JP6923389B2 - 屋根構造体 - Google Patents
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Description
したがって、本発明に係る屋根構造体によれば、当該屋根構造体を構成する部材のみを用いて当該屋根構造体の健全性をユーザに認識させることができ、低コスト化を図ることができる、という効果を奏する。
本発明によれば、積雪や強風等の自然現象に伴う負荷に応じて第1係止突起と係止受け部との係止状態が解除された場合には、受け部材本体は、第1の位置から下方に脱落する。その結果、第2係止突起と係止受け部とが係止して、受け部材本体は、第2の位置に位置付けられる。すなわち、第1,第2の係止構造において、係止受け部を共用し、当該第1,第2の係止構造を簡素な構造とすることができる。
本発明では、第1,第2係止突起に対する係止受け部の各係止量を上述したように設定することにより、受け部材本体が第1の位置から下方に脱落した際に、第2係止突起と係止受け部とが確実に係止する構造を実現することができる。
本発明によれば、積雪や強風等の自然現象に伴う負荷に応じて一対の垂設部における各先端部と係止受け部との係止状態が解除された場合には、受け部材本体は、第1の位置から下方に脱落する。その結果、第1基部及び一対の垂設部の内側に固定部材が嵌合し、受け部材本体は、第2の位置に位置付けられる。すなわち、第1,第2の係止構造を簡素な構造とすることができる。また、第2の係止構造として、第1基部及び一対の垂設部の内側に固定部材を嵌合させる構造を採用しているため、当該第2の係止構造の耐荷重を第1の係止構造の耐荷重よりも大きく設定することができる。このため、積雪や強風等の自然現象に伴う負荷に応じて各先端部と係止受け部との係止状態が解除された場合であっても、第2の係止構造により、受け部材本体を第2の位置に良好に維持することができる。
本発明では、受け部材本体は、第1の位置に位置付けられている際には支持部材の下方に突出しておらず、第2の位置に位置付けられている際に支持部材の下方に突出する。このため、ユーザは、当該突出している状態から受け部材本体が第2の位置に位置している(屋根構造体が崩れる恐れがある)ことを容易に把握することができる。
〔テラス屋根の概略構成〕
図1は、本実施の形態1に係るテラス屋根1を示す斜視図である。
建物200の屋外には、当該建物200における掃き出し窓201を有する外壁202に隣接してテラス203が設けられている。そして、テラス屋根1は、外壁202から張り出す態様で、テラス203上に設けられている。なお、テラス屋根1は、本発明に係る屋根構造体に相当する。
ここで、以下に記載する「上下方向」は、テラス屋根1が設けられた状態で上下となる方向を意味する。また、以下に記載する「左右方向」は、外壁202を基準として当該外壁202に沿う左右となる方向を意味する。さらに、以下に記載する「前後方向」は、外壁202を基準として当該外壁202に近接離間する方向を意味する(外壁202に近接する方向が「後方」、外壁202から離間する方向が「前方」)。
一対の支柱2は、アルミニウム合金によって成形した押出形材であり、全長に亘って略一様な断面形状を有する。そして、一対の支柱2は、その長手方向がそれぞれ上下方向となり、左右方向に所定の間隔を空けて、テラス203上にそれぞれ立設されている。
屋根フレーム4は、垂木掛6と、前枠7と、2本の妻垂木8と、2本の垂木9と、3本の中桟10とを備える。
これら各部材6〜10は、支柱2と同様に、アルミニウム合金によって成形した押出形材であり、全長に亘って略一様な断面形状を有する。
なお、屋根フレーム4については、外壁202に固定した構造としてもよく、あるいは、外壁202に固定しない構造(テラス屋根1を外壁202に固定せずに独立構造体とした構造)としても構わない。
前枠7は、その長手方向が垂木掛6に平行となるように、垂木掛6の前方側に所定間隔、離間した位置に配設される。
2本の妻垂木8は、左右方向に互いに対向するように配設され、垂木掛6及び前枠7の端部同士を繋ぐ部材である。
2本の垂木9は、2本の妻垂木8間において、その長手方向が妻垂木8に平行となり、かつ、等間隔となるように配設され、垂木掛6及び前枠7間に架け渡された部材である。
3本の中桟10は、妻垂木8と垂木9との間、及び垂木9同士の間において、その長手方向が垂木掛6及び前枠7に平行となるようにそれぞれ配設され、妻垂木8と垂木9との間、及び垂木9同士の間に、ブラケット11(図2参照)を介してそれぞれ架け渡された部材である。
