JP6922364B2 - 重合体、組成物及び成形体 - Google Patents
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[1]下記式(1−1)、(1−2)及び(1−3)のうちの少なくとも1種で表される第1構造単位と、下記式(2−1)及び(2−2)のうちの少なくとも一方で表される第2構造単位と、を有することを特徴とする重合体。
[2]前記第2構造単位が、前記式(2−1)で表される構造単位である前記[1]に記載の重合体。
[3]ポリスチレン換算の重量平均分子量が、500以上400,000以下である前記[1]又は[2]に記載の重合体。
[4]前記[1]乃至[3]のいずれかに記載の重合体と、有機溶媒と、を含有することを特徴とする組成物。
[5]前記[1]乃至[3]のいずれかに記載の重合体を含有することを特徴とする成形体。
<重合体>
本発明の重合体(以下、「[A]重合体」ともいう)は、上記第1構造単位と、上記第2構造単位と、を有する重合体である。[A]重合体は、上記各構造単位を2種以上有していてもよい。尚、[A]重合体は、上記第1及び第2構造単位を有する限り、各構造単位の配列やその他の構造については特に限定されない。例えば、[A]重合体が第1及び第2構造単位以外の構造単位を有してもよい。また、[A]重合体が、後述するように、第1及び第2構造単位を含む繰り返しユニット(a)〜(f)を有してもよく、更にその他の繰り返しユニットを有してもよい。
[A]重合体における第1構造単位は、下記式(1−1)、(1−2)及び(1−3)のうちの少なくとも1種で表される。
ル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
てもよい。
[A]重合体における第2構造単位は、下記式(2−1)及び(2−2)のうちの少なくとも一方で表される。
,7−テトラブロモフェノールフタレイン、α−ナフトールフタレイン、フェノールスルホンフタレイン、o−クレゾールスルホンフタレイン、ブロモフェノールレッド、ブロモフェノールブルー、m−クレゾールパープル、クロロフェノールレッド、ブロモクロロフェノールブルー、2−フェニル−3,3’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン、2,3−ジヒドロキシ−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1H−イソインドール−1−オン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシンドール、フルオレセイン、5−カルボキシフルオレセイン、6−カルボキシフルオレセイン、5−アミノフルオレセイン、6−アミノフルオレセイン等が挙げられる。尚、これらの単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
[A]重合体は、上述した効果を損なわない範囲で、例えば、分子量の調整や溶媒への溶解性向上等のために上記第1及び第2構造単位とは異なる他の構造単位を有してもよい。
チレン基、エチレン基が好ましい。同様の観点から、dとしては、0及び1が好ましく、0がより好ましい。
[A]重合体は、上記第1及び第2構造単位を有する限り、各構造単位の配列については限定されないが、耐熱性を高く維持しつつ、機械特性及び各種有機溶媒への溶解性をより向上させることができるという観点から、上記第1及び第2構造単位を主鎖中に有することが好ましい。ここで、「主鎖」とは、重合体中で相対的に最も長い結合鎖をいう。
[A]重合体が第1及び第2構造単位を主鎖中に有する例としては、例えば、下記式(a)に示す繰り返しユニット(a)、下記式(b)に示す繰り返しユニット(b)、下記式(c)に示す繰り返しユニット(c)、下記式(d)に示す繰り返しユニット(d)、下記式(e)に示す繰り返しユニット(e)、下記式(f)に示す繰り返しユニット(f)、これらの繰り返しユニットの組み合わせ等を主鎖中に有する重合体が挙げられる。
本発明における[A]重合体の合成方法は特に限定されないが、例えば、第1構造単位を与える単量体と、第2構造単位を与える単量体と、必要に応じて他の化合物とを、有機溶媒中、所定の条件で反応させることで合成できる。
[A]重合体の重量平均分子量(Mw)の下限は、500であることが好ましく、より
