本開示の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
以下の実施の形態においては、加湿装置の一例として、加湿空気清浄機1について説明する。加湿装置は、加湿空気清浄機1に限られず、たとえば、加湿機能を有するイオン発生機、空気調和機、ファンヒータまたはその他の機器であってもよい。加湿装置は、家屋の室内、ビルの一室または病院の病室などの空気を加湿するために、好適に用いることができる。加湿装置は、室内の適所で床上に置かれて使用される。
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1における加湿空気清浄機を示す正面図である。図2は、図1中の加湿空気清浄機を示す左側面図である。図3は、図1中の加湿空気清浄機を示す背面図である。図4は、図1中の加湿空気清浄機を示す平面図である。まず、本実施の形態における加湿空気清浄機1の全体構成について説明する。
図1から図4を参照して、加湿空気清浄機1は、加湿空気清浄機1の外筐をなす筐体2を有する。筐体2は、前面2Aと、前面2Aとは反対側に配置される背面2Bと、前面2Aおよび背面2Bを繋ぐ右側面2Cと、前面2Aおよび背面2Bを繋ぐとともに、右側面2Cとは反対側に配置される左側面2Dと、加湿空気清浄機1が設置される床面と対向する上面2Eとを有する。筐体2は、全体として、垂直方向に縦長となる略直方体形状を有する。
前面2Aの上部には、前吹き出し口3が設けられている。上面2Eには、後吹き出し口4が設けられている。前吹き出し口3および後吹き出し口4は、加湿空気清浄機1からの空気を外部空間に吹き出すための、筐体2に設けられた開口である。この加湿空気清浄機1からの空気を外部空間に吹き出すための開口は、加湿空気清浄機1の上部に設けられている。
前吹き出し口3には、前ルーバー7が設けられている。前ルーバー7は、手動または自動で移動可能に設けられている。前ルーバー7は、その位置を変えることにより、前吹き出し口3から吹き出す空気の流れ方向を変更(調整)することが可能に設けられている。
後吹き出し口4には、後ルーバー8が設けられている。後ルーバー8は、手動または自動で移動可能に設けられている。後ルーバー8は、後吹き出し口4を閉じる位置に配置可能である。後ルーバー8は、後吹き出し口4を閉じる位置から任意の角度開いた状態で停止可能である。後ルーバー8は、後吹き出し口4を開閉可能、および、後吹き出し口4から吹き出す空気の流れ方向を変更(調整)することが可能に設けられている。加湿空気清浄機1の停止中には、上方に開口する後吹出し口4を閉じるように後ルーバー8を移動させることができ、これにより、後吹き出し口4から筐体2内部への埃および異物の侵入が抑制される。
上面2Eには、操作部5が設けられている。操作部5は、複数の操作ボタンを有する。ユーザは、操作部5の操作ボタンを適宜押すことにより、加湿空気清浄機1の運転、停止、風量切替などの操作を行なうことができる。
操作部5は、加湿空気清浄機1の運転状態をユーザに通知するための通知部を有する。通知部は、たとえば、複数の表示ランプを有し、表示ランプの点灯および消灯によって加湿空気清浄機1の運転状態を視覚的にユーザに通知することができる。通知部は、後述する加湿トレイ30における水位が最下レベルに達したことを知らせる表示ランプ(給水ランプ)を有してもよい。通知部は、後述する加湿フィルタ41または抗菌ユニット71の交換時期を知らせる表示ランプをさらに有してもよい。
前面2Aは、前パネル10により構成されている。前パネル10は、加湿空気清浄機1の外筐の一部を構成している。
背面2Bには、開口が設けられており、この開口を塞ぐように後パネル20が取り付けられている。後パネル20には、複数の通気口21が形成されている。通気口21は、略平板状の後パネル20をその厚み方向に貫通している。通気口21は、外部空間の空気を筐体2の内部に導入するための小孔である。後パネル20には、窪み部22が設けられている。ユーザは、窪み部22に手指を挿し入れ、後パネル20を後方へ引くことにより、後パネル20を背面2Bから取り外すことができる。
右側面2Cには、窪み部24が形成されている。左側面2Dには、窪み部25が形成されている。加湿空気清浄機1のユーザは、片手の指を窪み部24に挿し入れ、同時に他の片手の指を窪み部25に挿し入れて、筐体2を持ち上げることができる。これにより、加湿空気清浄機1を床上から離れた位置に移動させ、室内の適所へ加湿空気清浄機1を容易に移動することができる。
左側面2Dには、カバー26が設けられている。カバー26は、左側面2Dに対して着脱可能に設けられている。カバー26を取り外した状態で、後述する高圧発生ユニット100の、加湿空気清浄機1からの取り外しまたは加湿空気清浄機1への取り付けが可能になる。加湿空気清浄機1の下部には、加湿トレイ30が設けられている。加湿トレイ30は、左側面2Dから着脱可能に設けられている。
図5は、図1中の加湿空気清浄機の内部構造を示す縦断面図である。図5中には、左側方から見た加湿空気清浄機1の断面が示されている。
図1から図5を参照して、後パネル20の前方には、フィルタ18が設けられている。フィルタ18は、微細な集塵を捕集するとともに、空気中の臭い成分を吸着する集塵・脱臭一体型のフィルタである。一体型のフィルタ18に替えて、集塵フィルタと脱臭フィルタとが、互いに重ね合わされて設けられてもよい。
フィルタ18は、筐体2の内部に収容されており、後パネル20によって後方から覆われている。後パネル20を取り外すことにより、フィルタ18に容易にアクセス可能な配置とされている。これにより、フィルタ18の清掃または交換などのメンテナンス作業が容易になっている。
フィルタ18の前方、すなわちフィルタ18よりも筐体2の内部には、中空の下降風路150が形成されている。
加湿トレイ30には、水が貯留されている。加湿トレイ30には、加湿フィルタ41、抗菌ユニット71および水位検知部81が設けられている。
加湿フィルタ41は、加湿トレイ30に貯留された水に部分的に浸されている。加湿フィルタ41は、加湿フィルタ41を通過する空気を加湿するように構成されている。
抗菌ユニット71は、加湿トレイ30に貯留された水に浸されている。抗菌ユニット71は、抗菌成分を含む抗菌剤を有し、加湿トレイ30に貯留された水に細菌またはカビが発生することを抑制する。本実施の形態では、抗菌剤として、銀イオンを担持したゼオライト粉末をペレット状または円柱状に成型した抗菌剤が用いられている。抗菌剤は、抗菌成分としての銀イオンを含む。銀イオンの担体として、ゼオライト以外に、シリカゲル、ガラスまたは活性炭などを用いることも可能である。また、銀イオンを含む無機系抗菌剤に替えて、有機系抗菌剤を用いることも可能である。