そして、屋根フレーム4は、一対の支柱2の各上端が前枠7に固定されることにより、一対の支柱2に支持される。そして、屋根フレーム4は、一対の支柱2に支持された状態で、前枠7が垂木掛6よりも下方に位置し、前方に向かうにしたがって下方に傾斜した状態となる。
以下、垂木9及び受け部材12の詳細な構成について順に説明する。なお、妻垂木8については、垂木9と略同様の構成を有しているため、詳細な説明を省略する。
先ず、垂木9の構成を説明する。
図2は、図1のII-II線の断面図である。
垂木9は、垂木本体91と、垂木上板92とを備える。
垂木本体91は、前後方向に延在する角筒形状を有する。
垂木本体91の上壁部91aにおいて、上面の左右方向略中央部分には、上方に向けてそれぞれ突出し、左右方向に並設される一対の締結用突起911が設けられている。
また、上壁部91aにおいて、上面の左右両端部には、シール材93が嵌合される下シール材嵌合部912がそれぞれ設けられている。
垂木上板92において、下面の左右方向略中央部分(一対の締結用突起911に対向する位置)には、下方に向けてそれぞれ突出し、左右方向に並設される一対の位置決め用突起921が設けられている。
また、垂木上板92において、下面の左右両端部(下シール材嵌合部912に対向する位置)には、シール材94が嵌合される上シール材嵌合部922がそれぞれ設けられている。
そして、垂木上板92は、一対の位置決め用突起921の内側に一対の締結用突起911が嵌合した状態で、当該垂木上板92を介してネジ等の締結具Sc1を一対の締結用突起911間に締結することにより、垂木本体91に固定される。この状態では、屋根材5における左右方向の端部は、下,上シール材嵌合部912,922にそれぞれ嵌合されたシール材93,94にて挟持される。すなわち、第1の矩形領域に配置される屋根材5は、左右方向の両端部がシール材93,94にて挟持された状態で、2本の垂木9に取り付けられる。なお、妻垂木8にも当該垂木9に設けられた取付構造と同様の取付構造が設けられている。すなわち、第2の矩形領域に配置される屋根材5は、左右方向の両端部が妻垂木8及び垂木9にそれぞれ把持された状態で当該妻垂木8及び当該垂木9に取り付けられる。
次に、中桟10及びブラケット11で構成される受け部材12の構成を説明する。
図3は、図2のIII-III線の断面図である。
中桟10は、中空部101と、一対の弾性変形部102とを備える。
中空部101は、左右方向に延在する角筒形状を有する。
一対の弾性変形部102は、中空部101の上壁部101aにおいて、上面の左右両端部から上方に向けてそれぞれ延在し、前後方向に互いに対向する。そして、一対の弾性変形部102の先端部分には、係止受け部103がそれぞれ設けられている。
係止受け部103は、弾性変形部102の先端から他方の弾性変形部102に向けて略直角に屈曲して延在するとともに、他方の弾性変形部102に向かうにしたがって上下方向の長さ寸法が大きくなる断面略三角形状を有する。
また、一対の係止受け部103の上面において、長手方向の両端部側を除く位置には、上方に向けてそれぞれ突出し、緩衝材104が嵌合される緩衝材嵌合部105がそれぞれ設けられている(図2)。そして、中桟10は、緩衝材104を介して屋根材5の荷重を受ける。
一対の対向部111は、平面視矩形状の平板で構成され、前後方向に互いに対向する。
一対の対向部111において、互いに離間する外側の各面には、第1,第2係止突起114,115がそれぞれ設けられている。
一対の第1係止突起114は、上下方向の高さ位置が同一の位置に設けられ、上方に傾斜しつつ、互いに離間する方向にそれぞれ突出する。そして、一対の第1係止突起114は、一対の係止受け部103にそれぞれ係止して、ブラケット11に対する中桟10の位置を第1の位置(図2及び図3に示した位置)に維持する。すなわち、第1係止突起114及び係止受け部103は、本発明に係る第1の係止構造13に相当する。
次に、受け部材12の状態変化について説明する。
図4は、図2に対応した図であって、中桟10に対して屋根材5から第2の荷重が付与された場合を示す図である。図5は、図4のV-V線の断面図である。
