びフッ素化された酸化クロムについて、説明する。酸化クロムは、例えば、酸化クロムをCr2O3・nH2Oで表した場合に、nの値が3以下であることが好ましく、1〜1.5であることがより好ましい。また、前記酸化クロムは、組成式:CrOmにおいて、mが通常1.5<m<3の範囲にあるものが好ましい。触媒として、フッ素化された酸化クロムは、酸化クロムをフッ素化することにより調製することができる。フッ素化としては、フッ化水素(HF)によるフッ素化、フルオロカーボン等によるフッ素化を挙げることができる。
触媒としてのフッ素化された酸化クロムは、例えば、日本特許第3412165号に記載されている方法に従って得ることができる。酸化クロムをフッ化水素によりフッ素化(HF処理)することによってフッ素化された酸化クロムを得ることができる。フッ素化の温度は、例えば、100℃〜460℃が好ましい。フッ素化の圧力は、触媒反応に供される時の圧力が好ましい。本開示において、フッ素含有量の多い高フッ素化−酸化クロム触媒を用いることが特に好ましい。高フッ素化−酸化クロム触媒は、酸化クロムを通常より高温で、長時間フッ素化することにより得ることができる。
高フッ素化−酸化クロム触媒は、フッ素含有量が30質量%以上であることが好ましく、30質量%〜45質量%であることがより好ましい。フッ素含有量は、触媒の質量変化、又は一般的なクロム酸化物の定量分析法によって測定することができる。
環状炭化ハロゲン化合物
本開示においては、上記したハロゲン化アルカン化合物を脱ハロゲン化水素反応する工程は、環状炭化ハロゲン化合物の存在下で行うこともできる。環状炭化ハロゲン化合物は、炭化水素化合物における炭素原子と結合する全ての水素原子がハロゲン原子で置換した環状炭化ハロゲン化合物を意味する。言い換えれば、炭素原子及びハロゲン原子のみから構成され、水素原子を含まない環状炭化ハロゲン化合物を意味する。
上記したハロゲン化アルカン化合物を脱ハロゲン化水素反応する工程を、このような環状炭化ハロゲン化合物の存在下で行うことにより、目的物であるハロゲン化アルケン化合物をさらに高転化率及び高収率で得ることができる。
この環状炭化ハロゲン化合物は、上記したものを採用できる。好ましい具体例や使用量、液相反応及び気相反応における導入方法等も同様である。
反応温度
本開示における脱ハロゲン化水素反応する工程では、反応温度の下限値は、より効率的に脱ハロゲン化水素反応を進行させ、目的化合物(ハロゲン化アルケン化合物)をより高い選択率で得ることができる観点、原料化合物(ハロゲン化アルカン化合物)からの転化率の低下を抑制する観点から、通常50℃であり、好ましくは70℃であり、より好ましくは100℃である。
本開示における脱ハロゲン化水素反応する工程では、反応温度の上限値は、より効率的に脱ハロゲン化水素反応を進行させ、目的化合物(ハロゲン化アルケン化合物)をより高い選択率で得ることができる観点、且つ反応生成物が分解又は重合することによる選択率の低下を抑制する観点から、通常500℃であり、好ましくは450℃であり、より好ましくは400℃である。
反応時間
本開示における脱ハロゲン化水素反応する工程では、反応時間は、原料化合物の触媒に対する接触時間(W/F0)[W:触媒の重量(g)、F0:原料化合物の流量(cc/sec)]を長くすれば原料化合物の転化率を上げることができるが、触媒の量が多くなって設備が大きくなり、非効率である。
そこで、本開示における脱ハロゲン化水素反応する工程では、反応時間は、原料化合物(ハロゲン化アルカン化合物)の転化率を向上させる点、及び設備コストを抑制する点から、原料化合物(ハロゲン化アルカン化合物)の触媒に対する接触時間(W/F0)が、0.1〜200g・sec/ccであることが好ましく、0.2〜150g・sec/ccであることがより好ましく、0.4〜100g・sec/ccであることがさらに好ましく、0.5〜50g・sec/ccであることが特に好ましい。
上記原料化合物の触媒に対する接触時間とは、原料化合物及び触媒が接触する時間を意味する。
本開示における脱ハロゲン化水素反応では、触媒の存在下、気相で行う際に、特に触媒に合わせて反応温度と反応時間(接触時間)とを適宜調整することで、目的化合物(ハロゲン化アルケン化合物)をより高い選択率で得ることができる。
本開示における脱ハロゲン化水素反応では、触媒として、酸化クロムを用いる場合は、反応温度は300℃以上であることが好ましく、350℃以上であることがより好ましい。また、接触時間は10g・sec/cc以上であることが好ましく、20g・sec/cc以上であることがより好ましく、40g・sec/cc以上であることがさらに好ましい。
本開示における脱ハロゲン化水素反応では、触媒として、アルミナを用いる場合、反応温度は300℃以上であることが好ましく、また、接触時間は5g・sec/cc以上であることが好ましい。
本開示における脱ハロゲン化水素反応では、触媒として、活性炭を用いる場合、反応温度は50〜600℃であることが好ましく、100〜400℃であることがより好ましい。また、接触時間は0.2〜100g・sec/ccであることが好ましく、0.3〜50g・sec/ccであることがより好ましく、0.5〜43g・sec/ccであることがさらに好ましい。
反応圧力
本開示における脱ハロゲン化水素反応する工程では、反応圧力は、より効率的に脱ハロゲン化水素反応を進行させる点から、-0.05〜2MPaであることが好ましく、-0.01〜1MPaであることがより好ましく、常圧〜0.5MPaであることがさらに好ましい。なお、本開示において、圧力については表記が無い場合はゲージ圧とする。
本開示における脱ハロゲン化水素反応する工程では、原料化合物(ハロゲン化アルカン化合物)と触媒(活性炭、金属触媒等)とを接触させて反応させる反応器としては、上記温度及び圧力に耐え得るものであれば、形状及び構造は特に限定されない。反応器としては、例えば、縦型反応器、横型反応器、多管型反応器等が挙げられる。反応器の材質としては、例えば、ガラス、ステンレス、鉄、ニッケル、鉄ニッケル合金等が挙げられる。
脱ハロゲン化水素反応の例示
本開示における脱ハロゲン化水素反応する工程は、反応器に原料化合物(ハロゲン化アルカン化合物)を連続的に仕込み、当該反応器から目的化合物(ハロゲン化アルケン化合物)を連続的に抜き出す流通式及びバッチ式のいずれの方式によっても実施することができる。目的化合物(ハロゲン化アルケン化合物)が反応器に留まらせず、更に脱ハロゲン化水素反応が進行し得ることから、流通式で実施することが好ましい。
