JPH04292607A - 柔軟化された吸水性複合体およびその製造方法 - Google Patents

柔軟化された吸水性複合体およびその製造方法

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JPH04292607A
JPH04292607A JP8142291A JP8142291A JPH04292607A JP H04292607 A JPH04292607 A JP H04292607A JP 8142291 A JP8142291 A JP 8142291A JP 8142291 A JP8142291 A JP 8142291A JP H04292607 A JPH04292607 A JP H04292607A
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absorbing
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absorbing polymer
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JP8142291A
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Nobuyuki Harada
信幸 原田
Koji Miyake
浩司 三宅
Hiroya Kobayashi
博也 小林
Tadao Shimomura
下村 忠生
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、新規な柔軟化された
吸水性複合体に関し、さらには、重合により吸水性ポリ
マーが基材に一体的に固定されてなる吸水性複合体を柔
軟化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、重合により吸水性ポリマーに転換
し得るモノマーを噴霧や塗布等の方法により親水性の繊
維質基材に施した後、重合させて吸水性ポリマーを基材
に固定化する吸水性複合体の製造方法が種々提案されて
きている(特開昭57−500546号公報、特開昭6
0−149609号公報参照)。これらの技術により、
ポリマーの基材からの脱落はある程度防止できるものの
、得られた吸水性複合体は親水性の基材を使用している
ために繊維表面に閉塞性のポリマー膜が形成され、その
吸収能が優れないばかりか繊維の柔軟性を失った剛直な
吸水性複合体とならざるを得なかった。
【0003】一方、少なくとも一部が疎水性繊維である
繊維状基材にモノマー水溶液を付着せしめた後重合して
吸水性ポリマーを数珠状に繊維に付着させることにより
、これら欠点を補う検討もなされている(特開昭61−
275355号公報参照)。この方法により、吸水性ポ
リマーの重量当りの表面積をアップししかも柔軟性を付
与することがある程度可能であるが、柔軟性を維持する
ためには基材1重量部当りの吸水性ポリマー量は200
重量部が限度で、コスト的に不利であった。更に、微小
波形化処理により吸水性複合体を柔軟化する試み(特開
昭61−85943号公報参照)も知られている。しか
しながら機械的な柔軟性付与方法は基材をも破壊するた
め、吸水性ポリマーの脱落が増加するといった欠点、お
よび使用可能な基材が制限されるといった欠点を有して
いた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、膨潤時に
も吸水性ポリマーの脱落がなく、吸水能に優れ、しかも
柔軟な吸水性複合体を提供することを第1の課題とし、
そのような吸水性複合体を、基材の材質やポリマー量に
関わらずに、機械的処理に頼ることなく、簡便に製造す
る方法を提供することを第2の課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記のよう
な問題点を解決し、優れた吸水特性を発揮すると共に、
柔軟な吸水性複合体を簡便かつ効率的に得るべく鋭意検
討を重ねた結果、この発明を完成させた。従って、この
