JP6921643B2 - 中間転写体、画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
上述のような市場の要求に応える上で、インクジェット印刷方式が好適な技術として注目されている。すなわちインクジェット印刷方式では、版を使用しないため小ロットにおいても製版コストが割高にならない。さらにリードタイムが不要で即時に所望の印刷物を得ることができる。このような理由からインクジェット印刷方式は、多品種小ロット用に好適な印刷方式として期待されている。
転写方式の画像形成方法は、通常、以下の工程を有する。
(1)中間画像形成工程:
インクジェットデバイスを用いて色材成分を含有するインクを中間転写体に付与して中間画像を形成する。
(2)転写工程:
中間画像が形成された中間転写体を、記録媒体に接触して、中間画像を記録媒体へ転写する。転写方式による画像形成方法においては、中間転写体に形成された画像の記録媒体への良好な転写性が得られることが重要である。
特許文献1には、中間転写体から記録媒体への中間画像の転写性を向上させるために、インクにMFT(最低造膜温度)が50℃以上である樹脂エマルジョンを添加し、中間転写体を樹脂エマルジョンの最低造膜温度以上に加熱して転写する方法が開示されている。特許文献1には、金属素管の周囲にシリコーンゴムからなる弾性層を積層した構成を有する中間転写体が開示されている。
特許文献2には、弾性層と圧縮層の間に織布や樹脂フィルムなどから成る補強層を設けた中間転写体が開示されている。
このように、引用文献1に記載される転写方式による画像形成方法では、特別に制御されたMFTを有する樹脂エマルジョンをインクに添加することが重要である。しかしながら、印刷物の多品品種小ロット生産に対応するという観点からは、種々の組成のインクが利用できることが好ましい。
また、特許文献2の中間転写体の構成では、画質の更なる向上を図る場合に要求される圧縮弾性率を満たすことができない場合がある。
前記中間転写体は、前記画像形成面を有する表面層、弾性層、及び断熱層をこの順に隣接して有し、これらの層が以下の式1〜4の関係を満たすことを特徴とする。
式1:(C1+C2)×Δt≦Q
(式1において、C1は前記表面層の1m2当たりの熱容量であり、C2は前記弾性層の1m2当たりの熱容量であり、Δtはt2−t1であり、かつ、Δt>0℃であり、Qは温度t1での加熱により前記表面層の表面の1m2当たりに付与される熱量である。ただし、Q≦50000Jである。)
式2:100MPa≦E1≦1000MPa
(式2において、E1は前記表面層の圧縮弾性率である。)
式3:0.5MPa≦E2≦50MPa
(式3において、E2は前記弾性層の圧縮弾性率である。)
式4:λ3≦0.13W/m・K≦λ1≦λ2
(式4において、λ1は前記表面層の熱伝導率、λ2は前記弾性層の熱伝導率、λ3は前記断熱層の熱伝導率である。)
また、本発明にかかる中間転写体は、中間転写体の画像形成面にインクを付与して温度t1の中間画像を形成する工程と、前記中間画像の温度を前記温度t1から温度t2になるように温度制御を行う工程と、前記温度t2の中間画像を記録媒体に転写する工程と、を有する画像形成方法に用いられる中間転写体であって、
前記中間転写体は、前記画像形成面を有する表面層、弾性層、及び断熱層をこの順に隣接して有し、これらの層が前記式1〜4の関係を満たすことを特徴とする。
本発明にかかる画像形成装置は、
中間転写体と、
中間転写体の画像形成面にインクを付与して温度t1の中間画像を形成する画像形成ユニットと、
前記中間画像の温度を前記温度t1から温度t2に制御する温度制御ユニット
前記温度t2の中間画像を前記中間転写体から記録媒体に転写する転写ユニットと、
を有する画像形成装置であって、
前記中間転写体は、前記画像形成面を有する表面層、弾性層、及び断熱層をこの順に隣接して有し、これらの層が前記式1〜4の関係を満たすことを特徴とする。
本発明にかかる中間転写体が用いられる転写方式の画像形成方法は、中間転写体の画像形成面にインクを付与して温度t1(以下、中間画像形成温度という)の中間画像を形成する工程と、前記中間画像の温度を前記温度t1から温度t2になるように温度制御を行う工程と、前記温度t2(以下、転写温度という)の中間画像を記録媒体に転写する工程を有する。中間画像形成温度t1と転写温度t2は、Δt=t2−t1(但し、0℃<Δt)の関係を満たすように温度制御が行われる。
式1:(C1+C2)×Δt≦Q
(式1において、C1は表面層の1m2当たりの熱容量であり、C2は弾性層の1m2当たりの熱容量であり、Δtはt2−t1であり、かつ、Δt>0℃であり、Qは温度t1での加熱により表面層の表面の1m2当たりに付与される熱量である。ただし、Q≦50000Jである。)
式2:100MPa≦E1≦1000MPa
(式2において、E1は表面層の圧縮弾性率である。)
式3:0.5MPa≦E2≦50MPa
(式3において、E2は弾性層の圧縮弾性率である。)
式4:λ3≦0.13W/m・K≦λ1≦λ2
(式4において、λ1は表面層の熱伝導率、λ2は弾性層の熱伝導率、λ3は断熱層の熱伝導率である。)
本発明にかかる画像形成装置は、上記構成の中間転写体と、中間転写体の画像形成面にインクを付与して温度t1の中間画像を形成する画像形成ユニットと、前記中間画像の温度を前記温度t1から温度t2に制御する温度制御ユニットと、前記中間画像を前記中間転写体から記録媒体に転写する転写ユニットと、を有する。
転写温度t2(℃)は、中間転写体に形成された中間画像が記録媒体に接触して転写される際の温度である。すなわち、この転写温度t2は、中間転写体上に形成された中間画像が記録媒体に接触して転写される際の中間画像の温度である。なお、転写される際の中間画像は中間転写体上に保持されていることから、この転写温度t2は、中間転写体上に形成された中間画像が記録媒体に接触して転写される際の中間転写体の表面温度とみなすこともできる。
Δtは、t1及びt2をいずれか一方または両方を調整することによって温度制御することができる。Δtの温度制御の手段は特に制限されてないが、例えば、温度制御ユニットにより中間転写体の表面層を加熱してその温度を調整することにより行うことができる。Δtの温度制御に用いられる加熱装置としては、発熱する加熱装置や赤外線照射を行う加熱装置等、工業用途で一般的に適用される加熱装置を使用することができる。また、必要に応じて冷却装置を併用して温度制御を行うこともできる。
本発明にかかる中間転写体、画像形成方法、及び画像形成装置が上記の構成を満たすことによって、種々の組成のインクに対する汎用性を有し、中間画像の画質を維持しつつ転写性を良好とすることができる。
<中間転写体>
中間転写体は、表面層、弾性層及び断熱層を有する。また、中間転写体は、必要に応じて支持部材により支持された状態で転写方式の画像形成に用いられてもよい。
中間転写体の大きさ及び形状は、目的の印刷画像の形状やサイズに合わせて自由に選択することができる。中間転写体の全体的な形状としては、シート形状、ローラ形状、ドラム形状、ベルト形状、無端ウェブ形状等が挙げられる。
中間転写体の有する表面層の開放された表面(すなわち、弾性層と接する側の面の裏面)の少なくとも一部は画像形成面として利用される。表面層を構成する材料としては、樹脂、セラミック等の各種材料を適宜用いることができる。これらの1種または2種以上の組合せを用いることができる。
