以下、本発明の組成物、硬化物及び積層体を詳細に説明する。
<組成物>
本発明の組成物は、上記重合体と、硬化性化合物とを含有する組成物である。
[重合体]
(第1構造単位)
本発明における重合体(以下、「[A]重合体」ともいう)は、下記式(1−1)、(1−2)及び(1−3)のうちの少なくとも1種で表される構造単位(以下、「第1構造単位」ともいう)を有する重合体である。
〔式(1−1)〜(1−3)中、R
1は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基、ニトロ基、シアノ基、1〜3級アミノ基、又は1〜3級アミノ基の塩である。nは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。nが2の場合、複数のR
1は、同一であっても異なっていてもよく、任意の組み合わせで結合して環構造の一部を形成していてもよい。〕
R1で表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
R1で表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば、1価の鎖状炭化水素基、1価の脂環式炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記1価の鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等のアルキル基;エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基等のアルキニル基等が挙げられる。
上記1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基;シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の単環のシクロアルケニル基;ノルボルネニル基等の多環のシクロアルケニル基等が挙げられる。
上記1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
R1で表される炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基としては、例えば、上記R1で表される基として例示した炭素数1〜20の1価の炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子で置換した基等が挙げられる。
R1で表される2級アミノ基及び3級アミノ基における置換基は特に限定されないが、例えば、上記R1で表される基として例示した炭素数1〜20の1価の炭化水素基等が挙げられる。R1で表される1〜3級アミノ基の塩におけるカチオン部位を構成するカチオンは特に限定されず、Na+等の公知のカチオンとすることができる。
R1としては、第1構造単位を与える単量体の重合反応性や溶解性を向上させる観点から、ハロゲン原子、炭素数1〜6の1価の炭化水素基、炭素数1〜6の1価のハロゲン化炭化水素基、ニトロ基、シアノ基、1〜3級アミノ基、又は1〜3級アミノ基の塩が好ましく、フッ素原子、塩素原子、メチル基、ニトロ基、シアノ基、t−ブチル基、フェニル基、アミノ基がより好ましい。同様の観点から、nとしては、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
第1構造単位の一方の結合手に対する他方の結合手の位置は特に限定されないが、第1構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させる観点からメタ位が好ましい。
第1構造単位としては、第1構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させる観点、及び各種有機溶媒への溶解性を向上させる観点から、ピリミジン骨格を有する上記式(1−2)で表される構造単位が好ましい。
また、[A]重合体における第1構造単位を与える単量体としては、例えば、4,6−ジクロロピリミジン、4,6−ジブロモピリミジン、2,4−ジクロロピリミジン、2,5−ジクロロピリミジン、2,5−ジブロモピリミジン、5−ブロモ−2−クロロピリミジン、5−ブロモ−2−フルオロピリミジン、5−ブロモ−2−ヨードピリミジン、2−クロロ−5−フルオロピリミジン、2−クロロ−5−ヨードピリミジン、2,4−ジクロロ−5−フルオロピリミジン、2,4−ジクロロ−5−ヨードピリミジン、5−クロロ−2,4,6−トリフルオロピリミジン、2,4,6−トリクロロピリミジン、4,5,6−トリクロロピリミジン、2、4,5−トリクロロピリミジン、2,4,5,6−テトラクロロピリミジン、2−フェニル−4,6−ジクロロピリミジン、2−メチルチオ−4,6−ジクロロピリミジン、2−メチルスルフォニル−4,6−ジクロロピリミジン、5−メチル−4,6−ジクロロピリミジン、2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン、5−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン、2,5−ジアミノ−4,6−ジクロロピリミジン、4−アミノ−2,6−ジクロロピリミジン、5−メトキシ−4,6−ジクロロピリミジン、5−メトキシ−2,4−ジクロロピリミジン、5−フルオロ−2,4−ジクロロピリミジン、5−ブロモ−2,4−ジクロロピリミジン、5−ヨード−2,4−ジクロロピリミジン、2−メチル−4,6−ジクロロピリミジン、5−メチル−4,6−ジクロロピリミジン、6−メチル−2,4−ジクロロピリミジン、5−メチル−2,4−ジクロロピリミジン、5−ニトロ−2,4−ジクロロピリミジン、4−アミノ−2−クロロ−5−フルオロピリミジン、2−メチル−5−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン、5−ブロモ−4−クロロ−2−メチルチオピリミジン;3,6−ジクロロピリダジン、3,5−ジクロロピリダジン、4−メチル−3,6−ジクロロピリダジン;2,3−ジクロロピラジン、2,6−ジクロロピラジン、2,5−ジブロモピラジン、2,6−ジブロモピラジン、2−アミノ−3,5−ジブロモピラジン、5,6−ジシアノ−2,3−ジクロロピラジン等が挙げられる。尚、これらの単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
尚、本発明における[A]重合体は、第1構造単位を有する限り、その他の構造については特に限定されない。
(第2構造単位)
上記[A]重合体は、上記第1構造単位以外に、下記式(2)で表される構造単位(以
下、「第2構造単位」ともいう)を有するものとすることができる。
〔式(2)中、A
1及びA
2は、それぞれ独立して、−O−、−S−、又は−N(R
2)−である。R
2は、水素原子、又は炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。Xは2価の有機基である。〕
R2で表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば、上記式(1−1)〜(1−3)におけるR1で表される基として例示した炭素数1〜20の1価の炭化水素基等が挙げられる。R2としては、第2構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させる観点から、水素原子、又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基が好ましい。また、A1及びA2が共に、−N(R2)−である場合、2つのR2は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(2)の上記Xで表される2価の有機基としては、例えば、下記式(2−1)で表される基が挙げられる。
〔式(2−1)中、R
4及びR
5は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、ヒドロキシ基、1〜3級アミノ基、カルボキシ基の塩、スルホン酸基の塩、ホスホン酸基の塩、リン酸基の塩、ヒドロキシ基の塩、又は1〜3級アミノ基の塩である。c及びdは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。a及びbは、それぞれ独立して、0〜8の整数である。aが2以上の場合、複数のR
4は、同一であっても異なっていてもよく、任意の組み合わせで結合して環構造の一部を形成してもよい。bが2以上の場合、複数のR
5は、同一であっても異なっていてもよく、任意の組み合わせで結合して環構造の一部を形成してもよい。Q及びZは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、又は、−N(R
17)−である。R
17は、水素原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、又は炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基である。Lは、単結合、又は2価の有機基である。yは、0〜5の整数である。yが2以上の場合、複数のQ、L及びZは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。yが2以上且つaが1以上の場合、複数のR
4は、同一であっても異なっていてもよい。R
6及びR
7は、それぞれ独立して、単結合、メチレン基、又は炭素数2〜4のアルキレン基である。〕
R4及びR5で表されるハロゲン原子としては、例えば、上記式(1−1)〜(1−3)における上記R1で表されるハロゲン原子として例示したものと同様のハロゲン原子等が挙げられる。
R4及びR5で表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば、上記式(1−1)〜(1−3)における上記R1で表される基として例示した炭素数1〜20の1価の炭化水素基等が挙げられる。
R4及びR5で表される炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基としては、例えば、上記式(1−1)〜(1−3)における上記R1で表される基として例示した炭素数1〜20の1価の炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子で置換した基等が挙げられる。
R4及びR5で表される炭素数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基等が挙げられる。
R4及びR5で表される炭素数1〜20のアルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、i−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、2−メチルプロピルチオ基、1−メチルプロピルチオ基、t−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基等が挙げられる。
R4及びR5で表される2級アミノ基及び3級アミノ基における置換基は特に限定されないが、例えば、上記式(1−1)〜(1−3)におけるR1で表される基として例示した炭素数1〜20の1価の炭化水素基等が挙げられる。尚、このR4及びR5で表される2級アミノ基及び3級アミノ基は、上述の2級アミノ構造及び3級アミノ構造のいずれかからなる末端を構成していてもよい。
