JP6928446B2 - 清掃用シート - Google Patents

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Description

本発明は、清掃用具に関し、特に、コゲや水垢、油脂などのこびりついた汚れに対する清掃性能に優れた清掃用シートに関する。
汚れを拭き取ったり掻き落としたりするための清掃用具は、従来、さまざまな形態のものがさまざまな分野において使用されている。例えば、台所、浴室、洗面所、便所などの清掃用途においては、シンク、レンジ、調理器具、浴槽、洗面台、便器、および壁や床などから、水垢、湯垢、油脂、石鹸カス、焦げ付き、埃等の汚れを落とすためのシート状の清掃用具(清掃用シート)が用いられている。このようなシート状の清掃用具には、こびりついた汚れをよく落とすことができる一方で、清掃対象面の材質を傷つけないという清掃性能が求められている。
例えば、特許文献1は、研摩粒子を用いなくても汚れに対する十分な研摩性ないしかきとり性を有する清掃用シートの提供を目的として、液保持性シートの少なくとも片面にエアレイド不織布が積層一体化された構成の清掃用シートを開示している。特許文献1では、エアレイド不織布に径の異なる熱可塑性繊維を配合し、太径の熱可塑性繊維の先端を表面に存在させて、かきとり性を高めている。また、特許文献1では、液保持性シートにセルロース系繊維を配合しており、清掃用シートを水性洗浄剤を含浸させた湿式シートとして用いることにより、汚れに対して洗浄剤を適用して汚れを浮かすことができるとしている。
特開2003−61885号公報
本発明の目的は、特許文献1の構成とは別の構成を有しながら、コゲや水垢、油脂などのこびりついた汚れに対する清掃性能に優れた清掃用シートを提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、以下の態様を有する。
[1] 保水層と、前記保水層に積層され一体化されたかきとり層と、を含む清掃用シートであって、前記保水層は、前記保水層を構成する繊維の全質量を基準として100質量%の量のセルロース系繊維を含み、前記かきとり層は、相対的に繊度の異なる太径熱可塑性繊維と細径熱可塑性繊維とを含む熱可塑性繊維を前記かきとり層の全質量を基準として30質量%以上の量で含み、且つ、エアレイド法により形成されており、前記清掃用シートは、前記清掃用シートの全質量を基準として、10質量%以上90質量%以下の熱可塑性繊維と、10質量%以上90質量%以下のセルロース系繊維と、を含む清掃用シート。
[2] 前記保水層は、前記セルロース系繊維の絡合によってシート状を成している、[1]に記載の清掃用シート。
[3] 前記保水層は、バインダーを含み、前記セルロール系繊維の繊維同士の接着は、その交点に存在する前記バインダーによりなされている、[1]に記載の清掃用シート。
[4] 前記一体化は、前記かきとり層に含まれる前記熱可塑性繊維の融着によりなされた、[1]から[3]のいずれかに記載の清掃用シート。
[5] 前記かきとり層は、熱融着性樹脂を含み、前記一体化は、前記熱融着性樹脂の融着により強固にされている、[4]に記載の清掃用シート。
[6] 前記かきとり層には、洗浄性パウダーが配合されている、[1]から[5]のいずれかに記載の清掃用シート。
[7] 洗浄性液体が配合された、[1]から[6]のいずれかに記載の清掃用シート。
本発明の清掃用シートは、特に、こびりついた汚れに対する清掃性能に優れており、本発明によれば、清掃対象面を傷つけることなく清掃対象面の汚れを取り除くことができる。本発明の清掃用シートは、保水性に優れ、清掃対象面に対して水分を含んだ状態で長時間にわたって貼り付けておいて汚れをふやかしたり、清掃対象面に対して水分を供給しつつ汚れを擦り落としたりすることができるため、清掃効果が高い。
本発明の保水層となる不織布シートの断面の顕微鏡写真である。 熱可塑性繊維をさらに含む不織布シートの断面の顕微鏡写真である。
(清掃用シート)
