JP6930701B2 - コンクリート養生シート - Google Patents
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Description
これを防止するため、養生中のコンクリートの表面に、不織布や合成樹脂製の養生シートを敷設し、養生中のコンクリートの表面から蒸発する水分の量を低減させることが試みられている(例えば、特許文献1〜2参照。)。
ここで、「コットンを含有したもの」とは、コットンのみ(コットン100%)からなる不織布を含むものとする。
また、このコンクリート養生シートは、乾燥した保水部を水で湿潤させて、打設したコンクリートの表面に貼着して使用するようにされるため、施工現場でケイ酸塩水溶液を調製する必要がなく、取り扱いが容易であり、また、品質も安定する。
このコンクリート養生シートを用いたコンクリートの養生方法は、例えば、トンネル(覆工コンクリート)を構築する場合において、型枠内にコンクリートを打設した後、型枠を撤去して脱型したコンクリート1に適用したもので、ケイ酸塩及び増粘安定剤を含有する不織布からなる保水部21と、この保水部21の表面に積層されたフィルムからなる非透水部22とからなるコンクリート養生シート2を用い、施工現場で乾燥した保水部21を水で湿潤させ、コンクリート養生シート2の保水部21側の面を、打設したコンクリート1の表面に貼着して、コンクリート1を養生するようにする。
これにより、養生シートの強度を維持しながら、保水性を向上させ、コンクリート養生シート2とコンクリート1との間に大きな結合力を生じさせることができ、養生シート2を養生中のコンクリートの表面に長期に亘って密着させることができ、養生効果が向上するとともに、強度が大きいため、再使用が可能である。
ここで、ケイ酸塩には、ケイ酸カリウムやケイ酸ナトリウムを用いることができるが、特に、ケイ酸カリウムは、コンクリート1のセメント成分と結合することによって、乾燥したときにコンクリート1の表面に白化現象を生じさせることがないため、好適に使用することができる。
また、増粘安定剤は、コンクリート養生シート2の保水部21に粘性による接着性を持たせるためのもので、従来公知の各種の増粘安定剤を用いることができるが、特に、カルボキシメチルセルロースナトリウムやヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム等のアクリル酸系ポリマー、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド(これらの増粘安定剤は、単独で使用するほか、2種以上を併用することができる。)は、養生シートの湿潤状態を長期に亘って保つことができるため、好適に使用することができる。
ここで、ヒドロキシエチルセルロースは、ケイ酸カリウム等のケイ酸塩によって分解されにくく、コンクリート1の養生が終わり、コンクリート1の表面から剥離したコンクリート養生シート2は、単に、コンクリート養生シート2の保水部21を水で湿潤させることによって再使用するのに適している。ヒドロキシエチルセルロースは、分子量が大きく、粘度の高いもの(数千mPa・s以上(1%濃度))をより好ましく使用することができる。
また、アクリル酸系ポリマーは、分子量が大きく、粘度の高いもの(数万mPa・s以上)で、酸性を示すポリアクリル酸よりも、アルカリ性を示すポリアクリル酸ナトリウムをより好ましく使用することができる。
このように、このコンクリート養生シート2は、乾燥した保水部21を水で湿潤させて、打設したコンクリート1の表面に貼着して使用するようにされるため、施工現場でケイ酸塩水溶液を調製する必要がなく、取り扱いが容易であり、また、品質も安定する。
これにより、コンクリート1の表面が十分に湿潤しているときは、コンクリート1の表面とコンクリート養生シート2との間に存在する水分の表面張力により、柔軟性を有するコンクリート養生シート2がコンクリート1の表面に貼り付き、密着することによって、コンクリート養生シート2の保水部21に含有され、保水部21を水で湿潤することによって水溶化されているケイ酸塩及び増粘安定剤がコンクリート1の表面からコンクリート1内に均一に浸透し、コンクリート1の若材齢時に必要な水分を供給することができ、養生シートの湿潤状態が長期に亘って保たれるとともに、コンクリート養生シート2の非透水部22により、コンクリート1の表面からの水分の散逸を防止することができる。
そして、時間の経過とともに、コンクリート養生シート2の保水量が低下し、コンクリート養生シート2が乾燥することによって、コンクリート1の表面とコンクリート養生シート2との間に存在する水分の表面張力が弱まるが、ケイ酸塩が、コンクリート養生シート2とコンクリート1との間に結合力を生じさせ(コンクリート養生シート2の保水部21を構成する不織布に、コットンを含有した不織布を用いることにより、コンクリート養生シート2とコンクリート1との間に大きな結合力を生じさせることができる。)、コンクリート養生シート2が養生中のコンクリート1の表面から不用意に剥がれることがなく、コンクリート養生シート2を養生中のコンクリート1の表面に長期に亘って密着させることができる。
これによって、養生中のコンクリート1の表面から蒸発、散逸しようとする水分をコンクリート養生シート2により阻止し、その量を低減させて、養生中のコンクリート1の表面を長期間湿潤状態に保つことができ、また、コンクリート1の表面にコンクリート構造体に影響を与える残留物が生じることがないことと相俟って、高品質のコンクリート構造体を構築することができる。
そして、コンクリート1の養生が終わり、コンクリート1の表面から剥離したコンクリート養生シート2は、単に、コンクリート養生シート2の保水部21を水で湿潤させることによって、再使用することができる。