樹脂の具体的としては、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂等を挙げることができる。セラミックとしては、例えば、金属アルコキシドの加水分解、重縮合により得られる化合物、一般的にはゾルゲル法により得られる無機化合物を挙げることができる。金属アルコキシドとしては、一般式:M(OR)n(Mはケイ素、チタン、ジルコニウムまたはアルミニウム等の金属であり、Rはアルキル基を表す)で表される化合物を挙げることができる。
中でも、加水分解性有機ケイ素化合物の縮合物が、画像品質及び転写性の面から好ましい。更に、カチオン重合やラジカル重合等による重合構造を有する加水分解性有機ケイ素化合物の縮合物が、耐久性の面からより好ましい。
表面層が、加水分解性有機ケイ素化合物に由来するシロキサン結合を含む分子構造を有していることにより、中間画像を構成するインクにより付与された成分が表面層の有する画像形成面に効果的に広がり、かつ、中間画像の中間転写体からの剥離が容易となり、転写性が向上するものと推測される。
加水分解性有機ケイ素化合物の具体例としては、以下が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、2−(エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、これらの化合物のエポキシ基をオキセタニル基に置換した化合物、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン等である。
表面層は、表面層の全質量を基準として、これら樹脂やセラミックを、合計で10質量%以上100質量%以下含有していることが好ましい。また、30質量%以上含有していることがより好ましく、50質量%以上含有していることがさらに好ましい。表面層は前記範囲内において、各種フィラーや添加剤を含有することができる。
表面層の圧縮弾性率E1は100MPa以上1000MPa以下とされる。100MPa以上とすることで、中間転写体の耐磨耗性を高めることができる。また、1000MPa以下とすることで、中間転写体全体のコシが強くなりすぎることを抑制することができる。
表面層の厚さは、機械的強度や変形時の内部応力を抑えて表面層としての機能をより効果的に発揮させるという観点から、0.01μm以上10.0μm以下であることが好ましい。表面層の厚さの下限に関して、表面層の厚さは0.1μm以上であることが更に好ましい。表面層の厚さの上限は5.0μm以下であることが更に好ましく、2.0μm以下であることが特に好ましい。
表面層の下部に、表面層との界面を介して表面層と直接接触する弾性層を設けることによって、表面層の記録媒体への追従性を向上させることができる。弾性層を構成する材料としては、樹脂、エラストマー、ゴム、セラミック等の各種材料を適宜用いることができる。これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
加工特性等の点で、各種エラストマー及び各種ゴムが好ましい。ゴムの具体例としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)等が挙げられる。これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴムは、温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも好ましい。従って、表面層は、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム及びエチレン・プロピレン・ジエンゴムの少なくとも1種を含むことが好ましく、シリコーンゴム、フッ素ゴム及びエチレン・プロピレン・ジエンゴムの少なくとも1種を含むことがより好ましい。
弾性層は、弾性層の全質量を基準として、これら樹脂やセラミック、ゴムを、合計で10質量%以上100質量%以下含有していることが好ましい。また、30質量%以上含有していることがより好ましく、50質量%以上含有していることがさらに好ましい。弾性層は前記範囲内において、各種フィラーや添加剤を含有することができる。
弾性層の圧縮弾性率E2は0.5MPa以上50MPaとされる。また、弾性層の圧縮弾性率E2は3.0MPa以上25.0MPa以下とすることがより好ましく、5.0MPa以上25.0MPa以下とすることが特に好ましい。0.5MPa以上とすることで、弾性層の大きな変形を抑制し、弾性層の変形に表面層を追従させやすくなる。50.0MPa以下とすることで、特に高速時において局所的に表面層にかかる応力を、弾性層で十分に緩和することができ、耐クラック性及び転写性も高めることができる。
弾性層の厚さは、上記の弾性層の機能をより効果的に発揮させるという観点から、0.05mm以上、0.5mm以下であることが好ましい。弾性層の厚さの上限は、0.2mm以下であることが更に好ましい。
弾性層の下部に、弾性層との界面を介して弾性層と直接接触する断熱層を設けることにより、中間転写体の温度制御性を向上させることができる。中間転写体が支持部材によって支持される場合、断熱層が支持部材に直接接触した状態で中間転写体が支持される、または、断熱層と支持部材との間にさらに中間転写体がさらに層を有し、その層を介して中間転写体が支持される。
断熱層を構成する材料としては、例えばアクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム等が挙げられる。これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。断熱層は、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム及びエチレン・プロピレン・ジエンゴムの少なくとも1種を含むことが好ましく、シリコーンゴム、フッ素ゴム及びエチレン・プロピレン・ジエンゴムの少なくとも1種を含むことがより好ましい。
断熱層をゴム材料により形成する場合は、断熱層を多孔質ゴム材料により形成することが好ましい。多孔質ゴム材料からなる断熱層は、未加硫ゴム材料に、加硫剤、加硫促進剤、消泡剤、多孔質形成用の充填剤等を配合して層状とし、加硫によりゴム層とする際に、ゴム層を多孔質化する方法によって形成することができる。多孔質構造形成用の材料としては、ゴム層中に配合することでゴム層の多孔質化が可能である中空粒子や、ゴム層からの溶出によりゴム層の多孔質化が可能である食塩等を用いることができる。
断熱層を圧縮弾性を有する圧縮層として形成することにより、中間転写体表面の変形を断熱層においても吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速印刷時においても良好な転写性を維持することができる。特に、断熱層の形成に多孔質ゴム材料を用いた場合、様々な圧力変動に対して気泡部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、より安定した転写性、耐久性を得ることができる。多孔質ゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものがある。本発明ではいずれの構造であってもよく、これらの構造を併用してもよい。
断熱層は、断熱層の全質量を基準として、これらゴムを合計で10質量%以上100質量%以下含有していることが好ましい。また、30質量%以上含有していることがより好ましく、50質量%以上含有していることがさらに好ましい。断熱層は前記範囲内において、各種フィラーや添加剤を含有することができる。