R4及びR5で表されるカルボキシ基の塩、スルホン酸基の塩、ホスホン酸基の塩、リン酸基の塩、ヒドロキシ基の塩、及び1〜3級アミノ基の塩におけるカチオン部位を構成するカチオンは特に限定されず、Na+等の公知のカチオンとすることができる。
R4及びR5としては、それぞれ、第2構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させる観点から、ハロゲン原子、炭素数1〜3の1価の炭化水素基、炭素数1〜3の1価のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜3のアルキルチオ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、ヒドロキシ基、1〜3級アミノ基、カルボキシ基の塩、スルホン酸基の塩、ホスホン酸基の塩、リン酸基の塩、ヒドロキシ基の塩、又は1〜3級アミノ基の塩が好ましく、フッ素原子、塩素原子、メチル基、エチル基、フルオロメチル基、メトキシ基、メチルチオ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、ヒドロキシ基、1〜3級アミノ基、カルボキシ基の塩、スルホン酸基の塩、ホスホン酸基の塩、リン酸基の塩、ヒドロキシ基の塩、又は1〜3級アミノ基の塩がより好ましい。同様の観点から、a及びbは、それぞれ、0〜8が好ましく、0〜4がより好ましく、0〜2が特に好ましい。更に、同様の観点から、c及びdは、それぞれ、0〜2が好ましく、0又は1がより好ましい。
Q及びZで表される−N(R17)−におけるR17は、水素原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、又は炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基である。R17で表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば、上記式(1−1)〜(1
−3)における上記R1で表される基として例示した炭素数1〜20の1価の炭化水素基等が挙げられる。R17で表される炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基としては、例えば、上記式(1−1)〜(1−3)における上記R1で表される基として例示した炭素数1〜20の1価の炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子で置換した基等が挙げられる。R17としては、水素原子、炭素数1〜3の1価の炭化水素基、又は炭素数1〜3の1価のハロゲン化炭化水素基が好ましい。
Lで表される2価の有機基としては、例えば、−O−、−S−、−C(O)−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−NH−、−C(O)−O−、メチレン基、炭素数2〜20のアルキレン基、ハロゲン化メチレン基、炭素数2〜20のハロゲン化アルキレン基、2価のカルド構造等が挙げられる。
Lで表される炭素数2〜20のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、sec−ブチレン基、t−ブチレン基、ネオペンチレン基、4−メチル−ペンタン−2−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基等が挙げられる。
Lで表されるハロゲン化メチレン基としては、例えば、メチレン基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子で置換した基等が挙げられる。
Lで表される炭素数2〜20のハロゲン化アルキレン基としては、例えば、Lで表される基として例示した炭素数2〜20のアルキレン基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子で置換した基等が挙げられる。
Lで表される2価のカルド構造としては、フルオレンに由来する2価の基(即ち、フルオレンにおける2つの水素原子を除いた基)、フェノールフタレインに由来する2価の基(即ち、フェノールフタレインにおける2つの水素原子を除いた基)、下記式(L1)で表される基等が挙げられる。尚、フルオレンに由来する2価の基、及びフェノールフタレインに由来する2価の基においては、水素原子の一部又は全部が炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基で置換されていてもよく、更には、該置換基を含めた水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
〔式(L1)中、R
cは、環員数5〜30の2価の脂環式炭化水素基である。〕
Rcで表される環員数5〜30の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、環員数5〜15の単環の脂環式炭化水素基、環員数5〜15の単環のフッ素化脂環式炭化水素基、環員数7〜30の多環の脂環式炭化水素基、環員数7〜30の多環のフッ素化脂環式炭化水素基等が挙げられる。
上記環員数5〜15の単環の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンタン−1,1−ジイル基、シクロヘキサン−1,1−ジイル基、3,3,5−トリメチルシクロヘキサン−1,1−ジイル基、シクロペンテン−3,3−ジイル基、シクロヘキセン−3,
3−ジイル基、シクロオクタン−1,1−ジイル基、シクロデカン−1,1−ジイル基、シクロドデカン−1,1−ジイル基、これらの基の水素原子の一部又は全部が炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基で置換された基等が挙げられる。
上記環員数5〜15の単環のフッ素化脂環式炭化水素基としては、例えば、上記環員数5〜15の単環の脂環式炭化水素基として例示した基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基等が挙げられる。
上記環員数7〜30の多環の脂環式炭化水素基としては、例えば、ノルボルナン、ノルボルネン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリシクロ[5.2.1.02,6]ヘプタン、ピナン、カンファン、デカリン、ノルトリシクラン、ペルヒドロアントラセン、ペルヒドロアズレン、シクロペンタノヒドロフェナントレン、ビシクロ[2.2.2]−2−オクテン等の多環の脂環式炭化水素の1つの炭素原子に結合している2つの水素原子を除いた基、これらの基の水素原子の一部又は全部が炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基で置換された基等が挙げられる。
上記環員数7〜30の多環のフッ素化脂環式炭化水素基としては、例えば、上記環員数7〜30の多環の脂環式炭化水素基として例示した基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基等が挙げられる。
Lとしては、[A]重合体の構造安定性の観点から、単結合、−O−、−S−、−C(O)−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−NH−、−C(O)−O−、メチレン基、炭素数2〜5のアルキレン基、ハロゲン化メチレン基、炭素数2〜10のハロゲン化アルキレン基、又は2価のカルド構造が好ましい。同様の観点から、yは0〜4が好ましく、より好ましくは0〜3である。
R6及びR7で表される炭素数2〜4のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、sec−ブチレン基、t−ブチレン基等が挙げられる。R6及びR7としては、それぞれ、第2構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させる観点から、単結合、メチレン基、又はエチレン基が好ましい。
更に、上記式(2)の上記Xで表される2価の有機基としては、下記式(2−2)で表される基が挙げられる。
〔式(2−2)中、R
a及びR
bは、それぞれ独立して、環員数5〜30の2価の脂環式炭化水素骨格である。R
8及びR
9は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、ヒドロキシ基、1〜3級アミノ基、カルボキシ基の塩、スルホン酸基の塩、ホスホン酸基の塩、リン酸基の塩、ヒドロキシ基の塩、又は1〜3級アミノ基の塩である。e及びfは、それぞれ独立して、0〜20の整数である。eが2以上の場合、複数のR
8は、同一であっても異なっていてもよく、任意の組み
合わせで結合して環構造の一部を形成してもよい。fが2以上の場合、複数のR
9は、同一であっても異なっていてもよく、任意の組み合わせで結合して環構造の一部を形成してもよい。Q及びZは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、又は、−N(R
18)−である。R
18は、水素原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、又は炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基である。Lは、単結合、又は2価の有機基である。yは、0〜5の整数である。yが2以上の場合、複数のQ、L及びZは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。yが2以上且つeが1以上の場合、複数のR
8は、同一であっても異なっていてもよい。R
10及びR
11は、それぞれ独立して、単結合、メチレン基、又は炭素数2〜4のアルキレン基である。〕
Ra及びRbで表される環員数5〜30の2価の脂環式炭化水素骨格としては、例えば、環員数5〜15の単環の脂環式炭化水素骨格、環員数7〜30の多環の脂環式炭化水素骨格等が挙げられる。尚、Ra及びRbで表される環員数5〜30の2価の脂環式炭化水素骨格における一方の結合手に対する他方の結合手の位置は、それぞれ、特に限定されない。
上記環員数5〜15の単環の脂環式炭化水素骨格としては、例えば、シクロペンタン−ジイル基、シクロヘキサン−ジイル基、シクロペンテン−ジイル基、シクロヘキセン−ジイル基、シクロオクタン−ジイル基、シクロデカン−ジイル基、シクロドデカン−ジイル基等が挙げられる。
上記環員数7〜30の多環の脂環式炭化水素骨格としては、例えば、ノルボルナン、ノルボルネン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリシクロ[5.2.1.02,6]ヘプタン、ピナン、カンファン、デカリン、ノルトリシクラン、ペルヒドロアントラセン、ペルヒドロアズレン、シクロペンタノヒドロフェナントレン、ビシクロ[2.2.2]−2−オクテン等の多環の脂環式炭化水素における2つの水素原子を除いた基等が挙げられる。
Ra及びRbで表される環員数5〜30の2価の脂環式炭化水素骨格としては、それぞれ、耐熱性を高く維持させる観点から、シクロペンタン−ジイル基、シクロヘキサン−ジイル基、ノルボルネンにおける2つの水素原子を除いた基、又はこれらの基における水素原子の一部又は全部がR8やR9で置換された基が好ましい。
