以下に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る太陽光発電システム100の構成例を示すブロック図である。太陽光発電システム100は、たとえば単相三線の通電路Paを介して商用電力系統CSと電気的に接続されており、商用電力系統(系統電源)CSとの連系運転が可能である。また、太陽光発電システム100は、商用電力系統CSの停電などの際、商用電力系統CSとの電気的な接続を切断して自立運転する。
太陽光発電システム100は、連系運転時には、太陽電池ストリングPVの発電電力を直流から交流に変換し、太陽光発電システム100から通電路Paを介して商用電力系統CSに電力を伝送(すなわち逆潮流)して、該電力を電力会社などに売電することが可能となっている。また、商用電力系統CSから通電路Paへ電力の供給を受けて、電力会社などから該電力を買電することもできる。以下では、商用電力系統CSに逆潮流(売電)される電力を逆潮流電力と呼び、商用電力系統CSから通電路Paに供給(買電)される電力を順潮流電力と呼ぶ。また、通電路Paには、たとえば家庭内の電化製品、工場の設備装置などの電力負荷(不図示)が接続されている。この電力負荷には、通電路Paを通じて電力が供給される。
次に、太陽光発電システム100の構成について説明する。太陽光発電システム100は、図1に示すように、電力量計Mと、太陽電池ストリングPVと、パワーコンディショナ1と、コントローラ3と、を備えている。なお、以下では、パワーコンディショナ1をPCS(Power Conditioning System)1と呼ぶ。
電力量計Mは、通電路Pa上の受電点(不図示)に設けられている。電力量計Mは、受電点において電力Wrが流れる方向、その電力値([W])及び電力量([Wh])を検出する電力検出器であり、その検出結果を示す検出情報をコントローラ3に出力する。なお、以下では、電力量計Mが検出する電力Wrを受電点電力Wrと呼ぶ。なお、図1では、商用電力系統CSから離れる方向に流れる受電点電力Wr(順潮流電力)の電力値を正の値で示し、商用電力系統CSに向かう方向に流れる受電点電力Wr(逆潮流電力)の電力値を負の値で示している。
太陽電池ストリングPVは、1又は直列接続された複数の太陽電池モジュールを含む発電装置であり、PCS1に接続されている。太陽電池ストリングPVは、太陽光を受けて発電し、発電した直流電力WGをPCS1に出力する。なお、以下では、直流電力WGを発電電力WGと呼ぶ。
PCS1は、太陽電池ストリングPVを制御する電力制御装置であり、商用電力系統CSとの連系運転が可能である。PCS1は、通電路Paと太陽電池ストリングPVとの間に設けられて両者と電気的に接続され、さらに通電路Paを介して商用電力系統CSと接続されている。PCS1は、連系運転時には、発電電力WGを電力変換した出力電力Woを通電路Paに出力する。
また、PCS1は、通電路Pbを介して専用負荷Lと接続されている。PCS1は、連系運転時及び自立運転時に、PCS1の専用コンセント18及び通電路Pbを介して専用負荷Lに電力WLを供給する。なお、以下では、この電力WLを供給電力WLと呼ぶ。また、専用負荷Lで必要とされる電力Wdを需要電力Wdと呼ぶ。この専用負荷Lは、たとえば、家庭内の電化製品、工場の設備装置などである。或いは、蓄電池などのエネルギー貯蔵装置であってもよい。また、本実施形態に限定されず、専用コンセント18は、自立運転時のみにおいて専用負荷Lに供給電力WLを供給してもよい。
また、PCS1は、太陽電池ストリングPVにMPPT(Maximum Power Point Tracking;最大電力点追従)制御、又は電力追従制御を行う。MPPT制御は、発電電力WGが最大の発電電力Wmaxとなる最大電力点Emaxを目指して電力点Eを変動させる太陽電池ストリングPVの制御方法である。また、電力追従制御は、MPPT制御と発電電力WGの入力抑制制御などの他の制御とを行いながら太陽電池ストリングPVを制御する方法である。なお、MPPT制御及び電力追従制御には、たとえば山登り法などを用いることができるが、これに限定はされない。
次に、PCS1の具体的な構成を説明する。PCS1は、電力変換部11と、インバータ12と、平滑コンデンサ13と、通信部15と、メモリ16と、IC17と、を有している。このほか、PCS1は、太陽電池ストリングPVの出力電流Iを検出する電流検出部(不図示)、及び、太陽電池ストリングPVの動作電圧Vを検出する電圧検出部(不図示)も備えている。出力電流I及び動作電圧Vの検出結果はIC17に出力される。
電力変換部11は、たとえばDC/DCコンバータであり、IC17により制御される。電力変換部11は、太陽電池ストリングPV及びバスラインBL間に設けられる。太陽電池ストリングPVに接続され、バスラインBLを介してインバータ12に接続されている。電力変換部11は、複数のスイッチング素子で構成される変換回路(不図示)を有し、スイッチング素子のスイッチングにより発電電力WGを所定電圧の直流電力に変換して、該直流電力をバスラインBLに出力する。電力変換部11での電力変換はIC17により制御される。また、電力変換部11は太陽電池ストリングPVに逆電流が流れることを防止している。
