JP6919122B2 - 誘電体磁器組成物およびその製造方法、ならびにセラミック電子部品 - Google Patents

誘電体磁器組成物およびその製造方法、ならびにセラミック電子部品 Download PDF

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Description

本発明は、誘電体磁器組成物およびその製造方法、ならびにセラミック電子部品に関する。
スマートフォンやタブレットの普及にともない、これらに使用される電子部品の小型高性能化が求められており、積層コンデンサとして使用される積層セラミックコンデンサ(MLCC、Multi Layer Ceramic Capacitor)も当然のように、小型大容量化が求められている。
特に、近年、車載向けMLCCに要求される特性として、静電容量の温度特性がEIA(米国電子工業会)規格のX8R特性(−55℃から150℃までにおいてΔC=±15%以内;以下、単に「X8R特性」とも称する)を満足するものや、50V以上の高い耐電圧性を有するものが求められている。そして、かようなX8R特性を満足する誘電体磁器組成物として、例えば、特許文献1には、チタン酸バリウムを主成分とし、特定の希土類元素を少なくとも3種含む誘電体磁器組成物が開示されている。
自動車産業の動向として、ハイブリッド車、電気自動車(EV:Electric Vehicle)、燃料電池車(FCV:Fuel Cell Vehicle)など、自動車を電動化するニーズが高まっている。また近年では、自動運転を可能とするスマートカー技術の台頭により、今後、さらに車載用電子部品の需要が拡大すると予想される。特にECU(Engine Control Unit)と呼ばれるエンジン制御関連の各種基板は、エンジン動作を制御する中枢部品であり、MLCCが多数搭載されている。さらに、これらMLCC搭載数も、自動車の電装化および高性能化に伴い、急激な増加傾向にある。近年は、自動車の居住スペースの確保の観点から、これらECU基板を、非常に高温となるエンジンルーム内に設置することが検討されており、高温環境下でのMLCCの誤作動または破損を抑制すべく、MLCCには、高い信頼性が求められている。
しかしながら、従来からMLCCに使用されているBaTiO(チタン酸バリウム)は、キュリー温度が約120℃と低く、200℃以上でも使用可能な高温誘電体材料として使用することは非常に困難である。したがって、200℃といった高温環境下でも正常に動作する、すなわち容量温度変化率が小さい高温誘電体の開発が急務となっている。
特開2013−227196号公報
上記のように、車載電装部品の使用環境の高温化に伴い、MLCCについても、200℃といった高温下でも良好な容量温度特性を示すものが求められている。すなわち、上記X8R特性よりもさらに過酷な環境下であっても使用可能な誘電体磁器組成物が今後ますます必要となる。そしてさらに、MLCCに用いられる誘電体磁器組成物は、良好な容量温度特性を示すだけでなく、高容量化の目的から、高い比誘電率もまた有することが求められる。
したがって、本発明の目的は、−55℃以上200℃以下の範囲において使用可能な容量温度特性を有すると共に、高い比誘電率を有する誘電体磁器組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、主成分として特定の組成を有するチタン酸バリウム系複合酸化物を含み、当該複合酸化物100mol%に対し、特定量のVOを含む誘電体磁器組成物が上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、組成式(1):xBaTiO・(1−x)BaTi(ただし、前記組成式(1)中のxは0.50を超え0.80未満である)で表される複合酸化物を主成分として含み、前記複合酸化物100mol%に対し、0.1mol%を超え1.5mol%未満のVOを含む、誘電体磁器組成物である。
本発明によれば、−55℃以上200℃以下の範囲において使用可能な容量温度特性を有すると共に、高い比誘電率を有する誘電体磁器組成物が提供される。
実施例1および2ならびに比較例1および2に係る誘電体磁器組成物の各温度における容量温度変化率をプロットしたグラフである。 実施例3ならびに比較例10および11に係る誘電体磁器組成物の各温度における容量温度変化率をプロットしたグラフである。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の第一の形態は、組成式(1):xBaTiO・(1−x)BaTi(ただし、前記組成式(1)中のxは0.50を超え0.80未満である)で表される複合酸化物を主成分として含み、前記複合酸化物100mol%に対し、0.1mol%を超え1.5mol%未満のVOを含む、誘電体磁器組成物(本明細書中、単に「組成物」とも称することがある)である。
なお、本明細書中、主成分とは、誘電体磁器組成物を構成する化合物の中で占めるモル数の割合が一番多いものを指す。
上記のように、近年、静電容量の温度特性がX8R特性を満足するだけでなく、さらに過酷な環境下(特に、200℃の高温下)であっても使用可能な容量温度特性を有する車載向けMLCCが求められている。そして、このようなMLCCを製造するため、−55℃以上200℃以下の範囲内において、容量温度変化率(ΔC)=±22%以内である(以下、単に「X9S特性」とも称する)誘電体磁器組成物が求められている。
このように、従来に比してより高温下における使用にも耐えうる容量温度特性を満足するために、種々の高温誘電体材料の研究が行われている。このような背景のもと、良好な容量温度特性のみならず、高い比誘電率(具体的には、ε≧400)もまた達成できる誘電体磁器組成物を得るべく、本発明者らは鋭意検討を行った。その結果、組成式:BaTiOで表されるチタン酸バリウムおよび組成式:BaTiで表される二チタン酸バリウムを特定の比率で含む複合酸化物と、VOと、を特定の比率で含む誘電体磁器組成物によって上記課題が解決されることを見出した。
上記効果が達成しうる理由は不明であるが、以下のように推測される。なお、本発明は、下記推測によって限定されない。
