JP6927617B1 - ワーク研磨装置およびトップリング用樹脂マット体 - Google Patents

ワーク研磨装置およびトップリング用樹脂マット体 Download PDF

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Abstract

【課題】ゴム製のマットの代わりにウレタン樹脂製の樹脂マットを用いることにより、金属製のトップリング(加圧盤)への樹脂マットの接着が良好となるワーク研磨装置を提供する。【解決手段】上面に研磨布が貼付され、水平面内で回転する定盤14と、定盤14の上方に上下動自在、かつ水平面内で回転自在に配置され、定盤14との間で、下面にワーク30が保持されたキャリアプレート32を挟み、ワーク30を定盤面に押圧するトップリング16とを具備するワーク研磨装置10において、トップリング16は、キャリアプレート32の上面を押圧する加圧盤50を有し、加圧盤50のキャリアプレート32の上面を押圧する下面の全面に、弾性を有する樹脂からなる樹脂マット64が貼付されていることを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明はウェーハ等のワークのワーク研磨装置および該ワーク研磨装置におけるトップリングに貼付される樹脂マット体に関する。
シリコンウェーハ等のワークの研磨装置には種々の構造のものが提案されている。
例えば、特許文献1(特開平7−130687号公報)に示されるワーク研磨装置は、上面に研磨パッドが貼付され、駆動部により水平面内で回転する定盤と、該定盤の上方に上下動自在、かつ水平面内で回転自在に配置され、前記定盤との間で、下面にワークが保持されたキャリアプレートを挟み、ワークを定盤面に押圧するトップリングとを具備し、スラリー供給部からスラリーを供給しつつ定盤とトップリングとを所要方向に回転してワークを研磨するようにしている。
トップリングは、キャリアプレートを押圧する加圧盤を有している。
ところで、金属製の加圧盤によって直接キャリアプレートを押圧するのは、加圧盤からの押圧力が均一にキャリアプレートに伝達されず、ひいてはワークが均一に研磨パッドに押圧されず、良好な研磨が行えない。
そこで、従来、加圧盤の下面に、弾性を有するゴム製のマットを両面テープを用いて貼付し、ゴム製マットを介してキャリアプレートを押圧するようにしていた。このゴム製マットには、キャリアプレートを押圧する下面側に、多数のピラミッド状の小突起がマトリックス状に形成されているマット(図5)を使用していた。
しかしながら、ゴム製のマットを金属製の加圧盤に固定するには、一般的な接着剤を用いる両面テープによっては良好に固定できなかった。そこで、まずゴム製のマットにゴム専用の液状硬化型の接着剤を塗布し、このゴム専用接着剤を介してマットに両面テープを接着し、次いで両面テープの接着剤によりマットを加圧盤下面に接着するようにしていた。
特開平7−130687号公報
しかしながら、上記のように、ピラミッド状の小突起を多数有するゴム製のマットでは、マット自体の厚みムラ、接着層の厚みムラ等により、キャリアプレートに圧力を均一に伝達するのが困難であった。さらに詳細には、キャリアプレートへの圧力分布の変化がキャリアプレートの直径方向で急峻であったり、圧力分布がキャリアプレートの中心部から周縁部に向かって徐々に同心状に均一に広がるのでなく、周縁部に向かって不均一(例えば圧力分布が楕円状)に広がるといった不具合があった。
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされたもので、その目的とするところは、ゴム製のマットの代わりにウレタン樹脂製の樹脂マットを用いることにより、金属製のトップリング(加圧盤)への樹脂マットの接着が良好であり、また、キャリアプレートへの適切な圧力分布を得ることができるワーク研磨装置およびトップリング用樹脂マット体を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明は次の構成を備える。