水位検知部81は、加湿トレイ30における水位を検知するように構成されている。本実施の形態では、水位検知部81として、加湿トレイ30における水位の変動に応じて浮動するフロートを用いたフロート式の水位センサが用いられている。
水位検知部81は、加湿トレイ30における水位の最下レベルを検知するように構成されている。水位検知部81により加湿トレイ30における水位が最下レベルに達したことが検知された場合、制御装置(不図示)は、加湿空気清浄機1における加湿運転を停止させるとともに、操作部5における給水ランプを点灯させる。
筐体2内には、送風機50が配置されている。加湿トレイ30は、送風機50の下方に配置されている。送風機50は、フィルタ18から離隔して、フィルタ18の前方に配置されている。下降風路150は、前後方向において、送風機50とフィルタ18との間に設けられている。
送風機50は、空気を送風するファン52と、ファン52を回転駆動する電動機としてのファンモータ53と、ファン52およびファンモータ53を収容するファンケーシング54とを有する。ファンケーシング54は、前パネル10と対向する対向面56を有する。対向面56は、前パネル10と離隔して配置されている。
前パネル10と対向面56との間には、空気がファン52に向けて流れる通路である中空の上流風路160が設けられている。上流風路160は、ファン52によって送風される空気が流れる通路において、ファン52よりも上流側の通路の一部を構成している。前パネル10は、ファン52により送風される気体の送風路である上流風路160の壁面の一部を構成している。
ファン52の上方には、ファン52から流出する空気が流れる通路である下流風路170が設けられている。下流風路170は、ファン52によって送風される空気が流れる通路において、ファン52よりも下流側の通路の一部を構成している。分岐部180において、空気の通路が、前吹き出し口3に繋がる前方風路183と、後吹き出し口4に繋がる後方風路184との二つの通路に分岐している。前吹き出し口3は、前方風路183の上端に設けられている。後吹き出し口4は、後方風路184の上端に設けられている。前吹き出し口3と後吹き出し口4とは、ファン52によって送風される空気の流れの下流端に設けられている。
下流風路170には、高圧発生ユニット100が設けられている。高圧発生ユニット100は、下流風路170の壁面から下流風路170内に突出している。高圧発生ユニット100は、放電によりイオンなどの活性種を発生する。これにより、高圧発生ユニット100を通過して流れる空気中に、活性種が含まれる。
フィルタ18を通過して筐体2の内部に流入した空気は、下降風路150を経由して、加湿空気清浄機1の下方に設けられた加湿トレイ30へと送風される。吸水した加湿フィルタ41を空気が通過することにより、空気が加湿される。その後、加湿された空気が、上流風路160を通って送風機50へと送風される。ファン52の回転により空気が通流される。下流風路170において、空気中に活性種が含まれる。そして、前吹き出し口3および後吹き出し口4から、加湿され、かつ、活性種を含む空気が、外部空間(室内)に放出される。
続いて、加湿トレイ30について詳細に説明する。
図6は、図1中の加湿空気清浄機の内部構造を示す別の縦断面図である。図7は、加湿トレイの装着時における加湿空気清浄機を示す正面図である。図8は、加湿トレイの装着時における加湿空気清浄機を示す縦断面図である。図6および図8中には、前方から見た加湿空気清浄機1の断面が示されている。
図6から図8を参照して、加湿空気清浄機1は、装置本体12と、加湿トレイ30とを有する。装置本体12は、加湿空気清浄機1の主要部をなし、前述の筐体2、前パネル10、後パネル20、フィルタ18、送風機50および高圧発生ユニット100などから構成されている。加湿トレイ30は、装置本体12に対して着脱可能に設けられている。
装置本体12は、トレイ挿入口13を有する。トレイ挿入口13は、水平方向を向いて開口している。トレイ挿入口13は、左側面2Dに開口している。装置本体12に対する加湿トレイ30の装着時、加湿トレイ30は、トレイ挿入口13を通じて水平方向における一方向(図7および図8中の矢印301に示す方向、以下において、「加湿トレイ30の挿入方向」ともいう)に挿入される。
図9は、図5中の2点鎖線IXで囲まれた範囲の加湿空気清浄機を示す縦断面図である。図10は、図9中の加湿トレイを示す上面図である。図11は、図9中の加湿トレイを示す側面図である。図12は、図9中の加湿トレイを示す斜視図である。
図9から図12を参照して、加湿トレイ30は、トレイ本体部31と、ハンドル部42とを有する。トレイ本体部31は、その内部に水を貯留可能なように構成されている。ハンドル部42は、トレイ本体部31に取り付けられている。ハンドル部42は、ユーザが把持可能なハンドル形状を有し、主に、加湿トレイ30を持ち運ぶ際に用いられる。
トレイ本体部31は、上方を向いて開口する、浅底の容器からなる。トレイ本体部31は、その構成部位として、トレイ底部32と、トレイ側部33(33A,33B,33C,33D)とを有する。
トレイ底部32は、トレイ本体部31の底部をなしている。トレイ側部33は、トレイ本体部31の側部をなしている。トレイ側部33は、トレイ底部32の周縁から立ち上がり、トレイ本体部31における水の貯留空間を取り囲むように設けられている。
トレイ側部33Aおよびトレイ側部33Bは、加湿トレイ30の挿入方向において、互いに対向して配置されている。トレイ側部33A(第1トレイ側部)は、加湿トレイ30の挿入方向における手前側に配置されている。加湿トレイ30が装置本体12に装着された状態において、トレイ側部33Aは、筐体2の左側面2Dの一部をなす(図2を参照)。トレイ側部33B(第2トレイ側部)は、加湿トレイ30の挿入方向における奥側に配置されている。
トレイ側部33Cおよびトレイ側部33Dは、加湿トレイ30の挿入方向に直交する方向において、互いに対向して配置されている。トレイ底部32の上方であって、トレイ側部33A、トレイ側部33B、トレイ側部33Cおよびトレイ側部33Dに囲まれた位置に、水を貯留する空間が形成されている。
加湿トレイ30(トレイ本体部31)は、略矩形形状の上面視を有する。加湿トレイ30は、トレイ側部33Aおよびトレイ側部33Bが対向する方向が長手方向となり、トレイ側部33Cおよびトレイ側部33Dが対向する方向が短手方向となる略矩形形状の上面視を有する。
図12中に示すように、加湿トレイ30(トレイ本体部31)の内壁には、加湿トレイ30における水位の最上レベル216が示されている。ユーザは、最上レベル216を目安にして加湿トレイ30に水を補給する。
