JP2014240164A - 中間転写体および画像記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】転写性および耐久性に優れた中間転写体および画像記録方法を提供する。
【解決手段】中間転写体にインクを付与して中間画像を形成する工程と、中間画像を記録媒体に転写する工程とを有する画像記録方法に用いる中間転写体。中間転写体はその表面に、複数の互いに独立な微小片を有し、隣り合う微小片間の間隔Lが10μm以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、中間転写体および画像記録方法に関する。
近年、印刷物の多品種小ロット化や短納期化といった市場の要求に応える上で、インクジェット画像記録方式およびそれを用いた装置が好適な技術として注目されている。しかし、この方式においては、記録媒体とインクジェット記録ヘッドの接触による記録ヘッドの破損や、紙粉等による記録ヘッドの吐出安定性の低下等が発生する場合がある。
このような問題を回避するために、中間転写体上にインクジェット記録ヘッドにより中間画像を形成し、それを所望の記録媒体に転写し最終画像を形成する方式(転写型インクジェット印刷方式)が各種提案されている。特許文献1には、ドラム上に染料インクで描画を行い、それを記録媒体に転写するインクジェットプリンターが提案されている。
このような転写型インクジェット印刷方式の場合、中間転写体から記録媒体への画像転写効率の面から、中間転写体は表面自由エネルギーが低いことが望ましい。しかし、表面自由エネルギーの低い中間転写体上に中間画像を形成すると、インクの表面張力により隣接するインクドット同士が引き寄せあったり混ざりあう等の現象が起き、画像品位が劣化する場合がある。これらの現象は一般に、中間転写体の表面粗さが小さく平滑なほど発生しやすい。一方、中間転写体の表面粗さが大きい場合は、上記現象は起こりにくいが、中間画像を記録媒体に転写する際の転写効率が低くなる場合がある。
そこで、画像品位と転写性を両立させるために、特許文献2には、中間転写体の表面部材に凹凸を形成し、その表面粗さを最大高さRmaxが1μmから25μm以下とする技術が開示されている。また、特許文献3には、適性な範囲の表面粗度として、高さ1〜10μmの突起、すなわち凸部を500〜12000個/mm2を有する中間転写体が開示されている。
特開昭59−225958公報 特開平07−017030公報 特開2002−370442公報
しかしながら、特許文献2および特許文献3においては、凹凸が形成された表面層は同一材料からなる、一つの連続した層で構成されている。そのため、高速転写のように転写時の圧力付与時間が短い場合には、中間転写体の表面が十分に変形することができない場合があった。この場合、中間転写体の表面上に形成された中間画像と紙との接触面積が小さくなるため、中間画像の転写性が悪化する場合があった。この転写性の悪化は転写圧力を大きくすることで軽減することができる。しかし、その場合、中間転写体を繰り返し使用した際に、中間転写体の表面層の磨耗や部分的なクラック発生など、物理的劣化が生じやすくなっていた。特に、中間転写体の表面層が凹凸を有する場合は、凹凸が起点となって磨耗やクラックが発生しやすくなり、中間転写体の耐久性が低下するという問題があった。このように中間転写体の表面層の耐久性が低下すると、中間転写体の交換頻度が高くなるため、生産性、コストの点で好ましくない。
本発明者は先述した背景技術を深く鑑み、鋭意検討の結果、以下に示す構成が転写性および耐久性に優れた中間転写体および画像記録方法を提供できることを見出し、本発明を成すに至った。
即ち、一実施形態は、
中間転写体にインクを付与して中間画像を形成する工程と、前記中間画像を記録媒体に転写する工程と、を有する画像記録方法に用いる中間転写体であって、
前記中間転写体が、その表面に、複数の互いに独立な微小片を有し、
隣り合う微小片間の間隔Lが10μm以下であることを特徴とする中間転写体に関する。
また、他の実施形態は、
表面に複数の互いに独立な微小片を有する中間転写体にインクを付与して中間画像を形成する工程と、
前記中間画像を記録媒体に転写する工程と、
を有する画像記録方法であって、
隣り合う微小片間の間隔Lが10μm以下であることを特徴とする画像記録方法に関する。
転写性および耐久性に優れた中間転写体および画像記録方法を提供することができる。
本発明の中間転写体を備えた画像記録装置の一例を表す模式図である。 本発明の一例である中間転写体の一部を表す断面模式図である。 隣り合う微小片間の間隔Lを説明する図である。
本発明の画像記録方法の一例は、中間転写体にインクを付与して中間画像を形成する工程と、中間画像を記録媒体に転写する工程と、を有する。この中間転写体は、その表面に複数の互いに独立な微小片を有し、隣り合う微小片間の間隔Lは10μm以下となっている。
以下では、本発明の一実施形態に係る中間転写体および画像記録方法を説明する。なお、下記説明は一例であって、本発明は下記の中間転写体および画像記録方法に限定されるものではない。
<中間転写体>
中間転写体は、インクまたはインクと反応液を保持し、中間画像を形成する基材となるものである。中間転写体の形状としては、シート形状、ローラ形状、ドラム形状、ベルト形状、無端ウエブ形状等が挙げられる。中間転写体の形状としてドラム形状やベルト状の無端ウエブ構成を採用すると、同一の中間転写体を連続して繰り返し使用することが可能となり、生産性の面から極めて好適な構成となる。また、中間転写体のサイズは、目的の印刷画像サイズに合わせて自由に選択する事ができる。
中間転写体の構成としては、中間転写体をハンドリングし必要な力を伝達するための支持部材と、中間画像の形成と転写を行うための表層部材とからなる。表層部材は、中間画像の形成面たる表面層と、これを支持する基材層を有する。支持部材および基材層は単独の層からなっていても良く、複数の層からなっていても良い。表面層は、複数の互いに独立な微小片から構成されている。隣り合う微小片間の間隔Lが10μm以下となっている。これにより、転写性および耐久性に優れた中間転写体とすることができる。このように転写性および耐久性に優れた中間転写体となる理由としては、下記(1)〜(3)のように考えられる。