本発明の清掃用シートは、保水層と、エアレイド法により形成され、且つ、保水層に積層され一体化された(以下、単に、積層一体化されたとも記す)かきとり層と、を含む、シート状の清掃用具である。本発明の清掃用シートは、清掃用シートの全質量を基準として、10質量%以上90質量%以下の熱可塑性繊維と、10質量%以上90質量%以下のセルロース系繊維と、を含む。
(保水層)
本発明において、保水層は、セルロース系繊維をその主要構成要素とする。本発明の実施態様において、保水層は、保水層を構成する繊維の全質量を基準として100質量%の量のセルロース系繊維を含むことができる。
セルロース系繊維は、親水性であり、保水層に用いられることにより、清掃用具に吸水性および保水性を提供することができる。つまり、セルロース系繊維100質量%からなる繊維で構成された保水層を備える本発明の清掃用具は、清掃時に使用される水や洗浄液の吸収性(吸水性)および保持性(保水性)が高い。そのため、本発明の清掃用具は、一旦水や洗浄剤を含ませると、その水分や洗浄成分を利用して清掃対象面の広い領域を清掃することができ、少量の水や洗浄剤で清掃を効率的に行うことができる。
また、本発明の清掃用具は、シート状であるため、清掃対象面に沿った変形が容易である。本発明のシート状の清掃用具(清掃用シート)は、清掃対象面に対して水分を含んだ状態で貼り付けて使用することができるが、このとき、本発明の清掃用シートは上述のように保水性が高いため、清掃対象面に対して長時間にわたって貼り付けて、落としたい汚れ等に対して水分や洗浄剤を集中的に適用することができる。したがって、本発明によれば、高い洗浄効果を奏することができる。
セルロース系繊維としては、例えば、木材パルプ、コットンなどのパルプ繊維、およびレーヨンなどの再生繊維を用いることができる。繊維の種類は、単独であってもよく、混合して用いられてもよい。
保水層は、不織布であることができる。保水層は、例えば、ニードルパンチ、スパンレース、エアレイドなど知られている方法により作製することができる。詳細には、例えば、セルロース系繊維を堆積させたウェブを形成し、ニードルパンチやスパンレースなどの交絡法によりウェブ中のセルロース系繊維を絡合させたり、ケミカルボンド法によりウェブに対してバインダーを付与してセルロース系繊維の繊維同士を接着させたりすることによって、保水層となる不織布シートを製造することができる。
エアレイド法とケミカルボンド法とを組み合わせた方法によって作製された保水層において、バインダーは、セルロース系繊維同士の交点に存在し、繊維同士を固定するように機能していることができる。
図1に、本発明の保水層となる不織布シートの表面の電子顕微鏡写真を示す。図1(a)は倍率100倍の画像であり、図1(b)は図1(a)の一部を拡大した倍率400倍の画像である。この不織布シートは、繊維として100質量%のセルロース系繊維(パルプ)110と、バインダー(エチレン酢酸ビニル共重合体)120と、を含む。セルロース系繊維110同士は、バインダー120により接着されている。バインダー120は、互いに隣接するセルロース系繊維110の交点においてアメーバーのような不定形状を示しつつ、不織布シート中に点在している。
図2に、セルロース系繊維とバインダーに加えて熱可塑性繊維をさらに含む参考例の不織布シートの表面の顕微鏡写真を示す。図2(b)は図2(a)の一部を拡大した倍率400倍の画像である。セルロース系繊維110同士は、バインダー120により接着されているか、または、熱可塑性繊維(芯成分がポリエステル(PET)であり鞘成分がポリエチレン(PE)である芯鞘型熱可塑性繊維(繊度2.2dt、長さ5mm))130の融着を介して接着されている。熱可塑性繊維130はある程度の長さを有するため、多くの場合、1本の熱可塑性繊維130は、複数本のセルロース系繊維と交差して複数本のセルロース系繊維と接着している。また、複数本の熱可塑性繊維130同士も、その交点において互いに接着している。
繊維としてセルロース系繊維を100質量%の量で含む本発明の構成によれば、熱可塑性繊維をさらに含む参考例の構成と比べて、水分を取り込む量が多く、良好な吸水性および保水性が得られる傾向にある。