すなわち、本発明に係るワーク研磨装置は、上面に研磨布が貼付され、水平面内で回転する定盤と、前記定盤の上方に上下動自在、かつ水平面内で回転自在に配置され、前記定盤との間で、下面にワークが保持されたキャリアプレートを挟み、前記ワークを前記定盤面に押圧するトップリングとを具備するワーク研磨装置であって、前記トップリングは、前記キャリアプレートの上面を押圧する加圧盤と、前記加圧盤をエア圧により前記キャリアプレートの上面に押圧する押圧機構と、前記加圧盤を囲み前記キャリアプレートの周縁部を押圧するリング状部を具備するトップリング本体と、を備え、前記加圧盤は、前記リング状部により押圧される前記キャリアプレートの周縁部を除く前記キャリアプレートの上面全面を押圧する大きさに形成され、前記押圧機構は、前記加圧盤の上面中央部を部分的に押圧するピストンを有しており、前記加圧盤の下面全面に、弾性を有する樹脂マットが貼付され、前記樹脂マットは、厚さが1〜4mmであり、圧縮率が1〜8%であることを特徴とする。
前記樹脂マットは、ウレタン樹脂製であると好適である。
前記樹脂マットの中央部分に、前記加圧盤を前記ピストンに固定する固定ボルトを挿通する孔を設けると好適である。
前記トップリングは、前記トップリング本体上に着脱可能に載せられる錘を有するもので構成できる
また本発明に係る加圧盤用樹脂マット体は、上面に研磨布が貼付され、水平面内で回転する定盤と、前記定盤の上方に上下動自在、かつ水平面内で回転自在に配置され、前記定盤との間で、下面にワークが保持されたキャリアプレートを挟み、前記ワークを前記定盤面に押圧するトップリングとを具備し、前記トップリングは、前記キャリアプレートの上面を押圧する加圧盤と、前記加圧盤をエア圧により前記キャリアプレートの上面に押圧する押圧機構と、前記加圧盤を囲み前記キャリアプレートの周縁部を押圧するリング状部を具備するトップリング本体と、を備え、前記加圧盤は、前記リング状部により押圧される前記キャリアプレートの周縁部を除く前記キャリアプレートの上面全面を押圧する大きさに形成され、前記押圧機構は、前記加圧盤の上面中央部を部分的に押圧するピストンを有するワーク研磨装置における前記加圧盤の下面全面に貼付される樹脂マット体であって、前記樹脂マット体は、弾性を有する樹脂マットであって、厚さが1〜4mmであり、圧縮率が1〜8%であり、前記加圧盤の下面全面に貼付される側の面に接着剤層が形成され、該接着剤層上に剥離紙が剥離可能に貼付されていることを特徴とする。
前記樹脂マットは、ウレタン樹脂製であると好適である。
前記樹脂マット体の中央部分に、前記加圧盤を前記ピストンに固定する固定ボルトを挿通する孔を設けると好適である。
前記剥離紙にエア抜き用の複数の小孔を設けると好適である。
また、前記剥離紙に該剥離紙を複数のエリアに分割する切れ線を設けると好適である。
前記樹脂マットは、表裏面をX−Y方向に交差するようにバフ掛けして厚さバランスを調整すると好適である。
本発明によれば、次のような作用効果を奏する。
すなわち、本発明によれば、樹脂マットに弾性を有する樹脂マットを用いたので、従来のように、ゴム専用の液状硬化型接着剤を用いる必要がなく、一般的に用いられる両面テープの接着剤により容易に樹脂マットをトップリング(加圧盤)に貼付でき、また平坦度に優れる樹脂マットを用いるので、ワークへの加圧度も均一となり、精度よくワークの研磨が行える。リング状部によるキャリアプレートの周縁部の押圧力と、加圧盤によるキャリアプレートの中央部から周縁部に向かう押圧力とがバランスし、ワークへの理想的な押圧が可能になる。