(1)中間画像の転写に関しては、転写時のニップ幅(中間転写体の搬送方向に関する、中間転写体と記録媒体が圧接している部分の幅)が大きい方が中間画像の転写性に優れる。この理由としては、同じ印刷速度でもニップ幅の大きい方が中間画像の圧接時間が長くなることが挙げられる。また他の理由としては、ニップ幅が大きい方が中間転写体の変形量が大きくなり、中間転写体上の中間画像と中間転写体との間に働く、搬送方向に平行にズレようとする応力(ズリ応力)が大きくなる。このため、中間画像が中間転写体から剥がれやすくなること等が考えられる。そして、高速転写の場合には、この影響がより大きくなるものと考えられる。ここで、本実施形態の中間転写体は、表面層が互いに独立な微小片から構成され、隣り合う微小片間の間隔Lが10μm以下となっている。このため、表面層が連続した層構造からなる場合と比べて、変形し易くなる。この結果、転写時(圧接時)のニップ幅が大きくなり、中間画像の転写性が向上するものと推測される。また、高速印字の場合には、この転写性の向上がより顕著になるものと考えられる。
(2)隣り合う微小片間の間隔Lを10μm以下とすることにより、中間画像の形成時に、微小片の間にインクが入り込みにくくなくなる。このため、隣り合う微小片間の間隔Lが10μmを超える場合と比べて、転写時に中間画像は中間転写体から記録媒体へ移行し易くなり、転写性に優れたものとすることができる。また、中間転写体の表面に付与したインクが流動せず、中間画像を良好に保持することを目的として、中間画像を形成する前に、中間転写体上にインクの流動性を低下させる反応液を付与する場合がある。インクとの反応により中間画像内でムラが発生しないように、反応液は中間転写体の表面に均一に付与することが望ましい。この時、隣り合う微小片間の間隔Lが10μmを超える場合には、隣り合う微小片間の隙間に反応液が溜まることで反応液量の面内ムラが生じる場合がある。このように反応液量の面内ムラが発生すると結果的に中間画像内でムラが発生し、中間画像の転写性を低下させることとなる。これに対して、本実施形態では、隣り合う微小片間の間隔Lを10μm以下とすることにより、反応液が隙間内に入り込みにくくなり、結果的に中間画像のムラの発生を抑制できる。この結果、中間画像の転写性を向上させることができる。
(3)また、上記のように隣り合う微小片間の間隔Lが10μm以下となっているため、微小片は変形しやすくなっている。このため、転写時に微小片にかかる圧力負荷も微小片の変形によって緩和されやすく、かつその緩和スピードも速くなるものと推測される。従って、転写時における中間転写体への圧力負荷や圧力ムラによって中間転写体の表面が劣化することを抑制でき、その耐久性が向上しているものと考えられる。
ここで、「隣り合う微小片間の間隔L」とは、各々の微小片の表面のエッジ(外周部)を構成する任意の点間の距離のうち、最も短い部分の長さを意味する。以下では、図3を参照して、間隔Lを説明する。図3に示すように、表面層1上に、3つの隣り合う微小片10a、10bおよび10cが形成されている場合、各微小片10a〜10cのエッジを構成する任意の点間の最短距離はA〜Cの3つ、存在する。これらの距離A〜Cの中で最も短い距離は、微小片10bと10c間の距離となる。従って、図3の場合には、「隣り合う微小片間の間隔L」は距離Cとなる。なお、図3では、微小片が3つの場合を例に挙げて説明したが、微小片の数が増えた場合にも、図3と同様の方法により、間隔Lを決定する。すなわち、表面層上に、4以上の微小片が形成され、隣り合う微小片間の最短距離がN個、存在する場合、このN個の最短距離の中で最も短い距離を、間隔Lとする。
好ましくは、表面層を構成する微小片のうち、95%以上の割合の微小片について、隣り合う微小片間の間隔Lが10μm以下となっていることが好ましい。隣り合う微小片間の間隔Lは、5μm以下であることが好ましい。間隔Lがこの範囲内にあることによって、隣り合う微小片間の隙間が小さくなるため、反応液やインクが、より微小片間の隙間に入りにくくなる。また、転写時(圧接時)における微小片の変形量が過度に大きくならないため、微小片の破損による中間転写体表面の劣化を効果的に抑制できる。
中間転写体の表面層を構成する各微小片の最大径Rは、8μm<R<15μmであることが好ましく、より好ましくは8μm<R<10μmである。ここで、「微小片の最大径」とは、各微小片において、その表面のエッジ(外周部)上の任意の2点間を結んだ距離のうち最も長い部分の長さを指す。最大径Rを上記範囲とすることで、低duty部においても常に良好な転写性を得ることができる。この理由を以下に述べる。
中間画像の形成時に例えば、インクジェット法により中間転写体上にインクを付与する場合、直径約30〜40μm程度のインクドットの集合によって中間画像が形成される。このインクジェット法では、ドット密度の違いで画像の濃淡を変化させる。このため、画像濃度が非常に低い部分では、ドット同士が重なることなく、単ドットとして存在している。そこで、これら一つ一つのドットを記録媒体に転写させるためには、各単ドットを記録媒体と圧着させることが必要となる。しかし、インクや転写圧等のプロセス条件によっては、各単ドットが記録媒体と十分に圧着されず、転写不良となる場合がある。特に高速印刷時を行った際には、この現象が起こりやすい傾向がある。そこで、中間転写体の表面層を構成する各微小片の最大径Rを各単ドットよりも十分に小さくする。これにより、一つ一つのドットに対しても記録媒体と十分に圧着することができ、本発明の効果が発揮されるため、低duty部においても常に良好な転写性を得ることができる。またさらに、各微小片の最大径Rが各単ドットに対して小さいほど、一つ一つのドット内での圧力の偏りが低減されるため、より良好な転写性を得ることができる。一方、最大径Rが8μm以下の場合には、微小片の機械的強度が小さくなり転写時の剥がれ等によって表面層が劣化する恐れがあるため、好ましくない。
なお、間隔Lおよび最大径Rは、走査型電子顕微鏡(S−4300、日立製作所社製)にて、サンプル上部から垂直に観察し、得られた画像に対して測長ソフトを用いることにより測定する。
微小片の表面粗さRaは、0.1μm以下であることが好ましく、転写性の観点から0.01μm以下であることがより好ましい。微小片の表面粗さRaが0.1μmよりも大きい場合、個々の微小片の表面における凹凸の影響で転写性や画像品位が低下する恐れがあるため、好ましくない。