発明は、上記第1の課題を解決するために、基材に固着
された吸水性ポリマーが基材との接着部を部分的に残し
ながら破断されてなる、柔軟化された吸水性複合体を提
供する。
【0006】さらに、この発明は、上記第2の課題を解
決するために、水溶性エチレン性不飽和モノマーおよび
ラジカル重合開始剤を含有する水溶液を基材に施し重合
させることにより得られた吸水性複合体の吸水性ポリマ
ーをその飽和吸水量の25重量%以上まで吸水させ乾燥
させる、柔軟化された吸水性複合体の製造方法を提供す
る。
【0007】以下、この発明を詳しく説明する。この発
明の吸水性複合体は、たとえば下記の方法により得るこ
とが出来る。 (1)水溶性エチレン性不飽和モノマー、ラジカル重合
開始剤および必要に応じて水溶性架橋剤を含有する水溶
液(以下、「モノマー水溶液」と言うことがある)を基
材に施す。これにより、基材がモノマー水溶液を含んで
なり、モノマーが基材に付着した複合体が得られる。 (2)この複合体のモノマーを、重合を妨げない雰囲気
下で公知の重合方法により吸水性ポリマーに変換し、吸
水性ポリマーが基材に固定された吸水性複合体を得る。 (3)上記吸水性複合体の吸水性ポリマーをその飽和吸
水量の25重量%以上に吸水するまで水で膨潤させ、含
水の吸水性複合体を得る。 (4)含水の吸水性複合体を乾燥し、目的とする吸水性
複合体、すなわち、柔軟化された吸水性複合体を得る。
【0008】発明者らは、このような処理を施すことに
より、基材に固定された吸水性ポリマーの形態が変化す
ることを見出したのである。この変化は、たとえば、ラ
ジカル開始剤による重合で生成した吸水性ポリマーの処
理前の基材への固着状態を表す図2と、処理後の吸水性
ポリマーの固着状態を表す図1を対比すればわかるよう
に、電子顕微鏡により観察することが可能である。図2
では、吸水性ポリマーは、繊維質基材の繊維間に膜状(
または水掻き状)になって繊維に固着している。図1で
は、吸水性ポリマーは、基材の繊維と部分的に接着した
ままであるが、破断しており、繊維を部分的に露出させ
ている。なお、図1、2では、写真下部の一列に並んだ
点々の一端から他端までの距離が0.30mmである。
【0009】この発明において、吸水性ポリマーの形態
の変化には、処理における水の量が臨界的に重要である
。すなわち、吸水性ポリマーにその飽和吸水量の25重
量%以上吸水させ乾燥させることにより、形態の変化が
起こる。具体的には基材としてパルプ不織布を使用する
場合には工程(2)の過程を経ることによって吸水性ポ
リマーが繊維間に水掻き状に付着した吸水性複合体が得
られる。この状態では、剛性を有する吸水性ポリマーに
よって繊維の自由度が制限を受けるために、得られた吸
水性複合体は柔軟性に欠けたものとなってしまう。この
ものをこの発明の処理を施すことによって、吸水性ポリ
マーの形態変化即ち破断が起こり、不定形の吸水性ポリ
マーが存在する剛性部と存在しない非剛性部が非常に短
い距離を有して交互に多数存在する形となって、柔軟性
を有した風合いのよい吸水性複合体が得られる。
【0010】この発明において使用される水溶性のエチ
レン性不飽和モノマーとしては、一般的に吸水性を有す
るポリマーに転換しうるものであればいずれでも良い。 このような性能を与える水溶性のモノマーとしては、官
能基として、カルボキシル基およびその塩、リン酸基お
よびその塩、スルホン酸基およびその塩、ヒドロキシル
基、アミド基などから選ばれる少なくとも1種の官能基
を有する単官能性のモノエチレン性不飽和モノマーが挙
げられる。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、イ
タコン酸などの不飽和カルボン酸およびその塩;ビニル
スルホン酸などのスルホン酸基含有エチレン性不飽和化
合物およびその塩;ビニルホスホン酸などのホスホン酸
基含有エチレン性不飽和化合物およびその塩;ポリエチ
レングリコール(メタ)アクリレート、スルホアルキル
(メタ)アクリレート、NNジ置換アミノアルキル(メ