本開示における脱ハロゲン化水素反応する工程は、気相で行い、特に固定床反応器を用いた気相連続流通式で行うことが好ましい。気相連続流通式で行う場合は、装置、操作等を簡略化できるとともに、経済的に有利である。
本開示における脱ハロゲン化水素反応する工程では、反応を行う際の雰囲気については、触媒(活性炭、金属触媒等)の劣化を抑制する点から、不活性ガス存在下であることが好ましい。本開示では、不活性ガスとして、窒素、ヘリウム、アルゴン及び二酸化炭素からなる群より選択される少なくとも1種を好ましく用いることができる。これらの不活性ガスの中でも、コストを抑える点から、窒素がより好ましい。当該不活性ガスの濃度は、反応器に導入される気体成分の0〜50モル%とすることが好ましい。
本開示における脱ハロゲン化水素反応する工程では、反応の反応終了後は、必要に応じて常法に従って、精製処理を行い、目的化合物である一般式(2B)で表されるハロゲン化アルケン化合物を得ることができる。
(2−1−3)目的化合物(ハロゲン化アルケン化合物)
このようにして得られる本開示の目的化合物は、一般式(2B):
CX8A1=CHA2 (2B)
[式中、A1及びA2は同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。X8はハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化アルケン化合物である。
一般式(2B)におけるA1、A2及びX8は、上記した一般式(1B)におけるA1、A2及びX8と対応している。このため、製造しようとする一般式(2B)で表されるハロゲン化アルケン化合物は、例えば、具体的には、CF3CCl=CHCF3((Z)又は(E)-1326mxz)、CF3CCl=CHF、CFCl=CHF、CF3CF=CHCF3((Z)又は(E)-1327myz)、CF3CF=CHF、CF2=CHF、CF3CCl=CHC2F5、C2F5CCl=CHC2F5、C2F5CCl=CHF、CF3CF=CHC2F5、C2F5CF=CHC2F5、C2F5CF=CHF等が挙げられる。これらの化合物は、Z体及びE体をいずれも包含する。
このようにして得られたハロゲン化アルケン化合物は、半導体、液晶等の最先端の微細構造を形成するためのエッチングガス、クリーニングガス、デポジットガス、冷媒、熱移動媒体、有機合成用ビルディングブロック等の各種用途に有効利用できる。デポジットガス及び有機合成用ビルディングブロックについては後述する。
[2−2]ハロゲン化アルケン化合物からフッ化アルキン化合物への製造方法
本開示のハロゲン化アルキン化合物の製造方法は、一般式(3B):
CA1≡CA2 (3B)
[式中、A1及びA2は同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。]
で表されるフッ化アルキン化合物の製造方法であって、
一般式(2B):
CX8A1=CHA2 (2B)
[式中、A1及びA2は前記に同じである。X8はハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化アルケン化合物を、触媒の存在下、脱ハロゲン化水素反応する工程を含む。
(2−2−1)原料化合物(ハロゲン化アルケン化合物)
本開示の製造方法において使用できる基質としてのハロゲン化アルケン化合物は、上記のとおり、一般式(2B):
CX8A1=CHA2 (2B)
[式中、A1及びA2は同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。X8はハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化アルケン化合物であり、上記した[2−1]ハロゲン化アルカン化合物からハロゲン化アルケン化合物への製造方法における目的化合物に相当する。
一般式(2B)において、A1及びA2で示されるパーフルオロアルキル基、X8で示されるハロゲン原子としては、上記したものを採用できる。好ましい種類も同様である。
上記のような条件を満たす基質としてのハロゲン化アルケン化合物としては、具体的には、CF3CCl=CHCF3((Z)又は(E)-1326mxz)、CF3CCl=CHF、CFCl=CHF、CF3CF=CHCF3((Z)又は(E)-1327myz)、CF3CF=CHF、CF2=CHF、CF3CCl=CHC2F5、C2F5CCl=CHC2F5、C2F5CCl=CHF、CF3CF=CHC2F5、C2F5CF=CHC2F5、C2F5CF=CHF等が挙げられる。これらの化合物は、Z体及びE体をいずれも包含する。これらのハロゲン化アルケン化合物は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。このようなハロゲン化アルケン化合物は、公知又は市販品を採用することができる。
(2−2−2)脱ハロゲン化水素反応
本開示におけるハロゲン化アルケン化合物から脱ハロゲン化水素反応させる工程では、ハロゲン化アルケン化合物からフッ化アルキン化合物を高い転化率(収率)及び高い選択率で製造することができる点で、例えば、基質として、一般式(2B)で表されるハロゲン化アルケン化合物では、A1及びA2は、共にトリフルオロメチル基(CF3-)であることが好ましく、X8は、フッ素原子又は塩素原子であることがより好ましい。
つまり、以下の反応式:
CF3CCl=CHCF3((Z)又は(E)-1326mxz) → CF3C≡CCF3(PF2B) + HCl
CF3CF=CHCF3((Z)又は(E)-1327myz) → CF3C≡CCF3(PF2B) + HF
に従い、脱フッ化水素反応又は脱塩化水素反応であることが好ましい。
本開示におけるハロゲン化ブタン化合物から脱フッ化水素反応させる工程は、液相で行うこともできるし、気相で行うこともできる。特に生産性の観点からは、気相で行うことが好ましい。
