JP6929768B2 - 熱可塑性ポリオレフィン制振材 - Google Patents

熱可塑性ポリオレフィン制振材 Download PDF

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Description

本発明は、熱可塑性ポリオレフィン制振材に関する。
熱可塑性ポリオレフィンは、プラスチック素材の中でも安価かつ加工しやすい素材として知られている。射出成形やブロー成形、押出成形、真空成形、さらには発泡成形やカレンダー成形等により成形され、自動車部品、ガソリンタンク、灯油缶、家電製品、医療機器、包装フィルム、食品容器、キャップ、袋、バケツ、パイプ、コンテナ、パレット等を構成する部材として、車両、家電、建築、土木等の広い領域で利用されている。近年、自動車等の車両内部の低騒音化や、事務機器や家電製品により発生する騒音の低減が重要な課題となっており、屋外においても橋梁等の構造物、産業機械等の低振動化、低騒音化が進んでいる。これまでに、熱可塑性ポリオレフィンに制振性を付与するための方法としてゴムやエラストマーの添加等の提案がされている(特許文献1〜3)。これにより、ある程度の制振性の改善が得られており、一部の用途で利用されてきた。
しかし、単に熱可塑性ポリオレフィンにゴムやエラストマーを添加するだけでは制振材としての機械的強度が低下するため、その用途が限られてきたことも事実である。この課題を解決するために、熱可塑性ポリオレフィンにゴム状のミクロゲルを分散させて、機械的強度を改善した制振材も提案されている(特許文献4)。該ミクロゲルは、ゴム類の架橋により得られるゴム粒子であり、ミクロゲルを構成するモノマーとしてジエン系モノマーやアクリル系モノマーを使用できることが開示されている。
また、熱可塑性ポリオレフィンにコアシェル粒子を分散させた制振材も提案されている(特許文献5、6)。特許文献5では、コアシェル粒子のコア部分は、シェル部分とは独立に運動できる核物質を有するものであることが開示されている。特許文献6では、ゴム成分層を内部に有し、かつ熱可塑性樹脂成分層からなる多層構造重合体粒子が提案されている。
特公平7−002867号公報 特開平2−300250号公報 特開平6−192507号公報 特表2007−506830号公報 特開2006−335279号公報 特開2002−284821号公報
特許文献1〜3に記載の技術では、確かに制振性の向上が見られるものの、単にゴムやエラストマーを添加するだけでは熱可塑性ポリオレフィンの機械的強度が低下するという課題がある。また、特許文献3の技術では、補強性無機充填材を添加するため、重量が増加してしまう問題もある。
一方、特許文献4の技術では、ミクロゲルはゴム類の架橋により得られるゴム粒子であり、不飽和結合を有するため、耐候性、耐久性が悪いという欠点がある。また、特許文献4においてはミクロゲルの乳化重合による調製に用いるモノマーとして、一般的に耐候性、耐久性の高いアクリル系モノマーも使用できることが開示されているものの、アクリル系モノマーからなる粒子は、そのままでは熱可塑性ポリオレフィン中での分散性が低く、機械的強度が大幅に低下してしまう問題もある。
一方、特許文献5、6ではミクロゲルではなくコアシェル粒子を用いる制振材が開示されているが、熱可塑性ポリオレフィンと重合体粒子との親和性を高める技術については、一切開示されていない。
本発明は、制振性、耐候性及び耐久性に優れ、機械的強度が高く、広範な用途に適用可能な熱可塑性ポリオレフィン制振材を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、熱可塑性ポリオレフィン、架橋構造を有するアクリル系重合体粒子、及び接着性ポリオレフィンを含有する熱可塑性ポリオレフィン制振材により、機械的強度を高く維持したまま、高い制振性、耐候性及び耐久性を示す熱可塑性ポリオレフィン制振材が得られ、上記課題を解決し得ることを見出し、当該知見に基づいてさらに検討を重ねて本発明を完成させた。
すなわち本発明は、下記[1]〜[7]に関する。
[1]熱可塑性ポリオレフィン(A)、架橋構造を有するアクリル系重合体粒子(B)及び接着性ポリオレフィン(C)を含有する、熱可塑性ポリオレフィン制振材。
[2]前記熱可塑性ポリオレフィン(A)が、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブチレン系樹脂、及びエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であるエチレン−α−オレフィン共重合体からなる群から選択される少なくとも1種である、前記[1]の熱可塑性ポリオレフィン制振材。
[3]前記接着性ポリオレフィン(C)が、極性基を含有するポリオレフィンであり、該極性基が水酸基、カルボキシル基、エステル基、及び無水マレイン酸に由来する官能基からなる群より選択される少なくとも1種である、前記[1]又は[2]の熱可塑性ポリオレフィン制振材。
[4]前記アクリル系重合体粒子(B)の平均粒子径が0.01〜1μmである、前記[1]〜[3]のいずれかの熱可塑性ポリオレフィン制振材。
[5]前記熱可塑性ポリオレフィン(A)をマトリクス相とし、前記アクリル系重合体粒子(B)をドメイン相とする海島構造を有する制振材であり、該ドメイン相の平均分散径が1μm以下である、前記[1]〜[4]のいずれかの熱可塑性ポリオレフィン制振材。
[6]前記アクリル系重合体粒子(B)の含有量が1〜50質量%である、前記[1]〜[5]のいずれかの熱可塑性ポリオレフィン制振材。
[7]前記接着性ポリオレフィン(C)の含有量が0.1〜20質量%である、前記[1]〜[6]のいずれかの熱可塑性ポリオレフィン制振材。
本発明によれば、制振性、耐候性及び耐久性に優れ、機械的強度が高く、広範な用途に適用可能な熱可塑性ポリオレフィン制振材を提供することができる。
以下、本発明について、詳細に説明する。
なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、「メタクリル」と「アクリル」との総称を意味する。
[熱可塑性ポリオレフィン制振材]
本発明の熱可塑性ポリオレフィン制振材(以下、「制振材」とも略称する)は、熱可塑性ポリオレフィン(A)、架橋構造を有するアクリル系重合体粒子(B)及び接着性ポリオレフィン(C)を含有する。
本発明の熱可塑性ポリオレフィン制振材は、制振性、耐候性及び耐久性に優れ、機械的強度が高く、広範な用途に適用可能となる。この理由については定かではないが、以下のように推測される。
アクリル系重合体粒子を単に熱可塑性ポリオレフィンに混合しても微細なドメイン相を形成するように分散させることは困難であり、そのため、制振性は向上するものの機械的強度が低下してしまう。そこで、本発明では、熱可塑性ポリオレフィン及びアクリル系重合体粒子に加えて、さらに接着性ポリオレフィンを含有することにより、該接着性ポリオレフィンが、アクリル系重合体粒子表面の極性基と相互作用するため、熱可塑性ポリオレフィンとアクリル系重合体粒子との親和性及び接着性を著しく向上することができる。その結果、熱可塑性ポリオレフィン中でアクリル系重合体粒子が微細に分散され、優れた制振性及び機械的強度を両立することができると考えられる。
