JP6071450B2 - 中間転写体の製造方法、画像記録方法 - Google Patents

中間転写体の製造方法、画像記録方法 Download PDF

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Description

本発明は、転写型インクジェット記録方法等の画像記録方法に供される中間転写体の製造方法、及びその中間転写体を用いた画像記録方法に関する。
インクジェット方式による画像形成では、付与された隣接するインク同士が混ざり合う現象(ブリーディング)や、先に着弾したインクが後に着弾したインクに引き寄せられてしまう現象(ビーディング)が発生することがある。また、記録媒体がインク中の液体分を過剰に吸収することによるカール現象や、コックリング現象が発生することもある。
これらの現象の発生を防ぐために、インクを中間転写体に付与することによって形成された中間画像を記録媒体に転写することで、画像を得る画像記録方法(転写型インクジェット記録方法)が考案された。
ここで、上述の転写型インクジェット記録方式に用いる中間転写体は、表面にインクを付与した際に、形成される中間画像を良好に保持でき(画像保持性)、この中間画像を記録媒体へより効率良く転写でき(離型性)、かつ記録を繰り返しても良好な画像保持性及び離型性を有すること(耐久性)が望まれている。
ここで、シリコーンゴムは、離型性の観点からは、中間転写体を構成する材料として有用である。しかし、シリコーンゴムは撥水性が高いため、このシリコーンゴムを表面に有する中間転写体を転写型インクジェット記録方法に用いた場合には、インクがこの中間転写体表面ではじかれることがあり、良好な画像保持性を得ることが難しい場合がある。
そこで、従来、シリコーンゴムの表面に親水性の材料を付与するシリコーンゴムの改質方法が提案されている。
特許文献1には、親水性表面を有するマイクロコンタクト印刷用シリコーン・エラストマー・スタンプが例示されている。この例ではシリコーンゴム表面を活性化した後、親水性ポリマーと反応させることにより、より安定した親水性表面を発現可能であるとされている。
特開2002−206033号公報
しかしながら、本発明者らの検討によると、特許文献1に記載のシリコーン・エラストマー・スタンプが有する親水性表面の親水性は恒久的なものではなく、時間の経過と共に親水性が徐々に失われることがあり、得られたシリコーン・エラストマー・スタンプは耐久性に劣る場合があることが分かった。
また、本発明者らは、この技術を、特に転写型インクジェット記録方式に用いる中間転写体に適用した場合に、連続使用時にゴム表面の特性が変化することがあり、徐々に画像保持性が失われることがあることを見出した。
このメカニズムを以下のように推測している。転写型インクジェット記録方式では、通常、転写時に、中間転写体表面に中間画像が形成された状態で圧力が繰り返し与えられる。このため、転写の度に、中間転写体の表面に存在する親水性成分の結合が部分的に外れ、それによって中間転写体表面の親水性が徐々に失われることが原因であると推測される。
このような現象は、特許文献1におけるマイクロコンタクト印刷と比較して、転写の際の圧力が高い転写型インクジェット記録方式において特に顕著である。
従って、本発明の目的は、転写型インクジェット記録方法に用いることができ、画像形成及び転写を繰り返し行っても、表面状態が変化することなく、安定した離型性と画像保持性を有する耐久性に優れた中間転写体を製造する方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、この中間転写体を用いた画像記録方法を提供することにある。
本発明は、インクを中間転写体に付与することによって形成された中間画像を記録媒体に転写することで、画像を得る画像記録方法に用いる中間転写体の製造方法であって、
表面にシリコーンゴムを有する部材の前記表面に、シランカップリング剤を付与する付与工程と、
前記シランカップリング剤を付与した部材を加熱することによって、前記シリコーンゴムと、前記シランカップリング剤とを反応させる反応工程と
を有し、
前記シランカップリング剤が、下記の一般式Iで表される化合物であり、
(一般式I)
(R 1 O) 3 SiR 2 O(C 2 4 O) a (C 3 6 O) b 3
(式中、R 1 は炭素数1以上10以下のアルキル基を表し、R 2 は炭素数1以上10以下のアルキル基、またはフェニル基を表し、R 3 は水素原子、または炭素数1以上10以下のアルキル基を表し、
aは2以上200以下の整数を表し、bは0以上200以下の整数を表し、ただし、aとbとの合計は3以上200以下の整数となる。)
前記反応工程における、加熱温度Aが373K以上523K未満であり、加熱時間Bが20分以上350分未満であり、
前記加熱温度A及び前記加熱時間Bが、以下の式1を満たすことを特徴とする中間転写体の製造方法である。
(式1)3,500≦(A−360)×B≦12,000。
また、本発明は、上記製造方法より得られる中間転写体に、インクを付与することにより中間画像を形成する工程と、前記中間画像が形成された中間転写体に記録媒体を接触させて前記中間画像を前記記録媒体へ転写する工程とを含む、画像記録方法である。
本発明によれば、転写型インクジェット記録方法に用いることができ、画像形成及び転写を繰り返し行っても、表面状態が変化することなく、安定した離型性と画像保持性を有する耐久性に優れた中間転写体を提供することができる。また、本発明によれば、この中間転写体を用いた画像記録方法を提供することができる。
本発明より得られる中間転写体を適用可能な画像記録方法に用いられる記録装置の一例の模式図である。 実施例及び比較例における加熱温度と加熱時間との関係を示すグラフである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行い、優れた性能を有する中間転写体を製造できる本発明の製造方法を見出した。具体的には、特定の加熱条件下で、中間転写体となる部材表面のシリコーンゴムと、シランカップリング剤とを反応させることによって、中間転写体表面の親水性の劣化をある一定の範囲内に留めることができ、中間転写体の耐久性を飛躍的に向上させうることを見出した。本発明より得られる中間転写体は、画像形成及び転写を繰り返し行っても、表面の親水性が変化することなく、安定した離型性と画像保持性を有し、さらに耐久性に優れる。
本発明より得られる中間転写体が、このように優れた性能を有する理由について、本発明者らは以下のように推測している。
従来、活性化させたシリコーンゴムに、シランカップリング剤を接触させて反応させることで、そのシリコーンゴムの表面に親水性を付与できることが知られている。例えば、シランカップリング剤としてアルコキシシラン基を末端に有するポリエチレンオキサイドを用いた場合には、このアルコキシシラン基がシリコーンゴム表面の例えばヒドロキシル基(−OH)と縮合反応を起こし、それによりシリコーンゴム表面に親水性が付与される。しかし、縮合反応が不十分なためだと思われるが、この状態では、シリコーンゴムとシランカップリング剤との結合性が比較的弱い傾向がある。特に、この中間転写体を、転写型インクジェット記録方法に使用する転写インクジェット記録用中間転写体として用いた場合、インクや、インクの前に必要に応じて中間転写体表面に付与される反応液に含まれる化合物等による化学的作用と、圧力による摩擦等の物理的作用とにより、記録を繰り返す毎に徐々にシリコーンゴム表面の親水性基が流出してしまうことがある。
しかし、本発明では、シリコーンゴム表面にシランカップリング剤を付与した後に加熱処理を施すため、例え上述したシランカップリング剤を使用したとしても、アルコキシシラン基とシリコーンゴム表面のヒドロキシル基との縮合反応が促進され、シランカップリング剤同士のネットワーク形成が急激に促進される。これにより、シリコーンゴム表面にシランカップリング剤が、従来と比べてより強固に結合し、転写型インクジェット記録用中間転写体として繰り返し用いても、ゴム表面からシランカップリング剤が除去されにくく、安定した画像保持性を維持できる。
