JP6930242B2 - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本明細書は、半導体装置及びその製造方法に関する。
半導体装置には、絶縁のほか、表面保護、封止、配線被覆、放熱等を目的として、また、プリント基板などの絶縁性基材などとして種々の絶縁性材料が用いられている。従来、半導体装置の絶縁性材料としては、ポリイミドやエポキシ樹脂などの樹脂材料が用いられてきている。
近年、GaNやSiCなどを半導体として用いたパワー半導体装置を、200℃以上の高温で作動させるための優れた耐熱性、絶縁耐圧性を備える絶縁性樹脂材料が求められるようになってきている。また、こうした樹脂材料には、さらに、良好な充填加工性、強度、絶縁性等を長期にわたって実現することも求められるようになってきている。
シルセスキオキサンは、主鎖骨格がSi−O結合からなり、[R(SiO3/2)](Rは有機基を表す。)という、ケイ素原子1個に対して1.5個の酸素原子を有する構造単位(以下、T単位ともいう。)のみからなるポリシロキサンである。シルセスキオキサンは、無機シリカ(SiO2)と、シリコーン樹脂(R2SiO2/2)とに基づく中間的な特性を有していると考えられている。
一方、光半導体装置の封止樹脂材料として、光による着色を抑制するために、シルセスキオキサンを含む硬化性樹脂組成物が用いられている(特許文献1〜3)。また、シルセスキオキサンを含む硬化性樹脂組成物が、層間絶縁膜材料として用いられる場合もある(特許文献4)。
国際公開第2011/145638号パンフレット 特開2014−31522号公報 特開2017−75216号公報 特開2012−9796号公報
これまでシルセスキオキサンは、あくまで、100℃〜200℃で触媒存在下又は触媒非存在下において、ラジカル反応、ヒドロシリル化反応やアルコキシシリル基の重縮合反応などにより硬化させて使用されていたに過ぎなかった。
一方、本発明者らによれば、少なくともT単位、すなわち、[R(SiO3/2)]を有し、アルコキシシリル基とヒドロシリル化反応可能な基とを有するシルセスキオキサン誘導体の硬化物は、例えば、400℃以上の高温であっても極めて優れた耐熱性を備えるほか、重量変化がほとんどなかった。このため、本発明者らは、かかるシルセスキオキサン誘導体の硬化物における組成や特性の変化や特性の向上等を想定することができなかった。
本明細書は、耐熱性に優れる絶縁要素を備える半導体装置及びその製造方法を提供する。
本発明者らは、シルセスキオキサン誘導体の熱処理温度を種々に検討した結果、意外にも、シルセスキオキサン誘導体が有するアルコキシシリル基及び/又はヒドロシリル基の部分的架橋を伴う高温での硬化物が、良好な耐熱性及び絶縁耐圧のほか、良好な線膨張係数などを備えるようになるという知見を得た。耐熱性や絶縁耐圧とともにかかる特性を兼ね備えることは、半導体装置における絶縁要素により好適である。本明細書によれば、かかる知見に基づいて、以下の手段が提供される。
[1]半導体装置であって、
前記半導体装置における絶縁要素にシルセスキオキサン誘導体の硬化物を含み、
前記シルセスキオキサン誘導体は、ヒドロシリル基、炭素−炭素不飽和結合及びアルコキシシリル基を有するシルセスキオキサン誘導体を含む、半導体装置。
[2]前記硬化物は、前記アルコキシシリル基の重縮合及び/又は炭素−炭素不飽和結合のヒドロシリル化による前記シルセスキオキサン誘導体の一次硬化物を400℃以上の温度で熱処理して得られる二次硬化物である、[1]に記載の半導体装置。
[3]前記熱処理の温度は、500℃以上である、[2]に記載の半導体装置。
[4]前記熱処理の温度は、800℃以下である、[2]又は[3]に記載の半導体装置。
[5]前記シルセスキオキサン誘導体は、以下の式(1)で表される、[1]〜[4]のいずれかに記載の半導体装置。
Figure 0006930242
〔式中、Aは、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基であり、R1は炭素原子数1〜20のアルキレン基、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基、及び炭素原子数3〜20の2価の脂環族基から選択される少なくとも1種であり、nは0又は1であり、R2は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、及び、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基(1分子中のR2は同一でも異なっていてもよい。)から選択される少なくとも1種であり、R3は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、及び、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基から選択される少なくとも1種であり、R4は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、及び、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基(1分子中のR4は同一でも異なっていてもよい。)から選択される少なくとも1種であり、R5は水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基であり、v及びzは正の数であり、u、w、x及びyは0又は正の数であり、w、x及びyのうち少なくとも1つは正の数であり、0≦u/(v+w+x+y)≦2であり、0≦x/(v+w)≦2であり、0≦y/(v+w)≦2であり、0≦z/(v+w+x+y)≦1である。但し、w=0のとき、R2、R3及びR4のいずれか1つはヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基である。〕
[6]前記硬化物の比誘電率は、3.0以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載の半導体装置。
[7]前記硬化物の絶縁破壊電圧は、10kV/mm以上である、[1]〜[6]のいずれかに記載の半導体装置。
[8]前記硬化物の線膨張係数は、100ppm/℃(100℃〜300℃)以下である、[1]〜[7]のいずれかに記載の半導体装置。
[9]前記硬化物の線熱膨張係数は、50ppm/℃(100℃〜300℃)以下である、[1]〜[8]のいずれかに記載の半導体装置。
[10]前記硬化物の熱拡散係数は、0.1mm2/s以上である、[1]〜[9]のいずれかに記載の半導体装置。
[11]半導体装置の製造方法であって、
前記半導体装置の絶縁要素となる部位に、ヒドロシリル基、炭素−炭素不飽和結合及びアルコキシシリル基を有するシルセスキオキサン誘導体を含む絶縁性材料を供給する供給工程と、
前記シルセスキオキサン誘導体を硬化させる硬化工程と、
を備える、製造方法。
[12]前記硬化工程は、前記アルコキシシリル基の重縮合及び/又は炭素−炭素不飽和結合のヒドロシリル化によって一次硬化させて一次硬化物を得る一次硬化工程と、前記一次硬化物をさらなる熱処理によって硬化させて二次硬化物を得る二次硬化工程と、を含む、[11]に記載の製造方法。
[13]前記二次硬化工程は、前記一次硬化物を400℃以上の温度で熱処理する工程である、[12]に記載の製造方法。
[14]半導体装置の製造方法であって、
前記半導体装置の絶縁要素となる部位に、ヒドロシリル基、炭素−炭素不飽和結合及びアルコキシシリル基を有するシルセスキオキサン誘導体の硬化物であって、前記アルコキシシリル基の重縮合及び/又は、炭素−炭素不飽和結合のヒドロシリル化による前記シルセスキオキサン誘導体の一次硬化物を含む絶縁性材料を供給する供給工程と、
前記一次硬化物をさらなる熱処理によって硬化させて二次硬化物を得る二次硬化工程と、
を備える、製造方法。
本明細書は、シルセスキオキサン誘導体の硬化物を含む絶縁要素を備える半導体装置及びその製造方法を開示する。本明細書に開示される半導体装置によれば、絶縁要素が、所定の条件で硬化されて得られるシルセスキオキサン誘導体の硬化物(以下、単に、本硬化物ともいう。)を含むため、例えば、高温の作動温度域においても安定した作動を確保できる半導体装置を提供することができる。本硬化物は、優れた耐熱性のほか、良好な絶縁性、絶縁破壊電圧、熱膨張性及び熱拡散性などを備えるために、半導体装置における絶縁要素として好適である。
また、本硬化物の前駆体としてのシルセスキオキサン誘導体は、溶媒によらなくてもそれ自体低粘度に制御可能であるため、半導体装置に適用するのにも好適である。また、シルセスキオキサン誘導体は、その粘度の低さから、必要に応じて種々の成分、例えば、フィラー等を多量に配合することができるため、これらの成分により特性の改変も容易である。
また、本硬化物は、例えば、キャスティング等によりフィルム、シートなどの形態に容易に成形可能であり、半導体装置への適用にあたって有用な場合がある。
本明細書において、炭素−炭素不飽和結合は、炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合を意味する。また、本明細書において、半導体装置とは、特に限定するものではないが、例えば、電力変換や電力制御などに利用するいわゆるパワー半導体装置が挙げられる。パワー半導体装置に使用される素子や制御回路は特に限定するものではなく、公知の種々の素子や制御回路を包含している。また、本明細書における半導体装置は、単に素子や制御回路のみならず、放熱や冷却等のためのユニットを備える半導体モジュールも包含している。