タ)アクリレートおよびその4級化物、アクリルアミド
等を挙げることができる。これらは単独または2種以上
の併用も可能であり、被吸収液(得られた吸水性複合体
が吸収する液)の性状により選択できる。好ましくは官
能基としてカルボキシル基、スルホン酸基およびこれら
の塩から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する水溶
性のエチレン性不飽和モノマーであり、更に好ましくは
アクリル酸および/またはその塩である。上記酸の残基
と塩を作るカチオンとしては、たとえば、ナトリウム、
カリウム、リチウム等のアルカリ金属、アンモニウム、
場合によってはカルシウム、マグネシウム、アルミニウ
ム等の多価金属などが挙げられる。
【0011】ラジカル重合開始剤としては、例えば過酸
化物、ハイドロパーオキサイド、あるいはアゾ化合物等
が使用される。これらの重合開始剤は単独でも、あるい
は、2種以上を混合して使用することも可能であり、更
には亜硫酸塩等の還元剤を加えてレドックス系重合開始
剤として使用することも可能である。好ましくは過硫酸
塩、過酸化水素、水溶性アゾ化合物から選ばれる1種ま
たは2種以上が好ましい。ラジカル重合開始剤の使用量
は、たとえば、通常のラジカル重合における使用量に設
定される。
【0012】この発明では、吸水性複合体の柔軟化の程
度を高めたり、基材に固定された吸水性ポリマーが吸水
時に無限に膨潤してゾルになるのを防いだりするために
、モノマーの重合のときに、必要に応じて水溶性架橋剤
が使用される。このような水溶性架橋剤としては、メチ
レンビスアクリルアミドやエチレングリコールジアクリ
レート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ポリグリセロールポリ(メタ)アクリレート、トリ
アリルアミン、トリアリル(イソ)シアヌレート等の多
官能水溶性エチレン性不飽和モノマーのうちの少なくと
も1種が使用できる。前記単官能性の水溶性エチレン性
不飽和モノマー中にカルボキシル基およびその塩のうち
のいずれかを有するモノマーが含まれる場合には、いま
述べた水溶性架橋剤、および、分子内に前記単官能性の
水溶性エチレン性不飽和モノマーの官能基と反応しうる
基を1個以上有する水溶性架橋剤のうちのいずれか1種
または2種以上を使用してもよい。このような後者の水
溶性架橋剤として、1つのビニル結合と前記反応しうる
基を1つ有する架橋剤や、前記反応しうる基を2つ以上
もつ架橋剤などがあり、たとえば、グリシジル(メタ)
アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテ
ル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等の
グリシジルエーテルやポリオール類、ポリアミン類が使
用できる。
【0013】水溶性架橋剤の添加量は、単官能性の水溶
性エチレン性不飽和モノマーに対し0.01〜10モル
%の範囲が好ましい。10モル%を越えると架橋密度が
大きくなりすぎ吸水量は低下してしまうおそれがある。 また、0.01モル%未満では吸水・乾燥処理による形
態変化が十分ではない吸水性ポリマーが生成するおそれ
があり、このため、この発明の柔軟化処理の効果が発揮
されなくなることがある。
【0014】更に、これらモノマー水溶液中には重合を
阻害しない範囲で種々の添加剤を添加しておくことも可
能である。添加剤としてはヒドキシエチルセルロース等
のモノマー水溶液の増粘剤、ポリオキシエチレン誘導体
等の界面活性剤、タルク・クレー・珪藻土の微粉砕した
フィラー、防かび剤等を例示できる。本発明において使
用することのできる基材としては、本発明の特徴である
柔軟化処理が重合の後に施されるため、広範囲のものが
使用可能である。例えば、繊維のゆるいバット、カーデ
ィングしたウエブ、エアレイイングしたウエブ、紙、不
織布、織布、メリヤス地等の繊維状基材はもとより、ス
ポンジの様な多孔性基材等吸水性を付与したいものであ
ればその使用目的に応じて適宜選択して使用できる。そ