断熱層の圧縮弾性率E3は、圧縮層としての機能をより効果的に発揮させるという観点から、0.5MPa以上10MPa以下とすることが好ましい。例えば、断熱層の圧縮弾性率E3を0.5MPa以上とすることによって、中間転写体の復元性や、転写に必要な圧力の付与効率を向上させることができる。また、断熱層の圧縮弾性率E3を10MPa以下とすることによって、転写時に中間転写体と記録媒体の間に異物が挟まったり、記録媒体の重送等が起こった際における中間転写体の損傷をより効果的に防止することができる。
断熱層の厚さは、転写時における歪を抑え、更に圧縮層として用いる場合における圧縮機能をより効果的に発揮させるという観点から、0.1mm以上1.5mm以下であることが好ましい。断熱層の厚さの下限に関して、断熱層の厚さは0.2mm以上であることがより好ましく、0.5mm以上であることが更に好ましい。断熱層の厚さの上限は、1.00mm以下であることがより好ましい。
支持部材は、中間転写体に対して搬送性や機械的な耐久性を付与するために必要に応じて用いられる。従って、支持部材は、その搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。
支持部材を構成する材料としては、金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いるのも好ましい。適用する記録装置の形態または記録媒体への転写態様、中間転写体の形状等に合わせ、例えばローラ状、ドラム状、ベルト状等の形状の支持部材を用いることができる。ドラム状の支持部材やベルト状の無端ウェブ状の支持部材により支持される中間転写体を用いることによって、同一の中間転写体を連続して繰り返し使用することが可能となり、生産性の点で好ましい。
本発明にかかる中間転写体を構成する各層は、Δt(=t2−t1)(但し、0℃<Δt)での温度制御を行う転写方式の画像形成方法用として、先に挙げた式1〜4の関係を満たす。
中間画像形成温度t1及び転写温度t2は、上述の通り、例えば、中間転写体の表面層の温度(すなわち、中間転写体の表面温度)を制御することにより調整することができる。中間転写体の表面層の温度の制御には、温度制御ユニットから付与される熱量と、表面層の熱容量及び弾性層の熱容量が大きくかかわる。そこで、本発明に係る中間転写体では、表面層の1m2当たりの熱容量C1、弾性層の1m2当たりの熱容量C2、温度制御ユニットから付与される1m2当たり熱量Qとしたとき、式1:(C1+C2)×Δt≦Qの関係を満たすように、表面層及び弾性層が設けられる。これらの層が式1の要件を満たすことによって中間転写体の表面層の温度の制御性の向上を図ることができる。なお、C1及びC2は、これらの層を形成する材料の選択と層厚の調整等によって設定することができる。
本発明においては、Qを50000J以下(Q≦50000J)として温度制御を行う。Qが、50000Jよりも熱量が大きい場合、消費電力量が大きくなるため、コストが高く実用性が低くなってしまう。また、Qが50000Jよりも大きい場合には、装置全体の温度上昇も顕著となる。
中間画像形成温度t1は装置内温度を過度に上昇させないという観点から70℃以下(t1≦70℃)であることが好ましい。中間画像形成用としてインクジェット装置を用いる場合には、インクジェット記録ヘッド内の温度上昇による目詰まりの発生をより効果的に防止することができる。一方で、中間画像形成速度を向上する観点から、t1は30℃以上(30℃≦t1)、さらには40℃以上であることが好ましい。
転写温度t2は、より良好な転写性を得るという観点から、100℃以上(t2≧100℃)であることが好ましい。一方で、中間転写体の構成材料の耐熱性の観点から、t2は250℃以下(t2≦250℃)、さらには200℃以下であることが好ましい。
更に、中間画像の記録媒体への転写性と、画像品質の維持をより効果的に両立させるという観点から、Δtは50℃以上(50℃≦Δt)であることが好ましい。
本発明にかかる中間転写体は、表面層、弾性層及び断熱層をこの順に隣接して有することから、(C1+C2)は断熱層よりも画像形成面側に設置する層の熱容量と同意となる。
また、本発明では、表面層の熱伝導率λ1、弾性層の熱伝導率λ2、断熱層の熱伝導率λ3が式4:λ3≦0.13W/m・K≦λ1≦λ2を満たすように設定される。λ3が0.13W/m・K以下であることにより、t2をより効率的に大きくすることが可能となる。λ3が0.13W/m・Kより大きい場合、t2が十分に大きくならず、温度制御ユニットより付与する熱量Qをさらに大きくする必要が生じてしまう。
また、0.13W/m・K≦λ1≦λ2であることにより、t2をより効率的に大きくすることが可能となる。λ1及びλ2が共に、0.13W/m・Kより小さい場合、t2が十分に大きくならないため、温度制御ユニットより付与する熱量Qをさらに大きくする必要が生じてしまう。
また、λ1≦λ2を満たすことにより、表面層の表面温度を均一化することが可能となり、局所的な温度低下を防ぎ、転写性および画質の維持の安定性を向上させることが可能となる。λ1及びλ2の関係は、かかる安定性を更に向上させる上で、λ1×2≦λ2であることが好ましい。
本発明にかかる画像形成方法は、中間転写体の画像形成面に中間画像形成温度t1で中間画像を形成する工程と、中間画像を転写温度t2で記録媒体に転写する工程を有する。本発明にかかる画像形成装置は少なくとも以下の各部を有する。
(a)中間転写体。
(b)中間転写体の画像形成面にインクを付与して温度t1の中間画像を形成する画像形成ユニット。
(c)中間画像の温度を前記温度t1から温度t2に制御する温度制御ユニット。
(d)前記温度t2の中間画像を前記中間転写体から記録媒体に転写する転写ユニット。
中間画像を形成する画像形成ユニットは、画像形成用のインクを中間転写体に付与するインク付与部を有する。また、画像形成ユニットは、さらにインクを高粘度化する成分を含有する反応液を中間転写体に付与する液体付与部(反応液付与部ともいう)を有することができる。液体付与部からの反応液とインク付与部からのインクを少なくとも用いて中間画像を形成することで、中間画像を形成するインクの高粘度化が可能となる。また、インク付与部としてはインクジェット記録装置を用いることができる。
<反応液>
反応液は、インクにより形成される画像を処理する処理液とも呼ばれるものであり、インク高粘度化成分を含有する。ここで、「インクの高粘度化」とは、以下の(i)及び(ii)の場合の少なくとも一方を含む現象である。
(i)インクを構成している組成物の一部である色材や樹脂等がインク高粘度化成分と接触することによって化学的に反応し、あるいは物理的に吸着し、これによってインク全体の粘度の上昇が認められる場合。
(ii)色材などインクを構成する成分の一部が凝集する事により局所的に粘度の上昇を生じる場合。
インク高粘度化成分は、中間転写体上に付与されたインクの少なくとも一部の流動性を低下させて、画像形成時のブリーディング、ビーディングを抑制する効果がある。
インク高粘度化成分の反応液中の濃度は、インク高粘度化成分の種類、中間転写体への付与条件、インクの種類等に応じて選択すればよい。
インク高粘度化成分としては、多価の金属イオン、有機酸、カチオンポリマー、多孔質性微粒子など、旧来から公知の物を特に制限無く用いることができる。これらの中でも特に多価の金属イオン、及び有機酸が好適である。また、複数の種類のインク高粘度化成分を含有させることも好適である。なお、反応液中のインク高粘度化成分の含有量は、反応液全質量に対して5質量%以上であることが好ましい。