上述したように、第2係止突起115の突出寸法は、第1係止突起114の突出寸法よりも大きく設定されている。すなわち、第1係止突起114に対する係止受け部103の係止量D1(図3)は、第2係止突起115に対する係止受け部103の係止量D2(図5)よりも少ない。ここで、本発明に係る「係止量」とは、係止受け部103と第1係止突起114とが互いに重なり合う領域(以下、第1領域と記載)の面積、及び係止受け部103と第2係止突起115とが互いに重なり合う領域(以下、第2領域と記載)の面積をそれぞれ意味する。当該第1,第2領域において、左右方向の長さ寸法(第1,第2係止突起114,115の長手方向の長さ寸法)は、同一である。一方、当該第1,第2領域において、前後方向の長さ寸法では、第2領域の方が第1領域よりも長く設定されている(第2係止突起115の突出寸法が第1係止突起114の突出寸法よりも大きく設定されている)。このため、第1領域の面積(係止量D1)は、第2領域の面積(係止量D2)よりも少ない。
また、第1の係止構造13の耐荷重は、第2の係止構造14の耐荷重よりも小さい。
そして、中桟10に対して第2の荷重未満の荷重が付与されている際には、第1の係止構造13の耐荷重が第1の荷重以上、第2の荷重未満に設計されているため、第1係止突起114と係止受け部103との係止状態は維持される。その結果、中桟10は、その下面が垂木9の下面と略面一となる第1の位置(図2,図3に示した位置)に維持される。
一方、中桟10に対して第2の荷重以上の荷重が付与された場合には、一対の弾性変形部102は、当該荷重に耐えることができず、互いに離間する方向に弾性変形する。その結果、第1係止突起114と係止受け部103との係止状態が解除され、中桟10は、下方に脱落する。
そして、中桟10に対して第2の荷重以上の荷重が付与されることにより第1の係止構造13による係止状態が解除され、中桟10が下方に脱落すると、係止量D2が比較的に大きく設定されているため、係止受け部103は、第2係止突起115に係止される。そして、第2の係止構造14の耐荷重が第2の荷重以上に設計されているため、第2係止突起115と係止受け部103との係止状態は維持される。その結果、中桟10は、垂木9に対して下方に突出した第2の位置(図4,図5に示した位置)に維持される。
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
以下の説明では、実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図6ないし図8は、本実施の形態2に係る受け部材12Aを示す図である。なお、図6ないし図8は、図3に対応した断面図である。
本実施の形態2では、上述した実施の形態1に係る受け部材12とは異なる受け部材12Aを採用している。
受け部材12Aは、上述した実施の形態1で説明した中桟10とは形状の異なる中桟10Aで構成されている。
中桟10Aは、受け部材本体15及び固定部材16の2体で構成されている。
受け部材本体15は、断面U字形状を有し、当該U字の開口部分が下方に向く姿勢で固定部材16の上方側に配設される。この受け部材本体15は、第1基部151と、一対の垂設部152とを備える。
第1基部151は、左右方向に延在する長尺状の平板で構成されている。
第1基部151において、上面の前後方向略中央部分には、緩衝材(図示略)が嵌合される緩衝材嵌合部153が設けられている。そして、受け部材本体15は、当該緩衝材を介して屋根材5の荷重を受ける。
ここで、一対の垂設部152の各先端部154は、第1,第2先端部154a,154bの二股にそれぞれ分かれている。
一対の第1先端部154aは、下方に向けてそれぞれ延在する部分であり、先端が上下方向の同一の高さ位置となるように形成されている。
一対の第2先端部154bは、上下方向の同一の高さ位置から互いに近接する方向にそれぞれ延在した部分である。
ここで、固定部材16の上壁部は、第1基部151に対向し、本発明に係る第2基部161に相当する。
第2基部161において、幅方向(前後方向)の両端には、下方に向けて窪む係止受け部162がそれぞれ設けられている。
一対の係止受け部162は、先端部154にそれぞれ係止して、固定部材16に対する受け部材本体15の位置を第1の位置(図6に示した位置)に維持する。具体的に、第1先端部154aが係止受け部162の底部に当接し、第2先端部154bが第2基部161の上面に当接することで、先端部154と係止受け部162とが係止する。当該係止により、受け部材本体15における長手方向に沿う中心軸周りの回転や前後方向への移動が規制される。そして、先端部154及び係止受け部162は、本発明に係る第1の係止構造13Aに相当する。
次に、受け部材12Aの状態変化について図6ないし図8を参照しつつ説明する。
本実施の形態2においても、上述した実施の形態1と同様に、第1の係止構造13Aの耐荷重は、第2の係止構造14Aの耐荷重よりも小さい。