また、シランカップリング剤としてアルコキシシラン基を末端に有するポリエチレンオキサイドを用いると、転写性も同時に向上する。この理由を本発明者らは以下のように推測している。即ち、中間転写体表面にインクを付与した際に、この中間転写体とインク層との界面に、このシランカップリング剤に由来する親水性のポリマーが介在した状態になると思われる。このため、記録媒体にインクにより形成された中間画像を転写する際に、インクや上記反応液の凝集物質が、中間転写体表面に強固に固着することを抑制することができ、転写性が向上すると考えらえる。
しかしながら、上記加熱処理を施す場合、得られる中間転写体の耐久性は向上するが、加熱しない場合と比較して、親水性が低下することがあり、良好な画像保持性が得られにくいことがある。これは、加熱処理により生じる縮合反応によって、中間転写体表面の親水基(例えばヒドロキシル基)が減少することが理由と考えられる。このように、中間転写体の耐久性と親水性とはトレードオフの関係にある。しかしながら、インクや反応液の組み合わせや、これらの液組成によって、流動性や濡れ性を制御することができるため、中間転写体自体に高い親水性能は必ずしも必要はない。即ち、加熱処理によって、中間転写体表面の親水性が多少低下しても、画像保持性は維持することができる。一方、転写型インクジェット記録方式では、画質の向上、高効率化のためには、何度転写を繰り返しても表面状態が変化しない耐久性に優れた中間転写体が求められる。
そして、本発明者らは、転写型インクジェット記録方式に用いることができ、耐久性に優れかつ画像保持性と転写性を両立可能な特異的に好ましい中間転写体を作製するための条件が存在することを見出したのである。
以下に、本発明の中間転写体の製造方法、それを用いた画像記録方法の概略を説明する。
<<中間転写体の製造方法>>
本発明の製造方法は、以下の工程を含む。
表面にシリコーンゴムを有する部材(以降、ゴム部材と称することがある)の表面に、シランカップリング剤を付与する付与工程。
このシランカップリング剤を付与した部材を加熱することによって、このシリコーンゴムと、このシランカップリング剤とを反応させる反応工程。
なお、シリコーンゴムは、上述したように、通常撥水性を有するため、本発明の製造方法では、画像保持性を得るために、ゴム部材の表面に対して上記付与工程及び上記反応工程を含む親水化処理を施す。これにより、ゴム部材表面のシリコーンゴムを親水化することができ、得られる中間転写体表面に親水性を付与することができる。なお、この製造方法は、上記付与工程の前に、上記ゴム部材を作製する工程を有することができる。また、この製造方法は、付与工程の前(ゴム部材作製工程を有する場合は、この工程と、付与工程との間)に、得られたゴム部材の表面を活性化処理する工程を有することもできる。
ここで画像保持性について説明する。なお、画像保持性が良好な状態とは、中間転写体表面にインクや反応液を付与した場合に、転写体上でインクがはじかれたり、ブリーディングが起きたりすることなく、付与したインクが中間転写体表面に所望の画像を形成する状態をいう。
この画像保持性は、中間転写体と、インクや反応液との表面自由エネルギーの相関により影響を受けることが知られている。例えば、転写体表面の表面自由エネルギーが低い(撥水性が強い)場合は、付与したインクが転写体上に濡れ広がりにくいため、インクドットのサイズが小さくなってハジキが発生しやすくなり、所望のインク画像が得られにくくなる。さらに、付与された隣接するインク同士が混ざり合ってブリーディングを発生させる可能性がある。従って良好な画像保持性を得るためには、転写体表面は表面自由エネルギーが比較的高い状態にあることが好ましい。なお、転写体表面の水の静的接触角を測定することで、中間転写体の表面自由エネルギーを簡易的に評価することができる。具体的には、中間転写体表面の水の静的接触角が、95°以下であることが好ましい。この静的接触角が95°以下であれば中間転写体表面に付与したインクや反応液のハジキが発生しにくくなる。さらに、ハジキをより生じにくくさせ、安定した画像保持性を容易に得るためには、この静的接触角を90°以下にすることがより好ましい。
<ゴム部材作製工程>
本発明に用いるゴム部材は、表面にシリコーンゴムを有し、特定の加熱条件下、この表面のシリコーンゴムをシランカップリング剤と反応させることで、中間画像を形成するための中間転写体を形成することができる。
なお、この中間転写体は、通常、ハンドリングした際に必要な力を伝達するための支持部材上に配されて用いられる。本発明では、ゴム部材を予め支持部材に例えば両面粘着テープ等で固定させた状態で上記親水化処理を行い、支持部材上に配された中間転写体を作製しても良いし、ゴム部材を親水化処理して中間転写体を作製し、得られた中間転写体を支持部材上に固定しても良い。
また、ゴム部材は、支持部材表面に直接設けられても良いし、支持部材とゴム部材との間に他の部材(例えば、接着層)を有していても良い。
・支持部材
支持部材は、その搬送精度や耐久性の観点から、ある程度の構造強度を有していることが望まれる。支持部材の材質としては金属、セラミック、樹脂などが好適である。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために要望される特性から、以下の材料を支持部材に極めて好適に用いることができる。即ち、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスである。またこれらを組み合わせて用いるのも好ましい。なお、支持部材は、単一の材質(部材)から構成されていても良いし、複数の材質(部材)から構成されていても良い。
なお、支持部材は、中間転写体を適用する画像記録装置の形態や記録媒体への転写態様に合わせて形状を選択することができ、例えば、シート形状、ローラ形状、ドラム形状、ベルト形状、無端ウエブ形状とすることができる。ドラム状の支持部材やベルト状の無端ウエブ構成の支持部材を用いると、同一の中間転写体を連続して繰り返し使用することが可能となり、生産性の面から極めて好適な構成となる。
・ゴム部材
中間転写体は、紙などの記録媒体に、中間転写体表面に形成した中間画像を接触させて、この中間画像を記録媒体に転写させるため、親水化処理前の中間転写体であるゴム部材は、ある程度の弾性を有していることが望ましい。例えば記録媒体として紙を用いる場合には、このゴム部材の硬度は、デュロメータ・タイプA(JIS K 6253準拠)硬度で10°以上100°以下であることが好ましく、特に20°以上60°以下であることがより好ましい。ゴム部材の硬度が10°以上であれば転写を繰り返し行った場合においても耐久性が容易に維持可能となり、100°以下であれば良好な転写性を容易に得ることができる。
このゴム部材は、表面にシリコーンゴムを有していれば良く、その材質は適宜選択することができる。また、ゴム部材は、単一の材質(部材)から構成されていても良いし、複数の材質(部材)から構成されていても良い。ゴム部材は、例えば、離型性等の特性および加工特性に優れるシリコーンゴムからなる層または、このシリコーンゴムを含む層によって形成されることができる。また、ゴム部材を積層構成として、少なくともシリコーンゴムを含む層が表面に配置されるように複数の層を積層しても良い。さらに、この複数の層は同じ材料から形成されても良いし、異なる材料で形成されていても良い。なお、ゴム部材は、その構成に応じて、転写型インクジェット記録装置等の分野で公知の方法を用いて作製することができる。例えば、ポリウレタンベルトに、バーコーター法により、シリコーンゴムを薄く被膜させた積層材料は、ゴム部材として好適に用いることができる。
なお、ゴム部材の表面となる位置に配される層(最表面層)中のシリコーンゴムの含有量は、離型性の観点から30質量%以上が好ましい。また、この最表面層には、シリコーンゴムの他に、ポリウレタン、フッ素系のゴム等の弾性体や無機フィラー等を含むことができる。なお、この最表面層の表面が、ゴム部材の表面となる。
また、このシリコーンゴムとしては、例えば、KE1416、KE12、KE17、KE26、KE1316、KE1310ST、KE1310T、KE1222(いずれも商品名、信越シリコーン社製)を用いることができる。
なお、ゴム部材の合計の厚みは、耐久性の観点から50μm以上、転写性の観点から5,000μm以下とすることが好ましい。
