《実施例1》
図1は本実施例における画像形成システムの概略断面図であり、大別して、画像読み取り装置200と、記録媒体としてのシート(以下、用紙と記す)Sに画像を形成(印刷)する電子写真方式の画像形成装置100を備える。画像読取装置200は画像形成装置100の上部に搭載されており、画像読取部210と、原稿Dを画像読取部210へ給送する原稿給送部220から構成されている。
画像形成装置100の装置本体100Aの内部には、下部から上部に向かって順に、用紙給送部10、画像形成部(画像形成手段)20、定着部(定着手段)30、用紙排出部40が設けられている。また、図面上において、画像形成部20、定着部30の右側には、用紙再給送部50が設けられている。
用紙給送部10は、給送カセット11や手差しトレイ(マルチ給紙トレイ)17に積載された用紙Sを画像形成部20へ給送する。給送カセット11に収納された用紙Sは、ピックアップローラ12が回転することによって分離ローラ対13へ給送される。用紙Sが重送している場合は、正転ローラと反転ローラとからなる分離ローラ対13によって1枚に分離され、実線で示す給送パスPS1に供給される。
次に、用紙Sは、給送ローラ対15によってレジストローラ対16に搬送される。ここで、回転を停止しているレジストローラ対16のニップに用紙Sの先端を倣わせることで、用紙Sの斜行を矯正する。なお、手差しトレイ17から用紙Sを給送する場合は、供給ローラ18aおよび分離パッド18bによって用紙Sを1枚に分離する。そして、供給ローラ対19によって給送ローラ対15に供給され、レジストローラ対16に搬送されることで用紙Sの斜行が矯正される。そして、斜行が矯正された用紙Sは、所定のタイミングで回転するレジストローラ対16によって画像形成部20に搬送される。
画像形成部20では、帯電ローラ22によって像担持体としての回転する感光ドラム(以下、ドラムと記す)21がその表面を均一に帯電されている。露光装置としてのレーザスキャナ(レーザユニット)23から画像情報に対応したレーザ光がドラム21に照射(走査露光)される。そうすると、ドラム21のレーザ光が照射された部分は帯電ローラ22によって帯電されていた電荷が除去されて、ドラム面に画像情報に対応した静電潜像が形成される。ここで形成された静電潜像は現像装置24Aの現像ローラ24によって現像剤(トナー)が付着され、現像剤像(トナー像)として可視化される。
この現像剤像はドラム21の回転によって転写ニップ部N1に搬送される。このタイミングに合わせてレジストローラ対16から用紙Sが転写ニップ部N1に搬送される。搬送された用紙Sは転写ニップ部N1においてドラム21と転写ローラ25に挟持搬送される。このとき転写ローラ25からのバイアス電圧印加によってドラム21に形成された現像剤像が用紙Sに転写される。なお、レーザスキャナ23から照射されるレーザ光は、画像読取装置200あるいはホストPC1より制御手段としてのCPU101(図2)に送信された画像データに基づいて制御される。
次に、現像剤像が形成された用紙Sは、定着部30へと搬送される。定着部30は、ハロゲンランプ等の熱源33(図3)、定着部材としての定着ローラ31、加圧ローラ32等を備える。定着ローラ31はアルミ等の材質からなり、熱源33により所定の温度に加熱される。加圧ローラ32は定着ローラ31に接触して所定の圧力で加圧するよう設置され、定着ニップ部N2を形成する。
現像剤像が形成された用紙Sは、定着ニップ部N2に送り込まれて、定着ローラ31と加圧ローラ32とで挟持搬送される。このときに加熱加圧されることで、現像剤像が用紙S上に定着(熱定着)される。定着部30にて現像剤像が定着された用紙Sは、排出部40へと搬送され、排出ローラ対41によって排出トレイ42へ排出される。
なお、定着部30は、上記のように定着ローラ31で用紙Sを加熱する加熱ローラ方式の定着装置に限られない。例えば、セラミックヒータ等の熱源を、エンドレスフィルムを介して加圧ローラ32が加圧することで定着ニップ部N2を形成し、ニップ部N2にて用紙Sを挟持搬送しながら加熱加圧するオンデマンド定着方式の定着装置等を用いても良い。
用紙Sの両面に画像を形成する場合は、1面目に画像形成された用紙Sが排出ローラ対41によって搬送されているときに、用紙Sの後端が排出ローラ対41を抜ける前に排出ローラ対41を一旦停止させる。さらに排出ローラ対41を逆回転させることで、用紙Sを反転させて用紙再給送部50へ搬送する。