インバータ12は、IC17により制御される電力変換部であり、バスラインBLと通電路Pa及び通電路Pbとの間に設けられている。インバータ12は、PWM(Pulse Width Modulation)制御又はPAM(Pulse Amplitude Modulation)制御などによって、バスラインBLから入力される直流電力を商用電力系統CS及び/又は専用負荷Lなどの所定の電力規格に応じた交流周波数の交流電力にDC/AC変換して通電路Pa及び通電路Pbの少なくとも一方に出力することができる。
平滑コンデンサ13は、バスラインBLに接続され、バスラインBLを流れる電力のバス電圧VBの変化を除去又は軽減する。
通信部15は、コントローラ3と無線通信又は有線通信する通信インターフェースである。たとえば、通信部15は、電力変換部11及びインバータ12の動作状態(特に、電力変換量、定格電力など)をコントローラ3に送信する。また、通信部15は、コントローラ3からPCS1の電力制御を管理するための制御情報を受信する。
メモリ16は、電力を供給しなくても格納された情報を非一時的に保持する不揮発性の記憶媒体である。メモリ16は、PCS1の各構成要素(特にIC17)で用いられる設定情報、制御情報、及びプログラムなどを格納している。
IC17は、メモリ16に格納された情報及びプログラム、コントローラ3から出力される制御情報などを用いて、PCS1の各構成要素を制御する制御部である。たとえば、IC17は、電力変換部11及びインバータ12を制御し、特にそれらの電力変換を制御する。
また、IC17は、機能的な構成要素として、発電制御部171を有している。発電制御部171は、太陽電池ストリングPVの発電を制御する。発電制御部171は、たとえば、太陽電池ストリングPVの電力点E(特に動作電圧V)を変化させることにより太陽電池ストリングPVの発電電力を制御する。このような制御は、たとえば、電力変換部11のスイッチング素子のスイッチングデューティ及びスイッチング周波数のうちの一方を変化させることにより行うことができる。
発電制御部171は、MPPT制御及び電力追従制御の際の発電電力WGの制御モードとして、通常モードと、第1追従速度優先モードと、第2追従速度優先モードと、を有する。通常モードは、電力点Eの調整精度を優先して制御するモードである。第1追従速度優先モード及び第2追従速度優先モードは、発電電力WGの変化速度ΔWG/Δt(つまり単位時間Δt当たりの変化量ΔWG)を優先して制御するモードである。第1追従速度優先モード及び第2追従速度優先モードでは、電力点Eの変化速度が連系運転時の通常モードよりも速くなる。なお、通常モード、第1追従速度優先モード、及び第2追従速度優先モードでの処理については後に詳述する。
図2は、PCS1の運転状態、制御方法、及び制御モードの組み合わせを示す表である。なお、図2において、「〇」はモードが使用可能であることを示し、「×」はモードが使用不可であることを示す。また、「(〇/×)」は使用の可否が操作入力などによって切り替え設定可能であることを示している。
図2に示すように、連系運転時のMPPT制御及び電力追従制御において、発電電力WGは通常モードで制御される。
自立運転時のMPPT制御及び電力追従制御において、第2追従速度優先モードが使用不可(「×」)に設定されている場合、発電電力WGは第1追従速度優先モードで制御される。この場合、連系運転時には発電電力WGは通常モードで制御され、自立運転時には発電電力WGは第1追従速度優先モードで制御される。こうすれば、連系運転から自立運転への切り換わりをトリガーとして、自立運転時での電力点Eの変化速度を連系運転時よりも速くできる。このような制御は、たとえば、自立運転時において電力変換部11のスイッチング素子のスイッチングデューティ及びスイッチング周波数のうちの一方の変化量を連系運転時よりも大きくすることにより実現できる。従って、自立運転時の発電電力WGを連系運転時よりも速く変化させることができる。よって、自立運転時に電力需要が急激に変化しても、該電力需要に発電電力WGを良好に追従させることができる。
また、自立運転時のMPPT制御及び電力追従制御において、第2追従速度優先モードが使用可能(「〇」)に設定されている場合、発電電力WGは第1追従速度優先モード又は第2追従速度優先モードで制御される。この場合、発電電力WGの制御モードは、たとえば、発電電力WGと需要電力Wdとの電力差|Wd−WG|に応じて切り替えられる。たとえば、電力差|Wd−WG|が所定値ΔWs未満である場合、発電電力WGは第1追従速度優先モードで制御される。一方、電力差|Wd−WG|が所定値ΔWs以上である場合、発電電力WGは第1追従速度優先モードよりも発電電力WGの変化速度が速い第2追従速度優先モードで制御される。こうすれば、電力差|Wd−WG|をトリガーとして、発電電力WGの制御モードを切り替えることができる。従って、電力差|Wd−WG|のさらなる増加を抑制又は防止できるとともに、電力差|Wd−WG|を低減させることにより負荷Lでの電力需要に対して発電電力WGを良好に追従させることができる。
また、発電制御部171は、発電電力WG、出力電力Wo、及び供給電力WLを監視する。また、発電制御部171は、バス電圧VB、及び供給電力WLの出力電圧Voも監視している。PCS1の自立運転時において、供給電力WLと需要電力Wdとの需給バランスが崩れると、バス電圧VB(特にその瞬時値及び実効値)が変化する。たとえば、自立運転時にバス電圧VBは、WL<Wdになると低下し、WL>Wdになると増加する。発電制御部171は、バス電圧VBに基づいて、自立運転時に需要電力Wdに対して供給電力WLが均衡しているか否か、及び、需給バランスが崩れた場合での供給電力WLと需要電力Wdとの差を検知する。