本開示におけるハロゲン化アルケン化合物から脱ハロゲン化水素反応させる工程は、目的化合物をより高い選択率及びより高い転化率で得ることができる観点から、触媒及び/又は塩基の存在下で行うことが好ましい。より具体的には、液相反応を採用する場合は、塩基及び必要に応じて触媒の存在下で行うことが好ましく、気相反応を採用する場合は、触媒の存在下で行うことが好ましい。なお、液相反応の場合の詳細(溶媒、塩基、触媒、環状炭化ハロゲン化合物、密閉反応系及び加圧反応系の条件等)については、「ハロゲン化ブタン化合物から脱フッ化水素反応によりハロゲン化ブテン化合物を得る反応」を、「ハロゲン化アルケン化合物から脱ハロゲン化水素反応によりフッ化アルキン化合物を得る反応」であるように読み替えること以外は、上記した[1−1]ハロゲン化ブタン化合物からハロゲン化ブテン化合物への製造方法において説明したものを採用できる。また、気相反応の場合の詳細(触媒、環状炭化ハロゲン化合物、反応温度、反応時間、反応圧力等)については、「ハロゲン化アルカン化合物から脱ハロゲン化水素反応によりハロゲン化アルケン化合物を得る反応」を、「ハロゲン化アルケン化合物から脱ハロゲン化水素反応によりフッ化アルキン化合物を得る反応」であるように読み替えること以外は、上記した[2−1]ハロゲン化アルカン化合物からハロゲン化アルケン化合物への製造方法において説明したものを採用できる。好ましい種類及び含有量も同様である。
脱ハロゲン化水素反応終了後は、必要に応じて常法にしたがって精製処理を行い、一般式(3B)で表されるフッ化ブチン化合物を得ることができる。
(2−2−3)目的化合物(フッ化ブチン化合物)
このようにして得られる本開示の目的化合物は、一般式(3B):
CA1≡CA2 (3B)
[式中、A1及びA2は同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。]
で表されるフッ化ブチン化合物である。
一般式(3B)におけるA1及びA2は、上記した一般式(2B)におけるA1及びA2と対応している。このため、製造しようとする一般式(3B)で表されるフッ化ブチン化合物は、例えば、具体的には、CF3C≡CCF3(PF2B)、CF3C≡CF、CF≡CF、CF3C≡CC2F5、C2F5C≡CC2F5、C2F5C≡CF等が挙げられる。
このようにして得られたフッ化ブチン化合物は、半導体、液晶等の最先端の微細構造を形成するためのエッチングガス、クリーニングガス、デポジットガス、冷媒、熱移動媒体、有機合成用ビルディングブロック等の各種用途に有効利用できる。デポジットガス及び有機合成用ビルディングブロックについては後述する。
[2−3]ハロゲン化アルカン化合物から、ハロゲン化アルケン化合物を経由して、フッ化アルキン化合物への製造方法
本開示のフッ化アルキン化合物の製造方法は、
一般式(3B):
CA1≡CA2 (3B)
[式中、A1及びA2は同一又は異なって、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。]
で表されるフッ化アルキン化合物の製造方法であって、
(IB)一般式(1B):
CHX8A1CHX9A2 (1B)
[式中、A1及びA2は前記に同じである。X8及びX9は同一又は異なって、ハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化アルカン化合物を、触媒の存在下、気相で脱ハロゲン化水素反応し、一般式(2B):
CX8A1=CHA2 (2B)
[式中、A1、A2及びX8は前記に同じである。]
で表されるハロゲン化アルケン化合物を製造する工程、
(IIB)前記工程(IB)の後、ハロゲン化水素を除去する工程、及び
(IIIB)前記工程(IIB)の後、得られた一般式(2B):
CX8A1=CHA2 (2B)
[式中、A1、A2及びX8は前記に同じである。]
で表されるハロゲン化アルケン化合物を、触媒の存在下、気相で脱ハロゲン化水素反応し、一般式(3B):
CA1≡CA2 (3B)
[式中、A1及びA2は前記に同じである。]
で表されるフッ化アルキン化合物を製造する工程
を含む。
(2−3−1)工程(IB)
本開示のフッ化ブチン化合物の製造方法において、工程(IB)は、上記した[2−1]ハロゲン化アルカン化合物からハロゲン化アルケン化合物への製造方法の説明をそのまま採用することができる。
(2−3−2)工程(IIB)
本開示のフッ化アルキン化合物の製造方法は、上記一般式(1B)で表されるハロゲン化アルカン化合物を脱ハロゲン化水素反応し、上記一般式(2B)で表されるハロゲン化アルケン化合物を製造した後(工程(IB))、ハロゲン化アルケン化合物及びハロゲン化水素を含む混合物から、ハロゲン化水素を除去する工程(IIB)を含む。
本開示のフッ化アルキン化合物の製造方法では、工程(IB)の後、工程(IB)の脱ハロゲン化水素反応で生成したハロゲン化水素を分離及び/又は除去した後、次工程(IIIB)のフッ化アルキン化合物への製造に進めることで、脱ハロゲン化水素反応により、目的化合物であるフッ化アルキン化合物を高い転化率(収率)及び高い選択率で製造することができる。
工程(IB)で得られたハロゲン化アルケン化合物及びハロゲン化水素を含む混合物から、ハロゲン化水素を除去する方法については、上記したハロゲン化ブタン化合物から、ハロゲン化ブテン化合物を経由して、ハロゲン化ブチン化合物への製造方法における(1−3−2)工程(IIA)の説明において、フッ化水素を分離する代わりにハロゲン化水素を分離するように読み替える他はそのまま採用することができる。
(2−3−3)工程(IIIB)
本開示のフッ化アルキン化合物の製造方法において、工程(IIIB)は、上記した[2−2]ハロゲン化アルケン化合物からフッ化アルキン化合物への製造方法の説明をそのまま採用することができる。
(2−3−4)脱ハロゲン化水素反応の例示
本開示における脱ハロゲン化水素反応する工程では、反応は、工程(IB)で、反応器に原料化合物(ハロゲン化アルカン化合物)を連続的に仕込み、当該反応器から目的化合物(ハロゲン化アルケン化合物)を連続的に抜き出す流通式及びバッチ式のいずれの方式によっても実施することができる。その後、ハロゲン化アルケン化合物及びハロゲン化水素を含む混合物から、ハロゲン化水素を除去し(工程(IIB))、工程(IIIB)で、反応器に原料化合物(ハロゲン化アルケン化合物)を連続的に仕込み、当該反応器から目的化合物(フッ化アルキン化合物)を連続的に抜き出す流通式及びバッチ式のいずれの方式によっても実施することができる。各工程で目的化合物(ハロゲン化アルケン化合物又はフッ化アルキン化合物)が反応器に留まらせず、更に脱ハロゲン化水素反応が進行し得ることから、流通式で実施することが好ましい。
