JP6928591B2 - 光ファイバオーバーコート心線及び光ファイバコード - Google Patents

光ファイバオーバーコート心線及び光ファイバコード Download PDF

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Description

本発明は、光ファイバオーバーコート心線及び光ファイバコードに関する。さらに詳しくは、光ファイバ着色心線の周囲にオーバーコート層を設けた光ファイバオーバーコート心線及び光ファイバコードに関する。
光ファイバは、一次被覆層(プライマリ層)と二次被覆層(セカンダリ層)との二層構造からなる被覆が施されており、その周囲に着色層を設けることや、二次被覆層を着色層とすることで、被覆層の最外層が着色された光ファイバ着色心線とされる。
また、光ファイバ着色心線にさらにオーバーコート層を設けて補強された光ファイバオーバーコート心線は、暗所での心線の視認性、識別性、取扱性等を向上させ、敷設作業の簡略化や敷設時間の短縮化に貢献している。
このような光ファイバオーバーコート心線(単に「オーバーコート心線」とも呼ばれる。以下同じ。)は、接続等においてオーバーコート層を除去する必要がある。光ファイバに紫外線硬化樹脂からなる樹脂層を被覆した光ファイバ着色心線の最外層にさらなる樹脂層を被覆したオーバーコート心線において、オーバーコート層の被覆除去性を向上させるために、その樹脂組成物に一定の分子量を有するポリオール化合物を配合する技術が提供されていた(例えば、特許文献1等を参照。)。
特許第6046021号公報
一方、前記した特許文献1に代表される技術では、低温での被覆除去を重要視しているため、材料として柔軟性やしなやかさが求められており、常温(例えば23℃等。)で長さ160mm以上のオーバーコート層の被覆除去性を備えたものではなかった。
さらに、光ファイバオーバーコート心線は、コネクタを接続した際の実使用時に繰り返し曲げ荷重に耐えうるべく、繰り返し曲げ特性を具備する必要があった。これは、フェルール等のコネクタを接着剤で固定した上で、オーバーコート心線に所定の荷重及び回数の繰り返し曲げ負荷を加えた際に、オーバーコート層と接着剤の界面等に亀裂や剥離が発生しないようにする特性であり、かかる特性を具備する光ファイバオーバーコート心線が求められていた。
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、オーバーコート層の被覆除去性が良好であることに加え、コネクタ等を接続した際の繰り返し曲げ特性を備えた光ファイバオーバーコート心線及び当該オーバーコート心線を備えた光ファイバコードを提供することにある。
前記の課題を解決するために、本発明に係る光ファイバオーバーコート心線は、
光ファイバの周囲に当該光ファイバを被覆する少なくとも2の被覆層が形成され、当該被覆層のうち最外層が着色されて構成される光ファイバ着色心線の周囲にオーバーコート層が形成された光ファイバオーバーコート心線であって、
前記光ファイバ着色心線とオーバーコート層との間に、粘度が0.25〜0.45Pa・sのシリコーン化合物が光ファイバオーバーコート心線の長手方向に介在され、
前記オーバーコート層を形成するオリゴマーのポリオールがポリテトラメチレングリコールであることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバオーバーコート心線は、前記した本発明において、前記オーバーコート層の23℃でのヤング率が、700〜1500MPaであることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバオーバーコート心線は、前記した本発明において、長さ160mmの前記オーバーコート層を除去する際の被覆除去力の最大値が、3〜18Nであることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバオーバーコート心線は、前記した本発明において、前記オリゴマーが、前記ポリテトラメチレングリコールを中間ブロックとし、骨格成分として、その両末端の水酸基に、芳香族系ジイソシアネートを介して、不飽和二重結合を有するヒドロキシ系化合物を結合させたものであることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバオーバーコート心線は、前記した本発明において、前記オーバーコート層のガラス転移温度(T )が50〜120℃であることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバオーバーコート心線は、前記した本発明において、前記オリゴマーの重量平均分子量が500〜4000であることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバコードは、前記した本発明に係る光ファイバオーバーコート心線を備えたことを特徴とする。
本発明に係る光ファイバオーバーコート心線は、光ファイバ着色心線とオーバーコート層との間に粘度が所定範囲のシリコーン化合物をオーバーコート心線の長手方向に介在させているため、オーバーコート心線のオーバーコート層を、例えば長さ160mm除去する際の被覆除去力の最大値を適正な範囲とすることができ、オーバーコート層が光ファイバ着色心線との間で速やかに除去され、オーバーコート層の被覆除去性が良好である。さらに、オーバーコート層を形成するポリオールのオリゴマーがポリテトラメチレングリコールからなるので、コネクタ等を接続した際の繰り返し曲げ特性を備えた強靭な光ファイバオーバーコート心線となる。
また、本発明に係る光ファイバコードは、前記した本発明の光ファイバオーバーコート心線を備えているので、かかる発明の効果を享受する。