微小片を構成する材料の圧縮弾性率Eは特に限定されないが、圧縮弾性率が0.3GPa以上、10GPa以下であることが好ましい。これにより、耐磨耗性が高く、耐久性に優れた微小片として、中間転写体の生産性、経済性を向上させることができる。ここで、一般的に、圧縮弾性率の大きな材料は耐磨耗性、耐圧縮ひずみ性に優れているため、中間転写体には、圧縮弾性率の大きな材料からなる単一層の表面層が用いられている。しかしながら、表面層の圧縮弾性率が大きいと、連続印字を行った場合、転写時(圧接時)に中間転写体表面に繰り返し負荷される応力によって表面層などにクラックが発生し、中間転写体の耐久性が低下する場合がある。これに対して、本実施形態では、中間転写体の表面が微小片を有するため、転写時(圧接時)には微小片の変形により負荷される応力を緩和して、クラックの発生を抑制できる。従って、本実施形態によれば、微小片を圧縮弾性率の大きな材料から形成した場合であっても、より耐久性に優れた中間転写体を提供することが可能となる。
なお、本実施形態では、中間転写体の表面層を構成する各微小片の厚さが、表面層の厚さとなる。表面層の厚さは特に限定されないが、通常、0.001μm以上、2.0μm以下、好ましくは0.05μm以上、1μm以下の範囲で設定するのが適当である。表面層の厚さが0.001μmより薄いと均一に表面を覆うことができず、ピンホール等が発生するおそれがあり、逆に厚さが2.0μmを超えると、転写性及び耐久性の向上等の本発明の効果が十分に得られないおそれがある。
表面層を構成する微小片に使用する材料としては、樹脂、セラミック、エラストマーなど各種材料を適宜、用いることができる。例えば、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素化合物、ポリシロキサン骨格を有する縮合物を含む化合物、あるいはウレタンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、シリコーンゴムなどが挙げられる。上記材料の中でも特に、微小片は、ポリシロキサン骨格を有する縮合物またはフッ素化合物から形成することが好ましい。これにより、中間転写体の表面エネルギーを低くして、中間画像の転写性を向上させることができる。また、耐久性の面から、カチオン重合やラジカル重合などの重合反応物を含む化合物が好ましい。また、中間画像の形成性と転写性を更に向上させて両立できるため、ポリシロキサン骨格を有する縮合物がより好ましい。
微小片から構成された表面層を形成する方法は特に限定されず、旧来から知られた方法を何れも好適に用いることができる。具体的には例えば、基材層上に表面層の材料からなる膜を形成した後、該膜に外力を与えて亀裂を発生させる方法、あるいは接着剤を塗布した基材層上に微小片を貼り付ける方法等が挙げられる。隣り合う微小片間の最大間隔Lの制御がし易く、基材層と微小片の密着性も向上するため、膜に亀裂を発生させる方法が好ましい。
基材層上への微小片用の膜の形成方法としては、基材層上に、バーコート法、スピンコート法、ダイコート法等を用いて液状材料を均一に塗布した後、乾燥、熱、光等により硬化させる方法などが好適に用いられる。
膜に亀裂を発生させる方法は、隣り合う微小片間の最大間隔L、微小片の最大径Rおよび表面粗さRaを、所望の範囲に制御可能な方法であれば、特に限定されない。このような方法としては例えば、膜にプレス機等を用いて転写圧よりも十分に大きい圧力負荷を与える方法、膜のサンドブラスト加工、エンボス加工、または光硬化樹脂を用いてフォトリソグラフィー加工する方法などが挙げられる。更に、これらの方法以外に、表面層を、基材層の構成材料とは異なる熱膨張率をもつ材料から構成し、基材層と表面層の材料からなる膜を加熱して両者の熱膨張率の差により該膜中に亀裂を生じさせる方法が挙げられる。これにより、膜形成過程における加熱と同時に亀裂を発生させることができるため、煩雑な工程を経ることなく、所望の微小片を有する中間転写体を得ることができる。基材層の構成材料と、表面層の構成材料の熱膨張率が異なる限り、その大小関係は特に限定されない。基材層の構成材料は、表面層の構成材料よりも高い熱膨張率を有しても良いし、または低い熱膨張率を有しても良い。少ない熱量で膜中に亀裂を形成できるため、基材層の構成材料と表面層の構成材料の熱膨張率の比は大きいことが好ましい。具体的には、表面層(微小片)の構成材料の線膨張係数α1と、基材層の構成材料の線膨張係数α2とが、
α2/α1>100、又はα1/α2>100
を満たすことがより好ましい。
中間転写体の支持部材は、その搬送精度や耐久性の観点から、ある程度の構造強度が求められる。支持部材の材質としては金属、セラミック、樹脂などが好適である。これらの中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために要求される特性から、下記の材料が好適に用いられる。なお、下記の材料はこれらを組み合わせて用いても良い。
アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクス。
中間転写体の基材層の材料としては樹脂、セラミックなど各種材料を適宜用いることができるが、加工特性が優れているため、各種エラストマー材料、およびゴム材料が好ましい。ゴム材料としては例えば、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンのコポリマー、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。特に、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムが好ましい。これらのゴムは、圧縮永久ひずみが小さいため寸法安定性、耐久性の面で好適であり、また温度による弾性率の変化が小さいため転写安定性の面からも極めて好適に用いることができる。また、ウレタンゴムは極性の高い表面層材料に対しても密着性が高くなるため、微小片の剥がれによる欠損等の劣化抑制の面で好適である。
中間転写体は、表面層を支持する基材層内に圧縮層を有していても良い。圧縮層を有することで転写時の印圧ムラを防ぎ、安定した画像品位を得ることが可能となる。圧縮層の部材としては、特に限定されるものではないが、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が好適である。圧縮層は、これらの部材の中から適宜、選択して用いることができる。圧縮層としては例えば、上記ゴム材料の成形時に所定量の加硫剤、加硫促進剤等を配合し、さらに後述する消泡剤、中空微粒子あるいは食塩等の充填剤を必要に応じて配合し、多孔質ゴム材料としたものが用いられる。多孔質ゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものとがある。中間転写体には、これらのうち何れの構造であっても良く、両方の構造を併用しても良い。