の素材はパルプ等の天然繊維、ポリエステル等の合成繊
維、無機繊維など特に制限されない。好ましくは紙・不
織布・スポンジである。
【0015】前記モノマー水溶液を基材に施す方法とし
ては、例えば、スプレーを用いての噴霧や吹き付け、刷
毛塗りやローラー・スクリーン等の公知の印刷印奈方法
を用いての塗布、あるいは基材を同水溶液中に含浸させ
た後、必要に応じて所定量に絞り取る方法等が挙げられ
る。基材のモノマー水溶液の付着量は特には制限ないが
、一般的には、基材1重量部に対してモノマー水溶液0
.01〜100重量部の範囲であり、好ましくは0.1
〜50重量部の範囲である。モノマー水溶液の付着形態
は基材の全面に均一としてもよく、使用目的に応じて基
材の厚さ方向や長さ方法・幅方向に濃度勾配を持たせた
り、あるいは各種模様状に不均一としてもよい。
【0016】前述の基材に施されたモノマー水溶液は、
熱・光等公知の手段により重合され、吸水性ポリマーに
転換されて、柔軟化処理前の吸水性複合体となる。公知
の重合方法としては、例えば特開平2−242975号
公報、特開平3−703号公報等に開示の方法を例示で
きるが、これらの方法に限定されない。ただし、この発
明では、γ線や電子線などの放射線による重合は避け、
ラジカル重合により吸水性ポリマーを生成させる必要が
ある。電子線重合による吸水性ポリマーの処理前の固着
状態を表す電子顕微鏡写真(図3)と、処理後の固着状
態を表す電子顕微鏡写真(図4)を対比すればわかるよ
うに、処理後も吸水性ポリマーの形態が変化しておらず
、吸水性ポリマーは、繊維質基材の繊維間に膜状(また
は水掻き状)になって繊維に固着している。これに対し
、ラジカル重合開始剤による重合で生成した吸水性ポリ
マーは、上述のような形態変化を示すのである。図3、
4において、写真下部の一列に並んだ点々の一端から他
端までの距離が240μmである。
【0017】このようにして得られた吸水性複合体は、
水で処理されて柔軟化される。本発明において使用され
る水としては水道水、工業用水、地下水、イオン交換水
、純水等が挙げられる。水には必要により多価金属塩、
ジエポキシ化合物等の架橋剤や紫外線吸収剤、酸化防止
剤、防カビ剤、殺菌剤、殺虫剤、除草剤、肥料、香料、
消臭剤、親水性有機溶剤等を含ませておくことも可能で
ある。
【0018】水の添加方法としては、基材に固定された
吸水性ポリマーがその飽和吸水量の25重量%以上を均
一に吸収できるのであれば特にこだわらないが、たとえ
ば下記の方法等が採用される。 (1)過剰量の水中に前記吸水性複合体を浸漬し、吸水
性ポリマーがその飽和吸水量の25重量%以上を吸収し
膨潤するまで所定時間水中に保持して吸水させた後、水
切りを行う方法。 (2)吸水性複合体に、これを構成する吸水性ポリマー
の飽和吸水量の25重量%以上に相当する水を添加し、
吸水性ポリマーを膨潤せしめる方法。
【0019】このようにして得られた含水の吸水性複合
体は、次いでその固形分(吸水性ポリマーの固形分)に
対する含水率が30重量%以下になるまで乾燥されるこ
とによって柔軟化される。乾燥方法は凍結乾燥・風乾・
減圧乾燥・親水性有機溶媒による脱水・熱風乾燥・マイ
クロ波乾燥・赤外線乾燥等、含水した吸水性複合体から
水分を除去できるのであれば温度に関係なく種々の方法
を採用できる。本発明においてはこの水分の移動量が重
要で、従って柔軟化にあたり吸水性ポリマーに含ませる
水の量がその飽和吸水量の25重量%以上であることが
必須である。含水量がこの範囲よりも少ない場合、前述
した様な吸水性ポリマーの微破砕は起こらず、従って柔
軟化は起こらない。
【0020】この発明によれば、基材の種類を広範囲に
選択できるため、例えば使用する基材に空隙の変化を与
えることによって、ポリマー間距離・付着密度等を任意
に変化させることも可能である。従って、吸水性複合体
の吸水特性を種々設計できる。また基材からの吸水性ポ
リマーの脱落がないため吸水性複合体の形状をも任意に
設計可能である。
【0021】上記方法により得られた吸水性複合体は、
それ単独であるいはセルロース繊維と組み合わせること