また、半導体装置における絶縁要素とは、半導体装置において絶縁性、典型的には電流遮断性が求められる構成部分を包含する。また、絶縁要素は、半導体装置において少なくとも絶縁性の確保が要請されるものであればよく、表面保護、封止、素子分離、配線被覆、放熱、冷却等などを目的とする構成部分であってもよい。かかる絶縁要素としては、特に限定するものではないが、例えば、種々の形態の絶縁層、絶縁膜、絶縁性フィルム、絶縁性基板などが挙げられる。絶縁層としては、例えば、パワー半導体装置などの半導体装置に付加される放熱要素や冷却要素と当該半導体装置との間に介在させる絶縁層、絶縁性シート、絶縁性基材(基板)、パワー半導体装置などの半導体装置の封止層や封止用シート又はフィルム等が挙げられる。
以下、本明細書に開示される半導体装置及び製造方法の実施形態について、詳細に説明する。なお、説明の都合上、シルセスキオキサン及び本硬化物についてまず説明する。
(シルセスキオキサン誘導体)
シルセスキオキサンとは、主鎖骨格がSi−O結合からなるポリシロキサン[R(SiO3/2)](T単位ともいう。Rは有機基を表す。)をいう。本明細書におけるシルセスキオキサン誘導体とは、シルセスキオキサンを特徴づけるT単位を少なくとも有し、ヒドロシリル基、炭素−炭素不飽和結合及びアルコキシシリル基を有するポリシロキサンを含む化合物である。以下、かかるシルセスキオキサン誘導体について説明する。
ヒドロシリル基、炭素−炭素不飽和結合及びアルコキシシリル基を有するシルセスキオキサンは、例えば、構成単位(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)、(1−5)及び(1−6)を備える以下の式(1)で表すことができる。式(1)におけるu、v、w、x、y及びzは、それぞれの構成単位のモル量を表す。なお、式(1)において、u、v、w、x、yおよびzは、シルセスキオキサン1分子が含有する各構成単位のモル数の割合の平均値を意味する。各構成単位の式には、構成単位のモル量を併せて示す。
式(1)における構成単位(1−3)〜(1−6)のそれぞれについては、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。また、実際のシルセスキオキサン誘導体分子内の構成単位の縮合形態は、必ずしも式(1)の配列順通りでなくてよい。
Figure 0006930242
Figure 0006930242
シルセスキオキサン誘導体は、式(1)における6つの構成単位、すなわち、構成単位(1−1)、構成単位(1−2)、構成単位(1−3)、構成単位(1−4)、構成単位(1−5)及び構成単位(1−6)から選択される構成単位を、ヒドロシリル基、炭素−炭素不飽和結合及びアルコキシシリル基を含むように組み合わせて備えることができる。すなわち、ヒドロシリル基を含む構成単位として構成単位(1−2)、構成単位(1−4)及び構成単位(1−5)からなる群から選択される1種又は2種以上の構成単位を備え、炭素−炭素不飽和結合を含む構成単位として構成単位(1−3)、構成単位(1−4)及び構成単位(1−5)からなる群から選択される1種又は2種以上を備え、さらに、アルコキシ基を含む構成単位(1−6)を少なくとも備えることができる。
例えば、式(1)において、v及びzは正の数であり、u、w、x及びyは0又は正の数であり、w、x及びyのうち少なくとも1つは正の数である。
<構成単位(1−1)>
式(1)として表されるシルセスキオキサン誘導体における構成単位(1−1)の個数は特に限定するものではない。
<構成単位(1−2)>
構成単位(1−2)は、ヒドロシリル基を含んでいる。式(1)として表されるシルセスキオキサン誘導体の実際の一分子における構成単位(1−2)の個数は、特に限定するものではないが、例えば、好ましくは5以上100以下、より好ましくは6以上80以下、更に好ましくは7以上60以下、特に好ましくは8以上40以下である。
<構成単位(1−3)>
構成単位(1−3)に含まれるAは、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基を表す。すなわち、この有機基Aは、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合を持つ官能基である。かかる有機基Aの具体例としては、特に限定するものではないが、例えば、ビニル基、オルトスチリル基、メタスチリル基、パラスチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、フェニルエテニル基、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−ペンチニル基、3−メチル−1−ブチニル基、フェニルブチニル基等が例示される。
式(1)で表されるシルセスキオキサン誘導体は、全体として有機基Aを2個以上含むことができるが、その場合、全ての有機基Aは、互いに同一であってよいし、異なってもよい。また、複数の有機基Aが同一であり、異なる有機基Aを含んでもよい。有機基Aとしては、構成単位(1−3)を形成する原料モノマーが得やすいことから、炭素原子数が少ないビニル基及び反応性の良好なパラスチリル基が好ましい。炭素原子数が少ないことは、本硬化物を無機部分の割合を高くし、耐熱性の優れたものにすることができる。尚、無機部分とは、SiO(シロキサン)部分を意味する。
構成単位(1−3)において、R1は、炭素原子数1〜20のアルキレン基(2価の脂肪族基)、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基又は炭素原子数3〜20の2価の脂環族基から選択される少なくとも1種を表す。炭素原子数1〜20のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基、n−ブチレン基、i−ブチレン基等が例示される。炭素原子数6〜20の2価の芳香族基としてはフェニレン基、ナフチレン基等が例示される。また、炭素原子数3〜20の2価の脂環族基としては、ノルボルネン骨格、トリシクロデカン骨格又はアダマンタン骨格を有する2価の炭化水素基等が例示される。
また、構成単位(1−3)において、nは0又は1である。炭素原子数が少ないほうが硬化被膜の耐熱性が高くなるので、n=0が好ましい。
式(1)として表されるシルセスキオキサン誘導体の実際の一分子における構成単位(1−3)の個数は、特に限定するものではないが、例えば、好ましくは0以上40以下、より好ましくは0以上30以下、更に好ましくは0以上20以下、特に好ましくは0以上10以下である。
<構成単位(1−4)>
構成単位(1−4)において、R2は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、及び、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基から選択される少なくとも1種を表す。
2におけるアルキル基は、脂肪族基及び脂環族基のいずれでもよく、また、直鎖状及び分岐状のいずれでもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。R2におけるヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基は、既述の有機基Aと同義であり、既に説明した有機基Aに含まれる各種態様が含まれる。
構成単位(1−4)に含まれる複数のR2は同種であってよく、異っていてもよい。R2としては、炭素原子数が少なく、本硬化物が耐熱性に優れることから、水素原子、メチル基及びビニル基が好ましい。
式(1)として表されるシルセスキオキサン誘導体の実際の一分子における構成単位(1−4)の個数は、特に限定するものではないが、例えば、好ましくは0以上40以下、より好ましくは0以上30以下、更に好ましくは0以上20以下、特に好ましくは0以上10以下である。
<構成単位(1−5)>
構成単位(1−5)において、R3は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、及び、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基から選択される少なくとも1種を表す。
3におけるアルキル基は、構成単位(1−4)中のR2と同義であり、既述の各種具体例を包含することができる。R3におけるヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基は、既述の有機基Aと同義であり、既に説明した有機基Aに含まれる各種態様が含まれる。R3としては、シルセスキオキサン誘導体の硬化反応に参加でき、炭素原子数が少なく、本硬化物が耐熱性に優れることから、水素原子及びビニル基が好ましい。
構成単位(1−5)において、R4は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、及び、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基から選択される少なくとも1種である。R4におけるアルキル基は、構成単位(1−4)中のR2と同義であり、既述の各種具体例を包含することができる。また、R4におけるヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基は、既述の有機基Aと同義であり、既に説明した有機基Aに含まれる各種態様が含まれる。構成単位(1−5)に含まれる複数のR4は同種であってよく、異ってもよい。R4としては、良好な反応性や炭素原子数が少ないということから、水素原子、メチル基及びビニル基が好ましく、原料モノマーや中間製品の扱いやすさの面からメチル基が特に好ましい。