具体的にインク高粘度化成分として使用できる金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+、及びZn2+等の二価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+、及びAl3+等の三価の金属イオンが挙げられる。
また、具体的にインク高粘度化成分として使用できる有機酸としては、例えば、シュウ酸、ポリアクリル酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、レブリン酸、コハク酸、グルタル酸、グルタミン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、オキシコハク酸、ジオキシコハク酸等が挙げられる。
反応液には、1種の高粘度化成分を、あるいは2種以上の高粘度化成分を組み合わせて含有させることができる。
反応液は、適量の水や有機溶剤を含有していてもよい。この場合に用いる水はイオン交換等により脱イオン化した水であることが好ましい。また、反応液に用いることのできる有機溶剤としては特に限定されず、公知の有機溶剤を何れも用いることができる。
反応液には、各種樹脂を添加することもできる。例えば、反応液に適当な樹脂を添加することで転写時の、中間画像の記録媒体への接着性を良好なものとしたり、最終画像の機械強度を高めたりすることが可能であるため好適である。この樹脂に用いる材料としてはインク高粘度化成分と共存できるものであれば特に制限は無い。反応液に含有させる樹脂としては、後述するインク用の樹脂から選択して用いることもできる。
また、反応液中に界面活性剤や粘度調整剤を加えて、その表面張力や粘度を適宜、調整して用いることができる。この際に用いる材料としては、インク高粘度化成分と共存できるものであれば特に制限は無い。具体的に用いられる界面活性剤としてはアセチレノールE100(商品名、川研ファインケミカル社製)等が挙げられる。反応液の表面エネルギーは50mN/m以下に調整されることが好ましく、さらには20mN/m〜40mN/mに調整されることがより好ましい。
また、本発明に用いることのできる反応液は、フッ素系界面活性剤を含有することが好ましい。ここで、フッ素系界面活性剤は分子構造中に少なくとも疎水性のフルオロカーボン鎖と親水性の分子鎖(親水性部)を有する化合物のことである。疎水性のフルオロカーボン鎖を有することにより、前述のように優れた表面張力低下能を発現する。
この中でも特に疎水部にフルオロアルキル鎖、親水性部としてエチレンオキサイド鎖を有しているノニオン性界面活性剤が好適に用いられる。疎水部にフルオロアルキル鎖、親水性部としてエチレンオキサイド鎖を有することにより、溶剤や反応剤との相溶性が高いため、乾燥等により水分量が低下した組成においても優れた溶解性を示すため、反応液層の均一性、及び表面張力低下能を保つことができる。
また、ノニオン性の界面活性剤であることにより、インク組成物との反応後においても構造変化することなくその特性を維持することができるため、反応液層の均一性、及び表面張力低下能を保つことができる。
本件で好適に用いられる界面活性剤としては、例えば、FSO100、FSN100、FS3100(商品名、Du Pont社製)、F444、F477、F553(商品名、DIC社製)等が挙げられる。反応液の表面エネルギーは20mN/m以下に調整されることが好ましい。
フッ素系界面活性剤は反応液全質量に対して1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。フッ素系界面活性剤の含有量が少ない場合、表面張力低下能が低減するため、中間転写体の表面の単位面積当たりの表面積の平均比率Rを大きくすることが好ましい。例えば、フッ素系界面活性剤が5重量%の場合、Rは1.5以上にすることが好ましい。また、フッ素系界面活性剤が1重量%の場合、Rは1.7以上にすることが好ましい。
<反応液の塗布>
中間転写体の表面へ反応液を塗布する方法は、従来知られている各種手法を適宜用いることができる。具体例としてはダイコーティング、ブレードコーティング、グラビアローラを用いる手法、オフセットローラを用いる手法、スプレーコーティング等が挙げられる。また、インクジェットデバイスを用いて付与する方法も好適である。さらにいくつかの方法を複数、組み合わせることも極めて好適である。
以下では、インクに用いることのできる各成分について説明する。
(1)色材
インクは、色材として顔料及び染料の少なくとも一方を含有することができる。染料及び顔料としては、特に限定されず、インクの色材として利用し得るものから選択し、その必要量を用いることができる。
印刷物の耐久性や画像品位等の観点から、色材は顔料であることが好ましく、色材として少なくとも顔料を用いることが好ましい。
インク中の色材の含有量としては、インク全質量を基準として、0.5質量%以上15.0質量%以下が好ましく、更には1.0質量%以上10.0質量%以下とするのがより好ましい。
インク中での顔料の分散方法としては以下の方法を挙げることができる。
(I)分散剤として樹脂を用いる樹脂分散タイプの顔料(樹脂分散剤を使用した樹脂分散顔料、顔料粒子の表面を樹脂で被覆したマイクロカプセル顔料、顔料粒子の表面に樹脂を含む有機基が化学的に結合した樹脂結合顔料)を用いる方法。
(II)顔料粒子の表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散顔料)を用いる方法。
(2)顔料
顔料としては特に限定されず、公知の無機顔料・有機顔料を用いることができる。具体的にはC.I.(カラーインデックス)ナンバーであらわされる顔料を用いることができる。また、黒色顔料としては、カーボンブラックを用いることも好ましい。インク中の顔料の含有量は、インク全質量に対し0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
(3)顔料分散剤
顔料を分散させる分散剤としては、従来公知のインクジェットに用いられるものであれば、いずれも使用することができる。これらの中でも、その分子構造中に親水性部と疎水性部とを併せ持つ水溶性の分散剤を用いることが好ましい。特に、少なくとも親水性のモノマーと疎水性のモノマーとを含んで共重合させた樹脂からなる顔料分散剤が好ましく用いられる。ここで用いられる各モノマーについては特に制限はなく、旧来公知の物が好適に用いられる。具体的には、疎水性モノマーとしてはスチレン、スチレン誘導体、アルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。分散剤の酸価は50mgKOH/g以上、550mgKOH/g以下であることが好ましい。また、分散剤の重量平均分子量は1000以上、50000以下であることが好ましい。なお、インク中の顔料と分散剤の質量比は1:0.1〜1:3の範囲であることが好ましい。
また、他のインクの態様として、分散剤を用いず、顔料自体を表面改質して分散可能としたいわゆる自己分散性顔料を用いることも好適である。
(4)樹脂微粒子