圧縮層の厚さは特に限定されないが、通常、0.1mm以上、1.0mm以下、好ましくは0.2mm以上、0.5mm以下の範囲で設定するのが適当である。圧縮層の厚さが0.1mm未満であると転写時の圧力が高い場合に、充分にその圧力を緩和できない場合がある。逆に、圧縮層が1.0mmよりも厚いと、転写時に、圧縮層がずり方向に歪んでしまい印刷品質が低下する場合がある。
中間転写体は必要に応じて、表面層、基材層、支持部材の間に、これらを固定・保持するための各種接着剤や両面テープや、装置に装着する際の横伸びを抑制したりコシを保つためのフィルムや布などを有しても良い。
<反応液の付与>
また、中間転写体上へのインクの付与に先立って、中間転写体上にインク高粘度化成分を含有する反応液を付与しても良い。反応液が付与された中間転写体の画像形成面上にインクが付与されると、中間転写体の表面上で反応液とインクが接触することにより高粘度化した画像が中間画像として形成される。これにより、中間転写体上でのインクおよび/又はインク組成物の一部の流動性が低下するため、画像形成時のブリーディング、ビーディングを抑制することができる。反応液中に使用するインクを高粘度化させる成分(以下では、「インク高粘度化成分」と記載する場合がある)は、画像形成に使用するインクの種類によって適切に選択することができる。ここで、インクの高粘度化とは、インクを構成している色材や樹脂等が、インク高粘度化成分と接触することによって化学的に反応し、あるいは物理的に吸着し、インク全体の粘度上昇が認められる場合を表す。また、この場合に限らず、色材などインク組成物の一部が凝集することにより局所的に粘度上昇を生じる場合をも含む。なお、ここで、「反応液」における「反応」とは、インクとの間に化学反応が起こるだけでなく、物理的な作用(吸着など)が起こる場合も含む。
インク高粘度化成分としては例えば、染料系のインクに対しては高分子凝集剤を用いることが有効であり、微粒子が分散された顔料系のインクに対しては、多価の金属イオンを含有する液体や、酸緩衝液などのpH調整剤を用いることが有効である。また、反応液を付与する方法は従来知られている各種手法を適宜用いることができる。例としてはダイコーティング、ブレードコーティング、グラビアローラー、またこれらにオフセットローラーを組み合わせたものなどが挙げられる。また、高速高精度に付与できる手法としてインクジェットデバイスを用いるのも極めて好適である。
<反応液>
反応液は、本実施形態の画像記録方法で使用するインク高粘度化成分を含有する。インク高粘度化成分としては、多価の金属イオン、有機酸、カチオンポリマー、多孔質性微粒子など、旧来から公知の物を特に制限無く用いることができる。これらの中でも特に多価の金属イオンおよび有機酸が好適である。また、複数の種類のインク高粘度化成分を含有させることも好適である。なお、反応液中のインク高粘度化成分の含有量は、反応液全質量に対して5質量%以上であることが好ましい。
具体的にインク高粘度化成分として使用できる金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+およびZn2+等の二価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+およびAl3+等の三価の金属イオンが挙げられる。
また具体的にインク高粘度化成分として使用できる有機酸としては、例えば、シュウ酸、ポリアクリル酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、レブリン酸、コハク酸、グルタル酸、グルタミン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、オキシコハク酸、ジオキシコハク酸等が挙げられる。
反応液は、適量の水や有機溶剤を含有していても良い。この場合に用いる水はイオン交換等により脱イオン化した水であることが好ましい。また、反応液に用いることのできる有機溶剤としては特に限定されず、公知の有機溶剤を何れも用いることができる。
反応液には、各種樹脂を添加することもできる。例えば、反応液に適当な樹脂を添加することで転写時の、中間画像の記録媒体への接着性を良好なものとしたり、最終画像の機械強度を高めたりすることが可能であるため好適である。この樹脂に用いる材料としてはインク高粘度化成分と共存できるものであれば特に制限は無い。
また、反応液中に界面活性剤や粘度調整剤を加えて、その表面張力や粘度を適宜、調整して用いることができる。この際に用いる材料としては、インク高粘度化成分と共存できるものであれば特に制限は無い。具体的に用いられる界面活性剤としてはアセチレノールE100(川研ファインケミカル社製)等が挙げられる。反応液の表面エネルギーは50mN/m以下に調整されることが好ましく、さらには20mN/m以上、40mN/m以下に調整されることがより好ましい。
<中間画像の形成>
中間転写体上にインクを付与して中間画像を形成する方法は特に限定されないが、例えば、インクジェットデバイスを用いてインクを付与することができる。インクジェットデバイスとしてはインクジェット液体吐出技術で提案される各種インクジェットデバイスをいずれも用いることができるが、例えば、下記の形態のものを使用できる。
・電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態。
・電気−機械変換体によってインクを吐出する形態。
・静電気を利用してインクを吐出する形態。
これらの形態の中でも、特に高速で高密度の印刷の観点からは電気−熱変換体を利用した形態が好適に用いられる。
また、インクジェットデバイス全体の形態としては特に制限はない。例えば、中間転写体の進行方向(ドラム形状の場合は軸方向)にインク吐出口を配列させたラインヘッド形態のインクジェットヘッドを使用できる。また、中間転写体の進行方向と垂直にヘッドを走査しながら記録を行うシャトル形態のヘッドを用いることもできる。なお、中間画像の形成時には、中間転写体上に所望の画像が反転した画像(ミラー画像)を形成する。
<インク>
インクとしては例えば、インクジェットデバイス用インクとして広く用いられているインク、具体的には染料やカーボンブラック、有機顔料といった色材を溶解および/または分散させた各種インクを用いることができる。中でも特にカーボンブラックや有機顔料インクは、耐候性や発色性の良い画像が得られるため好適である。また、環境に対する負荷や使用時の臭気の観点から、水を含む水性インクが好適である。特に、水分を45質量%以上、含むインク、溶媒の主成分が水であるインクが非常に好ましい。
