以下、実施形態について図面に基づき説明を行う。なお、以下の実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。本実施形態では、エンジン(内燃機関)を駆動源として走行する車両において、当該車両の各種機器に電力を供給する車載電源システムを具体化するものとしている。
図1に示すように、本電源システムは、鉛蓄電池11と、リチウムイオン蓄電池12と、を有する2電源システムであり、各蓄電池11,12からは電気負荷13や、電気負荷15への給電が可能となっている。また、各蓄電池11,12に対しては回転電機14による充電が可能となっている。本システムでは、回転電機14に対して並列に鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12が接続されるとともに、電気負荷15に対して並列に鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12が接続されている。本実施形態では、鉛蓄電池11が、「第1蓄電池」に相当し、リチウムイオン蓄電池12が、「第2蓄電池」に相当する。
鉛蓄電池11は周知の汎用蓄電池であり、リチウムイオン蓄電池12と比較して安全性・信頼性に優れている。これに対し、リチウムイオン蓄電池12は、鉛蓄電池11に比べて、充放電における電力損失が少なく、出力密度、及びエネルギ密度の高い高密度蓄電池である。リチウムイオン蓄電池12は、鉛蓄電池11に比べて充放電時のエネルギ効率(電力効率)が高い蓄電池である。また、リチウムイオン蓄電池12は、それぞれ複数の単電池を有してなる組電池として構成されている。これら各蓄電池11,12の定格電圧はいずれも同じであり、例えば12Vである。
図示による具体的な説明は割愛するが、リチウムイオン蓄電池12は、収容ケースに収容されて基板一体の電池ユニットUとして構成されている。本実施形態では、電池ユニットUにより「電源装置」が構成されている。図1では、電池ユニットUを破線で囲んで示す。電池ユニットUは、外部端子P0,P1,P2を有しており、このうち外部端子P0に鉛蓄電池11と電気負荷13が接続され、外部端子P1に回転電機14が接続され、外部端子P2に電気負荷15が接続されている。
回転電機14は、3相交流モータや電力変換装置としてのインバータを有するモータ機能付き発電機であり、機電一体型のISG(Integrated Starter Generator)として構成されている。回転電機14は、エンジン出力軸や車軸の回転により発電(回生発電)を行う発電機能と、エンジン出力軸に回転力を付与する力行機能とを備えている。回転電機14の力行機能により、アイドリングストップ中、自動停止されているエンジンを再始動させる際に、エンジンに回転力を付与することができる。回転電機14は、発電電力を各蓄電池11,12や電気負荷13,15に供給する。
電気負荷13には、供給電力の電圧が一定、又はあらかじめ決められた範囲内であることが要求される定電圧負荷が含まれる。また、電気負荷13は電源失陥が許容されない負荷であるともいえる。
定電圧要求負荷である電気負荷13の具体例としては、ナビゲーション装置やオーディオ装置、メータ装置、エンジンECU等の各種ECUが挙げられる。この場合、供給電力の電圧変動が抑えられることで、上記各装置において不要なリセット等が生じることが抑制され、安定動作が実現可能となっている。また、電気負荷13の具体例として、走行に必要な負荷、例えば、走行系アクチュエータである電動ステアリング装置やブレーキ装置等が含まれていてもよい。
電気負荷15は、定電圧要求負荷以外の一般的な電気負荷である。電気負荷15は、電気負荷13に比べて電源失陥が許容される負荷であるともいえ、また、電気負荷13に比べて消費電力が大きい負荷であるともいえる。電気負荷15の具体例としては、シートヒータやリヤウインドウのデフロスタ用ヒータ、フロントウインドウのワイパ、空調装置の送風ファン等が挙げられる。