再給送部50へ搬送された用紙Sは、再給送ローラ対51a、51bによって破線で示す再給送パスPS2を搬送され、再給送ローラ対51cによってレジストローラ対16に搬送される。そして、レジストローラ対16によって斜行を矯正された後、表裏反転状態の用紙Sが転写ニップ部N1に搬送されることで、用紙Sの2面目に現像剤像が形成される。その後は、用紙Sの表面に画像形成したときと同様に定着ニップ部N2を搬送されることで現像剤像が用紙Sに定着され、両面に画像が形成された用紙Sは排出ローラ対41によって排出トレイ42へ排出される。
また、画像形成装置100の内部には、レーザスキャナ23の周囲の温湿度を検出する環境条件検出手段として環境センサS1が設置されている。この環境センサS1はレーザスキャナ23と遮蔽されていない同一空間内に設置されておりレーザスキャナ周囲の温湿度の検出が可能である。即ち、環境センサS1は画像形成部20や定着部30を収容している装置本体100Aの内部空気の温度、湿度を電気信号として検出可能である。
温度の検出手段としてはサーミスタ(第1の温度検出手段)が、湿度の検出手段としては静電容量センサ(湿度検出手段)が一般的に知られており、本実施例においてはそれらを組み合わせた複合センサを環境センサS1として備える。
また、レーザスキャナ23のレーザ射出部には透明部材(光を透過する透光部材)である防塵部材23aが設置されている。そして、その防塵部材23aの周辺の温度を検出する防塵部材温度検出手段(防塵部材23aの表面温度を検知する第2の温度検出手段)23bが配設されている。本実施例ではこの温度検出手段23bはサーミスタである。
図2は図1の画像形成システムの制御ブロック図である。101は制御手段としてのCPUである。このCPU101は入力データの記憶や作業用記憶領域等として用いるRAM102と、制御手順等のプログラムを記憶したROM103を備える。CPU101は外部インターフェース2を介してホストPC1と接続され、画像データの受信や装置ステータスの送信などを行う。
CPU101は、画像読取装置200による原稿の読取動作及び原稿の搬送動作を制御する画像読取装置制御部120、画像読取装置制御部120もしくはホストPC1からの画像信号を処理する画像信号処理部110と接続される。また、CPU101は、画像信号処理部110から送られる画像信号に応じて用紙Sに画像を形成する画像形成装置制御部130、本体の設定等を行うほかユーザーへのメッセージ等を表示する操作・表示部140と接続される。
図3は図2における画像形成装置制御部130のブロック図である。装置本体100Aの内部空気の露点温度は、図3のCPU121にて環境センサS1で検出したレーザスキャナ23の周辺の温度Ts、湿度Hsに基づいて、公知の計算式により露点温度Tdを算出している。具体的には、露点温度Tdの算出は、SON−NTAGの式から飽和水蒸気圧ewを算出し、レーザスキャナ23の周辺の温度Tsにおける水蒸気圧eを
e=H/100×ew
により求める。
そして、露点温度Tdを
y=ln(e/611.213)
として、y≧0の場合、
Td=13.715y+8.4262×10−1y2+1.9048×10−2y3+7.8158×10−3y4
y<0の場合、
Td=13.7204y+7.36631×10−1y2+3.32136×10−2y3+7.78591×10−4y4
により算出する。
図3において、画像形成装置制御部130は制御手段としてのCPU121を備える。CPU121は、図2の画像形成システムの制御ブロック図と同じく、入力データの記憶や作業用記憶領域等として用いるRAM122と制御手順等のプログラムを記憶したROM123とを備える。
CPU121には、I/Oポート124を介して、帯電ローラ22、現像ローラ24、転写ローラ25、熱源33に電圧を印加するための電圧制御ユニットU1が接続されている。また、CPU121には、I/Oポート124を介して、図1のドラム21表面を露光するためのレーザスキャナ23と、共通駆動モータドライバD1と、ファンモータドライバD2と、が接続されている。
共通駆動モータドライバD1は、ドラム21、現像ローラ24、転写ローラ25を回転させる駆動源としての共通駆動モータM1の動作を制御する。ファンモータドライバD2は、図1において定着部30と用紙Sを冷却する冷却ファン60を駆動するファンモータM2の動作を制御する。冷却ファン60が定着部30を通過後の用紙Sに向けて空気を吹き付ける送風手段である。また、CPU121には環境センサS1が接続されており、画像形成装置内の温度、湿度を検出可能である。
