JP6932519B2 - 液体吐出ヘッドおよびその製造方法、並びに記録方法 - Google Patents

液体吐出ヘッドおよびその製造方法、並びに記録方法 Download PDF

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Description

本発明は、液体吐出ヘッドおよびその製造方法、並びに記録方法に関する。
インクジェットプリントヘッドなどの液体吐出ヘッドには、シリコン等で形成された基板に液体を流すための供給路や流路が形成されている。通常、前記供給路や前記流路は、基板を掘りこむことによって形成され、基板を貫通する貫通孔として形成される場合もある。基板上には、流路を形成する流路形成部材や、吐出口を形成する吐出口形成部材等の構造体が配置されており、流路形成部材が吐出口を形成する場合もある。また、基板上には液体を吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子が配置されており、液体にエネルギーを与えることにより、液体を吐出口から吐出する。前記構造体の製造方法に関して、例えば特許文献1には、微細な凹部を有する基板上に感光性樹脂フィルムを貼り付け、これを露光、現像することで、基板上に有機樹脂からなる構造体を製造する方法が記載されている。
一方、シリコン基板に供給路や流路を形成した場合、使用するインク等の液体の種類、使用条件によっては、供給路や流路の内壁にて露出しているシリコンが溶解する場合がある。シリコンの溶解は、特に液体としてアルカリ性のインクを用いた場合に生じることが多い。極少量の溶解であったとしても、液体中にシリコンが溶け込むことで吐出特性や形成画像に影響を与えたり、長期間の使用により流路構造そのものが崩れたりする場合がある。そのため、供給路や流路の内壁にて露出したシリコンを保護することが行われている。例えば特許文献2には、液体の接触する面に有機樹脂を含む保護層を形成する例が記載されている。また、特許文献3には、チタン、チタン化合物又はアルミナ(Al)からなる耐インク性薄膜を形成する例が記載されている。
特開2006−227544号公報 特開2002−347247号公報 特開2004−74809号公報
前述のように露出したシリコンの保護を行う場合、シリコンの溶解を防止するための保護層の形成と、有機樹脂を含む構造体の形成とでは、保護層の形成を先に行う場合が多い。故に、保護層と構造体との間には密着界面が存在する。シリコンの溶解を防止する観点から、保護層としては金属酸化膜が好ましいが、保護層として金属酸化膜を用いた場合、基板の液体への長期浸漬により、構造体と保護層との密着性が低下し、界面剥離が生じる場合がある。
本発明の目的は、液体へ長期浸漬後も保護層と構造体との界面剥離を抑制できる液体吐出ヘッドを提供することにある。
本発明に係る液体吐出ヘッドは、シリコン基板と、前記シリコン基板上に、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子を有する液体吐出ヘッドであって、前記シリコン基板の第一の面上に形成された、金属酸化物を含む保護層Aと、前記保護層A上に形成された、有機樹脂を含み前記液体の流路の一部を形成する構造体と、前記保護層Aと前記構造体との間に形成された、シリコン化合物を含む中間層Aと、を有し、前記中間層Aは、前記構造体および前記保護層Aと直接接し、前記中間層Aと前記保護層Aは別の部材であることを特徴とする。
本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法は、シリコン基板の第一の面上に、原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)によって、前記保護層Aを形成する工程と、前記保護層A上に前記中間層Aを形成する工程と、前記中間層A上に前記構造体を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明に係る記録方法は、前記液体吐出ヘッドから顔料を含む液体を吐出することにより記録を行うことを特徴とする。
本発明によれば、液体へ長期浸漬後も保護層と構造体との界面剥離を抑制できる液体吐出ヘッドを提供することができる。
本発明に係る基板の一例を示す断面図である。 本発明に係る基板の一例を示す断面図である。 本発明に係る基板の一例を示す断面図である。 実施例および比較例に係る基板の製造工程を示す断面図である。 実施例および比較例に係る基板のインク浸漬の評価結果を示す断面図である。 実施例および比較例に係る液体吐出ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施例および比較例に係る液体吐出ヘッドの製造工程を示す断面図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドの一例を示す断面図である。 推定される、界面剥離が生じるメカニズムを説明する断面図である。 本発明に係る基板の一例を示す断面図である。 本発明に係る基板の一例を示す断面図である。 実施例および比較例に係る液体吐出ヘッドの製造工程を示す断面図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドにおける部材の一例を示す断面図である。
[液体吐出ヘッド]
本発明に係る液体吐出ヘッドは、シリコン基板と、前記シリコン基板上に、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子(以下、エネルギー発生素子とも示す)を有する。該液体吐出ヘッドは、前記シリコン基板の第一の面上に形成された、金属酸化物を含む保護層Aと、前記保護層A上に形成された、有機樹脂を含み前記液体の流路の一部を形成する構造体とを有する。また、該液体吐出ヘッドは、前記保護層Aと前記構造体との間に形成された、シリコン化合物を含む中間層Aを有する。