<熱可塑性ポリオレフィン(A)>
熱可塑性ポリオレフィン(A)は、好ましくは極性基を含有しないものであり、公知のオレフィン系重合体を用いることができる。例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂;プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンの単独重合体であるポリ−α−オレフィン;エチレンと、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、6−メチル−1−ヘプテン、イソオクテン、イソオクタジエン、デカジエン等の炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であるエチレン−α−オレフィン共重合体;エチレン−プロピレン−α−オレフィン三元共重合体;エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM);ハードセグメントとしてポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンと、ソフトセグメントとしてエチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)等とを含むポリオレフィン系エラストマーなどが挙げられる。熱可塑性ポリオレフィンは、1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、熱可塑性ポリオレフィン(A)としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブチレン系樹脂等のポリ−α−オレフィン、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であるエチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、及びエチレン−プロピレン−α−オレフィン三元共重合体からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブチレン系樹脂、及びエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であるエチレン−α−オレフィン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、ポリエチレン系樹脂が更に好ましく、高密度ポリエチレンがより更に好ましい。
高密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.94〜0.98g/cm、より好ましくは0.94〜0.97g/cm、更に好ましくは0.94〜0.96g/cm、より更に好ましくは0.94〜0.95g/cmの範囲である。
<架橋構造を有するアクリル系重合体粒子(B)>
(単量体)
本発明に係る架橋構造を有するアクリル系重合体粒子(B)(以下、「架橋重合体粒子(B)」とも略称する)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含み、かつ架橋構造を有する重合体粒子であり、好ましくは該(メタ)アクリル酸エステル単量体と共重合可能な多官能性単量体により架橋されてなる。架橋重合体粒子(B)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位及び多官能性単量体単位のみから構成されていてもよく、さらに他の単量体単位を含んでもよい。また、架橋重合体粒子(B)は、複数の重合体の混合物であってもよい。
前記(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、アルコール由来の構造を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。該アルコールとしては、飽和脂肪族アルコール、脂環式アルコール、フェノール類、芳香族アルコール等が挙げられる。具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜18の飽和脂肪族アルコール由来の構造を有する(メタ)アクリル酸エステル;シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の炭素数5〜6の脂環式アルコール由来の構造を有する(メタ)アクリル酸エステル;フェニル(メタ)アクリレート等のフェノール類由来の構造を有する(メタ)アクリル酸エステル;ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族アルコール由来の構造を有する(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸エステル単量体は、1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。これらの中でも、制振材として使用する温度範囲、例えば20〜60℃の温度範囲における制振性、及び機械的強度を向上させる観点から、炭素数1〜18の飽和脂肪族アルコール由来の構造を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、メチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
架橋重合体粒子(B)は、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体と共重合可能な他の単官能性単量体単位を含んでもよく、該他の単官能性単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、2−メチル−3−エチルブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2−メチル−1,3−ヘキサジエン、3,4−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエン、3−メチル−1,3−ヘプタジエン、1,3−オクタジエン、シクロペンタジエン、クロロプレン、ミルセン等の共役ジエン系単量体等が挙げられる。前記他の単官能性単量体は、1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。
