JP2020052286A - 光ファイバオーバーコート心線及び光ファイバコード - Google Patents
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Abstract
Description
光ファイバの周囲に当該光ファイバを被覆する少なくとも2の被覆層が形成され、当該被覆層のうち最外層が着色されて構成される光ファイバ着色心線の周囲にオーバーコート層が形成された光ファイバオーバーコート心線であって、
前記光ファイバ着色心線とオーバーコート層との間に、粘度が0.25〜0.60Pa・sのシリコーン化合物が光ファイバオーバーコート心線の長手方向に介在され、
前記オーバーコート層を形成するオリゴマーのポリオールがポリテトラメチレングリコールであることを特徴とする。
光ファイバオーバーコート心線1におけるオーバーコート層3は、光ファイバ着色心線2の周囲に形成される層である。オーバーコート心線1は、光ファイバ着色心線2の周囲にオーバーコート層3を設けることにより光ファイバ着色心線2が補強され、暗所での心線の視認性、識別性、取扱性を向上させ、敷設作業の簡略化や時間短縮化を図るものである。
適で、特にチオキサントンは三重項状態の寿命が長いため効果が高く、組み合わせて使用することができる。
ガラス光ファイバ等の光ファイバ10は、様々な外的応力やそれによって発生するマイクロベンドによって伝送ロスが増加する。そのような外的応力から光ファイバ10を保護する必要があり、一般的には、一次被覆層11と二次被覆層12との二層構造からなる被覆が施されている。一次被覆層11は、ガラス光ファイバの場合は光ファイバ10を構成する石英ガラスと接する内層となり、比較的ヤング率の低い軟質の樹脂が用いられ、その外層には、比較的ヤング率の高い硬質の樹脂を用いた二次被覆層12が被覆される。
本発明の光ファイバオーバーコート心線1は、光ファイバ着色心線2とオーバーコート層3との間に、シリコーン化合物4が光ファイバオーバーコート心線1の長手方向に介在されている。シリコーン化合物4は、光ファイバ着色心線2の表面にシリコーン化合物4による層を形成し、理想的には長手方向に連続的に介在されているが、シリコーン化合物4が多少途切れる部分が生じていても構わない。
本発明に係る光ファイバオーバーコート心線1の製造方法の一例を説明する。なお、以下において、光ファイバ10としてガラス光ファイバを例に挙げて説明し、一次被覆層11と二次被覆層12とが被覆された石英ガラス製光ファイバを光ファイバ素線とよんでいる。
以上説明した本発明に係る光ファイバオーバーコート心線1は、光ファイバ着色心線2とオーバーコート層3との間に粘度が所定範囲のシリコーン化合物4をオーバーコート心線1の長手方向に介在させているため、オーバーコート心線1のオーバーコート層3を、例えば長さ160mm除去する際の被覆除去力の最大値を適正な範囲(概ね3〜18N。)とすることができ、オーバーコート層3が光ファイバ着色心線2との間で速やかに除去され、オーバーコート層3の被覆除去性が良好である。さらに、オーバーコート層3を形成するオリゴマーのポリオールがポリテトラメチレングリコールからなるので、コネクタを接続した際の繰り返し曲げ特性を備えた強靭な光ファイバオーバーコート心線1となる。かかる光ファイバオーバーコート心線1は、所定の光ファイバコード等に搭載することが可能である。
そして、本発明に係るオーバーコート心線1を備えた光ファイバコードは、前記した光ファイバオーバーコート心線1が奏する効果を享受し、オーバーコート層3の被覆除去力が良好であることに加え、コネクタ等を接続した際の繰り返し曲げ特性を兼ね備えた光ファイバオーバーコート心線1を備えた光ファイバコードとなる。
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。本発明は前記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良は、本発明に含まれるものである。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
に限定されるものではない。
光ファイバオーバーコート心線の製造:
表1に示した内容及び下記に示した成分を用いて、下記(1)、(2)に示した方法により、図1に示した光ファイバオーバーコート心線を製造した。
石英ガラスからなる外径が125μmのガラス光ファイバの周囲に、一次被覆層(プライマリ層)の外径を195μm、二次被覆層(セカンダリ層)の外径を242μmとしてそれぞれの層を被覆して光ファイバ素線とした。得られた光ファイバ素線に対して、別工程にて二次被覆層の周囲に着色層を被覆して、図1に示した構成の外径255μmの光ファイバ着色心線を得た。
(1)により得られた光ファイバ着色心線を巻いたボビンより繰り出し、ニップル径300μm、ダイス径280μmのダイス上にCO2やアルゴン等の不活性ガスを光ファイバ着色心線に吹きかけて、光ファイバ着色心線に不活性ガスをまとわせながら、圧力がかかったダイスの内部を通過させて、シリコーン化合物を光ファイバ着色心線の表面に塗布した。
商品名:SH28PA(粘度 0.30Pa・s、ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体 東レ・ダウコーニング(株)製)
商品名:EBECRYL350(粘度 0.40Pa・s、シリコンジアクリレート ダイセル・オルネクス(株)製)
商品名:SH190(粘度 1.55Pa・s、東レダウコーニングシリコーン(株)製)
商品名:TR2200N(粘度 0.55Pa・s、ポリエーテル変性シリコーンアクリレート エボニック社製)
オリゴマーのポリオールとしてポリテトラメチレングリコール(PTMG)を使用した。なお、実施例1ないし実施例3、実施例5及び比較例3については、オリゴマーは共通であるが、ヤング率やガラス転移温度(Tg)が表1にある値となるように、オリゴマーの含有量、希釈性モノマーにおける官能基の種類や数、含有量、照度・照射量等の紫外線硬化の条件等をそれぞれ変えて使用した。