これは、単純に、不織布シート中における吸水性および保水性を有するセルロース系繊維の配合比率が高いということだけでなく、その構成上の違いにもよるものであると推測される。つまり、理論によって縛られることを望むものではないが、上述のような構成を有する参考例に係る不織布シートにおいては、水を含ませた場合のセルロース系繊維自体の膨潤や繊維間の空間的な広がりが、熱可塑性繊維による束縛によって、妨げられる傾向にあると考えられる。これに対して、本発明に係る不織布シートでは、バインダーはセルロース系繊維の交点に点在するに留まり、セルロース系繊維自体の膨潤やセルロース系繊維間の空間的な広がりが、妨げられ難い傾向にあると考えられる。
バインダーは、水性バインダーであることができ、例えば水溶液の形態でスプレーなどの方法によってウェブに対して付与されることができる。使用することのできるバインダーの非限定的な例として、例えば、カゼイン、アルギンサンNa、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸エステル、アクリル・スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、メチルメタアクリレート・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体などが挙げられる。
エアレイド法により作製された保水層におけるバインダーの割合は、繊維同士を接着させてシート形状を形成するのに必要十分な量であればよい。バインダーの割合は、例えば、保水層の全質量を基準として、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下である(いずれも絶乾質量換算とする)。ただし、バインダーの割合を10質量%以下とすると、強度が著しく低くなることがある。また、バインダーの割合が多くなりすぎると、セルロース系繊維の繊維同士の接着交点が増え、水を付与した際の繊維内および繊維間の体積増加が抑制されて、繊維内および繊維間に取り込むことのできる水の量が制限され得ると考えられる。
保水層は、米坪が大きいほど、吸水量が多くなる。本発明において、保水層の米坪は、清掃時に使用される水や洗浄液に関する吸収性および保持性の観点から、好ましくは10g/m2であり、より好ましくは20g/m2以上であり、さらに好ましくは30g/m2以上である。保水層の米坪が大きいと、清掃用具としての使用時に、クッション性を提供することができ、保水層の側を作業者が持つ場合、作業者の手や指に優しいという効果を奏し得る。また、保水層の側を清掃対象面に当てる場合、清掃対象面が傷つきにくく、また、水や洗浄液を含む場合はより多くの水分を清掃対象面に適用できるという効果を奏する。
一方で、清掃用具の用途または清掃対象面によっては、水や洗浄液の吸水性や保水性がそれほど必要とされない場合や、清掃用具自体に清掃対象面に沿って屈曲可能な柔軟性が求められる場合がある。そのような場合には、保水層の米坪は小さい値であることが好ましい場合もある。保水性の米坪は、かきとり層の米坪とのバランスを考慮して決定されることができる。
本発明において、保水層は、繊維同士の接着に、バインダーを要さないか(絡合の場合)、あるいは要するとしてもバインダーを繊維同士の交点に点在するように含む(エアレイドの場合)。そのため、バインダーの存在によって保水層の吸水性および保水性が阻害される傾向が小さく、本発明の保水層は、良好な吸水性および保水性を示すことができる。
(かきとり層)
本発明において、かきとり層は、上述の保水層に積層一体化して設けられた層である。本実施形態のかきとり層は、エアレイド法により形成され、相対的に繊度の異なる太径熱可塑性繊維と細径熱可塑性繊維とを含む熱可塑性繊維を、かきとり層の全質量を基準にして30質量%以上の量で含む。
本発明において、太径熱可塑性繊維は細径熱可塑性繊維よりも相対的に太く、太径熱可塑性繊維は、10dtex以上200dtex以下の繊度を有し、細径熱可塑性繊維は、1dtex以上10dtex以下の繊度を有することができる。