好ましくは1,000、更に好ましくは5,000、より更に好ましくは10,000、特に好ましくは30,000である。また、上記Mwの上限は、好ましくは600,000、より好ましくは400,000、更に好ましくは300,000、更により好ましくは200,000、特に好ましくは150,000である。上記Mwを上記下限以上とすることにより、耐熱性をより向上させることができる。一方、上記Mwが上記上限を超えると、粘度が高くなりすぎ、塗布性や操作性が低下するおそれがある。
[A]重合体のガラス転移温度の下限としては、150℃が好ましく、180℃がより好ましい。上記ガラス転移温度の上限は特に限定されないが、例えば、320℃が好ましく、300℃がより好ましい。上記ガラス転移温度を上記下限以上とすることにより、耐熱性をより向上させることができる。尚、このガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量測定装置を用い、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/分で測定した値とすることができる。
本発明における組成物は、上記[A]重合体及び有機溶媒を含有し、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を含有していてもよい。この組成物は、各種有機溶媒への溶解性に優れる[A]重合体を含有するため、各種用途に適用可能な汎用性の高い組成物として使用できる。また、本発明における組成物は、耐熱性及び機械特性に優れる[A]重合体を含有するため、この組成物から得られる成形体の熱劣化を抑制できるとともに、高い機械特性及び高い寸法安定性を付与することができる。
本発明における成形体は、[A]重合体を含有し、例えば、上記組成物により得られる。この成形体は、耐熱性及び機械特性に優れる[A]重合体を含有するため、熱劣化を抑制できるとともに、高い機械特性及び高い寸法安定性を付与することができる。
ている実装構造の材料として好適に使用することができる。
重合体の1H−NMR分析は、核磁気共鳴装置(日本電子社の「ECX400P」)を使用し、測定溶媒として重クロロホルムを用いて行った。
[1]重合体の合成
(実施例1)
攪拌装置を備えた四つ口セパラブルフラスコに、フェノールフタレイン(31.8g、100.0mmol)、4,6−ジクロロピリミジン(14.9g、100.0mmol)、及び炭酸カリウム(18.7g、135.0mmol)を量り入れ、N−メチル−2−ピロリドン(109g)を加え、窒素雰囲気下、110℃で6時間反応させた。反応終了後、N−メチル−2−ピロリドン(400g)を加えて、濾過により塩を除去した後、この溶液をメタノール(5.0kg)に投入した。析出した固体を濾別し、少量のメタノールで洗浄し、再度濾別して回収した後、真空乾燥機を用いて減圧下120℃で12時間乾燥し、下記式(P−1)に示す構造単位を有する重合体P−1を得た(収量34.4g、収率87.2%)。
1H−NMR(CDCl3、400MHz) δ(ppm):6.37(s,1H),7.27(d,4H),7.45(d,4H),7.59(m,2H),7.74(m,1H),7.95(d,1H),8.39(s,1H)
攪拌装置を備えた四つ口セパラブルフラスコに、フェノールフタレイン(25.5g、80.0mmol)、4,6−ジクロロ−2−フェニルピリミジン(18.0g、80.0mmol)、及び炭酸カリウム(14.9g、108.0mmol)を量り入れ、N−メチル−2−ピロリドン(101g)を加え、窒素雰囲気下、110℃で6時間反応させた。反応終了後、N−メチル−2−ピロリドン(300g)を加えて、濾過により塩を除去した後、この溶液をメタノール(5.0kg)に投入した。析出した固体を濾別し、少量のメタノールで洗浄し、再度濾別して回収した後、真空乾燥機を用いて減圧下120℃で12時間乾燥し、下記式(P−2)に示す構造単位を有する重合体P−2を得た(収量34.6g、収率92.1%)。
1H−NMR(CDCl3、400MHz) δ(ppm):6.12(s,1H),7.26(m,7H),7.46(d,4H),7.62(m,2H),7.77(m,1H),7.99(d,1H),8.07(d,2H)