さらに、インクは色材含有量が0.1質量%以上であることが好ましく、0.2%質量以上であることがより好ましい。また、15.0%質量以下であることが好ましく、10.0%質量以下であることがより好ましい。色材としては染料やカーボンブラック、有機顔料、及びそれに付随する樹脂等が含まれ、以下に示すものが使用可能である。
染料としては、例えば、C.I.ダイレクトブルー6、8、22、34、70、71、76、78、86、142、199、C.I.アシッドブルー9、22、40、59、93、102、104、117、120、167、229、C.I.ダイレクトレッド1、4、17、28、83、227、C.I.アシッドレッド1、4、8、13、14、15、18、21、26、35、37、249、257、289、C.I.ダイレクトイエロー12、24、26、86、98、132、142、C.I.アシッドイエロー1、3、4、7、11、12、13、14、19、23、25、34、44、71、C.I.フードブラック1、2、C.I.アシッドブラック2、7、24、26、31、52、112、118等が挙げられる。上記以外でも公知の染料を用いることができる。
カーボンブラックは、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラック顔料で、例えば、以下の市販品などを用いることができる。なお、カーボンブラックは下記のものに限定されるわけではなく、公知のカーボンブラックを用いることができる。また、マグネタイト、フェライトなどの磁性体微粒子やチタンブラックなどを用いても良い。
レイヴァン:7000、5750、5250、5000、3500、2000、1500、1250、1200、1190ULTRA−II、1170、1255(以上コロンビア製)。
ブラックパールズ:L、リーガル:400R、330R、660R、モウグル:L、モナク:700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、ヴァルカン:XC−72R(以上キャボット製)。
カラーブラック:FW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリンテックス:35、U、V、140U、140V。
スペシャルブラック:6、5、4A、4(以上デグッサ製)。
No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上三菱化学製)。
有機顔料は、例えば、以下のものを用いることができる。
トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッドなどの水不溶性アゾ顔料。
リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの水溶性アゾ顔料。
アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーンなどの建染染料からの誘導体。
フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料。
キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系顔料。
ペリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系顔料。
イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系顔料。
ベンズイミダゾロンイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッドなどのイミダゾロン系顔料。
ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジなどのピランスロン系顔料。
インジゴ系顔料。
縮合アゾ系顔料。
チオインジゴ系顔料。
フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、キノフタロンイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレットなど。
また、有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示すと、以下のものを用いることができる。
C.I.ピグメントイエロー:12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、151、153、154、166、168。
C.I.ピグメントオレンジ:16、36、43、51、55、59、61。
C.I.ピグメントレッド:9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、170、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240。
C.I.ピグメントバイオレット:19、23、29、30、37、40、50。
C.I.ピグメントブルー:15、15:3、15:1、15:4、15:6、22、60、64。
C.I.ピグメントグリーン:7、36。C.I.ピグメントブラウン:23、25、26。
上記以外でも公知の有機顔料を用いることができる。
これらの顔料は、形態としての限定を受けず、例えば、自己分散タイプ、樹脂分散タイプ、マイクロカプセルタイプ等のものを何れも使用することが可能である。その際に使用する顔料の分散剤としては、水溶性で、重量平均分子量が1000以上15000以下程度の分散樹脂が好適に使用できる。具体例としては、ビニル系水溶性樹脂、スチレンおよびその誘導体、ビニルナフタレンおよびその誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル、アクリル酸およびその誘導体、マレイン酸およびその誘導体、イタコン酸およびその誘導体、フマル酸およびその誘導体からなるブロック共重合体或いはランダム共重合体、また、これらの塩等が挙げられる。