オリゴマーのポリオールとしてテトラヒドロフラン(THF)及び3−メチルテトラヒドロフランの共重合体である変性ポリテトラメチレングリコール(3M−PTMG)を使用した。
オリゴマーのポリオールとしてポリプロピレングリコール(PPG)を使用した。なお、比較例1及び比較例2については、オリゴマーは共通であるが、ヤング率やガラス転移温度(Tg)が表1にある値となるように、オリゴマーの含有量、希釈性モノマーにおける官能基の種類や数、含有量、照度・照射量等の紫外線硬化の条件等をそれぞれ変えて使用した。
得られた実施例及び比較例の光ファイバオーバーコート心線について、下記に示した測定方法及び試験方法を用いて、「(1)オーバーコート層のヤング率」、「(2)オーバーコート層のガラス転移温度(Tg)」、「(3)オーバーコート層の被覆除去力」、「(4)光ファイバ心線の繰り返し曲げ試験」、「(5)エージング及びヒートサイクルの伝送損失」の各試験を実施して、比較・評価した。結果を表1に示す。
オーバーコート心線から除去工具(商品名:マイクロストリップ、マイクロエレクトロニクス社製)により0.016インチの穴径の刃を用いてオーバーコート層の被覆を除去することでサンプルを得た。サンプルの端末部分をアルミ板にゲル状瞬間接着剤(商品名:アロンアルファ(登録商標)、東亞合成(株)製)で接着して固定した。そして、23℃×55%RH雰囲気でテンシロン万能引張試験機により、アルミ板部分をチャックし、標線間隔25mm、引張速度1mm/分で、2.5%伸張時における力を測定し、測定値からヤング率(引張ヤング率)を算出した。ヤング率が700〜1500MPaである場合を合格とし、範囲外であった場合を不合格とした。
前記(1)ヤング率の測定と同様に、除去工具を用いてオーバーコート心線のオーバーコート層の被覆を除去することでサンプルを得た。そのチューブ状サンプルを、DMA動的粘弾性試験(商品名:RSA―G2、TA社製)を用いて、周波数1Hz、標線間20mm、昇温速度5℃/分の条件で引っ張り法測定を行った場合における、tanδの低温側と高温側に現れるピーク値をガラス転移温度(Tg)として測定した。
除去工具(商品名:マイクロストリップ、マイクロエレクトロニクス社製)0.016インチの穴径の刃を用いて、オーバーコート心線を除去工具で挟んだ状態でテンシロン万能引張試験機のチャックに固定し、心線のもう片側をチャックに固定した。そして、50mm長を測定し、23℃×55%RH雰囲気下、引張速度100mm/分で、長さ160mmのオーバーコート層を除去する場合における必要な力の最大値を被覆除去力として測定した。被覆除去力の最大値が3〜18Nの範囲内である場合を合格(「○」)とし、3〜18Nを外れた場合を不合格(「×」)とした。なお、除去できない場合も同様に、不合格「×」とした(表1には、評価結果として「NG」として載せている。)。
光ファイバオーバーコート心線にフェルールをエポキシ接着剤で固定して、50gの荷重を印加しながら、フェルールの根元を45°の角度で10往復させた。試験後、オーバーコート層と接着剤の界面等に亀裂や剥離が生じたかを観察し、亀裂や剥離の発生がない場合は合格(「〇」)とし、亀裂や剥離の発生があった場合は不合格(「×」)とした。
オーバーコート心線を用いて85℃×240時間エージング及び、−40℃〜+70℃のヒートサイクルを2サイクル(1サイクル:2時間)実施しながら伝送損失の測定を行った。なお、伝送損失の測定は、光パルス試験器(商品名:MW9076B、アンリツ(株)製)を用い、光後方散乱損失係数(OTDR)により、波長1.55μm(1550nm)の伝送ロスを長手方向に測定することにより行った。ともに、1550nmの波長で伝送損失(ロスレベル)が0.05dB/km以下であることを判定基準とした。伝送損失が0.05dB/km以下である場合は合格とし、0.05dB/kmを超える場合を不合格とした。
10 …… 光ファイバ(ガラス光ファイバ)
11 …… 一次被覆層(プライマリ層)
12 …… 二次被覆層(セカンダリ層)
13 …… 着色層
2 …… 光ファイバ着色心線
3 …… オーバーコート層
4 …… シリコーン化合物
Claims (6)
- 光ファイバの周囲に当該光ファイバを被覆する少なくとも2の被覆層が形成され、当該被覆層のうち最外層が着色されて構成される光ファイバ着色心線の周囲にオーバーコート層が形成された光ファイバオーバーコート心線であって、
前記光ファイバ着色心線とオーバーコート層との間に、粘度が0.25〜0.60Pa・sのシリコーン化合物が光ファイバオーバーコート心線の長手方向に介在され、
前記オーバーコート層を形成するオリゴマーのポリオールがポリテトラメチレングリコールであることを特徴とする光ファイバオーバーコート心線。 - 前記オーバーコート層の23℃でのヤング率が、700〜1500MPaであることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバオーバーコート心線。
- 前記シリコーン化合物の粘度が、0.25〜0.45Pa・sであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光ファイバオーバーコート心線。
- 長さ160mmの前記オーバーコート層を除去する際の被覆除去力の最大値が、3〜18Nであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の光ファイバオーバーコート心線。
- 前記オリゴマーが、前記ポリテトラメチレングリコールを中間ブロックとし、骨格成分として、その両末端の水酸基に、芳香族系ジイソシアネートを介して、不飽和二重結合を有するヒドロキシ系化合物を結合させたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の光ファイバオーバーコート心線。
- 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の光ファイバオーバーコート心線を備えたことを特徴とする光ファイバコード。
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