式(2−2)におけるR8及びR9については、それぞれ、式(2−1)におけるR4に関する全ての説明をそのまま適用することができる。e及びfは、第2構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させる観点から、0〜10が好ましく、より好ましくは0〜5である。
式(2−2)におけるQ、Z、R18、L、及びyついては、それぞれ、式(2−1)におけるQ、Z、R17、L、及びyに関する全ての説明をそのまま適用することができる。
式(2−2)におけるR10及びR11については、それぞれ、式(2−1)におけるR6に関する全ての説明をそのまま適用することができる。
更に、上記式(2)の上記Xで表される2価の有機基としては、下記式(2−3)で表される基が挙げられる。
〔式(2−3)中、R
12は、水素原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、又は炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基である。R
13及びR
14は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の2価の鎖状又は脂環式の炭化水素基、又は炭素数1〜20の2価の鎖状又は脂環式のハロゲン化炭化水素基である。gは、0又は1である。hは、1〜10の整数である。hが2以上の場合、複数のR
12及びR
14は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。〕
R12で表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば、上記式(1−1)〜(1−3)における上記R1で表される基として例示した炭素数1〜20の1価の炭化水素基等が挙げられる。
R12で表される炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基としては、例えば、上記式(1−1)〜(1−3)における上記R1で表される基として例示した炭素数1〜20の1価の炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子で置換した基等が挙げられる。
R12としては、第2構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させる観点から、水素原子、炭素数1〜3の1価の炭化水素基、又は炭素数1〜3の1価のハロゲン化炭化水素基が好ましい。
R13及びR14で表される炭素数1〜20の2価の鎖状の炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,2−プロピレン基、1−メチル−1,4−ブチレン基、2−メチル−1,4−ブチレン基等の直鎖状又は分岐状のアルキレン基等が挙げられる。
R13及びR14で表される2価の脂環式の炭化水素基(炭素数;3〜20)としては、例えば、シクロプロピレン基、1,3−シクロブチレン基等のシクロブチレン基、1,3−シクロペンチレン基等のシクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基等のシクロヘキシレン基等の単環の炭化水素基;1,4−ノルボルニレン基、2,5−ノルボルニレン基等のノルボルニレン基、1,5−アダマンチレン基、2,6−アダマンチレン基等のアダマンチレン基等の多環の炭化水素基等が挙げられる。
R13及びR14で表される炭素数1〜20の2価の鎖状又は脂環式のハロゲン化炭化水素基としては、例えば、上記R13及びR14で表される基として例示した炭素数1〜20の2価の鎖状又は脂環式の炭化水素基における水素原子の一部又は全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子で置換した基等が挙げられる。
R13及びR14としては、それぞれ、第2構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させる観点から、炭素数1〜3の2価の鎖状の炭化水素基、炭素数4〜10の2価の脂環式の炭化水素基、炭素数1〜3の2価の鎖状のハロゲン化炭化水素基、又は炭素数4〜10の2価の脂環式のハロゲン化炭化水素基が好ましい。同様の観点から、hは0〜5が
好ましく、より好ましくは0〜3である。
更に、上記式(2)の上記Xで表される2価の有機基としては、下記式(2−4)で表される基が挙げられる。
〔式(2−4)中、R
15及びR
16は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の2価の鎖状又は脂環式の炭化水素基、又は炭素数1〜20の2価の鎖状又は脂環式のハロゲン化炭化水素基である。iは、0又は1である。jは、1〜10の整数である。jが2以上の場合、複数のR
16は、同一であっても異なっていてもよい。〕
式(2−4)におけるR15及びR16については、それぞれ、上記式(2−3)におけるR13に関する全ての説明をそのまま適用することができる。jは、第2構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させる観点から、0〜5が好ましく、より好ましくは0〜3である。
更に、上記式(2)の上記Xで表される2価の有機基としては、下記式(2−5)で表される基が挙げられる。
〔式(2−5)中、R
21及びR
22は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、ヒドロキシ基、1〜3級アミノ基、カルボキシ基の塩、スルホン酸基の塩、ホスホン酸基の塩、リン酸基の塩、ヒドロキシ基の塩、又は1〜3級アミノ基の塩である。k及びlは、それぞれ独立して、0〜3の整数である。kが2又は3の場合、複数のR
21は、同一であっても異なっていてもよい。lが2又は3の場合、複数のR
22は、同一であっても異なっていてもよい。R
23は、単結合、−O−、−S−、−C(O)−、−S(O)−、又は、−S(O)
2−である。〕
式(2−5)におけるR21及びR22については、それぞれ、上記式(2−1)におけるR4に関する全ての説明をそのまま適用することができる。式(2−5)におけるk及びlは、それぞれ、第2構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させる観点から、0〜2が好ましく、より好ましくは0〜1である。
更に、上記式(2)の上記Xで表される2価の有機基としては、下記式(2−6)で表される基が挙げられる。
〔式(2−6)中、R
24及びR
25は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、ヒドロキシ基、1〜3級アミノ基、カルボキシ基の塩、スルホン酸基の塩、ホスホン酸基の塩、リン酸基の塩、ヒドロキシ基の塩、又は1〜3級アミノ基の塩である。m及びnは、それぞれ独立して、0〜3の整数である。mが2又は3の場合、複数のR
24は、同一であっても異なっていてもよい。nが2以上の場合、複数のR
25は、同一であっても異なっていてもよい。R
26及びR
27は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−C(O)−、−S(O)−、又は、−S(O)
2−である。〕
式(2−6)におけるR24及びR25については、それぞれ、上記式(2−1)におけるR4に関する全ての説明をそのまま適用することができる。式(2−6)におけるm及びnは、それぞれ、第2構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させる観点から、0〜2が好ましく、より好ましくは0〜1である。
更に、上記式(2)の上記Xで表される2価の有機基としては、下記式(2−7)で表される基が挙げられる。
〔式(2−7)中、R
28及びR
29は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、ヒドロキシ基、1〜3級アミノ基、カルボキシ基の塩、スルホン酸基の塩、ホスホン酸基の塩、リン酸基の塩、ヒドロキシ基の塩、又は1〜3級アミノ基の塩である。oは、0〜3の整数である。pは、0〜4の整数である。oが2以上の場合、複数のR
28は、同一であっても異なっていてもよい。pが2以上の場合、複数のR
29は、同一であっても異なっていてもよい。nは、0〜6の整数である。R
30は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、又は炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基である。qは、0〜15の整数である。qが2以上の場合、複数のR
30は、同一であっても異なっていてもよい。〕
式(2−7)におけるR28及びR29については、それぞれ、上記式(2−1)におけるR4に関する全ての説明をそのまま適用することができる。式(2−7)におけるo及びpは、それぞれ、第2構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させる観点から、
0〜2が好ましく、より好ましくは0〜1である。
式(2−7)におけるR30で表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば、上記式(1−1)〜(1−3)における上記R1で表される基として例示した炭素数1〜20の1価の炭化水素基等が挙げられる。
R30で表される炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基としては、例えば、上記式(1−1)〜(1−3)における上記R1で表される基として例示した炭素数1〜20の1価の炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子で置換した基等が挙げられる。
R30としては、第2構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させる観点から、水素原子、炭素数1〜3の1価の炭化水素基、又は炭素数1〜3の1価のハロゲン化炭化水素基が好ましい。同様の観点から、nは0〜4が好ましく、より好ましくは0〜2である。また、同様の観点から、qは、0〜11が好ましく、より好ましくは0〜7である。
更に、上記式(2)の上記Xで表される2価の有機基としては、下記式(2−8)で表される基が挙げられる。
〔式(2−8)中、R
31及びR
32は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、ヒドロキシ基、1〜3級アミノ基、カルボキシ基の塩、スルホン酸基の塩、ホスホン酸基の塩、リン酸基の塩、ヒドロキシ基の塩、又は1〜3級アミノ基の塩である。r及びsは、それぞれ独立して、0〜4の整数である。rが2以上の場合、複数のR
31は、同一であっても異なっていてもよい。sが2以上の場合、複数のR
32は、同一であっても異なっていてもよい。mは、1〜5の整数である。nは、0〜5の整数である。R
33は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、又は炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基である。tは、0〜20の整数である。tが2以上の場合、複数のR
33は、同一であっても異なっていてもよい。〕