ワーク研磨装置の正面図である。 定盤上におけるトップリングの位置を示す平面図である。 トップリングの断面図である。 図4Aは樹脂マット体の平面図、図4Bはその正面図である。 従来のゴム製マットの小突起の状態を示す説明図である。 実施例(ウレタンマット)と比較例(ピラーマット)のワーク研磨装置におけるキャリアプレートへの荷重分布を示す写真である。 実施例(ウレタンマット)と比較例(ピラーマット)のワーク研磨装置を用いて研磨したワークの平坦度(GBIR)を表すグラフである。 実施例(ウレタンマット)と比較例(ピラーマット)のワーク研磨装置を用いて研磨したワークの平坦度(SFQR)を表すグラフである。 比較例におけるワークの表面画像と表面の高さ分布を示す図である。 研磨後の、実施例におけるワークの表面画像と表面の高さ分布を示す図である。
以下本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1はワーク研磨装置10の正面図、図2は定盤上におけるトップリングの位置を示す平面図である。
ワーク研磨装置10は、上面に研磨布が貼付され、公知の駆動装置(図示せず)により水平面内で回転自在に設けられた定盤14を有する。定盤14の上方には、定盤14の回転方向に沿って4基のトップリング16が配置されている。なお、図示しないが、定盤14上にスラリーを供給するスラリー供給機構が設けられている。
図2において、A、B、C、Dは定盤14に対する各トップリング16の位置を示す。各トップリング16は、装置本体18の上部に設けられたシリンダ装置20により上下動自在に設けられ、定盤14の上面に対して接離動するようになっている。
定盤14の中心にはセンターローラ22が回転自在に設けられ、各トップリングはそれぞれA、B、C、Dの各位置においてセンターローラ22と接触し、センターローラ22から回転力が伝達されて回転するようになっている。また、定盤14の周縁部にはA、B、C、Dの各位置に位置するトップリング16の外周面にそれぞれ接するガイドローラ24a、24b、24c、24dが設けられている。各トップリング16はセンターローラ22とガイドローラ24との間で保持されながらA、B、C、Dの各位置で自転するようになっている。なお、定盤14が回転することにより、各トップリング16には定盤14からの接触摩擦による回転力も伝達される。
各ガイドローラ24a、24b、24c、24dは、定盤14の外部に位置する回転軸を中心に回動するアーム(図示せず)の先端部に設けられ、アームが回動することにより、各ガイドローラ24は、定盤14外の位置と定盤14の周縁部上の位置との間に亙って移動可能になっている。
図3はトップリング16の断面図である。
トップリング16は、下面に研磨すべきシリコンウェーハ等のワーク30が適宜ワックスにより貼付されたキャリアプレート32を定盤14上に押圧し、ワーク30の被研磨面(下面)を定盤14の研磨パッド上に押圧するようになっている。キャリアプレート32には、適宜複数枚(例えば5〜7枚)のワーク30が貼付される。
以下トップリング16について説明する。
34はトップリング本体であり、下面側に凹部35が形成され、下面側外周部にリング状部36を有する。このリング状部36の外周面にセンターローラ22が接し、回転力を伝達する。リング状部36の下面に形成された凹部内にはシールリング37が嵌め込まれ、リング状部36がシールリング37を介してキャリアプレート32の周縁部を押圧するようになっている。
トップリング本体34の天板中央部には、壁面が下方に向けて広がるテーパ面40を有する貫通孔41が形成されている。
43は中空の上下動軸である。
上下動軸43の下端のフランジ部上には、ベアリング44を介して上下動軸43を中心として回転可能なクラッチリング45が設けられている。クラッチリング45の外周面は、上方に向けて広がるテーパ面46に形成されている。上下動軸43は、前記シリンダ装置20によって上下動される。上下動軸43が上下動することによって、テーパ面40とテーパ面46とが当接、あるいは離反する。上下動軸43が上下動することによって、トップリング16全体が上下動する。
トップリング本体34の凹部35内には加圧盤50が配置される。