本発明に係る光ファイバオーバーコート心線の構造の一例を示した断面図である。
以下、本発明の一態様を説明する。図1は、本発明に係る光ファイバオーバーコート心線1の構造の一例を示した断面図である。図1中、1は光ファイバオーバーコート心線、10は光ファイバ、11は一次被覆層、12は二次被覆層、13は着色層、2は光ファイバ着色心線、3はオーバーコート層、4はシリコーン化合物、をそれぞれ示す。
本発明に係る光ファイバオーバーコート心線1(以下、単に「オーバーコート心線1」とする場合がある。)は、ガラス光ファイバ等の光ファイバ10の周囲に光ファイバ10を保護するために被覆される少なくとも2の被覆層(被覆層とは、本実施形態にあっては、一次被覆層11、二次被覆層12、着色層13を指す。以下同じ。)が形成され、かかる被覆層のうち最外層が着色されて構成される光ファイバ着色心線2の周囲に、オーバーコート層3が形成されている。
図1の構成にあっては、光ファイバ10の周囲に一次被覆層11(プライマリ層とも呼ばれる。以下同じ。)、一次被覆層11の周囲に二次被覆層12(セカンダリ層とも呼ばれる。以下同じ。)、二次被覆層12の周囲に着色された着色層13がこの順で形成されており、光ファイバ着色心線2を構成する。また、着色層13が光ファイバ着色心線2の被覆層の最外層となる。
光ファイバ着色心線2における各層の外径は、光ファイバ素線としての特性を維持するために、一般に、光ファイバ10の外径は80〜125μm、一次被覆層11の外径は120〜200μm、二次被覆層12の外径は160〜242μm、着色層13の外径は173〜255μmの範囲内とすることが好ましい。そして、光ファイバオーバーコート心線1におけるオーバーコート層3の外径は、一般に、470〜530μmの範囲内とすることが好ましい。
また、本発明のオーバーコート心線1は、光ファイバ着色心線2とオーバーコート層3との間に、シリコーン化合物4が、オーバーコート心線1の長手方向(図1の紙面に直交する方向。)に介在されている。なお、シリコーン化合物4は、図1では、黒太線で示されている。
(A)オーバーコート層3:
光ファイバオーバーコート心線1におけるオーバーコート層3は、光ファイバ着色心線2の周囲に形成される層である。オーバーコート心線1は、光ファイバ着色心線2の周囲にオーバーコート層3を設けることにより光ファイバ着色心線2が補強され、暗所での心線の視認性、識別性、取扱性を向上させ、敷設作業の簡略化や時間短縮化を図るものである。
本発明における光ファイバオーバーコート心線1のオーバーコート層3を構成する成分としては、例えば、光ファイバ素線を被覆する紫外線硬化樹脂及びその添加成分等として一般に使用される成分等を使用することができ、具体的には、オリゴマー、希釈モノマー、光開始剤、シランカップリング剤、増感剤、顔料、その他各種添加剤等を使用することができる。
オリゴマーとしては、一般には、例えば、ポリエーテル系ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、シリコーンアクリレート等の1種を単独で、または2種以上が組み合わされて使用されている。オリゴマーの骨格構造と分子量、及び後記する希釈モノマーの種類と添加量によって、オーバーコート層全体のヤング率やガラス転移温度(Tg)を調整することができる。オリゴマーの分子量を小さくすることや、モノマーの官能基を増やすこと等により、ヤング率を調整することができる。
オリゴマーとしてポリエーテル系ウレタンアクリレートを使用する場合には、中間ブロックは、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオールを使用することができ、分岐構造のポリプロピレングリコールが多く使用されているが、本発明にあっては、オリゴマーのポリオールとしてポリテトラメチレングリコールを使用することにより、コネクタ等を接続した際を含む繰り返し曲げ等、瞬間的な衝撃曲げ及びそれが継続される場合に対しての機械的強度や靭性を保持することができ、端末の剥離や亀裂を防止することができる。ポリテトラメチレングリコールは、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)自体のほか、3−メチルテトラヒドロフランの共重合体である変性ポリテトラメチレングリコール(3M−PTMG)も使用することができ、また、これらPTMGと3T−PTMGを組み合わせて使用してもよい。
そして、ポリテトラメチレングリコールを中間ブロックとし、骨格成分として、その両末端の水酸基に、芳香族系ジイソシアネートを介して、紫外線に対して反応性を有する不飽和二重結合を有するヒドロキシ化合物を結合させたオリゴマーを使用することが好ましい。
使用するオリゴマーは、例えば、重量平均分子量が500〜4000のものを使用することが好ましく、1000〜3000のものを使用することが特に好ましい。
芳香族系ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)等の芳香族系ジイソシアネート等を使用することができる。また、不飽和二重結合を有するヒドロキシ系化合物としては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)等を使用することができる。
なお、オリゴマー単独では粘度が高すぎる場合があるため、粘度調整を主目的として希釈モノマーを配合することができる。希釈モノマーとしては、例えば、単官能モノマーや、二官能モノマー、多官能モノマー等を用いることができる。