図4は図1の画像形成装置100において、後述する結露対策モードを実施しない場合における機内(装置本体内)の空気の流れ(風路)を説明する図である。矢印Aは空気の流れ(風路)を示す。吸湿した用紙Sを印刷する場合、定着部30において加熱・加圧された後の用紙Sと、定着部30とを冷却するために、冷却ファン60は、機外の空気を常に一定の風量(所定の第1の風量)で、定着部30と用紙Sとに吹き付けている。用紙Sが定着部30で加熱されると、用紙Sに含まれる水分は水蒸気となって放出され、定着部30の周辺の空気の温湿度が上昇する。
湿度の高い空気が、冷却ファン60による気流により、定着部30の後方にある画像形成装置内部の露光装置としてのレーザスキャナ23に到達すると、レーザスキャナ23に結露が発生する場合がある。即ち、定着部30を通過後の用紙Sに向けて冷却ファン60により吹き付けられた空気が装置本体100Aの内部に進入する風路Aによりレーザスキャナ23に到達すると、レーザスキャナ23に結露が発生する場合がある。
特に、レーザスキャナ23のレーザ出力部に設けられた、透明な部材で構成される防塵部材23aの表面で結露が生じると、出力画像の濃度低下などの画像不良が発生する場合がある。これは、ドラム21への光路上に設置されている防塵部材23aの表面に結露が生じると、レーザスキャナ23の光源からドラム21へ照射されるレーザ(光)の光量が低下するためである。
図5の(a)は吸湿した用紙Sが大量に通紙された場合の通紙枚数に対する防塵部材23aの温度Tgの推移と、その時のレーザスキャナ23周辺の空間の温湿度から算出した装置本体の内部空気の露点温度Tdの推移である。
実線で示されている防塵部材23aの温度Tgは連続通紙枚数が増えると、ほぼ直線状に温度が上昇していく(300枚通紙までは約1℃/100枚のペースで上昇し、300枚以降は防塵部材23aの温度Tgの上昇は飽和傾向)。通紙前は装置本体内部と装置設置環境はほぼ同じ温度であるが、吸湿した用紙Sを大量に通紙すると装置本体内部の温湿度が急激に上昇することで、レーザスキャナ23周辺の温湿度から算出された破線で示されている露点温度Tdは急激に上昇する。
通紙枚数に応じて徐々に温度上昇している防塵部材23aの温度Tgは、装置設置環境、条件にも依るが、吸湿した用紙Sを数十枚通紙する場合に上昇する露点温度Tdに対して所定に高い温度状態を確保できないと防塵部材23aが結露する。即ち、露点温度Tdと防塵部材23aの温度Tgの差分である(Tg−Td)が所定の第1の閾値温度Aの値以上(本実施例では1℃以上)を確保できないと防塵部材23aが結露する。本実施例では、この結露ケースを吸湿紙通紙時結露(記録媒体の吸湿による結露ケース)と呼ぶ。
図6は本実施例による後述する結露ケース判定で吸湿紙通紙時結露と判定した場合の結露対策モードの実施時(実行時)の画像形成装置100における装置本体内部の空気の流れ(風路)を説明する図である。矢印Bは空気の流れ(風路)を示す。
冷却ファン60の風量は、図3のCPU121によって、図3のファンモータドライバD1を介してファンモータM2が制御されることにより、調整される。冷却ファン60の風量は、発生した気流が画像形成装置100の各部品に遮断されてレーザスキャナ23に到達しない程度に調整される。本実施例においては全速駆動(100%:所定の第1の風量)に対して半速駆動(50%:第1の風量よりも低減した所定の第2の風量)の出力に調整している。
図5の(b)は低温環境から移動してきた画像形成装置100を暖かい環境で使用する場合の通紙枚数に対する防塵部材23aの温度Tgの推移と、その時のレーザスキャナ23周辺の空間の温湿度から算出した装置本体の内部空気の露点温度Tdの推移である。
実線で示されている防塵部材23aの温度は連続通紙枚数が増えると、ほぼ直線状に温度が上昇していく(300枚通紙までは約1℃/100枚のペースで上昇し、300枚以降は防塵部材23a温度Tgの上昇は飽和傾向)。用紙Sを通紙する前から装置本体内部の温度が低い。そのため、装置本体内に暖かい環境の空気が入ってくると、通紙前から防塵部材23aが結露する可能性がある。