加湿空気清浄機1は、加湿フィルタ41を有する。加湿フィルタ41は、加湿トレイ30のうちのトレイ本体部31に設けられている。
加湿フィルタ41は、平板形状を有する。加湿フィルタ41は、筐体2の前面2Aと背面2Bとが対向する方向に直交する平面上で広がる平板形状を有する。加湿フィルタ41は、トレイ側部33Cとトレイ側部33Dとが対向する方向に直交する平面上で広がる平板形状を有する。加湿フィルタ41は、高さ方向においてトレイ底部32と当接して設けられている。
加湿フィルタ41は、吸水性および通気性を有する。加湿フィルタ41は、その下部が加湿トレイ30に貯留された水に浸漬されるように設けられている。加湿フィルタ41は、その上部が水面から上方に突き出し、空気中に配置されるように設けられている。加湿フィルタ41は、加湿トレイ30内の水に浸漬された浸水部を下部に有し、水に浸漬されない非浸水部を上部に有する。
加湿フィルタ41は、毛細管現象により加湿トレイ30内の水を吸い上げて、全体が水分を含んだ状態になる。加湿フィルタ41の上部の非浸水部は、水に浸漬されないが、下部の浸水部から水を吸い上げることにより、加湿トレイ30内の貯水量に関わらず非浸水部を含む加湿フィルタ41の全体に水分が行き渡る。
加湿フィルタ41は、筐体2の内部において、送風機50(ファン52)により送風される空気を加湿する。加湿フィルタ41は、筐体2の内部において、下降風路150から上流風路160に向けて流れる空気(図9および図10中の矢印201に示す方向に流れる空気)を加湿する。
加湿トレイ30は、第1貯留空間220と、第2貯留空間230とを形成している。第1貯留空間220および第2貯留空間230は、トレイ本体部31が形成する水を貯留する空間である。第1貯留空間220と、第2貯留空間230とは、加湿フィルタ41により区画されている。第1貯留空間220と、第2貯留空間230とは、下降風路150から上流風路160に向かう空気の流れ方向(図9および図10中の矢印201に示す方向)に並んで設けられている。
送風機50(ファン52)は、第1貯留空間220の側から第2貯留空間230の側に向けて空気を送風する。第1貯留空間220は、第2貯留空間230よりも、加湿トレイ30上に形成される空気流れの上流側に位置する。下降風路150は、第1貯留空間220に繋がり、上流風路160は、第2貯留空間230に繋がる。第1貯留空間220の直上に下降風路150が位置し、第2貯留空間230の直上に上流風路160が位置している。
加湿フィルタ41は、その厚み方向(図10中の矢印203に示す方向)が、第1貯留空間220および第2貯留空間230の並び方向と平行となるように設けられている。加湿フィルタ41の厚み方向に直交する方向が、加湿フィルタ41の幅方向である。加湿フィルタ41の幅方向は、加湿トレイ30の挿入方向に平行である。
装置本体12は、壁部58を有する(図9を参照)。壁部58は、加湿フィルタ41の上方に位置している。壁部58は、加湿フィルタ41と隙間を設けて対向している。壁部58は、ファンケーシング54により構成されている。下降風路150は、壁部58および加湿フィルタ41の間の隙間を通じて、上流風路160に連通している。
抗菌ユニット71は、第1貯留空間220に設けられている。抗菌ユニット71は、加湿トレイ30(トレイ本体部31)に対して着脱可能に設けられている。水位検知部81は、第2貯留空間230に設けられている。
図13は、図12中の加湿トレイから抗菌ユニットおよび水位検知部が取り外された状態を示す斜視図である。図14は、ハンドル部が第1状態(給水ポジション)にされた加湿トレイを示す斜視図である。図15は、ハンドル部が第2状態(装着ポジション)にされた加湿トレイを示す斜視図である。図16は、ハンドル部が第3状態(フィルタ交換ポジション)にされた加湿トレイを示す斜視図である。
図9から図16を参照して、ハンドル部42は、図14中に示す第1状態(給水ポジション)と、図15中に示す第2状態(装着ポジション)と、図16中に示す第3状態(フィルタ交換ポジション)との間で動作可能に設けられている。
より具体的に説明すると、ハンドル部42は、その構成部位として、把持部43と、一対の腕部44(44A,44B)と、突起部47と、当接部45とを有する。
把持部43は、棒状に延びている。把持部43は、水平方向に延びている。把持部43は、加湿トレイ30の挿入方向(加湿フィルタ41の幅方向)に沿って延びている。把持部43は、ユーザが加湿トレイ30を持ち運ぶ際にユーザにより把持される部位である。
一対の腕部44は、把持部43の両端から折れ曲がって腕形状をなしている。腕部44は、把持部43と直角に交わっている。腕部44Aおよび腕部44Bは、加湿トレイ30の挿入方向において互いに対向して設けられている。腕部44Aは、加湿トレイ30の挿入方向における手前側に設けられている。腕部44Bは、加湿トレイ30の挿入方向における奥側に設けられている。
突起部47は、一対の腕部44の各々に設けられている。突起部47は、把持部43と交わる端部とは反対側の腕部44の端部の側に設けられている。突起部47は、腕部44から、加湿トレイ30の挿入方向において把持部43とは反対側に突出するように設けられている。
当接部45は、一対の腕部44の各々に設けられている。当接部45は、把持部43と交わる腕部44の端部と、突起部47が設けられた側の腕部44の端部との間に設けられている。ハンドル部42が、図14中の第1状態および図15中の第2状態にある場合に、当接部45は、腕部44から、後述するフィルタ保持部37およびフィルタ保持部38のうちのフィルタ保持部37の側に突出するように設けられている。当接部45は、上下方向において、フィルタ保持部37と重なって設けられている。
トレイ本体部31は、一対のリブ状体34(34A,34B)を有する。一対のリブ状体34は、トレイ本体部31の内側に設けられている。リブ状体34Aおよびリブ状体34Bは、加湿トレイ30の挿入方向(加湿フィルタ41の幅方向)において互いに対向して設けられている。リブ状体34Aは、トレイ側部33Aと隣り合う位置において、トレイ底部32から立ち上がり、上方に向けてリブ状に延びている。リブ状体34Bは、トレイ側部33Bと隣り合う位置において、トレイ底部32から立ち上がり、上方に向けてリブ状に延びている。リブ状体34Aおよびリブ状体34Bは、トレイ側部33Aおよびトレイ側部33Bの間の中心に対して対称に設けられている。
リブ状体34は、その構成部位として、ハンドル取り付け部35と、フィルタ保持部37およびフィルタ保持部38と、対向部39とを有する。