式(2−8)におけるR31及びR32については、それぞれ、上記式(2−1)におけるR4に関する全ての説明をそのまま適用することができる。r及びsは、第2構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させる観点から、0〜2が好ましく、より好ましくは0〜1である。同様の観点から、mは1〜3が好ましく、より好ましくは1〜2である。また、同様の観点から、nは、0〜3が好ましく、より好ましくは0〜2である。
式(2−8)におけるR33で表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば、上記式(1−1)〜(1−3)における上記R1で表される基として例示した炭素数1〜20の1価の炭化水素基等が挙げられる。
R33で表される炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基としては、例えば、上
記式(1−1)〜(1−3)における上記R1で表される基として例示した炭素数1〜20の1価の炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子で置換した基等が挙げられる。
R33としては、第2構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させる観点から、水素原子、炭素数1〜3の1価の炭化水素基、又は炭素数1〜3の1価のハロゲン化炭化水素基が好ましい。同様の観点から、tは0〜12が好ましく、より好ましくは0〜8である。
更に、上記式(2)の上記Xで表される2価の有機基としては、炭素数1〜20の2価の炭化水素基が挙げられる。上記炭素数1〜20の2価の炭化水素基としては、例えば、2価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記2価の鎖状炭化水素基としては、例えば、上記式(2−3)における上記R13で表される基として例示した炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基等が挙げられる。上記2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、上記式(2−3)における上記R13で表される基として例示した炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。上記2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基、アントリレン基等のアリーレン基等が挙げられる。
Xで表される2価の有機基が、炭素数1〜20の2価の炭化水素基である場合、第2構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させる観点から、炭素数1〜16の2価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜10の2価の脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基が好ましい。
更に、上記式(2)の上記Xで表される2価の有機基としては、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基等が挙げられる。上記炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基としては、例えば、上記Xで表される基として例示した炭素数1〜20の2価の炭化水素基における水素原子の一部又は全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子で置換した基等が挙げられる。
Xで表される2価の有機基が、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基である場合、第2構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させる観点から、炭素数1〜16の鎖状のハロゲン化炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式のハロゲン化炭化水素基、又は炭素数6〜20のハロゲン化芳香族炭化水素基が好ましい。
更に、上記式(2)の上記Xで表される2価の有機基としては、環員数3〜10の2価の複素環基が挙げられる。上記環員数3〜10の2価の複素環基としては、例えば、ピラジン、ピリミジン、ピリタジン、トリアジン、ピロール、2H−ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、3H−インドール、インドール、1H−インダゾール、プリン、4H−キノリジン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、イソインドリン、キヌクリジン、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、1,3,5−トリアジン、ブリン、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、フェナルサジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、チアジアゾール、ベンゾチア
ジアゾール等の含窒素複素環化合物における2つの水素原子を除いた基等が挙げられる。
また、この複素環基における水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、ヒドロキシ基、1〜3級アミノ基、カルボキシ基の塩、スルホン酸基の塩、ホスホン酸基の塩、リン酸基の塩、ヒドロキシ基の塩、又は1〜3級アミノ基の塩によって置換されていてもよい。尚、これらの置換基については、上記式(2−1)におけるR4の説明を適用することができる。
Xで表される2価の有機基が、環員数3〜10の2価の複素環基である場合、第2構造単位を与える単量体の重合反応性を向上させる観点から、環員数3〜10の2価の含窒素複素環基であることが好ましい。
[A]重合体における第2構造単位としては、式(2)で表される構造単位であることが好ましい。特に、耐熱性をより向上させることができる観点から、式(2)におけるXが、上記式(2−1)〜(2−4)で表される基、上記炭素数1〜20の2価の炭化水素基、上記炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、又は上記環員数3〜10の2価の複素環基であることが好ましく、式(2)におけるXが、上記式(2−1)で表される基、上記式(2−2)で表される基、又は環員数3〜10の2価の複素環基であることがより好ましい。
また、[A]重合体における第2構造単位を与える単量体としては、例えば、下記式(M−1)〜(M−66)で表される化合物等が挙げられる。これらの単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。尚、下記式(M−1)〜(M−66)におけるAは、−OH、−SH、−NH2、又は、−N(R35)Hである。R35は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。この炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば、上記式(1−1)〜(1−3)におけるR1で表される基として例示した炭素数1〜20の1価の炭化水素基等が挙げられる。また、各化合物における複数のAは、それぞれ、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記[A]重合体は、上記第1及び第2構造単位を備える場合、各構造単位を1種のみ
有してもよく、2種以上有してもよい。また、[A]重合体は、後述するように、第1及び第2構造単位を含む繰り返しユニット(a)、(b)又は(c)を有してもよく、更にその他の繰り返しユニットを有してもよい。
[A]重合体における第1構造単位の含有割合の下限は、[A]重合体における全構造単位の合計を100モル%とした場合に、5モル%であることが好ましく、より好ましくは10モル%、更に好ましくは20モル%、特に好ましくは33モル%である。また、上記含有割合の上限は、95モル%であることが好ましく、より好ましくは67モル%、更に好ましくは60モル%、特に好ましくは50モル%である。上記含有割合を上記範囲とすることにより、硬化物の靱性、耐熱性、耐薬品性をより向上させることができる。
また、[A]重合体が第2構造単位を有する場合、第2構造単位の含有割合の下限は、[A]重合体における全構造単位の合計を100モル%とした場合に、5モル%であることが好ましく、より好ましくは10モル%、更に好ましくは20モル%、特に好ましくは33モル%である。また、上記含有割合の上限は、95モル%であることが好ましく、より好ましくは67モル%、更に好ましくは60モル%、特に好ましくは50モル%である。上記含有割合を上記範囲とすることにより、硬化物の靱性、耐熱性、耐薬品性をより向上させることができる。
(他の構造単位)
上記[A]重合体は、上述した効果を損なわない範囲で、例えば分子量の調整等のために上記第2構造単位とは異なる他の構造単位を有してもよい。[A]重合体が上記他の構造単位を含有する場合、他の構造単位の含有割合の合計の下限は、[A]重合体における全構造単位の合計を100モル%とした場合に、1モル%であることが好ましく、より好ましくは5モル%、更に好ましくは10モル%である。また、上記含有割合の上限は、40モル%であることが好ましく、より好ましくは30モル%である。上記含有割合を上記範囲とすることにより、上述した効果を損なわない範囲で分子量の調整を容易に行うことができる。
(各構造単位の配列)
[A]重合体は、上記第1構造単位を有する限り、構造単位の配列については限定されないが、硬化物の靱性、耐熱性、耐薬品性をより向上させるという観点から、上記第1及び第2構造単位を主鎖中に有することが好ましい。ここで、「主鎖」とは、重合体中で相対的に最も長い結合鎖をいう。
(繰り返しユニット)
[A]重合体が第1及び第2構造単位を主鎖中に有する例としては、例えば下記式(a)に示す繰り返しユニット(a)、下記式(b)に示す繰り返しユニット(b)、下記式(c)に示す繰り返しユニット(c)、これらの繰り返しユニットの組み合わせ等を主鎖中に有する重合体が挙げられる。
上記式(a)〜(c)において、R1及びnは、それぞれ、上記式(1−1)〜(1−3)におけるR1及びnと同義である。A1及びA2は、それぞれ、上記式(2)におけるA1及びA2と同義である。
([A]重合体の含有割合)
本発明の組成物において、硬化性化合物及び[A]重合体を100質量%とした場合の[A]重合体の含有割合は、例えば、1質量%以上99質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以上95質量%以下、更に好ましくは10質量%以上90質量%以下である。この含有割合が上記範囲内である場合、硬化物の靱性、耐熱性、耐薬品性をより向上させるという観点から好ましい。
([A]重合体の合成方法)
本発明における[A]重合体の合成方法は特に限定されないが、例えば、第1構造単位を与える単量体と、第2構造単位を与える単量体と、必要に応じて他の化合物とを、有機溶媒中、所定の条件で反応させることで合成できる。
上記他の化合物としては、例えば、アルカリ金属化合物、単官能フェノール等の末端停止剤、他の構造単位を与える単量体等が挙げられる。