により、例えば衛生材料の吸収層として好適な吸収体と
することが可能である。又、基材が熱融着性の基材であ
る場合には溶融により合成樹脂フィルム等他の基材と容
易に一体成形可能である。このようにして得られた本発
明の吸水性複合体は基材の有する風合いを失わずに吸水
性・保水性を付与できるので例えば以下の用途に利用で
きる。 (1)吸収物品用吸水保水材 紙おむつ・生理用ナプキン・失禁パッド・医療用パッド
・ペット用シート・トレーニングパンツ等。 (2)農園芸用保水材 水苔代替・土壌改質改良材・保水材・農薬効力持続材等
。 (3)建築用吸水材 内装壁材用結露防止材・セメント養生シート等。 (4)その他 リリースコントロール材・保冷材・使い捨てカイロ・汚
泥凝固材・食品用鮮度保持材・靴の中敷・油中水分除去
材・放射能汚染水吸収シート・ケーブル用止水材・断熱
材・マスク・梱包材・グランド養生材・パップ材・ドリ
ップ吸収材・重金属吸着材・防振材・防音材等。
【0022】
【作用】本発明の吸水性複合体は基材を選ばずに、吸水
性ポリマーの持つ吸水特性と基材の持つ風合いを十分に
引き出すことができる。この理由は、含水処理により吸
水性ポリマーに形態変化が起こるためである。即ち、重
合によって基材を包含した状態で基材中に吸水性ポリマ
ーが固定されるのであるが、吸水性ポリマー中において
特定量以上の水分量変化が起こることにより、基材と吸
水性ポリマーの結合はそのままで、吸水性ポリマーが微
破砕され、その結果基材に吸水性ポリマーが不連続に固
定された吸水性複合体が得られるようである。ポリマー
の形態変化の原因については明確ではないが、モノマー
水溶液が基材上で重合され生成した吸水性ポリマーが、
特定量の水で可塑化された時に含水ゲルに歪が生じ、更
に水分がゲル中より除去される工程においてポリマーが
基材との結合を残したまま微破砕されているものと推定
される。従って柔軟化されると同時に、吸水性複合体中
の吸水性ポリマーの吸収量が向上し、吸収速度も若干向
上する。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに説明する
が本発明はこれに限定されるものではない。尚、吸水性
複合体の吸収量、ガーレー剛性および吸水性ポリマーの
飽和吸水量は、予め80℃で十分に減圧乾燥したサンプ
ルを用いて以下の方法により評価した。 (吸水性ポリマーの飽和吸水量)乾燥した吸水性複合体
を十分な量の純水中に浸漬し、16時間放置した。その
後ろ紙上で吸引ロートを用いて10秒間吸引し水切りを
行って、重量を測定した。同様の操作を、ポリマーのな
い同一面積の基材で行い重量を測定した。吸水後の吸水
性複合体の重量(g)より吸水後の基材の重量(g)を
減じた値をもって吸水性ポリマーの飽和吸水量とした。 本発明において柔軟化に必要な水の量は、ここで測定さ
れる飽和吸水量に対する重量%で定義される。 (吸水性複合体の吸収量)乾燥した吸水性複合体を十分
な量の生理食塩水中に5分間浸漬した。その後ろ紙上で
吸引ロートを用いて10秒間吸引し水切りを行って、重
量を測定した。吸水後の吸水性複合体の重量を乾燥した
吸水性複合体の重量で除して吸水性複合体の吸収量(g
/g)とした。 (吸水性複合体のガーレー剛性)1インチ×3.5イン
チの大きさに裁断された乾燥された吸水性複合体を用い
て、JIS−L−1096「一般織物物試験方法」の剛
軟性試験方法(ガーレー法)に基づいてガーレー剛性(
mgfN)を求めた。この値が小さい程柔らかく風合い
のよいものと言える。
【0024】−比較例1− メチレンビスアクリルアミド2.0モル%(対アクリル
酸ナトリウムモノマー)および過硫酸ナトリウム1.0
g/モル(対アクリル酸ナトリウムモノマー)を溶解し
たpH5.6に調整したアクリル酸ナトリウムの43重
量%水溶液に、坪量40g/m2のパルプ不織布を含浸
し、基材に対するモノマー水溶液の付着量を576重量
%として加熱しラジカル重合を行って比較吸水性複合体
(1)を得た。このものの吸収量は9g/g、ガーレー
剛性は426mgfNであった。