本開示における脱ハロゲン化水素反応する工程では、反応は気相で行い、特に固定床反応器を用いた気相連続流通式で行うことが好ましい。気相連続流通式で行う場合は、装置、操作等を簡略化できるとともに、経済的に有利である。
本開示における脱ハロゲン化水素反応する工程では、反応を行う際の雰囲気については、触媒(活性炭、金属触媒等)の劣化を抑制する点から、不活性ガス存在下であることが好ましい。本開示では、不活性ガスとして、窒素、ヘリウム、アルゴン及び二酸化炭素からなる群より選択される少なくとも1種を好ましく用いることができる。これらの不活性ガスの中でも、コストを抑える点から、窒素がより好ましい。当該不活性ガスの濃度は、反応器に導入される気体成分の0〜50モル%とすることが好ましい。
本開示における脱ハロゲン化水素反応する工程では、反応終了後は、上記の通り、常法に従って、精製処理を行い、目的化合物(ハロゲン化アルケン化合物又はフッ化アルキン化合物)を得ることができる。
3.組成物
以上のようにして、ハロゲン化ブテン化合物、ハロゲン化ブチン化合物、ハロゲン化アルケン化合物又はフッ化アルキン化合物を得ることができるが、目的化合物を含む組成物の形で得られることもある。
[3−1]ハロゲン化ブテン化合物又はハロゲン化アルケン化合物を含む組成物
本開示の製造方法によれば、例えば、上記した[1−1]ハロゲン化ブタン化合物からハロゲン化ブテン化合物への製造方法に従った場合、例えば、一般式(2A)で表されるハロゲン化ブテン化合物として、E体及びZ体の双方を含む組成物として得られることもある。また、この組成物は、一般式(3A):
CX1X2X3C≡CCX5X6X7 (3A)
[式中、X1、X2、X3、X5、X6及びX7は前記に同じである。]
で表されるハロゲン化ブチン化合物や、
一般式(4):
CX1X2=CX4CF=CX5X6 (4)
[式中、X1、X2、X4、X5及びX6は前記に同じである。]
で表されるハロゲン化ブタジエン化合物を含むこともある。
一般式(2A)、(3A)及び(4)において、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7で示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子及び塩素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
この本開示の組成物の総量を100モル%として、一般式(2A)で表されるハロゲン化ブテン化合物の含有量は80.00〜99.99モル%が好ましく、90.00〜99.98モル%が好ましく、92.00〜99.97モル%がより好ましい。また、一般式(3A)で表されるハロゲン化ブチン化合物の含有量は0.00〜3.00モル%が好ましく、0.01〜2.00モル%がより好ましいが、合成条件によっては1.00〜10.00モル%(特に2.00〜8.00モル%とすることもできる。また、一般式(4)で表されるハロゲン化ブタジエン化合物の含有量は0.00〜0.50モル%が好ましく、0.01〜0.30モル%がより好ましい。なお、一般式(2A)で表されるハロゲン化ブテン化合物がE体及びZ体の双方を含む場合は、上記含有量はその合計量である。
なお、本開示の製造方法によれば、一般式(2A)で表されるハロゲン化ブテン化合物としては、E体を選択的に合成することができる。このため、(E)-ハロゲン化ブテン化合物の含有量は85.00〜99.98モル%(特に86.00〜99.00モル%)が好ましく、(Z)-ハロゲン化ブテン化合物の含有量は0.01〜15.00モル%(特に1.00〜14.00モル%)が好ましい。
なお、本開示の製造方法によれば、ハロゲン化ブテン組成物として得られた場合であっても、上記のように一般式(2A)で表されるハロゲン化ブテン化合物を、反応の転化率を高く、また、高収率且つ高選択率で得ることができるため、ハロゲン化ブテン組成物中の一般式(2A)で表されるハロゲン化ブテン化合物以外の成分を少なくすることが可能であるため、一般式(2A)で表されるハロゲン化ブテン化合物を得るための精製の労力を削減することができる。
一方、[2−1]ハロゲン化アルカン化合物からハロゲン化アルケン化合物への製造方法に従った場合、例えば、一般式(2B)で表されるハロゲン化アルケン化合物と、少なくとも1種のハイドロフルオロカーボン(HFC)化合物(前記一般式(2B)で表されるハロゲン化アルケン化合物を除く)からなる少なくとも1種類の追加化合物とを含有する組成物が生成され得る。
前記追加化合物は、ヘキサフルオロブテン、ヘキサフルオロブタン及びオクタフルオロブタンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
具体的には、本開示のハロゲン化アルカン化合物からハロゲン化アルケン化合物の製造方法では、目的物として2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(1326mxz)を得る時には、(Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン(HFO-1336mzz(Z))が生成され得る。
本開示の一般式(2B)で表されるハロゲン化アルケン化合物を含む組成物は、組成物全量を100モル%として、前記一般式(2B)で表されるハロゲン化アルケン化合物の含有量が80モル%以上であり、前記追加的化合物の含有量が20モル%以下であることが好ましい。本開示の一般式(2B)で表されるハロゲン化アルケン化合物を含む組成物において、前記組成物の総量を100モル%として、一般式(2B)で表されるハロゲン化アルケン化合物の含有量は、85モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることがさらに好ましい。本開示の一般式(2B)で表されるハロゲン化アルケン化合物を含む組成物において、前記組成物の総量を100モル%として、一般式(2B)で表されるハロゲン化アルケン化合物の含有量は80〜99.9モル%が好ましく、85〜99.9モル%がより好ましく、90〜99.9モル%がさらに好ましく、95〜99.9モル%が特に好ましい。
[3−2]ハロゲン化ブチン化合物又はフッ化アルキン化合物を含む組成物