次に、電池ユニットUについて説明する。電池ユニットUには、ユニット内電気経路として、各外部端子P0,P1を繋ぐ電気経路L1と、電気経路L1上の接続点N1とリチウムイオン蓄電池12とを繋ぐ電気経路L2とが設けられている。このうち電気経路L1にスイッチ21が設けられ、電気経路L2にスイッチ22が設けられている。回転電機14の発電電力は、電気経路L1,L2を介して鉛蓄電池11やリチウムイオン蓄電池12に供給される。なお、鉛蓄電池11からリチウムイオン蓄電池12までの電気経路で言えば、回転電機14との接続点N1よりも鉛蓄電池11の側(外部端子P0の側)にスイッチ21が設けられ、接続点N1よりもリチウムイオン蓄電池12の側にスイッチ22が設けられている。本実施形態では、スイッチ21が「第3スイッチ」に相当し、スイッチ22が「第4スイッチ」に相当する。
また、本実施形態の電池ユニットUでは、電気経路L1,L2以外に、電気経路L1上の接続点N2(外部端子P0とスイッチ21の間の点)と、外部端子P2と、を接続する電気経路L3を有している。電気経路L3により、鉛蓄電池11から電気負荷15への電力供給を可能とする経路が形成されている。電気経路L3(詳しくは接続点N2−接続点N4の間)には、スイッチ23が設けられている。
また、電池ユニットUでは、電気経路L2の接続点N3(スイッチ22とリチウムイオン蓄電池12の間の点)と、電気経路L3上の接続点N4(スイッチ23と外部端子P2の間の点)と、を接続する電気経路L4が設けられている。電気経路L4により、リチウムイオン蓄電池12から電気負荷15への電力供給を可能とする経路が形成されている。電気経路L4(詳しくは接続点N3−接続点N4の間)には、スイッチ24が設けられている。
なお、鉛蓄電池11からリチウムイオン蓄電池12までの電気経路で言えば、電気負荷15が接続される接続点N4よりも鉛蓄電池11の側(外部端子P0の側)にスイッチ23が設けられ、接続点N4よりもリチウムイオン蓄電池12の側にスイッチ24が設けられている。本実施形態では、電気経路L3,L4(詳しくは接続点N2−N4−N3の経路)に対して、並列に設けられた電気経路L1,L2(詳しくは接続点N2−N1−N3の経路)が並列経路に相当する。また、スイッチ23が「第1スイッチ」に相当し、スイッチ24が「第2スイッチ」に相当する。
これら各スイッチ21〜24は、それぞれ2つ一組の半導体スイッチを1又は複数備えている。半導体スイッチは、MOSFETであり、その2つ一組のMOSFETの寄生ダイオードが互いに逆向きになるように直列に接続されている。なお、半導体スイッチとして、MOSFETに代えて、IGBTやバイポーラトランジスタ等を用いることも可能である。
また、電池ユニットUには、ユニット内のスイッチ21,23を介さずに、鉛蓄電池11を回転電機14及び電気負荷15に接続可能とするバイパス経路B1,B2が設けられている。つまり、バイパス経路B1,B2は、電気経路L1,L3上のスイッチ21,23を迂回するように、設けられている。
バイパス経路B1の一端はユニット内部において電気経路L1上の接続点N2に接続され、他端はユニット内部において電気経路L1上の接続点N1に接続されている。バイパス経路B1には、バイパス経路B1を通電又は通電遮断の状態とするバイパス開閉回路RE1が設けられている。バイパス開閉回路RE1は、例えば常閉式のメカニカルリレーを有する。バイパス開閉回路RE1によって、バイパス経路B1を通電の状態にすれば、スイッチ21がオフされている状況下にあっても、バイパス経路B1を介して、回転電機14から鉛蓄電池11へ発電電力の供給が可能となっている。
バイパス経路B2の一端はユニット内部において電気経路L1上の接続点N2に接続され、他端はユニット内部において電気経路L3上の接続点N4に接続されている。バイパス経路B2には、バイパス経路B2を通電又は通電遮断の状態とするバイパス開閉回路RE2が設けられている。バイパス開閉回路RE2は、「バイパス開閉部」に相当し、例えば常閉式のメカニカルリレーを有する。バイパス開閉回路RE2によって、バイパス経路B2を通電の状態にすれば、スイッチ23がオフされている状況下にあっても、バイパス経路B2を介して、鉛蓄電池11から電気負荷15への電力供給が可能となっている。