架橋重合体粒子(B)が他の単官能性単量体単位を含む場合、該他の単官能性単量体の含有量は特に限定されず、制振性を発現する温度を制御する観点から、各周波数に対する制振性を阻害しない範囲で、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位に対して任意の量で用いることができる。具体的には、制振性の発現を必要とする温度Tに対し、架橋重合体粒子(B)の損失正接tanδのピーク温度Tα(以下、「tanδピーク温度Tα」とも略称する)をT−20≦Tα≦T+20の範囲に調整するために、(メタ)アクリル酸エステル単量体と他の単官能性単量体と、例えばブチルアクリレートとスチレンとを、任意の割合で共重合して架橋重合体粒子(B)を得てもよい。ただし、他の単官能性単量体のうち、共役ジエン系単量体を用いる場合、共役ジエン系単量体単位の含有量は、耐候性、耐久性の観点から、架橋重合体粒子(B)を構成する単量体単位の総量に対して、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
(架橋)
架橋重合体粒子(B)は、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体と共重合可能な多官能性単量体により架橋されてなることが好ましい。該多官能性単量体としては、分子内に炭素−炭素二重結合を2個以上有する単量体であり、例えば、(メタ)アクリル酸、桂皮酸等の不飽和モノカルボン酸と、アリルアルコール、メタリルアルコール等の不飽和アルコールとのエステル;前記不飽和モノカルボン酸と、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9−ノナンジオール等のグリコールとのジエステル;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸等のα,β−不飽和結合を有するジカルボン酸と、前記不飽和アルコールとのエステルなどが挙げられる。具体的には、アクリル酸アリル、アクリル酸メタリル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸メタリル、桂皮酸アリル、桂皮酸メタリル、マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート等が挙げられる。前記多官能単量体は、1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記不飽和モノカルボン酸とグリコールとのジエステルが好ましく、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートがより好ましい。
前記多官能性単量体単位の含有量は、架橋重合体粒子(B)を構成する単量体単位の総量に対して0.01〜10質量%の範囲が好ましい。該多官能性単量体単位の含有量が、10質量%以下であると、架橋重合体粒子(B)のゴム弾性を損なわず、弾性回復性が良好となる。また、該多官能性単量体単位の含有量が、0.01質量%以上であると、熱可塑性ポリオレフィン(A)との配合過程で熱やせん断を受けた場合であっても、架橋重合体粒子(B)がその粒子構造を維持することができる。当該観点から、前記多官能性単量体単位の含有量は、架橋重合体粒子(B)を構成する単量体単位の総量に対して、より好ましくは0.05〜7質量%、更に好ましくは0.1〜5質量%、より更に好ましくは0.3〜3質量%の範囲である。
架橋重合体粒子(B)の損失正接tanδのピーク温度Tαは、特に限定されず、所望の温度条件における制振性を最大限に発現させるために好適な温度とすることができる。当該観点から、架橋重合体粒子(B)のtanδピーク温度Tαは、制振性の発現を必要とする温度Tに対し、T−20≦Tα≦T+20の条件を満たすことが好ましい。なお、本明細書において、tanδピーク温度Tαは動的粘弾性測定によって求めることができる。
(被覆−架橋重合体粒子(B’))
架橋重合体粒子(B)は、単層の重合体粒子であってもよく、複数の層からなる重合体粒子であってもよいが、取扱い性の観点、並びに制振性及び機械的強度を向上させる観点から、架橋重合体粒子(B)は、内層を有し、該内層の表面の少なくとも一部を被覆する重合体被膜を有することが好ましい。なお、本明細書において、内層を有し、該内層の表面の少なくとも一部を被覆する重合体被膜を有する架橋重合体粒子(B)を被覆−架橋重合体粒子(B’)(以下、「被覆−架橋重合体粒子(B’)」とも略称する)という。また、本明細書において、「被覆」とは、重合体被膜が内層を形成する重合体粒子の表面を少なくとも一部被覆している状態をいい、該表面の全部を被覆していることが好ましい。被覆−架橋重合体粒子(B’)において、内層及び重合体被膜のいずれかが架橋構造を有すればよく、制振性及び機械的強度を向上させる観点から、内層及び重合体被膜のいずれもが架橋構造を有することが好ましい。
前記内層を構成するアクリル系重合体は、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含み、1種の単量体単位からなる単独重合体でもよく、複数種の単量体単位からなる共重合体でもあってもよい。また、複数の重合体の混合物であってもよい。
前記内層を構成する(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、前述で例示されたものが挙げられる。これらの中でも、所望の温度条件において制振性を最大限に発現させるために有効なtanδピーク温度Tαを有するように、単量体を選択し使用することが好ましい。具体的には、制振性の発現を必要とする温度Tに対し、前記内層を構成するアクリル系重合体のtanδピーク温度TαをT−20≦Tα≦T+20の範囲に調整するために、(メタ)アクリル酸エステル単量体を、1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。例えば、制振性の発現を必要とする温度Tが40℃の場合、架橋重合体粒子(B)のtanδピーク温度Tαが20℃≦Tα≦60℃の範囲にあることが好ましく、そのような(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、メチルアクリレート、ブチルメタアクリレートが好ましく、メチルアクリレートがより好ましい。
前記重合体被膜を構成するアクリル系重合体は、少なくとも(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含み、1種の単量体単位からなる単独重合体でもよく、複数種の単量体単位からなる共重合体でもあってもよい。また、複数の重合体の混合物であってもよい。
前記重合体被膜を構成する(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、前述で例示されたものが挙げられる。これらの中でも、制振材として使用する温度範囲、例えば20〜60℃の温度範囲における制振性、及び機械的強度を向上させる観点から、炭素数1〜18の飽和脂肪族アルコール由来の構造を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、メチル(メタ)アクリレートがより好ましく、メチルメタクリレートが更に好ましい。