加圧盤の上面にはピストン51が固定されている。
トップリング本体34には、その天板の貫通孔41の下側を閉塞するようにして支持盤52が固定され、該支持盤52にシリンダ室53が形成されている。ピストン51がシリンダ室53内で上下動可能に設けられている。ピストン51は支持盤52に固定されているフランジ54により下方への抜け止めがされている。なお、ピストン51外壁とシリンダ室53内壁には互いに係合する軸方向に延びる溝と凸条が形成されている(図示せず)。したがって、加圧盤50はシリンダ機構を介してトップリング本体34に対して上下動可能であると共に、トップリング本体34と共に上下動軸43を中心に回転可能となっている。
なお、上下動軸43によりトップリング16全体が上方に引き上げられた状態でも、トップリング本体34および加圧盤50は、クラッチリング45を介して上下動軸43に対して回転可能である。これにより、後記するように、加圧盤50下面への樹脂マット64の貼り換えも容易に行える。
シリンダ室53内には、流路55、ホース56、流路57、継手等を通じて図示しない圧力源から圧縮空気が供給され、これにより加圧盤50が加圧され、キャリアプレート32を押圧可能になっている。ピストン51、シリンダ室53、圧力源、流路55、57、ホース56等により押圧機構を構成している。
なお、加圧盤50は、図3に明確なように、トップリング本体34のリング状部36により押圧されるキャリアプレート32の周縁部を除くキャリアプレート32の上面のほぼ全面を押圧する大きさに形成されている。また、前記押圧機構におけるピストン51は、加圧盤50の上面中央部を部分的に押圧するピストンに形成されている。
トップリング本体34上には、複数枚の錘60が積層して載置され、錘60の枚数を増減することによって、キャリアプレート32への荷重の調整が可能になっている。
62はカバーであり、錘60を覆い、スラリーが錘60に付着するのを防止する。
キャリアプレート32の下面には、弾性を有する樹脂からなる樹脂マット64が貼付されている。
樹脂マット64には、弾性を有するウレタン樹脂製の樹脂マットを用いた。
樹脂マットは、厚さが1〜4mm、圧縮率が1〜8%のものが好適であった。なお、圧縮率は、(日本工業規格)JIS L−1096に準拠した方法により測定した。
圧縮率kは、圧力がΔPだけ増すとき、その体積VがΔVだけ減少したとするとき、k=−(ΔV/V)/ΔPと定義される。
なお、弾性樹脂マット64はウレタン樹脂製のものに限定されない。
図4A、Bは、トップリング16に貼付する前の樹脂マット体65の説明図である。図4Aはその剥離紙側から見た平面図、図4Bは正面図である。
樹脂マット体65は、前記弾性を有するウレタン製の樹脂マット64の、トップリング16(加圧盤50)下面に貼付される側の面に、接着剤層66が形成され、該接着剤層66上に剥離紙67が剥離可能に貼付されてなる。
接着剤層66と剥離紙67はいわゆる両面テープであり、本実施の形態では、米国スリーエム社製の両面テープ442Jを用いた。
剥離紙67には、図4Aに示すように、剥離紙67を複数のエリアに分割する(図示の例では2分割)切れ線68を設けると好適である。切れ線68を設けることにより、樹脂マット64を加圧盤50下面に貼付する際、切れ線68により一方の側の剥離紙を順次剥ぎながら、露出した一方の側の接着剤層66により一方の側の樹脂マット64を加圧盤50下面に貼付し、次いで、他方の側の剥離紙67を順次剥ぎながら、露出した他方の側の接着剤層66により他方の側の樹脂マット64を加圧盤50下面に貼付でき、貼付作業を容易に行える。樹脂マット64は加圧盤50の下面全面に貼付される。
なお、多数の針を植設したローラ(図示せず)を用いて、剥離紙67に多数のエア抜き用の小孔(図示せず)を設けると好適である。これにより樹脂マット64を貼付する際、樹脂マット64とトップリング16下面との間にエアが巻き込まれるのを防止しつつ樹脂マット64を貼付することができる。