式(1)として表されるシルセスキオキサン誘導体の実際の一分子における構成単位(1−5)の個数は、特に限定するものではないが、例えば、好ましくは0.1以上50以下、より好ましくは0.5以上30以下、更に好ましくは1以上20以下、特に好ましくは2以上10以下である。
<構成単位(1−6)>
構成単位(1−6)において、R5は水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基であり、脂肪族基及び脂環族基のいずれでもよく、また、直鎖状及び分岐状のいずれでもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
構成単位(1−6)は、後述する原料モノマーに含まれる加水分解性基であるアルコキシ基、又は、反応溶媒に含まれたアルコールが、原料モノマーの加水分解性基と置換して生成したアルコキシ基であって、加水分解・重縮合せずに分子内に残存したものであるか、あるいは、加水分解後、重縮合せずに分子内に残存した水酸基である。
式(1)として表されるシルセスキオキサン誘導体の実際の一分子における構成単位(1−6)の個数は、特に限定するものではないが、例えば、好ましくは0.1以上20以下、より好ましくは0.2以上10以下、更に好ましくは0.3以上8以下、特に好ましくは0.5以上5以下である。
式(1)における各構成単位のモル量である、u、v、w、x及びyの関係は、式(1)で表されるシルセスキオキサン誘導体が、ヒドロシリル基、炭素−炭素不飽和結合及びアルコキシシリル基を有する限り、特に限定するものではないが、例えば、0≦u/(v+w+x+y)≦2であり、より好ましくは0≦u/(v+w+x+y)≦1.5、更に好ましくは0≦u/(v+w+x+y)≦1、特に好ましくは0≦u/(v+w+x+y)≦0.8である。u/(v+w+x+y)が大きすぎると、シルセスキオキサン誘導体がゲル化する傾向にあるか、もしくは保存安定性が低下する傾向にある。
式(1)において、v、w及びxの関係は、特に限定するものではないが、例えば、0≦x/(v+w)≦2であり、より好ましくは0≦x/(v+w)≦1、更に好ましくは0≦x/(v+w)≦0.7、特に好ましくは0≦x/(v+w)≦0.5である。x/(v+w)が大きすぎると、無触媒下で加熱した場合に、得られる本硬化物の耐熱性が低下する傾向にある。
式(1)において、v、w及びyの関係は、特に限定するものではないが、例えば、0≦y/(v+w)≦2であり、より好ましくは0≦y/(v+w)≦1、更に好ましくは0≦y/(v+w)≦0.7、特に好ましくは0≦y/(v+w)≦0.4である。y/(v+w)が大きすぎると、無触媒下で加熱した場合に、得られる本硬化物の耐熱性が低下する傾向にある。
式(1)において、v、w、x、y及びzの関係は、特に限定するものではないが、例えば、0.01≦z/(v+w+x+y)≦1であり、より好ましくは0.02≦z/(v+w+x+y)≦0.5、特に好ましくは0.03≦z/(v+w+x+y)≦0.3である。z/(v+w+x+y)が小さすぎると、無触媒下で加熱した場合に、硬化性が低下する傾向にある。一方、z/(v+w+x+y)が大きすぎると、シルセスキオキサン誘導体の保存安定性が低下する傾向にあるか、加熱した場合に、得られる本硬化物の耐熱性が低下する傾向にある。
式(1)において、w=0のとき、R2、R3及びR4の少なくとも1つは、ヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基である。上記式(1)におけるv、w、x、y及びzが上記条件を満たすシルセスキオキサン誘導体は、低粘度であって取り扱い作業性に優れ、均一で平滑で耐熱性に優れた硬化被膜を形成することができる。
<分子量等>
シルセスキオキサン誘導体の数平均分子量は、300〜30,000の範囲にあることが好ましい。かかるシルセスキオキサンは、それ自体低粘性であり、有機溶剤に溶け易く、その溶液の粘度も扱い易く、保存安定性に優れる。数平均分子量は、より好ましくは500〜15,000、更に好ましくは700〜10,000、特に好ましくは1,000〜5,000である。数平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)により、例えば、後述の〔実施例〕における測定条件で、標準物質としてポリスチレンを使用して求めることができる。
シルセスキオキサン誘導体は、液状であって、25℃における粘度が30,000mPa・s以下であることが好ましく、10,000mPa・s以下であることがより好ましく、5,000mPa・s以下であることが更に好ましく、3,000mPa・s以下であることが特に好ましく、1,000mPa・s以下であることが特に好ましい。但し、上記粘度の下限は、通常、1mPa・sである。
<シルセスキオキサン誘導体の製造方法>
シルセスキオキサン誘導体は、公知の方法で製造することができる。シルセスキオキサン誘導体の製造方法は、国際公開第2005/01007号パンフレット、同第2009/066608号パンフレット、同第2013/099909号パンフレット、特開2011−052170号公報、特開2013−147659号公報等においてポリシロキサンの製造方法として詳細に開示されている。
シルセスキオキサン誘導体は、例えば、以下の方法で製造することができる。すなわち、シルセスキオキサン誘導体の製造方法は、適当な反応溶媒中で、縮合により、上記式(1)中の構成単位を与える原料モノマーの加水分解・重縮合反応を行う縮合工程を備えることができる。この縮合工程においては、構成単位(1−1)を形成する、シロキサン結合生成基を4個有するケイ素化合物(以下、「Qモノマー」という。)と、構成単位(1−2)及び(1−3)を形成する、シロキサン結合生成基を3個有するケイ素化合物(以下、「Tモノマー」という。)と、構成単位(1−4)を形成する、シロキサン結合生成基を2個有するケイ素化合物(以下、「Dモノマー」という。)と、シロキサン結合生成基を1個有する構成単位(1−5)を形成する、ケイ素化合物(以下、「Mモノマー」という。)とを用いることができる。
本明細書において、具体的には、構成単位(1−2)を形成するTモノマーと、構成単位(1−3)を形成するTモノマー、構成単位(1−4)を形成するDモノマー、及び、構成単位(1−5)を形成するMモノマーの少なくとも1つとが用いられる。原料モノマーを、反応溶媒の存在下に、加水分解・重縮合反応させた後に、反応液中の反応溶媒、副生物、残留モノマー、水等を留去させる留去工程を備えることが好ましい。
原料モノマーであるQモノマー、Tモノマー、Dモノマー又はMモノマーに含まれるシロキサン結合生成基は、水酸基又は加水分解性基である。このうち、加水分解性基としては、ハロゲノ基、アルコキシ基等が挙げられる。Qモノマー、Tモノマー、Dモノマー及びMモノマーの少なくとも1つは、加水分解性基を有することが好ましい。縮合工程において、加水分解性が良好であり、酸を副生しないことから、加水分解性基としては、アルコキシ基が好ましく、炭素原子数1〜3のアルコキシ基がより好ましい。
縮合工程において、各々の構成単位に対応するQモノマー、Tモノマー又はDモノマーのシロキサン結合生成基はアルコキシ基であり、Mモノマーに含まれるシロキサン結合生成基はアルコキシ基又はシロキシ基であることが好ましい。また、各々の構成単位に対応するモノマーは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いることができる。
構成単位(1−1)を与えるQモノマーとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。構成単位(1−2)を与えるTモノマーとしては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、トリクロロシラン等が挙げられる。構成単位(1−3)を与えるTモノマーとしては、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、(p−スチリル)トリメトキシシラン、(p−スチリル)トリエトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリエトキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)トリエトキシシラン等が挙げられる。構成単位(1−4)を与えるDモノマーとしては、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジエチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、ジプロポキシジメチルシラン、ジプロポキシジエチルシラン、ジメトキシベンジルメチルシラン、ジエトキシベンジルメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、ジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン等が挙げられる。構成単位(1−5)を与えるMモノマーとしては、加水分解により2つの構成単位(1−5)を与えるヘキサメチルジシロキサンの他に、ヘキサエチルジシロキサン、ヘキサプロピルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、メトキシジメチルシラン、エトキシジメチルシラン、メトキシジメチルビニルシラン、エトキシジメチルビニルシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、メトキシジメチルフェニルシラン、エトキシジメチルフェニルシラン、クロロジメチルシラン、クロロジメチルビニルシラン、クロロトリメチルシラン、ジメチルシラノール、ジメチルビニルシラノール、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール、トリプロピルシラノール、トリブチルシラノール等が挙げられる。構成単位(1−6)を与える有機化合物としては、2−プロパノール、2−ブタノール、メタノール、エタノール等のアルコールが挙げられる。