また、外部端子P0は、ヒューズ35を介して鉛蓄電池11に接続されている。また、外部端子P2は、ヒューズ38を介して電気負荷15と接続されている。また、接続点N2は、ヒューズ37を介してバイパス開閉回路RE1と接続されている。
電池ユニットUは、各スイッチ21〜24や、バイパス開閉回路RE1,RE2を制御する制御部51を備えている。制御部51は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等を含むマイコンにより構成されている。
制御部51は、各蓄電池11,12の状態等に基づいて、各スイッチ21〜24等を制御する。例えば、制御部51は、車載電源システムの停止状態(すなわちイグニッションスイッチのオフ状態)において、バイパス開閉回路RE1,RE2を閉鎖するとともに、各スイッチ21〜24を開放するように制御する。なお、以下では、車載電源システムの停止状態を、IGオフ状態と示す。また、車載電源システムの稼働状態(すなわちイグニッションスイッチのオン状態)を、IGオン状態と示す。
一方、制御部51は、IGオン状態において、バイパス開閉回路RE1,RE2を開放するとともに、各スイッチ21〜24を適宜開閉するように制御する。その際、制御部51は、スイッチ23又はスイッチ24の少なくともいずれかが閉鎖するように、各スイッチ21〜24を適宜制御する。すなわち、制御部51は、電気負荷15へ電力が供給され続けるように、各スイッチ21〜24を適宜制御する。
具体的には、制御部51は、リチウムイオン蓄電池12の状態(電圧や温度等)に基づき、リチウムイオン蓄電池12のSOC(残存容量:State Of Charge)を推定する。そして、制御部51は、そのSOCが所定の使用範囲内に維持されるように、各スイッチ21〜24を制御して、鉛蓄電池11とリチウムイオン蓄電池12の充電及び放電を制御する。すなわち、制御部51は、鉛蓄電池11とリチウムイオン蓄電池12とを選択的に用いて充放電を実施する。
また、制御部51は、電池ユニットUに関わる異常判定を行う。電池ユニットUに関わる異常としては、例えば、リチウムイオン蓄電池12の充放電に関する異常や、各スイッチ21〜24に関する異常などがある。
例えば、制御部51は、電流センサや温度センサを用い、リチウムイオン蓄電池12に過電流が流れていることや、リチウムイオン蓄電池12の温度が過上昇していることを検出し、こうした異常判定時にフェイルセーフ処理を実施する。このため、制御部51は、スイッチ23,24及びリチウムイオン蓄電池12を含む電源部の異常を検知する「検知部」に相当する。
そして、制御部51は、異常判定時においてフェイルセーフ処理を実施し、フェイルセーフ状態に移行させる。例えば、制御部51は、異常を判定した際、スイッチ21〜24をすべて閉鎖させたのち、スイッチ22,24を開放させて、電気経路L2,L4を通電遮断の状態とする。その後、制御部51は、バイパス開閉回路RE1,RE2を閉鎖させ、スイッチ21〜24をすべて開放させ、フェイルセーフ状態に移行させる。これにより、制御部51は、鉛蓄電池11から電力を各種電気負荷13,15に供給させる。
制御部51には、例えばエンジンECUからなるECU52が接続されている。ECU52は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等を含むマイコンにより構成されており、都度のエンジン運転状態や車両走行状態に基づいてエンジンの運転を制御する。制御部51及びECU52は、CAN等の通信ネットワークにより接続されて相互に通信可能となっており、制御部51及びECU52に記憶される各種データが互いに共有できるものとなっている。なお、ECU52が、車載電源システムの異常(故障)を検出し、ECU52から制御部51に故障(異常)が通知されてもよい。制御部51は、ECU52から異常が通知された場合、フェイルセーフ処理として、各種処理を行う。