添加可能な希釈モノマーとして、単官能モノマーにおいては、例えば、PO変性ノニルフェノールアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ラウリルアクリレート等が挙げられる。また、二官能モノマー及び多官能モノマーとしては、1−6ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAエポキシアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。これらはその1種を単独で使用してもよく、その2種以上を組み合わせて使用することもできる。
なお単官能モノマーは、二官能モノマー及び多官能モノマーと比較して、ヤング率を低くする効果が大きい。これは、単官能モノマーが二官能モノマー及び多官能モノマーよりも分子構造における架橋点を減らす作用が大きいためである。
光開始剤は、紫外線を吸収するとラジカル化し、反応性オリゴマー及び反応性モノマーの不飽和二重結合を連続的に重合させることができる。光開始剤としては、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤やアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等を使用することができる。これらはその1種を単独で使用してもよく、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
増感剤としては、例えば、チオキサントン類やベンゾフェノン類等の三重項増感剤が好
適で、特にチオキサントンは三重項状態の寿命が長いため効果が高く、組み合わせて使用することができる。
その他の添加可能な添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤等の光安定剤、熱重合禁止剤等の劣化防止剤、シランカップリング剤、レベリング剤、水素吸収剤、連鎖移動剤、シリコーン、滑剤、フィラー等が挙げられる。
なお、オーバーコート層3は着色してもよく、オーバーコート層3を着色する場合に、添加される顔料としては、例えば、フタロシアニン、キナクリドン、ジオキザン、ベンスイミダゾロンの有機顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の無機顔料等が挙げられる。なお、着色成分として、顔料と、前記した材料に代表させる紫外線硬化樹脂を混合した着色材を用いるようにしてもよい。着色材の含有量は、着色材に含まれる顔料の含有量や、紫外線硬化樹脂等の他の成分の種類等により適宜決定すればよい。
本発明に係る光ファイバオーバーコート心線1にあって、オーバーコート層3全体の23℃でのヤング率(以下、単に「ヤング率」とする場合がある。)は、700〜1500MPaとすることが好ましい。23℃でのヤング率をかかる範囲とすることにより、長さ160mmを除去する場合のオーバーコート層3の被覆除去力の最大値が適度な範囲(概ね3〜18N。)となるとともに、繰り返し曲げ特性等も良好となる。一方、ヤング率が700MPaを下回ると、側圧に対し脆弱になり、ヤング率が1500MPaを超えると、ガラス転移温度が高くなったり、硬化収縮率が高くなる等の影響がある。オーバーコート層3全体の23℃でのヤング率は、700〜1000MPaとすることが特に好ましい。
オーバーコート層3全体のヤング率を前記した範囲に調整するには、例えば、オーバーコート層3を構成する成分等を調整することによって実施することができる。具体的には、オーバーコート層3を構成するポリオールであるポリテトラメチレングリコールの種類、重量平均分子量や含有量、オーバーコート層3を構成するオリゴマーの種類、分子量や含有量、希釈モノマーの種類と添加量、あるいはその他の成分の種類や含有量、照度・照射量等の紫外線硬化の条件等によって、オーバーコート層3全体のヤング率(及びガラス転移温度(T))を調整することができる。
例えば、一般的な傾向として、オーバーコート層3のポリオールの重量平均分子量を小さくしたり、含有量を少なくすることにより、ヤング率を高くしたりガラス転移温度(T)を高くすることができ、オリゴマーの分子量を小さくすることや、添加する希釈モノマーの含有量や官能基を増やすことで、ヤング率を高くしたりTgを高くすることができる。一方、このようにすると、架橋密度が高くなり、収縮も多くなり、被覆除去力に悪影響を与える場合もあるため、バランスを考慮して調整するようにすることが好ましい。
なお、オーバーコート層3のガラス転移温度(T)は、例えば、50〜120℃とすることが好ましい。
(B)一次被覆層11、二次被覆層12及び着色層13:
ガラス光ファイバ等の光ファイバ10は、様々な外的応力やそれによって発生するマイクロベンドによって伝送ロスが増加する。そのような外的応力から光ファイバ10を保護する必要があり、一般的には、一次被覆層11と二次被覆層12との二層構造からなる被覆が施されている。一次被覆層11は、ガラス光ファイバの場合は光ファイバ10を構成する石英ガラスと接する内層となり、比較的ヤング率の低い軟質の樹脂が用いられ、その外層には、比較的ヤング率の高い硬質の樹脂を用いた二次被覆層12が被覆される。
本発明に係るオーバーコート心線1の一次被覆層(プライマリ層)11及び二次被覆層(セカンダリ層)12の構成材料となる樹脂材料や、光ファイバ着色心線2の着色層13の構成材料としては、前記したオーバーコート層3を構成する成分として挙げた紫外線硬化樹脂及びその添加剤である、オリゴマー、希釈モノマー、光開始剤、シランカップリング剤、増感剤、顔料、各種の添加剤等の成分を好ましく使用することができる。
