JP6925403B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶表示装置に係り、特に配向膜に光の照射で配向制御能を付与した液晶表示パネルを具備した液晶表示装置に関する。
液晶表示装置では画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)等がマトリクス状に形成されたTFT基板と、TFT基板に対向して、TFT基板の画素電極と対応する場所にカラーフィルタ等が形成された対向基板が設置され、TFT基板と対向基板の間に液晶が挟持されている。そして液晶分子による光の透過率を画素毎に制御することによって画像を形成している。
液晶表示装置はフラットで軽量であることから、TV等の大型表示装置から、携帯電話やDSC(Digital Still Camera)等、色々な分野で用途が広がっている。一方、液晶表示装置では視野角特性が問題である。視野角特性は、画面を正面から見た場合と、斜め方向から見た場合に、輝度が変化したり、色度が変化したりする現象である。視野角特性は、液晶分子を水平方向の電界によって動作させるIPS(In Plane Switching)方式が優れた特性を有している。
液晶表示装置に使用する配向膜を配向処理すなわち配向制御能を付与する方法として、従来技術としてラビングで処理する方法がある。このラビングによる配向処理は、配向膜を布で擦ることで配向処理を行うものである。一方、配向膜に非接触で配向制御能を付与する光配向法という手法がある。IPS方式はプレティルト角が必要無いために、光配向法を適用することが出来る。
特許文献1には紫外線に代表される光の照射による光分解型の光配向処理が開示されており、それによると光分解型の光配向処理においては(1)画素部の複雑な段差構造に起因する配向乱れを低減し、(2)ラビングによる配向処理における静電気による薄膜トランジスタの破損、ラビング布の毛先の乱れや塵による配向乱れを原因とする表示不良を解決し、均質な配向制御能を得るために要する頻繁なラビング布の交換によるプロセスの煩雑さ、を解決する。
特開2004−206091号公報
しかしながら配向膜への配向制御能の付与という点において、光配向処理はラビング処理と比較すると、一般的には配向安定性が低いということが知られている。配向安定性が低いと、初期配向方向が変動し、表示不良の原因となる。特に、高い配向安定性が要求される横電界方式の液晶表示パネルを用いた液晶表示装置では配向安定性が低いことで残像に象徴される表示不良が発生し易い。
光配向処理ではラビング処理のような高分子の主鎖を延伸し、直線状にする工程がLCDプロセス中に存在しない。そのため、光配向処理においては偏光が照射されたポリイミドに代表される合成高分子の配向膜が、当該偏光方向と平行する方向で主鎖が切断されることで一軸性が付与される。液晶分子は切断されずに直線上に伸びて残った長い主鎖方向に沿って配向するが、この主鎖の長さが短くなると、一軸性が低下し、液晶との相互作用が弱くなって配向性が低下するために、前記した残像が発生し易くなる。
従って、配向膜の一軸性を向上させ、配向安定性を向上させるためには、配向膜の分子量を大きくすることが必要であるが、これを解決する手法として、ポリアミド酸アルキルエステルをイミド化した光配向膜材料を使用することが出来る。これによると、ポリアミド酸アルキルエステル材料では、従来のポリアミド酸材料で起こっていたようなイミド化反応時のジアミンと酸無水物への分解反応を伴わず、イミド化後も分子量を大きく保つことができ、ラビング処理並みの配向安定性を得ることができる。
また、ポリアミド酸アルキルエステル材料においては、その化学構造中にカルボン酸を含有しないため、ポリアミド酸材料と比較してLCDの電圧保持率が上がり、長期信頼性の向上も確保することができる。
光配向膜の配向安定性、長期信頼性を得るためにはポリアミド酸アルキルエステル材料の適用が有効であるが、この材料は一般的に、ポリアミド酸材料と比較して配向膜比抵抗が高い。そのため、液晶分子を駆動する信号波形に直流電圧が重畳して残留DCとなった場合に、残留DCが緩和するまでの時定数が大きく、焼きつき(DC残像)の原因となり易い。
本発明の目的は、光配向処理において、ポリアミド酸アルキルエステル材料の配向安定性や長期信頼性を損なうことなくDC残像の消失時間を低減し、高品位の表示を可能とした液晶表示パネルを用いた液晶表示装置を提供することである。