本発明に係る誘電体磁器組成物は、上記組成式(1)で表されるチタン酸バリウム系複合酸化物(本明細書中、単に「チタン酸バリウム系複合酸化物」または「複合酸化物」とも称することがある)を含む。
本発明に係る複合酸化物に含まれる二チタン酸バリウムは、室温で単斜晶構造を有しており(a=16.892Å,b=3.930Å,c=9.410Å,β=103.03Å)、b軸方向に自発分極を有する。また、ac面への投影図によれば、3種類の酸素八面体(TiO,Ti,Ti)を有しており、これらのうちの1種が変形して強誘電性を発現する。また、上記二チタン酸バリウム単結晶は、キュリー点が高い(約470℃)ことから、高温環境下におけるコンデンサへの応用が期待できる。しかしながら、一方で、二チタン酸バリウムは、室温における比誘電率(ε)が小さいため、実用化が難しい材料であるともいえる。
一方、組成式:BaTiOで表されるチタン酸バリウムは、比誘電率(ε)が比較的大きい強誘電体材料である。本発明に係る組成物は、上記組成式(1)で表されるように、チタン酸バリウムと、二チタン酸バリウムと、を特定の含有比率(x:(1−x);xは0.50を超え0.80未満である)で含むチタン酸バリウム系複合酸化物(複合酸化物)を用いることにより、チタン酸バリウムおよび二チタン酸バリウムの双方の利点を生かすことができる。すなわち、上記組成式(1)において、xを、0.50超0.80未満の範囲内とすることにより、本発明に係る組成物は、容量温度特性および比誘電率が共に向上していると考えられる。
上記組成式(1)において、xが0.50以下である場合には、チタン酸バリウムの含有比率が少ないため、高い比誘電率(ε≧400)を得ることが難しい。また、xが0.80以上である場合には、キュリー点が低いチタン酸バリウムの影響が大きくなると共に、二チタン酸バリウムに由来する、高温環境下における優れた容量温度特性が発揮されない。したがって、所望の容量温度特性を達成できない。
さらに、本発明に係る組成物は、上記組成式(1)で表されるチタン酸バリウム系複合酸化物に対し、VOを特定の比率で含む。具体的には、本発明に係る誘電体磁器組成物は、上記複合酸化物100mol%に対し、0.1mol%を超え、1.5mol%未満のVOを含む。ここで、VOは、容量温度特性の向上に寄与していると考えられる。より詳細には、VOの一部が、上記複合酸化物中に含まれるチタン酸バリウムに固溶することにより、Tiサイトを置換することで複合酸化物を安定化することができ、これにより、容量温度特性を改善していると推測される。さらに上記複合酸化物中に共に含まれる二チタン酸バリウムにもVOの一部が固溶することで、結晶構造の安定化が促進されるため、本発明の組成物は、特に優れた容量温度特性を有すると推測される。
上記VOの含有比率が、上記複合酸化物100mol%に対して0.1mol%以下であると、上記のようなVOの固溶による結晶相の変化が十分でなく、容量温度特性の向上効果が得られず、所望の容量温度特性(X9S特性)を得ることができない。また、上記複合酸化物100mol%に対して1.5mol%以上であると、VOが十分に固溶せず、不純物相が生じ、結果として所望の容量温度特性が得られないだけでなく、誘電率も大きく低下する。
また、本発明者らの検討の結果、VOは、チタン酸バリウム系複合酸化物との反応性が低く、焼結性にも優れることが判明した。したがって、本発明に係る組成物は、チタン酸バリウムに起因する高い比誘電率が得られやすい。
以上により、本発明に係る組成物は、チタン酸バリウムおよび二チタン酸バリウムを上記特定の比率で含む複合酸化物と、VOと、を上記特定の比率で含むことにより、X9S特性を満たし、かつ、高い比誘電率を達成できると考えられる。
さらに、本発明に係る組成物は、同じく高温誘電体材料として知られるKNbO、K0.5Na0.5NbO、NaNbO等と比較して、高価なニオブ(Nb)を使用しなくてよいため、コスト面においても有利である。また内部電極および外部電極材料として、安価なNi系電極が使用できる点でも、上記Nb系誘電体よりも優れていると言える。
以下、本発明の誘電体磁器組成物について詳細に説明する。なお、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(25℃)/相対湿度40%RH以上50%RH以下の条件で測定する。
<誘電体磁器組成物>
本発明の誘電体磁器組成物は、上記組成式(1)で表されるチタン酸バリウム系複合酸化物を主成分とするセラミックスである。「主成分とする」の用語の定義は上述の通りであって、製造上含まれてしまう不純成分が誘電体磁器組成物中に微量含まれていてもよい。不純成分としては、ナトリウム、カルシウム、ニオブ、鉄、鉛などの金属由来成分、および炭化水素系の有機成分、表面吸着水などが挙げられる。
≪主成分≫
本発明の誘電体磁器組成物は、主成分として、組成式(1):xBaTiO・(1−x)BaTiで表されるチタン酸バリウム系複合酸化物を含む。チタン酸バリウムは、高い比誘電率を有し、二チタン酸バリウムは、良好な容量温度特性を有する。
上記組成式(1)において、チタン酸バリウム(BaTiO)の含有比率を示す「x」は、0.50を超え0.80未満である。−55℃以上200℃以下における容量温度特性が良好であり、かつ高い比誘電率を有する誘電体磁器組成物を得る目的から、上記「x」は、0.55を超えて0.75未満であると好ましく、0.60以上0.70以下であるとより好ましく、0.60以上0.65以下であると特に好ましい。他方、二チタン酸バリウム(BaTi)の含有比率を示す「1−x」は、0.20を超え0.50未満である。−55℃以上200℃以下の範囲における容量温度特性が良好であり、かつ高い比誘電率を有する誘電体磁器組成物を得る目的から、上記「1−x」は、0.25を超えて0.45未満であると好ましく、0.30以上0.40以下であるとより好ましく、0.30以上0.35以下であると特に好ましい。なお、上記「x」および「1−x」の値は、XRD測定により求めることができ、より具体的には、実施例に記載の方法(測定条件)により得られた値を採用する。また、上記「x」および「1−x」の値は、当該誘電体磁器組成物を製造する際に添加されるチタン酸バリウムおよび二チタン酸バリウムの量によって制御可能である。
≪副成分≫