熱可塑性繊維の繊維長は、エアレイド法に適した長さであればよく、例えば繊維長3mm以上10mm以下であることができる。
熱可塑性繊維の樹脂の種類は、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合、ナイロン、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ポリエーテルイミドであることができる。融点の異なる二種以上の合成樹脂を組み合わせた複合繊維も使用することができる。そのような複合繊維の例には、ポリエチレン/ポリプロピレン、低融点ポリプロピレン/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエステル、ポリプロピレン/ポリエステル、低融点ポリエステル/ポリエステルなどが挙げられる。
かきとり層は、その製法に起因して、表面に構成繊維の先端が多数現れる。熱可塑性繊維は一般に適度な剛性を有し、その先端によって汚れを効果的にかきとることができる。太径熱可塑性繊維は、細径熱可塑性繊維よりも、例えばコゲのような、いわゆるこびりついた硬い汚れをかきとる性能が高い傾向にある。また、細径熱可塑性繊維は、太径熱可塑性繊維よりも、微小な凹凸のある表面の凹部や隙間に入り込んだ汚れをかきとる性能が高い傾向にある。そのため、用途に応じて、太径熱可塑性繊維と細径熱可塑性繊維との配合比率を適宜決定することが好ましい。例えば、かきとり層に、こびりついた硬い汚れに対する良好な汚れ洗浄性を発現させるためには、かきとり層中の全熱可塑性繊維の質量を基準にして、太径熱可塑性繊維を10質量%以上の量で配合することが好ましい。ただし、配合割合が高すぎると清掃対象面へ傷をつける可能性があり、これを抑制するため、太径熱可塑性繊維の配合割合は、95質量%にまで留めることが好ましい。太径熱可塑性繊維と細径熱可塑性繊維との好ましい配合比率は、10:90〜95:5(質量基準)である。
上述のとおり、本発明において、かきとり層は、エアレイド法によって形成される。より詳細には、かきとり層は、熱可塑性繊維を含む構成成分をエアレイド法によって堆積させてウェブを形成し、加熱処理を施して熱可塑性繊維を繊維同士あるいは他の構成成分と融着させることによって、シート状とすることができる。
かきとり層は、保水層となるシートに対してエアレイド法により構成成分を積層させて一体化することによって設けることができる。あるいはまた、かきとり層は、保水層となるシートとは別途、エアレイド不織布として作製され、両者が接合されることにより、積層一体化されることができる。接合すなわち一体化の手段としては、熱や超音波によるエンボス加工や、ホットメルトによる接着等を用いることができる。また、かきとり層に熱融着性樹脂の粉末を配合し、加熱処理によるその融着を利用して、層間の接合を強固にしてもよい。
かきとり層と保水層との層間接合を強固にするためにかきとり層に使用することのできる熱融着性樹脂の粉末としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等が挙げられる。これらの熱融着性樹脂の粉末の形状およびサイズは、エアレイド法に適したものであればよく、例えば、粒径が1μm〜1000μmの範囲の粒状の固体であることができる。
かきとり層は、保水層の片面に設けられていてもよく、両面に設けられていてもよい。かきとり層が保水層の片面に設けられている場合は、汚れの種類によって清掃に用いる面を変更することができ、汚れを効率よく落とすことができる。かきとり層が保水層の両面に設けられている場合は、例えば特にこびりつきの程度の大きい汚れを対象とする清掃において、両面を同様に使用することができ、清掃用具を交換する頻度が減る。かきとり層が両面に設けられる場合、両面のかきとり層は同一であってもよく、異なっていてもよい。