本発明は上記問題を克服するものであり、具体的な手段は次のとおりである。すなわち、本発明の液晶表示装置は、画素選択用のアクティブ素子が形成された主面の最上層にTFT側配向膜を有するTFT基板と、カラーフィルタが形成された主面の最上層にカラーフィルタ側配向膜を有する対向基板と、前記TFT基板の前記TFT側配向膜と前記対向基板の前記カラーフィルタ側配向膜の間に封止された液晶とからなる液晶表示パネルを具備する。また、前記TFT側配向膜とカラーフィルタ側配向膜は、光の照射により付与された液晶配向制御機能を有する。
TFT基板側の配向膜とカラーフィルタが形成された対向基板側配向膜の少なくとも一方に対し、光の照射により液晶配向制御機能を付与するための配向膜材料を、紫外線で代表される光により配向する材料と、比抵抗の低い材料との2成分系材料とし、配向膜形成後には、配向させるための光配向膜と、配向には寄与しない低抵抗膜との2層構造とする。
光により配向する材料としては、光分解性のポリアミド酸アルキルエステル材料をポリイミド化した材料とすることができる。また、この化学ポリイミド化が70%以上であるものを用いることができる。
低抵抗材料としては、ポリアミド酸材料をポリイミド化した材料とすることができ、これは光分解性である必要はない。また、この化学イミド化が40%以上であるものを用いることができる。
本発明によれば、2成分系から成る材料を相分離させて配向膜を2層構造とし、配向安定性の高い光配向成分を液晶層側に配置して、配向安定性が不要である低抵抗成分を基板側に配置することによって、配向安定性と配向膜の低抵抗化によるDC残像の時定数の低減を同時に満たすことが可能となり、その結果、光配向膜の残像特性が大幅に改良される。
また、基板側に配置された低抵抗成分は配向に寄与しないため、分子量は極限まで落とすことができる。そのため、ポリアミド酸アルキルエステルやポリアミド酸などが有機溶剤に溶かされた配向膜ワニスの濃度や粘度の調整について裕度が拡大し、配向膜の形成方法について従来のフレキソ印刷のみならず、ワニスの低粘度化が必要とされるために配向膜の厚膜化が困難であるとされてきたインクジェット塗布においても、配向膜の厚膜化に対する裕度が向上することとなる。
IPS方式の液晶表示装置の断面図である。 図1の画素電極の平面図である。 本発明による配向膜の構成を示す図である。 光配向膜の形成プロセスを示す図である。 本発明の配向膜の断面図である。 DC残像の評価パターンである。 DC残像の評価結果である。
以下の実施例により本発明の内容を詳細に説明する。
図1はIPS方式の液晶表示装置の表示領域における構造を示す断面図である。IPS方式の液晶表示装置の電極構造は種々のものが提案され、実用化されている。図1の構造は、現在広く使用されている構造であって、簡単に言えば、平面ベタで形成された対向電極108の上に絶縁膜を挟んで櫛歯状の画素電極110が形成されている。そして、画素電極110と対向電極108の間の電圧によって液晶分子301を回転させることによって画素毎に液晶層300の光の透過率を制御することにより画像を形成するものである。以下に図1の構造を詳しく説明する。なお、本発明は、図1の構成を例にとって説明するが、図1以外のIPSタイプの液晶表示装置、例えば、対向電極が上部絶縁膜の上に位置し、画素電極が上部絶縁膜の下に位置するようなもの、或いは、対向電極と画素電極とが同一平面上にあるようなものにも適用することが出来る。
図1において、ガラスで形成されるTFT基板100の上に、ゲート電極101が形成されている。ゲート電極101は走査線と同層で形成されている。ゲート電極101はAlNd合金の上にMoCr合金が積層されている。
ゲート電極101を覆ってゲート絶縁膜102がSiNによって形成されている。ゲート絶縁膜102の上に、ゲート電極101と対向する位置に半導体層103がa−Si膜によって形成されている。a−Si膜はプラズマCVDによって形成される。a−Si膜はTFTのチャネル部を形成するが、チャネル部を挟んでa−Si膜上にソース電極104とドレイン電極105が形成される。なお、a−Si膜とソース電極104あるいはドレイン電極105との間には図示しないn+Si層が形成される。半導体層とソース電極104あるいはドレイン電極105とのオーミックコンタクトを取るためである。