また、上記支持部材とゴム部材とは、同じ材質、即ち1つの部材から形成されていても良いし、異なる材質、即ち異なる部材で形成されていても良い。
ゴム部材の形状は、このゴム部材から作製する中間転写体を適用する画像記録装置等に合わせて適宜設定することができ、例えば、シート形状や無端ウェブ形状等とすることができる。また、ゴム部材のサイズ(寸法)は、目的の画像サイズに合わせて自由に選択することができる。
なお、支持部材上にゴム部材を配した際の両者からなる全体の形状は、例えば、シート形状、ローラ形状、ドラム形状、ベルト形状、無端ウエブ形状等とすることができる。また、この全体のサイズも、目的の画像サイズに合わせて自由に選択することができる。
<活性化処理工程>
シランカップリング剤を付与する前、即ち、上記付与工程の前に、ゴム部材の表面を活性化処理すること、即ち、この表面に存在するシリコーンゴムを活性化処理することが好ましい。この活性化処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、活性エネルギー線照射処理(UV・IR・RFなど)、オゾン処理等が挙げられ、そのいずれもが好適である。また、これらを複数組み合わせて施しても良い。これらの活性化処理を施すことにより、ゴム部材の表面に、反応性の高い基(例えば、ヒドロキシル基)を備えたシリコーンゴムを有することができ、濡れ性が向上するため、結果的に、ゴム部材の表面をより強固にすることができる。この活性化処理では、ゴム部材の表面部分、具体的には、ゴム部材表面から厚さ10nm以上1μm以下の部分が活性化されることが好ましい。活性化範囲がゴム部材表面からの厚みで10nm以上であると、後に行う反応工程において、シランカップリング剤との結合点が少なくなることを容易に防ぐことができるため好ましい。また、活性化範囲がゴム部材表面からの厚みで1μm以下であると、実質的にシリコーンゴム内部において、分解や縮合が進むことを容易に防ぐことができ、シリコーンゴムの弾性が変化することを容易に防ぐことができ好ましい。
<付与工程>
まず、上記ゴム部材の表面にシランカップリング剤を付与する。
・シランカップリング剤
シランカップリング剤は、ゴム部材の表面に存在するシリコーンゴムと反応し、シリコーンゴムとの間に化学結合を生じさせることができるものであれば、本発明の効果が得られる範囲で公知のものを用いることができる。例えば、シランカップリング剤は、分子構造中に、アミノ基、エポキシ基及びメルカプト基等の反応性官能基や、アルコキシ基等の加水分解性基を有することができる。しかしながら、本発明に用いるシランカップリング剤は、分子構造中に少なくとも1つアルコキシシリル基を有する有機シランであることが好ましい。反応工程におけるシリコーンゴムに対するシランカップリング処理では、例えばこのアルコキシシリル基を加水分解することによってシラノール基を生成し、このシラノール基と、ゴム部材表面に存在する親水基(例えばヒドロキシル基)とを縮合反応させることができる。
また、シランカップリング剤は、ゴム部材表面に親水性を付与する観点から、分子構造中に、部分構造として、親水性を有する構造を含むことが好ましく、この構造は例えば上記アルコキシシリル基のケイ素原子に結合することができる。特に、部分構造として、親水性のポリマー構造を含むシランカップリング剤は、シランカップリング剤中の親水性部の比率が多くなるため親水化しやすく、粘度が高くなるためレベリング性に優れることから好適に用いられる。親水性のポリマー構造とは、水と親和性のある高分子構造のことであり、例えば、ヒドロキシル基、カルボン酸基、アミン基及びアミド基等の親水性基を有する高分子構造等が挙げられる。より具体的には、アクリル酸、メタアクリル酸、ビニルアルコール、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エチレングリコール、アクリルアミド、ビニルピロリドンなどの単量体から合成されるポリマー構造などが挙げられる。特に、シランカップリング剤には、部分構造として、ポリエチレンオキシドやポリプロピレンオキシドなどのポリエーテル基が導入されたもの、即ち、ポリエーテル変性シランカップリング剤が好適に用いられる。このポリエーテル基の構造は直鎖構造であっても良いし、分岐構造であっても良いが、シランカップリング剤の反応性と取り扱いやすさを考慮にいれると直鎖型が好適に用いられる。
本発明に極めて好適に用いることができるシランカップリング剤の一例を以下の一般式Iに示す。
(一般式I)
(R1O)3SiR2O(C24O)a(C36O)b3
なお、式中、R1は炭素数1以上10以下のアルキル基を表し、R2は炭素数1以上10以下のアルキル基、またはフェニル基を表し、R3は水素原子、または炭素数1以上10以下のアルキル基を表す。
2及びR3のアルキル基の炭素数は、炭素数が多くなると水系の溶剤への溶解性が低くなる傾向があるため、10以下とする。R2のアルキル基の炭素数は結合部位と親水性部位の各々の機能を分離するため1以上とする。また、加水分解性のしやすさの観点から、R1のアルキル基の炭素数は1以上10以下とする。
また、aは2以上200以下の整数を表す。aが2以上であると十分な親水性を容易に得ることができ、水系の溶剤への溶解性が低くなることを容易に防ぐことができる。また、aが200以下であると、粘度が高くなることを容易に防ぎ、ハンドリング性が低下することを容易に防ぐことができる。同様の理由から、bは0以上200以下の整数を表し、ただし、aとbとの合計は3以上200以下の整数となる。
上記一般式Iに示すシランカップリング剤(ポリエーテル変性アルコキシシラン)を用いることによって、より効果的にシリコーンゴム表面を親水化するとすることができる。一般式Iに表わされるシランカップリング剤は信越化学工業やGelestより入手することが可能である。また、従来公知の手法により合成することも可能である。たとえば、Langmuir 2003,19,pp8749‐8758にはポリエーテル変性アルコキシシランの合成方法が記載されている。
なお、シランカップリング剤は、1種を単独で用いても良いし、複数種を併用しても良い。また、シランカップリング剤(例えば上記一般式Iに示す化合物)を加水分解させて生じるシラノール基同士を結合させてオリゴマー化したものを、上記付与工程に用いることもできる。また、反応性の向上の観点から、シランカップリング剤として、これらのモノマーとオリゴマーを併用することも非常に好ましい。
なお、シランカップリング剤の付与形態は限定されず、そのままの状態でゴム部材表面に付与することもできるし、任意の溶媒で希釈した希釈液の状態で付与することもできる。この希釈液中のシランカップリング剤の含有量は、反応性の観点から0.2質量%以上、溶解性の観点から10質量%以下とすることが好ましい。また、反応性の観点から、この溶媒として、水や、水とアルコールとの混合溶媒等を用いることが好ましい。さらに、シランカップリング剤の反応を促進させる観点から、シランカップリング剤とともに、酸や有機金属等の触媒を、ゴム部材の表面に付与することが好ましく、例えば、上記希釈液にこれらの触媒を含有させて用いることができる。
このシランカップリング剤や希釈液の塗布方法としては、ディップコーティング、ローラーコーティング、はけ塗り、カレンダーコーティング、スプレーコーティング等を用いることができる。しかし、ゴム部材表面にシランカップリング剤を均一に塗布できる方法であれば、これらに限定されるものではない。
<反応工程>
続いて、シランカップリング剤を付与したゴム部材を加熱することによって、表面のシリコーンゴムと、シランカップリング剤とを反応させる。例えば、上記一般式Iに示すシランカップリング剤を希釈液の状態で用いた場合、シランカップリング剤中のアルコキシシリル基が加水分解され、シラノール基が生成し、このシラノール基と、ゴム部材表面の親水基とが反応し、強固な結合が生じる。またこの加熱により、シランカップリング剤同士のネットワークが強固に形成され、中間転写体表面の親水性がより消失しにくくなる。本発明者らはカップリング反応に必要な熱エネルギーは温度と時間に比例すると考え、実験結果の数値より以下の関係式を見出した。