本発明の誘電体磁器組成物は、副成分として、バナジウム成分(VO)を含む。また、本発明の誘電体磁器組成物は、必要に応じて、ケイ素成分(SiO)、バリウム成分(BaO)、マンガン成分(MnO)、その他の成分をさらに含んでいてもよい。
(バナジウム成分:VO)
本発明に係る誘電体磁器組成物は、VOを含み、その含有量は、上記チタン酸バリウム系複合酸化物100mol%に対して、0.1mol%を超え1.5mol%未満である。VOは、焼結助剤としての役割に加え、誘電体磁器組成物の信頼性向上を目的として添加される成分である。VOがチタン酸バリウム系複合酸化物100mol%に対して、0.1mol%を超え1.5mol%未満含まれていると、容量温度特性および比誘電率に優れ、コンデンサ等のセラミック電子部品への適用性に優れる誘電体磁器組成物が得られる。
本発明に係るチタン酸バリウム系複合酸化物に含まれる二チタン酸バリウムは、1150℃以上で分解し、BaTiOとBaTi1740に分解してしまう特性を有しており、実用化の観点からは種々の技術的な課題が存在する。しかしながら、本発明に係る誘電体磁器組成物は、チタン酸バリウムおよび二チタン酸バリウムからなるチタン酸バリウム系複合酸化物としたことに加え、上記特定量のVOを含むことで、焼結性および結晶構造の安定性が向上する。このため、本発明に係る誘電体磁器組成物を製造する際は、1250℃以下程度の高温でも焼成を可能とする。
VOの含有比率が0.1mol%以下の場合、還元焼成時に生じる二チタン酸バリウムの酸素欠陥の増大に起因する結晶構造の不安定化を抑制できないため、容量温度特性の向上効果が十分に得られない。一方、VOの含有比率が1.5mol%以上であると、不純物相の生成により、容量温度特性の向上効果が得られず、X9S特性を満たすことができない。
さらに、良好な焼結性を保持しつつ、良好な容量温度特性および高い比誘電率を有する誘電体磁器組成物を得るという観点からは、VOの含有量は、上記チタン酸バリウム系複合酸化物100mol%に対して、0.1mol%を超えて1.3mol%未満であるとより好ましく、0.2mol%以上1.2mol%以下であるとさらに好ましく、0.25mol%以上1.0mol%以下であるとさらにより好ましく、0.25mol%以上0.8mol%以下であると特に好ましい。なお、上記誘電体磁器組成物中のVOの含有量は、当該誘電体磁器組成物を製造する際に添加されるバナジウム化合物(例えば、V、NHVO、VOCl等)の量によって制御可能である。
(ケイ素成分:SiO)
本発明に係る誘電体磁器組成物は、VO以外の他の副成分を含んでいてもよい。
他の副成分としては、例えば、SiOが挙げられる。SiOは、主に焼結助剤として添加される成分である。SiOの含有量は特に制限されないが、上記チタン酸バリウム系複合酸化物100mol%に対して、0.1mol%以上5.0mol%以下であると好ましい。SiOがチタン酸バリウム系複合酸化物100mol%に対して、0.1mol%以上含まれていると、チタン酸バリウム系複合酸化物の優れた容量温度特性および絶縁抵抗を損なうことなく、コンデンサ等のセラミック電子部品への適用性に優れる誘電体磁器組成物が得られる。一方、SiOの含有量が5.0mol%以下である場合、比誘電率が良好になる。
さらに、良好な焼結性を保持しつつ、良好な比誘電率を有する誘電体磁器組成物を得るという観点からは、SiOの含有量は、上記チタン酸バリウム系複合酸化物100mol%に対して、0.3mol%を超えて3.0mol%未満であるとより好ましく、0.5mol%以上2.5mol%以下であるとさらに好ましく、0.5mol%以上2.0mol%以下であるとさらにより好ましく、0.8mol%を超えて1.5mol%未満であると特に好ましい。なお、上記誘電体磁器組成物中のSiOの含有量は、当該誘電体磁器組成物を製造する際に添加されるケイ素化合物(例えば、SiO)の量によって制御可能である。
(バリウム成分:BaO)
本発明に係る誘電体磁器組成物は、VO以外の他の副成分として、BaOを含んでいてもよい。BaOは、主に焼結助剤として添加される成分である。BaOの含有量は特に制限されないが、上記チタン酸バリウム系複合酸化物100mol%に対して、0.1mol%以上2.0mol%以下であると好ましい。BaOがチタン酸バリウム系複合酸化物100mol%に対して、0.1mol%以上含まれていると、焼結性が良好となり、また、比誘電率も向上する。一方、BaOの含有量が2.0mol%以下である場合、半導体化が抑制され、良好な絶縁性が得られる。
さらに、良好な焼結性を保持しつつ、優れた比誘電率および絶縁性を有する組成物を得るという観点から、BaOの含有量は、上記チタン酸バリウム系複合酸化物100mol%に対して、0.15mol%を超えて1.8mol%未満であるとより好ましく、0.2mol%以上1.5mol%以下であるとさらにより好ましく、0.5mol%を超えて1.3mol%未満であると特に好ましい。なお、上記誘電体磁器組成物中のBaOの含有量は、当該誘電体磁器組成物を製造する際に添加されるバリウム化合物(例えば、BaO、BaCO等)の量によって制御可能である。
(マンガン成分:MnO)
本発明に係る誘電体磁器組成物は、VO以外の他の副成分として、MnOを含んでいてもよい。MnOは、主に耐還元性助剤として添加される成分である。MnOの含有量は特に制限されないが、上記チタン酸バリウム系複合酸化物100mol%に対して、0.1mol%以上1.0mol%以下であると好ましい。MnOがチタン酸バリウム系複合酸化物100mol%に対して、0.1mol%以上含まれていると、還元雰囲気下における焼成工程で生じる酸素欠損を効果的に抑制することができる。その結果、誘電体磁器組成物を用いてコンデンサ等のセラミック電子部品を製造した場合に、当該セラミック電子部品の信頼性が向上する。一方、MnOの含有量が1.0mol%以下である場合、比誘電率が良好になる。
さらに、良好な比誘電率を有する誘電体磁器組成物を得るという観点からは、MnOの含有量は、上記チタン酸バリウム系複合酸化物100mol%に対して、0.1mol%を超えて1.0mol%未満であるとより好ましく、0.15mol%以上0.8mol%以下であるとさらにより好ましく、0.15mol%を超えて0.8mol%未満であると特に好ましい。なお、上記誘電体磁器組成物中のMnOの含有量は、当該誘電体磁器組成物を製造する際に添加されるマンガン化合物(例えば、MnO、Mn、Mn等)の量によって制御可能である。