上記アルカリ金属化合物としては、例えば、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩などが挙げられる。これらの中で、水酸化アルカリ金属及びアルカリ金属炭酸塩が好ましく、水酸化ナトリウム及び炭酸カリウムがより好ましい。
上記アルカリ金属化合物を使用する場合、その使用量の下限は、[A]重合体の合成に用いる全単量体の水酸基に対するアルカリ金属化合物中の金属原子の量として、1倍当量が好ましく、1.1倍当量がより好ましく、1.2倍当量がさらに好ましく、1.5倍当量が特に好ましい。一方、上記使用量の上限としては、3倍当量が好ましく、2倍当量がより好ましい。
上記有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、ジフェニルスルホン、ジフェニルエーテル、ベンゾフェノン、塩化メチレン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジアルコキシベンゼン(アルコキシ基の炭素数1〜4)、トリアルコキシベンゼン(アルコキシ基の炭素数1〜4)等が挙げられる。尚、これらの有機溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
先に例示した有機溶媒に加えて、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、クロロベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール等の水と共沸する溶媒を併用することもできる。尚、これらの溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
[A]重合体の合成時の反応温度は、例えば、20℃以上250℃以下である。反応時間は、例えば、15分以上100時間以下である。[A]重合体は、溶液、粉体やペレットとして得ることができる。粉体で得る場合、貧溶媒中で凝固し、濾別後、洗浄、乾燥することで得られるが、その場合に、アルカリ金属化合物やアンモニア等を含む水溶液や溶媒で前処理してから凝固しても良い。あるいは、アルカリ金属化合物やアンモニア等を含む水溶液や貧溶媒に直接凝固しても得られる。
([A]重合体の重量平均分子量(Mw))
[A]重合体の重量平均分子量(Mw)の下限は、500であることが好ましく、より好ましくは1,000、更に好ましくは5,000、より更に好ましくは10,000、最も好ましくは30,000である。また、上記Mwの上限は、600,000であることが好ましく、より好ましくは400,000、更に好ましくは300,000、最も好ましくは200,000である。上記Mwを上記下限以上とすることにより、耐熱性をより向上させることができる。一方、上記Mwが上記上限を超えると、粘度が高くなりすぎ、塗布性や操作性が低下するおそれがある。
([A]重合体のガラス転移温度(Tg))
[A]重合体のガラス転移温度(Tg)の下限としては、150℃が好ましく、180℃がより好ましい。上記ガラス転移温度の上限は特に限定されないが、例えば、320℃が好ましく、300℃がより好ましい。上記ガラス転移温度を上記下限以上とすることにより、耐熱性をより向上させることができる。尚、このガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量測定装置を用い、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/分で測定した値とすることができる。
[硬化性化合物]
本発明における硬化性化合物は、熱や光(例えば、可視光、紫外線、近赤外線、遠赤外線、電子線等)の照射により硬化する化合物であり、後述する硬化助剤を必要とするものであってもよい。このような硬化性化合物としては、例えば、エポキシ化合物、シアネートエステル化合物、ビニル化合物、シリコーン化合物、オキサジン化合物、マレイミド化合物、アリル化合物、アクリル化合物、メタクリル化合物、ウレタン化合物が挙げられる。これらは、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。なかでも、[A]重合体との相溶性、耐熱性等の特性上の観点から、エポキシ化合物、シアネートエステル化合物、ビニル化合物、シリコーン化合物、オキサジン化合物、マレイミド化合物、及びアリル化合物のうちの少なくとも1種であることが好ましく、特に、エポキシ化合物、シアネートエステル化合物、ビニル化合物、アリル化合物、及びシリコーン化合物のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
上記エポキシ化合物としては、例えば、下記式(c1−1)〜(c1−6)で表される化合物等が挙げられる[尚、(c1−6)で表される化合物は、「XER−81」(JSR社製エポキシ含有NBR粒子である)]。更には、ジシクロペンタジエン・フェノール重合物のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック型液状エポキシ、スチレン−ブタジエンブロック共重合体のエポキシ化物、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等が挙げられる。
上記シアネートエステル化合物としては、例えば、下記式(c2−1)〜(c2−7)で表される化合物等が挙げられる。
上記ビニル化合物としては、例えば、下記式(c3−1)〜(c3−5)で表される化合物等が挙げられる。
上記シリコーン化合物としては、例えば、下記式(c4−1)〜(c4−16)で表される化合物等が挙げられる。尚、式(c4−1)におけるRとしては、下記のいずれかが選択され、ビニル基を備えるものが選択される場合には、上記ビニル化合物として取り扱うこともできる。また、式(c4−2)〜(c4−16)において、Rは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアルケニル基から選ばれる有機基であり、nは0〜1000の整数(好ましくは0〜100の整数)である。上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アリール基、及び上記アルケニル基としては、それぞれ、上述の式(1−1)のR1の説明において例示したものを挙げることができる。
上記オキサジン化合物としては、例えば、下記式(c5−1)〜(c5−5)で表される化合物等が挙げられる。
上記マレイミド化合物としては、例えば、下記式(c6−1)〜(c6−5)で表される化合物等が挙げられる。
上記アリル化合物としては、例えば、下記式(c7−1)〜(c7−6)で表される化合物等が挙げられる。特に、このアリル化合物としては、2つ以上(特に2〜6、更には2〜3)のアリル基を有する化合物が好ましい。
(硬化性化合物の含有割合)
本発明の組成物における硬化性化合物の含有割合は、例えば、組成物全体を100質量%とした場合に、0.05質量%以上99.95質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上90質量%以下、更に好ましくは20質量%以上80質量%以下である。この含有割合が上記範囲内である場合、硬化物の靱性、耐熱性、耐薬品性をより向上させる観点から好ましい。また、硬化性化合物及び[A]重合体の合計を100質量%とした場合に、硬化性化合物の含有割合は、1質量%以上99質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以上95質量%以下、更に好ましくは10質量%以上90質量%以下である。この含有割合が上記範囲内である場合、硬化物の靱性、耐熱性、耐薬品性をより向上させる観点から好ましい。
[硬化助剤]
本発明における組成物は、必要に応じて硬化助剤を含有していてもよい。上記硬化助剤としては、例えば、硬化剤、光反応開始剤(光ラジカル発生剤、光酸発生剤、光塩基発生剤)等の重合開始剤を挙げることができる。これらの硬化助剤は、種類を問わず、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記硬化性化合物としてエポキシ化合物が用いられる場合における硬化助剤としては、例えば、アミン系硬化剤、酸又は酸無水物系硬化剤、塩基性活性水素化合物、イミダゾール類、ポリメルカプタン系硬化剤、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート系硬化剤、ルイス酸等の硬化剤を用いることができる。
上記アミン系硬化剤としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、1,3,6−トリスアミノメチルヘキサン等のポリアミン;トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリエーテルジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン等のポリメチレンジアミン;メンセンジアミン(MDA)、イソフォロンジアミン(IPDA)、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、3,9
−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、三井化学(株)製のNBDAに代表されるノルボルナン骨格のジアミン等の環状脂肪族ポリアミン;メタキシリレンジアミン(MXDA)等の芳香環を含む脂肪族ポリアミン;メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチルジフェニルメタン等の芳香族ポリアミン、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
更に、他のアミン系硬化剤として、例えば、ポリアミンにアルデヒド及び/又はフェノールを反応させることにより得られるマンニッヒ変性ジアミン;アミンアダクト(ポリアミンエポキシ樹脂アダクト)、ポリアミン−エチレンオキシドアダクト、ポリアミン−プロピレンオキシドアダクト、シアノエチル化ポリアミン、脂肪族ポリアミンとケトンとの反応物であるケチミン;テトラメチルグアニジン、トリエタノールアミン、ピペリジン、ピリジン、ベンジルジメチルアミン、ピコリン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルヘキシルアミン、ジメチルアミノフェノール、ジメチルアミノ−p−クレゾール、N,N’−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザジシクロ[2.2.2]オクタン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の第二級アミン類又は第三級アミン類;ダイマー酸とジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミンとを反応させてなる液体ポリアミド等が挙げられる。