ソース電極104は映像信号線が兼用し、ドレイン電極105は画素電極110と接続される。ソース電極104もドレイン電極105も同層で同時に形成される。本実施例では、ソース電極104あるいはドレイン電極105はMoCr合金で形成される。ソース電極104あるいはドレイン電極105の電気抵抗を下げたい場合は、例えば、AlNd合金をMoCr合金でサンドイッチした電極構造が用いられる。
TFTを覆って無機パッシベーション膜106がSiNによって形成される。無機パッシベーション膜106はTFTの、特にチャネル部を不純物401から保護する。無機パッシベーション膜106の上には有機パッシベーション膜107が形成される。有機パッシベーション膜107はTFTの保護と同時に表面を平坦化する役割も有するので、厚く形成される。厚さは1μmから4μmである。
有機パッシベーション膜107には感光性のアクリル樹脂、シリコン樹脂、あるいはポリイミド樹脂等が使用される。有機パッシベーション膜107には、画素電極110とドレイン電極105が接続する部分にスルーホール111を形成する必要があるが、有機パッシベーション膜107は感光性なので、フォトレジストを用いずに、有機パッシベーション膜107自体を露光、現像して、スルーホール111を形成することが出来る。
有機パッシベーション膜107の上には対向電極108が形成される。対向電極108は透明導電膜であるITO(Indium Tin Oxide)を表示領域全体にスパッタリングすることによって形成される。すなわち、対向電極108は面状に形成される。対向電極108を全面にスパッタリングによって形成した後、画素電極110とドレイン電極105を導通するためのスルーホール111部だけは対向電極108をエッチングによって除去する。
対向電極108を覆って上部絶縁膜109がSiNによって形成される。上部電極が形成された後、エッチングによってスルーホール111を形成する。この上部絶縁膜109をレジストにして無機パッシベーション膜106をエッチングしてスルーホール111を形成する。その後、上部絶縁膜109およびスルーホール111を覆って画素電極110となるITOをスパッタリングによって形成する。スパッタリングしたITOをパターニングして画素電極110を形成する。画素電極110となるITOはスルーホール111にも被着される。スルーホール111において、TFTから延在してきたドレイン電極105と画素電極110が導通し、映像信号が画素電極110に供給されることになる。
図2に画素電極110の1例を示す。画素電極110は、両端が閉じた櫛歯状の電極である。櫛歯と櫛歯の間にスリット112が形成されている。画素電極110の下方には、図示しない平面状の対向電極108が形成されている。画素電極110に映像信号が印加されると、スリット112を通して対向電極108との間に生ずる電気力線によって液晶分子301が回転する。これによって液晶層300を通過する光を制御して画像を形成する。
図1はこの様子を断面図として説明したものである。櫛歯状の電極と櫛歯状の電極の間は図1に示すスリット112となっている。対向電極108には一定電圧が印加され、画素電極110には映像信号による電圧が印加される。画素電極110に電圧が印加されると図1に示すように、電気力線が発生して液晶分子301を電気力線の方向に回転させてバックライトからの光の透過を制御する。画素毎にバックライトからの透過が制御されるので、画像が形成されることになる。
図1の例では、有機パッシベーション膜107の上に、面状に形成された対向電極108が配置され、上部絶縁膜109の上に櫛歯電極110が配置されている。しかしこれとは逆に、有機パッシベーション膜107の上に面状に形成された画素電極110を配置し、上部絶縁膜109の上に櫛歯状の対向電極108が配置される場合もある。
画素電極110の上には液晶分子301を配向させるための配向膜113が形成されている。本発明においては、配向膜113は、液晶層300と接する光配向膜1131と、光配向膜1131の下層に形成される低抵抗配向膜1132の2層構造となっている。配向膜の113の構成については、後で詳細に説明する。