なお、自立運転時にバス電圧VBが変化すると、供給電力WLの出力電圧Vo(特にその瞬時値及び実効値)も変化する。たとえば、供給電力WLの出力電圧Voは、バス電圧VBが低下すると低下し、バス電圧VBが上昇すると増加する。よって、発電制御部171は、出力電圧Voに基づいて、自立運転時に需要電力Wdに対して供給電力WLが均衡しているか否か、及び、需給バランスが崩れた場合で供給電力WLと需要電力Wdとの差を検知してもよい。
次に、コントローラ3について説明する。コントローラ3は、PCS1を管理する電力管理装置である。コントローラ3は、図1に示すように、表示部31と、入力部32と、通信部33と、メモリ35と、CPU36と、を備えている。
表示部31はディスプレイ(不図示)に太陽光発電システム100に関する情報などを表示する。入力部32は、操作入力を受け付け、該操作入力に応じた入力情報をCPU36に出力する。通信部33は、PCS1と無線通信又は有線通信する通信インターフェースである。通信部33は、たとえば、PCS1の電力変換に関する情報を受信してCPU36に出力し、CPU36から出力される制御情報をPCS1に送信する。また、通信部33は、たとえば、PCS1の電力変換に関する情報などを受信する。
メモリ35は、電力を供給しなくても格納された情報を非一時的に保持する記憶媒体である。メモリ35は、コントローラ3の各構成要素(特にCPU36)で用いられる様々な情報及びソフトウェアプログラムなどを格納している。
CPU36は、メモリ35に格納された制御情報及びプログラムなどを用いて、コントローラ3の各構成要素を制御する。また、CPU36は、太陽光発電システム100の電力を監視する電力監視機能を有する。たとえば、CPU36は、電力量計Mの検出結果に基づいて受電点電力Wr及びその流れ方向を検知する。
次に、発電電力WGの各制御モードについて説明する。
(通常モード)
図3は、通常モードでの発電電力WGの制御例を示す図である。発電制御部171は、通常モードでは、たとえば山登り法を用いて、太陽電池ストリングPVの動作電圧Vを段階的に一定の変化量ΔVnずつ変化させて電力点Eを変化させることにより、発電電力WGを所定電力(たとえば最大発電電力Wmax、需要電力Wd)に向けて変化させる。ここでは、発電電力WGを最大発電電力Wmaxに向けて変化させる場合を例に挙げて説明する。
発電制御部171は、動作電圧Vを一定の変化量ΔVnで増加(又は低減)する方向に変化させて、変化後の発電電力WGを検出する。発電制御部171は、発電電力WGと最大発電電力Wmaxとの電力差|Wmax−WG|が小さくなった場合、さらに動作電圧Vを同じ方向に変化量ΔVnで変化させて発電電力WGをさらに検出する。一方、発電制御部171は、発電電力WGと最大発電電力Wmaxとの電力差|Wmax−WG|が大きくなった場合、動作電圧Vを逆方向に変化量ΔVnで変化させて発電電力WGをさらに検出する。このような制御ステップを繰り返し行うことにより、最大発電電力Wmaxが出力される電力点Emaxに太陽電池ストリングPVの電力点Eを近付けて到達させる。
図3の場合、太陽電池ストリングPVの電力点Eを動作電圧Va1の電力点Ea1から動作電圧Va2(=Va1−ΔVn)の電力点Ea2に変化させた場合、太陽電池ストリングPVの出力電流Iは電流値Ia1から電流値Ia2に増加し、発電電力WGも電力値Wa1から電力値Wa2(>Wa1)に増加して、電力差|Wmax−WG|が小さくなる。この場合、PCS1は、発電電力WGをさらに最大発電電力Wmaxに近づけるべく、電力点Eを電力点Ea2から動作電圧Va3(=Va2−ΔVn)の電力点Ea3に変化させる。これらの制御ステップをこまめに繰り返すことにより、発電電力WGを最大発電電力Wmaxに近付けて到達させる。
なお、発電電力WGが最大発電電力Wmaxを過ぎた場合、発電制御部171は電力点Eを逆方向に変化させることにより、発電電力WGを再び最大発電電力Wmaxに向かって変化させる。すなわち、図3において、動作電圧Vを変化量ΔVn減らすことにより発電電力WGが最大発電電力Wmaxを過ぎた場合には、動作電圧Vを変化量ΔVn増やす。また、動作電圧Vを変化量ΔVn増やすことにより発電電力WGが最大発電電力Wmaxを過ぎた場合には、動作電圧Vを変化量ΔVn減らす。
なお、通常モードでの動作電圧Vの制御ステップ毎の変化量ΔVnは、次に説明する第1追従速度優先モードでの変化量ΔVs1、及び第2追従速度優先モードでの変化量ΔVs2よりも小さい。
(第1及び第2追従速度優先モード)
図4は、第1追従速度優先モード及び第2追従速度優先モードでの発電電力WGの制御例を示す図である。なお、図4では、第1追従速度優先モードでの変化量ΔVs1、及び第2追従速度優先モードでの変化量ΔVs2を総称して、変化量ΔVsと呼んでいる。以下においても、各変化量ΔVs1、ΔVs2を総称して、変化量ΔVsと呼ぶことがある。
発電制御部171は、第1追従速度優先モード及び第2追従速度優先モードでは、たとえば山登り法を用いて、太陽電池ストリングPVの動作電圧Vを段階的に一定の変化量ΔVs(>ΔVn)ずつ変化させて電力点Eを変化させることにより、発電電力WGを所定電力(たとえば最大発電電力Wmax、需要電力Wd)に向けて変化させる。図4では、制御ステップ毎の動作電圧Vの変化量ΔVsは通常モードでの変化量ΔVnよりも大きく設定されている(たとえばΔVs1=1.5ΔVn、ΔVs2=2ΔVn)。ここでは、所定電力が最大発電電力Wmaxの場合、すなわちWG<<Wdの場合に、発電電力WGを最大発電電力Wmaxに向けて変化させる場合を例に挙げて説明する。なお、WG>>Wdの場合には、所定電力を需要電力Wdとし、発電電力WGを需要電力Wdに向けて変化させる。