例えば、一次被覆層11や二次被覆層12のオリゴマーとしては、ポリプロピレングリコールを使用したポリオールに芳香族系イソシアネートとヒドロキシエチルアクリレートを付加したオリゴマーを使用することが好ましく、中間ブロックのポリオール(ポリプロピレングリコール)の分子量を変化させることでヤング率を調整することができる。使用するオリゴマーの重量平均分子量は、一次被覆層11として使用する場合は、1000〜4000のものを使用することが好ましく、二次被覆層12として使用する場合には、500〜2000のものを使用することが好ましく、着色層13として使用する場合は、500〜2000のものを使用することが好ましい。
具体的には、一次被覆層11や二次被覆層12としては、ポリオールとしてポリプロピレングリコールを使用し、オリゴマーとしてポリプロピレングリコールを中間ブロックとしたオリゴマーを使用することにより、−60℃の低温でも結晶しないため、低温時の結晶化を効率よく防止することができる。芳香族系イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)等の芳香族系ジイソシアネート等を使用することができる。また、ヒドロキシ系化合物としては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)等を使用することができる。オリゴマー単独では粘度が高すぎる場合があるため、粘度調整を主目的として希釈モノマーを配合することができる。
希釈モノマーとしては、例えば、単官能モノマーや、二官能モノマー、多官能モノマー等を用いることができる。添加可能な希釈モノマーとして、単官能モノマーにおいては、例えば、PO変性ノニルフェノールアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられる。また、二官能モノマー及び多官能モノマーとしては、1−6ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAエポキシアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート等が挙げられる。これらはその1種を単独で使用してもよく、その2種以上を組み合わせて使用することもできる。
なお単官能モノマーは、二官能モノマー及び多官能モノマーと比較して、ヤング率を低くする効果が大きい。これは、単官能モノマーが二官能モノマー及び多官能モノマーよりも分子構造における架橋点を減らす作用が大きいためである。光開始剤は、紫外線を吸収するとラジカル化し、反応性オリゴマー及び反応性モノマーの不飽和二重結合を連続的に重合させることができる。光開始剤としては、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤やアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等を使用することができる。これらはその1種を単独で使用してもよく、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、着色層13を構成するオリゴマーとしては、前記した一次被覆層11や二次被覆層12と同様に、ポリプロピレングリコールを使用したポリオールに芳香族系イソシアネートとヒドロキシエチルアクリレートを付加したオリゴマーを使用することが好ましく、中間ブロックのポリオール(ポリプロピレングリコール)の分子量を変化させること二官能モノマーや多官能モノマーを使用することでヤング率を調整することができる。また、着色層13を構成する樹脂には、例えば、ビスフェノールAエポキシアクリレート等を添加することで、強靭性を上げることができる。
具体的には、オリゴマーとしては、ポリプロピレングリコールを使用したポリオールに芳香族系イソシアネートとヒドロキシエチルアクリレートを付加したオリゴマーを使用することが好ましく、中間ブロックのポリオール(ポリプロピレングリコール)の分子量を変化させることや、二官能モノマーや多官能モノマーを使用することでヤング率を調整することができる。また、例えば、ビスフェノールAエポキシアクリレート等を添加することで、強靭性を上げることができる。さらに、表面のすべり性を向上させるために、変性シリコーンを添加することが好ましく、例えば、片末端アクリル変性シリコーン等を使用することができる。
光開始剤としては、例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2,4−ジエチルチオキサントン等を使用することができる。光開始剤はその種類によって吸収波長が異なり、例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オンは、300nm付近に吸収波長を持ち表面硬化性に優れる。また、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1は、320nm付近に吸収波長を持ち、内部硬化性に優れた非常に高い反応性を有する光開始剤である。さらに、2,4ジエチルチオキサントンは380〜400nm付近に吸収波長を有する。
また、単独では380nm以上の波長に吸収域を殆ど持たない光開始剤(光重合開始剤)でも、他の光開始剤との併用により、長波長領域の光照射で光開始剤として機能させることができる。2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オンは、単独では405nmの光を全く吸収しないが、2,4−ジエチルチオキサントンと併用させると、2,4−ジエチルチオキサントンの増感作用によって、405nmにおける吸光係数を高くすることができる。
なお、吸収波長が長波長側の方が、紫外線は深く入るため、着色層等の深部の硬化性が上がり、表面だけでなく内部も硬化することになる。そのため、線速が速くても、表面硬化性の高いものと深部硬化性が高いものを併用することで、着色層等を効率良く硬化させることができる。