次に、IGオン状態中における電池ユニットUの様子について説明する。IGオン状態中、例えば、リチウムイオン蓄電池12のSOCが使用範囲外であり、適正に利用できない場合、図2(a)に示すように、スイッチ23が閉鎖、スイッチ21,22,24が開放、バイパス開閉回路RE1,RE2が開放の状態となる場合がある。この場合では、鉛蓄電池11から電気負荷13,15に電力が供給される。
また、IGオン状態中、例えば、リチウムイオン蓄電池12のSOCが使用範囲内であり、適正に利用できる場合、図2(b)に示すように、スイッチ22,24が閉鎖、スイッチ21,23が開放、バイパス開閉回路RE1,RE2が開放の状態となる場合がある。この場合、リチウムイオン蓄電池12から電気負荷15に電力が供給されるとともに、鉛蓄電池11から電気負荷13に電力が供給される。
また、IGオン状態中では、スイッチ23又はスイッチ24の少なくともいずれかがオン(閉鎖)となるように、各スイッチ21〜24が適宜制御される。このため、鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12の少なくとも一方から、電気負荷15への電力の供給が可能となっている。
また、回転電機14の発電が実施されていれば、スイッチ21,22の開閉を制御することにより、鉛蓄電池11とリチウムイオン蓄電池12のうちいずれかを選択して、発電電力を供給させることが可能となる(充電させることが可能となる)。
次に、フェイルセーフ状態中における電池ユニットUの様子について説明する。フェイルセーフ状態中では、図2(c)に示すように、スイッチ21〜24が開放、バイパス開閉回路RE1,RE2が閉鎖の状態となっている。この場合、鉛蓄電池11から電気負荷13,15に電力が供給される。
この電源システムでは、リチウムイオン蓄電池12のSOC等に基づき、各スイッチ21〜24の開閉を制御して、2つの蓄電池11,12を選択的に充放電している。すなわち、この電源システムでは、SOC等に基づき、2つの蓄電池11,12を選択して、電気負荷15に対して電力を供給している。また、この電源システムでは、SOC等に基づき、2つの蓄電池11,12を選択して、回転電機14からの発電電力を供給して、充電させている。
これにより、例えば、SOCなどに基づき、高効率のリチウムイオン蓄電池12が適正に使用可能であると判定された場合、リチウムイオン蓄電池12を優先的に使用することにより、エネルギ効率を向上させている。その一方で、リチウムイオン蓄電池12が適正に利用できない場合には、鉛蓄電池11を利用することで、電気負荷15に対して電力を供給している。
また、この電源システムでは、電気負荷13には鉛蓄電池11がスイッチなどを介さずに接続されていることにより、鉛蓄電池11から常時電力供給が可能となっている。つまり、電池ユニットUからでは、鉛蓄電池11から電気負荷13への電力供給を遮断し、リチウムイオン蓄電池12から電力供給を選択することができないように構成されている。
このため、エネルギ効率を向上させるためには、各種電気負荷を、できるだけ外部端子P2に接続される電気負荷15として採用し、リチウムイオン蓄電池12からの電力供給を可能とすることが望ましい。
その一方で、この電源システムでは、電気負荷13は、スイッチなどを介さずに鉛蓄電池11と接続されている。すなわち、鉛蓄電池11から電気負荷13への電力が供給される経路上において故障の要因が少ない。このため、電気負荷13は、電気負荷15と比較して、電力が安定的に供給されやすく、信頼性が高い。例えば、この電源システムでは、リチウムイオン蓄電池12と電気負荷15は、スイッチ24を介して接続されており、鉛蓄電池11と電気負荷15は、スイッチ23を介して接続されている。このため、故障の要因となりうるスイッチ23,24を介在させない分、電気負荷13の方が、電気負荷15よりも安定的に電力が供給されるといえる。また、そもそも鉛蓄電池11は、一般的にリチウムイオン蓄電池12よりも安定性・信頼性が高い。このため、被保護負荷等は、電気負荷13として採用されることが望ましい。