図4の場合、太陽電池ストリングPVの電力点Eを動作電圧V1の電力点E1から動作電圧V2(=V1−ΔVs)の電力点E2に変化させた場合、太陽電池ストリングPVの出力電流Iは電流値I1から電流値I2に増加し、発電電力WGも電力値W1から電力値W2(>W1)に増加して電力差|Wmax−WG|が小さくなる。この場合、PCS1は、発電電力WGをさらに最大発電電力Wmaxに近づけるべく、電力点Eを電力点E2から動作電圧V3(=V2−ΔVs)の電力点E3に変化させる。これらの制御ステップを繰り返すことにより、電力点Eを電力需要に応じた電力点Emaxに段階的に近づけて到達させる。
なお、発電電力WGが最大発電電力Wmaxを過ぎた場合、発電制御部171は電力点Eを逆方向に変化させることにより、発電電力WGを再び最大発電電力Wmaxに向かって変化させる。すなわち、図4において、動作電圧Vを変化量ΔVs減らすことにより発電電力WGが最大発電電力Wmaxを過ぎた場合には、動作電圧Vを変化量ΔVs増やす。また、動作電圧Vを変化量ΔVs増やすことにより発電電力WGが最大発電電力Wmaxを過ぎた場合には、動作電圧Vを変化量ΔVs減らす。或いは、これらの際、発電電力WGが最大発電電力Wmaxを過ぎた場合、発電制御部171は通常モードに切り替えて、動作電圧Vの制御毎の変化量をΔVn(<ΔVs)にしてもよい。
第1追従速度優先モード及び第2追従速度優先モードでは、連系運転時の通常モードよりも速く且つより少ない制御ステップ数で、太陽電池ストリングPVの発電電力WGを所定電力(最大発電電力Wmax、需要電力Wdなど)に近付けて到達させることができる。従って、電力需要の変化に対して発電電力WGを良好に追従させることができる。
なお、第1追従速度優先モードでの動作電圧Vの制御ステップ毎の変化量ΔVs1は、通常モードでの変化量ΔVnよりも大きければよい。また、第2追従速度優先モードでの動作電圧Vの制御ステップ毎の変化量ΔVs2は、第1追従速度優先モードでの変化量ΔVs1よりも大きければよい。さらに、変化量ΔVs1及び変化量ΔVs2はそれぞれ、MPPT制御と電力追従制御とで同じであってもよいし異なっていてもよい。
次に、自立運転時の発電電力WGの制御について、比較例と、第1実施例及び第2実施例とを挙げて説明する。比較例では通常モードのみで発電電力WGを制御する。一方、第1実施例では第1追従速度優先モードで発電電力WGを制御している。また、第2実施例では第1追従速度優先モードと第2追従速度優先モードとを使い分けて発電電力WGを制御している。
(比較例)
まず、比較例を説明する。図5は、比較例における自立運転時の電力需給バランスとバス電圧VBの変化との関係例を示す図である。なお、図5の上段のグラフは、PCS1が動作停止することなく通常モードでの制御を継続した場合での発電電力WG及び需要電力Wdの需給バランスを示している。また、図5の下段のグラフは、PCS1が動作停止することなく通常モードでの制御を継続した場合でのPCS1内のバス電圧VBの経時変化を示している。
時間tr1において専用負荷Lの電源がONになると、太陽電池ストリングPVは発電を開始する。期間(tr1≦tr≦tb)において、需要電力Wdは急増し、発電電力WGは通常モードでの制御により増加する。ここで、発電電力WGが急増する需要電力Wdに追従して増加できずに需要電力Wd未満のままであると、PCS1内のバス電圧VBは、時間tr2にて発電電力WGが需要電力Wdに達するまで減少し続けてしまう。
実際には、時間ts(tr1<ts≦tr2)において、バス電圧VBの瞬時値又は実効値の時間平均値が低電圧保護用の停止電圧閾値Ve1に達すると、PCS1はIC17の低電圧保護制御により停止されて動作を維持できなくなってしまう。PCS1が停止すると、供給電力WLの出力も停止して専用負荷Lに供給されなくなるため、専用負荷Lも停止してしまう。
なお、図5では、自立運転時にWG<Wdの状態が継続される場合を例示したが、自立運転時にWG>Wdの状態が継続される場合にも、IC17の過電圧保護制御により同様にPCS1が停止する。すなわち、自立運転時にWG>Wdの状態が継続すると、バス電圧VBは上昇し続ける。バス電圧VBの瞬時値又は実効値の時間平均値が過電圧保護用の停止電圧閾値Ve2に達すると、PCS1はIC17の保護制御により停止し、専用負荷Lも停止する。
このように、通常モードでは、電力点Eを変化させる際に動作電圧Vを比較的に小さい一定の変化量ΔVnずつこまめに変化させる。そのため、制御ステップの数が多くなり、電力需要に応じた電力点Eに到達するまでの時間が比較的に長くなり易い。そのため、たとえば専用負荷Lでの需要電力Wdの瞬間的な増加/低下などに起因して電力需要が急激に変化すると、その電力需要に発電電力WGが追従できない場合がある。
(第1実施例)
次に、第1実施例を説明する。図6は、第1実施例における自立運転時の電力需給バランスとバス電圧VBの変化との関係例を示す図である。なお、図6の上段のグラフは、電力点Eの変化速度の変化率を示し、需要電力Wdに向かって変化する発電電力WGの単位時間Δt当たりの増加量ΔWG(つまり追従速度ΔWG/Δt)の変化率[%]を連系運転時の通常モードでの発電電力WGの追従速度(ΔWG/Δt)を基準として示している。図6の中段のグラフは、発電電力WG及び需要電力Wdの需給バランスを示している。図6の下段のグラフは、バス電圧VBの経時変化を示している。