縮合工程においては、反応溶媒としてアルコールを用いることができる。アルコールは、一般式R−OHで表される、狭義のアルコールであり、アルコール性水酸基の他には官能基を有さない化合物である。特に限定するものではないが、かかる具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、2−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、シクロペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、2−エチル−2−ブタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、シクロヘキサノール等が例示できる。これらの中でも、イソプロピルアルコール、2−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノール、シクロペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、3−メチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール等の第2級アルコールが用いられる。縮合工程においては、これらのアルコールを1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。より好ましいアルコールは、縮合工程で必要な濃度の水を溶解できる化合物である。このような性質のアルコールは、20℃におけるアルコールの100gあたりの水の溶解度が10g以上の化合物である。
縮合工程で用いるアルコールは、加水分解・重縮合反応の途中における追加投入分も含めて、全ての反応溶媒の合計量に対して0.5質量%以上用いることで、生成するシルセスキオキサン誘導体のゲル化を抑制することができる。好ましい使用量は1質量%以上60質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以上40質量%以下である。
縮合工程で用いる反応溶媒は、アルコールのみであってよいし、さらに、少なくとも1種類の副溶媒との混合溶媒としても良い。副溶媒は、極性溶剤及び非極性溶剤のいずれでもよいし、両者の組み合わせでもよい。極性溶剤として好ましいものは炭素原子数3若しくは7〜10の第2級又は第3級アルコール、炭素原子数2〜20のジオール等である。尚、副溶媒として第1級アルコールを用いる場合には、その使用量を、反応溶媒全体の5質量%以下にすることが好ましい。好ましい極性溶剤は、工業的に安価に入手できる2−プロパノールであり、2−プロパノールと、本発明に係るアルコールとを併用することにより、本発明に係るアルコールが加水分解工程で必要な濃度の水を溶解できないものである場合でも、極性溶剤と共に必要量の水を溶解でき、本発明の効果を得ることができる。好ましい極性溶剤の量は、本発明に係るアルコールの1質量部に対して20質量部以下であり、より好ましくは1〜20質量部、特に好ましくは3〜10質量部である。
非極性溶剤としては、特に限定するものではないが、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素、アルコール、エーテル、アミド、ケトン、エステル、セロソルブ等が挙げられる。これらの中では、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素及び芳香族炭化水素が好ましい。こうした非極性溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、n−ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、塩化メチレン等が、水と共沸するので好ましく、これらの化合物を併用すると、縮合工程後、シルセスキオキサン誘導体を含む反応混合物から、蒸留によって反応溶媒を除く際に、水分を効率よく留去することができる。非極性溶剤としては、比較的沸点が高いことから、芳香族炭化水素であるキシレンが特に好ましい。非極性溶剤の使用量は、本発明に係るアルコールの1質量部に対して50質量部以下であり、より好ましくは1〜30質量部、特に好ましくは5〜20質量部である。
縮合工程における加水分解・重縮合反応は、水の存在下に進められる。原料モノマーに含まれる加水分解性基を加水分解させるために用いられる水の量は、加水分解性基に対して好ましくは0.5〜5倍モル、より好ましくは1〜2倍モルである。また、原料モノマーの加水分解・重縮合反応は、無触媒で行ってもよいし、触媒を使用して行ってもよい。触媒を用いる場合は、通常、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、シュウ酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸に例示される酸触媒が好ましく用いられる。酸触媒の使用量は、原料モノマーに含まれるケイ素原子の合計量に対して、0.01〜20モル%に相当する量であることが好ましく、0.1〜10モル%に相当する量であることがより好ましい。
縮合工程における加水分解・重縮合反応の終了は、既述の各種公報等に記載される方法にて適宜検出することができる。なお、シルセスキオキサン誘導体の製造の縮合工程においては、反応系に助剤を添加することができる。例えば、反応液の泡立ちを抑える消泡剤、反応罐や撹拌軸へのスケール付着を防ぐスケールコントロール剤、重合防止剤、ヒドロシリル化反応抑制剤等が挙げられる。これらの助剤の使用量は、任意であるが、好ましくは反応混合物中のシルセスキオキサン誘導体濃度に対して1〜100質量%程度である。
シルセスキオキサン誘導体の製造における縮合工程後、縮合工程より得られた反応液に含まれる反応溶媒及び副生物、残留モノマー、水等を留去させる留去工程を備えることにより、生成したシルセスキオキサン誘導体の安定性を向上させることができる。
<シルセスキオキサン誘導体の硬化物及びシルセスキオキサン誘導体の硬化方法>
シルセスキオキサン誘導体は、シルセスキオキサン誘導体中のアルコキシシリル基の加水分解・重縮合及び/又はシルセスキオキサン中のヒドロシリル基とヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基とのヒドロシリル化反応によって、架橋構造を有するシルセスキオキサン誘導体の硬化物(本硬化物)を得ることができる。本硬化物の製造は、無触媒であってもよいし、ヒドロシリル化反応用の触媒の使用を伴っていてもよい。硬化のために用いうる触媒については後段で詳述する。
本硬化物は、特に限定するものではないが、例えば、400℃以上の温度においてシルセスキオキサン誘導体中のアルコキシシリル基の加水分解・重縮合及び/又はシルセスキオキサン誘導体中のヒドロシリル基とヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基とのヒドロシリル化反応による架橋構造を備えることができる。400℃未満であると、未反応のアルコキシシリル基やヒドロシリル基が残存しやすくなる傾向があるからである。また、400℃以上の温度の熱処理において得られるこうした架橋構造を備えることで、耐熱性などのほか、半導体装置の絶縁要素として好適な熱膨張係数や熱拡散係数などを得ることができる。
熱処理温度は、耐熱性、熱膨張係数及び熱拡散係数の観点からは、また例えば450℃以上であり、また例えば500℃以上であり、また例えば550℃以上であり、また例えば600℃以上である。550℃以上であると、線膨張係数及び熱拡散係数が半導体装置の絶縁要素として一層好適なものとなる。550℃以上であると、線膨張係数及び熱拡散係数がさらに向上する。また、熱処理温度の上限も特に限定するものではないが、例えば、800℃以下であり、また例えば750℃以下であり、また例えば700℃以下であり、また例えば650℃以下である。また例えば600℃以下である。また、熱処理温度の好適な範囲は、上記下限温度及び上記上限温度のそれぞれを適宜組み合わせた範囲とすることができるが、例えば、500℃以上800℃以下であり、また例えば、550℃以上800℃以下であり、また例えば600℃以上800℃以下であり、また例えば550℃以上600℃以下である。550℃以上600℃以下の範囲では、線膨張係数が良好である。なお、かかる熱処理温度までの昇温速度は、特に限定するものではなく、例えば、5〜20℃/分などとすることができる。また、かかる熱処理温度における保持時間も特に限定するものではないが、例えば、0.1〜10時間であり、0.5〜5時間が好ましい。