ハンドル取り付け部35には、ハンドル部42が取り付けられている。ハンドル取り付け部35には、腕部44が取り付けられている。ハンドル取り付け部35は、上下方向に延びる平板形状を有し、加湿フィルタ41の厚み方向と平行となるように配置されている。
ハンドル取り付け部35には、上下方向が長手方向となる長孔36が設けられている。リブ状体34Aのハンドル取り付け部35には、腕部44Aに設けられた突起部47が挿入されている。リブ状体34Bのハンドル取り付け部35には、腕部44Bに設けられた突起部47が挿入されている。これにより、ハンドル部42は、ハンドル取り付け部35に対して、上下にスライド可能に、かつ、突起部47を中心にして揺動可能なように設けられている。
フィルタ保持部37およびフィルタ保持部38は、トレイ本体部31の内側において加湿フィルタ41を保持している。フィルタ保持部37およびフィルタ保持部38は、トレイ底部32上に設けられている。フィルタ保持部37およびフィルタ保持部38は、トレイ底部32から上方に延びる平板形状を有し、加湿トレイ30の挿入方向(加湿フィルタ41の幅方向)と平行に配置されている。フィルタ保持部37およびフィルタ保持部38は、加湿フィルタ41の厚み方向において互いに対向して設けられている。
加湿フィルタ41は、加湿トレイ30に装着されている。加湿フィルタ41は、上方から加湿トレイ30に装着されている。この際、加湿フィルタ41の、加湿トレイ30の挿入方向における手前側の端部が、リブ状体34Aのフィルタ保持部37およびフィルタ保持部38の間に挿入されている。加湿フィルタ41の、加湿トレイ30の挿入方向における奥側の端部が、リブ状体34Bのフィルタ保持部37およびフィルタ保持部38の間に挿入されている。これにより、加湿フィルタ41は、その厚み方向における両側からフィルタ保持部37およびフィルタ保持部38により保持されている。
フィルタ保持部37(第1フィルタ保持部)は、加湿フィルタ41に対して、加湿フィルタ41を通過する空気流れの上流側に配置されている。フィルタ保持部37は、第1貯留空間220の側において、加湿フィルタ41と面接触している。フィルタ保持部38(第2フィルタ保持部)は、加湿フィルタ41に対して、加湿フィルタ41を通過する空気流れの下流側に配置されている。フィルタ保持部38は、第2貯留空間230の側において、加湿フィルタ41と面接触している。
対向部39は、上下方向に延びる平板形状を有し、加湿トレイ30の挿入方向(加湿フィルタ41の幅方向)と平行に配置されている。ハンドル部42が、図14中の第1状態および図15中の第2状態にある場合に、対向部39は、ハンドル部42(腕部44)を挟んだ第1貯留空間220および第2貯留空間230のうちの第2貯留空間230の側に設けられている。対向部39は、ハンドル取り付け部35およびフィルタ保持部38の中間に設けられている。
図14中に示すハンドル部42の第1状態において、突起部47は、長孔36の上端側に配置されている。ハンドル部42は、一対の腕部44が、ハンドル取り付け部35から上方に立ち上がり、把持部43が、加湿フィルタ41の上方に位置する姿勢とされている。このとき、ハンドル部42(把持部43)と加湿フィルタ41との間には、隙間が設けられている。ハンドル部42(把持部43)と加湿フィルタ41との間の隙間は、ユーザが手の平を挿入するのに十分な大きさ(高さ)を有する。
操作部5における給水ランプが点灯すると、ユーザは、加湿トレイ30を装置本体12から取り外し、加湿トレイ30に給水する必要が生じる。この際、ユーザは、ハンドル部42を後述する第2状態から第1状態に動作させ、ハンドル部42を把持することによって、加湿トレイ30を持ち運ぶことができる。
ハンドル部42は、上記の第1状態と、図15中に示す第2状態との間で動作可能に設けられている。ハンドル部42は、第1状態および第2状態の間で上下にスライド可能に設けられている。
図15中に示すハンドル部42の第2状態において、突起部47は、長孔36の下端側に配置されている。ハンドル部42(把持部43)は、上記の第1状態よりも、加湿フィルタ41に近接している。第2状態におけるハンドル部42(把持部43)と加湿フィルタ41との間の隙間は、第1状態におけるハンドル部42(把持部43)と加湿フィルタ41との間の隙間よりも小さい。腕部44は、加湿フィルタ41およびハンドル取り付け部35の間の隙間に収容されている。
ハンドル部42が第2状態にある時、当接部45が、ハンドル部42の自重によりトレイ本体部31(より具体的には、フィルタ保持部37)に当接する。これにより、第2状態におけるハンドル部42を、適正な位置に保持することができる。
図9中に示すように、加湿トレイ30は、ハンドル部42が第2状態とされて、装置本体12に装着される。加湿トレイ30が装置本体12に装着された状態において、ハンドル部42は、加湿フィルタ41および壁部58の間の隙間に配置されている。
加湿フィルタ41が上方に浮いた状態で加湿トレイ30に装着されると、装置本体12に対する加湿トレイ30の着脱時に、加湿フィルタ41が装置本体12と干渉するおそれがある。本実施の形態では、ハンドル部42が加湿フィルタ41および壁部58の間の隙間に配置される構成により、加湿フィルタ41の浮きをハンドル部42によって防ぐことができる。これにより、装置本体12に対する加湿トレイ30の着脱時の作業性を良好にできる。加えて、ハンドル部42により加湿フィルタ41および壁部58の間の隙間が減少するため、加湿フィルタ41を通過する空気量を増大させることができる。これにより、加湿フィルタ41による空気の加湿効率を向上させることができる。
ハンドル部42は、上記の第1状態と、図16中に示す第3状態との間で動作可能に設けられている。ハンドル部42は、第1状態および第3状態の間で揺動可能に設けられている。
ハンドル部42が第1状態にある時、対向部39が、水平方向においてハンドル部42(腕部44)と対向する。これにより、ハンドル部42が加湿フィルタ41を挟んで対向部39とは反対側(第1貯留空間220の側)にのみ揺動可能となるため、ユーザが加湿トレイ30を安定して持ち運ぶことが可能となる。ハンドル部42は、第1状態から第3状態への移行時に、加湿フィルタ41を挟んで対向部39とは反対側(第1貯留空間220の側)に倒れるように揺動する。
ハンドル部42の第3状態において、ハンドル部42(把持部43)は、加湿フィルタ41の上方から退避する。ハンドル部42は、把持部43が、上方からトレイ側部33Cに重なって配置され、一対の腕部44が、ハンドル取り付け部35から水平方向(加湿フィルタ41の厚み方向)に延びる姿勢とされている。ユーザは、ハンドル部42を第3状態に動作させることによって、加湿フィルタ41の交換を行なうことができる。