インクは、色材を有しない各種微粒子を含有することができる。これらの中でも、樹脂微粒子は画像品位や定着性の向上に効果がある場合があり、好適である。樹脂微粒子の材質は特に限定されず、公知の樹脂を適宜、用いることができる。具体的には、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ尿素、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、及びその塩、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル、ポリジエン等の単独重合物、もしくはこれらを複数、組み合わせた共重合物が挙げられる。樹脂の質量平均分子量は、1,000以上、2,000,000以下の範囲が好適である。また、インク中における樹脂微粒子の含量は、インク全質量に対して1質量%以上、50質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以上、40質量%以下である。
さらに、樹脂微粒子は、インク中に分散した樹脂微粒子分散体として用いることが好ましい。分散の手法については特に限定はないが、解離性基を有するモノマーを単独重合もしくは複数種、共重合させた樹脂を用いて分散させたいわゆる自己分散型樹脂微粒子分散体が好適である。ここで解離性基としてはカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられ、この解離性基を有するモノマーとしてはアクリル酸やメタクリル酸等が挙げられる。また、乳化剤により樹脂微粒子を分散させたいわゆる乳化分散型樹脂微粒子分散体も、同様に好適に用いることができる。ここで言う乳化剤としては、低分子量、高分子量に関わらず公知の界面活性剤が好適に用いられる。界面活性剤はノニオン性か、もしくは樹脂微粒子と同じ電荷を持つ物が好適である。樹脂微粒子分散体は、10nm以上、1000nm以下の分散粒径をもつことが望ましく、さらに100nm以上500nm以下の分散粒径が望ましい。
また、樹脂微粒子分散体を作製する際に、安定化のために各種添加剤を加えておくことも好ましい。この添加剤としては例えば、n−ヘキサデカン、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、クロロベンゼン、ドデシルメルカプタン、オリーブ油、青色染料(ブルーイング剤:Blue70)、ポリメチルメタクリレート等が好適である。
(5)界面活性剤
インクは、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤としては、具体的には、アセチレノ−ルEH(商品名、川研ファインケミカル社製)等が挙げられる。インク中の界面活性剤の含量は、インク全質量に対して0.01質量%以上、5.0質量%以下であることが好ましい。
(6)水、及び水溶性有機溶剤
インクの液媒体としては、水、あるいは水と水溶性有機溶剤の混合物を含む水性液媒体を用いることができる。水性液媒体に色材を添加することで水性インクを得ることができる。
水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、インク中の水の含量は、インク全質量に対して30質量%以上、97質量%以下であることが好ましい。また、インク中に用いる水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、公知の有機溶剤をいずれも用いることができる。具体的には、グリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、2−ピロリドン等が挙げられる。また、インク中の水溶性有機溶剤の含量は、インク全質量に対して3質量%以上、70質量%以下であることが好ましい。
(7)その他添加剤
インクは、上記成分以外にも必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、水溶性樹脂、及びその中和剤、粘度調整剤など種々の添加剤を含有してもよい。
インクを中間転写体の画像形成面に付与して中間画像を形成することができる。更に、必要に応じて反応液を付与して中間画像を形成するインクを高粘度化して、中間画像を中間転写体上に効果的に固定することができる。反応液の付与は、インクの付与前及びインクの付与後の少なくとも一方において行うことができる。インクと反応液は、これらの少なくとも一部が重なり合うように中間転写体に付与される。反応液によるインク高粘度化をより効果的に行うには、反応液が塗布された中間転写体の画像形成面に、インクを付与することが好ましい。
本明細書では、中間転写体の表面上でのインクにより、あるいはインクと必要に応じて用いられる反応液により形成されてから、最終的に記録媒体に転写されるまでの画像を便宜上、「中間画像」と呼ぶ。
インクの付与には例えば、インクジェット法によりインクの付与を行うインクジェットデバイスを使用することができる。本発明では中間画像を形成するためにインクジェットデバイスを用いる場合であっても、画像形成装置内の昇温を抑制することができるため、インクジェットデバイスが有するインクジェットヘッドの吐出性能に影響を及ぼしにくい。インクジェットデバイスの形態としては例えば、下記の形態等を挙げることができる。
・電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態。
・電気−機械変換体によってインクを吐出する形態。
・静電気を利用してインクを吐出する形態。
上記以外にも、インクジェット液体吐出技術で提案される各種インクジェットデバイスをいずれも用いることができる。これらの中でも特に高速で高密度の印刷の観点からは電気−熱変換体を利用した形態が好適に用いられる。
また、インクジェットデバイス全体の形態としては特に制限はない。例えば、下記のインクジェットヘッドを用いることができる。
・中間転写体の進行方向と垂直にヘッドを走査しながら記録を行う、いわゆるシャトル形態のインクジェットヘッド。
・中間転写体の進行方向に対し略垂直(すなわち、中間転写体がドラム形状の場合は軸方向に略平行)にインク吐出口をライン状に配列した、いわゆるラインヘッド形態のインクジェットヘッド。
中間転写体上に形成された中間画像から液体分を減少させる工程を設けることも好ましい。中間画像の液体分が過剰であると転写工程において余剰液体がはみ出したりあふれ出したりして、画像乱れや転写不良の原因となりうる。中間画像からの液体分除去の手法としては旧来用いられている各種手法が何れも好適に適用できる。例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法、吸収体を接触させる方法、またこれらを組み合わせる手法がいずれも好適に用いられる。また、自然乾燥により行うことも可能である。
<中間画像の転写>
中間画像の形成後、中間転写体を記録媒体に圧着して、中間画像を記録媒体に転写することで、最終的な画像を得る。なお、本明細書において「記録媒体」とは、一般的な印刷で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック、フィルムその他の印刷媒体、記録メディアも含めて言う。
中間転写体と記録媒体の圧着の手法については特に制限はないが、加圧ローラを用いて中間転写体と記録媒体の両側から加圧すると、効率良く画像が転写形成されるため好適である。また、多段階に加圧することも転写不良の軽減に効果が有る場合があり好適である。
<クリーニング>
以上のように、本発明の画像形成方法の一例では、反応液の塗布、インクの付与による中間画像の形成、水分除去、及び中間画像の転写によって、画像形成は完了する。しかし、中間転写体は、生産性の観点から繰り返し連続的に用いることがあり、その際には次の画像形成を行う前に表面をクリーニングすることが好ましい。中間転写体のクリーニング手段としては、旧来用いられている各種手法を何れも好適に適用でき、例えば、下記の方法を何れも好適に使用できる。