【0025】−実施例1− 比較吸水性複合体(1)を大過剰の水道水中に浸漬し、
吸水性ポリマーの含水量を飽和吸水量の67%としたの
ち、このものを電子レンジ中で乾燥して本発明の吸水性
複合体(1)を得た。このものの吸収量は10g/g、
ガーレー剛性は50mgfNであった。
【0026】この発明の吸水性複合体(1)の電子顕微
鏡写真を図1に、その処理前のもの、すなわち比較吸水
性複合体(1)の電子顕微鏡写真を図2に示した。これ
らの図から明らかな様に本発明の柔軟化処理によって吸
水性ポリマーの付着形態に変化が起っており、その結果
柔軟性が向上し吸収量がアップしている。以下の実施例
でも同様の形態変化が見られた。
【0027】−比較例2− 比較例1においてメチレンビスアクリルアミドの量を0
.1モル%とし、モノマー水溶液の付着量を350重量
%とした以外は比較例1と同様にして比較吸水性複合体
(2)を得た。このものの吸収量は17g/g、ガーレ
ー剛性は355mgfNであった。
【0028】−実施例2− 比較吸水性複合体(2)を大過剰の水道水中に浸漬し、
更に0.5重量%硫酸アルミニウム水溶液中に2秒浸漬
して吸水性ポリマーの含水量を飽和吸水量の58%とし
た。このものを電子レンジ中で加熱乾燥して本発明の吸
水性複合体(2)を得た。このものの吸収量は20g/
g、ガーレー剛性は70mgfNであった。このものは
、生理用ナプキンの吸収体として有用であった。
【0029】−比較例3− ポリエチレングリコールジアクリレート1.0モル%、
過硫酸ナトリウム0.5g/モルを溶解したpH5.6
に調整したアクリル酸ナトリウムモノマーの43重量%
水溶液中に坪量80g/m2のパルプ不織布を含浸し、
基材に対するモノマー水溶液の付着量を250重量%と
して該モノマーのラジカル重合を行って吸水性複合体を
得た。得られた吸水性複合体を大過剰の純水中に浸漬し
、浸漬時間をコントロールすることによって吸水性ポリ
マーの含水量をその飽和吸水量の18%に調整した。得
られた含水吸水性複合体を熱風乾燥器中で乾燥して、比
較吸水性複合体(3)を得た。
【0030】−実施例3〜6− 比較例3において、吸水性ポリマーの含水量をその飽和
吸水量の29%、50%、78%、93%に調整したこ
と以外は比較例3と同様にして含水吸水性複合体を得た
。得られた含水吸水性複合体を熱風乾燥器中で乾燥して
、この発明の吸水性複合体(3)、(4)、(5)、(
6)をそれぞれ得た。
【0031】比較吸水性複合体(3)の吸収量が10g
/gでガーレー剛性が310mgfNであるのに対し、
この発明の吸水性複合体(3)、(4)、(5)、(6
)の吸収量はそれぞれ11.3g/g、11.5g/g
、11.2g/g、11.8g/gで、ガーレー剛性は
71mgfN、53mgf、64mgfN、48mgf
Nであった。本発明における含水量の範囲が柔軟化処理
において重要であることが判る。
【0032】−比較例4,5− メチレンビスアクリルアミド1.0モル%、過硫酸ナト
リウム0.5g/モルおよびヒドロキシエチルセルロー
ス2重量%(対アクリル酸ナトリウムモノマー)を溶解
したpH5.2に調整したアクリル酸ナトリウムモノマ
ーの37重量%水溶液中に坪量23g/m2のポリプロ
ピレン不織布を含浸し、基材に対するモノマー水溶液の
付着量を1000重量%として該モノマーのラジカル重
合を行って吸水性複合体を得た。得られた吸水性複合体
を大過剰の純水中に浸漬し、浸漬時間をコントロールす
ることによって吸水性ポリマーの含水量をその飽和吸水
量の0%、19%に調整した。得られた含水吸水性複合
体を電子レンジで乾燥して、比較吸水性複合体(4)、
(5)をそれぞれ得た。
【0033】−実施例7,8− 比較例5において、吸水性ポリマーの含水量をその飽和
吸水量の36%、73%に調整したこと以外は比較例5
と同様にして含水吸水性複合体を得た。得られた含水吸
水性複合体を電子レンジで乾燥して、この発明の吸水性
複合体(7)、(8)を得た。
【0034】比較吸水性複合体(4)、(5)の吸収量
が9.1g/g、9.1g/gでガーレー剛性が426