本開示の製造方法によれば、例えば、上記した[2−2]ハロゲン化アルケン化合物からフッ化アルキン化合物への製造方法に従った場合、例えば、前記一般式(3B)で表されるフッ化アルキン化合物と、少なくとも1種のハイドロフルオロカーボン(HFC)化合物(前記一般式(3B)で表されるフッ化アルキン化合物を除く)からなる少なくとも1種類の追加化合物とを含有組成物が生成され得る。[1−2]ハロゲン化ブテン化合物からハロゲン化ブチン化合物への製造方法に従った場合は、得られる組成物は、前記一般式(3A)で表されるハロゲン化ブチン化合物と、ハイドロフルオロカーボン(HFC)化合物(前記一般式(3A)で表されるハロゲン化ブチン化合物を除く)からなる少なくとも1種類の追加化合物とを含有組成物が生成され得る。
前記追加化合物は、トリフルオロメタン、ジフロロメタン、テトラフルオロメタン及びモノフルオロメタンからなる群から選択される少なくとも1種であるであることが好ましい。
本開示のハロゲン化ブテン化合物からハロゲン化ブチン化合物を得る製造方法や、ハロゲン化アルケン化合物からフッ化アルキン化合物を得る製造方法では、目的物として1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(PF2B)を得る時に、トリフルオロメタン(HFC-23、R23)が生成され得る。
本開示におけるハロゲン化ブチン化合物又はフッ化アルキン化合物を含む組成物は、組成物全量を100モル%として、ハロゲン化ブチン化合物又はフッ化アルキン化合物の含有量が80モル%以上であり、前記追加的化合物の含有量が20モル%以下であることが好ましい。ハロゲン化ブチン化合物又はフッ化アルキン化合物を含む組成物において、前記組成物の総量を100モル%として、ハロゲン化ブチン化合物又はフッ化アルキン化合物の含有量は、85モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることがさらに好ましい。本開示のハロゲン化ブチン化合物又はフッ化アルキン化合物を含む組成物において、前記組成物の総量を100モル%として、ハロゲン化ブチン化合物又はフッ化アルキン化合物の含有量は80〜99.9モル%が好ましく、85〜99.9モル%がより好ましく、90〜99.9モル%がさらに好ましく、95〜99.9モル%が特に好ましい。
[3−3]ハロゲン化ブテン化合物、ハロゲン化ブチン化合物、ハロゲン化アルケン化合物又はフッ化アルキン化合物を含む組成物の利用
本開示の製造方法によれば、ハロゲン化ブテン化合物、ハロゲン化ブチン化合物、ハロゲン化アルケン化合物又はフッ化アルキン化合物を含む組成物として得られた場合であっても、ハロゲン化ブテン化合物、ハロゲン化ブチン化合物、ハロゲン化アルケン化合物又はフッ化アルキン化合物を特に高い選択率で得ることができ、その結果、前記組成物中のハロゲン化ブテン化合物、ハロゲン化ブチン化合物、ハロゲン化アルケン化合物及びフッ化アルキン化合物以外の成分を少なくすることが可能である。本開示の製造方法によれば、ハロゲン化ブテン化合物、ハロゲン化ブチン化合物、ハロゲン化アルケン化合物又はフッ化アルキン化合物を得る為の精製の労力を削減することができる。
本開示のハロゲン化ブテン化合物、ハロゲン化ブチン化合物、ハロゲン化アルケン化合物又はフッ化アルキン化合物を含む組成物は、ハロゲン化ブテン化合物、ハロゲン化ブチン化合物、ハロゲン化アルケン化合物又はフッ化アルキン化合物、夫々単独の場合と同様に、半導体、液晶等の最先端の微細構造を形成するためのエッチングガスの他、クリーニングガス、デポジットガス、冷媒、熱移動媒体、有機合成用ビルディングブロック等の各種用途に有効利用できる。
前記デポジットガスとは、エッチング耐性ポリマー層を堆積させるガスである。
前記有機合成用ビルディングブロックとは、反応性が高い骨格を有する化合物の前駆体となり得る物質を意味する。例えば、本開示の組成物とCF3Si(CH3)3等の含フッ素有機ケイ素化合物とを反応させると、CF3基等のフルオロアルキル基を導入して洗浄剤や含フッ素医薬中間体と成り得る物質に変換することが可能である。
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能である。
以下に実施例を示し、本開示の特徴を明確にする。本開示はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1〜7のハロゲン化ブテン化合物の製造方法では、原料化合物は、一般式(1A)で表されるハロゲン化ブタン化合物において、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7はフッ素原子とし、以下の反応式:
CF3CFHCFHCF3 → CF3CF=CHCF3 + HF
に従って、脱フッ化水素反応により、ハロゲン化ブテン化合物を得た。
実施例8のハロゲン化アルケン化合物及びフッ化ブチン化合物の製造方法では、原料化合物は、一般式(1B)で表されるハロゲン化アルカン化合物において、X8及びX9は塩素原子とし、A1及びA2はトリフルオロメチル基とし、以下の反応:
CF3CHClCHClCF3(336mdd) → CF3CCl=CHCF3((Z)又は(E)-1326mxz) + HCl
CF3CCl=CHCF3((Z)又は(E)-1326mxz) → CF3C≡CCF3(PF2B) + HCl
に従って、脱塩化水素反応により、ハロゲン化アルケン化合物及びフッ化ブチン化合物を得た。
実施例9〜20のハロゲン化アルケン化合物及びフッ化ブチン化合物の製造方法では、原料化合物は、一般式(1B)で表されるハロゲン化アルカン化合物において、X8及びX9はフッ素原子とし、A1及びA2はトリフルオロメチル基とし、以下の反応:
CF3CHFCHFCF3(338mee) → CF3CF=CHCF3((Z)又は(E)-1327myz) + HF
CF3CF=CHCF3((Z)又は(E)-1327myz) → CF3C≡CCF3(PF2B) + HF
に従って、脱フッ化水素反応により、ハロゲン化アルケン化合物及びフッ化ブチン化合物を得た。
実施例1〜3:液相反応
反応系としてオートクレーブ(200cc)を用いた。
反応系としてオートクレーブを用いることにより、この反応系は、(1)塩基の存在下、密閉反応系である態様や、(2)反応温度を10℃以上とし、反応圧力を0kPa以上とし、塩基の存在下で行う加圧反応系である態様を表す。このように加圧する際には、密閉することを伴う。