・中間転写体の表面上にシャワー状に洗浄液を当てる方法。
・濡らしたモルトンローラを、中間転写体の表面に当接させて払拭する方法。
・中間転写体の表面を洗浄液面に接触させる方法。
・中間転写体の表面をワイパーブレードで掻き取る方法。
・中間転写体の表面に、各種エネルギーを付与する方法。
また、これらの方法を複数、組み合わせる手法も好適である。
<定着>
なお、本発明に係る画像形成方法は、転写後に、画像が記録された記録媒体を定着部材によって、記録媒体と画像の定着性を高めるようにしてもよい。定着部材としては特に制限がなく、公知の加熱ローラ等を用いることができる。また、記録媒体に定着部材を接触させずに記録媒体を加熱することで定着性を向上させてもよい。無論、加熱ローラを用いてこれらを同時に行ってもよい。
本発明にかかる画像形成装置の一実施形態を図1に示す。
図1に示す装置においては、本発明の中間転写体11は、支持部材12上に設置されている。中間転写体11の支持部材12への設置方法としては、特に制限はなく、例えば、各種接着剤や両面テープを用いる方法が利用できる。あるいは、中間転写体に、金属、セラミック、樹脂等を材質とした設置用部材を取り付けることで、設置用部材を用いて中間転写体を支持部材上に固定・保持してもよい。
図1に示す装置においては、中間転写体11を有する支持部材12の回転に同期して、中間転写体11の周囲に配置された各装置が作動するように構成されている。
図1に示す装置における画像形成ユニットは、中間転写体11の外周面の画像形成領域に対して、反応液を付与する反応液付与部としてのローラ式塗布装置14及びインク付与部としてのインクジェットデバイス15を有する。
このローラ式塗布装置14では、反応液用の容器に充填された反応液が、二つのローラの回転により、これらのローラの外周面上を移動する。そして、中間転写体11の外周面に当接したローラの回転により、このローラから中間転写体11の外周面上に反応液が付与される。
反応液は、中間転写体のインクが供給される領域と少なくとも一部で重なるように中間転写体に付与される。
中間転写体11の回転方向に対してローラ式塗布装置14の下流側には、中間転写体11の外周面に対向するようにインクジェットデバイス15が配置されている。インクジェットデバイス15は、インクジェット記録装置を有するインク付与部を構成し、インクジェットデバイス15から色材を含む画像形成用のインクが中間転写体11の外周面の画像形成面に付与される。
インクジェットデバイス15としては、電気熱変換素子を用いオンデマンド方式にてインク吐出を行うタイプのデバイスを用いる。これらのインクジェットデバイスとしては、中間転写体11を支持する支持部材12の回転軸13に略平行となるライン状に配列させたラインヘッド形態のインクジェットヘッドを用いることができる。このように、中間転写体11の外周面上には、反応液、インクが順次付与されて中間画像(記録媒体に最終的に形成される画像に対してミラー反転している画像)が形成される。
図1に示す装置は、温度制御ユニットとして加熱ヒータ16を有する。この加熱ヒータ16により、後述する中間画像の転写時までに、中間転写体の温度を転写温度に上げることができる。この加熱ヒータ16としては、赤外線ヒータ等の外部ヒータを用いることができる。また、この温度制御ユニットとして、この加熱ヒータ16以外に、中間転写体11の支持部材12に内蔵される加熱ヒータ17や不図示の送風装置を用いることもできる。
更に、図1に示す装置は、中間転写体11の中間画像中の液体分を減少させる目的で、液体除去ユニットを有していてもよい。液除去ユニットは、加熱装置や送風装置等が挙げられる。また、上記の温度制御ユニットが、液除去ユニットとしての機能を有していてもよい。
中間転写体11の回転方向の更に下流側には、中間転写体11の外周面に対向する外周面を有する加圧ローラ19が配置されている。図1に示す装置における転写ユニットは、加圧ローラ19を有し、この加圧ローラが、支持部材12を支持する中間転写体11に対向している。そして、加圧ローラ19が中間転写体11を押圧することでニップ部が形成される。加圧ローラが転写ローラとして作動する。中間転写体11と加圧ローラ19によるニップ部に中間転写体11上の中間画像と記録媒体18を積層状態で挿入し、加圧ローラからの加圧によって中間画像を記録媒体18に接触させて記録媒体18に転写できるようになっている。
図1の装置では、中間転写体11と加圧ローラ19で、中間転写体11上の中間画像と記録媒体18を挟み込むように加圧することで、効率のよい画像の転写を実現している。すなわち、実際の転写工程では、中間転写体11上に形成された中間画像は、ニップ部に搬送された記録媒体18と接触する。そして、中間転写体11から剥離することで記録媒体18に転写される。
記録媒体18は印刷用紙であれば良く、例えば、コート紙、マット紙などであってもよい。また、記録媒体18は、規定の形状にカットされた枚葉シートの形態であっても、長尺、ロール状のシートの形態であってもよい。
中間画像の転写後の中間転写体11の表面は、クリーニング用のローラを有するクリーニングユニット20によってクリーニングされる。
中間転写体を構成する各層の物性は以下の方法により求めた。
(1)圧縮弾性率
圧縮弾性率は、各層の単一試料を作製し、その各層の単一試料を粘弾性スペクトロメータ(製品名:DMS6100、日立ハイテクサイエンス社製)を用い、JIS K 7181に従ってそれぞれ測定した。
(2)層厚
中間転写体を構成する各層の厚さは、中間転写体を任意の大きさで切り出し、その断面観察結果から測定することができる。偏りがないように選んだ任意の10点の厚さを電子顕微鏡(製品名:SU70、日立ハイテクノロジーズ社製)で測定し、これらを平均した値である。
(3)熱容量
各層の単一試料を10mg作製し、その各層の単一試料を、示差走査熱量測定計(DSC)(製品名:DSC6100、日立ハイテクサイエンス社製)を用い、JIS K 7123に従って、試料の比熱容量(J/g・K)を測定した。そして、(試料の比熱容量)×(試料の体積)×(試料の密度)を計算することによって、1m2当たりの熱容量を求めた。
(4)熱量
画像形成装置の温度制御ユニットである赤外線ヒータの消費電力、加熱時間、効率から算出された値である。具体的には、{(消費電力(W))×(加熱時間(秒))×(効率(%))}を計算することによって求めた。
(5)熱伝導率
各層の単一試料を作製し、JIS R 1611と同様の手法で測定した値である。
図1の画像形成装置を用いて記録媒体への画像形成を行った。中間転写体11の支持部材12としては、アルミニウム合金からなる円筒形のドラムを用いた。これにより、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、回転のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上する等、要求される特性を満たすことができる。
図1の装置で用いた中間転写体、反応液、インクは以下のようにして調製した。
(中間転写体)
(断熱層)
アクリロニトリル・ブタジエンゴムに公知の各種の配合剤を混合した材料を積層した後、加硫を行い、表1の物性を示す多孔質性の圧縮層を得た。
(弾性層)
圧縮層上に、シリコーンゴムを成形した。その弾性率等の弾性層の各物性は表1に記載の通りに調整した。
(表面層)