なお、図4Aに示されるように、樹脂マット体65の中央部分に6個の孔が設けられているが、これは、加圧盤50をピストン51に固定する際に用いる固定ボルトの挿通用の孔である。この6個の孔は必ずしも設けなくともよい。
ワーク研磨装置10によるワーク30の研磨は次のようにして行う。
まず、キャリアプレート32下面にワックスを用いて、常法により複数枚のワーク30を貼付する。
次に、このワーク30を貼付したキャリアプレート32を定盤14上に搬入する。このキャリアプレート32の搬入は例えば次のようにして行う。
図2において、図示しないアームを回動して、キャリアプレート32搬入の一番奥側の位置Dに対応するガイドローラ24dを、定盤14の周縁部上に位置するように移動する。他のガイドローラ24a、24b、24cは定盤14外に位置させておく。
次いで、定盤14を図2の矢印方向に回転させつつ、例えばA位置から定盤14上にキャリアプレート32を作業者により投入する。するとキャリアプレート32は定盤14の回転に伴って移動し、ガイドローラ24dに当接する位置、すなわちD位置まで搬入される。
同様にして、次の搬入位置Cに対応するガイドローラ24cを定盤14の周縁部上に回動させておき、A位置から定盤14上にキャリアプレート32を作業者により投入する。キャリアプレート32は定盤14の回転に伴って移動し、ガイドローラ24cに当接する位置、すなわちC位置まで搬入される。
同様にして、キャリアプレート32をB位置、最後にA位置に搬入し、すべてのキャリアプレート32を定盤14上の所定位置A〜Dに配置できる。
次いで、4基のトップリング16をシリンダ機構20により下降させ、対応位置するキャリアプレート32上に自重により当接させる。リング状部36はシールリング37を介してキャリアプレート32の周縁部を押圧する。また押圧機構によりシリンダ室53を加圧することにより加圧盤50を押圧してキャリアプレート32上面を押圧することができる。
定盤14上には、図示しないスラリー供給部から研磨材入りのスラリーが供給される。
センターローラ22が回転駆動されることにより、各トップリング16はガイドローラ24にガイドされて、それぞれA位置、B値、C位置、D位置で自転する。またトップリング16に押圧されてキャリアプレート32もA位置、B値、C位置、D位置で自転する。これによりキャリアプレート32下面に貼付されているワーク30の下面側が研磨されることになる。
樹脂マット64に上記樹脂マットを用いた本実施の形態に係るワーク研磨装置(実施例)10と、トップリングに従来のゴム製マットを貼付したワーク研磨装置(比較例:図示せず。ゴム製マット以外は本実施の形態における研磨装置と同じ)を用いてワーク30を研磨した結果について以下説明する。
本実施の形態における(実施例)樹脂マット64は、弾性を有するウレタン樹脂製であって、厚さ2mm、圧縮率4%、両面テープにスリーエム社製442Jを用いた樹脂マット64を用いた。なお、樹脂マットは、表裏面に、予めX−Y方向(縦横方向)に交差するようにバフ掛けして、表面状態を整えたものを用いた。
一方、比較例におけるゴム製マットには、市販のピラーマット(商品名)で、下面にピラミッド状の小突起が多数マトリックス状に配置された、厚さ約2mm(小突起を含む)のゴム製マット(図5)を用いた。
このゴム製マットの裏面側に、ゴム専用の液状硬化性接着剤(スリーエム社製のEC1368ET)をシンナーで溶解した接着剤を刷毛塗りし、乾燥させた後、実施例に用いたと同じ両面テープ(スリーエム社製 442J)を用いてトップリング16の加圧盤50の下面に貼付した。また、小突起の高さが一定となるようにゴム製マットを加工した。
図6は、4つのトップリング16(TP1、TP2、TP3、TP4)における比較例(ピラーマット)と実施例(ウレタンマット)の圧力分布を示す写真である。トップリング16の自重、および押圧機構から、加圧盤50に、0KPa、100KPa、200KPaの荷重を掛けた場合のキャリアプレート32側への圧力分布である。白い箇所が圧力が高い状態を示す。