mgfN、398mgfNであるのに対し、本発明の吸
水性複合体(7)、(8)の吸収量はそれぞれ9.5g
/g、9.8g/gで、ガーレー剛性は61mgfN、
61mgfNであった。 −実施例9− メチレンビスアクリルアミド0.1モル%、過硫酸ナト
リウム0.5g/モルおよびヒドロキシエチルセルロー
ス2重量%(対アクリル酸ナトリウムモノマー)を溶解
したpH5.2に調整したアクリル酸ナトリウムモノマ
ーの37重量%水溶液中に坪量23g/m2のポリプロ
ピレン不織布を含浸し、基材に対するモノマー水溶液の
付着量を555重量%として該モノマーのラジカル重合
を行って吸水性複合体を得た。得られた吸水性複合体を
大過剰の純水中に浸漬し、吸水性ポリマーの含水量をそ
の飽和吸水量70%に調整した。得られた含水吸水性複
合体を電子レンジで乾燥して、本発明の吸水性複合体(
9)を得た。このものの吸収量は25g/gで、ガーレ
ー剛性は31mgfNであった。一方、未処理のものの
ガーレー剛性は320mgfNであった。
【0035】−実施例10− 本発明の吸水性複合体(9)をポリエチレンフィルムと
端部でヒートシールすることによって一方が水不透過性
の吸水性ラミネート(以下、「吸水性複合体(10)」
と言う)を作成した。吸水性複合体(10)を水道水中
に1分間浸漬したのち冷蔵庫で凍らせて、保冷材を作成
した。得られた保冷材は、紙の間に吸水性ポリマーをサ
ンドイッチしたシートを使用した従来のものに比較して
簡略な構造でしかも吸水性ポリマーの脱落・片寄り・移
動のないすこぶる良好なものであった。更にポリエチレ
ンフィルムの材質を選ぶことによって凍結時の保冷材同
志の凍結結着を防止できた。
【0036】−実施例11− メチレンビスアクリルアミド2.0モル%、過硫酸ナト
リウム0.5g/モルおよびヒドロキシエチルセルロー
ス2重量%(対アクリル酸ナトリウムモノマー)を溶解
したpH5.2に調整したアクリル酸ナトリウムモノマ
ーの37重量%水溶液中に坪量25g/m2のポリエス
テルスパンボンド不織布を含浸し、基材に対するモノマ
ー水溶液の付着量を500重量%として該モノマーのラ
ジカル重合を行って吸水性複合体を得た。得られた吸水
性複合体を大過剰の水道水中に浸漬し、吸水性ポリマー
の含水量をその飽和吸水量の85%に調整した。得られ
た含水吸水性複合体を一晩風乾して本発明の吸水性複合
体(11)を得た。このものの吸収量は12g/gで3
0mgfNであった。このものは結露防止材として有用
であった。
【0037】−実施例12− メチレンビスアクリルアミド1.0モル%および2、2
’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.5
g/モルを溶解したpH4.7に調整したスルホエチル
メタクリレート・ナトリウム塩モノマーの43重量%水
溶液中に坪量25g/m2のポリエステルスパンボンド
不織布を含浸し、基材に対するモノマー水溶液の付着量
を500重量%として該モノマーのラジカル重合を行っ
て吸水性複合体を得た。得られた吸水性複合体を大過剰
の水道水中に浸漬し、吸水性ポリマーの含水量をその飽
和吸水量の40%に調整した。得られた含水吸水性複合
体を80℃で減圧乾燥して本発明の吸水性複合体(12
)を得た。このものの吸収量は8g/gでガーレー剛性
は36mgfNであった。このものはケーブル用止水材
として有用であった。
【0038】−比較例6− pH5.7に調整したアクリル酸ナトリウムの43重量
%水溶液に、坪量40g/m2のパルプ不織布を含浸し
、基材に対するモノマー水溶液の付着量を500重量%
とした後、4メガラッドの電子線を照射しモノマーを重
合せしめて比較吸水性複合体(6)を得た(図3参照)
。 このものの吸収量は3.7g/g、ガーレー剛性は45
6mgfNであった。
【0039】−比較例7− 比較吸水性複合体(6)を大過剰の水道水中に浸漬し、
吸水性ポリマーの含水量を飽和吸水量の85%としたの
ち、このものを電子レンジ中で乾燥して比較吸水性複合
体(7)を得た(図4参照)。このものの吸収量は5.