本発明に係る液体吐出ヘッドに用いられる基板の一例を、図1を用いて説明する。図1(a)および(b)に示されるように、シリコン基板101上に金属酸化物を含む保護層A102が形成されており、保護層A102上に中間層A103が形成されており、中間層A103上に有機樹脂を含む構造体104が形成されている。中間層A103は、図1(a)に示されるように、保護層A102と構造体104との界面を完全に隔離してもよく、図1(b)に示されるように、保護層A102と構造体104との界面の一部を隔離してもよい。
前述したように、金属酸化物を含む保護層A102と、有機樹脂を含む構造体104との間に密着界面が存在すると、基板を液体に長期浸漬した場合、保護層A102と構造体104との間で界面剥離が生じる。基板を液体に長期浸漬すると、図9に示されるメカニズムにより保護層A102が変質するため、界面剥離が生じると推測される。
まず、液体に含まれる陽イオンが、有機樹脂を含む構造体104の内部に水分と共に侵入する(図9(a))。液体中には、陽イオンとしてNa、K等のアルカリ金属イオンや水中に電離したプロトンなどが存在することができる。特に、液体として顔料を含む液体を用いる場合、顔料を分散させるために使用される樹脂に由来するNa、K等のアルカリ金属イオンが多量に含まれることがある。侵入経路としては、構造体104のパターン端であって保護層A102との界面からの侵入、及び、構造体104の内部に浸透しての侵入が考えられる。
一方、金属酸化物を含む保護層A102には、接地されたシリコン基板101からキャリアとして電子が供給される。保護層A102は金属酸化物を含むため、成膜条件や使用条件によって半導体特性を示し、シリコン基板101から供給されたキャリアの電子が保護層A102の内部を移動することができる。半導体特性を示しやすい金属酸化物としては、例えば酸化チタン、酸化バナジウムおよび酸化ジルコニウム等が挙げられる。構造体104内に侵入した陽イオンと、シリコン基板101から供給され、保護層A102内を移動した電子は、構造体104と保護層A102との界面で再結合し、金属酸化物に侵入して保護層A102の表面の変質を起こす(図9(b))。
その結果、保護層A102の表面における構造体104との密着性に変化が生じ、界面剥離が生じる(図9(c))。実際に、例えば保護層A102にTiO膜を用いた場合の、構造体104と保護層A102との密着界面の解析により、剥がれが発生している箇所ではTiO膜が変質していることが確認された。構造体104と接していない部分のTiO膜には前記変質は観測されなかったため、構造体104と保護層A102とが接することにより、界面剥離が発生又は助長されることが推測された。
そこで、本発明では保護層Aと構造体との間に、シリコン化合物を含む中間層Aを挿入する。前記中間層Aはシリコン化合物を含むため、保護層Aへの陽イオンの伝導が阻害され、液体へ長期浸漬後も界面剥離の発生を防止することが出来る。中間層Aは、保護層Aと構造体との間に挿入されれば、保護層Aや構造体と直接接していなくてもよい。しかし、保護層Aと構造体との密着性確保の観点から、中間層Aは保護層Aおよび構造体と直接接していることが好ましい。また、当該効果は、図1(b)に示されるように、保護層A102と構造体104とが一部において接している場合においても効力を有する。例えば、図2(a)に示されるように、構造体104が形成されている領域を201、構造体104が保護層A102と直接接する領域を202、中間層A103によって保護層A102と構造体104とが隔離されている領域を203とする。図2(a)に示される基板を液体へ長期浸漬すると、図2(b)に示されるように、領域202では剥がれが進行するものの、剥がれが領域203に達してからは、界面剥離は進行しない。したがって、基板全体での密着性は保たれる。
デバイスの機能を満たす密着力を保つ限り、中間層A103を形成する領域203は自由に設計することが可能である。前記密着力とは、機械的に剥離されない強度、または構造体104によって隔離された相互の領域間で液体が染み出すことのない強度を意味する。このような観点から、シリコン基板の第一の面に対して垂直な方向から投影した際に、構造体が保護層Aまたは中間層Aと接する面積に対する、構造体が中間層Aと接する面積の割合(以下、中間層Aの界面被覆割合とも示す)は、50%以上であることが好ましい。該割合は、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、100%、すなわち中間層Aが保護層Aと構造体との界面全体に形成されていることが特に好ましい。なお、例えば図2において、構造体104が保護層A102または中間層A103と接する面積とは、シリコン基板101の第一の面に対して垂直な方向から投影した際の、領域201における面積を示す。また、構造体104が中間層A103と接する面積とは、シリコン基板101の第一の面に対して垂直な方向から投影した際の、領域203における面積を示す。