かきとり層は、米坪が大きいほど、強度が高くなり、こびれついた汚れ等に対するかきとり性能も向上する。かきとり層の米坪は、かきとり性能の観点から、好ましくは30g/m2以上であり、より好ましくは35g/m2以上であり、さらに好ましくは40g/m2以上である。ただし、米坪が大きくなると、柔軟性が低下する傾向にある。清掃対象面の形状によっては、清掃用シートがその形状に沿って変形することができるように、米坪が低いことが好ましい場合もある。
保水層とかきとり層とのバランスは、適宜設定することができる。かきとり層は、水は浸透することができるが、水保持性が低い。そのため、例えば、主に水や洗浄液を用いて汚れをふやかしたり溶かしたりする用途の場合には、保水層の比率を高くすることが好ましい。また、乾燥状態や、あまり水分を含ませずに乾燥に近い状態で汚れを落としたい場合などの用途においては、かきとり層の比率を高めにすることができる。例えば、保水層とかきとり層のバランスを、米坪の比率として、例えば、9:1〜1:9とすることができ、8:2〜2:8とすることができ、6:4〜4:6とすることができる。この他、保水層とかきとり層のバランスを、厚さで設定することもできる。
(洗浄性パウダー)
本発明の清掃用シートには、洗浄性を向上させるために、洗浄性を提供可能な材料(洗浄性成分)を例えば粉体(以下、洗浄性パウダーともいう)の形態で配合することができる。洗浄性パウダーは、例えば、かきとり層の形成において、ウェブ原料に添加されることができる。
洗浄性パウダーの種類は、清掃対象とする汚れの種類によって決定することができる。蛇口等の水垢などの汚れを落とす場合は酸性、台所における酸性を呈する汚れに対してはアルカリ性の粉末を使用することが望ましい。
酸性の洗浄性パウダーとしては、マロン酸、マレイン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、ヒアルロン酸、リン酸二水素ナトリウムの粉末等が挙げられる。
アルカリ性の洗浄性パウダーとしては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、重炭酸カルシウム等の粉末が挙げられる。
洗浄性パウダーは、清掃用シートにおいて、1g/m2以上の配合量で配合することが効果の発揮の点で好ましい。また、配合量が多すぎると、清掃対象面を清掃した後に、洗浄成分の除去が難しくなるため、200g/m2以下の配合量で配合することが望ましい。
(洗浄性液体)
本発明の清掃用シートは、洗浄性成分を液体の形態で含ませて用いることもできる。
洗浄性液体は水を媒体とし、界面活性剤、水溶性溶剤、および上で挙げた洗浄性パウダーの成分を含有することが望ましい。
界面活性剤としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、アミン塩、第4級アンモニウム塩、などが挙げられる。洗浄性液体中における界面活性剤の配合量は、例えば、0.01〜30質量%の範囲とすることができる。
水溶性溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、プロパノオール、ジエチレングリコール、グリセリン、ピロリドンなどが挙げられる。洗浄性液体中における界面活性剤の配合量は、例えば、1〜50質量%の範囲とすることができる。
洗浄性液体中における洗浄性パウダーの配合量は、例えば、0.01〜30質量%の範囲とすることができる。
洗浄性液体は、清掃用シートに対して、スプレー噴霧や含浸などの方法により配合することができる。
(発明の効果)
本発明の清掃用シートは、エアレイド法によって形成され熱可塑性繊維を含むかきとり層によって、コゲや油汚れなど、こびりついた汚れを効果的にかきとることができる。また、セルロース系繊維からなる保水層を有することにより、洗浄に水や洗浄液を用いる場合に、それらの液体の吸収・保持力高く、洗浄効果が高められる。また、洗浄効果のある粉体や液体の形態の洗浄性成分が配合されることにより、研摩効果や汚れの溶解力が付与され、より高い洗浄効果を持つことができる。
<清掃用シートの製造方法>