一次被覆層11の23℃でのヤング率は、概ね0.3〜1.5MPaとすることが好ましい。また、二次被覆層12の23℃でのヤング率は、概ね500〜1500MPaとすることが好ましい。着色層13の23℃でのヤング率は、概ね1000〜2500MPaの範囲内とすることが好ましい。
(C)シリコーン化合物4:
本発明の光ファイバオーバーコート心線1は、光ファイバ着色心線2とオーバーコート層3との間に、シリコーン化合物4が光ファイバオーバーコート心線1の長手方向に介在されている。シリコーン化合物4は、光ファイバ着色心線2の表面にシリコーン化合物4による層を形成し、理想的には長手方向に連続的に介在されているが、シリコーン化合物4が多少途切れる部分が生じていても構わない。
介在されるシリコーン化合物4の粘度は、0.25〜0.60Pa・sである。シリコーン化合物4の粘度がかかる範囲であれば、オーバーコート層2の滑りが適度であり、長さ160mmを除去する場合のオーバーコート層3の被覆除去力の最大値を所望の範囲(概ね3〜18Nの範囲。)とすることができる。
シリコーン化合物4の粘度は、0.25〜0.50Pa・sであることが好ましく、0.25〜0.45Pa・sであることが特に好ましい。粘度がかかる範囲であれば、光ファイバオーバーコート心線1の製造においてシリコーン化合物4を光ファイバ着色心線2に塗布する際、高線速の製造であってもシリコーン化合物4を光ファイバ着色心線2の表面に均一に塗布することができ、その結果、光ファイバオーバーコート心線1の外径変動を抑えることが可能となり、製造性が良好となる。
かかる粘度の範囲を維持すべく、着色層13等の表面に塗布するシリコーン化合物4としては、例えば、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、ウレタンアクリレート変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン、メチルスチリル変性シリコーン、エポキシポリエーテル変性シリコーン、アルキルアラルキルポリエーテル変性シリコーン等が挙げられ、これらのうちポリエーテル変性シリコーンが特に好ましい。
かかるシリコーン化合物4の市販品のうち、エチレン性不飽和基を有するシリコーン化合物の市販品としては、例えば、TegoRad2200、TegoRad2250、TegoRad2300、TegoRad2400、TegoRad2500、TegoRad2600、TegoRad2650、TegoRad2700(エボニック社製)、BYK3500、BYK3505、BYK3570(ビックケミー・ジャパン(株)製)等を挙げることができる。また、EBECRYL350(シリコンジアクリレート)、EBECRYL1360((株)ダイセル製)、X22−2457、KF2012(信越化学工業(株)製)、FM7021、FM7025、FM7721、FM7725(JNC(株)製)を挙げることができる。
また、エチレン性不飽和基等の重合性基を有しないものとしては、SH28PA(ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体)(東レ・ダウコーニング(株)製)、ペインタッド19、54(ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体)(東レ・ダウコーニング(株)製)、FM0411(JNC(株)製)、BYK UV3510(ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体)(ビックケミー・ジャパン(株)製)、等を挙げることができる。また、ポリエーテル変性シリコーンとして、TR2200N(エボニック社製)等も使用できる。以上のシリコーン化合物は、その1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(D)光ファイバオーバーコート心線1の製造方法:
本発明に係る光ファイバオーバーコート心線1の製造方法の一例を説明する。なお、以下において、光ファイバ10としてガラス光ファイバを例に挙げて説明し、一次被覆層11と二次被覆層12とが被覆された石英ガラス製光ファイバを光ファイバ素線とよんでいる。
光ファイバ着色心線2を製造するには、例えば、まず、石英ガラスを主成分とするプリフォームを線引き炉によって加熱溶融して線引きし、石英ガラス製光ファイバとする。次に、このガラス光ファイバ10にコーティングダイスを用いて液状の紫外線硬化樹脂を含む成分を塗布し、続いて、紫外線照射装置(UV照射装置)やLED照射装置で塗布された紫外線硬化樹脂を含む成分に紫外線を照射してかかる成分を硬化させる。このようにして、ガラス光ファイバ10に一次被覆層11と二次被覆層12が被覆された光ファイバ素線が製造される。線引き後、ガラス光ファイバ10の外周に対して迅速に紫外線硬化樹脂を含む成分を被覆して一次被覆層11及び二次被覆層12を形成することにより、得られる光ファイバ素線の強度低下を防止することができる。
次工程において、得られた光ファイバ素線の外周に着色層13を塗布・硬化させて被覆することにより、光ファイバ着色心線2が製造される。なお、前記したように、二次被覆層12に着色することで、最外層が着色された二次被覆層12とした光ファイバ着色心線2とするようにしてもよい。
そして、得られた光ファイバ着色心線2の外周に、シリコーン化合物4を塗布しながらオーバーコート層3を構成する成分を塗布・硬化して被覆することにより、光ファイバ着色心線2の表面にシリコーン化合物4を存在させ、その周囲にオーバーコート層3が被覆された(光ファイバ着色心線2とオーバーコート層3との間にシリコーン化合物4を介在させた)光ファイバオーバーコート心線1が製造される。