保護層Aは、金属酸化物を含み、デバイスの使用環境におけるシリコン基板の腐食を防止する機能を有する。例えば、液体吐出ヘッドにおいては、吐出する液体によるシリコン基板のSiの溶解を防止する。前記金属酸化物における金属元素としては、アルカリ溶液への耐食性が高いことから、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルが好ましい。保護層Aの好適な一例としては、TiO膜が挙げられる。前記金属酸化物は一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。保護層Aは、前記金属酸化物を80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましく、100質量%、即ち保護層Aは前記金属酸化物からなることがさらに好ましい。露出したシリコン基板の面のうち、溶解によりデバイス性能や信頼性に影響を及ぼす箇所を保護層Aにより保護すればよいが、供給路や流路が形成された基板においては、露出した全てのシリコン基板面に保護層Aが形成されていることが好ましい。保護層Aの形成方法としては、露出したシリコン基板面の構造によって、CVD法、スパッタリング法、原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)等の成膜方法から適宜選択できる。しかしながら、つきまわり特性が良好である観点から、原子層堆積法により保護層Aを形成することが好ましい。すなわち、本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法は、シリコン基板の第一の面上に、原子層堆積法によって、金属酸化物を含む保護層Aを形成する工程と、前記保護層A上にシリコン化合物を含む中間層Aを形成する工程と、前記中間層A上に有機樹脂を含む構造体を形成する工程と、を含むことが好ましい。保護層Aの厚みとしては特に限定されないが、例えば5〜500nmとすることができる。
中間層Aは、陽イオンの伝導を阻害して、保護層Aと構造体との界面剥離を抑制する観点から、シリコン化合物を含む。また、構造体との密着性が高く、陽イオンの伝導をより阻害できる観点から、該シリコン化合物は、酸素、窒素および炭素からなる群から選択される少なくとも一種の元素を含有することが好ましい。また、該シリコン化合物は、SiC、SiOC、SiCN、SiOCN、SiO、SiNおよびSiONからなる群から選択される少なくとも一種の化合物であることがより好ましい。さらに、中間層A自体に液体に対する耐性を付与できる観点から、該シリコン化合物は、炭素元素を含有するシリコン化合物であることが好ましい。中でも、SiC、SiOC、SiCNおよびSiOCNからなる群から選択される少なくとも一種の化合物であることがより好ましい。さらに、該シリコン化合物が炭素原子を含む場合、該シリコン化合物に含まれるシリコン原子と該炭素原子との合計に対する該炭素原子の原子組成比は、15原子%以上であることが好ましく、20原子%以上であることがより好ましく、25原子%以上であることがさらに好ましい。炭素原子の原子組成比を15原子%以上にすることで、アルカリ溶液への耐食性を高めることができるためである。該原子組成比の範囲の上限は特に限定されないが、例えば80原子%以下、特には60原子%以下とすることができる。中間層Aの形成方法としては、CVD法、スパッタリング法、原子層堆積法、またはリフトオフ法当の成膜方法から適宜選択できる。
一方、保護層Aは前述したように、アルカリ溶液への耐食性を確保することができるが、水素イオンや水分子によって結晶化や変質を生じる場合がある。したがって、中間層Aを透過した水素イオンや水分子と、保護層Aとの反応を抑制する観点から、中間層Aの質量密度は大きいことが好ましい。具体的には、中間層Aの質量密度は、1.70g/cm以上であることが好ましく、1.80g/cm以上であることがより好ましく、1.90g/cm以上であることがさらに好ましく、2.00g/cm以上であることが特に好ましい。該質量密度の範囲の上限は特に限定されないが、5.00g/cm以下、特には3.00g/cmであることができる。中間層Aの質量密度は、中間層Aを例えばプラズマCVD法によって形成する場合、成膜時の成膜室内の圧力等の製造条件を制御することによって所望の値にすることができる。具体的には、成膜時の成膜室内の圧力を下げることによって質量密度の値を大きくすることができる。中間層Aの厚みは、保護層Aと構造体との接着性が向上する観点から5nm以上あることが好ましい。また、該厚さの上限は特に限定されないが、膜応力の観点から20μm以下であることが好ましい。該厚みは、10〜500nmがより好ましく、20〜100nmがさらに好ましい。
構造体に含まれる有機樹脂としては、機械的強度が高く、液体に対する耐食性が高いことから、エポキシ樹脂、芳香族ポリイミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂および芳香族炭化水素樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂であることが好ましい。さらに、液体に対する耐食性が高いことから、該有機樹脂は、エポキシ樹脂または芳香族ポリイミド樹脂が好ましい。これらの有機樹脂は一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。構造体は、前記有機樹脂を80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことが好ましく、100質量%、即ち構造体は前記有機樹脂からなることがさらに好ましい。