前記内層及び重合体被膜は、制振性及び機械的強度を向上させる観点から、(メタ)アクリル酸エステル単量体と共重合可能な多官能性単量体により架橋されてなることが好ましい。該多官能性単量体としては、前述の架橋重合体粒子(B)において例示されたものが挙げられ、好ましいものも同様である。
前記重合体被膜のガラス転移温度は、製造時に粒子同士の融着を防止する観点から、30℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがより好ましい。そして、250℃以下であることが好ましい。
被覆−架橋重合体粒子(B’)における重合体被膜の含有率は、熱可塑性ポリオレフィン制振材に効率的に制振性を付与する観点から、被覆−架橋重合体粒子(B’)全体の質量に基づいて、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましく、10質量%以上がより更に好ましい。そして、80質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることが更に好ましく、40質量%以下がより更に好ましい。
架橋重合体粒子(B)の平均粒子径は、好ましくは0.01〜1μmである。平均粒子径が1μm以下であると、制振材の機械的強度を低下することなく、制振性を向上することができる。一方、平均粒子径が0.01μm以上であると、制振材の機械的強度を向上することができる。当該観点から、平均粒子径は、より好ましくは0.02〜0.5μmであり、更に好ましくは0.03〜0.3μmの範囲である。なお、本明細書における「平均粒子径」とは、実施例に記載の動的光散乱測定装置で測定した平均分散粒子径を意味する。
(架橋構造を有するアクリル系重合体粒子(B)の製造方法)
架橋重合体粒子(B)の製造方法は特に限定されないが、例えば乳化重合や懸濁重合により製造することができる。
架橋重合体粒子(B)は、製造容易性の観点から、下記工程1を有する製造方法により得ることが好ましい。
工程1:単量体混合物(i)を水中で乳化重合して、架橋重合体粒子(B)を含む乳化液1を得る工程
単量体混合物(i)は、架橋重合体粒子(B)を構成する単量体混合物であり、用いる単量体としては前述の架橋重合体粒子(B)において例示されたものが挙げられ、好ましいものも同様である。
また、被覆−架橋重合体粒子(B’)は、下記工程1’及び工程2’を有する製造方法により得ることが好ましい。
工程1’:単量体混合物(i’)を水中で乳化重合して、単層重合体粒子(b)を含む乳化液1’を得る工程
工程2’:工程1で得られた乳化液1’中に、さらに単量体混合物(ii’)を添加して水中で乳化重合して、被覆−架橋重合体粒子(B’)を含む乳化液2’を得る工程
単量体混合物(i’)は、被覆−架橋重合体粒子(B’)の内層となる単層重合体粒子(b)を構成する単量体混合物であり、用いる単量体としては前述の内層において例示されたものが挙げられ、好ましいものも同様である。
単量体混合物(ii’)は、被覆−架橋重合体粒子(B’)の重合体被膜を構成する単量体混合物であり、用いる単量体としては前述の重合体被膜において例示されたものが挙げられ、好ましいものも同様である。
被覆−架橋重合体粒子(B’)が3層以上からなる場合には、上記工程2’を繰り返すことにより製造することができる。
架橋重合体粒子(B)の製造方法にかかる乳化重合においては、通常乳化剤を用いる。かかる乳化剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、高級脂肪酸ナトリウム、ロジン系ソープ等のアニオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ノニルフェノールエトキシレート等のノニオン系界面活性剤;塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム等のカチオン系界面活性剤;コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン等の両性界面活性剤等を用いることができる。また、部分けん化PVA(けん化度70〜90mol%)、メルカプト基変性PVA(けん化度70〜90mol%)、酸変性ポリオレフィン、β−ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物塩、(メタ)アクリル酸エチルコポリマーなどの高分子界面活性剤を用いることも可能である。ここで、前記高分子界面活性剤は乳化重合終了後に架橋重合体粒子(B)の重合体被膜と同様に機能することができる。これら乳化剤は1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。かかる乳化剤の使用量は、分散媒として用いる水に対して0.01〜40質量%が好ましく、0.05〜20質量%がより好ましい。
前記製造方法にかかる乳化重合においては、通常ラジカル重合開始剤を用いる。かかるラジカル重合開始剤としては、水溶性無機系重合開始剤、水溶性アゾ系重合開始剤、油溶性アゾ系重合開始剤、有機過酸化物等が挙げられる。また、ラジカル重合開始剤としてレドックス系重合開始剤を用いてもよい。
水溶性無機系重合開始剤としては、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム等が挙げられる。
水溶性アゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェートジハイドレート、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2−2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等が挙げられる。
油溶性アゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、ジメチル2,2−アゾビス(イソブチレート)等が挙げられる。
有機過酸化物としては、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、ジラウロイルパーオキシド、ジベンジルパーオキシド等のジアシルパーオキシド;1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド;ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキシド;2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン等のパーオキシケタール;1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−アミルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーオキシエステル;ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン等のパーオキシカーボネートなどが挙げられる。