なお、対向部39は、ハンドル部42(腕部44)を挟んだ第1貯留空間220および第2貯留空間230のうちの第1貯留空間220の側に設けられてもよい。この場合、ハンドル部42は、第2貯留空間230の側にのみ揺動可能となる。
図17は、図10中のXVII−XVII線上の矢視方向から見た加湿トレイを示す断面図である。
図12、図13および図17を参照して、トレイ本体部31は、取っ手部61(61A,61B)を有する。
取っ手部61は、トレイ本体部31の外側から見て凹形状を有し、トレイ本体部31の内側から見て凸形状を有する。トレイ本体部31の外側から見た場合の取っ手部61の凹形状と、トレイ本体部31の内側から見た場合の取っ手部61の凸形状とは、互いに対応している。取っ手部61は、その上面視において、加湿フィルタ41の厚み方向が長手方向となり、加湿トレイ30の挿入方向(加湿フィルタ41の幅方向)が短手方向となる細長い形状を有する。
取っ手部61A(第1取っ手部)は、トレイ底部32とトレイ側部33Aとの隅部に設けられている。取っ手部61B(第2取っ手部)は、トレイ底部32とトレイ側部33Bとの隅部に設けられている。取っ手部61Aおよび取っ手部61Bは、加湿トレイ30の挿入方向(加湿フィルタ41の幅方向)において互いに対向して設けられている。取っ手部61Aおよび取っ手部61Bは、加湿フィルタ41の厚み方向において、一対のリブ状体34と重なる位置に設けられている。
本実施の形態では、加湿トレイ30を装置本体12に対して着脱する際に用いられる取っ手部61Aに加えて、取っ手部61Bが設けられている。これにより、加湿トレイ30の給水時に、ユーザは、ハンドル部42を用いて加湿トレイ30を持ち運ぶこともできるし、取っ手部61Aおよび取っ手部61Bを用いて加湿トレイ30を持ち運ぶこともできる。
加湿フィルタ41は、トレイ本体部31の内側において、取っ手部61Aおよび取っ手部61Bの間に挟持されている。加湿フィルタ41の下端部は、加湿トレイ30の挿入方向(加湿フィルタ41の幅方向)における両端において、取っ手部61Aおよび取っ手部61Bの間に配置されている。
このような構成によれば、加湿フィルタ41を、その幅方向において適正な位置に保持することができる。この際、取っ手部61が、加湿フィルタ41の保持機構を兼ねているため、トレイ本体部31の内側の構造を簡易することができる。これにより、トレイ本体部31の内側をメンテナンスし易くなる。
図18は、図10中のXVIII−XVIII線上の矢視方向から見た加湿トレイを示す断面図である。
図12、図13および図18を参照して、加湿フィルタ41をその厚み方向から見た場合に、加湿フィルタ41がフィルタ保持部37と重なり合う幅B1は、トレイ底部32から離れるほど小さくなる。加湿フィルタ41をその厚み方向から見た場合に、加湿フィルタ41がフィルタ保持部38と重なり合う幅B2は、トレイ底部32から離れるほど小さくなる。幅B1および幅B2は、加湿フィルタ41の幅方向における長さである。幅B1および幅B2は、トレイ底部32に接する位置で最も大きく、高さ方向においてトレイ底部32から離れるほど小さくなる。
加湿フィルタ41による空気の加湿効率は、空気が通過可能な加湿フィルタ41の面積が大きいほど高くなる。この場合、加湿トレイ30における水位が高い時(加湿トレイ30に給水して間もない時)には、加湿フィルタ41の大部分が水に浸っているため、加湿フィルタ41による空気の加湿効率を低くなる。一方、加湿フィルタ41を保持するためのフィルタ保持部37およびフィルタ保持部38は、加湿フィルタ41の表面を部分的に覆うように設けられるため、空気が通過可能な加湿フィルタ41の面積を減少させている。
本実施の形態では、加湿フィルタ41がフィルタ保持部37と重なり合う幅B1を、トレイ底部32から離れるほど小さくし、加湿フィルタ41がフィルタ保持部38と重なり合う幅B2を、トレイ底部32から離れるほど小さくすることにより、加湿トレイ30における水位が高い時に、加湿フィルタ41を、フィルタ保持部37およびフィルタ保持部38からより大きく露出させることができる。これにより、加湿トレイ30における水位が高い時の空気の加湿効率を高めることができる。また、トレイ底部32に近い位置では、加湿フィルタ41がフィルタ保持部37,38と重なり合う幅が比較的大きいため、加湿フィルタ41を保持する強度が低下することを抑制できる。
加湿フィルタ41をその厚み方向から見た場合に、加湿フィルタ41がフィルタ保持部38と重なり合う面積S2は、加湿フィルタ41がフィルタ保持部37と重なり合う面積S1よりも大きい。加湿フィルタ41をその厚み方向から見た場合に、加湿フィルタ41がフィルタ保持部37と重なり合う領域は、加湿フィルタ41がフィルタ保持部38と重なり合う領域に含まれる。
第1貯留空間220から第2貯留空間230に向かう空気が加湿フィルタ41を通過すると、加湿フィルタ41は、第1貯留空間220の側で凹となり、第2貯留空間230の側で凸となるように弓形に変形しようとする。加湿フィルタ41が大きく変形した場合、加湿フィルタ41の周りに隙間が生じ、空気がその隙間を通り過ぎることによって、空気の加湿効率が低下してしまう。
本実施の形態では、加湿フィルタ41がフィルタ保持部38と重なり合う面積S2を、加湿フィルタ41がフィルタ保持部37と重なり合う面積S1より大きくすることによって、第2貯留空間230の側から加湿フィルタ41をより強固に保持することができる。これにより、加湿フィルタ41の変形を抑制して、空気の加湿効率の低下を防ぐことができる。
(実施の形態2)
図19は、加湿トレイが取り外された状態の加湿空気清浄機(装置本体)を示す斜視図である。図20は、図19中の2点鎖線XXで囲まれた範囲を拡大して示す斜視図である。図21は、加湿トレイを示す底面図である。図22は、図19中の装置本体に加湿トレイが装着された状態を示す縦断面図である。
図19から図22を参照して、本実施の形態では、加湿トレイ30を装置本体12に装着された状態に保持するためのトレイ保持機構と、加湿トレイ30が装置本体12から脱落することを防ぐためのトレイ脱落防止機構とについて説明する。
装置本体12は、本体底部91と、複数の第1突出部92と、第3突出部96とを有する。本体底部91は、装置本体12の底部をなしている。装置本体12に加湿トレイ30が装着された状態において、トレイ底部32は、上下方向において本体底部91と対向している。本体底部91は、トレイ挿入口13から連なり、加湿トレイ30の挿入方向における手前側から奥側に向けて平板状に延びている。