構造体は、液体の流路等何らかの機械的構造を有することができる。例えば、図3に示されるように、シリコン基板101の第一の面に流路構造等の凹部が形成されており、構造体104が、前記凹部上に形成された蓋構造体であることが好ましい。蓋構造体は、図3に示されるように凹部の一部と連通する開口部が形成されていてもよい。構造体の厚みは、例えば10μm以上1000μm以下とすることができる。図3(a)では、凹部の側面の全てに中間層A103が形成されている。図3(b)では、凹部の側面の一部に中間層A103が形成されている。これらはいずれも、構造体104と保護層A102との界面全てにおいて中間層A103が形成されているため、図1(a)に示される基板に相当する。一方、図3(c)では、構造体104と保護層A102との界面の一部に中間層A103が形成されているため、図1(b)および図2に示される基板に相当する。なお、図3(a)に示されるような中間層A103は、例えば原子層堆積法によって得られ、アスペクト比の低い開口であればCVD法によっても得られる。図3(b)に示されるような中間層A103は、例えばCVD法、スパッタリング法によって得られる。図3(c)に示されるような中間層A103は、例えばリフトオフ法によって得られる。また、図3に示されるように、液体によるシリコンの浸食をより良好に抑制する観点から、全てのシリコン露出面が、一体の保護層で隙間なく被覆されていることが好ましい。即ち、前記凹部の側壁と、シリコン基板101の少なくとも第一の面とが連続した保護層A102にて被覆されていることが好ましい。なお、図3に示す基板において、凹部のかわりに、シリコン基板の第一の面から、該第一の面とは反対側の第二の面まで貫通する貫通孔が形成されていてもよい。この場合、構造体104は、前記貫通孔上に形成された蓋構造体であることが好ましい。
また、図10に示されるように、部材901が、構造体104を介してシリコン基板101に接合されていてもよい。この場合、構造体104は、部材901とシリコン基板101とを接着する接着剤として用いることができる。また、構造体104が接着剤でなくとも、構造体104を構成する有機樹脂を硬化後、プラズマ活性により部材901とシリコン基板101とを直接接合をすることもできる。いずれの場合も、構造体104は液体の流路の一部を形成するものとなる。部材901は、図3に示される構造体104と同様に、シリコン基板101上に形成された凹部上に形成された、蓋構造の部材であることが好ましい。部材901には、図10に示されるように凹部の一部と連通する開口部が形成されていてもよい。部材901の材料としては、アルミナ、SUS、樹脂、シリコン等、様々な材料から適宜選択できる。しかしながら、部材901の母材がシリコンである場合、図11に示されるように、部材901はシリコン基板101と同様の構成であることができる。すなわち、該母材の表面が金属酸化物を含む保護層B1001によって被覆され、保護層B1001と構造体104との間に中間層B1002が形成されていることができる。この場合、部材901も本発明の対象となる実施形態である。また、更に別の部材を続けて接合する場合は、該部材も部材901と同様の構造を有することが出来る。なお、図10に示す基板において、凹部のかわりに、シリコン基板の第一の面とは反対側の第二の面まで貫通する貫通孔が形成されていてもよい。
本発明に係る液体吐出ヘッドの一例を図8に示す。図8に示される液体吐出ヘッドは、シリコン基板101の第一の面上に保護層A102と、保護層A102上に構造体104と、保護層A102と構造体104との間に中間層A103と、を有する。シリコン基板101の第一の面には、流路構造として液体の流路603が形成されている。また、シリコン基板101には液体の供給路604が形成されている。構造体104は、流路603と連通する開口部が形成された蓋構造体である。シリコン基板101の第一の面とは反対側の第二の面上には、エネルギー発生素子601と、エネルギー発生素子601に電力を供給するための駆動回路及び配線を有する配線層602が形成されている。また、流路形成部材により、エネルギー発生素子601を内部に備える圧力室607と液体の吐出口606が形成されている。構造体104の開口部を通じて流路603に供給された液体は、供給路604を通じて圧力室607内に保持され、エネルギー発生素子601により付与されるエネルギーにより、吐出口606から外部へ吐出される。なお、圧力室内の液体は、圧力室607の外部との間で循環されることができる。すなわち、圧力室607内の液体は、任意の孔部を介して外部に取り出され、再び任意の孔部を介して圧力室607内に戻ってくることができる。例えば、圧力室607内の液体の循環は、シリコン基板101が有する貫通孔を介して、シリコン基板101の第一の面側との間で行われることができる。具体的には、例えば、図8において、液体が、右側の供給路604から圧力室607に入り、左側の供給路604から出て流路603に入り、再び右側の供給路604から圧力室607に戻ることができる。また、図8においては、左右の供給路604は一つの流路603からシリコン基板101の第一の面側に伸びる貫通孔であるが、流路603を左右の2つに分割し、片方の流路から左側の供給路が伸び、もう片方の流路から右側の供給路が伸びる構成としてもよい。このような構成にすることで、圧力室607への液体の流入路と圧力室607からの液体の流出路を分けることができ、液体の循環を効率的に行うことができる。
液体吐出ヘッドにおいては、その構造の特徴から、構造体と基板との間や、流路形成部材と基板との間の密着信頼性が重要である。一般的なインクジェットプリンタでは、カラー画像を形成するために多色のインクを供給するため、液体吐出ヘッドには多色のインクの流路が形成されている。例えば、図8に示す液体吐出ヘッドの断面図において、断面図の左右方向に、流路603と隣接する、別色のインクの流路が形成されている。これら別色のインクの流路間で基板からの剥離が発生すると、インクが混色し、正常な画像が形成できなくなる場合がある。