前記ラジカル重合開始剤の使用量は、水に対して0.0001〜1質量%が好ましく、0.001〜0.5質量%がより好ましい。
また、生産性の観点から、レドックス系重合開始剤を用いてもよく、該レドックス系重合開始剤としては、前記有機過酸化物と遷移金属塩の併用が好ましい。
有機過酸化物と併用する遷移金属塩としては、例えば、硫酸鉄(II)、チオ硫酸鉄(II)、炭酸鉄(II)、塩化鉄(II)、臭化鉄(II)、ヨウ化鉄(II)、水酸化鉄(II)、酸化鉄(II)等の鉄化合物;硫酸銅(I)、チオ硫酸銅(I)、炭酸銅(I)、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)、水酸化銅(I)、酸化銅(I)等の銅化合物、又はそれらの水和物などが使用できる。これらのうち、生産性の観点から、クメンヒドロパーオキシドと鉄化合物とを併用してもよく、クメンヒドロパーオキシドと硫酸鉄(II)の水和物とを併用してもよい。
また、前記ラジカル重合開始剤とともに還元剤を用いてもよい。かかる還元剤としては、塩化鉄(II)、硫酸鉄(II)等の鉄化合物;硫酸水素ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のナトリウム塩;アスコルビン酸、ロンガリット、亜ジオチン酸ナトリウム、トリエタノールアミン、グルコース、フルクトース、グリセルアルデヒド、ラクトース、アラビノース、マルトース等の有機系還元剤などが挙げられる。これらのうち、鉄化合物と有機系還元剤とを併用してもよい。
前記還元剤の使用量は、水に対して0.0001〜1質量%の範囲が好ましく、0.001〜0.5質量%の範囲がより好ましい。
前記製造方法において、必要に応じて乳化重合の系内に金属イオンキレート剤を添加してもよい。具体的には、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム等の金属イオンキレート剤が挙げられる。
前記製造方法において、必要に応じて乳化重合の系内に増粘抑制剤として電解質を添加してもよい。具体的には、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム等の電解質が挙げられる。前記製造方法において、乳化剤と増粘抑制剤とを併用する場合、増粘抑制剤の使用量は、乳化液中のミセルの安定性の観点から、乳化剤に対して20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。
前記還元剤、金属イオンキレート剤及び電解質は、重合反応中に添加してもよいが、乳化重合当初から水中に添加しておくことが好ましい。
前記製造方法において、必要に応じて乳化重合の系内に連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、ヘキサデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン等のメルカプタン;メルカプト酢酸、メルカプト酢酸2−エチルヘキシル、メルカプト酢酸3−メトキシブチル、β−メルカプトプロピオン酸、β−メルカプトプロピオン酸メチル、β−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル、β−メルカプトプロピオン酸3−メトキシブチル、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール等のチオール類;α−メチルスチレンダイマー等の連鎖移動定数の大きい炭化水素化合物などが使用できる。
水溶性のラジカル重合開始剤を用いる場合は水溶液として添加すればよいが、水に難溶なラジカル重合開始剤を用いる場合は、水及び乳化剤を用いてラジカル重合開始剤の乳化液をあらかじめ調製し、これを添加してもよい。この場合、使用する乳化剤は乳化重合で用いるものと同じでもよいし、異なっていてもよい。また、2種以上の乳化剤を組み合わせてもよい。
前記ラジカル重合開始剤及び乳化剤によって、架橋重合体粒子(B)の表面に、接着性ポリオレフィン(C)と相互作用可能な極性基を導入することができる。かかるラジカル重合開始剤及び乳化剤としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の極性基を有するものが好ましい。これらのラジカル重合開始剤及び乳化剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、架橋重合体粒子(B)の製造において、前述の(メタ)アクリル酸エステル単量体に加えて、極性基を含有する単量体を含む単量体混合物を共重合することによっても、架橋重合体粒子(B)の表面に、接着性ポリオレフィン(C)と相互作用可能な極性基を導入することができる。かかる極性基を含有する単量体としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の極性基を有するものが好ましい。これらの極性基を含有する単量体は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。極性基を含有する単量体を使用する場合、その極性基を含有する単量体由来の構成単位の含有量は、架橋重合体粒子(B)全体の質量に対して、0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.03質量%〜8質量%がより好ましく、0.05〜5質量%が更に好ましい。
前記乳化重合で用いる水の量は、乳化液の粘度や安定性の観点から、架橋重合体粒子(B)の製造に用いる単量体混合物の総量100質量部に対して、50〜1,500質量部の範囲であることが好ましく、80〜1,000質量部の範囲であることがより好ましく、100〜800質量部の範囲であることが更に好ましい。
乳化重合の重合温度は、通常0〜100℃の範囲が好ましく、重合率を高める観点から、50〜90℃が望ましい。
本発明において、乳化重合後の乳化液をそのまま使用してもよいし、塩析、酸析、凍結、溶剤添加等の公知の方法により架橋重合体粒子(B)を回収して用いてもよい。またこうして回収した架橋重合体粒子(B)をさらに洗浄、再沈殿、スチームストリッピング等の公知の方法によって精製してもよい。
本発明において、架橋重合体粒子(B)の劣化を抑制する観点から、乳化重合後の乳化液、又は回収処理後や精製処理後の架橋重合体粒子(B)に老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤は、重合反応後の架橋重合体粒子(B)の回収処理や精製処理における劣化を抑制する観点からは、乳化重合後の乳化液に老化防止剤を添加した後、架橋重合体粒子(B)を回収処理又は精製処理をしてもよい。