即ち、レーザスキャナ23周辺の温湿度から算出された破線で示されている露点温度Tdと防塵部材23aの温度Tgの差分である(Tg−Td)が所定の第1の閾値温度A1よりも低なると(本実施例では1℃未満)、防塵部材23aが結露する。この場合は、用紙を通紙する前から結露しているので、一枚目から重度の出力画像の濃度低下などの画像不良が発生することがある。本実施例では、この結露ケースを本体低温時結露と呼ぶ。
本体低温時結露の対策としては、定着部30の立ち上げ処理を含む作像前処理動作の実行時に、次の(1)乃至(3)の結露対策モードの何れか1つの実行、若しくは何れか2つの組み合わせの実行、若しくは3つ全ての実行が挙げられる。
(1)冷却ファン60の駆動を停止する、あるいは所定の第1の風量U1(全速駆動)よりも低減した所定の第2の風量U2(半速駆動)に変更する結露対策モード
(2)作像前処理動作を延長する結露対策モード
(3)定着部30の定着温調温度を所定の第1の定着温調温度T1よりも高い所定の第2の定着温調温度T2に変更する結露対策モード。
ここで、定着部30の立ち上げ処理は、定着部30を駆動させ、かつ熱源33に電力供給して定着部材を所定の目標温度に上昇させるウォームアップ処理である。作像前処理動作は、装置電源の投入時(電源ON時)あるいは装置の待機状態(スリープ状態)からの復帰待に実行される、上記の定着部30の立ち上げ処理を含む作像前ウォームアップ処理(いわゆる前多回転動作や前回転動作:イニシャル動作)である。
上記の結露対策モードの実行の結果、装置本体の内部空気の温度が上昇し、防塵部材23aの温度も上昇し、露点温度Tdよりも防塵部材23aの温度を高くすることで結露を回復させている。
本実施例では、その時の装置本体内部のレーザスキャナ23周辺の空間の露点温度Tdと防塵部材23aの温度Tgの推移をモニターし、結露が回復する露点温度Tdと防塵部材23aの温度Tgになるまで作像前処理動作を延長させて結露を回復させる。これにより、防塵部材23aの結露による画像濃度の低下を防いでいる。また、定着部30の通常の温調温度(第1の定着温調温度T1)よりも温調温度を20℃高くし(第2の定着温調温度T2)、冷却ファン60は半速にして動作(第2の風量)させている。即ち、上記(1)乃至(3)の3つ全ての結露対策モードを実行させている。
図7のフローチャートに基づいて、本実施例における結露ケースの切り分け方法と切り分けた後の結露対策について説明を行う。図7の処理は、図3のROM123内に格納されているプログラムを、図3のCPU121が実行することにより実施される。
画像形成装置100の待機状態(スリープ状態)において図1のホストPC1から図2のCPU101にプリント指令として印刷ジョブが送信されると、定着部30の立ち上げ処理を含む作像前処理動作(前回転動作)が実行される。図3のCPU121は、図3の共通駆動モータドライバD1を介して共通駆動モータを回転させる。これと共に、図3の電圧制御ユニットU1を介して図3の熱源33に電圧を印加する。これにより、定着部30立ち上げ処理を行う(ステップS701)。
この作像前処理動作の開始時に、図3の環境センサS1によりレーザスキャナ23周辺の温度と湿度、サーミスタ23bにより防塵部材23aの温度を検出する(ステップS702)。ステップS702で検出したレーザスキャナ23周辺の温度と湿度の環境条件に基づいて露点温度Tdを算出する(ステップS703)。算出した露点温度Tdと、サーミスタ23bにより検出した防塵部材23aの温度Tgを比較する(ステップS704)。
そして、ステップS705の結露ケース判定1では、露点温度Tdと防塵部材23aの温度Tgの差分である(Tg−Td)から本体低温時結露かを判別する。即ち、(Tg−Td)が第1の閾値温度(第一設定温度)A1の値以上である場合、本体低温時結露ではないと判断する。本実施例では第1の閾値温度A1を1℃に設定している。従って、(Tg−Td)≧1℃の場合、本体低温時結露ではないと判断する。
そして、図3のファンモータドライバD2を介して図3のファンモータM2を制御する。本実施例では、図6の冷却ファン60を全速(第1の風量U1)で駆動させ(ステップS706)、プリント動作(画像形成動作)を実行(実施)する(ステップS707)。
次に、通紙中(画像形成動作時の記録媒体給送中)の露点温度Tdの推移を確認する(ステップS708)。ステップS709の結露ケース判定2では、通紙中の所定枚数毎の露点温度Td’の変化率b=(Td’−Td)/出力枚数を所定の変化率閾値Bと比較する。変化率(出力枚数に対する露点温度の変化量)bが変化率閾値(第二設定温度)Bよりも小さい場合は、露点温度Tdに対して防塵部材23aの温度が第1の閾値温度A1(1℃)の値以上高い状態を確保できる。