図6から明らかなように、キャリアプレート32の周縁部には、比較例、実施例共に、リング状部36から均一に圧力が掛かっている。
しかしながら、キャリアプレート32の中央側部位(加圧盤50からの荷重)においては、比較例(ピラーマット)においては、中心部に荷重が偏っており(しかも周方法に不均一:楕円状に分布)、実施例の場合は、キャリアプレート32への荷重が中央部から周縁部に向かって同心状に均一に広がる圧力分布となっているのがわかる。
上記のように、本実施例の場合、キャリアプレート32への荷重が中央部から周縁部に向かって同心状に均一に広がる圧力分布となっているのは、加圧盤50を、トップリング本体34のリング状部36により押圧されるキャリアプレート32の周縁部を除くキャリアプレート32の上面のほぼ全面を押圧する大きさに形成し、また前記押圧機構におけるピストン51を、加圧盤50の上面中央部を部分的に押圧するピストン51に形成したことによる。
すなわち、ピストン51により加圧盤50の中央部を押し、この中央部への押圧力が順次加圧盤50の周縁部に伝播されるから、キャリアプレート32への荷重が中央部から周縁部に向かって同心状に均一に広がる圧力分布となるのである。このような中押し機構によって、リング状部36によるキャリアプレート32の周縁部の押圧力と、加圧盤50によるキャリアプレート32の中央部から周縁部に向かう押圧力とがバランスし、ワーク30への理想的な押圧を可能としている。
表1は、実施例と比較例のワーク研磨装置を用いてワーク30を研磨した際の、研磨後のワークの平坦度をGBIR(Global back ideal range)とSFQR(Site front least squares range)で評価した数値を示す表である。ワーク30の総数は60枚。なお、比較を容易にするため、ピラーマット(比較例)におけるGBIRとSFQRのアベレージ(AVE)を1.00とした換算値で示している。数値が小さいほど平坦度が高い。
Figure 0006927617
図7、図8は、表1をグラフ化したものである。
表1、図7、図8からわかるように、ゴム製マットを用いる場合よりも、ウレタン樹脂製の樹脂マットを用いた実施例の方が、GBIRおよびSFQR共に小さい数値(それぞれ27%、14%程度小さい)となっており、ワーク30が平坦度よく研磨されていることがわかる。
図9は、研磨後の、比較例におけるワークの表面画像と表面の高さ分布を示す図、図10は、研磨後の、実施例におけるワークの表面画像と表面の高さ分布を示す図である。比較例のワークよりも実施例のワーク方が明らかに平坦度が大きい。
弾性樹脂マット64は上記のようにウレタン樹脂製のものに限定されない。
また、上記実施の形態では、トップリング16の回転がセンターローラ22の回転が伝達される方式のものであるが、例えば特開2014−647号公報に示されるように、モータの駆動力によって直接に回転される方式のトップリングであってもよい。
10 ワーク研磨装置
14 定盤
16 トップリング
18 装置本体
20 シリンダ装置
22 センターローラ
24 24a〜24d ガイドローラ
30 ワーク
32 キャリアプレート
34 トップリング本体
35 凹部
36 リング状部
37 シールリング
40 テーパ面
41 貫通孔
43 上下動軸
44 ベアリング
45 クラッチリング
46 テーパ面
50 加圧盤
51 ピストン
52 支持盤
53 シリンダ室
54 フランジ
55 流路
56 ホース
57 流路
60 錘
62 カバー
64 樹脂マット
65 樹脂マット体
66 接着剤層
67 剥離紙
68 切れ線

Claims (10)

  1. 上面に研磨布が貼付され、水平面内で回転する定盤と、
    前記定盤の上方に上下動自在、かつ水平面内で回転自在に配置され、前記定盤との間で、下面にワークが保持されたキャリアプレートを挟み、前記ワークを前記定盤面に押圧するトップリングとを具備するワーク研磨装置であって