特に、構造体と基板との間は、流路形成部材と基板との間と比較して、基板と構造体との接触面積が狭く、少しの剥離でインクの混色につながりやすい。具体的には、図8に示す液体吐出ヘッドにおいて、流路603は、断面に垂直な方向に配列された多数の吐出口606に安定して液体を供給するために、十分な幅をとる必要がある。そのため、通常、流路603の幅は圧力室607の幅と比較して大きい。例えば、圧力室607の幅は30μm以上300μm以下であるのに対し、流路603の幅は350μm以上1000μm以下である。したがって、シリコン基板101の第一の面側と構造体104とが接触する、流路603が形成されていない部分の幅に対し、シリコン基板101の第二の面側と流路形成部材が接触する部分の幅の方が大きい。そのため、シリコン基板101と構造体104との間、すなわちシリコン基板の第一の面側の方が少しの剥離でインクの混色を生じやすく、高い密着信頼性が求められる。
なお、本発明に係る液体吐出ヘッドにおいて、前記構造体は、流路形成部材、吐出口形成部材、保護部材などを成すこともできる。この場合、エネルギー発生素子はシリコン基板の第一の面上に形成される。
また、本発明に係る液体吐出ヘッドの他の一例を図12(e)に示す。図12(e)に示される液体吐出ヘッドは、構造体およびそれに接合する部材以外は図8に示される液体吐出ヘッドと同様である。図12(e)に示される液体吐出ヘッドでは、部材901が構造体1105を介して接合されている。部材901は前述した図10および図11に示される部材901と同様であることができる。また、部材901以外にさらに他の部材を接合する場合には、部材901には、図13に示されるように、シリコン基板1101の一方の面だけではなく、他方の面にも中間層B1201を形成することができる。
[記録方法]
本発明に係る記録方法は、本発明に係る液体吐出ヘッドから顔料を含む液体を吐出することにより記録を行うものである。本発明に係る記録方法は、本発明に係る液体吐出ヘッドを用いるため、液体吐出ヘッド内に顔料を含む液体を長期にわたり流通させた場合にも、保護層Aと構造体との間での界面剥離を抑制することができる。
(実施例1および2、並びに比較例1)
本実施例では、図4に示される工程により基板を作製した。初めにシリコン基板101を用意した。次いで、保護層A102としてTiO膜を、原子相成長法(ALD法:Atomic Layer Deposition法)を用いて、85nm成膜した。続いて中間層A103として質量密度が2.01g/cmのSiC膜を、プラズマCVD法によって50nm成膜した(図4(a))。なお、中間層Aの質量密度はXRR(X線反射率測定法)を用いてX線の全反射臨界角から算出した。後述する他の実施例及び比較例においても同様の方法で質量密度を算出した。
次に、シリコン基板101の両面にフォトレジスト405(商品名:THMR−iP5700 HR、東京応化工業製)を塗布し、シリコン基板101の第一の面の半分の面積にUV光を照射して現像した。これにより、中間層A103の露出範囲の異なるパターン401、402および403を形成した(図4(b))。パターン401では、全ての中間層A103が露出していた。パターン402では、一辺180μmの角穴パターンが形成された。パターン403では、一辺220μmの角穴パターンが形成された。
次に、CFガスを用いた反応性イオンエッチングにより、露出している中間層A103をエッチングした(図4(c))。その後、剥離液を用いてフォトレジスト405を剥離した。次いで、構造体104として、エポキシ樹脂(商品名:TMMR、東京応化工業製)を第一の面上に塗布した。さらに、フォトマスクと露光装置(プロジェクションアナライナー(商品名:UX−4258、ウシオ電機製))を用いて、一辺200μmの角穴パターンを形成した(図4(d))。最後に200℃に加熱することでエポキシ樹脂を硬化させることにより、基板を得た。
前記基板を図4(b)から(d)にかけて示される2本の線にて個片に分割した。パターン401を含む個片を比較例1の基板、パターン402を含む個片を実施例1の基板、パターン403を含む個片を実施例2の基板とした。なお、シリコン基板101の第一の面に対して垂直な方向から投影した際に、構造体104が保護層A102または中間層A103と接する面積に対する、構造体104が中間層A103と接する面積の割合(中間層A103の界面被覆割合)は、実施例1では100%、実施例2では80%、比較例1では0%(中間層A103なし)であった。
各基板を、キヤノン製大判インクジェットプリンタ(商品名:imagePROGRAFシリーズ)用の顔料ブラックインク(カートリッジ名:PFI−106 BK)に、70℃に加温しながら2週間浸漬した。インクから取り出した各基板を純水で洗浄した後に、電子顕微鏡で観察した。
比較例1の基板、即ち構造体104と保護層A102との間に中間層A103が存在しない、パターン401を含む基板では、構造体104に形成された角穴パターンの周辺において、構造体104と保護層A102との間で界面剥離が生じた(図5(a))。
一方、実施例1の基板、即ち構造体104と保護層A102の間が全て中間層A103で隔離されている、パターン402を含む基板では、構造体104と保護層A102との間での界面剥離は生じなかった(図5(b))。また、実施例2の基板、即ち中間層A103が一部途切れて構造体104と保護層A102とが接している領域501を有する、パターン403を含む基板では、領域501において構造体104と保護層A102との間で界面剥離が生じた。しかしながら、中間層A103のある領域においては、前記界面剥離が止まっていた(図5(c))。
(実施例3および4、並びに比較例2)
中間層A103として、SiC膜の代わりに質量密度が2.00g/cmのSiOC膜を用いた以外は、実施例1および2、並びに比較例1と同様に基板を作製し、インク浸漬の評価を行った。評価結果は、実施例1および2、並びに比較例1と同様であった。
(実施例5および6、並びに比較例3)