図1において、液晶層300を挟んで対向基板200が設置されている。対向基板200の内側には、カラーフィルタ201が形成されている。カラーフィルタ201は画素毎に、赤、緑、青のカラーフィルタ201が形成されており、カラー画像が形成される。カラーフィルタ201とカラーフィルタ201の間にはブラックマトリクス202が形成され、画像のコントラストを向上させている。なお、ブラックマトリクス202はTFTの遮光膜としての役割も有し、TFTに光電流が流れることを防止している。
カラーフィルタ201およびブラックマトリクス202を覆ってオーバーコート膜203が形成されている。カラーフィルタ201およびブラックマトリクス202の表面は凹凸となっているために、オーバーコート膜203によって表面を平らにしている。
オーバーコート膜203の上には、液晶の初期配向を決めるための配向膜113が形成されている。対向基板側の配向膜113もTFT基板側の配向膜113と同様に、液晶層300と接する光配向膜1131と、光配向膜1131の下層に形成される低抵抗配向膜1132の2層構造となっている。なお、図2はIPSであるから、対向電極108はTFT基板100側に形成されており、対向基板200側には形成されていない。
図1に示すように、IPSでは、対向基板200の内側には導電膜が形成されていない。そうすると、対向基板200の電位が不安定になる。また、外部からの電磁ノイズが液晶層300に侵入し、画像に対して影響を与える。このような問題を除去するために、対向基板200の外側に表面導電膜210が形成される。表面導電膜210は、透明導電膜であるITOをスパッタリングすることによって形成される。
図3は本発明による配向膜113を示す模式図である。図3(a)は配向膜113の平
り、液晶層と接する上側は光配向膜1131であり、下側は低抵抗配向膜1132となっている。光配向膜1131は分子量の大きい光分解性ポリマー10によって形成され、低抵抗配向膜1132は分子量の小さい低抵抗ポリマー11によって形成されている。
図3(a)は透視図であるから光分解性ポリマー10と低抵抗ポリマー11が透視して見えている。実際には、光分解性ポリマー10が低抵抗ポリマー11よりも上に存在している。図3(b)において、配向膜113は図1における画素電極110あるいは有機パッシベーション膜107の上に形成されている。図3(b)では配向膜113は画素電極110の上に形成されるとしている。上側の光配向膜1131の厚さt1は50nm程度、下側の低抵抗配向膜1132の厚さt2は50nm程度である。光配向膜1131と低抵抗配向膜1132の境界は明確ではないので、点線で記載している。
図4は光配向膜1131によって液晶を配向させるためのプロセスを示す模式図である。図4においては低抵抗配向膜1132は省略されている。図4(a)は光配向膜1131が塗布された状態を示している。光配向膜1131は光分解性ポリマー10によって形成されている。
図4(a)に示す光配向膜1131に対し、偏光された紫外線を例えば、6J/cmのエネルギーで照射する。そうすると、光配向膜1131において偏光された紫外線の偏光方向の光分解性ポリマー10は、図4(b)に示すように、紫外線によって破壊される。すなわち、紫外線の偏光方向に沿って紫外線による切断部15が形成される。そうすると、液晶分子は図4(b)における矢印Aの方向に配向されることになる。
図4に示すように、光分解性ポリマー10の主鎖が短いと一軸性が低下し、液晶との相互作用が弱くなって配向性が低下する。したがって、図4(b)において、光配向後においても、光分解性ポリマー10が矢印Aの方向にできるだけ長く伸びていることが望ましい。つまり、配向膜113の一軸性を向上させ、配向安定性を向上させるためには、配向膜113の分子量を大きくする必要がある。
配向膜113における分子量としては、数分子量によって評価することが出来る。数分子量は、配向膜113に種々の分子量のポリマーが存在している場合、その平均的な分子量である。光配向膜1131においては、十分な配向安定性を得るためには、数分子量は5000以上であることが必要である。
このような、大きな数分子量の光配向膜1131を得るためには、ポリアミド酸アルキルエステルをイミド化したものを用いることが出来る。ポリアミド酸アルキルエステルの構造は、化学式(1)に示すとおりである。
Figure 0006925403