(その他の副成分)
本発明に係る誘電体磁器組成物は、本発明の効果が得られる限りにおいて、上記以外の副成分を含んでもよい。かような副成分としては、例えば、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、希土類元素の化合物、アルミニウム化合物等が挙げられる。より具体的な化合物としては、例えば酸化マグネシウム(MgO)等のマグネシウム化合物;炭酸カルシウム(CaCO)等のカルシウム化合物;酸化ジスプロシウム(Dy)、酸化イットリウム(Y)、酸化イッテリビウム(Yb)等の希土類元素の化合物、酸化アルミニウム(Al)等のアルミニウム化合物等が挙げられる。また、上記以外の他の焼結助剤や耐還元性助剤といった成分をさらに含んでいてもよい。
≪誘電体磁器組成物の形態および特性≫
本発明に係る誘電体磁器組成物の形態は特に限定されないが、例えば、球状物、板状物、ペレット、またはこれらの混合物の形態等をとることができる。
本発明に係る誘電体磁器組成物は、容量温度特性に優れており、−55℃以上200℃以下の範囲において低い容量温度変化率を示す。容量温度変化率(ΔC)は次式で定義される。
Figure 0006919122
誘電体磁器組成物の上記容量温度変化率(ΔC)は、−55℃以上200℃以下の範囲内において、±22%以内であると好ましい。さらに上記容量温度変化率(ΔC)は、±20%以内であるとより好ましく、±15%以内であるとさらにより好ましい。なお、上記式において、各温度における静電容量は、実施例に記載の方法により測定できる。
さらに、本発明の誘電体磁器組成物は、高い比誘電率を示すと好ましい。比誘電率は、400以上であると好ましく、500以上であるとより好ましく、600以上であると特に好ましい。一方、その上限は特に制限されないが、実質的には、5000以下である。なお、比誘電率は、実施例に記載の方法により測定できる。
かような特性を有する本発明の誘電体磁器組成物は、下記のような製造方法によって得ることができる。以下、誘電体磁器組成物の製造方法について説明する。
<誘電体磁器組成物の製造方法>
本発明に係る誘電体磁器組成物は、上記組成を有するものであれば特に制限されないが、好ましい方法としては、(1)成形体を得る工程、および(2)焼成工程を経る方法が挙げられる。以下、各工程について詳細に説明する。
(1)成形体を得る工程
本工程では、(1−1)チタン酸バリウムと、二チタン酸バリウムと、バナジウム化合物と、必要に応じて添加される他の副成分(副成分の原料)と、を混合し混合物を調製する工程(混合物調製工程)と、(1−2)得られた混合物を用いて成形して成形体を得る工程(グリーンシート作製工程)と、が行われる。
(1−1)混合物調製工程
本工程では、チタン酸バリウム(BaTiO)と、二チタン酸バリウム(BaTi)と、VOの原料となるバナジウム化合物と、必要に応じて添加される他の副成分(副成分の原料)と、を混合し、成形体(グリーンシート)作製用の混合物(スラリー)を調製する。
このとき、上記組成式(1)中の「x」が所定の範囲内となるように、チタン酸バリウムおよび二チタン酸バリウムの量を調整する。すなわち、チタン酸バリウムと二チタン酸バリウムとのモル比(x:1−x)が0.50超:0.50未満から0.80未満:0.20超までの範囲となるように、成形体(グリーンシート)作製用の混合物(スラリー)を調製する。上記チタン酸バリウムと二チタン酸バリウムとのモル比としては、0.55超:0.45未満から0.75未満:0.25超までの範囲内であるとより好ましく、0.60:0.40から0.70:0.30までの範囲内であるとより好ましく、0.60:0.40から0.65:0.35までの範囲内であると特に好ましい。なお、本明細書中、「XからYまで」の記載は、当該「X」および「Y」の値を含む範囲を指すものである。
原料としてのチタン酸バリウムおよび二チタン酸バリウムは、市販のチタン酸バリウム粉末を用いてもよいし、固相法の他、各種製造法(例えば、シュウ酸塩法、水熱合成法、アルコキシド法、ゾルゲル法等)等、従来公知の方法により製造してもよい。
本工程において用いられるチタン酸バリウムおよび二チタン酸バリウムの平均粒子径は、特に制限されないが、いずれも5000nm以下であると好ましく、50nm以上1000nm以下であるとより好ましい。なお、各粒子の平均粒子径は、実施例の方法により測定される値を採用する。
また、本工程では、これらチタン酸バリウムおよび二チタン酸バリウムの添加量(合計)を100mol%として、VOが0.1mol%を超え1.5mol%未満となるように、バナジウム化合物を添加する。すなわち、チタン酸バリウムおよび二チタン酸バリウムによって生成するチタン酸バリウム系複合酸化物100mol%に対し、VOが0.1mol%を超え1.5mol%未満となるようにバナジウム化合物を添加する。なお、バナジウム化合物の好ましい添加量および必要に応じて添加される副成分(副成分の原料)の添加量は、上述の各成分の含有量(または好ましい含有量)から算出可能であるため、ここでは詳細な説明は割愛する。
本発明に係る組成物の製造方法において用いられるバナジウム化合物は、特に制限されないが、例えば、V、NHVO、VOCl、NaVO、KVO、NaVO、VCl、VOSO、VOCl、VO、VCl、V、V13等が挙げられる。なかでも、入手容易性や他の成分のコンタミネーションを抑制するという観点から、バナジウム化合物として、バナジウム酸化物を用いることが好ましく、なかでも、V、VO、Vを用いるとより好ましい。なお、これらバナジウム化合物は、単独でもまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本工程において用いられるバナジウム化合物の平均粒子径は、特に制限されないが、いずれも5000nm以下であると好ましく、50nm以上500nm以下であるとより好ましい。なお、各粒子の平均粒子径は、実施例の方法により測定される値を採用する。
さらに、本工程では、必要に応じて、上記で説明した他の副成分(副成分の原料)や、バインダ、可塑剤、分散剤等の添加剤を混合してもよい。