上記酸又は酸無水物系硬化剤としては、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸等のポリカルボン酸;無水フタル酸、無水トリメリット酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンドロトリメリテート)、無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物のような芳香族酸無水物;無水マレイン酸、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、アルケニル無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水メチルハイミック酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物等の環状脂肪族酸無水物;ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ドデセニル無水コハク酸、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物等の脂肪族酸無水物;クロレンド酸無水物、テトラブロム無水フタル酸、無水ヘット酸等のハロゲン化酸無水物等が挙げられる。
上記塩基性活性水素化合物としては、例えば、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド等が挙げられる。
上記イミダゾール類としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾリウムイソシアヌレート、2,4−ジアミノ−6−[2−メチルイミダゾリン−(1)]−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2−エチル−4−メチルイミダゾリン−(1)]−エチル−S−トリアジン等が挙げられる。
上記ポリメルカプタン系硬化剤としては、例えば、2,2’−ビスメルカプトエチルエーテルの部分エポキシ付加物;ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘキサチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレートのようなチオグリコール酸のエステル;末端にメルカプト基を有するポリスルフィドゴムのようなメルカプト基を含む化合物等が挙げられる。
上記イソシアネート系硬化剤としては、例えば、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;イソシアネート基を、フェノール、アルコール、カプロラクタム等のブロック化剤と反応させてマスクしてなるブロックイソシアネート化合物等が挙げられる。
上記ルイス酸としては、ジアリルヨードニウム塩、トリアリルスルホニウム塩等が挙げられる。
また、この際における硬化助剤としては、オニウム塩化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、スルホンイミド化合物、ジスルホニルジアゾメタン化合物、ジスルホニルメタン化合物、オキシムスルホネート化合物、ヒドラジンスルホネート化合物、トリアジン化合物、ニトロベンジル化合物のほか、有機ハロゲン化物類、ジスルホン等の光酸発生剤を用いることができる。
更に、この際における硬化助剤としては、(Z)−{[ビス(ジメチルアミノ)メチリデン]アミノ}−N−シクロヘキシル(シクロヘキシルアミノ)メタンイミニウム テトラキス(3−フルオロフェニル)ボラート((Z)−{[Bis(dimethylamino)methylidene]amino}−N−cyclohexyl(cyclohexylamino)methaniminium tetrakis(3−fluorophenyl)borate)、1,2−ジシクロヘキシル−4,4,5,5−テトラメチルビグアニジウム n−ブチルトリフェニルボラート、9−アントリルメチル N,N−ジエチルカルバメート(9−anthrylmethyl N,N−diethylcarbamate)、(E)−1−[3−(2−ヒドロキシフェニル)−2−プロペノイル]ピペリジン((E)−1−[3−(2−hydroxyphenyl)−2−propenoyl]piperidine)、1−(アントラキノン−2−イル)エチル イミダゾールカルボキシラート(1−(anthraquinon−2−yl)ethyl imidazolecarboxylate)、2−ニトロフェニルメチル 4−メタクリロイルオキシピペリジン−1−カルボキシラート、1,2−ジイソプロピル−3−〔ビス(ジメチルアミノ)メチレン〕グアニジウム 2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオナート等の光塩基発生剤等を用いることができる。
上記硬化性化合物としてシアネートエステル化合物が用いられる場合における硬化助剤としては、オクタン酸、ステアリン酸、アセチルアセトネート、ナフテン酸、サリチル酸等の3級アミン、2−エチル−4−イミダゾール、4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類等の硬化剤を用いることができる。更には、上記エポキシ化合物が用いられる場合における硬化助剤として説明した、光酸発生剤や光塩基発生剤を用いることができる。
上記硬化性化合物としてビニル化合物が用いられる場合における硬化助剤としては、カチオン又はラジカル活性種を、熱又は光により発生する化合物等が挙げられる。カチオン重合剤としては、ジアリルヨードニウム塩、トリアリルスルホニウム塩等が挙げられる。ラジカル重合剤としては、ベンゾインアセトフェノン等のベンゾイン系化合物、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン系化合物、2,4−ジエチルチオキサントン等の硫黄系化合物、アゾビスイソビチルニトリル等のアゾ化合物、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンやジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられる。また、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、4−メトキシアセトフェン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、p−ジアセチルベンゼン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4
’−ベンジルベンゾフェノン、3−クロロキサントーン、3,9−ジクロロキサントーン、3−クロロ−8−ノニルキサントーン、ベンゾイル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシケタール、2−クロロチオキサントーン等の光ラジカル発生剤等を用いることができる。
上記硬化性化合物としてシリコーン化合物が用いられる場合における硬化助剤としては、安息香酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒;パラジウム系触媒;ロジウム系触媒;などの白金族金属触媒等の硬化剤を用いることができる。また、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、p−ジアセチルベンゼン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、4−クロロ−4’−ベンジルベンゾフェノン、3−クロロキサントーン、3,9−ジクロロキサントーン、3−クロロ−8−ノニルキサントーン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシケタール、2−クロロチオキサントーン、ジエチルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルフォリノ−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1−オン、1−{4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル}−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、シクロヘキシルフェニルケトン等の光反応開始剤等を用いることができる。
上記硬化性化合物としてオキサジン化合物が用いられる場合における硬化助剤としては、フェノール及びその誘導体、シアン酸エステル、p−トルエンスルホン酸等のブレンステッド酸、アジピン酸や、p−トルエンスルホン酸エステルや、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、メラミン等の芳香族アミン化合物、2−エチル−4−メチルイミダゾール等の塩基、三フッ化ホウ素、ルイス酸等の硬化剤を用いることができる。更には、上記エポキシ化合物が用いられる場合における硬化助剤として説明した、光酸発生剤や光塩基発生剤を用いることができる。
上記硬化性化合物としてマレイミド化合物が用いられる場合における硬化助剤としては、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾリン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,4−ジメチルピペラジン、キノリン、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、DBU等の塩基やトリフェニルホスフィン等のリン化合物、アゾビスイソブチルニトリル等の硬化剤を用いることができる。更には、上記エポキシ化合物が用いられる場合における硬化助剤として説明した、光酸発生剤や光塩基発生剤を用いることができる。
上記硬化性化合物としてアリル化合物が用いられる場合における硬化助剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル等のアゾ開始剤、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル等の過酸化物、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1,1’−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン系、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾイン系、ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、
アシルフォスフィンオキサイド等のリン系、チオキサントン系の硫黄系、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン等のベンジル系、パーオキシカーボネイト系等の硬化剤を用いることができる。更には、上記エポキシ化合物が用いられる場合における硬化助剤として説明した、光酸発生剤や光塩基発生剤を用いることができる。
(硬化助剤の含有割合)
本発明における樹脂組成物が硬化助剤を含有する場合、この硬化助剤の含有割合は、本組成物が良好に硬化して、硬化物が得られる範囲であればよい。例えば、[A]重合体及び硬化性化合物の合計100質量部に対して、5質量部以上20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは5質量部以上10質量部以下である。
[溶剤]