化学式(1)において、R1は、それぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基であり、R2は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、フェニル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アルケニル基(−(CH2)m−CH=CH2,m=0,1,2)又はアルキニル基(−(CH2)m−C≡CH,m=0,1,2)であり、Arは芳香族化合物である。
ポリアミド酸アルキルエステルの特徴は、化学式(1)におけるR1である。ポリアミド酸アルキルエステルにおいては、R1はCnH2n−1であり、nが1以上である。ポリアミド酸アルキルエステルを光配向膜1131の前駆体として用いると、従来のポリアミド酸材料で起こっていたようなイミド化反応時のジアミンと酸無水物への分解反応を伴わず、イミド化後も分子量を大きく保つことができ、ラビング処理並みの配向安定性を得ることができる。
しかし、ポリアミド酸アルキルエステルをイミド化した光配向膜1131は比抵抗が非常に高く、例えば、1015Ωcm程度である。このように配向膜113の比抵抗が大きいと、液晶層にチャージした電荷を逃がすことができず、この電荷がDC残像の原因となる。
液晶表示装置においては、液晶層に電荷がチャージしないように、交流駆動が行われるが、特定時間、特定画像を表示すると、ある時間、一方の基板にDC成分が残り、液晶層に電荷がチャージされ、このチャージした電荷のために残像が生ずる場合がある。配向膜113の抵抗が極端に大きくなければ、液晶中の電荷は、配向膜113を通して画素電極110等に流すことが出来る。
しかし、光配向膜1131は比抵抗が非常に大きく、短時間に液晶中の電荷を逃がすことが出来ない。本発明は、配向膜113を光配向膜1131と低抵抗配向膜1132の2層構造とすることによってこの問題を解決するものである。すなわち、液晶層と接する光配向膜1131は、十分な配向安定性を得るために、分子量の大きな光分解性ポリマー10を用いる。
一方、下層の配向膜113は、分子量は小さいが比抵抗も小さい低抵抗配向膜1132とする。低抵抗配向膜1132の抵抗率は、例えば、1012〜1014Ωcm程度である。このような低抵抗配向膜1132はポリアミド酸をイミド化したものによって形成す
ることが出来る。
ポリアミド酸は化学式(2)で示す構造によって表される。
Figure 0006925403
化学式(2)において、R2は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、フェニル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アルケニル基(−(CH2)m−CH=CH2,m=0,1,2)又はアルキニル基(−(CH2)m−C≡CH,m=0,1,2)であり、Arは芳香族化合物である。
ポリアミド酸がポリアミド酸アルキルエステルと異なる点は、ポリアミド酸アルキルエステルを示す化学式(1)において、R1がHに置き換わっている点である。ポリアミド酸はポリイミドを形成するイミド化反応時、ジアミンと酸無水物への分解反応を伴うので、ポリイミドを十分に大きな分子量とすることが出来ない。したがって、光配向膜1131としては十分な特性を得ることが出来ない。一方、ポリアミド酸によって形成されたポリイミドは比抵抗がそれほど大きくない。
このように、配向膜113を2層構造とすることによって光配向による配向安定性を確保するとともに、配向膜113全体としての比抵抗を適切な値に制御することが出来、DC残像を軽減することが出来る。
2層構造の配向膜113を形成するために、配向膜113形成プロセスを増やすことなく行うことが出来る。すなわち、図5(a)に示すように、光分解性ポリマー10と低抵抗ポリマー11を混合した材料を基板に塗布すると、レベリング効果によって図5(b)に示すように、基板と馴染みやすい材料が下層に形成され、他の材料が上に形成される、いわゆる相分離を生ずる。なお、図5(a)における基板としては、画素電極110で代表させている。
本実施例において、基板に相当するのは、画素電極110を形成するITOまたは、有機パッシベーション膜107である。図5においては、基板として画素電極110が記載されている。ポリアミド酸はポリアミド酸アルキルエステルに比較して画素電極110を形成するITOあるいは有機パッシベーション膜107と馴染みやすいので、常にポリアミド酸が下層となる。