攪拌装置を備えた四つ口セパラブルフラスコに、2−フェニル−3,3’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン(13.8g、35.0mmol)、4,6−ジクロロピリミジン(5.2g、35.0mmol)、及び炭酸カリウム(6.5g、47.3mmol)を量り入れ、N−メチル−2−ピロリドン(44g)を加え、窒素雰囲気下、110℃で19時間反応させた。反応終了後、N−メチル−2−ピロリドン(200g)を加えて、濾過により塩を除去した後、この溶液をメタノール(2.0kg)に投入した。析出した固体を濾別し、少量のメタノールで洗浄し、再度濾別して回収した後、真空乾燥機を用いて減圧下120℃で15時間乾燥し、下記式(P−3)に示す構造単位を有する重合体P−3を得た(収量12.5g、収率76.3%)。
1H−NMR(CDCl3、400MHz) δ(ppm):6.25(s,1H),6.96(d,2H),7.06(d,4H),7.19−7.24(m,4H),7.32(d,4H),7.50−7.59(m,2H),8.01(d,1H),8.43(s,1H)
攪拌装置を備えた四つ口セパラブルフラスコに、フルオレセイン(33.2g、100.0mmol)、4,6−ジクロロピリミジン(14.9g、100.0mmol)、及び炭酸カリウム(18.7g、135.0mmol)を量り入れ、N−メチル−2−ピロリドン(109g)を加え、窒素雰囲気下、110℃で6時間反応させた。反応終了後、N−メチル−2−ピロリドン(400g)を加えて、濾過により塩を除去した後、この溶液をメタノール(5.0kg)に投入した。析出した固体を濾別し、少量のメタノールで洗浄し、再度濾別して回収した後、真空乾燥機を用いて減圧下120℃で12時間乾燥し、下記式(P−4)に示す構造単位を有する重合体P−4を得た(収量34.8g、収率85.3%)。
攪拌装置を備えた四つ口セパラブルフラスコに、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(18.9g、50.0mmol)、4,6−ジクロロピリミジン(7.4g、50.0mmol)、及び炭酸カリウム(9.3g、67.5mmol)を量り入れ、N−メチル−2−ピロリドン(103g)を加え、窒素雰囲気下、110℃で6時間反応させた。反応終了後、N−メチル−2−ピロリドン(329g)を加えて、濾過により塩を除去した後、この溶液をメタノール(9.1kg)に投入した。析出した固体を濾別し、少量のメタノールで洗浄し、再度濾別して回収した後、真空乾燥機を用いて減圧下120℃で12時間乾燥し、下記式(R−1)に示す構造単位を有する重合体R−1を得た(収量11.5g、収率61.8%)。
攪拌装置を備えた四つ口セパラブルフラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(11.4g、50.0mmol)、4,6−ジクロロピリミジン(7.4g、50.0mmol)、及び炭酸カリウム(9.3g、67.5mmol)を量り入れ、N−メチル−2−ピロリドン(90g)を加え、窒素雰囲気下、110℃で6時間反応させた。反応終了後、N−メチル−2−ピロリドン(200g)を加えて、濾過により塩を除去した後、この溶液をメタノール(6.1kg)に投入した。析出した固体を濾別し、少量のメタノールで洗浄し、再度濾別して回収した後、真空乾燥機を用いて減圧下120℃で12時間乾燥し、下記式(R−2)に示す構造単位を有する重合体R−2を得た(収量12.1g、収率80%)。
上記のようにして得られた各重合体において、下記方法に従い、重量平均分子量(Mw)、ガラス転移温度(Tg)、1%質量減少温度(Td1)、各種有機溶媒に対する溶解性、及び機械特性(引張伸び、引張強度、CTE)を評価した。この評価結果を表1に示す。尚、表中における「−」は、該当する評価項目について測定していないことを意味する。
各重合体の重量平均分子量(Mw)は、GPC装置(東ソー社の「HLC−8320型」)を使用し、下記条件で測定した。
カラム:東ソー社の「TSKgel α―M」と、東ソー社の「TSKgel guardcоlumn α」とを連結したもの
展開溶媒:N−メチル−2−ピロリドン(LiBr 10mM添加)
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/分
試料濃度:0.75質量%
試料注入量:50μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