また、最終的に形成された画像の堅牢性を向上させるために、水溶性樹脂や水溶性架橋剤を添加することもできる。使用可能な材料としては、インク成分と共存できるものであれば制限は無い。水溶性樹脂としては上に例示した分散樹脂をそのまま用いることができる。水溶性架橋剤としては、オキザゾリンやカルボジイミドがインク安定性の面で好適に用いられる。また、ポリエチレングリコールジアクリレートやアクリロイルモルフォリンのような反応性オリゴマーも好適に用いることができる。
また、記録媒体に転写時、インクは、ほぼ色材と高沸点有機溶剤だけとなるため、転写性向上のためにはインク中に適量の有機溶剤を含有させることが有効である。使用する有機溶剤としては、高沸点で蒸気圧の低い水溶性の材料であることが好ましく、例えば、下記の材料を使用できる。
1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのアルカンジオール類。
ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテルなどのグリコールエーテル類。
エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第2ブタノール、第3ブタノールなどの炭素数1乃至4のアルキルアルコール類。
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのカルボン酸アミド類。
アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オンなどのケトン、又は、ケトアルコール。テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類。
グリセリン。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのアルキレングリコール類。
チオジグリコール、1,2,6−ヘキサントリオールなどの多価アルコール類。
2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルモルホリンなどの複素環類。
ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物。
また、これらの中から2種類以上の物を選択して混合して用いることもできる。
また、インクは上記成分以外にも必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、水溶性樹脂の中和剤、塩などの、種々の添加剤を含有しても良い。
また、必要に応じて界面活性剤を加えてインクの表面張力を適宜、調整して用いることも好ましい。界面活性剤としては、インクに対して保存安定性等の悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されるものではない。界面活性剤として例えば、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類、アセチレンアルコール類、アセチレングリコール類等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。またこれらの2種以上を適宜選択して使用することもできる。
インクを構成する成分の配合比については特に限定を受けることなく、選択したインクジェットヘッドの吐出力、ノズル径等から吐出可能な範囲で、適宜に調製することが可能である。
<液体分の除去>
中間画像の形成後には、中間画像から液体分を減少させる工程を設けることが好ましい。中間画像中の液体分が過剰であると、次の転写工程において余剰液体がはみ出したり溢れ出したりして画像を乱し、転写不良を引き起こす場合がある。そこで、中間画像の形成後に液体分の除去工程を設けることにより、このような現象を防ぐことができる。液体分の除去方法としては、旧来から用いられている各種手法を何れも好適に適用できる。具体的には、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法、吸収体を接触させる方法、または、これらを組み合わせる手法がいずれも好適に使用できる。また、自然乾燥により行うことも可能である。
<中間画像の転写>
中間画像の形成後に、中間画像を記録媒体に圧着して、中間転写体上から記録媒体上へ中間画像を転写することで、画像印刷物を得る。なお、本明細書において「記録媒体」とは一般的な印刷で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック、フィルムその他の印刷媒体、記録メディアも含めて言う。転写時には、加圧ローラを用いて中間転写体と記録媒体の両側から加圧すると、効率良く中間画像が転写形成されるため好適である。また、多段階に分けて加圧することも転写不良の軽減に効果が有り好適である。転写時の圧力は、各種用途に応じて十分な転写性が得られる圧力を選択可能であるが、転写性向上という本発明の効果が顕著に期待されるため、15kgf/cm2以上、50kgf/cm2以下の範囲が好ましい。また、転写時に温度を適宜コントロールすることも転写安定性の向上に効果があり、好ましい。
<クリーニング>
以上の工程により画像記録は完了するが、生産性の観点から中間転写体を繰り返し連続的に用いる場合には、次の画像記録を行う前に、中間転写体の表面を洗浄再生することが好ましい。中間転写体の洗浄再生を行う手段としては、旧来から用いる各種手法が何れも好適に適用でき、例えば、下記の方法を使用できる。
・中間転写体の表面に、シャワー状に洗浄液を当てる方法。
・中間転写体の表面に、濡らしたモルトンローラを当接させ払拭する方法。
・中間転写体の表面を洗浄液面に接触させる方法。
・中間転写体の表面をワイパーブレードで掻き取る方法。
・中間転写体の表面に、各種エネルギーを付与する方法。
上記方法は複数を組み合わせても良い。
<定着>
追加工程として、中間画像の転写後、画像記録が行われた記録媒体をローラで加圧して、その表面平滑性を高めるようにしても良い。またこの際、画像の堅牢性が向上する場合があるため、ローラを加熱することも好適である。
上述のように、本発明の態様を有することで、中間画像の転写性と耐久性に優れる中間転写体および画像記録方法を提供することが可能となる。
以下に、本発明に係る中間転写体および画像記録方法の実施例、および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。もちろん、本発明は下記実施例に限られるものではない。
(実施例1〜3)