このようにして形成された樹脂膜に200℃程度の熱を加えてポリイミド化する。ポリイミド化は下層のポリアミド酸、上層のポリアミド酸アルキルエステルの両者に対して同時に行われる。したがって、1層の配向膜113形成と同じ工程によって2層の配向膜113形成を行うことが出来る。
上層の光配向膜1131は配向特性を安定化するために、光分解性ポリマー10の分子量は大きくする必要があるので、イミド化率は高くする必要がある。光配向膜1131におけるイミド化率は70%以上であり、より好ましくは80%以上である。この残りは、前駆体としてのポリアミド酸アルキルエステルが光配向膜1131に存在することになる。
一方、下層の低抵抗配向膜1132は液晶の光配向特性とは関係が無いので、イミド化率は低くてもよい。例えば、イミド化率は40%以上であれば十分である。すなわち、イミド化の条件は、上層のポリアミド酸アルキルエステルのイミド化を主眼に設定すればよい。
配向膜113の上層と下層の境界は明確ではない。図5ではこの境界を点線で示している。図5(b)において、上層の光配向膜1131は下層の低抵抗配向膜1132よりも分子量は大きい。光配向膜1131と低抵抗配向膜1132の分子量を比較する場合は、光配向膜1131の表面における分子量と低抵抗配向膜1132の基板との界面における分子量と比較すれば良い。
光配向膜1131と低抵抗配向膜1132の2層構成とした配向膜113と、光配向膜のみの配向膜とした場合のDC残像特性を評価した。残像は次のようにして評価した。すなわち、図6に示すような白黒による8×8のチェッカーフラグパターンを12時間表示し、その後、灰色ベタの中間調に戻す。中間調の階調は、64/256である。
図7はDC残像の評価結果である。図7において、横軸は、灰色ベタの中間調に戻したあとの時間である。縦軸は、残像のレベルである。縦軸において、RRは中間調に戻したときに、チェッカーフラグパターンが良く見える状態であり、NGである。Rは中間調に戻した時にチェッカーフラグパターンが薄いけれども見える状態である。図7において、曲線Aが本発明による配向膜を使用した場合のDC残像特性である。また、曲線Bが配向膜として光配向膜1層のみを使用した場合のDC残像特性の例である。
中間調に戻したときに、残像のレベルがRであっても、これが短時間に消失すれば、実用上は問題ないといえる。光配向膜1層の場合は、中間調に戻したときのレベルRが長時間続くので、実用上問題が残る。一方、本発明による2層構造の配向膜113では、DC残像が急激に減少し、中間調に戻したあと、17分程度で、DC残像は完全に消滅する。
このように、光配向膜1層の場合と本発明の配向膜の場合の大きな違いは、光配向膜1層の場合は、DC残像が長く続くのに対して、本発明の配向膜を使用すると、DC残像が急激に減少するということである。図7において、
DC残像の目安となる、中間調に戻してから10分後のDC残像のレベルを比較すると、配向膜が光配向膜1層のみの場合は、DC残像が90%であるのに対し、本発明におけるDC残像は25%以下となり、本発明の効果は非常に大きいことがわかる。
ところで、光配向膜1131において配向特性を安定化させるためには、光分解性ポリマー10の分子量は大きいほうが良い。しかし、分子量が大きいと配向膜ワニスの粘度が高くなる。粘度が高くなるとフレキソ印刷やインクジェット塗布が困難になるので材料の濃度を低くして粘度を下げることになる。そうすると、塗布膜が薄くなってしまう。したがって、配向膜113を光配向膜1層のみで形成しようとする塗布条件が限定されてしまうことになる。
これに対して本発明は次のような有利な点を有している。すなわち、基板側に配置された低抵抗成分は配向に寄与しないため、分子量は極限まで落とすことができる。そのため、ポリアミド酸アルキルエステルやポリアミド酸などが有機溶剤に溶かされた配向膜ワニスの濃度や粘度の調整について裕度が拡大し、配向膜113の形成方法について従来のフレキソ印刷のみならず、ワニスの低粘度化が必要とされるために配向膜113の厚膜化が困難であるとされてきたインクジェットによる塗布も可能になる。
実施例1においては、2層の配向膜113のうちの下層の低抵抗配向膜1132として、ポリアミド酸をイミド化した膜を用いている。下層の低抵抗配向膜1132は光配向とは関係がないので、配向膜113の抵抗を小さくすることを主眼に材料を選定することが出来る。