中間層A103として、SiC膜の代わりに質量密度が2.10g/cmのSiCN膜を用いた以外は、実施例1および2、並びに比較例1と同様に基板を作製し、インク浸漬の評価を行った。評価結果は、実施例1および2、並びに比較例1と同様であった。
(実施例7および8、並びに比較例4)
中間層A103として、SiC膜の代わりに質量密度が2.07g/cmのSiOCN膜を用いた以外は、実施例1および2、並びに比較例1と同様に基板を作製し、インク浸漬の評価を行った。評価結果は、実施例1および2、並びに比較例1と同様であった。
(実施例9および10、並びに比較例5)
実施例1および2、並びに比較例1と同様に、シリコン基板101上に保護層A102と中間層A103を形成した。次に、芳香族ポリアミド樹脂(商品名:HIMAL HL−1200CH、日立化成工業製)を塗布し、加熱乾燥した。その後、さらにフォトレジスト(商品名:THMR−iP5700 HR、東京応化工業製)を塗布し、フォトマスクと露光装置(プロジェクションアナライナー(商品名:UX−4258、ウシオ電機製))を用いて、パターンを形成した。次いで、前記フォトレジストのパターンをマスクとして、酸素プラズマを用いたケミカルドライエッチングにより芳香族ポリアミド樹脂をエッチングした。その後、前記フォトレジストを剥離することで、実施例1および2、並びに比較例1と同様のパターンを有する構造体104を形成した。その後は、実施例1および2、並びに比較例1と同様に基板を作製し、インク浸漬の評価を行った。評価結果は、実施例1および2、並びに比較例1と同様であった。
(実施例11および12、並びに比較例6)
中間層A103として、質量密度が1.68g/cmのSiC膜を用いた以外は、実施例1および2、並びに比較例1と同様に基板を作製し、インク浸漬の評価を行った。評価結果は、実施例1および2、並びに比較例1と同様であった。ただし、実施例11および12の基板においては、中間層A103と保護層A102との接合部分の一部で、保護層A102が直径100μm程度の範囲で斑点状に結晶化している様子が見られた。しかしながら、結晶化部分では基板101と保護層A102との間で剥離が生じているものの、構造体104は剥離しておらず、中間層A103の機能を害するものではなかった。
(実施例13および14、並びに比較例7)
中間層A103として、質量密度が1.71g/cmのSiC膜を用いた以外は、実施例1および2、並びに比較例1と同様に基板を作製し、インク浸漬の評価を行った。評価結果は、実施例1および2、並びに比較例1と同様であった。ただし、実施例13および14の基板においては、中間層A103と保護層A102との接合部分の一部で、保護層A102が直径100μm程度の範囲で斑点状に結晶化している様子が見られた。しかしながら、結晶化部分では基板101と保護層A102との間で剥離が生じているものの、構造体104は剥離しておらず、中間層A103の機能を害するものではなかった。
(実施例15および16、並びに比較例8)
中間層A103として、質量密度が1.81g/cmのSiC膜を用いた以外は、実施例1および2、並びに比較例1と同様に基板を作製し、インク浸漬の評価を行った。評価結果は、実施例1および2、並びに比較例1と同様であった。ただし、実施例15および16の基板においては、中間層A103と保護層A102との接合部分の一部で、保護層A102が直径100μm程度の範囲で斑点状に結晶化している様子が見られた。しかしながら、結晶化部分では基板101と保護層A102との間で剥離が生じているものの、構造体104は剥離しておらず、中間層A103の機能を害するものではなかった。
(実施例17および18、並びに比較例9)
中間層A103として、質量密度が1.78g/cmのSiCN膜を用いた以外は、実施例1および2、並びに比較例1と同様に基板を作製し、インク浸漬の評価を行った。評価結果は、実施例1および2、並びに比較例1と同様であった。ただし、実施例17および18の基板においては、中間層A103と保護層A102との接合部分の一部で、保護層A102が直径100μm程度の範囲で斑点状に結晶化している様子が見られた。しかしながら、結晶化部分では基板101と保護層A102との間で剥離が生じているものの、構造体104は剥離しておらず、中間層A103の機能を害するものではなかった。
(実施例19および20、並びに比較例10)
中間層A103として、質量密度が1.69g/cmのSiOC膜を用いた以外は、実施例1および2、並びに比較例1と同様に基板を作製し、インク浸漬の評価を行った。評価結果は、実施例1および2、並びに比較例1と同様であった。ただし、実施例19および20の基板においては、中間層A103と保護層A102との接合部分の一部で、保護層A102が直径100μm程度の範囲で斑点状に結晶化している様子が見られた。しかしながら、結晶化部分では基板101と保護層A102との間で剥離が生じているものの、構造体104は剥離しておらず、中間層A103の機能を害するものではなかった。
実施例1から20および比較例1から10における、中間層Aの材料、中間層Aの質量密度、シリコン化合物の炭素原子組成比、中間層Aの界面被覆割合、構造体の材料、インク浸漬評価結果、およびインク浸漬評価にて発生した一個片あたりの斑点状結晶化部分の個数を表1に示す。
Figure 0006932519
(実施例21)
本実施例では、図6及び7に示される工程により液体吐出ヘッドを作製した。初めに、厚み625μmのシリコン基板101を用意した(図6(a))。シリコン基板101には、第二の面にヒーターであるエネルギー発生素子601があらかじめ形成されている。また、エネルギー発生素子601に電力を供給するための駆動回路及び配線を有する配線層602も同様に形成されている。シリコン基板101の第二の面とは反対側の第一の面には、深さ約500μmの凹部である液体の流路603が形成されている。また、シリコン基板101の第二の面から流路603に連通する液体の供給路604が形成されている。