なお、この工程における、加熱温度A(K)及び加熱時間B(分)は、シランカップリング剤の種類、反応環境、触媒の有無等により設定できるが、必ず以下の関係を満たす。即ち、加熱温度Aは373K以上523K未満であり、加熱時間Bは20分以上350分未満であり、かつ、加熱温度A及び加熱時間Bが、以下の式1を満たす。
(式1) 3,500≦(A―360)×B≦12,000。
なお、上記加熱温度Aが373Kより低い温度であると、部分的に縮合が不完全になったり、加熱時間Bが長時間になることでシリコーンゴムからのコンタミネーションが起こったりするため、耐久性が損なわれてしまう場合がある。
また、加熱温度Aが523K以上であると、シランカップリング剤が分解してしまう可能性がある。そのため、加熱温度Aは373K以上523K未満とする。さらに、加熱温度Aは、反応効率の観点から390K以上、部材の耐久温度の観点から460K以下であることが好ましい。
上記加熱時間Bが、20分未満であると、反応の進み方が不均一になる場合がある。また、加熱時間Bが350分以上であると、シランカップリング剤が変性したりシリコーンゴムが劣化したりする場合がある。従って加熱時間Bは20分以上350分未満とする。さらに、加熱時間Bは、反応をより均一に進めるため30分以上であることが好ましい。
シリコーンゴムに対するシランカップリング処理は、通常、より穏和な条件で行われるため、3500≦(A―360)×B≦12000を満たしていることが多い。(A−360)×Bが3500より少ない場合は、反応系中に与えられる熱エネルギーが小さくなり、反応が十分に進みにくくなる。また、(A−360)×Bが12000を超えた場合は、反応系中に与えられる熱エネルギーが多くなり、シリコーンゴムとシランカップリング剤とに存在する親水性基(例えばヒドロキシル基)の脱水縮合が進行する等して、ゴム部材表面の親水性が損なわれる。
特に一般式Iに代表されるようなアルコキシシラン基を末端に有するポリエチレンオキサイドをシランカップリング剤として用いる場合にはこれらの傾向が顕著となる。
なお、特許文献1では、加熱処理を行わないか、行った場合においても、特許文献1の図1に示すように加熱温度を353K(80℃)、加熱処理時間を120分として加熱処理を行っており、上述した条件(式1)を満たしていない。このため、中間転写体作製初期は30°程度の親水性表面を有することができるが、本件における繰り返し耐久を行うと、親水性が徐々に失われる。
<中間転写体>
上述した本発明の製造方法より得られる中間転写体は、上記ゴム部材のシリコーンゴムを有する表面に、上記付与工程及び反応工程に示す特定の改質方法を施したものであり、ゴム部材の表面に改質層(表面改質層)が設けられた構造を有する。即ち、図1に示すように、中間転写体11は、表面改質層11aと、ゴム部材11bとからなることができる。また、この中間転写体(表層部材)11は、支持部材12に直接または他の部材(接着層等)を介して配されることができる。
この中間転写体は、インク及びこのインクの前に必要に応じて中間転写体表面に付与される反応液を保持し、画像を形成する基材となる。また、この中間転写体は、インクジェット方式を用いた画像記録方法に供することができ、特に、後述する中間画像形成工程と、転写工程とを有する転写型インクジェット記録方法に好適に供することができる。例えば、この転写型インクジェット記録方法を用いることによって、改質層11aの表面に中間画像を形成することができる。
中間転写体11の形状やサイズ(寸法)は、適用する画像記録装置や画像サイズに応じて適宜設定することができ、用いるゴム部材を変更することで調整することができる。
この中間転写体の形状は、例えば、シート形状やベルト形状や無端ウエブ形状とすることができる。
なお、支持部材12及びゴム部材11bはいずれも、親水化処理前の支持部材及びゴム部材と同様のものであるため、説明は省略する。この親水化処理によって生じる表面改質層11aの厚みは、耐久性の観点から10nm以上、下地のゴム部材の弾性を失わないためには1μm以下とすることが好ましい。
このように、表面改質層を1μm以下の薄膜とすることにより、活性化処理及び親水化処理前のゴム部材とほぼ同じ高度を保ちながら、シリコーンゴム表面のみを親水化することが可能である。
<<画像記録方法>>
本発明の画像記録方法は、以下の工程を含む。
(i)本発明の製造方法より得られる中間転写体に、インクを付与することにより中間画像を形成する工程(中間画像形成工程)。
(ii)この中間画像が形成された中間転写体に記録媒体を接触させて、この中間画像を記録媒体へ転写する工程(転写工程)。
なお、この中間画像形成工程は、以下の工程i−1及び工程i−2を含むことができ、これらの工程からなることができる。
(i−1)本発明の製造方法より得られる中間転写体上に、インクの流動性を低下させるための反応液(第1の液体)を付与する工程。
(i−2)この反応液が付与された中間転写体上に、画像形成用のインク(第2の液体)を付与することにより、中間画像を形成する工程。
また、中間画像形成工程と、転写工程との間に、上記中間画像から液体成分を減少させる工程(水分除去工程)を含むこともできる。
さらに、本発明では、転写工程の後に、中間転写体表面を洗浄再生する工程(クリーニング工程)や、画像が付与された記録媒体を加圧し、画像を定着させる工程(定着工程)を有することもできる。
なお、上記画像記録方法は、工程i(または工程i−2)において、中間転写体上に、インクをインクジェットデバイスを用いて選択的に付与する、転写型インクジェット記録法であることができる。
<工程i:中間画像形成工程>
(工程i−1)
まず、必要に応じて、本発明の製造方法より得られる中間転写体上、具体的には、中間転写体表面に、インクの流動性を低下させるための反応液を付与することができる。
・反応液
上記反応液(第1の液体)は、インクの流動性を低下させるために、通常、インク高粘度化成分を含有する。ここで、インク高粘度化成分とは、インクを構成する色材や樹脂等と接触することによって、これらの色材や樹脂等を化学的に反応させ、あるいは物理的に吸着させ、これによってインク全体の粘度を上昇させる成分を表す。なお、インク高粘度化成分とは、接触により色材などインクの一部を凝集させることにより局所的に粘度上昇を生じさせる成分をも含む概念である。
この成分は中間転写体上でのインクの流動性を低下させて(インクの一部の粘度を上昇させて結果的にインクの流動性を低下させる場合も含む)、画像形成時のブリーディング、ビーディングを抑制する効果がある。例えば、インクジェットデバイスを用いた画像形成においては、単位面積当たりのインク付与量が多量となる場合があり、そのような時にはインクの滲みや混じり合いであるブリーディング、ビーディングが起こりやすい。しかし、この反応液が中間転写体上に付与されていることによって、インクにより画像が形成される時に流動性を容易に低下させることができるため、ブリーディングやビーディングがより起こりにくくなる。その結果、良好な画像を容易に形成及び保持することができる。
使用するインク高粘度化成分は、画像形成に使用するインクの種類によって適切に選択するのが望ましい。例えば、染料系のインクに対しては高分子凝集剤を用いることが有効であり、微粒子が分散されてなる顔料系のインクに対しては、多価の金属イオンを含有する液体や、酸緩衝液などのpH調整剤を用いることが有効である。また別のインク高粘度化成分の例として、カチオンポリマーなど複数のイオン性基を有する化合物を用いるのも良い。また、これらの化合物を2種類以上併用するのも有効である。
具体的にインク高粘度化成分として使用できる高分子凝集剤としては、例えば、陽イオン性高分子凝集剤、陰イオン性高分子凝集剤、非イオン性高分子凝集剤、両性高分子凝集剤等が挙げられる。
なお、上記反応液に多価の金属イオンを含有する液体を用いる場合、その金属種及び濃度は適宜条件に応じて変更可能である。
具体的にインク高粘度化成分として使用できる金属イオンとしては、以下のものが挙げられる。例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+およびZn2+等の二価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+およびAl3+等の三価の金属イオンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。そして、これらの金属イオンを含有する液体を中間転写体表面に塗布する場合には、金属塩水溶液として塗布することが望ましい。金属塩の陰イオンとしては、Cl-、NO3 -、CO3 2-、SO4 2-、I-、Br-、ClO3 -、HCOO-、RCOO-(Rはアルキル基)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