時間t0において、PCS1が連系運転から自立運転に切り替わると、発電制御部171は、発電電力WGを制御するモードを第1追従速度優先モードに切り替える。すなわち、制御ステップ毎の動作電圧Vの変化量ΔVs1が、連系運転時の通常モードでの変化量ΔVnよりも大きくされ、たとえば通常モードでの制御ステップ毎の変化量ΔVnの1.5倍とされる。
時間t1では、専用負荷Lの電源がONになる。ここで、図6では、時間t1以降、WG≒Wdの状態が継続している。すなわち、発電電力WG及び需要電力Wdの需給バランスが平衡している。この場合、発電制御部171は、第1追従速度優先モードで発電電力WGを制御し続ける。
そして、時間teにおいて、PCS1が自立運転からに連系運転に切り替わると、発電制御部171は、通常モードに切り替えて発電電力WGを制御する。
このように、第1実施例では、連系運転から自立運転に切り換わると、発電制御部171が、発電電力WGを制御するモードを通常モードから第1追従速度優先モードに切り替える。そして、発電制御部171は、発電電力WG及び需要電力Wdの需給バランスが平衡する場合には、第1追従速度優先モードを維持する。
(第2実施例)
次に、第2実施例を説明する。図7は、第2実施例における自立運転時の電力需給バランスとバス電圧VBの変化との関係例を示す図である。なお、図7の上段のグラフは、電力点Eの変化速度の変化率を示し、需要電力Wdに向かって変化する発電電力WGの単位時間Δt当たりの増加量ΔWG(つまり追従速度ΔWG/Δt)の変化率[%]を連系運転時の通常モードでの発電電力WGの追従速度(ΔWG/Δt)を基準として示している。図7の中段のグラフは、発電電力WG及び需要電力Wdの需給バランスを示している。図7の下段のグラフは、バス電圧VBの経時変化を示している。
時間t0において、PCS1が連系運転から自立運転に切り替わると、発電制御部171は、発電電力WGを制御するモードを第1追従速度優先モードに切り替える。すなわち、制御ステップ毎の動作電圧Vの変化量ΔVs1が、連系運転時の通常モードでの変化量ΔVnよりも大きくされる。
時間t1において専用負荷Lの電源がONになると、太陽電池ストリングPVは第1追従速度優先モードで発電を開始する。ここで、WG<Wdの状態が継続すると、PCS1内のバス電圧VBは減少し続ける。
時間t2においてバス電圧VBの瞬時値又は実効値の時間平均値が電圧低下閾値VL以下になると、発電制御部171は、発電電力WGを制御するモードを第2追従速度優先モードに切り替える。すなわち、制御ステップ毎の動作電圧Vの変化量ΔVs2が、第1追従速度優先モードでの変化量ΔVs1よりも大きくされ、たとえば通常モードでの制御ステップ毎の変化量ΔVnの2倍とされる。そして、太陽電池ストリングPVは第2追従速度優先モードで発電する。なお、電圧低下閾値VLは電力差(WG−Wd)が所定値(−ΔWs)である場合のバス電圧VBの瞬時値又は実効値の時間平均値に対応する。この切り替えにより、図7の上段の図に示すように、電力点Eの変化速度が向上し、需要電力Wdに対する発電電力WGの追従速度(ΔWG/Δt)が増加する。そして、図7の下段の図に示すようにバス電圧VBの低下が抑制されて、その単位時間Δt当たりの低下量ΔVB(言い換えると低下速度ΔVB/Δt<0)が低減する。従って、バス電圧VBの瞬時値又は実効値の時間平均値が停止電圧閾値Ve1に達する前に、発電電力WGは需要電力Wdに到達できる。こうすれば、バス電圧VBの瞬時値又は実効値の時間平均値が停止電圧閾値Ve1に達することを防止できるので、バス電圧VBの低下によるPCS1の動作停止を回避することができる。従って、供給電力WLを専用負荷Lに供給し続けることができるので、専用負荷Lも動作を維持できる。
時間t3を過ぎて発電電力WGが需要電力Wdを越えると第1追従速度優先モードに切り替えられ、時間t4にて発電電力WGが需要電力Wdと同じになるまで発電電力WGが抑制される。この制御により、バス電圧VBは定常値VB0に向かって変化する。ただし、図7の例示に限定されず、期間(t3≦t<t4)における発電電力WGの制御は、第2追従速度優先モードのままで実施されてもよい。
そして、時間teにおいて、PCS1が自立運転からに連系運転に切り替わると、発電制御部171は、通常モードに切り替えて発電電力WGを制御する。
ここで、図7では、自立運転時にWG<Wdの状態が継続される場合を例示したが、自立運転時にWG>Wdの状態が継続される場合にも、バス電圧VBは上昇し続けることによって、PCS1が停止することがある。そのため、WG>Wdでの発電電力WGの制御は、バス電圧VBの瞬時値又は実効値の時間平均値が電圧増大閾値VH以上になると、第2追従速度優先モードに切り替えられて、バス電圧VBの上昇が抑制される。なお、電圧増大閾値VHは電力差(WG−Wd)が所定値(+ΔWs)である場合のバス電圧VBの瞬時値又は実効値の時間平均値に対応する。従って、バス電圧VBの瞬時値又は実効値の時間平均値が停止電圧閾値Ve2に達する前に、発電電力WGは需要電力Wdに追従できる。こうすれば、バス電圧VBの瞬時値又は実効値の時間平均値が停止電圧閾値Ve2に達することを防止できるので、バス電圧VBの上昇によるPCS1の停止を回避することができる。従って、供給電力WLを専用負荷Lに供給し続けることができるので、専用負荷Lも動作を維持できる。