ところで、車両には、車両を安全に走行させるため、車両の制動時に点灯する制動灯が設けられている。この制動灯は、ECU等のように、定電力負荷ではなく、車両の制動時に点灯すればよい。また、制動灯は、一般的に視認性をよくするため、点灯する面積を大きくし、高輝度で点灯させることが望ましいため、点灯する際の消費電力も大きくなりやすい。このため、制動灯を電気負荷15として採用し、リチウムイオン蓄電池12からの電力供給を可能として、エネルギ効率を向上させることが望ましい。
しかしながら、すべての制動灯を電気負荷15として採用した場合、電池ユニットUの異常により、制動時に制動灯を点灯させることができない場合がある。具体的には、図3(a)に示すように、リチウムイオン蓄電池12の利用が制限され、スイッチ24が開状態の場合に、スイッチ23の異常により、スイッチ23が閉状態とならない場合、電気負荷15へ鉛蓄電池11からの電力供給が途絶える。
また、図3(b)に示すように、リチウムイオン蓄電池12が利用可能であり、スイッチ23が開状態の場合に、スイッチ24の異常により、スイッチ24が閉状態とならない場合、電気負荷15へリチウムイオン蓄電池12からの電力供給が途絶える。これらの場合、車両が制動しても、制動灯を点灯させることができない虞があり、走行の安全性を十分に確保できない。
そこで、エネルギ効率を向上させるとともに、走行の安全を両立させるために、以下のように構成した。
まず、制動灯について説明する。制動灯には、消費電力が大きい主制動灯であるブレーキランプ41と、消費電力が少ない補助制動灯であるハイマウントストップランプ42とがある。
図4に示すように、ブレーキランプ41は、車両1の後方において左右両側に配置される。ブレーキランプ41は、複数の電球又はLEDランプにより構成されており、光透過性を有する半透明のカバー部材により覆われている。ブレーキランプ41を赤色で発光させるため、一般的にブレーキランプ41のカバー部材は赤色に着色されている。
このブレーキランプ41は、ブレーキペダルが操作され(押圧され)、ブレーキが作動する場合に、点灯する。すなわち、ブレーキランプ41は、車両1の制動時に点灯する。そして、このブレーキランプ41は、電気負荷15として、外部端子P2に接続される。
また、図4に示すように、ハイマウントストップランプ42は、車両1の後方において幅方向中央に配置される。また、ハイマウントストップランプ42は、ブレーキランプ41よりも車両1の上方に配置される。ハイマウントストップランプ42は、電球又はLEDランプにより構成されており、光透過性を有する半透明のカバー部材により覆われている。ハイマウントストップランプ42を赤色に発光させるため、一般的にハイマウントストップランプ42のカバー部材は赤色に着色されている。
また、ハイマウントストップランプ42は、一般的に、ブレーキランプ41と比較して発光面積が小さい。すなわち、使用される電球(又はLEDランプ)の大きさが小さい、又は個数が少なく(あるいはその両方)、消費電力が少なくなっている。
このハイマウントストップランプ42は、ブレーキペダルが操作され(押圧され)、ブレーキが作動する場合に、点灯する。すなわち、ハイマウントストップランプ42は、ブレーキランプ41と同様に、車両1の制動時に点灯する。そして、このハイマウントストップランプ42は、電気負荷13として、外部端子P0と鉛蓄電池11との間の経路に接続される。
以上のように、スイッチ23と、スイッチ24との間に設けられた外部端子P2に電気負荷15としてブレーキランプ41を接続するとともに、スイッチ23よりも鉛蓄電池11の側に設けられた外部端子P0に、電気負荷13としてハイマウントストップランプ42を接続した。
これにより、制動灯のうち消費電力が大きいブレーキランプ41に対して、リチウムイオン蓄電池12からの電力供給を行うことが可能となる。一方、消費電力が小さいハイマウントストップランプ42には、鉛蓄電池11からの電力供給が行われることとなる。
次に、ハザードランプ43(非常点滅灯)について説明する。