ここで、光ファイバ着色心線2の周囲にシリコーン化合物4を塗布して、光ファイバ着色心線2の表面にシリコーン化合物4が存在した状態でオーバーコート層2を被覆するには、例えば、光ファイバ着色心線2を巻いたボビンより繰り出し、所定のニップル径及びダイス径(例えば、ニップル径300μm、ダイス径280μm等。)のダイス上に不活性ガス(COやアルゴン等。)を光ファイバ着色心線2に吹きかけて、光ファイバ着色心線2に不活性ガスをまとわせながら、圧力がかかったダイスの内部を通過させることで、シリコーン化合物4が光ファイバ着色心線2の表面に塗布される。
このようにして光ファイバ着色心線2の表面にシリコーン化合物4を存在させた状態で、あらかじめ保温された紫外線硬化樹脂を含む成分に圧力をかけた状態でオーバーコートダイスに送り、シリコーン化合物4をまとった光ファイバ着色心線2を通過させることでかかる紫外線硬化樹脂を含む成分を塗布し、紫外線照射装置(UV照射装置)内を通過する際に紫外線を照射し硬化させる。そして、引き取り装置でボビンに巻き取ることで、シリコーン化合物4が光ファイバ着色心線2とオーバーコート層3との間に介在され光ファイバオーバーコート心線1が製造される。
(E)本発明の効果:
以上説明した本発明に係る光ファイバオーバーコート心線1は、光ファイバ着色心線2とオーバーコート層3との間に粘度が所定範囲のシリコーン化合物4をオーバーコート心線1の長手方向に介在させているため、オーバーコート心線1のオーバーコート層3を、例えば長さ160mm除去する際の被覆除去力の最大値を適正な範囲(概ね3〜18N。)とすることができ、オーバーコート層3が光ファイバ着色心線2との間で速やかに除去され、オーバーコート層3の被覆除去性が良好である。さらに、オーバーコート層3を形成するオリゴマーのポリオールがポリテトラメチレングリコールからなるので、コネクタを接続した際の繰り返し曲げ特性を備えた強靭な光ファイバオーバーコート心線1となる。かかる光ファイバオーバーコート心線1は、所定の光ファイバコード等に搭載することが可能である。
(F)光ファイバコード:
そして、本発明に係るオーバーコート心線1を備えた光ファイバコードは、前記した光ファイバオーバーコート心線1が奏する効果を享受し、オーバーコート層3の被覆除去力が良好であることに加え、コネクタ等を接続した際の繰り返し曲げ特性を兼ね備えた光ファイバオーバーコート心線1を備えた光ファイバコードとなる。
光ファイバコードの構成は、特に図示しないが、本発明に係る光ファイバオーバーコート心線1を備えているものであれば特に限定はなく、例えば、オーバーコート心線1と、必要により補強材等を備え、オーバーコート心線1等を被覆する被覆層(シース)とからなる光ファイバコード等の構成等、その構成は任意であり、これ以外の構成も含め従来公知の光ファイバコードの構成とすることができる。
(G)実施形態の変形:
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。本発明は前記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良は、本発明に含まれるものである。
例えば、前記した光ファイバコードの構成は、本発明に係る光ファイバオーバーコート心線1を備えているものであれば、例えば、シースの種類、厚さ等や、光ファイバオーバーコート心線1の数やサイズ等についても、自由に選定することができる。また、光ファイバコードの外径や断面形状等も、自由に選定することができる。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
以下、本発明を実施例、参考例及び比較例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1〜実施例4、参考例5、比較例1〜比較例3]
光ファイバオーバーコート心線の製造:
表1に示した内容及び下記に示した成分を用いて、下記(1)、(2)に示した方法により、図1に示した光ファイバオーバーコート心線を製造した。
(1)光ファイバ着色心線の製造:
石英ガラスからなる外径が125μmのガラス光ファイバの周囲に、一次被覆層(プライマリ層)の外径を195μm、二次被覆層(セカンダリ層)の外径を242μmとしてそれぞれの層を被覆して光ファイバ素線とした。得られた光ファイバ素線に対して、別工程にて二次被覆層の周囲に着色層を被覆して、図1に示した構成の外径255μmの光ファイバ着色心線を得た。
なお、一次被覆層、二次被覆層及び着色層については、紫外線硬化樹脂としてポリプロピレングリコールを使用したオリゴマー(ポリプロピレングリコールを中間ブロックとし、骨格成分として、その両末端の水酸基に、トリレンジイソシアネートを介して、ヒドロキシエチルアクリレートを結合させたオリゴマー。)、希釈性モノマー、光開始剤、添加剤を適当量混合して使用した。なお、着色層には、前記の材料に適当量の顔料を含む着色材を添加して使用した。
(2)光ファイバオーバーコート心線の製造:
(1)により得られた光ファイバ着色心線を巻いたボビンより繰り出し、ニップル径300μm、ダイス径280μmのダイス上にCOやアルゴン等の不活性ガスを光ファイバ着色心線に吹きかけて、光ファイバ着色心線に不活性ガスをまとわせながら、圧力がかかったダイスの内部を通過させて、シリコーン化合物を光ファイバ着色心線の表面に塗布した。
なお、シリコーン化合物は、下記のものを使用し、比較例3については、シリコーン化合物を塗布しなかった。
(シリコーン化合物:実施例1及び実施例2)(表1では「A」と記載。)
商品名:SH28PA(粘度 0.30Pa・s、ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体 東レ・ダウコーニング(株)製)
(シリコーン化合物:実施例3、実施例4及び比較例1)(表1では「B」と記載。)