本実施例では変化率閾値Bを0.1としている。そして、10枚通紙毎の露点温度Tdの変化率(Td’−Td)/出力枚数<0.1である場合は、露点温度Tdに対して防塵部材23aの温度が1℃以上高い状態を確保できる。そのため結露の発生の可能性はなくなる。そのため、ファン60は全速駆動を維持し(ステップS710)、プリント動作を継続する(ステップS711)。
そして、印刷ジョブが終了(ステップS712)の場合は、定着部動作を停止し(ステップS713)、ファン動作を停止(ステップS714)して終了する。印刷ジョブが終了ではない場合は結露ケース判定1(ステップS705)に戻る。
次に、ステップS709の結露ケース判定2で露点温度Tdの変化率(Td’−Td)/出力枚数≧0.1である場合には、露点温度Tdに対して防塵部材23aの温度が1℃以上高い状態を確保できない。そのため、吸湿紙通紙時結露の恐れがあると判定する。そして、吸湿紙通紙時結露対策モードとして図3のファンモータドライバD2を介して図3のファンモータM2を制御する。即ち、図6のファン60の半速駆動(第2の風量U2)を実行して(ステップS715)、プリント動作を継続する(ステップS716)。
そして、印刷ジョブが終了(ステップS717)の場合は定着部動作を停止し(ステップS718)、ファン動作を停止(ステップS719)して終了する。印刷ジョブが終了でない場合は、吸湿紙通紙時結露対策モード(ステップS715)でプリント動作を実行する(ステップS716)。印刷ジョブが終了(ステップS717)の場合は定着部動作を停止し(ステップS713)、ファン動作を停止(ステップS714)して終了する。印刷ジョブが終了ではない場合は吸湿紙通紙時結露対策モード(ステップS715)に戻りプリント動作(ステップS716)を継続する。
ステップS709の結露ケース判定2で吸湿紙通紙時結露であると判断された場合には、報知手段である操作・表示部140(図2)の表示部に結露ケースが吸湿紙通紙時結露であることを表示してユーザーに用紙の交換を促すようにすることもできる。このシーケンスはステップS715〜S717に代えて、あるいはこのステップの実行と共に行うことができる。
ステップS705の結露ケース判定1で(Tg−Td)≧1℃ではない場合は、本体抵抗結露と判定する。そして、報知手段である操作・表示部140(図2)の表示部に結露ケースが本体抵抗結露の結露ケースにある旨の結露アラームを報知して、ユーザーにその旨を認識させる(ステップS718)。
そして、本体低温時結露モードの結露回復動作として、ファン半速動作(第2の風量U2)と、定着温調温度を通常(第1の定着温調温度T1)より20℃アップ(第2の定着温調温度T2)と、前回転動作の延長を実施する(ステップS719)。
この結露回復動作過程で、露点温度Tdと防塵部材23aの温度Tgの推移を確認する(ステップS720)。そして、(Tg−Td)が第1の閾値温度A1よりも高い第2の閾値温度A2の値以上になったかどうか確認する(ステップS721)。本実施例では第2の閾値温度A2を2℃に設定している。従って、ステップS721の結露回復確認で(Tg−Td)≧2℃の場合、本体低温時結露が改善してプリント可能状態と判定する。そして、結露アラームを解除し(ステップS722)、ファンの全速駆動を行い(ステップS723)、プリント動作を実行する(ステップS724)。
即ち、本体低温時結露の結露対策モードの実行中に(Tg−Td)が第1の閾値温度A1よりも高い第2の閾値温度A2の値以上となった場合は、作像前処理動作を終了して画像形成装置の画像形成動作を可能にする。
印刷ジョブが終了(ステップS725)の場合は定着部動作を停止し(ステップS713)、ファン動作を停止(ステップS714)して終了する。印刷ジョブが終了ではない場合は、ファンの全速駆動を継続して(ステップS723)、プリント動作を実行する(ステップS724)。
ステップS721の結露回復確認で(Tg−Td)<2℃である場合、本体低温時結露の改善が不十分と判断し、ステップS719に戻って結露回復動作を実行する。
図6の定着部30において加熱・加圧された後の用紙Sと、図6の定着部30とを冷却するためには、常に図6の冷却ファン60を全速で駆動することが望ましい。しかし、結露の発生ケースによっては、結露の発生を回避するために、冷却ファン60を半速で駆動することにより、図6のレーザスキャナ23における結露の発生を防止する。結露は低温の条件下で発生しやすくなるため、このときに冷却ファン60の駆動を半速としても、定着部30と用紙Sの冷却に必要な風量を保つことが出来る。