本硬化物は、このようにシルセスキオキサン誘導体に対して触媒の存在下又は非存在下で、アルコキシシリル基及び/又はヒドロシリル基に基づく架橋反応を生じさせて得られる硬化物であればよく、シルセスキオキサン誘導体を一挙に上記温度で熱処理する硬化工程により本硬化物を取得してもよいが、安定した特性を発揮する本硬化物を取得する観点からは、以下に示すように、一次硬化工程及び二次硬化工程を含む二段階硬化工程を実施して取得することもできる。
<シルセスキオキサン誘導体の一次硬化物及び一次硬化方法>
シルセスキオキサン誘導体は、アルコキシシリル基及び/又はヒドロシリル基と炭素−炭素不飽和結合による架橋に基づく一次硬化物を得ることができる。かかる硬化物は、少なくともヒドロシリル基による架橋が部分的に生じている状態となっている。
シルセスキオキサン誘導体の一次硬化物を得るには、シルセスキオキサン誘導体をヒドロシリル化反応用触媒の非存在下において50℃以上200℃以下の温度で加熱する工程を実施することができる。また例えば、100℃以上150℃以下の温度で加熱する工程を実施してもよい。50℃以上200℃以下の温度範囲においては、硬化温度を一定としてもよいし、昇温及び/又は降温を組み合わせてもよい。50℃以上200℃以下の温度においては、主にアルコキシシリル基の反応(加水分解・重縮合反応)により一部硬化させて、架橋構造を形成する。また、ヒドロシリル化反応による架橋構造が一部形成される場合もある。かかる一次硬化により、二次硬化物の熱安定性がより向上することが挙げられる。
一次硬化物を得る一次硬化工程は、例えば、以下の方法で実施することができる。すなわち、板状基材や粒状基材などの所望の形状の基材の表面にシルセスキオキサン誘導体の塗膜を形成し、既述のように、50℃以上200℃以下の温度に加熱し、シルセスキオキサン誘導体塗膜を一部硬化させる。これによってシルセスキオキサン誘導体の流動性をなくし、必要に応じて、この積層物(シルセスキオキサン誘導体の一次硬化皮膜を備える板状基材や粒状基材)を加工等して、所望の形状としたりすることができる。
50℃以上200℃以下の温度で一次硬化させる場合の前段の硬化時間は、通常、0.1〜10時間であり、0.5〜5時間が好ましい。
また、ヒドロシリル基が架橋した一次硬化物を得るには、ヒドロシリル化反応用の触媒を使用することもできる。この場合は、比較的低い温度(例えば、室温〜200℃、好ましくは50℃〜150℃)で硬化できる。但し、得られるシルセスキオキサン誘導体の硬化物が未反応のアルコキシシリル基を有するものとなりやすい傾向がある。ヒドロシリル化反応用の触媒を使用する場合の硬化時間は、通常、0.05〜24時間であり、0.1〜5時間が好ましい。
ヒドロシリル化反応用の触媒としては、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金等の第8属から第10属金属の単体、有機金属錯体、金属塩、金属酸化物等が挙げられる。通常、白金系触媒が使用される。白金系触媒としては、cis−PtCl2(PhCN)2、白金カーボン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンが配位した白金錯体(Pt(dvs))、白金ビニルメチル環状シロキサン錯体、白金カルボニル・ビニルメチル環状シロキサン錯体、トリス(ジベンジリデンアセトン)二白金、塩化白金酸、ビス(エチレン)テトラクロロ二白金、シクロオクタジエンジクロロ白金、ビス(シクロオクタジエン)白金、ビス(ジメチルフェニルホスフィン)ジクロロ白金、テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金等が例示される。これらのうち、特に好ましくは1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンが配位した白金錯体(Pt(dvs))、白金ビニルメチル環状シロキサン錯体、白金カルボニル・ビニルメチル環状シロキサン錯体である。なお、Phはフェニル基を表す。触媒の使用量は、シルセスキオキサン誘導体の量に対して、0.1質量ppm〜1000質量ppmであることが好ましく、0.5〜100質量ppmであることがより好ましく、1〜50質量ppmであることが更に好ましい。
ヒドロシリル化反応用の触媒を使用する場合、触媒が添加されたシルセスキオキサン誘導体のゲル化抑制および保存安定性向上のため、ヒドロシリル化反応抑制剤が添加されてもよい。ヒドロシリル化反応抑制剤の例としては、メチルビニルシクロテトラシロキサン、アセチレンアルコール類、シロキサン変性アセチレンアルコール類、ハイドロパーオキサイド、窒素原子、イオウ原子またはリン原子を含有するヒドロシリル化反応抑制剤などが挙げられる。
(シルセスキオキサン誘導体の二次硬化物及び二次硬化方法>
シルセスキオキサン誘導体の二次硬化物は、一次硬化物に対してさらなる熱処理を付与することにより得ることができる。一次硬化物を熱処理する温度は、既に説明した本硬化を得るための熱処理のための温度に関する各種態様を採用することができる。本硬化物を得るための熱処理温度として既述した温度で硬化することにより耐熱性に優れるシルセスキオキサン誘導体の二次硬化物を得ることができる。
二次硬化のための熱処理時間は、特に限定するものではないが、例えば、通常、0.1〜10時間であり、0.5〜5時間が好ましい。
シルセスキオキサン誘導体の一次硬化及び二次硬化を含むシルセスキオキサン誘導体の硬化工程は、触媒の有無に関わらず、空気中で行われてもよいし、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気中で行ってもよく、また、減圧下で行ってもよい。但し、シルセスキオキサン誘導体中に存在するアルコキシシリル基の反応を促進するためには、アルコキシシリル基が加水分解反応できる程度に水分を含む雰囲気であることが好ましい。空気中であれば、空気に含まれる水分により、アルコキシシリル基の加水分解反応が進行し、また、ヒドロシリル基が酸素により酸化されてヒドロキシシリル基を生成するため、十分な硬化を進めることができる。一方、不活性ガス雰囲気下や減圧下では、酸化による体積変化などの影響を受けにくくなるため、クラックの少ない硬化物を得ることができる。シルセスキオキサン誘導体の硬化物の他の製造方法として、一次硬化は空気中で行い、二次硬化を空気中または窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気中または減圧下で行う方法が好ましい。
本硬化物の耐熱性は、示差熱熱重量同時測定装置(TG/DTA)などにより評価することができる。シルセスキオキサン誘導体をヒドロシリル化反応用の触媒を使用しないで硬化させて得られるシルセスキオキサン誘導体の硬化物は、1000℃での重量減少率を5%程度とすることができ、高耐熱性を示す。また、ヒドロシリル化反応用の触媒を使用しても、触媒量等の調節によって、硬化物の1000℃での重量減少率が10%程度とすることができ、高耐熱性を示す。
本硬化物は、こうした耐熱性のほか、半導体装置の絶縁要素として用いる特性を備えていることがわかった。本硬化物の比誘電率は、例えば、3.0以下とすることができる。なお、より好ましくは、2.5以下である。比誘電率は、例えば、70mm×70mm×2mmの銅板にシルセスキオキサン誘導体(触媒を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。以下、試験試料の作製に関し同様である。)をスピンコートで塗布後、硬化させて試験試料(70mm×70mm×2μm厚)を作製し、この試験試料につき、ブリッジ法により測定することができる。誘電率は、インピーダンスアナライザとしてHP4284A LCR(アジレント・テクノロジー株式会社製)又はその同等物を用いて、電極:HP16451B(アジレント・テクノロジー株式会社製)又はその同等物を用いて、以下の条件にて、測定を行うことができる。
<測定条件>
測定前処理:空気中(21±1℃、54±4%RH、96時間)
測定雰囲気:空気中(21℃、51%RH)
主電極直径:38mm
電極材料:導電性銀ペースト ドータイトD−500(藤倉化成株式会社製)
印加電圧:1.00V
周波数:1MHz
積算回数:256回
また、本硬化物の絶縁破壊電圧は、10kV/mm以上とすることができる。好ましくは、20kV/mm以上であり、より好ましくは30kV/mm以上であり、さらに好ましくは40kV/mm以上であり、なお好ましくは50kV/mm以上である。絶縁破壊電圧は、銅板などの導電性板上に、銀ペーストを塗布し、その上に、試験片(本硬化物(サイズ40mm×40mm×厚み450μm)を設置し、24時間空気中で放置する。その後、銅板において試験片以外の領域を絶縁体で被覆して、KIKUSUI Electronic Corp.TOS 8700,Withstanding Voltage Tester又はその同等物を用いて、交流5mAで、0Vから20V/secで昇圧し、通電した時の電圧を読み取ることで得ることができる。
本硬化物の線膨張係数は、100ppm/℃(100℃〜300℃)以下とすることができる。好ましくは、50ppm/℃(100℃〜300℃)以下であり、より好ましくは、20ppm/℃(100℃〜300℃)以下であり、さらに好ましくは、15ppm/℃(100℃〜300℃)以下である。また、本硬化物の線膨張係数は、50ppm/℃(200℃〜300℃)、20ppm/℃(200℃〜300℃)、15ppm/℃(200℃〜300℃)であってもよい。本硬化物は、より高温で無機化が進行するため線膨張係数が良好になる傾向がある。