本発明に係る組成物の製造方法において用いられる他の副成分(副成分の原料)としては、上記各成分に係る説明にて例示した化合物を適宜使用でき、また、特にこれらに制限されないが、入手容易性、取り扱いの容易性および不純物の混入の抑制という観点から、例えば、ケイ素酸化物(SiO等)、バリウム酸化物(BaO等)、炭酸バリウム(BaCO)、マンガン酸化物(MnO、Mn、Mn等)等を用いることが好ましい。なお、上記バナジウム化合物や必要に応じて添加される副成分(副成分の原料)についてもまた、市販品を用いてもよいし合成品を用いてもよい。
次に、成形体(グリーンシート)作製用の混合物(スラリー)に含まれうるバインダ、可塑剤、分散剤について説明する。なお、当該混合物(スラリー)に含まれうる添加剤は、以下に挙げるものに限定されず、本発明の効果を損なわない限りにおいて、潤滑剤、帯電防止剤等、他の添加剤を用いてもよい。
成形体(グリーンシート)作製用の混合物(スラリー)に含まれうるバインダとしては、特に制限されないが、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、アクリル樹脂等が挙げられる。なお、上記バインダは、単独でもまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
バインダの使用量は、特に制限されないが、チタン酸バリウム、二チタン酸バリウムおよび副成分(副成分の原料)の全質量(合計質量)に対して、0.01質量%以上20質量%以下であると好ましく、0.5質量%以上15質量%以下であるとより好ましい。この範囲とすることにより、成形体の密度を向上させることができる。
また、成形体(グリーンシート)作製用の混合物(スラリー)に含まれうる可塑剤としては、特に制限されないが、例えば、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ベンジルブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)(DEHP)、フタル酸ジ(2−エチルブチル)などのフタル酸系可塑剤、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)(DOA)などのアジピン酸系可塑剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのグリコール系可塑剤、トリエチレングリコールジブチレート、トリエチレングリコールジ(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)などのグリコールエステル系可塑剤などが挙げられる。これらの中でも、上記混合物(スラリー)を用いてグリーンシートとしたときに、シートの柔軟性が良好であることから、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)等のフタル酸系可塑剤を用いると好ましい。なお、上記可塑剤は、単独でもまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
可塑剤の使用量は、特に限定されないが、添加するバインダの全質量に対して、5質量%以上50質量%以下であると好ましく、10質量%以上50質量%以下であるとより好ましく、20質量%以上40質量%以下であると特に好ましい。上記範囲とすることにより、可塑剤として十分な効果が得られる。
さらにまた、成形体(グリーンシート)作製用の混合物(スラリー)に含まれうる分散剤としては、特に制限されないが、例えば、リン酸エステル系分散剤、ポリカルボン酸系分散剤等が挙げられる。これらの中でも、リン酸エステル系分散剤を用いると好ましい。なお、上記分散剤は、単独でもまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分散剤の使用量は、特に制限されないが、上記チタン酸バリウム、二チタン酸バリウムおよび副成分(副成分の原料)の全質量(合計質量)に対して、0.1質量%以上5質量%以下であると好ましく、0.3質量%以上3質量%以下であるとより好ましく、0.5質量%以上1.5質量%以下であるとさらに好ましい。上記範囲とすることにより、分散剤として十分な効果が得られる。
上記各成分の混合方法、混合順序は特に制限されないが、添加物を均一に分散できるという点で、混合方法は湿式混合が好ましい。
湿式混合を行う場合に用いる溶媒としては、特に制限されないが、例えば、水;エタノール、メタノール、ベンジルアルコール、メトキシエタノール等のアルコール溶媒;エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶媒;酢酸ブチル、酢酸エチル、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のエステル溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒等が挙げられる。後に、上記混合物(スラリー)に含まれる各種添加剤の溶解性や分散性を考慮すると、上記湿式混合の溶媒としてはアルコール溶媒、芳香族溶媒が好ましい。これらの中でも、アルコール溶媒としては、メタノールやエタノール等、芳香族溶媒としては、トルエン等の低沸点溶媒を用いることが好ましい。なお、上記溶媒は、単独でもまたは2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。2種以上の溶媒を混合するときは、上記アルコール溶媒と芳香族溶媒とを混合すると特に好ましい。
溶媒を用いる場合の使用量は、チタン酸バリウム、二チタン酸バリウムおよび副成分(副成分の原料)の全質量(合計質量)に対して0.5倍以上10倍以下程度であると好ましく、0.7倍以上5倍以下程度であるとより好ましい。上記範囲とすることにより、チタン酸バリウム、二チタン酸バリウム、副成分(副成分の原料)、および必要に応じて添加される添加剤等が十分に混合されると共に、後に溶媒を除去する操作を簡便に行うことができる。
また、湿式混合を行う場合は、湿式ボールミル、湿式ビーズミルまたは攪拌ミルにより行われると好ましい。湿式ボールミルにおいてジルコニアボールを用いる場合には、直径0.1mm以上10mm以下の多数のジルコニアボールを用いて好ましくは8時間以上48時間以下、より好ましくは10時間以上24時間以下、湿式混合すると好ましい。