次に、シリコン基板101上に、保護層A102としてTiO膜を原子相成長法により85nmの厚さで成膜した(図6(b))。原子相成長法によりTiO膜を成膜することで、流路603および供給路604の内壁にもほぼ均一な厚みでTiO膜を成膜することができた。
次に、中間層A103として質量密度が2.01g/cmのSiC膜を、第一の面側からプラズマCVD法によって50nmの厚さで成膜した(図6(c))。図6(c)に示されるように、中間層A103は第一の面上にて目標の膜厚である50nmの厚みで成膜され、流路603の内部に進むにつれて、側壁に成膜される中間層A103の膜厚は薄くなっていくことが確認された。
次に、シリコン基板101の第二の面上に、フィルム化したフォトレジストをラミネートし、フォトマスクと露光装置(商品名:FPA−5510iV、キヤノン製)を用いて、供給路604周辺部のみにフォトレジストのパターン605を形成した。その後、パターン605をマスクとして、シリコン基板101の第二の面上の保護層A102をエッチングした(図7(d))。エッチング液には、半導体用バッファードフッ酸(商品名:BHF−110U、ダイキン工業製)と純水とを1:40の割合(体積比)で混合した、バッファードフッ酸を用いた。ここでは、シリコン基板101を回転させながらエッチング液を滴下するスピンエッチング法を用いたため、シリコン基板101の第一の面にエッチング液が回りこむことはなく、保護層A102の不要な部分のみを除去することができた。その後、マスクに使用したパターン605を除去した。
次に、フィルム化された感光性エポキシ樹脂(商品名:TMMF、東京応化工業製)をラミネートし、露光および現像する工程を2回繰り返した。これにより、シリコン基板101の第二の面側に液体の吐出口606と、供給路604から吐出口606に至る圧力室607とを有する流路形成部材を形成した(図7(e))。
次に、シリコン基板101の第一の面上に、フィルム化された感光性エポキシ樹脂をラミネートし、露光および現像することで、流路603と連通する開口部が形成された蓋構造体である構造体104を形成した(図7(f))。前記フィルム化された感光性エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂含有溶液(商品名:SU−8 2000、日本化薬製)を光学フィルム上に塗布し、乾燥することで作製した。その後、200℃に加熱し、エポキシ樹脂を硬化させることで、液体吐出ヘッドを得た(図8)。
次に、ダイシングソーで前記液体吐出ヘッドを個片に分割した。その後、キヤノン製大判インクジェットプリンタ(商品名:imagePROGRAFシリーズ)用の顔料ブラックインク(カートリッジ名:PFI−106 BK)に、70℃に加温しながら2週間浸漬した。インクから取り出した液体吐出ヘッドを純水で洗浄した後に、電子顕微鏡で観察したところ、構造体104は変化しておらず、構造体104と保護層A102との間での界面剥離は生じなかった。
(比較例11)
中間層A103を形成しなかったこと以外は、実施例21と同様に液体吐出ヘッドを作製し、インク浸漬の評価を行った。本比較例では構造体104が、保護層A102と接する流路603の近傍において、剥がれてしまった。
(実施例22)
本実施例では、図12に示される工程により液体吐出ヘッドを作製した。初めに、厚み625μmのシリコン基板1101を用意した(図12(a))。シリコン基板1101には液体の供給路1102が形成されている。次に、シリコン基板1101に、保護層B1103としてTiO膜を原子相成長法により85nmの厚さで成膜した(図12(b))。原子相成長法によりTiO膜を成膜することにより、供給路1102の内壁にもほぼ均一な厚みで保護層B1103を成膜することができた。次に、中間層B1104として質量密度が2.01g/cmのSiC膜を、シリコン基板1101の一方の面にプラズマCVD法によって50nmの厚みで成膜した(図12(c))。これにより、部材901を得た。
次に、実施例21と同様に液体吐出ヘッドを図7(e)の状態まで作製した後、シリコン基板101の第一の面上に、有機樹脂層である構造体1105を形成した(図12(d))。構造体1105は、ベンゾシクロブテン樹脂溶液(商品名:CYCLOTEN、ダウケミカル製)を2μmの厚みでシリコンウエハ上に塗布した後、シリコン基板101の第一の面上に転写することにより形成した。
次に、シリコン基板101の構造体1105が形成された面と、部材901の中間層B1104が形成された面とを接合した(図12(e))。基板同士のアライメントはEVG製のEVG6200BA(商品名)を用い、接合にはEVG製のEVG520IS(商品名)を用いた。接合は150℃に加熱して行い、更に300℃で本硬化させた。以上により、液体吐出ヘッドを得た。
次に、ダイシングソーで前記液体吐出ヘッドを個片に分割した。その後、キヤノン製大判インクジェットプリンタ(商品名:imagePROGRAFシリーズ)用の顔料ブラックインク(カートリッジ名:PFI−106 BK)に、70℃に加温しながら2週間浸漬した。インクから取り出した液体吐出ヘッドを純水で洗浄した後に、電子顕微鏡で観察したところ、構造体1105は変化しておらず、構造体1105と保護層A102および保護層B1103との間での界面剥離は生じなかった。
101 シリコン基板
102 保護層A
103 中間層A
104 構造体
601 エネルギー発生素子
901 部材

Claims (18)

  1. シリコン基板と、前記シリコン基板上に、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する素子を有する液体吐出ヘッドであって、