線膨張係数は、例えば、1cm×1cm×2mm厚のサイズをくりぬいた型に、シルセスキオキサン誘導体を注いで硬化させて試験試料(1cm×1cm×2mm厚)を作製し、この試験試料につき、熱機械分析装置(TMA Q400、TA Instruments社製)又はその同等物を用いて、5℃/分で300℃まで加熱してN2雰囲気下、圧縮モードで測定することができる。
本硬化物の熱拡散係数は、0.1mm2/s以上とすることができる。好ましくは、0.2mm2/s以上であり、より好ましくは0.3mm2/s以上とすることができる。熱拡散係数は、例えば、13mm×13mm×1mm厚のサイズをくりぬいた型に、シルセスキオキサン誘導体を注いで硬化させて試験試料(13mm×13mm×1mm厚)を作製し、この試験試料につき、レーザフラッシュ法に基づく熱拡散率測定装置(例えば、LFA467、NETZSCH社製)又はその同等物を用いて測定することができる。本硬化物は、400℃以上の温度での熱処理、より好ましくは450℃以上、さらに好ましくは500℃以上、なお好ましくは550℃以上、一層好ましくは600℃以上の温度での熱処理により、アルコキシシリル基及び/又はヒドロシリル基に基づく架橋反応により、無機的な構造が増大すると考えられるため、従来のポリイミドやエポキシ樹脂に比較して優れた熱伝導性を備えることができる。
本硬化物は、これらの各種特性をいずれも備えていることが好適である。
シルセスキオキサン誘導体の一次硬化及び二次硬化を含むシルセスキオキサン誘導体の硬化は種々の形態で実施が可能である。例えば、シルセスキオキサン誘導体は、25℃における粘度が、30000mPa・s以下の液状物質であるので、一次硬化にあたって、基材に対してそのまま塗布することができるが、必要に応じて溶剤で希釈して使用することもできる。溶剤を使用する場合、シルセスキオキサン誘導体を溶解する溶剤が好ましく、その例としては、脂肪族系炭化水素溶剤、芳香族系炭化水素溶剤、塩素化炭化水素溶剤、アルコール溶剤、エーテル溶剤、アミド溶剤、ケトン溶剤、エステル溶剤、セロソルブ溶剤等の各種有機溶剤を挙げることができる。溶剤が使用された場合は、シルセスキオキサン誘導体の硬化のための加熱に先立って、塗布された膜に含まれる溶剤を揮発させることが好ましい。溶剤の揮発は空気中でなされてもよく、不活性ガス雰囲気中でなされてもよく、また、減圧下でなされてもよい。溶剤の揮発のため加熱してもよいが、その場合の加熱温度は、200℃未満が好ましく、50℃以上150℃以下がより好ましい。本硬化物の他の製造方法において、シルセスキオキサン誘導体を50℃以上200℃未満又は50℃以上150℃以下に加熱して一部硬化させ、これを溶剤の揮発工程とすることも可能である。
シルセスキオキサン誘導体は、硬化に供される際に、各種添加剤が添加されてもよい。添加剤の例としては、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン類(トリアルコキシシラン、トリアルコキシビニルシランなど)などの反応性希釈剤などが挙げられる。これら添加剤は、得られる本硬化物が耐熱性を損なわない範囲で使用される。
<半導体装置及びその製造方法>
本明細書に開示される半導体装置の製造方法は、前記半導体装置の絶縁要素となる部位に、ヒドロシリル基、炭素−炭素不飽和結合及びアルコキシシリル基を有するシルセスキオキサン誘導体を含む絶縁性材料を供給する供給工程と、前記混成物を硬化させる硬化工程と、を備えることができる。本製造方法は、半導体装置の絶縁要素となる部位に、シルセスキオキサン誘導体を供給し、その後、この混成物を熱処理して硬化させる工程を、半導体装置の製造工程中あるいはその後に実施する方法である。本製造方法によれば、シルセスキオキサン誘導体を液状等の形態で供給できるため、種々の形状や微細個所への適用が可能である。
供給工程における、シルセスキオキサン誘導体を絶縁要素となる部位への供給形態は、特に限定するものではないが、例えば、キャスト法、スピンコート法、バーコート法等の通常の塗工方法を用いることができる。
硬化工程におけるシルセスキオキサン誘導体の熱処理は、既に説明した本硬化物を取得するための種々の態様で実施することができる。すなわち、シルセスキオキサン誘導体を、半導体装置における優れた絶縁要素となる温度で熱処理することができ、一括硬化であってもよいし、二段階硬化であってもよい。例えば、硬化工程を、既述の一次硬化物を得る一次硬化工程と、一次硬化物をさらなる熱処理によって硬化させて二次硬化物を得る二次硬化工程とを含むように実施することで、より安定した特性の絶縁要素を半導体装置に付与することができる。
また、他の半導体装置の製造方法は、前記半導体装置の絶縁要素となる部位に、ヒドロシリル基、炭素−炭素不飽和結合及びアルコキシシリル基を有するシルセスキオキサン誘導体の硬化物であって、前記アルコキシシリル基の重縮合及び/又は、炭素−炭素不飽和結合のヒドロシリル化による前記シルセスキオキサン誘導体の一次硬化物を含む絶縁性材料を供給する供給工程と、前記一次硬化物をさらなる熱処理によって硬化させて二次硬化物を得る二次硬化工程と、を備えることができる。この方法によれば、一次硬化物を半導体装置の絶縁要素となる部位に適用するため、半導体装置の製造工程における一次硬化工程を省略することができる。本製造方法において、一次硬化工程、二次硬化工程は、いずれも、既に説明した種々の態様で実施することができる。
本明細書に開示される半導体装置の製造方法における供給工程、硬化工程、一次硬化工程及び二次硬化工程は、本硬化物を含む絶縁要素を半導体装置に対して適用する形態に応じて、適切なタイミングで行うことができる。シルセスキオキサン誘導体やその一次硬化物の供給工程及び各種硬化工程は、最終的に生成される本硬化物の半導体装置における目的、例えば、表面保護、封止、素子分離、配線被覆、放熱、冷却等などを実現するのに好適な方法及びタイミングで実施される。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。但し、本発明は、この実施例に何ら限定されるものではない。なお、「Mn」及び「Mw」は、それぞれ、数平均分子量及び重量平均分子量を意味し、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(以下、「GPC」と略す)により、トルエン溶媒中、40℃において、連結したGPCカラム「TSK gel G4000HX」及び「TSK gel G2000HX」(型式名、東ソー社製)を用いて分離し、リテンションタイムから標準ポリスチレンを用いて分子量を算出したものである。また、得られたシルセスキオキサン誘導体の1H−NMR分析では、試料を、重クロロホルムに溶解し、測定及び解析を行った。さらに、得られたシルセスキオキサン誘導体の粘度を、E型粘度計を用いて25℃で測定した。
(シルセスキオキサン誘導体の合成1)
四つ口フラスコに、磁気攪拌機、滴下ロート、還流冷却器及び温度計を装着し、フラスコ内を窒素ガス雰囲気にした。次いで、このフラスコに、磁気撹拌子、トリエトキシシラン1,330.6(8.1mol)、トリメトキシビニルシラン400.2g(2.7mol)、ジメチルジメトキシシラン162.2g(1.35mol)、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン362.6g(2.7mol)、2−ブタノール173.4g、2−プロパノール562.6g及びキシレン1,951.2gを収容し、そして、25℃として内容物を撹拌しながら、1.59質量%濃度の塩酸水溶液642.7g、2−ブタノール86.8g及び2−プロパノール281.2gの混合液を、滴下ロートから1時間かけて滴下し、加水分解・重縮合反応を行った。滴下終了後、反応液を25℃で18時間放置した。
その後、フラスコ内を100Paまで減圧して60℃まで加熱し、水を含む揮発性成分を留去した。これにより、ほぼ無色の液体(以下、「シルセスキオキサン誘導体(1)」という。)1,014.4gを得た。こシルセスキオキサン誘導体(1)について、GPCにより、Mnを測定したところ、1,700であった。また、Mwは、3,600であった。E型粘度計により、粘度を測定したところ、130mPa・s(25℃)であった。
(シルセスキオキサン誘導体の合成2)
四つ口フラスコに、磁気攪拌機、滴下ロート、還流冷却器及び温度計を装着し、フラスコ内を窒素ガス雰囲気にした。次いで、このフラスコに、磁気撹拌子、トリエトキシシラン1,478.4g(9mol)、トリメトキシビニルシラン444.7g(3mol)、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン403.0g(3mol)、2−ブタノール177.8g、2−プロパノール577.00g及びキシレン2,001.4gを収容した。そして、25℃として内容物を撹拌しながら、1.59質量%濃度の塩酸水溶液659.2g及び2−ブタノール89.0g及び2−プロパノール288.4gの混合液を、滴下ロートから1時間かけて滴下し、加水分解・重縮合反応を行った。滴下終了後、反応液を25℃で18時間放置した。
その後、フラスコ内を100Paまで減圧して60℃まで加熱し、水を含む揮発性成分を留去した。これにより、ほぼ無色の液体(以下、「シルセスキオキサン誘導体(2)」という。)892.0gを得た。このシルセスキオキサン誘導体(2)について、GPCにより、Mnを測定したところ、1,900であった。また、Mwは、4,500であった。また、E型粘度計により、粘度を測定したところ、370mPa・s(25℃)であった。