老化防止剤としては、一般的な材料を使用することができる。具体的には、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,5−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ(t−ブチル)−4−メチルフェノール、モノ(又はジ、又はトリ)(α−メチルベンジル)フェノール等のフェノール系化合物;2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のビスフェノール系化合物;2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール等のベンズイミダゾール系化合物;6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン、ジフェニルアミンとアセトンの反応物、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体等のアミン−ケトン系化合物;N−フェニル−1−ナフチルアミン、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等の芳香族二級アミン系化合物;1,3−ビス(ジメチルアミノプロピル)−2−チオ尿素、トリブチルチオ尿素等のチオウレア系化合物などが使用できる。
<接着性ポリオレフィン(C)>
本発明の制振材は、接着性ポリオレフィン(C)を含有する。接着性ポリオレフィン(C)としては、オレフィン単位を主成分として含むオレフィン系重合体又はその変性物であり、架橋重合体粒子(B)表面の極性基と相互作用するものであれば特に限定されない。
なお、前記「主成分」とは、前記オレフィン系重合体を構成する全構造単位中、50質量%を超える割合を占める成分を意味する。
本発明の制振剤は接着性ポリオレフィン(C)を含有することにより、架橋重合体粒子(B)の熱可塑性ポリオレフィン(A)中の分散性が向上し、優れた制振性と機械的強度が両立された制振材とすることができる。架橋重合体粒子(B)の表面には乳化剤や開始剤、あるいは極性基を含有する単量体に由来する極性基があるため、接着性ポリオレフィン(C)と相互作用することで、架橋重合体粒子(B)の表面に接着性ポリオレフィン(C)が吸着し、架橋重合体粒子(B)と熱可塑性ポリオレフィン(A)との親和性を向上することに起因すると考えられる。
接着性ポリオレフィン(C)としては、架橋重合体粒子(B)表面の極性基との相互作用の観点から、極性基を含有するポリオレフィン(以下、「極性基含有ポリオレフィン」とも略称する)が好ましい。該極性基としては、水酸基、カルボキシル基、エステル基、無水マレイン酸等の酸無水物に由来する官能基、エポキシ基、ケイ素を含む官能基等が挙げられる。これらの極性基は、前記オレフィン系重合体中、1種又は2種以上含まれていてもよい。これらの極性基のうち、水酸基、カルボキシル基、エステル基、及び無水マレイン酸に由来する官能基からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、無水マレイン酸に由来する官能基がより好ましい。極性基含有ポリオレフィンとしては、オレフィン系重合体に対して極性基含有化合物を反応させてなるグラフト変性物、オレフィン及び極性基含有共重合性単量体を、公知の方法で共重合してなる共重合変性物等が挙げられる。該共重合は、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合のいずれでもよい。極性基含有ポリオレフィンを構成するオレフィン系重合体としては、前述の熱可塑性ポリオレフィンと同様のもの挙げられる。
接着性ポリオレフィン(C)としては、具体的にはポリオレフィンのマレイン酸又は無水マレイン酸によるグラフト変性物又は共重合変性物、ポリオレフィンのアクリル酸又はアクリル酸エステルによる共重合変性物、ポリオレフィンの酢酸ビニルによる共重合変性物又はこのけん化物、ポリオレフィンのビニルトリメトキシシランによる共重合変性物、ポリオレフィンのグリシジルメタクリレートによる共重合変性物、さらにこれらのポリオレフィン共重合変性物のマレイン酸又は無水マレイン酸による変性物等が挙げられる。架橋重合体粒子(B)表面の極性基との相互作用の観点から、極性基含有ポリオレフィンは、好ましくは無水マレイン酸に由来する官能基を有するポリオレフィンであり、より好ましくは無水マレイン酸変性ポリエチレン系樹脂、無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂、及び無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であり、更に好ましくは無水マレイン酸変性ポリエチレン系樹脂及び無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であり、より更に好ましくは無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂である。
無水マレイン酸に由来する官能基を有するポリオレフィンの酸価は、好ましくは1〜150mgKOH/g、より好ましくは3〜100mgKOH/g、更に好ましくは5〜60mgKOH/gの範囲である。酸価は、JIS K 0070:1992に記載の方法に準拠して測定される。
接着性ポリオレフィンの市販品としては、ユーメックスシリーズ(三洋化成工業(株)製)、モディックシリーズ(三菱ケミカル(株)製)、アドマーシリーズ(三井化学(株))、メルセンシリーズ(東ソー(株)製)等が挙げられる。
制振材における接着性ポリオレフィン(C)の含有量は、架橋重合体粒子(B)100質量部に対して0.5〜200質量部が好ましい。接着性ポリオレフィン(C)の含有量が架橋重合体粒子(B)100質量部に対して0.5質量部以上であると、架橋重合体粒子(B)の分散性を向上させ、制振材の機械的強度を向上することができる。接着性ポリオレフィン(C)の含有量が架橋重合体粒子(B)100質量部に対して200質量部以下であると、架橋重合体粒子(B)の分散性に関与しない余剰の接着性ポリオレフィン(C)の量を低減することができ、制振材製造にかかるコストを抑制することができ製造面で有利となる。当該観点から、接着性ポリオレフィン(C)の含有量は架橋重合体粒子(B)100質量部に対して1〜150質量部がより好ましく、5〜130質量部が更に好ましく、10〜120質量部がより更に好ましい。
制振材中の架橋重合体粒子(B)の含有量は、1〜50質量%が好ましい。架橋重合体粒子(B)の含有量が1質量%以上であると、制振性を向上させることができる。架橋重合体粒子(B)の含有量が50質量%以下であると、優れた機械的強度を維持しつつ、制振性を向上させることができる。当該観点から、2〜40質量%がより好ましく、5〜30質量%が更に好ましい。