本発明における組成物は、必要に応じて溶剤を含有していてもよい。上記溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系溶剤;γ−ブチロラクトン、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、ベンゾフェノン等のケトン系溶剤、1,2−メトキシエタン、ジフェニルエーテル等のエーテル系溶剤、1−メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等の多官能性溶剤;スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、ジフェニルスルホン等のスルホン系溶剤の他、塩化メチレン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジアルコキシベンゼン(アルコキシ基の炭素数;1〜4)、トリアルコキシベンゼン(アルコキシ基の炭素数;1〜4)等が挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(溶剤の含有割合)
上記溶剤の含有割合は特に限定されないが、例えば、[A]重合体及び硬化性化合物の合計100質量部に対して、0質量部以上2000質量部以下(特に、0質量部以上200質量部以下)とすることができ、また、有機溶媒に対する溶解性が高い場合には50質量部以上100,000質量部以下とすることができる。
[他の成分]
本発明における組成物は、更に、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を含有していてもよい。上記他の成分としては、例えば、酸化防止剤、強化剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、着色剤、離型剤、発泡剤、[A]重合体以外の他の重合体等が挙げられる。尚、これらの他の成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、硫黄系化合物、金属系化合物、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。これらのなかでも、ヒンダードフェノール系化合物が好ましい。
ヒンダードフェノール系化合物としては、分子量500以上のものが好ましい。分子量500以上のヒンダードフェノール系化合物としては、例えば、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−3,5−トリアジン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,3−トリス[2−メチル−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−5−t−ブチルフェニル]ブタン、2,2−チオ−
ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等が挙げられる。
本発明における組成物が酸化防止剤を含有する場合、この酸化防止剤の含有割合は、例えば、[A]重合体及び硬化性化合物の合計100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下とすることができる。
[組成物の調製方法]
本発明における組成物の調製方法は特に限定されないが、例えば、[A]重合体、硬化性化合物、及び必要に応じて他の添加剤(例えば、硬化助剤、溶剤、酸化防止剤等の他の成分)を均一に混合することによって調製することができる。また、組成物の形態は、液状、ペースト状等とすることができる。特に、本発明における[A]重合体は溶解性に優れるものであるため、液状の硬化性化合物に溶解させることで、無溶剤系の組成物とすることができる。
<硬化物>
本発明の硬化物は、上述の本発明の組成物を硬化させて得られるものである。上記硬化物の形状は特に限定されず、用途や目的等に応じて適宜の形状とすることができる。また、組成物の硬化方法は特に限定されないが、通常、加熱により熱硬化させる方法や、光の照射により光硬化させる方法が用いられる。尚、これらの方法は併用することもできる。熱硬化させる場合、温度は50〜200℃であることが好ましく、より好ましくは100〜200℃、更に好ましくは100〜180℃である。加熱時間は0.5〜36時間であることが好ましく、より好ましくは0.5〜24時間である。また、光硬化させる場合、照射する光としては、例えば、可視光、紫外線、近赤外線、遠赤外線、電子線等が挙げられる。
<積層体>
本発明の積層体は、基板と、この基板上に上述の本発明の組成物を用いて形成された硬化物層と、を備えるものである。上記基板としては、接着性や実用上の観点から、無機基板、金属基板、樹脂基板等が挙げられる。上記無機基板としては、例えば、シリコン、シリコンカーバイト、窒化シリコン、アルミナ、ガラス、窒化ガリウム等を成分として有する無機基板が挙げられる。上記金属基板としては、例えば、銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム等を成分とする金属基板が挙げられる。上記樹脂基板としては、例えば、液晶ポリマー、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド(ナイロン)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリオレフィン等の基板が挙げられる。
上記硬化物層は、基板上に、組成物を塗布した後、熱硬化又は光硬化させることにより得ることができる。硬化物層の厚みは特に限定されないが、例えば、10μm〜3mmとすることができる。
<用途>
本発明の組成物、その硬化物及び積層体は、航空機産業や自動車産業等の輸送機産業で用いられる構造用材料分野、電気電子産業で用いられる電気電子材料分野等に好適に用い
ることができる。具体的には、例えば、電気電子部品の封止材、層間絶縁膜、応力緩和用プライマー;積層板(プリント配線基板、層間接着剤、ソルダレジスト、ソルダペースト);接着剤(導電性接着剤、熱伝導性接着剤/接着シート);各種構造材料に用いる構造接着剤・プリプレグ;各種コーティング、光学部品(波長板、位相差板等の光学フィルム、円錐レンズ、球面レンズ、円筒レンズ等の各種特殊レンズ、レンズアレイ等)、プリント配線板用絶縁性フィルム等に好適に利用することができる。特に、“Demonstration of
20μm Pitch Micro-vias by Excimer Laser Ablation in Ultra-thin Dry-film Polymer
Dielectrics for Multi-layer RDL on Glass Interposers”、 “2015 IEEE Electronic
Components & Technology Conference, 922-927”、 “Demonstration of enhanced system-level reliability of ultra-thin BGA packages with circumferential polymer collars and doped solder alloys”、 “2016 IEEE 66th Electronic Components and Technology Conference, 1377-1385”、 “Modeling, Design, Fabrication and Demonstration of RF Front-End 3D IPAC Module with Ultra-thin Glass Substrates for LTE Applications”、 “2016 IEEE 66th Electronic Components and Technology Conference, 1297-1302”、 “Design, Demonstration and Characterization of Ultra-thin Low-warpage Glass BGA Packages for Smart Mobile Application Processor”、 “2016 IEEE 66th Electronic Components and Technology Conference, 1465-1470”、 “Design and Demonstration of Ultra-thin Glass 3D IPD Diplexers”, 2016 IEEE 66th Electronic Components and Technology Conference, 2348-2352”等に記載されている実装構造の材料として好適に使用することができる。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。尚、下記において、部及び%は、特に断らない限り、質量基準である。
[1]重合体の合成
(合成例1)
攪拌装置を備えた四つ口セパラブルフラスコに、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)(18.6g、60.0mmol)、4,6−ジクロロピリミジン(Pym)(8.9g、60.0mmol)、及び炭酸カリウム(11.1g、81.0mmol)を量り入れ、N−メチル−2−ピロリドン(64g)を加え、窒素雰囲気下、130℃で6時間反応させた。反応終了後、N−メチル−2−ピロリドン(368g)を加えて、濾過により塩を除去した後、この溶液をメタノール(9.1kg)に投入した。析出した固体を濾別し、少量のメタノールで洗浄し、再度濾別して回収した後、真空乾燥機を用いて減圧下120℃で12時間乾燥し、下記式(P−1)で表される構造単位を有する重合体P−1を得た(収量;20.5g、収率;90%、重量平均分子量(Mw);32,000、ガラス転移温度(Tg);206℃)。
(合成例2)
攪拌装置を備えた四つ口セパラブルフラスコに、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)(10.7g、34.5mmol)、3,6−ジクロロピリダジン(Pyd)(5.1g、34.2mmol)、及び炭酸カリウム(6.5g、47.0mmol)を量り入れ、N−メチル−2−ピロリドン(36g)を加え、窒素雰囲気下、145℃で9時間反応させた。反応終了後、N−メチル−2−ピロリドン(150g)を加えて希釈し、濾過により塩を除去した後、この溶液をメタノール(3kg)に投入した。析出した固体を濾別し、少量のメタノールで洗浄し、再度濾別して回収した後、合成例1と同じ条件で乾燥し、下記式(P−2)で表される構造単位を有する重合体P−2を得た(収量7.6g、収率48%、重量平均分子量(Mw);30,000、ガラス転移温度(Tg);232℃)。
(合成例3)
攪拌装置を備えた四つ口セパラブルフラスコに、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(BisTMC)(18.6g、60.0mmol)、4,6−ジクロロ−2−フェニルピリミジン(PhPym)(13.7g、61.1mmol)、及び炭酸カリウム(11.4g、82.5mmol)を量り入れ、N−メチル−2−ピロリドン(75g)を加え、窒素雰囲気下、130℃で6時間反応させた。反応終了後、N−メチル−2−ピロリドン(368g)を加えて、濾過により塩を除去した後、この溶液をメタノール(9.1kg)に投入した。析出した固体を濾別し、少量のメタノールで洗浄し、再度濾別して回収した後、合成例1と同じ条件で乾燥し、下記式(P−3)で表される構造単位を有する重合体P−3を得た(収量20.5g、収率90%、重量平均分子量(Mw);187,000、ガラス転移温度(Tg);223℃)。