このように、第2実施例では、自立運転時にて需要電力Wdに対する発電電力WGの電力差|Wd−WG|が所定値ΔWs以上である場合、発電制御部171が、発電電力WGを制御するモードを第1追従速度優先モードから第2追従速度優先モードに切り替える。
なお、第2追従速度優先モードでの発電電力WGの制御が実施されるタイミングは、図7の例示に限定されない。たとえば、自立運転時での第2追従速度優先モードでの発電電力WGの制御は、バス電圧VBの単位時間Δtあたりの変化量ΔVB(変化速度ΔVB/Δt)が上限又は下限の変化速度閾値を越えるタイミングで実施されてもよい。すなわち、自立運転時にバス電圧VBの単位時間Δtあたりの低下量ΔVB(すなわち低下速度ΔVB/Δt<0)が低下速度閾値を越えるタイミングで実施されてもよい。また、自立運転時にバス電圧VBの単位時間Δtあたりの上昇量ΔVB(すなわち上昇速度ΔVB/Δt>0)が低下速度閾値よりも大きい上昇速度閾値を超えるタイミングで実施されてもよい。
また、PCS1が自立運転している場合に需要電力Wdに対して発電電力WGが追従できなくなると、PCS1から出力される電力(たとえば供給電力WL)の出力電圧Voも変化する。従って、自立運転時での第2追従速度優先モードでの発電電力WGの制御は、供給電力WLの出力電圧Voの瞬時値又は実効値の時間平均値が下限の電圧変化閾値VoL又は上限の電圧変化値VoHを越えるタイミングで実施されてもよい(図8参照)。或いは、出力電圧Voの単位時間Δtあたりの変化量ΔVo(すなわち変化速度ΔVo/Δt)が上限又は下限の変化速度閾値を越えるタイミングで実施されてもよい。
また、自立運転時での第2追従速度優先モードでの発電電力WGの制御は、需要電力Wdが発電電力WGを越えると直ちに実施されてもよい。
また、需要電力Wdに対して発電電力WGが追従できなくなる現象は、PCS1が自立運転している場合に発生し易い。そのため、第2追従速度優先モードでの発電電力WGの制御を自立運転になった時点で直ちに実施するか否かが設定可能とされてもよい。
また、第1追従速度優先モード、第2追従速度優先モードでの発電電力WGの制御における制御ステップ毎の動作電圧Vの変化量ΔVs1、ΔVs2はそれぞれ、本実施形態では一定とされているが、この例示に限定されず、可変とされてもよい。たとえば、発電制御部171により、第1追従速度優先モード、第2追従速度優先モードでの変化量ΔVs1、ΔVs2はそれぞれ、基準となるバス電圧VB(たとえば定常値VB0)からの変化量の大きさ|ΔVB|又はその変化速度の大きさ|ΔVB/Δt|に応じて線形又は非線形に比例する値に設定されてもよい。或いは、発電制御部171により、第1追従速度優先モード、第2追従速度優先モードでの変化量ΔVs1、ΔVs2はそれぞれ、出力電圧Voの変化量の大きさ|ΔVo|又はその変化速度の大きさ|ΔVo/Δt|に応じて線形又は非線形に比例する値に設定されてもよい。
以上に説明した本実施形態によれば、電力制御装置1は、太陽電池ストリングPVの電力追従制御を行う電力制御装置1であって、太陽電池ストリングPVの電力点Eを変化させることにより太陽電池ストリングPVの発電電力WGを制御する発電制御部171を備え、発電制御部171は、自立運転時での電力点Eの変化速度を系統電源CSとの連系運転時よりも速くする構成とされる。
また、電力制御装置1の電力制御方法は、太陽電池ストリングPVの電力追従制御を行う電力制御装置1の電力制御方法であって、太陽電池ストリングPVの電力点を変化させることにより太陽電池ストリングPVの発電電力WGを制御するステップを備え、発電電力WGを制御するステップにおいて、自立運転時での電力点Eの変化速度を系統電源CSとの連系運転時よりも速くする構成とされる。
これらの構成によれば、連系運転から自立運転への切り換わりをトリガーとして、電力点Eの変化速度を速める。そのため、自立運転時の発電電力WGを連系運転時よりも速く変化させることができる。従って、自立運転時に電力需要が急激に変化しても、該電力需要に発電電力WGを良好に追従させることができる。
上記構成の電力制御装置1は、発電制御部171は、太陽電池ストリングPVの動作電圧Vを変化させることにより発電電力WGを制御し、動作電圧Vを変化させる際、自立運転時での動作電圧Vの変化量を連系運転時よりも大きくする構成とされる。なお、この構成において、上記の変化量は、上記の制御を1回実施する際に動作電圧Vを変化させる量であり、該制御において発電電力WGを検出した時点での動作電圧V1と、次に発電電力WGを検出する直近の時点での動作電圧V2との差(V1−V2)である。
この構成によれば、連系運転から自立運転への切り換わりをトリガーとして、太陽電池ストリングPVの動作電圧Vの変化速度を速める。そのため、自立運転時の動作電圧Vを連系運転時よりも速く変化させることができる。従って、自立運転時の発電電力WGの変化速度を連系運転時よりも速くすることができる。
また、たとえば、動作電圧Vの段階的な変化により発電電力WGの制御を行う場合(図7など参照)、自立運転時において発電電力WGが電力需要に追従できるようになるまでに要する上記制御の回数を連系運転時よりも低減できる。従って、自立運転時に電力需要(たとえば専用負荷Lにて必要とされる需要電力Wd)が急変(特に急増)しても、該電力需要に対して発電電力WGを良好に追従させることができる。