本発明の清掃用シートを製造するための方法は、保水層の形成と、かきとり層の形成と、を含む。例えば、エアレイド法、スパンレース法、ニードルパンチ法などの知られている不織布の製造方法により、保水層となる不織布シートを得て、得られた不織布シートと別途エアレイド法により作製したかきとり層となるシートとを積層して一体化することにより、本発明の清掃用シートを作製することができる。別途作製した2つの層の一体化には、熱や超音波によるエンボス加工や、接着剤を用いた接着などを行うことができる。また、例えば、かきとり層となるシートをエアレイド法により作製する際に、エアレイド法のキャリアシートを、本発明に係る保水層となる不織布シートとしてもよい。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
[実施例1]
<保水層となる不織布シートの製造>
ロールシート状のパルプを粉砕機により解繊して短繊維(繊維径約50μm、平均繊維長2〜3mm)とした。エアレイドウェブ形成装置を用い、この短繊維をサクションボックスによって吸引しながら金網ベルト上に堆積させて、ウェブを形成した。次いで、セルロース系繊維の繊維同士を接着させるために、ウェブに対して適量のバインダー(エチレン酢酸ビニル共重合体)をスプレーし、乾燥工程を経て、米坪40g/m2(うち、バインダー量は12.5%)の、保水層となる不織布シート(以下、保水層シートともいう)を得た。
<かきとり層となる不織布シートの製造>
芯成分がポリプロピレン(PP)であり鞘成分がポリエチレン(PE)である芯鞘型熱可塑性繊維(繊度35dt、長さ5mm)と、芯成分がポリエステル(PET)であり鞘成分がポリエチレン(PE)である芯鞘型熱可塑性繊維(繊度2.2dt、長さ5mm)と、熱融着樹脂の粉体(ポリエチレンパウダー、粒径600μm)と、を、45:15:7の質量比で混合した混合物を調製した。この混合物をウェブ原料として、エアレイドウェブ形成装置を用いてウェブを形成した。次いで、加熱処理を施して熱可塑性繊維を融着させて、米坪40g/m2の、かきとり層となる不織布シート(以下、かきとり層シートともいう)を得た。
<保水層とかきとり層の積層一体化>
上述の保水層シートとかきとり層シートとを積層し、加熱・加圧処理を施して、かきとり層シートに含まれる熱可塑性繊維および熱融着性樹脂の融着により、保水層とかきとり層とを接合した。これにより、吸水層の片面にかきとり層が積層一体化された構成である実施例1の清掃用シートを得た。
[実施例2]
保水層シートの米坪を60g/m2とした以外は実施例1と同様にして、実施例2の清掃用シートを得た。
[実施例3]
かきとり層シート用のウェブ原料に対して、さらに重曹を配合した以外は実施例1と同様にして、米坪130g/m2の実施例3の清掃用シートを得た。本例において、重曹の配合量は70g/m2とした。
[比較例1]
保水層シートの構成繊維を、パルプ100質量%から、パルプ80質量%および芯成分がポリエステル(PET)であり鞘成分がポリエチレン(PE)である芯鞘型熱可塑性繊維(繊度2.2dt、長さ5mm)20質量%に置き換えた以外は実施例1と同様にして、比較例1の清掃用シートを得た。
[比較例2]
保水層シートの構成繊維を、パルプ100質量%から、パルプ60質量%および芯成分がポリエステル(PET)であり鞘成分がポリエチレン(PE)である芯鞘型熱可塑性繊維(繊度2.2dt、長さ5mm)40質量%に置き換えた以外は実施例2と同様にして、比較例2の清掃用シートを得た。
<評価>
実施例および比較例の清掃用シートについて、以下の性能評価を行った。
I. 評価項目および評価方法
(水保持性)
試験片として実施例1、2および比較例1、2の清掃用シートをそれぞれ10cm×10cmの寸法の平板に切り出して重量を測定し、これを初期重量とした。試験片を蒸留水に1分間浸漬し、次いで金網上に1分間置いた後の重量を測定し、これを水平方向における水保持重量とした。さらにその後、試験片の角の一箇所をクリップで挟んで1分間吊り下げた後の重量を測定し、これを垂直方向における水保持重量とした。水平方向における水保持重量および垂直方向における水保持重量のそれぞれから初期重量を引いた値を体積で割ることにより、体積当たり水保持量(水平方向、垂直方向)を求めた。値が大きいほど、水保持性が良好であると評価した。