なお、再使用に当たっては、単に水で湿潤させることに代えて、ケイ酸塩及び/又は増粘安定剤水溶液に浸漬させるようにすることにより、ケイ酸塩及び/又は増粘安定剤を補充するようにすることもできる。
材質:コットン60%、ポリエステル繊維40%
重さ:100g/m2
厚み:約0.58mm
<非透水部22(フィルム)>
PETフィルム 12μ(内側コロナ処理)
フィルムと不織布とを17μmのポリエチレン押し出しラミネート接着する。
<含浸水溶液(改質剤)>
主成分:ケイ酸カリウム 0.24%
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.38%
残部 水
含浸水溶液(改質剤)を保水部21(不織布)1m2当たり320g含浸させ、乾燥する。
ここで、保水部21(不織布)に対する改質剤の含有量(保水部21(不織布)1m2当たりの改質剤の含有重量)は、任意の値に設定することができるが、ケイ酸カリウムは、好ましくは、0.01〜20g/m2程度、より好ましくは、0.1〜5g/m2程度、カルボキシメチルセルロースナトリウムは、好ましくは、0.1〜20g/m2程度、より好ましくは、0.2〜10g/m2程度の範囲に設定する。
このようにして製作した本発明のコンクリート養生シートの実証試験の試験ケースを表1に示す。
すべての試験ケースにおいて、コンクリートの配合は同一とし、養生方法及び養生期間の違いによる5種類とした。
養生方法は、養生なし、封緘養生、水中養生、養生シートの4種類とし、養生期間は7日(養生シートのみ)と28日とした。
ここで、試験に用いたコンクリートの配合は、設計基準強度24N/mm2の構造物に適用されるものと同等とし、セメントに高炉セメントB種(密度3.04g/cm3)、細骨材に石灰石砕砂を3割使用した混合砕砂(表乾密度2.65g/cm3、吸水率1.51%)、粗骨材に砕石(表乾密度2.63g/cm3、吸水率0.94%、最大寸法20mm)、混和剤にはポリカルボン酸系高性能AE減水剤を用いた。目標スランプは8±2cmとし、空気量は空気連行剤を使用し、4.5±1.5%とした。
試験体は、円柱供試体とし、コンクリートは強制2軸練ミキサ(容量60L)で製造した。
試験体は、型枠打込み後、脱型までは、20±3℃(RH60±5%)の恒温室に置き、材齢1日で脱型し、引き続き上記恒温室で各養生方法、養生期間で養生した。
すべての試験ケースにおいて、材齢28日において、JIS A 1108に準じて圧縮強度試験を実施した。試験体は、円柱供試体(直径100mm、高さ200mm)とし試験体数は1ケースにつき3本とし平均値を試験結果とした。
全試験ケースの圧縮強度試験結果を図2に示す。
No.2の封緘28日の圧縮強度は39.8N/mm2であり、No.3の水中28日の42.7N/mm2より7%低い値であった。一方、本養生シートの圧縮強度は、No.4の7日養生で43.4N/mm2、No.5の28日養生で44.7N/mm2であり、No.3の水中28日の圧縮強度と同等の値が得られ、また、No.2の封緘28日の圧縮強度と比較するとNo.4の7日養生で9%、No.5の28日養生で12%の強度増加が確認された。
これは、本発明のコンクリート養生シートをコンクリートの養生に用いることで、若材齢時において水和反応に必要な水分が供給され、水中養生と同様に水和反応が十分に促進されたことによると考えられる。
以上より、本発明のコンクリート養生シートで材齢7日以上養生することで、28日間封緘養生したものより圧縮強度が大きくなり、かつ、28日間水中養生をしたコンクリートと同等の圧縮強度が得られることが確認できた。
材質:コットン100%
重さ:100g/m2
厚み:約0.5mm
<非透水部22(フィルム)>
PETフィルム 16μ(内側コロナ処理)
フィルムと不織布とを25μmのポリエチレン押し出しラミネート接着する。
<含浸水溶液(改質剤)>
主成分:ケイ酸カリウム 0.043%以上
ヒドロキシエチルセルロース 0.5%以上
残部 水
含浸水溶液(改質剤)を保水部21(不織布)1m2当たり300g含浸させ、乾燥する。
ここで、保水部21(不織布)に対する改質剤の含有量(保水部21(不織布)1m2当たりの改質剤の含有重量)は、任意の値に設定することができるが、ケイ酸カリウムは、好ましくは、0.01〜20g/m2程度、より好ましくは、0.1〜5g/m2程度、ヒドロキシエチルセルロースは、好ましくは、0.1〜20g/m2程度、より好ましくは、0.2〜10g/m2程度の範囲に設定する。
そして、増粘安定剤として用いるヒドロキシエチルセルロースは、カルボキシメチルセルロースナトリウムと比較して、pHの上昇による分解の影響を受けにくいため、ケイ酸カリウムの濃度を高めることが可能で、例えば、コンクリート養生シート2の保水部21を水で湿潤させることによって再使用する場合でも、品質の低下が生じにくいものとなる。
2 コンクリート養生シート
21 保水部
22 非透水部
Claims (2)
- 打設したコンクリートの表面に貼着して、コンクリートの養生に用いられるコンクリート養生シートにおいて、ケイ酸塩としてケイ酸カリウムを0.01〜20g/m 2 及び増粘安定剤としてヒドロキシエチルセルロースを0.1〜20g/m 2 を含有する不織布からなる保水部と、該保水部の表面に積層されたフィルムからなる非透水部とからなり、乾燥した保水部を水で湿潤させて、打設したコンクリートの表面に貼着して使用するようにしたことを特徴とするコンクリート養生シート。
- 前記不織布が、コットン100%の不織布からなることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート養生シート。
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