図1は、本例で使用する画像記録装置を表す断面図である。図1の中間転写体は、回転可能なドラム状の支持部材12と、その外周面上に形成された表層部材11とからなっている。支持部材12は、軸13を中心として矢印方向に回転駆動し、その回転と同期して、周辺に配置された各デバイスが作動するようになっている。表層部材11は、両面粘着テープにより支持部材12に固定されている。本実施例では中間転写体の支持部材12として、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、回転のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上する等の要求に適合するように、アルミニウム合金からなる円筒形のドラムを用いた。
中間転写体の外周面に対向するように、反応液を付与するデバイスとしてローラ式塗布装置14が配置されている。ローラ式塗布装置14はローラを有しており、このローラにより中間転写体の表面に反応液が連続的に付与される構造となっている。本実施例では、反応液として金属塩の水溶液、具体的には塩化カルシウム(CaCl2・2H2O)の12.5質量%水溶液に、界面活性剤を適宜、添加して表面張力を調整したものを使用した。なお、金属種及び濃度は適宜、条件に応じて変更可能である。
次に、インクジェットデバイス15から画像記録用のインクが吐出され、中間転写体上でインクと反応液が反応することで中間画像(ミラー反転している画像)が形成される。本実施例では、インクジェットデバイス15として電気熱変換素子を用いオンデマンド方式にてインク吐出を行うタイプのデバイスを使用した。
本実施例では、インクとして樹脂分散型顔料インクを調製して用いた。その組成を以下に示す。
(「部」は質量部を表す)
顔料色材:C.I.ピグメントブルー15 2.5部
分散樹脂:スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体(酸価240、重量平均分子量5000) 1.5部
非水溶剤1:グリセリン 8.0部
非水溶剤2:エチレングリコール 8.0部
界面活性剤:アセチレノールE100(商品名) 1.0部
イオン交換水: 79.0部。
中間転写体上の中間画像を構成するインク中の液体分を減少させる目的で、中間転写体の外周面に対向するように送風装置16が配置されている。また、支持部材12には、中間転写体の裏面側から加熱を行う加熱ヒータ17が内蔵されている。これらの送風装置16および加熱ヒータ17により、中間画像中の液体分を蒸発乾燥させる。
そして、中間転写体上に形成されている中間画像を記録媒体18に接触させ、中間画像を転写するための加圧ローラ19が配置されている。本実施例では、支持部材12と加圧ローラ19の間に記録媒体18と中間画像を通し、これらを挟み込むように加圧することで、中間画像の転写を行う。記録媒体18としては、コート紙(商品名オーロラコート、日本製紙株式会社製、坪量73.5g/m2)を用いた。本実施例では長尺・ロール状のシートを用いたが、規定の形状にカットされた枚葉シートでも良い。
さらに、中間画像を記録媒体18に転写した後、中間転写体を繰り返し次の画像形成に用いるため、クリーニングユニット20が配置されている。クリーニングユニット20は、イオン交換水により常時、湿潤されるモルトンローラが、間欠的に中間転写体の表面に当接する構成となっている。
中間転写体の表層部材11としては図2に示すように、3枚の織布を積層した補強層5、圧縮層4、1枚の織布からなる補強層3、およびウレタンゴムからなる基材層2の積層構造6と、表面層1を順次、積層したものを使用した。
表層部材の作成方法としてはまず、3枚の織布からなる補強層5を準備した。補強層5の表面上に、アクリロニトリルブタジエンゴムに公知の各種の配合剤を混合した材料を積層した後、加硫を行い、多孔質性の圧縮層4を得た。次に、圧縮層4上に補強層3を介して、ウレタンゴムを成形した後、加硫を行い、厚さ0.8mmの基材層2を得た。ウレタンゴムの線膨張係数は1.1×10-4/℃であった。次に、上記の基材層2上に、下記に従って表面層1を形成した。
(表面層材料Aの硬化膜の形成)
下記材料を混合した。なお、「部」は質量部を表す。
ビスコート8F(大阪有機化学工業社製) 72部
ジメチルアミノメチルメタクリレート 3部
アロニックスM−305(東亞合成社製) 5部
ウレタンオリゴマー(東亜合成社製、数平均分子量10000)
20部
光開始剤としてダロキュアー1173(チバスペシャリティーケミカルズ社製)
2部。
この混合物を、メチルイソブチルケトンにより10〜20wt%に希釈して所望のコーティング溶液を得た。次に、上記組成のコーティング溶液を用いて、スピンコートにて基材層2上に成膜を行い、UVランプを照射して露光後、120℃にて2時間の加熱を行い、硬化膜を得た。この時の硬化膜の膜厚は約0.1μmであり、線膨張係数は32×10-7/℃であった。
(微小片の形成)
次に、上記表面層材料Aの硬化膜に亀裂を生じさせることで、微小片からなる表面層を形成した。実施例1〜3に用いた表面層は、加圧ローラを用いて200kgf/cm2以上、500kgf/cm2以下で100回加圧を行い、上記の硬化膜に亀裂を発生させ、互いに独立な複数の微小片から構成される表面層を得た。この際、実施例1〜3では、加圧ローラを用いた加圧の条件を変えることでそれぞれ、隣り合う微小片間の間隔L、微小片の最大径Rおよび表面粗さRaを所定の値とした。その後、間隔L、最大径Rおよび表面粗さRaを測定した。また、表面層1の圧縮弾性率も測定した。なお、圧縮弾性率は、粘弾性スペクトロメーター(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、製品名EXSTAR DMS6100)を用い、JIS−K7181に従って測定した。表面粗さ(中心線表面粗さ、Ra)は、株式会社キーエンス製カラー3Dレーザ顕微鏡VK−9700を用いて測定した。線膨張係数は、熱機械分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、製品名EXSTAR TMA/SS6000)を用いて測定した。