    前記トップリングは、
    前記キャリアプレートの上面を押圧する加圧盤と、
    前記加圧盤をエア圧により前記キャリアプレートの上面に押圧する押圧機構と、
    前記加圧盤を囲み前記キャリアプレートの周縁部を押圧するリング状部を具備するトップリング本体と、を備え、
    前記加圧盤は、前記リング状部により押圧される前記キャリアプレートの周縁部を除く前記キャリアプレートの上面全面を押圧する大きさに形成され、
    前記押圧機構は、前記加圧盤の上面中央部を部分的に押圧するピストンを有しており、
    前記加圧盤の下面全面に、弾性を有する樹脂マットが貼付され
    前記樹脂マットは、厚さが1〜4mmであり、圧縮率が1〜8%であること
    を特徴とするワーク研磨装置。
  2. 前記樹脂マットは、ウレタン樹脂製であること
    を特徴とする請求項1記載のワーク研磨装置。
  3. 前記樹脂マットの中央部分に、前記加圧盤を前記ピストンに固定する固定ボルトを挿通する孔が設けられていること
    特徴とする請求項1または請求項2記載のワーク研磨装置。
  4. 前記トップリングは、前記トップリング本体上に着脱可能に載せられる錘を有していること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のワーク研磨装置。
  5. 上面に研磨布が貼付され、水平面内で回転する定盤と、
    前記定盤の上方に上下動自在、かつ水平面内で回転自在に配置され、前記定盤との間で、下面にワークが保持されたキャリアプレートを挟み、前記ワークを前記定盤面に押圧するトップリングとを具備し、
    前記トップリングは、
    前記キャリアプレートの上面を押圧する加圧盤と、
    前記加圧盤をエア圧により前記キャリアプレートの上面に押圧する押圧機構と、
    前記加圧盤を囲み前記キャリアプレートの周縁部を押圧するリング状部を具備するトップリング本体と、を備え、
    前記加圧盤は、前記リング状部により押圧される前記キャリアプレートの周縁部を除く前記キャリアプレートの上面全面を押圧する大きさに形成され、
    前記押圧機構は、前記加圧盤の上面中央部を部分的に押圧するピストンを有するワーク研磨装置における前記加圧盤の下面全面に貼付される樹脂マット体であって、
    前記樹脂マット体は、
    弾性を有する樹脂マットであって、厚さが1〜4mmであり、圧縮率が1〜8%であり、
    前記加圧盤の下面全面に貼付される側の面に接着剤層が形成され、該接着剤層上に剥離紙が剥離可能に貼付されていること
    を特徴とする加圧盤用樹脂マット体。
  6. 前記樹脂マットは、ウレタン樹脂製であること
    を特徴とする請求項記載の加圧盤用樹脂マット体。
  7. 前記樹脂マット体の中央部分に、前記加圧盤を前記ピストンに固定する固定ボルトを挿通する孔が設けられていること
    を特徴とする請求項5または請求項6記載の加圧盤用樹脂マット体。
  8. 前記剥離紙にエア抜き用の複数の小孔が設けられていること
    を特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の加圧盤用樹脂マット体。
  9. 前記剥離紙に該剥離紙を複数のエリアに分割する切れ線が設けられていること
    を特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の加圧盤用樹脂マット体。
  10. 前記樹脂マットは、表裏面がX−Y方向に交差するようにバフ掛けされて厚さバランスが調整されていること
    を特徴とする請求項5〜9のいずれか1項に記載の加圧盤用樹脂マット体。
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