図4に示すように、ハザードランプ43は、車両1の後方において左右両側に配置される。なお、図示しないが、車両1の前方においても同様に、左右両側に配置される。また、ハザードランプ43は、ブレーキランプ41の上側又は下側(図4では下側)に隣接して配置される。ハザードランプ43は、複数の電球又はLEDランプにより構成されており、光透過性を有する半透明のカバー部材により覆われている。ハザードランプ43を橙色で発光させるため、一般的にハザードランプ43のカバー部材は橙色に着色されている。
このハザードランプ43は、ハザードスイッチが操作された場合に、所定間隔で、点滅する。これにより、周囲に対して注意を促すことが可能となる。また、本実施形態において、ハザードランプ43は、ブレーキ作動量が所定以上である場合においても、点滅する。より詳しくは、ハザードランプ43は、ブレーキランプ41及びハイマウントストップランプ42が点灯する場合と比較して、ブレーキ作動量が大きくなった場合、複数回、点滅する。より具体的には、ハザードランプ43は、ブレーキランプ41等が点灯する場合と比較して、ブレーキ操作量やブレーキ圧が大きくなった場合、複数回、点滅する。
ブレーキ作動量が大きくなった場合に点滅する際、ハザードランプ43は、ハザードスイッチが操作された場合と比較して、短い間隔で、点滅する。これにより、いわゆる急ブレーキが行われた場合、ハザードランプ43が点滅し、急ブレーキが行われたことを周囲に知らせるように構成されている。
なお、ハザードランプ43は、通常、ウィンカー(方向指示器)としても兼用されている。すなわち、全てのハザードランプ43が点滅することにより、ハザードランプとして機能し、左右両側のうち一方側のハザードランプ43のみが点滅することにより、ウィンカーとして機能する。そして、ハザードランプ43は、電気負荷13として、外部端子P0と鉛蓄電池11との間の経路に接続される。
次に、図5に基づき、IGオン状態中、電池ユニットUの異常が生じた場合における電力供給態様について説明する。図5(a)では、リチウムイオン蓄電池12が利用不能であって、且つ、スイッチ23の異常時である場合について説明する。
リチウムイオン蓄電池12を適正に利用できない場合、制御部51は、スイッチ23が閉状態とされ、スイッチ24が開状態とされるように制御する。しかしながら、前提より、スイッチ23の異常があるため、閉状態とならない場合がある。この場合、鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12から、電気負荷15(ブレーキランプ41等)に電力が供給されなくなる。
この状況で、車両が制動する場合、フェイルセーフ状態に移行するまでの間(制御部51が異常を検知してバイパス経路B1,B2を通電の状態とするまでの間)、主制動灯であるブレーキランプ41が点灯しなくなる。
しかしながら、ハイマウントストップランプ42には、鉛蓄電池11から電力が供給される。このため、この状況であっても、車両が制動する場合、補助制動灯であるハイマウントストップランプ42が適切に点灯する。
また、同様に、ハザードランプ43には、鉛蓄電池11から電力が供給される。このため、この状況であっても、急ブレーキが行われた場合、ハザードランプ43が適切に点滅する。
図5(b)では、スイッチ24の異常時について説明する。リチウムイオン蓄電池12を適正に利用可能である場合、制御部51は、スイッチ23が開状態とされ、スイッチ24が閉状態とされるように制御する。しかしながら、前提より、スイッチ24の異常があるため、閉状態とならない場合がある。この場合、鉛蓄電池11及びリチウムイオン蓄電池12から電気負荷15(ブレーキランプ41等)に電力が供給されなくなる。
この状況で、車両が制動する場合、フェイルセーフ状態に移行するまでの間(制御部51が異常を検知してバイパス経路B1,B2を通電の状態とするまでの間)、主制動灯であるブレーキランプ41が点灯しなくなる。
しかしながら、ハイマウントストップランプ42には、鉛蓄電池11から電力が供給される。このため、この状況であっても、車両が制動する場合、補助制動灯であるハイマウントストップランプ42が適切に点灯する。