第1突出部92は、本体底部91から上方に突出して設けられている。装置本体12に加湿トレイ30が装着された状態において、第1突出部92は、トレイ底部32に向けて突出して設けられている。第1突出部92は、加湿トレイ30の挿入方向において、トレイ挿入口13と隣り合って設けられている。複数の第1突出部92は、加湿空気清浄機1の前後方向(加湿トレイ30の挿入方向に直交する方向)に距離を隔てて設けられている。
第1突出部92は、本体底部91から突出した状態(図20中に示す状態)と、後述する第2突出部86により押圧されることによって、本体底部91からの突出量が減少する状態との間で弾性的に動作可能に設けられている。
より具体的には、本体底部91には、開口部95が設けられている。開口部95は、上方を向いて開口している。開口部95は、加湿トレイ30の挿入方向が長手方向となり、加湿トレイ30の挿入方向に直交する方向が短手方向となる矩形形状の開口面を有する。
第1突出部92は、その構成部位として、基部93と、張り出し部94とを有する。基部93は、開口部95の開口面を規定する一方の短辺から延出し、開口部95の開口面を規定する他方の短辺に向けて延びている。張り出し部94は、基部93の先端に設けられている。張り出し部94は、上方に向けて張り出す凸形状を有する。第1突出部92は、上方からの力を受けることにより、基部93の根本側を支点に下方に向けて揺動する。このとき、張り出し部94が開口部95の内側に進入することにより、本体底部91からの第1突出部92の突出量が減少する。
第3突出部96は、本体底部91から上方に突出して設けられている。装置本体12に加湿トレイ30が装着された状態において、第3突出部96は、トレイ底部32に向けて突出して設けられている。第3突出部96は、第1突出部92よりも、加湿トレイ30の挿入方向における奥側に設けられている。第3突出部96は、加湿空気清浄機1の前後方向(加湿トレイ30の挿入方向に直交する方向)において、複数の第1突出部92の間に設けられている。
第3突出部96は、本体底部91に一体に成形されている。第3突出部96が上方から力を受けた場合にも、本体底部91からの第3突出部96の突出量は、変化しない。
トレイ本体部31は、複数の第2突出部86と、第4突出部87とを有する。第2突出部86は、トレイ底部32から下方に突出して設けられている。装置本体12に加湿トレイ30が装着された状態において、第2突出部86は、本体底部91に向けて突出して設けられている。第2突出部86は、加湿トレイ30の挿入方向において、第1突出部92と並んで設けられている。第2突出部86は、高さ方向において、第1突出部92と部分的に重なり合うように設けられている。すなわち、第2突出部86の下端の高さは、第1突出部92の上端の高さよりも低い。
第4突出部87は、トレイ底部32から下方に突出して設けられている。装置本体12に加湿トレイ30が装着された状態において、第4突出部87は、本体底部91に向けて突出して設けられている。第4突出部87は、加湿トレイ30の挿入方向において、第3突出部96と並んで設けられている。第4突出部87は、高さ方向において、第3突出部96と部分的に重なり合うように設けられている。すなわち、第4突出部87の下端の高さは、第3突出部96の上端の高さよりも低い。
装置本体12に対する加湿トレイ30の装着時、まず、第4突出部87が、加湿トレイ30の挿入方向における手前側から第3突出部96を乗り越えて、加湿トレイ30の挿入方向における奥側に移動する。
次に、第2突出部86が、加湿トレイ30の挿入方向における手前側から第1突出部92を乗り越えて、加湿トレイ30の挿入方向における奥側に移動する。この際、第1突出部92は、第2突出部86により上方から押圧されることによって、下方に沈み込むように動作する。第2突出部86が第1突出部92を乗り越えると、第1突出部92は、本体底部91から突出する元の状態に戻る。
装置本体12が加湿トレイ30に装着された状態において、第2突出部86は、加湿トレイ30の挿入方向における奥側から第1突出部92に当接している。これにより、加湿トレイ30が装置本体12に装着された状態に保持されている。第4突出部87は、第3突出部96よりも、加湿トレイ30の挿入方向における奥側に配置されている。第4突出部87は、第3突出部96から、加湿トレイ30の挿入方向における奥側に距離を隔てて配置されている。
ユーザが、加湿トレイ30が装着された状態のまま加湿空気清浄機1を持ち運ぶ場合がある。このような場合に、加湿空気清浄機1が傾くと、加湿トレイ30が装置本体12から脱落するおそれがある。
本実施の形態では、第1突出部92および第2突出部86が、加湿トレイ30を装置本体12に装着された状態に保持するためのトレイ保持機構として設けられ、第3突出部96および第4突出部87が、加湿トレイ30が装置本体12から脱落することを防ぐためのトレイ脱落防止機構として設けられている。加湿空気清浄機1が傾いて、第2突出部86が第1突出部92を乗り越えるまで加湿トレイ30がスライドすることがあっても、第4突出部87が、加湿トレイ30の挿入方向における奥側から第3突出部96に当接することにより、加湿トレイ30の脱落を防ぐことができる。
図23は、加湿トレイの取り外し時における加湿トレイおよび装置本体を部分的に示す断面図である。
図23を参照して、第3突出部96は、その構成部位として、急峻部97と、緩斜部98とを有する。急峻部97は、加湿トレイ30の挿入方向における奥側において斜面をなし、緩斜部98は、加湿トレイ30の挿入方向における手前側において斜面をなしている。急峻部97は、緩斜部98よりも急な斜面をなしている。
取っ手部61Aは、第4突出部87よりも高い位置に設けられている。取っ手部61Aは、トレイ底部32よりも高い位置に設けられ、第4突出部87は、トレイ底部32よりも低い位置に設けられている。
装置本体12からの加湿トレイ30の取り外し時、第1突出部92は、下方に沈み込むように動作するため、ユーザの操作力に影響をほとんど与えない。一方、脱落防止機構をなす第3突出部96は、第1突出部92のように動作しないため、ユーザの操作力を増大させる原因となり得る。
本実施の形態では、取っ手部61Aが、第4突出部87よりも高い位置に設けられている。この場合、ユーザから取っ手部61Aに対して斜め上方向(図23中の矢印311に示す方向)の引き出し力が入力されることにより、第4突出部87が容易に第3突出部96を乗り越えることができる。これにより、落下防止機構の設置に起因して加湿トレイ30の取り出し時におけるユーザの操作力が増大することを抑制できる。
(実施の形態3)
図24は、装置本体に対して加湿トレイが挿入不足である状態を示す断面図である。図24を参照して、本実施の形態では、ユーザに加湿トレイ30の挿入不足を知らせるための機構について説明する。