制振材中の接着性ポリオレフィン(C)の含有量は、0.1〜20質量%が好ましい。接着性ポリオレフィンの含有量が0.1質量%以上であると、架橋重合体粒子(B)の分散性を向上させ、制振材の機械的強度を向上することができる。接着性ポリオレフィンの含有量が20質量%以下であると、架橋重合体粒子(B)の分散性に関与しない余剰の接着性ポリオレフィン(C)の量を低減することができ、制振材製造にかかるコストを抑制することができ製造面で有利となる。当該観点から、1〜15質量%がより好ましく、3〜12質量%が更に好ましい。
制振材中の熱可塑性ポリオレフィン(A)、架橋重合体粒子(B)及び接着性ポリオレフィン(C)の合計含有量は、制振性及び機械的強度を向上させる観点から、60〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましく、80〜100質量%が更に好ましい。
(制振材の製造方法)
本発明の制振材の製造方法は、特に制限はなく、公知の方法により熱可塑性ポリオレフィン(A)、架橋重合体粒子(B)及び接着性ポリオレフィン(C)を混合して製造することができる。例えば、熱可塑性ポリオレフィン(A)、架橋重合体粒子(B)及び接着性ポリオレフィン(C)を、タンブラー、ミキサー、ブレンダー等で混合し、スクリュー押出機、ロール等で混練することにより製造できる。
また、熱可塑性ポリオレフィン(A)と混練する前に、架橋重合体粒子(B)と接着性ポリオレフィン(C)とを予め複合化してもよい。該複合化する方法としては、特に限定されず、接着性ポリオレフィン(C)を乳化剤として架橋重合体粒子(B)を重合する方法、接着性ポリオレフィン(C)と架橋重合体粒子(B)とを予め混合する方法、制振材の製造時に架橋重合体粒子(B)と接着性ポリオレフィン(C)とを混合して添加する方法等が挙げられる。接着性ポリオレフィン(C)と架橋重合体粒子(B)とを予め混合する場合、接着性ポリオレフィン(C)の水系分散液又は溶液と、架橋重合体粒子(B)の乳化液又は分散液とを混合してもよく、接着性ポリオレフィン(C)と架橋重合体粒子(B)とをタンブラー、ミキサー、ブレンダー等で混合し、スクリュー押出機、ロール等で混練してもよい。また、接着性ポリオレフィン(C)、架橋重合体粒子(B)及び比較的少量の熱可塑性ポリオレフィン(A)をタンブラー、ミキサー、ブレンダー等で混合し、スクリュー押出機、ロール等で混練し、マスターバッチ化する方法も用いることができる。
本発明の制振材は、制振性及び機械的強度を向上させる観点から、熱可塑性ポリオレフィン(A)をマトリクス相とし、架橋重合体粒子(B)をドメイン相とする海島構造を有することが好ましく、マトリクス相(海相)である熱可塑性ポリオレフィン(A)中に架橋重合体粒子(B)がドメイン相(島相)として微細に分散した海島構造を有することがより好ましい。ドメイン相の平均分散径は1μm以下であることが好ましい。架橋重合体粒子(B)のドメイン相の平均分散径は、制振材を透過型電子顕微鏡で観察することで得られる観察像から、架橋重合体粒子(B)のドメイン相の短径と長径の平均値をドメイン相の分散径とし、100個のドメイン相の分散径の数平均値として算出することができる。
本発明の制振材は、成形品の物性を改善する観点から、種々の物性改善剤の1種又は2種以上を、本発明の効果を損なわない程度で、所望に応じて含有してもよい。該物性改善剤としては、特に制限はなく、例えば、ゴム、滑剤、酸化防止剤、可塑剤、光安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、フィラー等が挙げられる。該フィラーとしては、ガラス繊維等の繊維補強剤;シリカ、カーボンブラック等の無機粒子などが挙げられる。また、本発明の制振材は、さらに、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン―ビニルアルコール共重合体系樹脂等の極性樹脂が含有してもよい。
本発明の制振材は、押出成形、射出成形、プレス成形、カレンダー成形、ミルロール加工等により成形することができる。
本発明の制振材を成形してなる成形品の、130〜6,000Hzの周波数領域で測定される損失係数ηは、好ましくは0.06以上、より好ましくは0.07以上、更に好ましくは0.08以上である。損失係数が前記範囲内であることにより、制振性に優れたものとなる。
本発明の制振材を成形してなる成形品の曲げ弾性率は、好ましくは0.65GPa以上、より好ましくは0.7GPa以上である。曲げ弾性率が前記範囲内であることにより、機械的強度に優れたものとなる。
前記損失係数及び前記曲げ弾性率は、実施例に記載の方法により測定される。
本発明の制振材は、それを成形して得られる成形品としてそのまま、又はその成形品を鋼板等に貼り付けたり、挟んだりして、制振部材として用いることができる。本発明の制振材又は該制振材から得られる制振部材は、制振性及び機械的強度に優れる観点から、成形体、フィルム等として、ダッシュインシュレータ、天井、フロアインシュレータ、カーペット、トランクトリム、ドアトリム等の自動車用内装材;フェンダーライナー、エンジンカバー、アンダーカバー等の自動車用外装材;燃料タンク等の自動車用成形品として用いることが好ましい。また、本発明の制振材又は該制振材から得られる制振部材は、さらに自動車に限らず、二輪車、電車等の車両用;航空機等の航空宇宙用;土木、住宅等の建築用家電用等に利用されるが、これらの用途に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例において使用した各成分を以下に示す。
(単量体)
・メチルアクリレート:東京化成工業(株)製
・メチルメタクリレート:(株)クラレ製
・1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート:商品名「ライトエステル1.6Hx」、共栄社化学(株)製
(乳化剤)
・ポリオキシエチレントリデシルエーテル:商品名「ノイゲンTDS−500F」、ノニオン系界面活性剤、第一工業製薬(株)製
(ラジカル重合開始剤)
・30質量%過酸化水素水:和光純薬工業(株)製
(還元剤)
・L(+)−アスコルビン酸:和光純薬工業(株)製
(分散媒)
・イオン交換水:電気伝導率0.08×10-4S/m以下のイオン交換水
(熱可塑性ポリオレフィン)
・高密度ポリエチレン:商品名「NOVATEC HD HB111R」、日本ポリエチレン(株)製、密度0.945g/cm
(接着性ポリオレフィン)
・無水マレイン酸変性ポリプロピレン:商品名「ユーメックス1001」、三洋化成工業(株)製、酸価26mgKOH/g
実施例及び比較例における各種分析条件を以下に示す。
(単量体転化率)
重合開始から1時間毎にサンプリングした乳化液(1mL)をメタノール(20mL)に滴下することで、粒子を沈降させた。粒子の沈降後、上澄み液を除去した後に得られた固形分を、真空乾燥機(角型真空定温乾燥器 型式:DP23、ヤマト科学(株)製)を用いて0.1kPa、60℃の条件にて質量変化がなくなるまで真空乾燥を行った。
サンプリングした乳化液の質量、サンプリング時点までに添加した単量体の質量、乾燥後の固形分の質量から単量体転化率(質量%)を算出した。