また、同様に、ハザードランプ43には、鉛蓄電池11から電力が供給される。このため、この状況であっても、急ブレーキが行われた場合、ハザードランプ43が適切に点滅する。なお、図5(b)では、スイッチ24の異常時について説明したが、リチウムイオン蓄電池12の異常時であっても同様である。
以上のように、リチウムイオン蓄電池12やスイッチ23,24等の異常が生じた場合であっても、制動灯の少なくとも一部であるハイマウントストップランプ42が点灯する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
車両1が制動する場合に点灯する制動灯には、消費電力が大きい主制動灯であるブレーキランプ41と、消費電力が小さい補助制動灯であるハイマウントストップランプ42とがある。
そこで、電池ユニットUは、電気経路L3においてブレーキランプ41との接続点N4よりも鉛蓄電池11の側にスイッチ23を設け、接続点N4よりもリチウムイオン蓄電池12の側にスイッチ24を設けた。それとともに、スイッチ23と第1蓄電池との間の経路にハイマウントストップランプ42が接続されるようにした。
これにより、制動灯のうち消費電力が大きいブレーキランプ41に対して、高効率のリチウムイオン蓄電池12からの電力供給を行うとともに、消費電力が小さいハイマウントストップランプ42に対して、鉛蓄電池11からの電力供給を行うことが可能となる。
したがって、リチウムイオン蓄電池12の側に接続される電気負荷15としてハイマウントストップランプ42を採用し、鉛蓄電池11の側に接続される電気負荷13としてブレーキランプ41を採用する場合(配置を逆にする場合)と比較して、エネルギ効率の向上を図ることができる。同様に、電気負荷15に左右のブレーキランプのうち一方を採用し、電気負荷13に他方を採用する場合と比較しても、エネルギ効率の向上を図ることができる。
また、スイッチ23よりも鉛蓄電池11の側にハイマウントストップランプ42が接続されるようにし、スイッチ23よりもリチウムイオン蓄電池12の側にブレーキランプ41が接続されるようにしている。これにより、リチウムイオン蓄電池12やスイッチ23,24等の異常が生じた場合であっても、ハイマウントストップランプ42と、ブレーキランプ41のうちいずれか一方、すなわち、制動灯の少なくとも一部を点灯させることができ、車両の制動について適切に知らせることができる。以上のように、走行の安全とともに、エネルギ効率の向上を両立させることができる。
スイッチ23と鉛蓄電池11との間における経路は、スイッチ23とリチウムイオン蓄電池12との間における経路と比較して、スイッチが少ない。つまり、鉛蓄電池11と電気負荷13との間における経路は、リチウムイオン蓄電池12と電気負荷15との間における経路と比較して、スイッチ24が介在しておらず、異常の原因となる要素が少ない。また、鉛蓄電池11は、リチウムイオン蓄電池12と比較して安定性・信頼性が高い。このため、スイッチ23と鉛蓄電池11との間における経路は、通電の状態を維持しやすく、ハイマウントストップランプ42や定電圧負荷を接続することに適している。そこで、ハイマウントストップランプ42や定電圧負荷を電気負荷13に含ませ、スイッチ23と鉛蓄電池11との間における経路に、ハイマウントストップランプ42や定電圧負荷を接続することとした。これにより、走行の安全を向上させることができる。
ハザードランプ43は、ブレーキランプ41及びハイマウントストップランプ42が点灯する場合と比較して、ブレーキ作動量が大きい場合に点灯する。すなわち、ハザードランプ43は、いわゆる急ブレーキを報知するために使用されるものである。その一方で、ハザードランプ43は、ブレーキランプ41と比較して、点灯する頻度が少なく、消費電力が少ない。
そこで、ハザードランプ43を電気負荷13として採用し、スイッチ23と鉛蓄電池11の間の経路にハザードランプ43を接続した。これにより、外部端子P2(リチウムイオン蓄電池12の側)に接続される電気負荷15として採用される場合と比較して、急ブレーキが行われる場合にその旨をより確実に知らせることができる。これにより、走行の安全をより向上させることができる。