尚、各重合体の重量平均分子量(Mw)及びガラス転移温度(Tg)の測定条件は以下の通りである。
<重量平均分子量(Mw)>
重量平均分子量(Mw)は、GPC装置(東ソー社の「HLC−8320型」)を使用し、下記条件で測定した。
カラム:東ソー社の「TSKgel α―M」と、東ソー社の「TSKgel guardcоlumn α」とを連結したもの
展開溶媒:N−メチル−2−ピロリドン
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/分
試料濃度:0.75質量%
試料注入量:50μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
<ガラス転移温度(Tg)>
ガラス転移温度(Tg)は、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツル社製、「DMS7100」)を用いて、周波数1Hz、昇温速度10℃/分で測定し、損失正接が極大となる温度とした。尚、損失正接は貯蔵弾性率を損失弾性率で割った値とした。
[2]組成物の調製
(実施例1)
重合体P−1を10部、及び硬化性化合物[液状のエポキシ化合物(ビスフェノールA型エポキシ、「JER828」、三菱化学社製、エポキシ当量;190meq/g)]90部を、130℃で30分間、スターラーにて撹拌した。その後、硬化助剤[熱硬化剤(1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、「BMI 12」、三菱化学社製)]5部を混合し、組成物を調製した。
(実施例2)
重合体P−1を20部、及び硬化性化合物[液状のエポキシ化合物(ビスフェノールA型エポキシ、「JER828」、三菱化学社製、エポキシ当量;190meq/g)]80部に変更した以外は実施例1と同様にして、組成物を調製した。
(実施例3)
重合体P−1を40部、及び硬化性化合物[液状のエポキシ化合物(ビスフェノールA型エポキシ、「JER828」、三菱化学社製、エポキシ当量;190meq/g)]60部に変更した以外は実施例1と同様にして、組成物を調製した。
(実施例4)
重合体P−2を10部、及び硬化性化合物[液状のエポキシ化合物(ビスフェノールA型エポキシ、「JER828」、三菱化学社製、エポキシ当量;190meq/g)]90部に変更した以外は実施例1と同様にして、組成物を調製した。
(実施例5)
重合体P−3を10部、及び硬化性化合物[液状のエポキシ化合物(ビスフェノールA型エポキシ、「JER828」、三菱化学社製、エポキシ当量;190meq/g)]90部に変更した以外は実施例1と同様にして、組成物を調製した。
(実施例6)
重合体P−1を80部、硬化性化合物[液状のエポキシ化合物(ナフタレン型エポキシ、「HP−4032D」、DIC社製、エポキシ当量;141meq/g)]20部、硬化助剤[熱硬化剤(1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、「BMI 12」、三菱化学社製)]5部、及び溶剤(シクロペンタノン)160部を混合し、組成物を調製した。
(実施例7)
重合体P−1を50部、硬化性化合物[液状のシアネートエステル化合物(2,2’−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、東京化成工業社製)]50部、硬化助剤[熱硬化剤(1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、「BMI 12」、三菱化学社製)]5部、及び溶剤(シクロペンタノン)160部を混合し、組成物を調製した。
(比較例1)
ポリフェニレンエーテル(PPE)(ガラス転移温度(Tg);215℃)10部、及び硬化性化合物[液状のエポキシ化合物(ビスフェノールA型エポキシ、「JER828」、三菱化学社製、エポキシ当量;190meq/g)]90部を、130℃で30分間、スターラーにて撹拌した。その後、硬化助剤[熱硬化剤(1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、「BMI 12」、三菱化学社製)]5部を混合し、組成物を調製した。
(比較例2)
硬化性化合物[液状のエポキシ化合物(ビスフェノールA型エポキシ、「JER828」、三菱化学社製、エポキシ当量;190meq/g)]100部、及び硬化助剤[熱硬化剤(1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、「BMI 12」、三菱化学社製)]5部を混合し、組成物を調製した。
(比較例3)
比較例2で調製した組成物へ、さらに溶剤(シクロペンタノン)160部を混合し、組成物を調製した。
(比較例4)
硬化性化合物[液状のシアネートエステル化合物(2,2’−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、東京化成工業社製)]100部、硬化助剤[熱硬化剤(1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、「BMI 12」、三菱化学社製)]5部、及び溶剤(シクロペンタノン)160部を混合し、組成物を調製した。
(比較例5)
重合体P−1を100部、及び溶剤(シクロペンタノン)160部を混合することにより、組成物を調製した。
[3]組成物及びそれを用いて得られる硬化物の評価及びその結果
(3−1)組成物の特性(溶解性、溶解性変化)
<溶解性>
実施例1〜5及び比較例1〜2の各組成物について、各組成物の調製時における、重合体及び液状の硬化性化合物を130℃で30分間撹拌した際の、硬化性化合物への重合体の溶解性を目視にて評価した。この際、凝集体が確認されず、均一溶液であった場合を「○」、凝集体が残っていた場合を「△」、全く溶けなかった場合を「×」とした。そ
の結果を表1に示す。
<溶解性変化>
実施例6〜7及び比較例3〜5の各組成物について、以下のようにして、硬化前後における有機溶媒への溶解性の変化を評価した。
(硬化前の溶解性)
各組成物1部と、有機溶媒[N−メチル−2−ピロリドン(NMP)]100部と、を混合し、NMPに対する溶解性を評価した。この際、凝集体が確認されず、均一溶液であった場合を「溶解」とし、凝集体が残っていた場合を「不溶」とした。
(硬化後の溶解性)
各組成物を、バーコータにより離形フィルム上に塗布し、70℃で15分間加熱した。次いで、120℃で15分間加熱した後、更に180℃で2時間加熱することにより、評価用の硬化物(2cm×3cm×厚み50μm)を作成した。その後、得られた硬化物を、NMP(50ml)中に、室温で24時間浸漬した後、乾燥させた。そして、式[(浸漬乾燥後の硬化物の重量)/(浸漬前の硬化物の重量)×100]により残存率(%)を
算出し、この値が90%以上の場合を「不溶」とし、90%未満の場合を「溶解」とした。
(評価基準)
硬化前の組成物のNMPに対する溶解性が「溶解」であり、且つ硬化後の硬化物のNMPに対する溶解性が「不溶」である場合を「○」とした。一方、硬化前の組成物のNMPに対する溶解性が「溶解」であり、且つ硬化後の硬化物のNMPに対する溶解性が「溶解」である場合を「×」とした。その結果を表2に示す。
(3−2)硬化物の特性[耐薬品性、靱性(引張強度、引張伸び、せん断強度)、耐熱性(ガラス転移温度)]
実施例1〜7及び比較例1〜5の各組成物を用いて得られる硬化物について、下記のように各特性を評価又は分析した。
<耐薬品性>
各組成物を、離型処理されたウエハで挟み、180℃で2時間加熱することにより、評価用の硬化物(2cm×3cm×厚み50μm)を作成した。その後、得られた硬化物を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)50ml中に、室温で24時間浸漬した後、乾燥させた。そして、式[(浸漬乾燥後の硬化物の重量)/(浸漬前の硬化物の重量)×100]により残存率(%)を算出し、この値が90%以上の場合を「○」とし、90%未満の場合を「×」とした。その結果を表1〜表2に示す。
<引張強度及び引張伸び>
各組成物を、離型処理されたウエハで挟み、180℃で2時間加熱することにより、評価用の硬化物(5mm×1cm×厚み50μm)を作成した。その後、得られた硬化物を、インストロン社製「Instron5567」を用い、5mm/分で引張り、破断した際の最大応力を引張強度、最大伸びを引張伸びとした。その結果を表1〜表2に示す。
<せん断強度>
各組成物を、リン酸にて陽極酸化処理されたアルミニウム板(25mm×100mm×厚み2mm)で挟み、180℃で2時間加熱することにより、剪断強度評価用の試験片を作成した。作成した試験片を、JIS K6850に準拠し、インストロン社製「Instron5567」を用い、引張速度1mm/分にて試験片を引張ったときの最大荷重をせん断強度とした。結果を表1〜表2に示す。尚、実施例1〜5及び比較例1〜2においては、樹脂組成物における硬化助剤を、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール5部から、ジシアンジアミド[熱硬化剤、「DICY 7」(50%粒径が3μmの微粒子品)、三菱化学社製]5部に変更して、この評価を行った。
<ガラス転移温度>
各組成物を、離型処理されたウエハで挟み、180℃で2時間加熱することにより、評価用の硬化物(3mm×1cm×厚み50μm)を作成した。その後、得られた硬化物を、DMS試験器(型番「EXSTAR4000」、セイコーインスツル社製)にて、23℃〜350℃の温度範囲内で、1Hzの測定条件で測定し、Tanδをガラス転移温度とした。その結果を表1〜表2に示す。
(3−3)評価結果
表1における溶解性の評価結果によれば、[A]重合体(上記[1]で得られた重合体(P−1)〜(P−3))を含む実施例1〜5の組成物は均一溶液となっており、評価は「○」であった。一方、[A]重合体に代えて、既知の樹脂(ポリフェニレンエーテル)を含む比較例1の組成物は均一溶液とならず、凝集体が残っており、評価は「△」であった。このことから、実施例1〜5に含まれている[A]重合体は、既知の樹脂(ポリフェニレンエーテル)と比べて、エポキシ化合物等の熱硬化性化合物への溶解性に優れていることが確認できた。また、上述のように、実施例1〜5の組成物は、硬化性化合物への溶解性に優れているため、非溶剤系の組成物として利用することができる。
また、表2における溶解性変化の評価結果によれば、[A]重合体(P−1)を含み、硬化性化合物を含まない比較例5の硬化物は、N−メチルピロリドンをはじめとする溶剤に溶解し、評価は「×」であった。これに対し、[A]重合体(P−1)と硬化性化合物
(エポキシ化合物、又はシアネートエステル化合物)とを含む実施例6〜7の各硬化物は、N−メチルピロリドンをはじめとする溶剤に溶解し難く、評価は「○」であった。このことから、上記熱硬化性化合物を配合することで、組成物の硬化後の溶解性が変化し、耐薬品性が向上することが確認できた。
更に、表1〜表2における、引張強度、引張伸び及びせん断強度の評価結果によれば、[A]重合体を含む実施例1〜7の硬化物では、既知の樹脂(ポリフェニレンエーテル)を含む比較例1の硬化物よりも、強度が向上されることが確認できた。更には、硬化物のガラス転移度の結果によれば、実施例1〜7の組成物の硬化物では、比較例1の組成物の硬化物よりも、耐熱性が向上されることが確認できた。