(乳化液中の架橋重合体粒子(B)の平均分散粒子径)
架橋重合体粒子(B)の乳化液(0.1mL)とイオン交換水(10mL)の混合液を動的光散乱測定装置(装置名:FPAR−1000、大塚電子(株)製)を用いて粒子の粒度分布を体積基準で測定し、メディアン径を平均分散粒子径として測定した。
(制振性の評価)
後述する手法にて得られた制振材を210℃加熱下、50kgf/cmの圧力にて5分間圧縮成形し、JIS K 7391:2008に基づく試験片(幅10mm×長さ250mm×厚さ2mm)を作製し、中央加振法により、40℃における損失係数ηを測定した。数値が大きいほど制振性が良好であることを示す。
(機械的強度の評価)
後述する手法にて得られた制振材を210℃加熱下、50kgf/cmの圧力にて5分間圧縮成形し、厚さ4mmの樹脂シートを得た。該シートから切削加工により幅10mm×長さ80mm×厚さ4mmの試験片を切り出し、ISO 178:2010に従い、万能試験機(装置名:AG−2000B、島津製作所(株)製)を用いて曲げ弾性率を測定した。数値が大きいほど機械的強度に優れることを示す。
(架橋重合体粒子(B)のドメイン相の平均分散径)
後述する手法にて得られた制振材を透過型電子顕微鏡(装置名:HT7700、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて観察することで得られた観察像から、架橋重合体粒子(B)のドメイン相の短径と長径の平均値をドメイン相の分散径とし、100個のドメイン相の分散径の数平均値を平均分散径とした。
[架橋構造を有するアクリル系重合体粒子(B)の製造]
製造例1
(工程1’)
乾燥させた0.5Lの耐圧重合槽にイオン交換水200g、乳化剤(「ノイゲンTDS−500F」)5g、還元剤(L(+)−アスコルビン酸)0.052gを添加した後、内容物を撹拌しながら30分間窒素ガスにてバブリングすることで脱酸素処理を行い、水溶液を得た。
該水溶液を60℃に昇温した後、系中の微量溶存酸素等の重合失活因子を除くため、重合開始剤として市販の30質量%過酸化水素水をイオン交換水で300倍に希釈し調製した0.1質量%過酸化水素水を0.05mL/分の速度で連続的に30分間添加した。その後、0.1質量%過酸化水素水の添加を継続したまま、メチルアクリレート32g及び1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート0.32gからなる単量体混合物(i’)を脱酸素処理した後、0.75mL/分の速度で連続的に添加し、乳化液1’−1を得た。
(工程2’)
工程1’で加えた単量体の転化率が99質量%を超えたことを確認した時点で、前記工程1で得られた乳化液1’−1に、0.1質量%過酸化水素水の添加を継続したまま、メチルメタクリレート8g及び1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート0.08gからなる単量体混合物(ii’)を脱酸素処理した後、0.75mL/分の速度で連続的に添加した。総単量体転化率が99質量%を超えたことを確認した時点で、重合槽を25℃まで冷却して、被覆−重合体粒子(B’1)の乳化液2’−1を取り出した。乳化液2’−1中の被覆−架橋重合体粒子(B’1)の平均分散粒子径は93nmであった。
該乳化液2’−1を、500mLのメタノール中に滴下することで被覆−架橋重合体粒子(B’1)を凝固させ、吸引ろ過により固形分をろ取した後、真空乾燥機で0.1kPa、40℃にて重量変化がなくなるまで乾燥を行い、被覆−架橋重合体粒子(B’1)を得た。得られた被覆−架橋重合体粒子(B’1)のtanδピーク温度Tαは37℃であった。
被覆−架橋重合体粒子(B’1)の製造に用いた各成分の配合量を表1に示す。
Figure 0006929768
[実施例1〜3及び比較例1〜3]
熱可塑性ポリオレフィン(A)、架橋重合体粒子(B)、接着性ポリオレフィン(C)を表2に示す割合で、ラボプラストミル(装置名「4M150」、(株)東洋精機製作所製)を用いてチャンバー温度200℃、回転数100rpmにて3分間溶融混練し、チャンバー内容物を取り出し、冷却して制振材を得た。得られた制振材を用いて各種物性評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0006929768
表2より、実施例1〜3の制振材は、比較例1〜3に比べて優れた制振性及び機械的強度を有していることが分かる。
本発明によれば、制振性、耐候性及び耐久性に優れ、高い機械的強度を有する制振材が得られるため、例えば成形体、フィルム等としてダッシュインシュレータ、天井、フロアインシュレータ、カーペット、トランクトリム、ドアトリム等の自動車用内装材、フェンダーライナー、エンジンカバー、アンダーカバー等の自動車外装材、燃料タンク等の自動車用成形品への展開が期待される。さらに自動車に限らず、二輪車、航空機、電車等の車両用、航空機等の航空宇宙用、土木、住宅等の建築用家電用の制振材として様々な分野に使用することができる。

Claims (6)

  1. 熱可塑性ポリオレフィン(A)、架橋構造を有するアクリル系重合体粒子(B)及び接着性ポリオレフィン(C)を含有する、熱可塑性ポリオレフィン制振材であって、
    前記熱可塑性ポリオレフィン(A)をマトリクス相とし、前記アクリル系重合体粒子(B)をドメイン相とする海島構造を有する制振材であり、該ドメイン相の平均分散径が1μm以下である、熱可塑性ポリオレフィン制振材。
  2. 前記熱可塑性ポリオレフィン(A)が、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブチレン系樹脂、及びエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であるエチレン−α−オレフィン共重合体からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の熱可塑性ポリオレフィン制振材。
  3. 前記接着性ポリオレフィン(C)が、極性基を含有するポリオレフィンであり、該極性基が水酸基、カルボキシル基、エステル基、及び無水マレイン酸に由来する官能基からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の熱可塑性ポリオレフィン制振材。
  4. 前記アクリル系重合体粒子(B)の平均粒子径が0.01〜1μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性ポリオレフィン制振材。
  5. 前記アクリル系重合体粒子(B)の含有量が1〜50質量%である、請求項1〜のいずれかに記載の熱可塑性ポリオレフィン制振材。
  6. 前記接着性ポリオレフィン(C)の含有量が0.1〜20質量%である、請求項1〜のいずれかに記載の熱可塑性ポリオレフィン制振材。
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