スイッチ23,24及びリチウムイオン蓄電池12の異常が制御部51により検知された場合、制御部51は、フェイルセーフ状態に移行させる。これにより、バイパス経路B2を介して、ブレーキランプ41に鉛蓄電池11からの電力が供給される。このため、スイッチ23,24及びリチウムイオン蓄電池12の異常が発生しても、ブレーキランプ41を点灯させることができない期間を短くすることができる。
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されず、例えば以下のように実施してもよい。なお、以下では、各実施形態で互いに同一又は均等である部分には同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
・上記実施形態では、外部端子P0に鉛蓄電池11と電気負荷13とが接続され、外部端子P1に回転電機14が接続され、外部端子P2に電気負荷15が接続された車載電源システムに適用したが、その他の車載電源システムに適用してもよい。例えば、発電機としてのオルタネータ70に対して各蓄電池11,12が並列に接続されるとともに、電気負荷15に対して各蓄電池11,12が並列に接続される車載電源システムに適用してもよい。
この車載電源システムについて詳しく説明する。図6に示すように、電池ユニットUの外部端子P0に鉛蓄電池11と、発電機としてのオルタネータ70と、電気負荷13としてハイマウントストップランプ42などが接続され、外部端子P2に電気負荷15としてブレーキランプ41などが接続される。電池ユニットU内において、外部端子P0,P2との間における電気経路L3に、スイッチ23が設けられ、リチウムイオン蓄電池12と外部端子P2との間における電気経路L4に、スイッチ24が設けられる。また、電池ユニットUには、スイッチ23を迂回するバイパス経路B2が設けられ、バイパス経路B2に、バイパス開閉回路RE2が設けられる。
このような電源システムにおいても、鉛蓄電池11からハイマウントストップランプ42へ常時電力供給が行われ、車両制動時にハイマウントストップランプ42を確実に点灯させ、走行の安全を図ることができる。それと共に、ブレーキランプ41は、リチウムイオン蓄電池12からの電力供給を受けることができ、エネルギ効率を向上させることができる。
・上記実施形態において、ハザードランプ43は、アクセルを閉じた後、すぐにブレーキペダルが操作された場合に、急ブレーキが行われたとして、点滅させてもよい。
・上記実施形態において、ハザードランプ43は、急ブレーキが行われた場合、点滅させたが、点灯させるだけでもよい。
・上記実施形態において、ハザードランプ43は、所定速度以上である場合に限り、ブレーキ作動量に基づき点滅させてもよい。
・上記実施形態において、急ブレーキが行われた場合に、ハザードランプ43と同様に、ブレーキランプ41及びハイマウントストップランプ42が点滅するように構成されていてもよい。この場合、ハザードランプ43が点滅する際とは異なるブレーキ作動量であってもブレーキランプ41等が点滅するようにしてもよい。
・上記実施形態において、ハザードランプ43を電気負荷15(外部端子P2に接続される負荷)として採用してもよい。これにより、エネルギ効率を向上させることができる。
・上記実施形態において、ハザードランプ43にて、急ブレーキを報知する場合、前方のハザードランプよりも後方のハザードランプが点灯することのほうがより重要である。そこで、前方のハザードランプを電気負荷15(リチウムイオン蓄電池12の側に接続される負荷)として採用する一方、後方のハザードランプを電気負荷13(鉛蓄電池11の側に接続される負荷)として採用してもよい。これにより、エネルギ効率を向上させつつ、走行の安全を確保することができる。なお、この場合、ブレーキランプ41及びハイマウントストップランプ42を、電気負荷13,15のうちいずれか一方にまとめて配置してもよい。
・上記実施形態では、バイパス経路B1,B2を設けたが、設けなくてもよい。