(1−2)グリーンシート作製工程
本工程では、上記(1−1)の工程で得られた混合物を、適当な大きさ、形状となるようにシート成形し、成形体(グリーンシート)を作製する。ここで、グリーンシートを作製する方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、ドクターブレード法やカレンダーロール法等のテープ成形法等によりシート状に成形し、これを乾燥することによりグリーンシートを得る。
グリーンシートの厚さ(乾燥後の厚さ)は、特に制限されないが、30μm以下であると好ましく、20μm以下であるとより好ましい。一方、グリーンシートの厚さ(乾燥後の厚さ)の下限は特に限定されないが、実質的には0.5μm以上である。
さらに、得られたグリーンシートを所望の厚さになるまで積層し、その後加熱圧着を行ってもよい。このとき、全体の厚さ(乾燥後の厚さ)が好ましくは0.1mm以上5mm以下程度、より好ましくは1mm以上3mm以下程度となるまで積層すると好ましい。また、加熱圧着時の条件は特に制限されないが、温度は50℃以上150℃以下程度であると好ましく、圧力は10MPa以上200MPa以下程度であると好ましく、加圧時間は1分以上30分以下程度であると好ましい。加熱圧着の方法としては、温間等方圧加圧法(WIP)等が挙げられる。
その後、グリーンシートを積層したものを裁断して所望のチップ形状とし、グリーンチップを作製してもよい。
さらに、得られたグリーンシート(またはグリーンチップ)中に含まれるバインダ成分等を熱分解して除去する処理、いわゆる脱脂処理を行うことが好ましい。脱脂処理の条件は特に制限されず、使用したバインダの種類にも依存するが、180℃以上450℃以下であると好ましい。また、脱脂処理時間としては、特に制限されないが、0.5時間以上24時間以下が好ましい。さらに、脱脂処理の雰囲気は、空気中、または窒素、アルゴン等の不活性ガス中で行うことができるが、操作の簡便さの点から、空気中で行うことが好ましい。
(2)焼成工程
本工程では、上記工程(1−2)において得られたグリーンシート(またはグリーンチップ)を焼成する。
本工程における焼成温度は、上記誘電体磁器組成物が得られるものであれば特に制限されないが、1250℃以下であると好ましい。すなわち、本発明の第二の形態は、BaTiOで表されるチタン酸バリウムと、BaTiで表される二チタン酸バリウムと、バナジウム化合物と、を混合した後成形し、成形体を得る工程と、前記成形体を1250℃以下の温度で焼成する工程と、を有する、誘電体磁器組成物の製造方法であって、前記成形体を得る工程において、前記チタン酸バリウムと前記二チタン酸バリウムとのモル比は、0.20:0.80から0.50:0.50までの範囲であり、前記チタン酸バリウムおよび前記二チタン酸バリウムの合計100mol%に対し、前記バナジウム化合物を、VOに換算して0.1mol%を超え1.5mol%未満となるように添加する、誘電体磁器組成物の製造方法である。
このように、誘電体磁器組成物の製造工程において、焼成温度を1250℃以下という、比較的低い温度に設定することが好ましい。かような低温で焼結することにより、二チタン酸バリウムの分解や、チタン酸バリウムと二チタン酸バリウムとが固溶体となってしまうことが抑制される。
さらに、二チタン酸バリウムの分解やチタン酸バリウムと二チタン酸バリウムとの固溶体形成を抑制する目的から、焼成温度は、1200℃以下であるとより好ましい。
二チタン酸バリウムは、上記のように、1150℃以上で分解することが知られているが、本発明者らは、本発明に係る誘電体磁器組成物の製造工程において、焼成温度を1150℃以上としても二チタン酸バリウムが分解しないこともまた見出した。このような二チタン酸バリウムの分解の抑制効果が得られるメカニズムは不明であるが、上記組成式(1)において、「x」の値を所定の範囲内とすることに加え、誘電体磁器組成物がVOを所定比率で含むことにより、二チタン酸バリウムのBサイト原子の一部がTiからV原子へ置換された結果、結晶構造の安定化が進行し、分解が抑制されると推測される。従来は、二チタン酸バリウムの容量温度特性等の特性を有効に活用することが難しかったが、本発明によれば、二チタン酸バリウムの分解が抑制されるため、二チタン酸バリウムの高温下における優れた容量温度特性を有効に活用することができる。
一方、焼成温度の下限は、焼結体を得ることができる限り特に制限されないが、1000℃以上であると好ましく、1150℃以上であるとより好ましい。
また、焼成時間は、特に制限されないが、1時間以上5時間以下が好ましく、1時間以上3時間以下がより好ましい。焼成の雰囲気も、特に制限されず、空気雰囲気下、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、または窒素やアルゴンに水素、水蒸気等が混合された還元雰囲気下などが挙げられる。
他の焼成条件としては、昇温速度が好ましくは50℃/時間以上500℃/時間以下、より好ましくは200℃/時間以上300℃/時間以下である。
<セラミック電子部品>
本発明の第三の形態は、上記誘電体磁器組成物または上記の製造方法により得られる誘電体磁器組成物を含む、セラミック電子部品である。本発明の誘電体磁器組成物または本発明の製造方法により得られる誘電体磁器組成物は、種々のセラミック電子部品に好適に用いることができる。以下、セラミック電子部品の一例である、積層セラミックコンデンサについて説明する。
(積層セラミックコンデンサ)
グリーンシート(またはグリーンチップ)を焼成することにより得られる誘電体磁器組成物は、薄膜状となっており、積層セラミックコンデンサ(MLCC)の誘電体層として用いることができる。積層セラミックコンデンサの製造方法としては特に制限されないが、例えば、以下のようにして製造される。
まず、前記グリーンシート上に、各種金属等を含有する内部電極用導電性ペーストを所定形状にスクリーン印刷して、内部電極用導電性ペースト膜を形成する。内部電極の材料としては特に制限されず、例えば、Cu、Ni、W、Mo、Ag、Pt、Pd等の金属またはこれらの合金等からなるものなどが挙げられる。