金属塩水溶液の金属塩濃度は0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。また、20質量%以下が好ましい。
また具体的にインク高粘度化成分として使用できるpH調整剤としてはpHが7未満の酸性溶液が好適に用いられる。例としては塩酸、リン酸、硫酸、硝酸、ホウ酸等の無機酸、蓚酸、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸等の有機酸が挙げられる。またこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩の溶液も同様に好ましく用いることができる。
またpH緩衝能を有する酸緩衝液(バッファー)は、インクにより見かけ上の反応液濃度が低下してもpHの変動が少ないためインクとの反応性が特に衰えないので、極めて好適に反応液として用いることができる。pH緩衝能を得るためには、反応液中に緩衝剤を含有させることが好ましい。用いることのできる緩衝剤の具体例としては、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム等の酢酸塩、リン酸水素塩、炭酸水素塩、及び、フタル酸水素ナトリウム、フタル酸水素カリウム等の多価カルボン酸の水素塩を用いることができる。更に、多価カルボン酸の具体例としては、フタル酸以外にも、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ピロメリット酸、トリメリット酸等が挙げられる。これ以外でも、添加することによってpHに対して緩衝作用を発現させる従来公知の化合物は、いずれも好適に用いることができる。
また、本発明に用いることができる反応液は適量の水性媒体や有機溶剤を含有させてもよく、上記インク高粘度化成分を水性媒体や有機溶剤に溶解させた溶液を上記反応液として用いることができる。水性媒体の例としては、例えば、水、および、水と水溶性有機溶剤との混合溶媒が挙げられる。インク高粘度化成分を溶解させる溶媒の具体例として以下のものを挙げることができる。即ち、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのアルカンジオール類。ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテルなどのグリコールエーテル類。エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第2ブタノール、第3ブタノールなどの炭素数1以上4以下のアルキルアルコール類。N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのカルボン酸アミド類。アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オンなどのケトン、又は、ケトアルコール。テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類。グリセリン。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのアルキレングリコール類。チオジグリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体などの多価アルコール類。2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物などが好適に用いられる。また、これらの中から2種類以上の物を選択して混合して用いることもできる。
反応液には、必要に応じて所望の性質を持たせるため、上記の成分のほかに消泡剤、防腐剤、防黴剤などを適宜に添加することができる。
また、反応液には、転写性を向上させるために、もしくは最終的に形成された画像の堅牢性を向上させるために、各種樹脂を添加することもできる。樹脂を添加しておくことで転写時の被記録体への接着性をより向上させることが可能となり、インク被膜の機械強度をより高めることが可能である。また樹脂の種類によっては画像の耐水性の更なる向上も見込める。樹脂に用いられる材料としては、インク高粘度化成分と共存できるものであれば制限は無い。例として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの有機ポリマーを好適に用いることができる。またインクに含まれる成分と反応し架橋するような樹脂も好適である。例としては、インク中での色材分散のために頻繁に用いられるカルボン酸と反応し架橋する、オキザゾリンやカルボジイミドが挙げられる。
これらの樹脂は反応液に溶解させてあっても良いし、エマルション状態やサスペンション状態で反応液に添加してあっても良い。
また、反応液は界面活性剤を加えてその表面張力を適宜調整して用いることができる。界面活性剤としては、イオン性、非イオン性、カチオン性、アニオン性等の公知の界面活性剤を必要に応じて適宜選択し使用することができる。但し、ある種の界面活性剤は反応液とインクとに悪影響を及ぼすことがあり、その結果、画像形成に悪影響を及ぼす場合があるので注意を有することは言うまでもない。
・反応液付与方法
反応液を付与する方法は、特に限定されず、従来知られている各種手法を適宜用いることができる。例としては、ダイコーティング、ブレードコーティング、グラビアローラー、またこれらにオフセットローラーを組み合わせた物などが挙げられる。さらに高速高精度に付与できる手法としてインクジェットデバイスを用いるのも極めて好適である。
なお、後述するインクが、例えばインクジェットデバイスを用いて上記反応液が付与された中間転写体表面に付与されると、表面でこの反応液とインクとが接触し、高粘度化したインク画像が中間画像として形成される。このようにすることで中間画像のブリーディングやビーディングをより低減させることができる。
(工程i−2)
続いて、中間転写体上に、必要に応じて上記反応液が付与された後、例えばインクジェットデバイスを用いてインクが画像様に付与される。
本発明に適用できるインクジェットデバイスとしては、例えば電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態、電気−機械変換体によってインクを吐出する形態、静電気を利用してインクを吐出する形態等がある。本発明では、インクジェット液体吐出技術で提案される各種インクジェットデバイスをいずれも用いることができる。中でも特に高速で高密度の記録の観点からは電気−熱変換体を利用したものが好適に用いられる。
またインクジェットデバイス全体の形態としては特に制限はない。中間転写体の進行方向(中間転写体がドラム形状の場合は回転方向)と略垂直方向にインク吐出口を配列してなるラインヘッド形態のインクジェットヘッドや、中間転写体の進行方向と垂直にヘッドを走査しながら記録を行うシャトル形態のヘッドを用いることもできる。
・インク
本発明に用いるインクは、例えばインクジェット用インクとして広く用いられているインクから適宜選択して用いることができる。具体的には、染料やカーボンブラック、有機顔料といった色材を溶解または分散、あるいは溶解および分散させた各種インクを用いることができる。中でも特にカーボンブラックや有機顔料インクは、耐候性や発色性の良い画像が得られるため好適である。
また環境に対する負荷や、使用時の臭気の観点から、インクとしては、水を含む水性インクが好適である。特にインク中に水分を45質量%以上含み、溶媒の主成分(最も多く含有する成分)が水であるインクが非常に好ましい。さらに、インク中の色材含有量が0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましい。また、インク中の色材含有量が15.0質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以下であることがより好ましい。