オートクレーブに、反応溶液としてKOHの50質量%水溶液又はカリウムtert-ブトキシド(t-BuOK)の50質量%ジブチルエーテル(Bu 2 O)溶液を7.0g加え、必要に応じて触媒としてメチルトリオクチルアンモニウムクロリド(商標Aliquat336)を0.28g加え、さらに原料化合物(CF3CFHCFHCF3)を8.0g加え、蓋をして密閉系にした後、窒素を送り込みで圧入した。その時の圧力は20kPaであった。その後、室温(25℃)で撹拌し、反応を進行させた。脱フッ化水素反応を開始してから、適宜サンプリングを行い、反応系内で組成に変化がなくなった時を反応終了とした。反応終了時の圧力は80kPaであった。
撹拌停止後、0℃まで冷却し、ガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製、商品名「GC-2014」)を用いてガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)により質量分析を行い、NMR(JEOL社製、商品名「400YH」)を用いてNMRスペクトルによる構造解析を行った。質量分析及び構造解析の結果から、目的化合物としてCF3CF=CHCF3が生成したことが確認された。結果を表1に示す。
実施例4〜6:気相反応(活性炭)
反応管であるSUS配管(外径:1/2インチ)に、触媒として活性炭触媒(大阪ガスケミカル(株)製;比表面積1200m2/g)を10g加えた。窒素雰囲気下、200℃で2時間乾燥した後、圧力を常圧、CF3CFHCFHCF3(原料化合物)と活性炭触媒との接触時間(W/F)が15g・sec/cc、30g・sec/cc又は47g・sec/ccとなるように、反応管にCF3CFHCFHCF3(原料化合物)を流通させた。
反応は、気相連続流通式で進行させた。
反応管を450℃で加熱して脱フッ化水素反応を開始した。
脱フッ化水素反応を開始してから1時間後に、除害塔を通った留出分を集めた。
その後、ガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製、商品名「GC-2014」)を用いてガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)により質量分析を行い、NMR(JEOL社製、商品名「400YH」)を用いてNMRスペクトルによる構造解析を行った。質量分析及び構造解析の結果から、目的化合物としてCF3CF=CHCF3が生成したことが確認された。結果を表1に示す。
実施例7:気相反応(酸化クロム触媒)
触媒として酸化クロム触媒(Cr2O3)を用い、反応温度を350℃、CF3CFHCFHCF3(原料化合物)と酸化クロム触媒との接触時間(W/F)を47g・sec/ccとしたこと以外は実施例4〜6と同様に反応を進行させた。質量分析及び構造解析の結果から、目的化合物としてCF3CF=CHCF3が生成したことが確認された。結果を表1に示す。
Figure 0006933239
実施例8(脱塩化水素)
336mdd(CF 3 CHClCHClCF 3 )→1326mxz(CF 3 CCl=CHCF 3 )→PF2B(CF 3 C≡CCF 3 )
(1)336mdd(CF 3 CHClCHClCF 3 )→1326mxz(CF 3 CCl=CHCF 3 )
反応管としてSUS配管(外径:1/2インチ)を用い、反応管に触媒として活性炭触媒(比表面積1200m2/g)を10g充填した。窒素雰囲気下、200℃で2時間乾燥した後、圧力を常圧、CF3CHClCHClCF3(原料化合物)と活性炭触媒との接触時間(W/F0)が5g・sec/cc又は25g・sec/ccとなるように、反応器にCF3CHClCHClCF3(原料化合物)を流通させた。
気相連続流通式で、反応を進行させた。
反応器を300℃、又は400℃で加熱して、脱塩化水素を開始した。
(2)塩化水素の除去
脱塩化水素を開始してから1時間後に、除害塔を通った留出分を集めた。
その後、ガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製、商品名「GC-2014」)を用いてガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)により質量分析を行い、NMR(JEOL社製、商品名「400YH」)を用いてNMRスペクトルによる構造解析を行った。
質量分析及び構造解析の結果から、目的化合物としてハロゲン化アルケン化合物(1326mxz:CF3CCl=CHCF3)が生成したことが確認された。
また、上記ハロゲン化アルカン化合物からハロゲン化アルケン化合物の製造方法では、目的物として1326mxz(CF3CCl=CHCF3)の他に、(Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン(HFO-1336mzz(Z))が生成された。
Figure 0006933239
(3)1326mxz(CF 3 CCl=CHCF 3 )→PF2B(CF 3 C≡CCF 3 )
反応管としてSUS配管(外径:1/2インチ)を用い、反応管に触媒として活性炭触媒(比表面積1200m2/g)を10g充填した。
この操作では、上記方法で製造したハロゲン化アルケン化合物を含む反応ガスを再び反応器(第1反応器)に戻す方法、又は活性炭触媒を充填した次の反応器(第2反応器)に流通させる方法により反応を行った。
その時のハロゲン化アルケン化合物を含む反応ガスの塩化水素濃度は50モル%であった。第1反応器から出てきた反応ガスを、精留、アルカリ処理、セカード処理、アルミナ処理等により、塩化水素濃度を20モル%、3モル%、又は0.1モル%に調整した。
窒素雰囲気下、200℃で2時間乾燥した後、圧力を常圧、CF3CCl=CHCF3(原料化合物)と活性炭触媒との接触時間(W/F0)が0.5g・sec/cc、20g・sec/cc又は43g・sec/ccとなるように、反応器にCF3CCl=CHCF3(原料化合物)を流通させた。
気相連続流通式で、反応を進行させた。
反応器を400℃で加熱して、脱塩化水素を開始した。
脱塩化水素を開始してから1時間後に、除害塔を通った留出分を集めた。
その後、ガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製、商品名「GC-2014」)を用いてガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)により質量分析を行い、NMR(JEOL社製、商品名「400YH」)を用いてNMRスペクトルによる構造解析を行った。