グリシドキシプロピルトリエトキシシランとメチルトリエトキシシランとを適宜混合し、塩酸を触媒として水溶媒中で24時間以上加熱還流を行い、有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物を含有する溶液を得た。この溶液を、メチルイソブチルケトンにより12質量%に希釈し、光カチオン重合開始剤SP150(商品名、ADEKA製)を固形分に対して5質量%添加して、コーティング液とした。コーティング液を、プラズマ処理を行った弾性層上に塗布して成膜を行った。次に、UVランプを照射して露光後、120℃にて2時間の加熱を行い、硬化させて表面層を形成して中間転写体を得た。
得られた中間転写体の各層の厚さ及び物性を表1に示す。なお、表面層の物性はグリシドキシプロピルトリエトキシシランとメチルトリエトキシシランの混合比率を変えたり、アルミナなどの熱伝導性フィラーを適宜添加することなどで調整した。
弾性層、断熱層も同様に、配合比率や添加剤によって物性を調整した。
反応液は下記の組成の成分を混合し、十分攪拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過することにより調整した。
・グルタル酸 55部
・8N水酸化カリウム水溶液 20部
・グリセリン 10部
・界面活性剤(商品名:アセチレノールE100、川研ファインケミカル社製) 1部
・イオン交換水 14部。
(インクの調製)
まず、以下の各手順により、各顔料分散液および樹脂微粒子分散体を作製した。
(1)ブラック顔料分散液の調製
カーボンブラック(商品名:モナク1100、キャボット社製)10部、顔料分散剤水溶液(スチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体<酸価150、重量平均分子量8,000>;固形分20%;水酸化カリウムにて中和済み)15部、純水75部を混合した。この混合液を、バッチ式縦型サンドミル(アイメックス社製)に仕込み、0.3mm径のジルコニアビーズを200部、充填し、水冷しつつ、5時間、分散処理を行った。遠心分離機でこの分散液の遠心分離を行い粗大粒子を除去して、顔料濃度が約10%のブラック顔料分散液を得た。
(2)シアン顔料分散液の調製
ブラック顔料分散液の調製の際に使用したカーボンブラック10部を、C.I.ピグメントブルー15:3、10部に代えた以外は、ブラック顔料分散液の調製の場合と同様の方法でシアン顔料分散液を調製した。
(3)マゼンタ顔料分散液の調製
ブラック顔料分散液の調製の際に使用したカーボンブラック10部を、C.I.ピグメントレッド122、10部に代えた以外は、ブラック顔料分散液の調製の場合と同様の方法でマゼンタ顔料分散液を調製した。
(4)イエロー顔料分散液の調製
ブラック顔料分散液の調製の際に使用したカーボンブラック10部を、C.I.ピグメントイエロー74、10部に代えた以外は、ブラック顔料分散液の調製の場合と同様の方法でイエロー顔料分散液を調製した。
(5)樹脂微粒子分散体の作製
ブチルメタクリレート18部、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)2部、n−ヘキサデカン2部を混合し、0.5時間、攪拌した。この混合物を、乳化剤であるスチレン−アクリル酸共重合体(酸価120mgKOH/g、重量平均分子量8,700)の6%水溶液、78部に滴下して、0.5時間、攪拌した。次に、超音波照射機で超音波を3時間、照射した。続いて、窒素雰囲気下で80℃、4時間、重合反応を行い、室温冷却後にろ過して濃度約20%の樹脂微粒子分散体を得た。該樹脂微粒子の質量平均分子量は約200,000、分散粒径は約250nmであった。
下記の組成からなるインクをブラック、シアン、マゼンタ、イエローそれぞれについて調製した。具体的には、下記成分を各々混合し、十分攪拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム社製)にて加圧濾過することにより調整した。
・上述の各色顔料分散液(濃度約10%) 20部
・上述の樹脂微粒子分散体(濃度約20%) 20部
・グリセリン 5部
・ジエチレングリコール 5部
・界面活性剤(商品名:アセチレノ−ルEH、川研ファインケミカル社製) 1部
・イオン交換水 45部。
図1に示すように、支持部材12の外周面に上述の方法で作製した中間転写体を設置した。次に、画像を形成する際にはまず、中間転写体11を図1の矢印の方向に回転させながら、ローラ式塗布装置14により、中間転写体の表面上に反応液を塗布する。次に、インクジェットデバイス15から、中間転写体の表面上にインクを吐出する。これにより、中間転写体11の表面上で、反応液とインクが反応して中間画像が形成される。中間画像の形成後、温度制御ユニットである加熱ヒータ16によって、中間画像の温度を制御した。この加熱ヒータ16としては、赤外線ヒータ(短波長赤外線ヒーター、ヘレウス社製)を用いた。また、この加熱ヒータ16は、中間画像中の水分を除去する液体除去ユニットとしての機能も併せ持っている。次に、中間転写体の回転に伴い、中間画像は、中間転写体と加圧ローラ19との間(ニップ部)を通る。この際、中間画像は記録媒体18に圧着され、中間転写体から記録媒体18に中間画像が転写される。記録媒体としては、マットコート紙(商品名:ニューVマット、三菱製紙社製)を用いた。また、記録媒体の搬送速度は0.5m/sとした。中間画像の転写後の中間転写体の表面は、クリーニングユニット20によってクリーニングされる。中間転写体の回転と共に上記の操作を繰り返すことにより、繰り返し画像記録が行われる。中間画像の吐出パターンは、記録デューティが100%、300%のベタ画像を1cm×1cmの範囲に形成した100%ベタパターン、300%ベタパターンを用いた。尚、上記画像記録装置では、解像度1,200dpi×1,200dpiで1/1,200インチ×1/1,200インチの単位領域に4ngのインク滴を1滴付与する条件を、記録デューティが100%であると定義される。
得られた画像について、転写性および画質を以下のように評価した。そのときの中間画像を形成する中間画像形成温度t1、記録媒体に転写する転写温度t2、および温度制御ユニットから付与される1m2当たりの熱量Qは表2に示す通りであった。なお、中間画像形成温度t1としては、中間転写体上にインクを付与して中間画像が形成される位置における中間転写体の表面温度を用いた。また、転写温度t2としては、中間転写体と転写ローラとが接触する直前の位置における中間転写体の表面温度を用いた。中間転写体の表面温度は赤外線温度計を用いて測定した。
(画像の転写性の評価)
転写工程後の中間転写体上の画像が形成されていた領域を光学顕微鏡にて観察し、中間画像の残存面積を算出し、[100−(中間画像の残存面積)/(中間画像の面積)]を算出することにより、記録媒体への転写率を測定した。この記録媒体への転写率によって、画像の転写性を評価した。なお、評価の基準は以下の通りである。
<転写性の評価基準>
AA:記録媒体への転写率が95%以上
A:記録媒体への転写率が90%以上95%未満
B:記録媒体への転写率が80%以上90%未満
C:記録媒体への転写率が80%未満
(画質の評価)
中間転写体に形成された中間画像と記録媒体上の最終画像を光学顕微鏡によりそれぞれ観察し、各画像の面積を算出し、その変化率である[(最終画像面積−中間画像面積)/(最終画像面積)]により以下の基準により評価した。
<画質評価の基準>
AA:変化率が0.5%未満
A:変化率が0.5%以上1.0%未満
B:変化率が1.0%以上3.0%未満
C:変化率が3.0%以上
得られた評価結果を表3に示す。