色材としては染料やカーボンブラック、有機顔料、及びそれに付随する樹脂等が含まれ、以下に示すものが使用可能である。
染料としては、例えば、C.I.ダイレクトブルー6、8、22、34、70、71、76、78、86、142、199、C.I.アシッドブルー9、22、40、59、93、102、104、117、120、167、229、C.I.ダイレクトレッド1、4、17、28、83、227、C.I.アシッドレッド1、4、8、13、14、15、18、21、26、35、37、249、257、289、C.I.ダイレクトイエロー12、24、26、86、98、132、142、C.I.アシッドイエロー1、3、4、7、11、12、13、14、19、23、25、34、44、71、C.I.フードブラック1、2、C.I.アシッドブラック2、7、24、26、31、52、112、118等が挙げられる。上記以外でも公知の染料を用いることができる。
カーボンブラックは、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラック顔料を挙げることができ、具体的には、以下の市販品などを用いることができる。なお、本発明で用いることができるカーボンブラックは、これらに限定されるものではなく、公知のカーボンブラックを用いることができる。また、マグネタイト、フェライトなどの磁性体微粒子やチタンブラックなどを用いてもよい。
レイヴァン:7000、5750、5250、5000、3500、2000、1500、1250、1200、1190ULTRA−II、1170、1255(以上商品名、コロンビア製)。ブラックパールズ:L、リーガル:400R、330R、660R、モウグル:L、モナク:700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、ヴァルカン:XC−72R(以上商品名、キャボット製)。カラーブラック:FW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリンテックス:35、U、V、140U、140V、スペシャルブラック:6、5、4A、4(以上商品名、デグッサ製)。No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上商品名、三菱化学製)。
有機顔料としては、例えば、以下のものを用いることができる。
トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッドなどの水不溶性アゾ顔料。リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの水溶性アゾ顔料。アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーンなどの建染染料からの誘導体。フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料。キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系顔料。ペリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系顔料。イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系顔料。ベンズイミダゾロンイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッドなどのイミダゾロン系顔料。ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジなどのピランスロン系顔料。インジゴ系顔料。縮合アゾ系顔料。チオインジゴ系顔料。フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、キノフタロンイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレットなど。
また、有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示すと、以下のものを用いることができる。C.I.ピグメントイエロー:12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、151、153、154、166、168。C.I.ピグメントオレンジ:16、36、43、51、55、59、61。C.I.ピグメントレッド:9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、170、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240。C.I.ピグメントバイオレット:19、23、29、30、37、40、50。C.I.ピグメントブルー:15、15:3、15:1、15:4、15:6、22、60、64。C.I.ピグメントグリーン:7、36。C.I.ピグメントブラウン:23、25、26。上記以外でも公知の有機顔料を用いることができる。
これらの顔料は、形態としての限定を受けず、例えば、自己分散タイプ、樹脂分散タイプ、マイクロカプセルタイプ等のものをいずれも使用することが可能である。その際、顔料の分散剤を使用することができ、この分散剤としては、例えば、水溶性で、重量平均分子量が1000〜15000程度の分散樹脂が好適に使用できる。この分散樹脂の具体例としては、ビニル系水溶性樹脂、スチレンおよびその誘導体、ビニルナフタレンおよびその誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル、アクリル酸およびその誘導体、マレイン酸およびその誘導体、イタコン酸およびその誘導体、フマル酸およびその誘導体からなるブロック共重合体或いはランダム共重合体、また、これらの塩等が挙げられる。
また、最終的に形成された画像の堅牢性を向上させるために、水溶性樹脂や水溶性架橋剤をインクに添加することもできる。水溶性樹脂や水溶性架橋剤として用いる材料としてはインク中の他の成分と共存できるものであれば制限は無い。水溶性樹脂としては、上述した分散樹脂をそのまま用いることができ、即ち、上記分散樹脂は、分散剤として働くだけでなく、画像の堅牢性も向上させることができる。水溶性架橋剤としては、オキザゾリンやカルボジイミドがインク安定性の面で好適に用いられる。またポリエチレングリコールジアクリレートやアクリロイルモルフォリンのような反応性オリゴマーも好適に用いることができる。
また、中間転写体を用いる画像記録方法においては、記録媒体に転写するときのインクはほぼ色材と高沸点有機溶剤だけとなる場合があるので、転写性向上のために適量の有機溶剤をインク中に含有させることも有効である。使用する有機溶剤としては、高沸点で蒸気圧の低い水溶性の材料であることが好ましい。例えば、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのアルカンジオール類。ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテルなどのグリコールエーテル類。エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第2ブタノール、第3ブタノールなどの炭素数1以上4以下のアルキルアルコール類。N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのカルボン酸アミド類。アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オンなどのケトン、又は、ケトアルコール。テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類。グリセリン。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのアルキレングリコール類。チオジグリコール、1,2,6−ヘキサントリオールなどの多価アルコール類。2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルモルホリンなどの複素環類、ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物等が好適に用いられる。また、これらの中から2種類以上の物を選択して混合して用いることもできる。