図1の装置を用いて画像を記録する際にはまず、中間転写体を図1の矢印の方向に回転させながら、ローラ式塗布装置14により、中間転写体の表面上に反応液を塗布する。次に、インクジェットデバイス15から、中間転写体の表面上にインクを吐出する。これにより、中間転写体の表面上で、反応液とインクが反応して中間画像が形成される。中間画像の形成後、中間転写体の支持部材12に内蔵された加熱ヒータ17と送風装置16により、中間画像中の水分を除去する。次に、中間転写体の回転に伴い、中間画像は、中間転写体と加圧ローラ19の間を通る。この際、中間画像は記録媒体18に圧着され、中間転写体から記録媒体18に中間画像が転写される。中間画像の転写後の中間転写体の表面は、クリーニングユニット20によってクリーニングされ、清浄化される。中間転写体の回転と共に上記の操作を繰り返すことにより、繰り返し画像記録を行った。本実施例では、1.5m/secの速度で10000回、印刷を行った。初期および10000回目における記録媒体18上の画像観察から転写性を評価し、中間転写体表面の観察と記録媒体18上の画像観察から耐久性を評価した。転写性および耐久性は下記の基準に従って評価した。
[転写性]
○:画像内に転写不良による白ぬけ部がない
△:画像内に転写不良による部分的な白ぬけ部が見られるが、実用上、問題がない
×:画像内に転写不良による白ぬけ部が見られ、画像品位が低い。
[耐久性]
○:初期と10000回印刷後で中間転写体の表面の様子に変化がない
△:初期と10000回印刷後で中間転写体の表面に磨耗、クラック増加などの変化が見られるが実用上、問題がない
×:10000回印刷後で中間転写体の表面に磨耗、クラック増加などの変化が見られ、画像品位も低い。
表面層の圧縮弾性率、線膨張係数、間隔L、最大径Rおよび表面粗さRaと、評価結果等を表1に示す。
(実施例4)
表面層材料Aの硬化膜の代わりに、下記の表面層材料Bの硬化膜を形成した。この後、実施例4では、表面層材料Bの硬化膜に対する加圧条件を変更することにより、微小片間の間隔L、微小片の最大径Rおよび表面粗さRaを所定の値とした。これ以外は、実施例1〜3と同様にして、評価を行った。実施例4における各特性値および評価結果を表1に示す。
(表面層材料Bの硬化膜の形成)
グリシドキシプロピルトリエトキシシランとメチルトリエトキシシランとをモル比1:1で混合し、塩酸を触媒として水溶媒中で24時間以上、加熱還流を行い、加水分解性縮合物溶液を得た。加水分解性縮合物溶液をメチルイソブチルケトンにより10〜20wt%に希釈後、光カチオン重合開始剤SP150(ADEKA社製)を固形分に対して5wt%、添加して所望のコーティング溶液を得た。次に、上記組成のコーティング溶液を用いて、スピンコートにて基材層2上に成膜を行った。基材層の前処理として、表面にプラズマ処理を行い、塗布性および表面層との密着性を向上させた。次に、UVランプを照射して露光を行い、120℃にて2時間の加熱を行い、硬化膜を得た。このときの硬化膜の膜厚は約0.1μmであり、線膨張係数は8.5×10-4/℃であった。
(実施例5)
実施例4において、ウレタンゴムからなる基材層2の代わりに、シリコーンゴムからなる基材層2を設けた。シリコーンゴムの線膨張係数は3.0×10-4/℃であった。実施例4の表面層材料Bの硬化膜を形成する過程で、基材層と表面層の線膨張率の違いから表面層内に亀裂を発生させ、微小片から構成される表面層を得た。また、表面層材料Bの硬化膜を形成後、硬化膜に対して加圧ローラによる加圧を行わなかった。これ以外は、実施例4と同様にして、評価を行った。実施例4における各特性値および評価結果を表1に示す。
(比較例1〜2)
表面層材料Aの硬化膜に対する加圧条件を変更した以外は、実施例1〜3と同様にして、評価を行った。比較例1〜2における各特性値および評価結果を表1に示す。
Figure 2014240164
上記表1の結果から明らかなように、実施例1〜5では転写性および耐久性が共に「○」であったのに対して、比較例1〜2では転写性および耐久性が共に「○」とはならなかった。従って本発明によれば、転写性および耐久性に優れた中間転写体および画像記録方法を提供できることが分かる。
1・・・表面層
2・・・基材層
3・・・補強層
4・・・圧縮層
5・・・補強層
6・・・積層構造
11・・・表層部材
12・・・支持部材
13・・・支持部材12の回転軸
14・・・ローラー式塗布装置
15・・・インクジェットデバイス
16・・・送風装置
17・・・加熱ヒータ
18・・・記録媒体
19・・・加圧ローラ
20・・・クリーニングユニット

Claims (8)

  1. 中間転写体にインクを付与して中間画像を形成する工程と、前記中間画像を記録媒体に転写する工程と、を有する画像記録方法に用いる中間転写体であって、
    前記中間転写体が、その表面に、複数の互いに独立な微小片を有し、
    隣り合う微小片間の間隔Lが10μm以下であることを特徴とする中間転写体。
  2. 前記中間転写体の表面層を構成する各微小片の最大径Rが、8μm<R<15μmであることを特徴とする請求項1に記載の中間転写体。
  3. 前記微小片の表面粗さRaが0.1μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の中間転写体。
  4. 前記微小片は、圧縮弾性率が0.3GPa以上、10GPa以下の材料からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の中間転写体。
  5. 前記微小片は、ポリシロキサン骨格を有する縮合物またはフッ素化合物を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の中間転写体。
  6. 前記微小片は、前記微小片を構成する材料からなる膜を形成した後、前記膜中に亀裂を生じさせることによって形成したものであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の中間転写体。
  7. 前記中間転写体は、基材層と、前記基材層上に設けられた前記微小片を有し、
    前記微小片の線膨張係数α1と前記基材層の線膨張係数α2とが、
    α2/α1>100、又はα1/α2>100
    の関係を満たし、
    前記微小片は、前記基材層上に形成した膜に対して加熱を行うことで前記膜中に亀裂を生じさせることによって形成したものであることを特徴とする請求項6に記載の中間転写体。
  8. 表面に複数の互いに独立な微小片を有する中間転写体にインクを付与して中間画像を形成する工程と、
    前記中間画像を記録媒体に転写する工程と、
    を有する画像記録方法であって、
    隣り合う微小片間の間隔Lが10μm以下であることを特徴とする画像記録方法。
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