外部電極の材料としては特に制限されず、例えば、Cu、Ni、W、Mo、Ag、Pt、Pd等の金属またはこれらの合金;In−Ga、Ag−10Pd等の合金;カーボン、グラファイト、カーボンとグラファイトとの混合物等からなるものなどが挙げられる。
次いで、内部電極用導電性ペースト膜が形成された複数のグリーンシートを積層するとともに、これらグリーンシートを挟むように、導電性ペースト膜が形成されていないグリーンシートを積層して、圧着した後、必要に応じてカットすることによって、積層体(グリーンチップ)を得る。
そして、得られた積層体(グリーンチップ)に脱バインダ処理を施した後、当該グリーンチップを、不活性ガス雰囲気または還元雰囲気下において焼成して、コンデンサチップ体を得る。コンデンサチップ体においては、グリーンシートを焼成してなる焼結体からなる誘電体層と内部電極とが交互に積層されている。焼成条件としては、上記(2)焼成工程で示す条件を適宜採用すればよい。
なお、還元雰囲気下で焼成を行った場合、誘電体層を再酸化するため、得られたコンデンサチップ体にアニール処理を施すことが好ましい。
次に、コンデンサチップ体の端面から露出した内部電極の各端縁それぞれに外部電極が電気的に接続するように、コンデンサチップ体の端面上に、上記の各種金属等を含有する外部電極用ペーストを塗布することによって外部電極を形成する。そして、必要に応じ、外部電極表面に、めっき等により被覆層を形成する。このようにして、積層セラミックコンデンサを製造することができる。
セラミック電子部品の一例として上記積層セラミックコンデンサを挙げたが、本発明に係るセラミック電子部品は、これに限定されるものではない。例えば、高周波モジュール、サーミスタ用電子部品、またはこれらの複合部品等、種々の他の部品が挙げられる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
<誘電体磁器組成物の作製>
各原料は以下のものを使用した。
Figure 0006919122
なお、上記チタン酸バリウムおよび二チタン酸バリウムの作製には、酸化チタン(TiO スーパータイタニア(登録商標):F−2、昭和電工株式会社)および炭酸バリウム(BaCO BW−KH30、堺化学工業株式会社製)を用いた。炭酸バリウム1molに対し、チタン酸バリウムを作製する場合には、酸化チタン1molを、また、二チタン酸バリウムを作製する場合には、酸化チタン2molを添加し、よく混合した。その後、それぞれ900℃で3時間熱処理(仮焼)することによりチタン酸バリウムおよび二チタン酸バリウムをそれぞれ得た。
なお、上記において、「平均粒子径」は、走査型電子顕微鏡により撮像し、無作為に、50個の粒子を抽出して該粒子径を測定し、これを平均したものである。また、粒子の形状が球形でない場合には、長径を測定して算出したものと定義する。
≪実施例1〜6、比較例1〜9≫
下記表1および表2の組成比となるようにチタン酸バリウム(BaTiO)、二チタン酸バリウム(BaTi)、SiO、BaCO、MnおよびVの各原料を、電子天秤を用いてそれぞれ計量した。なお、下記表1において、SiO、BaO、MnOおよびVOの比率(mol%)は、それぞれ、チタン酸バリウムおよび二チタン酸バリウムの合計を100mol%としたときの値である。また、SiO、BaCO、MnおよびVの添加量は、それぞれ、下記表1中のSiO、BaO、MnOおよびVOの比率となるようにして計量した。なお、表中の「−」は、該当成分を含まないことを示す。
所定の組成に調合した原料粉末に、固形分が40質量%となるようにエタノール/トルエン(60/40質量比)の混合溶媒、およびリン酸エステル系分散剤 BYK−103(ビックケミー・ジャパン製)をチタン酸バリウム、二チタン酸バリウム、SiO、BaCO、MnおよびVの全質量(合計質量)に対して、1質量%となるように添加し、3mmφのZrOボールを用いて回転ボールミルによる湿式混合を25℃で14時間行った。その後、バインダ(PVB、積水化学工業株式会社製、BH−3)溶液(PVB固形分15質量%、溶媒:エタノール/トルエン=60/40質量比)を、PVB/各原料の合計=10/90質量比となるように添加した。さらにフタル酸ジオクチル(DOP)をバインダ(PVB)に対して30質量%となるように添加し、回転ボールミルを用いて25℃で4時間混合を行い、セラミックススラリーを得た。
得られたセラミックススラリーを用い、350μmギャップのアプリケーターを用いて、PETフィルム上にドクターブレード法にてシート成形を行った。得られたグリーンシート(厚さ:約20μm)を50層積層して、ヒートプレス成形を行い(加圧温度:80℃、加圧圧力:50MPa、加圧時間:3分)、1cm角にカットし、400℃×2時間の条件で脱バインダ処理を行った。その後、昇温速度200℃/時間で昇温し、焼成温度を1200℃として(酸素分圧2.0×10−10〜1.5×10−9atm(2.0×10−5〜1.5×10−4Pa)、焼成時間:2時間)にて焼成を行い、誘電体磁器組成物を得た。
≪比較例10≫
以下の組成比となるように各原料およびその使用量を変更したこと以外は、上記実施例1等と同様にして、誘電体磁器組成物を得た。
(比較例10の誘電体磁器組成物の組成)
Figure 0006919122
≪比較例11≫
以下の組成比となるように各原料およびその使用量を変更したこと以外は、上記実施例1等と同様にして、誘電体磁器組成物を得た。
(比較例11の誘電体磁器組成物の組成)
Figure 0006919122
≪比較例12≫
上記実施例3において、二チタン酸バリウムを添加せず、チタン酸バリウムの添加量を変更したこと以外は、実施例3と同様にして誘電体磁器組成物を得た。
<評価>
上記実施例および比較例で得られた誘電体磁器組成物について、下記の通り評価した。
≪XRD測定≫
各誘電体磁器組成物についてXRD測定(測定は、X線回折装置(PANalytical社製、RAYONS Xを用いて行い、線源はCu−Kα、電圧45kV、電流40mAとした。)を行った。その結果、得られた誘電体磁器組成物中における各成分の含有比率は、表1および表2に記載された各成分の添加量(比率)と同じであることを確認した(ただし比較例11を除く)。なお、得られた誘電体磁器組成物における「x」および「1−x」の値は、XRD測定結果より求めた値であり、BaTiOは、空間群:P4mmを、BaTiは、空間群:A/12m1,unique−bを用いてリートベルト解析により得られた値である。