具体的に、第1の係止構造13Aの耐荷重は、上述した実施の形態1で説明した第1の係止構造13と同様に、第1の荷重以上、第2の荷重未満に設計されている。
そして、中桟10Aに対して第2の荷重未満の荷重が付与されている際には、第1の係止構造13Aの耐荷重が第1の荷重以上、第2の荷重未満に設計されているため、先端部154と係止受け部162との係止状態は維持される。その結果、受け部材本体15は、第1,第2基部151,161同士が互いに離間した第1の位置(図6に示した位置)に維持される。
一方、中桟10Aに対して第2の荷重以上の荷重が付与された場合には、一対の垂設部152は、当該荷重に耐えることができず、互いに離間する方向に弾性変形する。その結果、先端部154と係止受け部162との係止状態が解除され(図7)、受け部材本体15は、下方に脱落する。
そして、中桟10Aに対して第2の荷重以上の荷重が付与されることにより第1の係止構造13Aによる係止状態が解除され、受け部材本体15が下方に脱落すると、第1基部151及び一対の垂設部152の内側に固定部材16が嵌合する。そして、第2の係止構造14Aの耐荷重が第2の荷重以上に設計されているため、受け部材本体15は、第1,第2基部151,161同士が互いに近接した第2の位置(図8に示した位置)に維持される。
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。
上述した実施の形態1,2では、本発明に係る屋根構造体としてテラス屋根1を採用していたが、これに限らず、テラス囲いやカーポート等の屋外構造物に本発明に係る屋根構造体を採用しても構わない。
上述した実施の形態1,2では、本発明に係る受け部材を中桟10,10Aで構成していたが、これに限らず、本発明に係る屋根構造体を構成する構造材であれば、その他の部材(例えば妻垂木8や垂木9等)で構成しても構わない。
上述した実施の形態2において、一対の垂設部152における第1基部151からの突出寸法を長く設定し、受け部材本体15が第2の位置に位置した際に、一対の垂設部152の先端部分が垂木9に対して下方に突出するように構成しても構わない。
Claims (5)
- 屋根材と、当該屋根材の荷重を受ける受け部材と、当該受け部材を支持する支持部材とを備えた屋根構造体であって、
前記受け部材は、
前記屋根材の荷重を受ける受け部材本体と、
前記受け部材本体を支持する固定部材とを備え、
前記受け部材本体及び前記固定部材には、
互いに係止して当該固定部材に対する当該受け部材本体の位置を第1の位置に維持する第1の係止構造と、
互いに係止して当該固定部材に対する当該受け部材本体の位置を前記第1の位置とは異なる第2の位置に維持する第2の係止構造とが設けられている
ことを特徴とする屋根構造体。 - 前記第1の係止構造は、
前記受け部材本体及び前記固定部材の一方の部材に設けられ、当該一方の部材から他方の部材に向けて突出する第1係止突起と、
前記他方の部材に設けられ、前記第1係止突起に係止して前記受け部材本体を前記第1の位置に位置付ける係止受け部とを備え、
前記第2の係止構造は、
前記一方の部材における前記第1係止突起の下方に設けられ、当該一方の部材から前記他方の部材に向けて突出する第2係止突起と、
前記第2係止突起に係止して前記受け部材本体を前記第2の位置に位置付ける前記係止受け部とを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の屋根構造体。 - 前記第1係止突起に対する前記係止受け部の係止量は、
前記第2係止突起に対する前記係止受け部の係止量よりも少ない
ことを特徴とする請求項2に記載の屋根構造体。 - 前記受け部材本体は、
第1基部と、
前記第1基部から下方にそれぞれ突出する一対の垂設部とを備え、
前記固定部材は、
前記第1基部に対向する第2基部を備え、
前記第1の係止構造は、
前記一対の垂設部における各先端部と、
前記第2基部に設けられ、前記各先端部に係止して前記受け部材本体を前記第1の位置に位置付ける係止受け部とを備え、
前記第2の係止構造は、
前記第1基部及び前記一対の垂設部の内側に前記固定部材を嵌合させて前記受け部材本体を前記第2の位置に位置付ける
ことを特徴とする請求項1に記載の屋根構造体。 - 前記受け部材本体は、
前記第1の位置から前記第2の位置への移動に応じて前記支持部材の下方に突出する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の屋根構造体。
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