    前記シリコン基板の第一の面上に形成された、金属酸化物を含む保護層Aと、前記保護層A上に形成された、有機樹脂を含み前記液体の流路の一部を形成する構造体と、前記保護層Aと前記構造体との間に形成された、シリコン化合物を含む中間層Aと、
    を有し、
    前記中間層Aは、前記構造体および前記保護層Aと直接接し、
    前記中間層Aと前記保護層Aは別の部材であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記素子が、前記シリコン基板の前記第一の面とは反対側の第二の面上に形成されている請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記金属酸化物における金属元素がチタンである請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記シリコン化合物が、SiC、SiOC、SiCN、SiOCN、SiO、SiNおよびSiONからなる群から選択される少なくとも一種の化合物である請求項1から3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記シリコン基板の前記第一の面に対して垂直な方向から投影した際に、前記構造体が前記保護層Aまたは前記中間層Aと接する面積に対する、前記構造体が前記中間層Aと接する面積の割合が、50%以上である請求項1から4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記シリコン基板の前記第一の面に凹部が形成されており、または、前記シリコン基板の前記第一の面から、前記第一の面とは反対側の第二の面まで貫通する貫通孔が形成されており、
    前記構造体が、前記凹部または前記貫通孔の上に形成された蓋構造体である請求項1からのいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  7. 前記シリコン基板の前記第一の面に凹部が形成されており、または、前記シリコン基板の前記第一の面から、前記第一の面とは反対側の第二の面まで貫通する貫通孔が形成されており、
    前記凹部または前記貫通孔上に形成された蓋構造の部材が、前記構造体を介して前記シリコン基板に接合されている請求項1からのいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  8. 前記部材の母材がシリコンであり、該母材の表面が金属酸化物を含む保護層Bによって被覆されており、前記保護層Bと前記構造体との間に中間層Bが形成されている請求項に記載の液体吐出ヘッド。
  9. 前記保護層Aが、前記凹部または前記貫通孔の側壁と、前記シリコン基板の少なくとも第一の面とを連続して被覆する請求項からのいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  10. 前記中間層Aの質量密度が1.70g/cm以上である請求項1からのいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  11. 前記中間層Aの質量密度が2.00g/cm以上である請求項10に記載の液体吐出ヘッド。
  12. 前記シリコン化合物が炭素原子を含み、該シリコン化合物に含まれるシリコン原子と該炭素原子との合計に対する該炭素原子の原子組成比が、15原子%以上である請求項1から11のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  13. 前記構造体の厚さが10μm以上1000μm以下である請求項1から12のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  14. 前記有機樹脂が、エポキシ樹脂、芳香族ポリイミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂および芳香族炭化水素樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂である請求項1から13のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  15. 前記素子を内部に備える圧力室を備え、前記圧力室内の液体は前記圧力室の外部との間で循環される請求項1から14のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  16. 前記圧力室内の液体の循環が、前記シリコン基板が有する貫通孔を介して、前記シリコン基板の前記第一の面側との間で行われる請求項15に記載の液体吐出ヘッド。
  17. 請求項1から16のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法であって、
    シリコン基板の第一の面上に、原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)によって、前記保護層Aを形成する工程と、
    前記保護層A上に前記中間層Aを形成する工程と、
    前記中間層A上に前記構造体を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  18. 請求項1から16のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドから顔料を含む液体を吐出することにより記録を行うことを特徴とする記録方法。
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