(洗浄性)
市販の砂糖と醤油を質量比3:1で混合した混合物0.07gをステンレススチール製のバットの上に載せ、バットを電熱器で熱しながら、バット上の混合物をスパーテルで攪拌して広げ、水分を飛ばして直径約30mmのコゲを作製した。また、市販の食器洗い用の洗剤を水で100倍に希釈した洗剤希釈液を調製した。
試験片として実施例1〜3および比較例1、2の清掃用シートをそれぞれ30mm×30mmの寸法の平板に切り出し、洗剤希釈液に1分間浸漬した後取り出して、試験片の一辺をクリップで挟んで1分間垂直に吊り下げた。この試験片をバット上のコゲがある部分の上に置いて手で軽く押さえて30往復させることによってコゲを擦り、バット上に残るコゲの状態を確認した。擦る前のコゲの面積(直径約30mmの円)を基準にして、擦ることによって除去されたコゲの面積の割合を除去率とした。除去率が高いほど、汚れ落ちが良く洗浄性は良好である。ここでは下表に示す判定基準により、除去率が90%以上である場合、70%以上90未満である場合、および70%未満である場合の三段階評価を行い、洗浄性が良好な方から符号A、B、およびCを用いて示した。
Figure 0006928446
II. 評価結果
下表に、実施例および比較例の清掃用シートの構成概略と、評価試験の結果を示す。
Figure 0006928446
水保持性については、保水層の繊維がセルロース系繊維100質量%からなる実施例は、比較例と比べて良好であった。米坪による差は見られなかった。
洗浄性については、保水層の米坪が同じ試験片同士として、実施例1と比較例1、および実施例2と比較例2をそれぞれ比較すると、保水層の繊維がセルロース系繊維100質量%からなる実施例は比較例と比べて良好であった。また、構成成分が同じ試験片同士として、実施例1と実施例2、および比較例1と比較例2をそれぞれ比べると、保水層の米坪が大きい試験片の方が、洗浄性に優れていた。
さらに、洗浄性成分を加えた実施例3は、洗浄性成分を含まない点以外は実施例3と同様の構成を有する実施例1よりも洗浄性に優れ、洗浄性成分を含まないが保水層の米坪が大きい実施例2と同程度の優れた洗浄性を示した。

Claims (5)

  1. 保水層と、前記保水層に積層され一体化されたかきとり層と、を含む清掃用シートであって、
    前記保水層は、前記保水層を構成する繊維の全質量を基準として100質量%の量のセルロース系繊維を含み、
    前記かきとり層は、相対的に繊度の異なる太径熱可塑性繊維と細径熱可塑性繊維とを含む熱可塑性繊維を前記かきとり層の全質量を基準として30質量%以上の量で含み、且つ、エアレイド法により形成され、
    前記かきとり層には、マロン酸、マレイン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、ヒアルロン酸、リン酸二水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムから選択される1の洗浄性パウダーが配合されており、
    前記清掃用シートは、前記清掃用シートの全質量を基準として、10質量%以上90質量%以下の熱可塑性繊維と、10質量%以上90質量%以下のセルロース系繊維と、を含み、
    前記清掃用シートは水不溶性研磨粒子を含まない清掃用シート。
  2. 前記保水層は、前記セルロース系繊維の絡合によってシート状を成している、請求項1に記載の清掃用シート。
  3. 前記保水層は、バインダーを含み、前記セルロース系繊維の繊維同士の接着は、その交点に存在する前記バインダーによりなされている、請求項1に記載の清掃用シート。
  4. 前記一体化は、前記かきとり層に含まれる前記熱可塑性繊維の融着によりなされた、請求項1から3のいずれか一項に記載の清掃用シート。
  5. 前記かきとり層は、熱融着性樹脂を含み、前記一体化は、前記熱融着性樹脂の融着により強固にされている、請求項4に記載の清掃用シート。
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