また、上記構成の電力制御装置1は、電力制御装置1が自立運転時には所定の負荷Lに電力WLを供給し、発電制御部171は、発電電力WGを制御するモードとして、動作電圧Vを変化させる際に第1変化量ΔVs1で変化させる第1モード(第1追従速度優先モード)と、動作電圧Vを変化させる際に第1変化量ΔVs1よりも大きい第2変化量ΔVs2で変化させる第2モード(第2追従速度優先モード)と、を有し、自立運転時にて負荷Lの需要電力Wdに対する発電電力WGの電力差|Wd−WG|が所定値ΔWs以上である場合、発電電力WGを制御するモードを第1モードから第2モードに切り替える構成とされる。なお、この構成において、第1変化量ΔVs1は、第1モードの制御を1回実施する際に動作電圧Vを変化させる量である。また、第2変化量ΔVs2は、第2モードの制御を1回実施する際に動作電圧Vを変化させる量である。
この構成によれば、自立運転時において負荷Lの需要電力Wdに対する発電電力WGの電力差|Wd−WG|をトリガーにして発電電力WGを制御するモードを切り替えることができる。たとえば、電力差|Wd−WG|が所定値ΔWs以上であれば、第1モードよりも発電電力WGの変化速度が速い第2モードに切り替えられる。従って、電力差|Wd−WG|のさらなる増加を抑制又は防止できるとともに、電力差|Wd−WG|を低減させることにより負荷Lでの電力需要に対して発電電力WGを良好に追従させることができる。
或いは、上記構成の電力制御装置1は、スイッチング素子のスイッチングにより発電電力WGを電力変換する電力変換部11をさらに備え、発電制御部171は、スイッチング素子のスイッチングデューティ及びスイッチング周波数のうちの一方を変化させることにより発電電力WGを制御し、該一方の自立運転時での第3変化量が連系運転時よりも大きい構成とされる。なお、この構成において、上記の変化量は、スイッチングデューティ及びスイッチング周波数のうちの一方の変化による発電電力WGの制御を1回実施する際に上記一方を変化させる量であり、該制御において発電電力WGを検出した時点での上記一方の設定値と、次に発電電力WGを検出する直近の時点での上記一方の設定値との差である。
さらに、上記構成の電力制御装置1は、スイッチング素子のスイッチングデューティ及びスイッチング周波数のうちの一方の自立運転時での設定値が連系運転時よりも大きい構成とされる。
これらの構成によれば、連系運転から自立運転への切り換わりをトリガーとして、スイッチング素子のスイッチングデューティ及びスイッチング周波数のうちの一方の変化速度を速めることにより、自立運転時における太陽電池ストリングPVの動作電圧Vを連系運転時よりも速く変化させることができる。従って、自立運転時の発電電力WGの変化速度を連系運転時よりも速くすることができる。
また、上記構成の電力制御装置1は、電力制御装置1は、自立運転時には所定の負荷Lに電力WLを供給し、発電制御部171は、発電電力WGを制御するモードとして、一方を変化させる際に第3変化量で変化させる第3モード(第1追従速度優先モード)と、上記一方を変化させる際に第3変化量よりも大きい第4変化量で変化させる第4モード(第2追従速度優先モード)と、を有し、第3変化量は、発電制御部が連系運転時に変化させる上記一方の変化量よりも大きく、自立運転時にて負荷Lの需要電力Wdに対する発電電力WGの電力差|Wd−WG|が所定値ΔWs以上である場合、発電電力WGを制御するモードを第3モードから第4モードに切り替える構成としてもよい。なお、この構成において、第3変化量は、第3モードの制御を1回実施する際に、スイッチングデューティ及びスイッチング周波数のうちの一方を変化させる量である。また、第4変化量は、第4モードの制御を1回実施する際に上記一方を変化させる量である。
この構成によれば、自立運転時において負荷Lの需要電力Wdに対する発電電力WGの電力差|Wd−WG|をトリガーにして発電電力WGを制御するモードを切り替えることができる。たとえば、電力差|Wd−WG|が所定値ΔWs以上であれば、第3モードよりも発電電力WGの変化速度が速い第4モードに切り替えられる。従って、電力差|Wd−WG|のさらなる増加を抑制又は防止できるとともに、電力差|Wd−WG|を低減させることにより負荷Lでの電力需要に対して発電電力WGを良好に追従させることができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、太陽電池ストリングPVは、3つの太陽電池ストリングPVa〜PVcを含んで構成されている。以下では、第1実施形態と異なる構成について説明する。また、第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
図9は、第2実施形態に係る太陽光発電システム100の他の構成例を示すブロック図である。図9に示すように、PCS1には3つの太陽電池ストリングPVa〜PVcが接続されている。各太陽電池ストリングPVa〜PVcは、1又は直列接続された複数の太陽電池モジュールを含む発電装置であり、太陽光を受けて発電し、発電した直流電力(発電電力WGa、WGb、WGc)をPCS1にそれぞれ出力する。
また、PCS1は、3つの電力変換部11a〜11cを備える。各電力変換部11a〜11cはそれぞれ、バスラインBLを介してインバータ12に接続されている。なお、各電力変換部11a〜11cの構成は図1の電力変換部11と同様であるので、これらの説明は省略する。