各重合体のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定装置(Rigaku社のDSC装置「Thermo Plus DSC8230」)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/分で得られたサーモグラムのDSC昇温曲線において、ベースラインと変曲点での接線との交点に対応する温度とした。上記変曲点は、DSC昇温曲線の微分曲線であるDDSC曲線におけるピークに対応する温度とした。また、DSCのベースラインの確認には、適宜DDSC曲線を参照した。
各重合体の1%質量減少温度(Td1)は、差動型示差熱天秤(SIIナノテクノロジー社の「TG/DTA6200」)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件
で得られた熱質量曲線から、重合体の質量が累計で1質量%減少した時の温度とした。尚、Td1は、耐熱性の指標の1つであり、その値が大きいほど耐熱性に優れると評価できる。
各重合体の各種有機溶媒に対する溶解性は、各重合体を以下に示す各種有機溶媒にそれぞれ濃度10質量%となるように加え、攪拌した後、目視で沈殿物を確認できなかった場合を「A」、目視で沈殿物が確認された場合を「B」として評価した。
(有機溶媒の種類)
CPN;シクロペンタノン
GBL;γ−ブチロラクトン
EDM;ジエチレングリコールエチルメチルエーテル
MMP;3−メトキシプロピオン酸メチル
以下のように評価用フィルムを作成し、下記の線膨張係数(CTE)、引張伸び、及び引張強度の測定に用いた。各重合体12.5gを塩化メチレン250mLに溶解し、ガラス基板に流し込み、室温、窒素雰囲気下で溶媒を12時間かけて蒸発させた後、得られたフィルム体を150℃で12時間、真空乾燥を行うことにより、評価用フィルムを得た。
得られた評価用フィルムの線膨張係数を、Seiko Instruments社製、SSC−5200型TMA測定装置を用いて測定した。この際、評価用フィルムを、そのガラス転移温度よりも20℃低い温度まで5℃/minで昇温した際の50〜150℃でのTMA曲線の勾配から線膨張係数を算出した。
得られた評価用フィルムをJIS K6251 7号形ダンベルの短冊状に切り出し、小型卓上試験機(株式会社島津製作所製、「EZ−LX」)を使用して、室温、5.000mm/minの条件で引張り試験を実施して測定した。
TEが低く、且つ、各種有機溶媒への溶解性を向上させることができるものであった。特に、実施例1及び2は、238〜246℃のガラス転移温度を有し、Td1が416〜425℃であり、37〜70%の伸び(引張伸び)と105〜108MPa以上の高い靱性(引張強度)、36〜43ppm/KのCTEを示し、且つ2種以上の有機溶媒に可溶(A評価)であった。一方、比較例1は、ガラス転移温度が240℃、引張強度が122MPa、有機溶媒に2種以上可溶であったが、Td1が383℃と低く、CTEが50ppm/Kと高く、引張伸びが6%と低かった。また、比較例2は、Td1が430℃、引張伸びが102%、引張強度が61MPa、有機溶媒に2種以上可溶であったが、ガラス転移温度が153℃と低く、CTEが57ppm/Kと高かった。これらの結果から、本発明の重合体によれば、高いTg及びTd1を示しつつ、機械特性(CTE、引張伸び及び引張強度)、各種有機溶媒への溶解性を向上できることが確認できた。
Claims (5)
- 下記式(1−1)、(1−2)及び(1−3)のうちの少なくとも1種で表される第1構造単位と、
下記式(2−1)及び(2−2)のうちの少なくとも一方で表される第2構造単位と、を有することを特徴とする重合体。
- 前記第2構造単位が、前記式(2−1)で表される構造単位である請求項1に記載の重合体。
- ポリスチレン換算の重量平均分子量が、500以上400,000以下である請求項1又は2に記載の重合体。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の重合体と、有機溶媒と、を含有することを特徴とする組成物。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の重合体を含有することを特徴とする成形体。
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