質量分析及び構造解析の結果から、目的化合物としてフッ化アルキン化合物(PF2B(CF3C≡CCF3))が生成したことが確認された。
また、上記ハロゲン化アルケン化合物からフッ化アルキン化合物の製造方法では、目的物としてPF2Bの他に、トリフルオロメタン(HFC-23、R23)が生成された。
Figure 0006933239
実施例9(脱フッ化水素)
338mee(CF 3 CHFCHFCF 3 )→1327myz(CF 3 CF=CHCF 3 )→PF2B(CF 3 C≡CCF 3 )
(1)338mee(CF 3 CHFCHFCF 3 )→1327myz(CF 3 CF=CHCF 3 )
反応管としてSUS配管(外径:1/2インチ)を用い、反応管に触媒として活性炭触媒(比表面積1200m2/g)を10g充填した。
窒素雰囲気下、200℃で2時間乾燥した後、圧力を常圧、CF3CHFCHFCF3(原料化合物)と活性炭触媒との接触時間(W/F0)が5g・sec/cc又は25g・sec/ccとなるように、反応器にCF3CHFCHFCF3(原料化合物)を流通させた。
気相連続流通式で、反応を進行させた。
反応器を100℃、200℃、300℃、又は400℃で加熱して、脱フッ化水素を開始した。
(2)フッ化水素の除去
脱フッ化水素を開始してから1時間後に、除害塔を通った留出分を集めた。
その後、ガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製、商品名「GC-2014」)を用いてガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)により質量分析を行い、NMR(JEOL社製、商品名「400YH」)を用いてNMRスペクトルによる構造解析を行った。
質量分析及び構造解析の結果から、目的化合物としてハロゲン化アルケン化合物(1327myz:CF3CF=CHCF3)が生成したことが確認された。
(3)1327myz(CF 3 CF=CHCF 3 )→PF2B(CF 3 C≡CCF 3 )
反応管としてSUS配管(外径:1/2インチ)を用い、反応管に触媒として活性炭触媒(比表面積1200m2/g)を10g充填した。
この操作では、上記方法で製造したハロゲン化アルケン化合物を含む反応ガスを再び反応器(第1反応器)に戻す方法、又は活性炭触媒を充填した次の反応器(第2反応器)に流通させる方法により反応を行った。
その時のハロゲン化アルケン化合物を含む反応ガスの塩化水素濃度は50モル%であった。第1反応器から出てきた反応ガスを、精留、アルカリ処理、セカード処理、アルミナ処理等により、塩化水素濃度を20モル%、3モル%、又は0.1モル%に調整した。
窒素雰囲気下、200℃で2時間乾燥した後、圧力を常圧、CF3CCl=CHCF3(原料化合物)と活性炭触媒との接触時間(W/F0)が0.5g・sec/cc、20g・sec/cc又は43g・sec/ccとなるように、反応器にCF3CF=CHCF3(原料化合物)を流通させた。
気相連続流通式で、反応を進行させた。
反応器を400℃で加熱して、脱フッ化水素を開始した。
脱フッ化水素を開始してから1時間後に、除害塔を通った留出分を集めた。
その後、ガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製、商品名「GC-2014」)を用いてガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)により質量分析を行い、NMR(JEOL社製、商品名「400YH」)を用いてNMRスペクトルによる構造解析を行った。
質量分析及び構造解析の結果から、目的化合物としてフッ化アルキン化合物(PF2B(CF3C≡CCF3))が生成したことが確認された。
また、上記ハロゲン化アルケン化合物からフッ化アルキン化合物の製造方法では、目的物としてPF2Bの他に、トリフルオロメタン(HFC-23、R23)が生成された。
Figure 0006933239
実施例10〜16(脱フッ化水素)
338mee(CF 3 CHFCHFCF 3 )→1327myz(CF 3 CF=CHCF 3 )
反応管としてSUS配管(外径:1/2インチ)を用い、反応管に触媒として活性炭触媒(比表面積1200m2/g)を10g充填した。窒素雰囲気下、200℃で2時間乾燥した後、圧力を常圧、CF3CHFCHFCF3(原料化合物)と活性炭触媒との接触時間(W/F0)が2〜47g・sec/ccとなるように、反応器にCF3CHFCHFCF3(原料化合物)を流通させた。その後、実施例10〜13では、CF3CHFCHFCF3(原料化合物)1モルに対して4モルのオクタフルオロシクロブタン(c-C4F8; C318)を流通させた。
気相連続流通式で、反応を進行させた。
反応器を400℃で加熱して、脱塩化水素を開始した。
脱塩化水素を開始してから1時間後に、除害塔を通った留出分を集めた。
その後、ガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製、商品名「GC-2014」)を用いてガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)により質量分析を行い、NMR(JEOL社製、商品名「400YH」)を用いてNMRスペクトルによる構造解析を行った。
質量分析及び構造解析の結果から、目的化合物としてハロゲン化アルケン化合物(1327myz:CF3CF=CHCF3)が生成したことが確認された。
また、上記ハロゲン化アルカン化合物からハロゲン化アルケン化合物の製造方法では、目的物として1327myz(CF3CF=CHCF3)の他に、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン(HFO-1336mzz)、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(PF2B)等が生成された。
Figure 0006933239
実施例17〜20(脱フッ化水素)
1327myz(CF 3 CF=CHCF 3 )→PF2B(CF 3 C≡CCF 3 )