(実施例2〜18及び比較例1〜3)
表1に示す物性を有する中間転写体を用い、温度制御条件を表2に示す通り変更する以外は、実施例1と同様にして、画像形成を行い、得られた画像の転写性及び画質の評価を行った。得られた評価結果を表3に示す。
12・・・支持部材
13・・・支持部材12の回転軸
14・・・ローラ式塗布装置
15・・・インクジェットデバイス
16、17・・・加熱ヒータ
18・・・記録媒体
19・・・加圧ローラ
20・・・クリーニングユニット
Claims (20)
- 中間転写体の画像形成面にインクを付与して温度t1の中間画像を形成する工程と、前記中間画像の温度を前記温度t1から温度t2になるように温度制御を行う工程と、前記温度t2の中間画像を記録媒体に転写する工程と、を有する画像形成方法であって、
前記中間転写体は、前記画像形成面を有する表面層、弾性層、及び断熱層をこの順に隣接して有し、これらの層が以下の式1〜4の関係を満たすことを特徴とする画像形成方法。
式1:(C1+C2)×Δt≦Q
(式1において、C1は前記表面層の1m2当たりの熱容量であり、C2は前記弾性層の1m2当たりの熱容量であり、Δtはt2−t1であり、かつ、Δt>0℃であり、Qは温度t1での加熱により前記表面層の表面の1m2当たりに付与される熱量である。ただし、Q≦50000Jである。)
式2:100MPa≦E1≦1000MPa
(式2において、E1は前記表面層の圧縮弾性率である。)
式3:0.5MPa≦E2≦50MPa
(式3において、E2は前記弾性層の圧縮弾性率である。)
式4:λ3≦0.13W/m・K≦λ1≦λ2
(式4において、λ1は前記表面層の熱伝導率、λ2は前記弾性層の熱伝導率、λ3は前記断熱層の熱伝導率である。) - t1≦70℃、100℃≦t2である請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記表面層の厚さが、0.1μm以上、10.0μm以下である請求項1または2に記載の画像形成方法。
- 前記弾性層の厚さが、0.05mm以上、0.5mm以下である請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記断熱層の圧縮弾性率E3が、0.5MPa以上、10MPa以下である請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記断熱層の厚さが、0.5mm以上、1.5mm以下である請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記表面層の熱伝導率λ1、前記弾性層の熱伝導率λ2が、λ1×2≦λ2である請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記表面層が、有機ケイ素化合物の縮合物を含む請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記弾性層が、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム及びエチレン・プロピレン・ジエンゴムの少なくとも1種を含む請求項1から8のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記断熱層が、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム及びエチレン・プロピレン・ジエンゴムの少なくとも1種を含む請求項1から9のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記中間画像が、インクジェット法により形成される請求項1から10のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 30℃≦t1≦70℃である請求項1から11のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 100℃≦t2≦250℃である請求項1から12のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- Δt≧50℃である請求項1から13のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 中間転写体の画像形成面にインクを付与して温度t1の中間画像を形成する工程と、前記中間画像の温度を前記温度t1から温度t2になるように温度制御を行う工程と、前記温度t2の中間画像を記録媒体に転写する工程と、を有する画像形成方法に用いられる中間転写体であって、
前記中間転写体は、前記画像形成面を有する表面層、弾性層、及び断熱層をこの順に隣接して有し、これらの層が以下の式1〜4の関係を満たすことを特徴とする中間転写体。
式1:(C1+C2)×Δt≦Q
(式1において、C1は前記表面層の1m2当たりの熱容量であり、C2は前記弾性層の1m2当たりの熱容量であり、Δtはt2−t1であり、かつ、Δt>0℃であり、Qは温度t1での加熱により前記表面層の表面の1m2当たりに付与される熱量である。ただし、Q≦50000Jである。)
式2:100MPa≦E1≦1000MPa
(式2において、E1は前記表面層の圧縮弾性率である。)
式3:0.5MPa≦E2≦50MPa
(式3において、E2は前記弾性層の圧縮弾性率である。)
式4:λ3≦0.13W/m・K≦λ1≦λ2
(式4において、λ1は前記表面層の熱伝導率、λ2は前記弾性層の熱伝導率、λ3は前記断熱層の熱伝導率である。) - 中間転写体と、
中間転写体の画像形成面にインクを付与して温度t1の中間画像を形成する画像形成ユニットと、
前記中間画像の温度を前記温度t1から温度t2に制御する温度制御ユニットと、
温度t2の前記中間画像を前記中間転写体から記録媒体に転写する転写ユニットと、
を有する画像形成装置であって、
前記中間転写体は、前記画像形成面を有する表面層、弾性層、及び断熱層をこの順に隣接して有し、これらの層が以下の式1〜4の関係を満たすことを特徴とする画像形成装置。
式1:(C1+C2)×Δt≦Q
(式1において、C1は前記表面層の1m2当たりの熱容量であり、C2は前記弾性層の1m2当たりの熱容量であり、Δtはt2−t1であり、かつ、Δt>0℃であり、Qは温度t1での加熱により前記表面層の表面の1m2当たりに付与される熱量である。ただし、Q≦50000Jである。)
式2:100MPa≦E1≦1000MPa
(式2において、E1は前記表面層の圧縮弾性率である。)
式3:0.5MPa≦E2≦50MPa
(式3において、E2は前記弾性層の圧縮弾性率である。)
式4:λ3≦0.13W/m・K≦λ1≦λ2
(式4において、λ1は前記表面層の熱伝導率、λ2は前記弾性層の熱伝導率、λ3は前記断熱層の熱伝導率である。)。 - 前記画像形成ユニットが、前記中間画像を形成するためのインクを前記中間転写体に付与するインクジェット記録装置を有する請求項16に記載の画像形成装置。
- 30℃≦t1≦70℃である請求項16または17に記載の画像形成装置。
- 100℃≦t2≦250℃である請求項16から18のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- Δt≧50℃である請求項16から19のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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