第2突出部86が、加湿トレイ30の挿入方向における手前側から第1突出部92に当接する状態において、加湿トレイ30の挿入不足が生じている。このとき、トレイ挿入口13には、送風機50(ファン52)の運転時に音を発生させる隙間が生じている。言い換えれば、加湿トレイ30が挿入不足である時にトレイ挿入口13に生じる隙間の大きさ、および/または、形状が、隙間を空気が通過して音が発生するように設定されている。
装置本体12に対して加湿トレイ30が挿入不足である時、トレイ挿入口13から空気が漏れることによって、空気の加湿効率が低下する。本実施の形態では、トレイ挿入口13に生じる隙間で音が発生することにより、加湿トレイ30の挿入不足をユーザに知らせることができる。
(実施の形態4)
図25は、装置本体に対する加湿トレイの装着時の状態を示す側面図である。図25を参照して、本実施の形態では、加湿トレイの着脱時にユーザの操作をアシストするための機構について説明する。
装置本体12および加湿トレイ30が、基準面501に載置されている。本体底部91は、底面99を有する。底面99は、上方に向いて配置されている。装置本体12が加湿トレイ30に装着された状態において、底面99は、上下方向において加湿トレイ30と対向している。底面99は、水平面からなる。
トレイ本体部31は、傾斜部88を有する。傾斜部88は、加湿トレイ30の挿入方向における奥側に設けられている。傾斜部88は、加湿トレイ30の挿入方向における手前側から奥側に向けて斜め上方向に延びている。傾斜部88は、トレイ側部33Cおよびトレイ側部33Dに設けられている。傾斜部88は、一定の傾きを有する。傾斜部88は、基準面501に対して角度αをなしている。
加湿トレイ30の挿入方向における奥側の端部における傾斜部88の高さH1は、底面99の高さH2よりも高い。
このような構成により、装置本体12および加湿トレイ30を基準面501に載置した状態から、傾斜部88を本体底部91に当接させつつ、加湿トレイ30を装置本体12に向けて押し出すことによって、加湿トレイ30を底面99上に移動させることができる。また、装置本体12から加湿トレイ30を取り外す際においても、傾斜部88を本体底部91に当接させつつ、加湿トレイ30を装置本体12から引き出すことによって、加湿トレイ30を底面99上から基準面501上に移動させることができる。これにより、ユーザは、加湿トレイ30を持ち上げることなく、装置本体12に対して加湿トレイ30を着脱することができる。
取っ手部61Aは、その構成部位として、下端部62を有する。ユーザが取っ手部61Aを把持する際に、ユーザの手が下方から下端部62に接触する。下端部62の高さH3は、底面99の高さH2よりも低い。
このような構成によれば、装置本体12に対する加湿トレイ30の装着時、ユーザから取っ手部61を通じて加湿トレイ30に加わる押し込み力が、傾斜部88および底面99の接点において斜め上方向の力となって装置本体12に加わる。このため、より小さい操作力で、加湿トレイ30を基準面501上から底面99上に移動させることができる。
傾斜部88の傾きαは、10°よりも大きく、45°よりも小さいことが好ましい(10°<α<45°)。この場合、傾斜部88に起因して加湿トレイ30の容量が小さくなることを抑制しつつ、装置本体12に対する加湿トレイ30の装着時のユーザの操作力を効果的に小さくすることができる。
以下に、本開示の構成および作用効果についてまとめる。
本開示に従った加湿装置は、装置本体と、水を貯留可能なトレイ本体部と、トレイ本体部に取り付けられるハンドル部とを有し、装置本体に対して着脱可能に設けられる加湿トレイと、加湿トレイに装着され、空気を加湿する加湿フィルタとを備える。装置本体は、加湿フィルタの上方に位置し、加湿フィルタと隙間を設けて対向する壁部を有する。ハンドル部は、加湿フィルタおよび壁部の間の隙間に配置される。
このように構成された加湿装置によれば、ハンドル部によって、加湿フィルタが上方に浮いた状態で加湿トレイに装着されることを防止できる。また、ハンドル部により、加湿フィルタおよび壁部の間の隙間が減少するため、加湿フィルタを通過する空気を増大させることができる。これにより、加湿フィルタによる空気の加湿効率を向上させることができる。
また好ましくは、ハンドル部は、加湿フィルタおよびハンドル部の間に隙間が生じる第1状態と、第1状態よりもハンドル部が加湿フィルタに近接する第2状態との間で動作可能に設けられる。加湿トレイは、ハンドル部が第2状態とされて、装置本体に装着される。
このように構成された加湿装置によれば、第1状態におけるハンドル部の位置を、ユーザがハンドル部を把持して加湿トレイを持ち運ぶ際の給水ポジションとし、第2状態におけるハンドル部の位置を、加湿トレイを装置本体に装着する際の装着ポジションとすることができる。
また好ましくは、ハンドル部は、第1状態および第2状態の間で上下にスライド可能に設けられる。ハンドル部は、第2状態において、ハンドル部の自重によりトレイ本体部と当接する当接部を有する。
このように構成された加湿装置によれば、ハンドル部の第2状態において、ハンドル部を適正な位置に保持することができる。
また好ましくは、ハンドル部は、第1状態と、加湿フィルタの上方から退避する第3状態との間で動作可能に設けられる。
このように構成された加湿装置によれば、第3状態におけるハンドル部の位置を、加湿トレイより加湿フィルタを交換する際のフィルタ交換ポジションとすることができる。
また好ましくは、トレイ本体部は、加湿フィルタを挟んで一方の側に配置され、水平方向において第1状態におけるハンドル部と対向する対向部を有する。ハンドル部は、第1状態および第3状態の間で揺動可能に設けられ、第1状態から第3状態への移行時、加湿フィルタを挟んで他方の側に倒れるように揺動する。
このように構成された加湿装置によれば、ハンドル部を、加湿フィルタを挟んだ片側にのみ揺動可能とすることより、ハンドル部の第1状態において、ユーザが加湿トレイを安定して持ち運ぶことができる。
また好ましくは、加湿トレイは、装置本体に対する加湿トレイの装着時に、水平方向における一方向に挿入される。トレイ本体部は、トレイ底部と、加湿トレイの挿入方向における手前側に配置され、トレイ底部から立ち上がる第1トレイ側部と、加湿トレイの挿入方向における奥側に配置され、トレイ底部から立ち上がる第2トレイ側部と、トレイ底部と第1トレイ側部との隅部に設けられ、トレイ本体部の外側から見て凹形状を有する第1取っ手部と、トレイ底部と第2トレイ側部との隅部に設けられ、トレイ本体部の外側から見て凹形状を有する第2取っ手部とを有する。