なお、本実施例においては、露点温度Tdの変化率b=(Td’−Td)/出力枚数を10枚通紙毎で出しているが、2枚通紙以上であれば適宜変化率を判断する出力枚数は変更することも可能である。
また、本実施例においては、冷却ファン60の制御を全速駆動と半速駆動の二段階としているが、さらに細かく分割して制御することも可能である。
また、本実施例おいては、結露ケース判定1、2、結露回復確認判定時の温度、露点温度変化率、定着温調制御はそれぞれの装置本体の内部構造により適宜設定可能な値である。
また、本実施例においては結露回復動作としてファン制御、定着温調制御、前回転動作時間を変更しているが、いずれかの制御を行えば結露の回復は見込める。
以上、説明したように、本実施例の画像形成装置においては、レーザスキャナ23周辺の露点温度、結露対象の防塵部材23aの温度直接検出することで結露ケースを判別し、その結露ケースに応じた結露回避動作、結露回復動作を実施する。そのため、吸湿紙を使用しても定着部30において加湿された空気は、レーザスキャナ23に到達しない。また、本体低温時結露も結露が回復するまで必要最低限の回復動作で結露を解消することが可能となる。よって、露光装置としてのレーザスキャナの結露による画像不良の発生を防止することが可能となる。
《実施例2》
実施例1に記載の画像形成装置100で、環境により定着温調の設定温度の切り替えを行っている場合について説明を行う。
全環境で定着の目標温調温度が同じなら図8の環境テーブルの領域分けで結露のしやすい領域を分けることができるが、通常、用紙Sのカールや定着性等の観点から高温環境から低温環境に行くほど必要な定着の熱量が異なり、目標温調温度が高くなる。定着の目標温調温度が高くなると、用紙Sから発生する水蒸気量も増加するので、環境の温湿度に加えて用紙Sから発生する水蒸気の影響を考慮した目標温調の環境テーブルで制御することが必要となる。図9は、環境により必要な定着の目標温調温度を考慮して環境の領域分けを行った場合の定着部30の温調制御に使用する環境テーブルの一例である。
領域Cは、高温高湿環境で定着の目標温調温度も150℃と低く、結露が発生しにくい環境且つ定着の目標温調温度が低いため発生する水蒸気量少ないため結露は発生しづらい。実施例1の結露ケース判定2で露点温度Tdの変化率(Td‘−Td)/出力枚数≧0.1(ステップS709)場合(吸湿紙通紙時結露)を考える。この場合は、通常の目標温調温度(第1の定着温調温度T1)から−5℃下げた145℃(第3の定着温調温度T3)で制御すれば結露をより確実に防ぐことができる。
領域Aは、低温環境で定着性を満足させるために定着の目標温調温度も190℃と高く、用紙Sから発生する水蒸気量も多いため、結露が発生しやすい。実施例1の吸湿紙通紙時結露と判定された場合を考える。この場合は、用紙Sのカールが高温高湿環境と比較して発生しづらい環境なので、冷却ファン60を停止、もしくは必要最低限の速度で回し、通常の目標温調温度から−20℃下げれば、カールも結露もより確実に防止することが可能となる。
領域Bは、領域AとCの中間の環境である。定着の目標温調温度が180℃なので、実施例1の吸湿紙通紙時結露と判定された場合、冷却ファン60の速度を落として定着の目標温調温度も通常の目標温調温度から−10℃下げることで、カールと結露をより確実に防止することが可能となる。
なお、この環境テーブルは結露の発生しやすさにより細かく領域分けすることも可能で、その領域ごとに結露とカール、定着性を両立させる目標温調温度に調整すれば、上記条件に限定されるものではない。
図10のフローチャートに基づいて、本実施例における冷却方法について説明を行う。なお、図7のフローチャートと重複する部分については、説明を省略する。図10の処理は、図3のROM123内に格納されているプログラムを、図3のCPU121が実行することにより実施される。
図1のホストPC1から画像形成装置100へプリント指令として印刷ジョブが送信されると、図3のCPU121は、図3の環境センサS1によりレーザスキャナ23周辺の温度と湿度を検出する(ステップS1001)。次に、環境判定を行い(ステップS1002)、ステップS1001で検出した温度と湿度の環境条件を、図9のテーブルと照合する(ステップS1003)。