得られたシルセスキオキサン誘導体の組成比(モル比)を、シルセスキオキサン誘導体の1H−NMR測定を行って、ケミカルシフトδ(ppm)が−0.2〜0.6のシグナルはSi−CH3の構造に基づき、δ(ppm)が0.8〜1.5はOCH(CH3)CH2CH3、OCH(CH32及びOCH2CH3の構造に基づき、δ(ppm)が3.5〜3.9のシグナルはOCH2CH3の構造に基づき、δ(ppm)が3.9〜4.1のシグナルはOCH(CH3)CH2CH3の構造に基づき、δ(ppm)が4.2〜5.2のシグナルはSi−Hの構造に基づき、δ(ppm)が5.7〜6.3のシグナルはCH=CH2の構造に基づくと考えられるので、各々のシグナル強度積分値から、側鎖に関する連立方程式を立てて決定した。尚、構成単位Tについては、仕込んだモノマー(トリエトキシシラン、トリメトキシビニルシラン等)がそのままシルセスキオキサン誘導体に組み込まれることが分かっているので、全てのモノマーの仕込み値とNMR測定値とから、シルセスキオキサン誘導体に含まれる各構成単位のモル比を決定した。これらの結果を表1に示す。
Figure 0006930242
シルセスキオキサン誘導体(1)は、式(1)において、構成単位(1−2)が(H−SiO3/2)であってv=3.0であり、構成単位(1−3)が(Vi(ビニル基)SiO3/2)であってw=1.0であり、構成単位(1−4)が(Me2SiO2/2)であってx=0.5であり、構成単位(1−5)が(H(Me)2SiO1/2)であってy=1.2であり、構成単位(1−6)が(SecBuO1/2)、(iPrO1/2)及び(EtO1/2)であって、それぞれz=0.08、0.05及び0.050であった。
シルセスキオキサン誘導体(2)は、式(1)において、構成単位(1−2)が(H−SiO3/2)であってv=3.0であり、構成単位(1−3)が(Vi(ビニル基)SiO3/2)であってw=1.0であり、構成単位(1−5)が(H(Me)2SiO1/2)であってy=1.2であり、構成単位(1−6)が(SecBuO1/2)、(iPrO1/2)及び(EtO1/2)であって、それぞれz=0.08、0.04及び0.047であった。
実施例1で取得した各シルセスキオキサン誘導体10gに、Pt触媒(プラチナ カルボニル シクロビニルメチルシロキサン コンプレックス:1.85−2.1%Pt/シクロメチルビニルシロキサン、Gelext社、SIP6829.2)12.5mg添加し、100℃で1時間加熱して一次硬化物(Pt濃度として25ppm)を得た。
その後、この一次硬化物を、窒素流通下で400℃まで10℃/分で昇温し、400℃に1時間保持して加熱して二次硬化物を得た。また、一次硬化物を、窒素流通下で同様の昇温速度で、450℃、500℃、550℃及び600℃の各温度まで昇温し、各温度で1時間保持して二次硬化物を得た。
なお、実施例2で得た一次硬化物(触媒使用)は、主としてヒドロシリル化反応による架橋構造を有しており、アルコキシシリル基の加水分解・重縮合が抑制されていることがわかっている。また、実施例1で得た400℃で加熱処理した二次硬化物は、ヒドロシリル化反応の架橋構造がさらに進行し、アルコキシシリル基による加水分解・重縮合が依然として抑制されていることがわかっている。さらに、550℃で加熱処理した二次硬化物は、さらにヒドロシリル化反応による架橋構造が増大する一方、アルコキシシリル基による加水分解・重縮合が進行することがわかっている。
シルセスキオキサン誘導体(1)及びシルセスキオキサン誘導体(2)の一次硬化物及び二次硬化物につき、以下の方法で、耐熱性、誘電率、絶縁破壊電圧、線膨張係数及び熱拡散係数について測定した。これらの結果を表2に示す。
(1)耐熱性(TGA)
耐熱性は、シルセスキオキサン誘導体の硬化物を、30℃から所定温度まで昇温し、その間の熱重量減少率で評価した。熱分析装置(日立ハイテクサイエンス株式会社製TGDTA6300)を用いて、硬化物5〜6mgを、200ml/分の窒素ガスフロ−下で30℃から1000℃まで20℃/分の昇温速度で昇温してその間の重量変化を測定し、重量減少率を求めた。
(2)比誘電率
70mm×70mm×2mmの銅板上において、シルセスキオキサン誘導体を一次硬化させて試験試料(70mm×70mm×2μm厚)とした。この試験試料につき、ブリッジ法により比誘電率を測定することができる。比誘電率は、インピーダンスアナライザとしてHP4284A LCR(アジレント・テクノロジー株式会社製)を用いて、電極:HP16451B(アジレント・テクノロジー株式会社製)を用いて、以下の条件にて、測定を行った。
<測定条件>
測定前処理:空気中(21±1℃、54±4%RH、96時間)
測定雰囲気:空気中(21℃、51%RH)
主電極直径:38mm
電極材料:導電性銀ペースト ドータイトD−500(藤倉化成株式会社製)
印加電圧:1.00V
周波数:1MHz
積算回数:256回
(3)絶縁破壊電圧
銅板上に、銀ペーストを塗布し、その上に、試験片(シルセスキオキサンの硬化物(サイズ40mm×40mm×厚み450μm)を設置し、24時間空気中で放置した。その後、銅板において試験片以外の領域を絶縁体で被覆して、KIKUSUI Electronic Corp.TOS 8700,Withstanding Voltage Testerを用いて、交流5mAで、0Vから20V/secで昇圧し、通電した時の電圧を読み取って絶縁破壊電圧とした。
(4)線膨張係数(100℃〜300℃)
1cm×1cm×2mm厚のサイズをくりぬいた型に、シルセスキオキサン誘導体を注いで硬化させて試験試料(1cm×1cm×2mm厚)を作製した。この試験試料につき熱機械分析装置(TMA Q400、TA Instruments社製)を用いて、5℃/分で300℃まで加熱してN2雰囲気下、圧縮モードで測定した。なお、表1中、線膨張係数は、線膨張係数(1)〜線膨張係数(2)で表した。線膨張係数(1)は、200℃〜300℃における線膨張係数であり、線膨張係数(2)は、100℃〜200℃における線膨張係数である。
(5)熱拡散係数
13mm×13mm×1mm厚のサイズをくりぬいた型に、シルセスキオキサン誘導体を注いで硬化させて試験試料(13mm×13mm×1mm厚)を作製した。この試験試料につき、レーザフラッシュ法に基づく熱拡散率測定装置(LFA467、NETZSCH社製)を用いて測定した。
Figure 0006930242
表2に示すように、シルセスキオキサン誘導体(1)及びシルセスキオキサン誘導体(2)の一次硬化物及び二次硬化物は、いずれも、高い耐熱性を示した。また、硬化温度(熱処理温度)が400℃、450℃、500℃、550℃及び600℃の二次硬化物の耐熱性が優れるほか、硬化温度が550℃の二次硬化物は、一層優れた線膨張係数と熱拡散係数を発揮することがわかった。
また、シルセスキオキサン誘導体の一次硬化物についての比誘電率は、十分に低く、また、シルセスキオキサン誘導体の一次硬化物及び二次硬化物の絶縁破壊電圧は、測定装置と硬化物の都合で最大値は不明だが、小さくとも10kV/mm以上であった。以上のことから、シルセスキオキサン誘導体の熱処理温度が400℃以上、好ましくは550℃以上であると、耐熱性とともに良好な絶縁性を発揮することがわかった。
さらに、シルセスキオキサン誘導体の一次硬化物及び二次硬化物についての線膨張係数及び熱拡散係数の結果から、ヒドロシリル化反応が促進される400℃以上の温度、より好ましくは550℃以上の温度での熱処理による硬化物であれば、いずれも良好な線膨張係数を安定して呈することがわかった。また、熱処理温度が高温であると、より一層線膨張係数が向上することがわかった。なお、本発明者らによれば、熱重量減少は1000℃以下、好ましくは800℃以下であれば維持されることがわかっている。以上のことから、シルセスキオキサン誘導体を400℃以上1000℃以下で熱処理して得られる硬化物は、十分な架橋構造を維持し、熱処理温度に係わらず良好な線膨張係数を呈し、550℃及び600℃のより高温側で一層優れた線膨張係数を呈することがわかった。
さらにまた、シルセスキオキサン誘導体の一次硬化物及び二次硬化物についての熱拡散係数についての結果から、シルセスキオキサン誘導体は400℃以上の高温、例えば、550℃以上の温度での熱処理による硬化物であれば、良好な熱拡散係数を安定して発揮することがわかった。また、これらの結果から、本硬化物が、熱処理温度が400℃未満では、樹脂に近い材料であるが、熱処理温度がより高温になるほど無機(セラミックス)化するため、熱伝導性が向上し、良好な熱伝導性を発揮できることがわかった。
以上のことから、ヒドロシリル基、炭素−炭素不飽和結合及びアルコキシシリル基を有するシルセスキオキサン誘導体の硬化物や一次硬化物を加熱処理して得られる二次硬化物は、その組成や構造の実質的変化を伴うとともに、半導体装置の絶縁要素として要請される各種特性が極めて良好であることがわかった。
また、シルセスキオキサン誘導体の硬化物は、400℃以上、好ましくは550℃以上の温度で熱処理による硬化物であれば、安定的に良好な特性を発揮することから、パワー半導体装置などの高温で作動する半導体装置など高い耐熱性が要求される半導体装置の絶縁要素のための材料として好適であることがわかった。

Claims (13)

  1. 半導体装置であって、
    前記半導体装置における絶縁要素にシルセスキオキサン誘導体の硬化物を含み、