なお、以下では発電電力WGa、WGb、WGcを総称する際には発電電力WGと呼ぶ。また、PCS1に接続される太陽電池ストリングPVの数、及びPCS1が備える電力変換部11の数はそれぞれ、図9の例示に限定されず、3以外の複数であってもよい。
発電制御部171は、太陽電池ストリングPVa〜PVcの発電を制御する。また、発電制御部171は、各太陽電池ストリングPVa〜PVcの発電電力WGa〜WGcを監視し、特に発電している太陽電池ストリングPVを検知する。
また、自立運転時に第1追従速度優先モード又は第2追従速度優先モードで発電電力WGの制御が実施される際、発電制御部171は、発電電力WGを出力している太陽電池ストリングPVの数、各太陽電池ストリングPVa〜PVcの発電容量、及び、各太陽電池ストリングPVa〜PVcの開放電圧Vfのうちの少なくともいずれかにさらに応じて、各太陽電池ストリングPVa〜PVcの動作電圧Vの制御ステップ毎の変化量ΔVs(ΔVs1、ΔVs2)をそれぞれ設定する。
たとえば、2つの太陽電池ストリングPVa、PVcが発電中であり、且つ、太陽電池ストリングPVcが発電できない(或いは発電電力WGcが非常に小さい)場合を考える。この場合、2つの太陽電池ストリングPVa、PVcの動作電圧Vの制御ステップ毎の変化量ΔVs(ΔVs1、ΔVs2)はそれぞれ、3つの太陽電池ストリングPVa〜PVcが発電中である場合よりも大きい値に設定される。
また、太陽電池ストリングPVの発電容量が自立運転時の電力需要に対して十分に大きい場合、電力需要(たとえば需要電力Wd)に対する発電電力WGの追従速度をあまり大きく変化させなくても、発電電力WGは電力需要に追従できる。一方、太陽電池ストリングPVの発電容量が自立運転時の電力需要に対して小さい場合、発電電力WGは電力需要(たとえば需要電力Wd)に追従させるためには、電力需要に対する発電電力WGの追従速度を比較的に大きく変化させる必要がある。従って、発電容量が比較的に大きい太陽電池ストリングPVでの制御ステップ毎の変化量ΔVsは、発電容量が比較的に小さい太陽電池ストリングPVよりも小さく設定されてもよい。たとえば、需要電力Wd=1000[W]に対して、各太陽電池ストリングPVa〜PVcの発電容量がいずれも1000[W]である場合に設定される自立運転時での動作電圧Vの変化量ΔVsは、各太陽電池ストリングPVa〜PVcの発電容量がいずれも500[W]である場合よりも小さい値に設定されてもよい。
また、開放電圧Vfが比較的に大きい太陽電池ストリングPVでの制御ステップ毎の変化量ΔVs(ΔVs1、ΔVs2)は、開放電圧Vfが比較的に小さい太陽電池ストリングPVよりも大きく設定されてもよい。
本実施形態によれば、発電制御部171は、発電電力WGを出力している太陽電池ストリングPVの数、各々の太陽電池ストリングPVの発電容量、及び、各々の太陽電池ストリングPVの開放電圧値のうちの少なくともいずれかにさらに応じた値に変化量ΔVs(ΔVs1、ΔVs2)を設定する。こうすれば、発電電力WGを出力している太陽電池ストリングPVの数、各々の太陽電池ストリングPVの発電容量、及び、各々の太陽電池ストリングPVの開放電圧Vfのうちの少なくともいずれかをさらに考慮して、自立運転時の段階毎の変化量ΔVs(ΔVs1、ΔVs2)を設定できる。たとえば、発電電力WGを出力している太陽電池ストリングPVの数が多いほど需要電力Wdに対して各発電電力WGが追従し易くなる。従って、需要電力Wdに対して各発電電力WGを良好に追従させつつ、発電している太陽電池ストリングPVの電力点Eの調整精度の低下を抑制できる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、コントローラ3がPCS1と一体(たとえば同じ装置内)に設けられている。以下では、第1及び第2実施形態と異なる構成について説明する。また、第1及び第2実施形態と同様の構成部には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
図10は、第3実施形態に係る太陽光発電システム100の他の構成例を示すブロック図である。図10の太陽光発電システム100では、PCS1は、コントローラ3(たとえば図1参照)を内蔵しており、電力変換部11、インバータ12、平滑コンデンサ13、メモリ16、IC17、及び専用コンセント18のほかに、表示部31と入力部32とを備えている。IC17は、図1のCPU36の電力監視機能を有する。こうすれば、PCS1とコントローラ3とを別々に設けなくてもよい。従って、電力システム100の構成を簡略化できる。
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上述の実施形態は例示であり、その各構成要素及び各処理の組み合わせに色々な変形が可能であり、本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
たとえば、上述の第1〜第3実施形態において、IC17の機能的な構成要素171及びCPU36の機能のうちの一部又は全部は、物理的な構成要素(たとえば電気回路、素子、装置など)で実現されていてもよい。
また、上述の第1及び第2実施形態において、IC17の機能の少なくとも一部はCPU36で実現されてもよい。たとえば、CPU36がIC17の機能的な構成要素171を有し、IC17はCPU36の指令に基づいて電力変換部11及びインバータ12を制御してもよい。