このように構成された加湿装置によれば、第1取っ手部を、装置本体に対する加湿トレイの着脱時にユーザが把持する取っ手として用い、第1取っ手部および第2取っ手部を、加湿トレイを持ち運ぶ際に、ユーザがハンドル部に替わって把持する取っ手として用いることができる。
また好ましくは、第1取っ手部および第2取っ手部は、トレイ本体部の内側から見て凸形状を有する。加湿フィルタは、トレイ本体部の内側において、第1取っ手部および第2取っ手部の間に挟持される。
このように構成された加湿装置によれば、簡易な構成により、加湿フィルタを適正な位置に保持することができる。
また好ましくは、加湿フィルタは、平板形状を有する。トレイ本体部は、トレイ底部と、トレイ底部上に設けられ、加湿フィルタをその厚み方向における両側から保持するフィルタ保持部とを有する。加湿フィルタをその厚み方向から見た場合に、加湿フィルタがフィルタ保持部と重なり合う幅は、トレイ底部から離れるほど小さくなる。
このように構成された加湿装置によれば、加湿トレイにおける水位が高く、水面上に配置される加湿フィルタの面積が小さい場合においても、空気が通過可能な加湿フィルタの面積を確保することができる。
また好ましくは、加湿フィルタは、平板形状を有する。トレイ本体部は、加湿フィルタをその厚み方向における両側から保持するフィルタ保持部を有する。フィルタ保持部として、加湿フィルタに対して、加湿フィルタを通過する空気流れの上流側に配置される第1フィルタ保持部と、加湿フィルタに対して、加湿フィルタを通過する空気流れの下流側に配置される第2フィルタ保持部とが設けられる。加湿フィルタをその厚み方向から見た場合に、加湿フィルタが第2フィルタ保持部と重なり合う面積は、加湿フィルタが第1フィルタ保持部と重なり合う面積よりも大きい。
このように構成された加湿装置によれば、空気流れの下流側に配置される第2フィルタ保持部が、加湿フィルタをより大きい面積で保持することによって、空気流れを受けることによる加湿フィルタの変形を抑制することができる。これにより、加湿フィルタの変形に起因して空気の加湿効率が低下することを抑制できる。
また好ましくは、加湿装置は、加湿フィルタを通過する空気流れを形成する送風機をさらに備える。装置本体は、水平方向を向いて開口し、装置本体に対する加湿トレイの装着時に、加湿トレイが水平方向における一方向から挿入されるトレイ挿入口と、トレイ挿入口から連なる本体底部と、本体底部から上方に突出する第1突出部とを有する。トレイ本体部は、上下方向において本体底部と対向するトレイ底部と、トレイ底部から下方に突出し、加湿トレイの挿入方向において第1突出部と並んで設けられ、装置本体に対して加湿トレイが装着された状態において、加湿トレイの挿入方向における奥側から第1突出部に当接する第2突出部とを有する。第2突出部が、加湿トレイの挿入方向における手前側から第1突出部に当接する状態において、トレイ挿入口には、送風機の運転時に音を発生させる隙間が生じる。
このように構成された加湿装置によれば、トレイ挿入口に生じる隙間で音が発生することにより、装置本体に対する加湿トレイの挿入が不十分であることをユーザに知らせることができる。
また好ましくは、装置本体は、水平方向を向いて開口し、装置本体に対する加湿トレイの装着時に、加湿トレイが水平方向における一方向から挿入されるトレイ挿入口と、トレイ挿入口から連なる本体底部と、本体底部から上方に突出する第1突出部および第3突出部とを有する。トレイ本体部は、上下方向において本体底部と対向するトレイ底部と、トレイ底部から下方に突出し、加湿トレイの挿入方向において第1突出部と並んで設けられ、装置本体に対して加湿トレイが装着された状態において、加湿トレイの挿入方向における奥側から第1突出部に当接する第2突出部と、トレイ底部から下方に突出し、加湿トレイの挿入方向において第3突出部と並んで設けられ、装置本体に対して加湿トレイが装着された状態において、第3突出部よりも加湿トレイの挿入方向における奥側に配置される第4突出部とを有する。第1突出部は、本体底部から突出した状態と、第2突出部により押圧されることによって、本体底部からの突出量が減少する状態との間で弾性的に動作可能に設けられる。
このように構成された加湿装置によれば、第1突出部および第2突出部により、加湿トレイを装置本体に装着された状態に保持するとともに、第3突出部および第4突出部により、加湿装置が傾けられた時に、加湿トレイが装置本体から脱落することを防ぐことができる。
また好ましくは、トレイ本体部は、加湿トレイの挿入方向における手前側の端部に設けられ、第4突出部よりも高い位置に配置される取っ手部を有する。
このように構成された加湿装置によれば、ユーザが取っ手部を把持して加湿トレイを装置本体から引き出す場合に、第4突出部が第3突出部を乗り越える時に要するユーザの操作力を小さくすることができる。
また好ましくは、装置本体は、水平方向を向いて開口し、装置本体に対する加湿トレイの装着時に、加湿トレイが水平方向における一方向から挿入されるトレイ挿入口と、上下方向において加湿トレイと対向する底面を含み、トレイ挿入口から連なる本体底部とを有する。トレイ本体部は、加湿トレイの挿入方向における奥側に設けられ、加湿トレイの挿入方向における手前側から奥側に向けて斜め上方向に延びる傾斜部を有する。加湿トレイおよび装置本体を同一の基準面に載置した場合に、加湿トレイの挿入方向における奥側の端部における傾斜部の高さは、底面の高さよりも高い。
このように構成された加湿装置によれば、加湿トレイを装置本体に対して着脱する際に、傾斜部を本体底部に当接させつつ、加湿トレイを装置本体に対してスライドさせることにより、加湿トレイを、基準面上と底面上との間で移動させることができる。これにより、装置本体に対する加湿トレイの着脱時の作業性を向上させることができる。
また好ましくは、トレイ本体部は、加湿トレイの挿入方向における手前側の端部に設けられる取っ手部を有する。取っ手部は、取っ手部を把持するユーザの手が下方から接触する下端部を有する。加湿トレイおよび装置本体を同一の基準面に載置した場合に、下端部の高さは、底面の高さよりも低い。
このように構成された加湿装置によれば、ユーザが取っ手部を把持して加湿トレイを装置本体に挿入する場合に、加湿トレイを基準面上から底面上に移動させる時に要するユーザの操作力を小さくすることができる。
また好ましくは、水平方向に対する傾斜部の傾きは、10°よりも大きく、45°よりも小さい。
このように構成された加湿装置によれば、傾斜部に起因して加湿トレイの容量が小さくなることを抑制しつつ、装置本体に対する加湿トレイの装着時のユーザの操作力を小さくすることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。