また、本発明に用いるインクは上記成分以外にも必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、水溶性樹脂の中和剤、塩などの、種々の添加剤を含有してもよい。
また、インクに必要に応じて界面活性剤を加えてインクの表面張力を適宜調整することも好ましい。この界面活性剤としては、インクに対して保存安定性等を低下させる影響を及ぼさない範囲で適宜選択することができる。この界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類、アセチレンアルコール類、アセチレングリコール類等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。またこれらの2種以上を適宜選択して使用することもできる。
インクを構成する成分の配合比については限定を受けることなく、選択したインクジェットヘッドの吐出力、ノズル径等から吐出可能な範囲で、適宜に調製することが可能である。
インクがインクジェットデバイスを用いて、上記反応液が付与された中間転写体の画像形成面に付与されると、表面でこの反応液とインクとが接触し、高粘度化したインク画像が中間画像として形成される。
なお当然であるが、この中間画像形成時には、中間転写体上に所望の画像が反転した画像(ミラー画像)を形成する。
<水分除去工程>
本発明の画像記録方法には、前記中間画像から中間画像を構成するインク等の液体分を減少させる工程を設けることが好ましい。これにより、中間画像を構成する液体分が非常に多い場合に次の転写工程において余剰液体がはみ出したり、あふれ出したりすることを容易に抑制でき、画像の乱れや、転写不良の発生を容易に抑制することができる。
なお水分除去の手法としては旧来用いられている各種手法がいずれも好適に適用できる。例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法、吸収体を接触させる方法、またこれらを組み合わせる手法がいずれも好適に用いることができる。また、この水分除去工程を自然乾燥により行うことも可能である。
<工程ii:転写工程>
その後、中間画像に記録媒体を接触して、その中間画像を中間転写体上から記録媒体へ転写することで、画像を得る。転写する際には、図1に示すように、支持部材12と、転写手段である加圧ローラ18とによって、中間転写体11(ゴム部材11b及び表面改質層11a)、中間画像、並びに記録媒体17を両側から加圧することが好ましく、これにより効率良く画像を転写形成できる。また多段階に加圧することも転写不良の軽減に効果が有り好適である。以上より、画像が付与された記録媒体を得ることができる。
なお、本明細書において「記録媒体」とは、一般的な記録で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック、フィルムその他の記録媒体、記録メディアも含めて言う。なお、記録媒体の形状は、例えば、長尺でロール状のシートにしても良いし、規定の形状にカットされた枚葉シートにしても良い。
本発明の画像記録方法では、上述した各工程を行うことにより、転写工程の段階で、既に中間転写体上に形成されたインク画像中の液体成分は減少し高粘度化されているので、ペットフィルムのようなインク吸収をほとんどしない記録媒体を用いても良好な画像を容易に形成することができる。
<クリーニング工程>
以上で画像形成は完了するが、中間転写体は生産性の観点から繰り返し連続的に用いることがあり、その際には次の画像形成を行う前に表面を洗浄再生するクリーニング工程を有することが好ましい。
洗浄再生を行う手段としては、旧来用いられている各種手法がいずれも好適に適用できる。中間転写体表面にシャワー状に洗浄液を当てる方法、濡らしたモルトンローラを表面に当接させ払拭する方法、洗浄液面に接触させる方法、またワイパーブレードで掻き取る方法、各種エネルギーを付与する方法など、いずれも好適に用いられる。無論、これらを複数組み合わせる手法も好適である。
<定着工程>
なお、画像記録が行われた、即ち画像が付与された記録媒体をローラで加圧し、表面平滑性を高める定着工程を行っても良い。またこの際、ローラを加熱しておくと画像の堅牢性が向上する場合もありこれも好適である。
<<画像記録装置>>
本発明の画像記録方法には、例えば図1に示す画像記録装置(転写型インクジェット記録装置)を用いることができる。この記録装置では、支持部材12上に配される中間転写体11と、反応液付与手段として反応液付与デバイス13と、インク付与手段としてインクジェットデバイス14と、水分除去手段として送風装置15及び加熱ヒータ16と、記録媒体17と、転写手段として加圧ローラ18と、クリーニング手段としてクリーニングユニット19とを有している。また、この中間転写体11は、回転可能なドラム状の支持部材12の外周面に固定されている。そして、この支持部材12は軸(支持部材の回転軸12a)を中心として矢印方向(反時計方向)に回転駆動し、その回転と同期して、周辺に配置された各デバイスが作動するようになっている。
上記反応液付与デバイス13は、反応液を中間転写体表面に連続的に付与する構造を有することができる。
上記送風装置15は、中間転写体上の中間画像を構成するインク中の液体分を減少させる目的で配置されており、また同時に、中間転写体の裏面側から加熱を行う加熱ヒータ16も配置されている。これらによりインク画像中の液体分が乾燥し、転写時の画像の乱れが容易に抑制される。
そして、中間転写体上に形成されている中間画像に記録媒体17を接触させ、中間画像を転写形成させるための加圧ローラ18が配置されている。この画像記録装置では、支持部材12と加圧ローラ18とで、中間画像が形成された中間転写体11と記録媒体17を挟み込むように加圧することで、効率の良い画像転写を実現している。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。もちろん、本発明は下記実施例に限られるものではない。
(実施例1)
まず、厚さ0.5mmのポリエチレンテレフタレート(PET)シート(東レ製、商品名:ルミラー S10)に、ゴム硬度(デュロメータ・タイプA硬度)が40°のシリコーンゴム(信越化学製、商品名:KE12)を0.2mmの厚さにコーティングし、ゴム部材を作製した(ゴム部材作製工程)。
次に、このゴム部材の表面に、大気圧プラズマ処理装置(キーエンス社製、商品名:ST−7000)を用いて、下記条件にて表面改質を施した(活性化処理工程)。
表面処理条件
処理距離: 5mm
プラズマモード: High
処理速度: 100mm/sec。
続いて、以下の手順により、プラズマ処理されたゴム部材の表面を親水化する処理(シランカップリング処理)を行った(付与工程及び反応工程)。
1)シランカップリング剤の加水分解:
まず、以下の材料からなるシランカップリング剤溶液を作製した。
シランカップリング剤(ポリエチレンオキシド変性アルコキシシラン、(CH3O)3SiC36O(C24O)2124CH3):0.2質量部
水:80質量部
エタノール:20質量部。
2)シランカップリング剤の付与:
上記プラズマ処理されたゴム部材を、このシランカップリング剤溶液の中に浸漬し、室温(25℃)で15分静置した。その後、この溶液からゴム部材を取り出し、室温(25℃)で自然乾燥を行った。
3)加熱処理:
得られたゴム部材を、加熱温度383K、加熱時間300分で加熱処理し、中間転写体を得た。この中間転写体を水洗し、室温(25℃)で乾燥させた。
そして、支持部材である、アルミニウム合金からなる円筒形のドラムに、得られた中間転写体を両面粘着テープにより固定した。