≪比誘電率≫
電極としてインジウム−ガリウム(In−Ga)合金を各誘電体磁器組成物の上下面に塗布し、LCRメーター(Agilent社製 4284A 測定条件:AC印加電圧1.0V/mm、周波数1kHz)を用いて比誘電率の測定を行った。得られた値を表1および表2にそれぞれ示す。なお、比誘電率の評価において、εが400以上である場合に合格(下記表1および表2の「判定」の項目にて「○」と記載)と判断する。また、表1よび表2において、εが400未満であるものは「×」と記載した。
≪容量温度特性≫
容量温度特性は、実施例および比較例の誘電体磁器組成物に対し、−55℃から200℃までの温度範囲で静電容量を測定して求めた。静電容量の測定にはデジタルLCRメーター(日本ヒューレット・パッカード株式会社製、4274A)を用い、周波数1kHz、入力信号レベル1Vrmsの条件下で測定した。そして、−55℃から200℃までの温度環境下での静電容量を測定し、下記式に従い、25℃における静電容量に対する各温度での静電容量の変化率(単位:%)を算出し、各温度における容量温度変化率(ΔC)を調べた。表1および表2には、−55℃から200℃までにおける容量温度変化率の最大値(Max)および最小値(Min)をそれぞれ示す。なお、容量温度特性の評価では、−55℃から200℃までの範囲内において、ΔC=±22%以内である場合に合格(下記表1および表2の「判定」の項目にて「○」または「◎」と記載)と判断する。なお、表1および表2において、具体的な評価基準は、下記の通りである。
−評価基準−
◎:容量温度変化率ΔCが±22%以内であり、かつ、ΔCの最大値と最小値との差が35%以下;
〇:容量温度変化率ΔCが±22%以内であり、かつ、ΔCの最大値と最小値との差が35%を超える;
×:容量温度変化率ΔCが±22%の範囲から外れる。
Figure 0006919122
実施例および比較例の誘電体磁器組成物の評価結果を下記表1および表2に示した。なお、下記表1および表2の「総合判定」の欄においては、上記比誘電率(ε)が400以上であり、かつ、上記容量温度特性を満たすものを「○」または「◎」とし、いずれか1つでも満たさないものを「×」とした。なお、表1および表2において、具体的な評価基準は以下の通りである。
−評価基準−
◎:比誘電率(ε)が400以上であり、容量温度変化率(ΔC)±22%以内であり、かつ、ΔCの最大値と最小値との差が35%以下;
〇:比誘電率(ε)が400以上であり、容量温度変化率(ΔC)±22%以内であり、かつ、ΔCの最大値と最小値との差が35%を超える;
×:比誘電率(ε)が400未満であるおよび/または容量温度変化率(ΔC)が±22%の範囲から外れる。
また、実施例1〜3ならびに比較例1、2および11の誘電体磁器組成物について、各温度における容量温度変化率をプロットした。図1および図2にその結果をそれぞれ示す。なお、図1および2において、グラフ中の二点鎖線で表された四角の枠で示される範囲が、−55℃から200℃まで、かつ容量温度変化率(ΔC)=±22%の範囲である。
Figure 0006919122
Figure 0006919122
上記表1は、BaTiOおよびBaTiの含有比率(x:1−x)を変更した実施例および比較例を示す。表1の結果より、上記xの値が0.5以下または0.8以上であるとき、比誘電率および容量温度特性のうち、少なくとも一方が低下することが示された。
上記表2は、VOの含有量を変更した実施例および比較例を示す。表2の結果より、複合酸化物(xBaTiO・(1−x)BaTi)に対するVOの含有量が0.1mol%以下または1.5mol%以上であるとき、比誘電率および容量温度特性のうち、少なくとも一方が低下することが示された。
なお、比較例12は、強誘電体であるBaTiOと共にVOを含む誘電体磁器組成物であるが、本発明に係る実施例の方が良好な容量温度特性を示した。かような結果から、本発明に係る実施例の組成物では、BaTiが容量温度特性の向上に寄与していると考えられる。

Claims (6)

  1. 組成式(1):xBaTiO・(1−x)BaTi(ただし、前記組成式(1)中のxは0.50を超え0.80未満である)で表される複合酸化物を主成分として含み、
    前記複合酸化物100mol%に対し、バナジウム化合物をVOに換算して0.1mol%を超え1.5mol%未満になるように含む、誘電体磁器組成物。
  2. 前記複合酸化物100mol%に対し、ケイ素化合物をSiOに換算して0.1mol%以上5.0mol%以下になるようにさらに含む、請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
  3. 前記複合酸化物100mol%に対し、マンガン化合物をMnOに換算して0.1mol%以上1.0mol%以下になるようにさらに含む、請求項1または2に記載の誘電体磁器組成物。
  4. 前記複合酸化物100mol%に対し、バリウム化合物をBaOに換算して0.1mol%以上2.0mol%以下になるようにさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の誘電体磁器組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の誘電体磁器組成物を含む、セラミック電子部品。
  6. BaTiOで表されるチタン酸バリウムと、
    BaTiで表される二チタン酸バリウムと、
    バナジウム化合物と、を混合した後成形し、成形体を得る工程と、
    前記成形体を1250℃以下の温度で焼成する工程と、を有する、誘電体磁器組成物の製造方法であって、
    前記成形体を得る工程において、前記チタン酸バリウムと前記二チタン酸バリウムとのモル比は、0.50超:0.50未満から0.80未満:0.20超までの範囲であり、
    前記チタン酸バリウムおよび前記二チタン酸バリウムの合計100mol%に対し、前記バナジウム化合物を、VOに換算して0.1mol%を超え1.5mol%未満となるように添加する、誘電体磁器組成物の製造方法。
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