商品名:EBECRYL350(粘度 0.40Pa・s、シリコンジアクリレート ダイセル・オルネクス(株)製)
(シリコーン化合物:比較例2)(表1では「C」と記載。)
商品名:SH190(粘度 1.55Pa・s、東レダウコーニングシリコーン(株)製)
(シリコーン化合物:参考例5)(表1では「D」と記載。)
商品名:TR2200N(粘度 0.55Pa・s、ポリエーテル変性シリコーンアクリレート エボニック社製)
このようにして光ファイバ着色心線の表面にシリコーン化合物を存在させた状態で、あらかじめ保温された紫外線硬化樹脂を含む成分に圧力をかけた状態でオーバーコートダイスに送り、シリコーン化合物をまとった光ファイバ着色心線を通過させることでかかる紫外線硬化樹脂を含む成分を塗布し、紫外線照射装置(UV照射装置)内を通過する際に紫外線を照射し硬化させた。そして、引き取り装置でボビンに巻き取ることで、光ファイバ着色心線とオーバーコート層との間に、シリコーン化合物が長手方向に介在された光ファイバオーバーコート心線を製造した。なお、シリコーン化合物の塗布とオーバーコート層を形成する紫外線硬化樹脂の塗布、硬化は1ラインで行い、線速は概ね20m/秒以上(高線速を想定。)とした。
なお、オーバーコート層の構成材料については、実施例1ないし実施例4、参考例5、及び比較例3については、紫外線硬化樹脂として下記のポリテトラメチレングリコールを使用したオリゴマー(ポリテトラメチレングリコールを中間ブロックとし、骨格成分として、その両末端の水酸基に、トリレンジイソシアネートを介して、ヒドロキシエチルアクリレートを結合させたオリゴマー。)、希釈性モノマー、光開始剤、添加剤を適当量混合して使用した。また、ヤング率やガラス転移温度(T)が表1にある値となるように、オリゴマーの分子量、含有量、希釈性モノマーにおける官能基の種類や数、含有量、照度・照射量等の紫外線硬化の条件等をそれぞれ変えて使用した。
一方、比較例1及び比較例2については、紫外線硬化樹脂として下記のポリプロピレングリコールを使用したオリゴマー(ポリプロピレングリコールを中間ブロックとし、骨格成分として、その両末端の水酸基に、トリレンジイソシアネートを介して、ヒドロキシエチルアクリレートを結合させたオリゴマーのこと。)、希釈性モノマー、光開始剤、添加剤を適当量混合して使用した。また、ヤング率やガラス転移温度(T)が表1にある値となるように、オリゴマーの分子量、含有量、希釈性モノマーにおける官能基の種類や数、含有量、照度・照射量等の紫外線硬化の条件等をそれぞれ変えて使用した。
(ポリオール:実施例1ないし実施例3、参考例5及び比較例3)(表1では「A」と記載。)
オリゴマーのポリオールとしてポリテトラメチレングリコール(PTMG)を使用した。なお、実施例1ないし実施例3、参考例5及び比較例3については、オリゴマーは共通であるが、ヤング率やガラス転移温度(T)が表1にある値となるように、オリゴマーの含有量、希釈性モノマーにおける官能基の種類や数、含有量、照度・照射量等の紫外線硬化の条件等をそれぞれ変えて使用した。
(ポリオール:実施例4)(表1では「B」と記載。)
オリゴマーのポリオールとしてテトラヒドロフラン(THF)及び3−メチルテトラヒドロフランの共重合体である変性ポリテトラメチレングリコール(3M−PTMG)を使用した。
(ポリオール:比較例1及び比較例2)(表1では「C」と記載。)
オリゴマーのポリオールとしてポリプロピレングリコール(PPG)を使用した。なお、比較例1及び比較例2については、オリゴマーは共通であるが、ヤング率やガラス転移温度(T)が表1にある値となるように、オリゴマーの含有量、希釈性モノマーにおける官能基の種類や数、含有量、照度・照射量等の紫外線硬化の条件等をそれぞれ変えて使用した。
なお、光ファイバ着色心線の表面にシリコーン化合物を塗布した後、紫外線硬化樹脂を塗布、硬化させて光ファイバオーバーコート心線を製造する際に、製造される光ファイバオーバーコート心線の外径変動(製造性)を参考として確認した。全体の外径(500μm)を基準とした場合に、外径変動率が±1%未満(−1%<外径変動<+1%を意味する。)である場合を優(「◎」)、外径変動が±1%以上(外径変動≧+1%、外径変動≦−1%を意味する。)である場合を可(「△」)とした。
[試験例1]
得られた実施例、参考例及び比較例の光ファイバオーバーコート心線について、下記に示した測定方法及び試験方法を用いて、「(1)オーバーコート層のヤング率」、「(2)オーバーコート層のガラス転移温度(T)」、「(3)オーバーコート層の被覆除去力」、「(4)光ファイバ心線の繰り返し曲げ試験」、「(5)エージング及びヒートサイクルの伝送損失」の各試験を実施して、比較・評価した。結果を表1に示す。
(1)オーバーコート層のヤング率:
オーバーコート心線から除去工具(商品名:マイクロストリップ、マイクロエレクトロニクス社製)により0.016インチの穴径の刃を用いてオーバーコート層の被覆を除去することでサンプルを得た。サンプルの端末部分をアルミ板にゲル状瞬間接着剤(商品名:アロンアルファ(登録商標)、東亞合成(株)製)で接着して固定した。そして、23℃×55%RH雰囲気でテンシロン万能引張試験機により、アルミ板部分をチャックし、標線間隔25mm、引張速度1mm/分で、2.5%伸張時における力を測定し、測定値からヤング率(引張ヤング率)を算出した。ヤング率が700〜1500MPaである場合を合格とし、範囲外であった場合を不合格とした。
(2)オーバーコート層のガラス転移温度(T):
前記(1)ヤング率の測定と同様に、除去工具を用いてオーバーコート心線のオーバーコート層の被覆を除去することでサンプルを得た。そのチューブ状サンプルを、DMA動的粘弾性試験(商品名:RSA―G2、TA社製)を用いて、周波数1Hz、標線間20mm、昇温速度5℃/分の条件で引っ張り法測定を行った場合における、tanδの低温側と高温側に現れるピーク値をガラス転移温度(T)として測定した。