液晶表示装置では、液晶表示パネルの背面にバックライトを配置して、バックライトからの光を画素毎に制御することによって画像を形成する。バックライトの光源としては、冷陰極管や発光ダイオードが使用される。したがって、配向膜113は液晶表示装置が動作中は、常にバックライトからの光にさらされることになる。下層の低抵抗配向膜1132として光導電性を有するものを使用すれば、液晶層にチャージした電荷をより早く逃がすことが出来、DC残像をより軽減することが出来る。
配向膜材料が光導電特性を示す材料として、例えば、日産化学のSE6414等を挙げることが出来る。この場合も、ポリアミド酸アルキルエステルと混合し、混合材料を基板上に塗布すると、相分離して2層構造となる。この場合も、ポリアミド酸アルキルエステルが上層になる。その後、加熱してイミド化するが、このイミド化も同時に行うことが出来る。
以上の説明は、TFT基板100側の配向膜113について説明したが、対向基板200側の配向膜113についても同様である。対向基板200側の配向膜113は、オーバーコート膜203の上に形成されるが、この場合も、低抵抗配向膜1132を形成する低抵抗ポリマー11がオーバーコート膜203と馴染みが強いために、レベリングによって低抵抗配向膜1132がオーバーコート膜203側に形成され、その上に光配向膜1131が形成されることになる。
なお、本発明による2層構造の配向膜113は、例えば、TFT基板100あるいは対向基板200の配向膜113にのみ、適用しても効果を得ることが出来る。液晶層中のチャージを逃がすことは、どちらかの基板だけからでも一定の効果を上げることが出来るからである。
以上のように、本発明によれば、光配向による十分な配向規制を安定して行うことが出来るとともに、光配向膜1131が高抵抗率になることによるDC残像の問題を解決することが出来る。
尚、本発明を適用した液晶表示装置のプレティルト角は、クリスタルローテーション法を用いた測定によれば、0.5度以下となる。
10…光分解性ポリマー、 11…低抵抗ポリマー、 15…紫外線による切断部、 100…TFT基板、 101…ゲート電極、 102…ゲート絶縁膜、 103…半導体層、 104…ソース電極、 105…ドレイン電極、 106…無機パッシベーション膜、 107…有機パッシベーション膜、 108…対向電極、 109…上部絶縁膜、 110…画素電極、 111…スルーホール、 112…スリット、 113…配向膜、 200…対向基板、 201…カラーフィルタ、 202…ブラックマトリクス、 203…オーバーコート膜、 210…表面導電膜、 300…液晶層、 301…液晶分子、 1131…光配向膜、 1132…低抵抗配向膜。

Claims (5)

  1. 有機溶媒と、
    イミド化されることにより光分解性ポリマーとなる第1の成分と、
    前記第1の成分よりもITO(Indium Tin Oxide)或いはアクリル樹脂と馴染みやすい第2の成分と、を有し、
    前記第1の成分の数平均分子量は、前記第2の成分の数平均分子量とは異なり、
    配向膜にした場合に、前記第1の成分の抵抗率(Ω・cm)は、前記第2の成分の抵抗率(Ω・cm)よりも大きく、
    配向膜にした場合に、前記第1の成分により形成される第1膜と、前記第2の成分により形成される第2膜との境界は明確ではなく、前記第1膜のイミド化率は、前記第2膜のイミド化率よりも大きいことを特徴とするIPS方式の液晶表示装置の配向膜を形成するための配向膜ワニス。
  2. 前記第2の成分は、ポリアミド酸を含むポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の配向膜ワニス。
  3. 前記第2の成分の数平均分子量は、前記第1の成分の数平均分子量よりも大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の配向膜ワニス。
  4. 前記配向膜ワニスをITOに対して塗布した場合に、前記第1の成分と前記第2の成分とが分離すること特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の配向膜ワニス。
  5. 前記第1の成分は、ポリアミド酸アルキルエステルを含む光分解性ポリマーである、請求項1乃至4の何れか一項に記載の配向膜ワニス。
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