3g/g、ガーレー剛性は423mgfNであった。電
子線重合したものは本発明の処理では柔軟化が不十分で
ある。
【0040】−実施例13− メチレンビスアクリルアミド0.08モル%(対アクリ
ル酸ナトリウムモノマー)よび過硫酸ナトリウム0.0
8g/モル(対アクリル酸ナトリウムモノマー)を溶解
したpH5.6に調整したアクリル酸ナトリウムの43
重量%水溶液に、坪量90g/m2の発砲ポリウレタン
を含浸し、基材に対するモノマー水溶液の付着量を38
0重量%としてモノマーのラジカル重合を行った。得ら
れた吸水性複合体を過剰の水に浸漬して、ポリマーの含
水量をその飽和吸水量の80%に調整し、得られた含水
吸水性複合体を乾燥して本発明の吸水性複合体(13)
を得た。このものの吸収量は15g/gでガーレー剛性
は250mgfNであった。このものは使い捨てトレー
ニングパンツの吸収体として有用であった。
【0041】−実施例14− メチレンビスアクリルアミド2.0モル%(対アクリル
酸ナトリウムモノマー)および過硫酸ナトリウム0.5
g/モル(対アクリル酸ナトリウムモノマー)を溶解し
たpH5.6に調整したアクリル酸ナトリウムの43重
量%水溶液に、坪量90g/m2の発砲ポリウレタンを
含浸し、基材に対するモノマー水溶液の付着量を600
重量%としてモノマーのラジカル重合を行った。得られ
た吸水性複合体を過剰の水に浸漬して、ポリマーの含水
量をその飽和吸水量の54%に調整し、得られた含水吸
水性複合体を乾燥して本発明の吸水性複合体(14)を
得た。このものの吸収量は11g/gでガーレー剛性は
250mgfNであった。このものは含水させた状態で
防音・防振材として有用であった。
【0042】上記実施例および比較例では、80℃で十
分乾燥したものを使用して吸収量とガーレー剛性を測定
したが、通常の使用条件下でも実施例の方が対応する比
較例よりも柔軟であった。
【0043】
【発明の効果】この発明の柔軟化された吸水性複合体は
、柔軟であって、しかも、膨潤時にも吸水性ポリマーの
脱落がなく、吸水能に優れている。この発明の柔軟化さ
れた吸水性複合体の製造方法は、そのような吸水性複合
体を、基材の材質やポリマー量に関わらずに、機械的処
理に頼ることなく、簡便に作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ラジカル重合による吸水性ポリマーの処理後の
、繊維への固着状態を表す電子顕微鏡写真である。
【図2】ラジカル重合による吸水性ポリマーの処理前の
、繊維への固着状態を表す電子顕微鏡写真である。
【図3】電子線重合による吸水性ポリマーの処理前の、
繊維への固着状態を表す電子顕微鏡写真である。
【図4】電子線重合による吸水性ポリマーの処理後の、
繊維への固着状態を表す電子顕微鏡写真である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  基材に固着された吸水性ポリマーが基
    材との接着部を部分的に残しながら破断されてなる、柔
    軟化された吸水性複合体。
  2. 【請求項2】  水溶性エチレン性不飽和モノマーおよ
    びラジカル重合開始剤を含有する水溶液を基材に施し重
    合させることにより得られた吸水性複合体の吸水性ポリ
    マーをその飽和吸水量の25重量%以上まで吸水させ乾
    燥させる、柔軟化された吸水性複合体の製造方法。
JP8142291A 1991-03-19 1991-03-19 柔軟化された吸水性複合体およびその製造方法 Pending JPH04292607A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018184825A (ja) * 2017-04-26 2018-11-22 ユニチカ株式会社 コンクリート養生シート

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JP2018184825A (ja) * 2017-04-26 2018-11-22 ユニチカ株式会社 コンクリート養生シート

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