(3)オーバーコート層の被覆除去力:
除去工具(商品名:マイクロストリップ、マイクロエレクトロニクス社製)0.016インチの穴径の刃を用いて、オーバーコート心線を除去工具で挟んだ状態でテンシロン万能引張試験機のチャックに固定し、心線のもう片側をチャックに固定した。そして、50mm長を測定し、23℃×55%RH雰囲気下、引張速度100mm/分で、長さ160mmのオーバーコート層を除去する場合における必要な力の最大値を被覆除去力として測定した。被覆除去力の最大値が3〜18Nの範囲内である場合を合格(「○」)とし、3〜18Nを外れた場合を不合格(「×」)とした。なお、除去できない場合も同様に、不合格「×」とした(表1には、評価結果として「NG」として載せている。)。
(4)繰り返し曲げ試験:
光ファイバオーバーコート心線にフェルールをエポキシ接着剤で固定して、50gの荷重を印加しながら、フェルールの根元を45°の角度で10往復させた。試験後、オーバーコート層と接着剤の界面等に亀裂や剥離が生じたかを観察し、亀裂や剥離の発生がない場合は合格(「〇」)とし、亀裂や剥離の発生があった場合は不合格(「×」)とした。
(5)エージング及びヒートサイクルの伝送損失:
オーバーコート心線を用いて85℃×240時間エージング及び、−40℃〜+70℃のヒートサイクルを2サイクル(1サイクル:2時間)実施しながら伝送損失の測定を行った。なお、伝送損失の測定は、光パルス試験器(商品名:MW9076B、アンリツ(株)製)を用い、光後方散乱損失係数(OTDR)により、波長1.55μm(1550nm)の伝送ロスを長手方向に測定することにより行った。ともに、1550nmの波長で伝送損失(ロスレベル)が0.05dB/km以下であることを判定基準とした。伝送損失が0.05dB/km以下である場合は合格とし、0.05dB/kmを超える場合を不合格とした。
なお、「総合判定」については、(1)、(3)、(4)及び(5)について全て合格したものを総合合格(「◎」とし、前記した項目の1つでも不合格だったものを総合不合格(「×」)として判定した。結果を表1に示す。
(組成及び結果)
Figure 0006928591
表1に示すように、実施例1ないし実施例4、参考例5の光ファイバオーバーコート心線は、総合評価について合格(「◎」)であった。一方、比較例1ないし比較例は、少なくとも(3)オーバーコート層の被覆除去力と(4)繰り返し曲げ試験のいずれかが不合格で、前記した項目の全てを満足するものはなく、総合評価でも不合格(「×」)であった。
なお、参考として確認した製造性(外径変動)は、塗布されるシリコーン化合物の粘度が0.25〜0.45Pa・sの範囲内である実施例1ないし実施例4、比較例1は、シリコーン化合物を光ファイバ着色心線に塗布する際にシリコーン化合物を均一に塗布することができ、及びシリコーン化合物を塗布しない比較例3も含め、光ファイバオーバーコート心線の外径変動を抑えることが可能であり、製造性は「◎」と優れたものであった。
本発明は、オーバーコート層の被覆除去力が良好であることに加え、コネクタ等を接続した際の繰り返し曲げ特性を兼ね備えた光ファイバオーバーコート心線として有効に利用することができ、産業上の利用可能性は高い。
1 …… 光ファイバオーバーコート心線(オーバーコート心線)
10 …… 光ファイバ(ガラス光ファイバ)
11 …… 一次被覆層(プライマリ層)
12 …… 二次被覆層(セカンダリ層)
13 …… 着色層
2 …… 光ファイバ着色心線
3 …… オーバーコート層
4 …… シリコーン化合物

Claims (7)

  1. 光ファイバの周囲に当該光ファイバを被覆する少なくとも2の被覆層が形成され、当該被覆層のうち最外層が着色されて構成される光ファイバ着色心線の周囲にオーバーコート層が形成された光ファイバオーバーコート心線であって、
    前記光ファイバ着色心線とオーバーコート層との間に、粘度が0.25〜0.45Pa・sのシリコーン化合物が光ファイバオーバーコート心線の長手方向に介在され、
    前記オーバーコート層を形成するオリゴマーのポリオールがポリテトラメチレングリコールであることを特徴とする光ファイバオーバーコート心線。
  2. 前記オーバーコート層の23℃でのヤング率が、700〜1500MPaであることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバオーバーコート心線。
  3. 長さ160mmの前記オーバーコート層を除去する際の被覆除去力の最大値が、3〜18Nであることを特徴とする請求項1または請求項に記載の光ファイバオーバーコート心線。
  4. 前記オリゴマーが、前記ポリテトラメチレングリコールを中間ブロックとし、骨格成分として、その両末端の水酸基に、芳香族系ジイソシアネートを介して、不飽和二重結合を有するヒドロキシ系化合物を結合させたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれかに記載の光ファイバオーバーコート心線。
  5. 前記オーバーコート層のガラス転移温度(T )が50〜120℃であることを特徴とする請求項1ないし請求項4に記載の光ファイバオーバーコート心線。
  6. 前記オリゴマーの重量平均分子量が500〜4000であることを特徴とする請求項1ないし請求項5に記載の光ファイバオーバーコート心線。
  7. 請求項1ないし請求項のいずれかに記載の光ファイバオーバーコート心線を備えたことを特徴とする光ファイバコード。
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