次に、温度と湿度の照合結果から、環境条件が領域Bにある場合、図3のCPU121は、図3の共通駆動モータドライバD1を介して共通駆動モータを回転させる。これと共に、図3の電圧制御ユニットU1を介して図3の熱源33にステップS1001で検出した温度と湿度の環境条件応じた電圧を印加する。これにより、定着部30の駆動と目標温調温度(例えば180℃)になるように立ち上げ処理を行う(ステップS1003)。
次に、ステップS1001で検出したレーザスキャナ23周辺の温度と湿度の環境条件に基づいて露点温度Tdを算出する(ステップS1004)。次に、サーミスタ23bにより防塵部材23aの温度Tgを取得し(ステップS1005)、算出した露点温度Tdと防塵部材23aの表面温度Tgを比較する(ステップS1006)。
次に、ステップS1007の結露ケース判定1では(Tg−Td)から本体低温時結露か判別する。(Tg−Td)≧1℃の場合、本体低温時結露ではないと判断し、図3のファンモータドライバD2を介して図3のファンモータM2を制御する。ここでは、図6の冷却ファン60は全速で駆動させ(ステップS1007)、プリント動作を実行する(ステップS1009)。
次に、通紙中の露点温度Tdの推移を確認する(ステップS1010)。ステップS1011の結露ケース判定2では、10枚通紙毎の露点温度Tdの変化率(Td’−Td)/出力枚数<0.1である場合は、露点温度Tdに対して防塵部材23aの温度が1℃以上高い状態を確保できる。即ち、結露の発生の可能性はなくなる。
そのため、ファン60は全速駆動を維持し(ステップS1012)、プリント動作を継続する(ステップS1013)。印刷ジョブが終了(ステップS1014)の場合は定着部動作を停止し(ステップS1015)、ファン動作を停止(ステップS1016)して終了する。印刷ジョブが終了ではない場合はステップS1007の結露ケース判定1に戻る。
次に、ステップS1011の結露ケース判定2で露点温度Tdの変化率(Td’−Td)/出力枚数≧0.1である場合は、露点温度Tdに対してレーザスキャナ23の防塵部材23aの温度が1℃以上高い状態を確保できない。そのため吸湿紙通紙時結露の恐れがあると判定し、吸湿紙通紙時結露対策モードとして図3のファンモータドライバD2を介して図3のファンモータM2を制御することにより、図6のファン60の半速駆動を実行する(ステップS1017)。
更に、ステップS1002の温度と湿度の照合結果から判定した環境条件が領域Bにある場合、図3のCPU121は、図3の共通駆動モータドライバD1を介して共通駆動モータを回転させる。これと共に、図3の電圧制御ユニットU1を介して図3の熱源33にステップS1001で検出した温度と湿度の環境条件応じた電圧を印加する。これにより、定着部30の駆動と目標温調温度(例えば領域Bの場合通常温調温度180℃−10℃の170℃)になるように加熱(温度立ち上げ、温調)を行い(ステップS1018)、プリント動作を継続する(ステップS1019)。
印刷ジョブが終了(ステップS1020)の場合は定着部動作を停止し(ステップS1015)、ファン動作を停止(ステップS1016)して終了する。印刷ジョブが終了でない場合は、吸湿紙通紙時結露対策モード(ステップS1017)で目標温調温度(例えば領域Bの場合通常温調温度180℃−10℃の170℃)になるように加熱を行う(ステップS1018)。そして、プリント動作を実行する(ステップS1019)。
ステップS1007の結露ケース判定1で(Tg−Td)≧1℃ではない場合は本体低温時結露と判定して結露アラームを報知する(ステップS1021)。本体低温時結露モードの結露回復動作として、ファン半速動作と、定着温調を通常より20℃アップと、前回転延長を実施し(ステップS1022)、露点温度Tdと防塵部材23aの温度Tgの推移を確認する(ステップS1023)。
ステップS1024の結露回復確認で(Tg−Td)≧2℃の場合、結露が改善してプリント可能状態と判定して、結露アラームを解除する(ステップS1025)。そして、ファン60の全速駆動を行い(ステップS1026)、プリント動作を実行する(ステップS1027)。印刷ジョブが終了(ステップS1028)の場合は定着部動作を停止し(ステップS1015)、ファン動作を停止(ステップS1016)して終了する。