反応管としてSUS配管(外径:1/2インチ)を用い、反応管に触媒として活性炭触媒(比表面積1200m2/g)を10g充填した。窒素雰囲気下、200℃で2時間乾燥した後、圧力を常圧、CF3CF=CHCF3(原料化合物)と活性炭触媒との接触時間(W/F0)が2g・sec/cc、2.8g・sec/cc又は10g・sec/ccとなるように、反応器にCF3CF=CHCF3(原料化合物)を流通させた。その後、実施例17〜18では、CF3CF=CHCF3(原料化合物)1モルに対して4モルのオクタフルオロシクロブタン(c-C4F8; C318)を流通させた。
気相連続流通式で、反応を進行させた。
反応器を400℃で加熱して、脱塩化水素を開始した。
脱塩化水素を開始してから1時間後に、除害塔を通った留出分を集めた。
その後、ガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製、商品名「GC-2014」)を用いてガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)により質量分析を行い、NMR(JEOL社製、商品名「400YH」)を用いてNMRスペクトルによる構造解析を行った。
質量分析及び構造解析の結果から、目的化合物としてフッ化アルキン化合物(PF2B:CF3C≡CCF3)が生成したことが確認された。
また、上記ハロゲン化アルカン化合物からハロゲン化アルケン化合物の製造方法では、目的物としてPF2B(CF3C≡CCF3)の他に、トリフルオロメタン(HFC-23、R23)が生成された。
Figure 0006933239

Claims (10)

  1. 一般式(2A):
    CX1X2X3CX4=CHCX5X6X7 (2A)
    [式中、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は同一又は異なって、ハロゲン原子を示す。]
    で表されるハロゲン化ブテン化合物の製造方法であって、
    一般式(1A):
    CX1X2X3CHX4CFHCX5X6X7 (1A)
    [式中、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は前記に同じである。]
    で表されるハロゲン化ブタン化合物を気相又は液相で脱フッ化水素反応する工程を含み、前記脱フッ化水素反応する工程を気相で行う場合は活性炭触媒、酸化クロム触媒及びシリカアルミナ触媒よりなる群から選ばれる少なくとも1種の触媒の存在下で行う、製造方法。
  2. 一般式(3A):
    CX1X2X3C≡CCX5X6X7 (3A)
    [式中、X1、X2、X3、X5、X6及びX7は同一又は異なって、ハロゲン原子を示す。]
    で表されるハロゲン化ブチン化合物の製造方法であって、
    (IA)一般式(1A):
    CX1X2X3CHX4CFHCX5X6X7 (1A)
    [式中、X1、X2、X3、X5、X6及びX7は前記に同じである。X4はハロゲン原子を示す。]
    で表されるハロゲン化ブタン化合物を気相又は液相で脱フッ化水素反応を行い、前記脱フッ化水素反応を気相で行う場合は活性炭触媒、酸化クロム触媒及びシリカアルミナ触媒よりなる群から選ばれる少なくとも1種の触媒の存在下で行うことで一般式(2A):
    CX1X2X3CX4=CHCX5X6X7 (2A)
    [式中、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は前記に同じである。]
    で表されるハロゲン化ブテン化合物を製造する工程、
    (IIA)前記工程(IA)の後、フッ化水素を除去する工程、及び
    (IIIA)前記工程(IIA)の後、得られた一般式(2A):
    CX1X2X3CX4=CHCX5X6X7 (2A)
    [式中、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は前記に同じである。]
    で表されるハロゲン化ブテン化合物を気相又は液相で脱ハロゲン化水素反応を行い、前記脱ハロゲン化水素反応を気相で行う場合は活性炭触媒、酸化クロム触媒及びシリカアルミナ触媒よりなる群から選ばれる少なくとも1種の触媒の存在下で行うことで一般式(3A):
    CX1X2X3C≡CCX5X6X7 (3A)
    [式中、X1、X2、X3、X5、X6及びX7は前記に同じである。]
    で表されるハロゲン化ブチン化合物を製造する工程
    を含む、製造方法。
  3. 前記脱フッ化水素反応及び/又は前記脱ハロゲン化水素反応する工程を液相で行う、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記脱フッ化水素反応及び/又は前記脱ハロゲン化水素反応する工程を塩基の存在下で行う、請求項に記載の製造方法。
  5. 前記脱フッ化水素反応及び/又は前記脱ハロゲン化水素反応する工程を塩基及び触媒の存在下で行う、請求項又はに記載の製造方法。
  6. 前記脱フッ化水素反応及び/又は前記脱ハロゲン化水素反応する工程を密閉反応系で行う、請求項のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記脱フッ化水素反応及び/又は前記脱ハロゲン化水素反応する工程を、気相で行う、請求項1又は2に記載の製造方法。
  8. 前記脱フッ化水素反応及び/又は前記脱ハロゲン化水素反応する工程を、活性炭触媒、酸化クロム触媒、ゼオライト触媒及びシリカアルミナ触媒よりなる群から選ばれる少なくとも1種の触媒の存在下で行う、請求項のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記脱フッ化水素反応及び/又は前記脱ハロゲン化水素反応する工程を、気相連続流通式で行う、請求項1、2及びのいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 前記脱フッ化水素反応及び/又は前記脱ハロゲン化水素反応する工程を、
    炭化水素化合物における炭素原子と結合する全ての水素原子がハロゲン原子で置換した環状炭化ハロゲン化合物の存在下で行う、請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
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