続いて、図1に示す画像記録装置に、上記支持部材上に配された上記中間転写体を設置した。そして、この画像記録装置の反応液付与デバイスから、以下の反応液をこの中間転写体の表面に付与した(工程i−1)。この反応液は、金属塩の水溶液であり、具体的には塩化カルシウム(CaCl2・2H2O)の7.1質量%水溶液に界面活性剤としてアセチレノールE40(商品名)を反応液全量に対して1.2質量%を適宜添加して表面張力を調整したものである。なお、金属種及び濃度は適宜条件に応じて変更可能である。
次に、インクジェットデバイスから、以下に示す画像形成用のインクを吐出し、中間転写体上に中間画像(ミラー反転している画像)を形成した(工程i−2)。なお、このインクジェットデバイスは、電気熱変換素子を用いオンデマンド方式にてインク吐出を行うタイプのデバイスである。
以下に、使用したインク(樹脂分散型顔料インク)の組成を示す。
・顔料色材:C.I.ピグメントブルー15 3.0質量部
・分散樹脂:スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体(酸価240、重量平均分子量5000) 1.3質量部
・非水溶剤1:グリセリン 10.0質量部
・非水溶剤2:エチレングリコール 5.1質量部
・界面活性剤:アセチレノールE100(商品名) 0.6質量部
・イオン交換水: 80.0質量部。
次に、送風装置及び加熱ヒータにより、中間転写体表面に形成したインク画像(中間画像)中の液体分を乾燥させた(水分除去工程)。続いて、この中間画像が形成された中間転写体及び記録媒体を、支持部材と、加圧ローラとで挟み込むように加圧することで、この画像を記録媒体に転写した(工程ii)。なお、この記録媒体として、表面を親水化処理した、長尺でロール状のペットフィルム(厚さ75μm、東レ製、商品名:ルミラーS105)を用いた。これにより、画像が付与された記録媒体を得た。
次に、イオン交換水により常時湿潤されるモルトンローラが間欠的に、中間転写体の表面に当接する構成を有するクリーニングユニットによって、インク画像を記録媒体に付与した後の中間転写体表面を洗浄した(クリーニング工程)。そして、この中間転写体を、次の画像形成に繰り返し用いた。
(実施例2〜12、比較例1〜8)
ゴム部材表面に付与するシランカップリング剤と、反応工程における加熱条件を以下の表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、中間転写体を製造し、図1に示す画像記録装置を用いて画像を付与した記録媒体を作製した。実施例1〜12、および比較例1〜8の各条件を表1に示す。
Figure 0006071450
なお、表1中の*1〜*5は、具体的には、以下のものを用いた。
*1)ポリエチレンオキシド変性アルコキシシラン:(CH3O)3SiC36O(C24O)21-24CH3 (Gelest社製)
*2)ポリプロピレンオキシド変性アルコキシシラン:(CH3O)3SiC36O(C24O)5(C36O)10CH3(社内試作品)
*3)ポリビニルアルコール(PVA)変性アルコキシシラン:(CH2―CH(OCOCH3))1(CH2―CH(OH))99(CH2―CH(C36Si(OCH33))0.2(社内試作品)
但し*3の共重合比(1:99:0.2)は概値である。
*4)ポリエチレンオキシド変性アルコキシシラン:(CH3O)3SiC36O(C24O)9-12CH3 (Gelest社製)
*5)ポリエチレンオキシド変性アルコキシシラン:(C25O)3SiC36O(C24O)8-12CH3 (Gelest社製)。
(評価方法)
・水の静的接触角
各例に用いた中間転写体表面に対する水の静的接触角を、以下の2つの段階で接触角計(協和界面化学工業)を用いて測定した。
1)作製直後:
中間転写体作製直後、即ち反応工程より得られる中間転写体の水の静的接触角
2)転写耐久後:
図1の画像記録装置にて、転写を500回(転写圧力:0.2MPa、稼動温度:50℃)行った後の、中間転写体の水の静的接触角。
・画像保持性
中間転写体の画像保持性は、作製直後及び転写耐久後の記録媒体の転写画像にハジキ及びブリーディングが発生していないかを目視することにより確認、以下の基準に基づき評価した。
画像保持性評価の基準
○:評価人数20人のうち好ましいと評価した評価者が6割以上、
△:評価人数20人のうち好ましいと評価した評価者が3割以上6割未満、
×:評価人数20人のうち好ましいと評価した評価者が3割未満。
各例に対する評価結果を以下の表2に示す。
Figure 0006071450
まず、実施例、比較例にかかわらず、ゴム部材の表面にシリコーンゴムを有する転写体は、耐久前後においても、優れた転写性を示した。これより、ゴム表面に表面改質層を設けた場合でおいても、活性化処理及び親水化処理前のゴム部材と同等の優れた離型性を保つことが可能であることが分かった。
また、画像保持性に関しては、実施例1〜12では良好な結果が得られた。しかし、比較例1〜8ではいずれも、転写耐久後の中間転写体に対する水の接触角が高く、良好な画像保持性が得られなかった。
図2に、上記実施例及び比較例での反応工程における加熱温度と、加熱時間との関係を表すグラフを示す。なお、図2に示す符号は、転写耐久後における各実施例及び各比較例の画像保持性の評価結果を意味する。この図からも明らかなように、最適な加熱条件、即ち、加熱温度Aが373K以上523K未満、加熱時間Bが20分以上350分未満、かつ、3500≦(A−360)×B≦12000を満たす加熱条件でゴム部材表面のシリコーンゴムとシランカップリング剤との反応を行えば、以下の中間転写体が得られることが分かった。即ち、耐久試験後に画像保持性を維持できる中間転写体、より具体的には、耐久性に優れかつ画像保持性と離型性(転写性)を両立可能な中間転写体が得られることが分かった。
上記の結果から明らかなように、本発明によれば、画像形成及び転写を繰り返し行っても、表面の親水性が変化することなく安定した離型性と画像保持性を有する耐久性に優れた中間転写体を提供することができる。
11・・・中間転写体(表層部材)
11a・・表面改質層
11b・・ゴム部材
12・・・支持部材
12a・・支持部材の回転軸
13・・・反応液付与デバイス
14・・・インクジェットデバイス
15・・・送風装置
16・・・加熱ヒータ
17・・・記録媒体
18・・・加圧ローラ
19・・・クリーニングユニット

Claims (4)

  1. インクを中間転写体に付与することによって形成された中間画像を記録媒体に転写することで、画像を得る画像記録方法に用いる中間転写体の製造方法であって、
    表面にシリコーンゴムを有する部材の前記表面に、シランカップリング剤を付与する付与工程と、
    前記シランカップリング剤を付与した部材を加熱することによって、前記シリコーンゴムと、前記シランカップリング剤とを反応させる反応工程と
    を有し、
    前記シランカップリング剤が、下記の一般式Iで表される化合物であり、
    (一般式I)
    (R 1 O) 3 SiR 2 O(C 2 4 O) a (C 3 6 O) b 3
    (式中、R 1 は炭素数1以上10以下のアルキル基を表し、R 2 は炭素数1以上10以下のアルキル基、またはフェニル基を表し、R 3 は水素原子、または炭素数1以上10以下のアルキル基を表し、
    aは2以上200以下の整数を表し、bは0以上200以下の整数を表し、ただし、aとbとの合計は3以上200以下の整数となる。)
    前記反応工程における、加熱温度Aが373K以上523K未満であり、加熱時間Bが20分以上350分未満であり、
    前記加熱温度A及び前記加熱時間Bが、以下の式1を満たすことを特徴とする中間転写体の製造方法。
    (式1)3,500≦(A−360)×B≦12,000
  2. 前記加熱温度Aが、390K以上460K以下である請求項1に記載の中間転写体の製造方法。
  3. 前記加熱時間Bが、30分以上350分未満である請求項1または2に記載の中間転写体の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法より得られる中間転写体に、インクを付与すること
    により中間画像を形成する工程と、
    前記中間画像が形成された中間転写体に記録媒体を接触させて前記中間画像を前記記録媒体へ転写する工程とを含む、画像記録方法。
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