印刷ジョブが終了ではない場合は、ファンの全速駆動を継続して(ステップS1026)、プリント動作を実行する(ステップS1027)。ステップS1024の結露改善確認でTg−Td<2℃である場合、結露の改善が不十分と判断し、(ステップS1022)に戻って結露回復動作を実行する。
前述したように、図6の定着部30において加熱・加圧された後の用紙Sと、図6の定着部30とを冷却するためには、常に図6の冷却ファン60を全速で駆動することが望ましい。しかし、結露の発生しやすい環境条件化においては、冷却ファン60の風速を低減させることにより、図6のレーザスキャナ23における結露の発生を防止する。
結露は、環境による定着に必要な目標温調温度を考慮した場合、図9のテーブルのように高温高湿環境から低温環境に行くほど結露が発生しやすくなる。それ故、環境が低温側に行くほど冷却ファン60の風速を低減させても、定着部30と用紙Sの冷却に必要な風量を保つことが出来る。
また、ステップS1011の結露ケース判定2で吸湿紙通紙時結露と判定した場合、図9の環境テーブルに応じて目標温調温度を通常よりも下げる(例えば領域Bの場合通常温調温度180℃−10℃の170℃)。これにより吸湿紙を通紙した場合においてもより効果的に図6のレーザスキャナ23における結露の発生を確実に防止することが可能となる。
なお、本実施例においては、露点温度Tdの変化率b=(Td’−Td)/出力枚数を10枚通紙毎で出しているが、2枚通紙以上であれば適宜変化率を判断する出力枚数は変更することも可能である。
また、本実施例においては、冷却ファン60の制御を全速駆動と半速駆動の二段階としているが、さらに細かく分割して制御することも可能である。
また、本実施例おいては、結露ケース判定1、2、結露回復確認判定時の温度、露点温度変化率、定着温調制御はそれぞれの装置本体の内部構造により適宜設定可能な値である。また、本実施例においては結露回復動作としてファン制御、定着温調制御、前回転時間を変更しているが、いずれかの制御を行えば結露の回復は見込める。
なお、本実施例においては、温度と湿度の両方の検出結果に基づいて、冷却ファン60の動作を制御しているが、温度のみ、あるいは湿度のみの検出結果を用いて制御することも可能である。
また、環境条件の領域を領域A、領域B、領域Cの三分割とし、冷却ファン60の制御を全速駆動と半速駆動の二段階としているが、さらに細かく分割して制御することも可能である。
以上、説明したように、本実施例の画像形成装置においては、レーザスキャナ23周辺の露点温度、結露対象の防塵部材23aの温度直接検出することで結露ケースを判別し、その結露ケースに応じた結露回避動作、結露回復動作を実施する。そのため、吸湿紙を使用しても定着部30において加湿された空気は、レーザスキャナ23に到達しない。また、本体低温時結露も結露が回復するまで必要最低限の回復動作で結露を解消することが可能となる。よって、露光装置としてのレーザスキャナの結露による画像不良の発生を防止することが可能となる。
また、本実施例の画像形成装置においては、環境条件に基づいて、結露の発生しやすい環境条件、吸湿紙を使用している場合に、定着部の温調温度をカール・定着性との関係を崩さない範囲内で低く設定する。そのようにすることで、定着部30において発生する水蒸気の発生を抑えることが可能になり、加湿された空気はレーザスキャナ23に到達しない。よって、露光装置としてのレーザスキャナで結露が発生することを防止することが可能となる。
《その他の事項》
(1)図7や図10の制御フローにおいては結露ケースの判定1を画像形成装置100のスリープ状態からの復帰時の前回転動作時に行っているが、装置電源の投入時(ジャム処理後の電源投入時も含む)の多回転動作時の実行であってもよい。
(2)定着部30には、未定着トナー画像を固着像として定着する装置以外にも、用紙に仮定着されたトナー画像あるいは一度加熱定着されたトナー像を再度加熱加圧して光沢度を向上させる画質改質装置(この定着装置と呼ぶ)の場合も包含される。
(5)画像形成装置において、用紙にトナー像を形成する画像形成部は実施例の転写方式の電子写真画像形成部に限られない。例えば、用紙として感光紙を用いてこれにトナー像を直接方式で形成する電子写真画像形成部であってもよい。また、像担持体として静電記録誘電体や磁気記録磁性体を用いる転写方式の静電記録画像形成部や磁気記録画像形成部であってもよい。また、用紙として静電記録紙や磁気記録紙を用いてこれにトナー像を直接方式で形成する静電記録画像形成部や磁気記録画像形成部であってもよい。モノカラー画像形成部であってもよい。