    前記シルセスキオキサン誘導体は、以下の式(1)で表され、ヒドロシリル基、炭素−炭素不飽和結合及びアルコキシシリル基を有するシルセスキオキサン誘導体を含むシルセスキオキサン誘導体である、半導体装置。
    Figure 0006930242
    〔式中、Aは、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基であり、R1は炭素原子数1〜20のアルキレン基、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基、及び炭素原子数3〜20の2価の脂環族基から選択される少なくとも1種であり、nは0又は1であり、R2は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、及び、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基(1分子中のR2は同一でも異なっていてもよい。)から選択される少なくとも1種であり、R3は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、及び、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基から選択される少なくとも1種であり、R4は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、及び、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基(1分子中のR4は同一でも異なっていてもよい。)から選択される少なくとも1種であり、R5は、少なくとも一部が炭素原子数1〜6のアルキル基であり、前記炭素原子数1〜6のアルキル基以外は水素原子であり、v及びzは正の数であり、u、w、x及びyは0又は正の数であり、w、x及びyのうち少なくとも1つは正の数であり、0≦u/(v+w+x+y)≦2であり、0≦x/(v+w)≦2であり、0≦y/(v+w)≦2であり、0<z/(v+w+x+y)≦1である。但し、w=0のとき、R2、R3及びR4のいずれか1つはヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基である。
  2. 前記硬化物は、前記アルコキシシリル基の重縮合及び/又は炭素−炭素不飽和結合のヒドロシリル化による前記シルセスキオキサン誘導体の一次硬化物を400℃以上の温度で熱処理して得られる二次硬化物である、請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記熱処理の温度は、500℃以上である、請求項2に記載の半導体装置。
  4. 前記熱処理の温度は、800℃以下である、請求項2又は3に記載の半導体装置。
  5. 前記硬化物の比誘電率は、3.0以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の半導体装置。
  6. 前記硬化物の絶縁破壊電圧は、10kV/mm以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の半導体装置。
  7. 前記硬化物の線膨張係数は、100ppm/℃(100℃〜300℃)以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の半導体装置。
  8. 前記硬化物の線熱膨張係数は、50ppm/℃(100℃〜300℃)以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の半導体装置。
  9. 前記硬化物の熱拡散係数は、0.1mm2/s以上である、請求項1〜8のいずれかに記載の半導体装置。
  10. 半導体装置の製造方法であって、
    前記半導体装置の絶縁要素となる部位に、ヒドロシリル基、炭素−炭素不飽和結合及びアルコキシシリル基を有するシルセスキオキサン誘導体を含む絶縁性材料を供給する供給工程と、
    前記シルセスキオキサン誘導体を硬化させる硬化工程と、
    を備え、
    前記シルセスキオキサン誘導体は、以下の式(1)で表される、製造方法。
    Figure 0006930242
    〔式中、Aは、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基であり、R1は炭素原子数1〜20のアルキレン基、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基、及び炭素原子数3〜20の2価の脂環族基から選択される少なくとも1種であり、nは0又は1であり、R2は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、及び、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基(1分子中のR2は同一でも異なっていてもよい。)から選択される少なくとも1種であり、R3は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、及び、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基から選択される少なくとも1種であり、R4は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、及び、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基(1分子中のR4は同一でも異なっていてもよい。)から選択される少なくとも1種であり、R5は、少なくとも一部が炭素原子数1〜6のアルキル基であり、前記炭素原子数1〜6のアルキル基以外は水素原子であり、v及びzは正の数であり、u、w、x及びyは0又は正の数であり、w、x及びyのうち少なくとも1つは正の数であり、0≦u/(v+w+x+y)≦2であり、0≦x/(v+w)≦2であり、0≦y/(v+w)≦2であり、0<z/(v+w+x+y)≦1である。但し、w=0のとき、R2、R3及びR4のいずれか1つはヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基である。
  11. 前記硬化工程は、前記アルコキシシリル基の重縮合及び/又は炭素−炭素不飽和結合のヒドロシリル化によって一次硬化させて一次硬化物を得る一次硬化工程と、前記一次硬化物をさらなる熱処理によって硬化させて二次硬化物を得る二次硬化工程と、を含む、請求項10に記載の製造方法。
  12. 前記二次硬化工程は、前記一次硬化物を400℃以上の温度で熱処理する工程である、請求項11に記載の製造方法。
  13. 半導体装置の製造方法であって、
    前記半導体装置の絶縁要素となる部位に、ヒドロシリル基、炭素−炭素不飽和結合及びアルコキシシリル基を有するシルセスキオキサン誘導体の硬化物であって、前記アルコキシシリル基の重縮合及び/又は、炭素−炭素不飽和結合のヒドロシリル化による前記シルセスキオキサン誘導体の一次硬化物を含む絶縁性材料を供給する供給工程と、
    前記一次硬化物をさらなる熱処理によって硬化させて二次硬化物を得る二次硬化工程と、
    を備え、
    前記シルセスキオキサン誘導体は、以下の式(1)で表される、製造方法。
    Figure 0006930242
    〔式中、Aは、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基であり、R1は炭素原子数1〜20のアルキレン基、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基、及び炭素原子数3〜20の2価の脂環族基から選択される少なくとも1種であり、nは0又は1であり、R2は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、及び、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基(1分子中のR2は同一でも異なっていてもよい。)から選択される少なくとも1種であり、R3は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、及び、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基から選択される少なくとも1種であり、R4は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、及び、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基(1分子中のR4は同一でも異なっていてもよい。)から選択される少なくとも1種であり、R5は、少なくとも一部が炭素原子数1〜6のアルキル基であり、前記炭素原子数1〜6のアルキル基以外は水素原子であり、v及びzは正の数であり、u、w、x及びyは0又は正の数であり、w、x及びyのうち少なくとも1つは正の数であり、0≦u/(v+w+x+y)≦2であり、0≦x/(v+w)≦2であり、0≦y/(v+w)≦2であり、0<z/(v+w+x+y)≦1である。但し、w=0のとき、R2、R3及びR4のいずれか1つはヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基である。
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